当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、最高の品質とサービスで、より多くの顧客に満足を与え、適正な利潤を確保することにより、株主及び従業員に報い、かつ社会に奉仕することを経営の基本理念としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を確保するため、財務基盤の確立に重点を置いております。経営指標といたしましては、中期的に自己資本比率35%超、自己資本750億円超、営業利益150億円超を重要指標として経営にあたってまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の優先的に対処すべき課題
当社グループは、既存事業の強化を進めながら、次代に向けたグループ経営基盤の強化に努め、更に事業領域の枠にとらわれず、幅広く、お客様に「快適さ」をご提供し、社会に貢献できる事業の拡大を目指してまいります。
(基本方針)
① グループ一体経営の推進
当社グループでは、株式会社イチネンホールディングスを純粋持株会社とし、傘下の各事業会社が独立経営を進めながら、グループ一体経営を推進しております。現在、「自動車リース関連事業」、「ケミカル事業」、「パーキング事業」、「機械工具販売事業」、「合成樹脂事業」、「農業関連事業」の各事業を展開しております。また、各事業が連結営業利益の10%以上を稼ぐことを目標としております。
② 規模の拡大
「自動車リース関連事業」では、リース及び自動車メンテナンス受託の台数、契約残高の増加、車両販売の取扱台数の増加、自動車用燃料給油カードの発券枚数及び販売数量の増加、「ケミカル事業」、「パーキング事業」、「機械工具販売事業」、「合成樹脂事業」、「農業関連事業」を含む全てのセグメントにおいて、顧客件数の増加を推進し、規模の拡大を図ってまいります。また、新規事業及び新商品の開発を常に行い、早期立ち上げ、軌道乗せを行ってまいります。
③ 業務効率の向上によるコスト削減
当社グループでは、全てのコストについて常に見直しを実施してまいります。また、管理間接部門の集約により、業務効率を高めるとともにコストダウンを図り、グループの利益・競争力を向上させてまいります。
④ 品質の向上
当社グループでは、商品やサービスについて、更なる品質向上に努めてまいります。
⑤ 財務体質の強化
当社グループでは、不採算事業、不採算取引、非効率な投資の見直しを行い、投資効率の高い事業に経営資源を投下して、投資効率の向上を目指してまいります。また、多様な資金調達手法を活用し、調達コストの削減を進めるとともに、有利子負債の増加を抑制すべく取り組んでまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループでは、適時適切な情報開示に努めるとともに、内部統制システムの強化、リスク管理体制の充実を図り、経営環境の変化にも迅速に対応することによって、持続的に企業価値を高めてまいります。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
今後のわが国経済は、世界的な金融引締めや中国経済の先行き懸念等に伴う海外景気の悪化、物価上昇等の下振れリスク、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など依然として先行き不透明なものの、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調が続くことが期待されております。
このような状況の中、当社グループは今後も「いちねんで、いちばんの毎日を。」をスローガンに掲げ、既存事業の強化を進めながら、次代に向けたグループ経営基盤の強化に努め、更に事業領域の枠にとらわれず、幅広くお客様に「快適さ」をご提供し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献できる事業の拡大を目指してまいります。
<自動車リース関連事業>
リースにおきましては、リース契約車両は小型化傾向にありますが、比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行い、契約台数及び契約残高の増加を図ってまいります。また、購買原価の低減、走行距離に応じた適切な料金設定、メンテナンスコストの抑制並びに車両処分方法の多様化を図り収益向上に努めてまいります。
自動車メンテナンス受託におきましては、自動車整備業界における整備士の人材不足並びに労務費の上昇を背景とした整備委託料金の上昇傾向が顕著であり、加えてメンテナンスに関連する各種部材の価格高騰も続いていることから、当社グループも一定のメンテナンスコストの増加を見込んでおります。このような状況の中、当社グループは今後も独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとするべく、EV等の次世代自動車に対応したメンテナンスサービスネットワークの構築に取り組むとともに、更なる契約台数及び契約残高の増加を図ります。また、走行距離に応じた適切な料金設定とメンテナンスコストの抑制、車両販売における車両の調達方法と販売方法の多様化、取扱台数の増加に注力し収益向上に努めてまいります。車体修理に関する総合管理業務については、法人顧客の新規開拓に一層注力し、収益の拡大を目指してまいります。
燃料販売におきましては、主に自動車用燃料給油カードにおいて、低燃費車の普及により需要が減少傾向にありますが、既存顧客に対する満足度の追求並びに新規顧客の拡大を図り販売数量の増加に努めてまいります。また、脱炭素社会におけるクリーンエネルギーへの転換を見据え、燃料販売の新たな事業モデルの構築に引き続き取り組んでまいります。
<ケミカル事業>
ケミカル事業におきましては、原材料価格の上昇が続いていることに加え物流コストも上昇基調である中、販売価格への転嫁を機動的に行うことで利益の確保に努めてまいります。今後も引き続きセールスエンジニアの育成、特定の専門業界への販売に注力しつつ新たなマーケットへの参入を試み、新製品の開発及び既存製品・商品のリニューアル等、商品開発力の強化及び品質向上に取り組みながら付加価値の高い商品の販売に注力いたします。また、汎用樹脂向けバイオマス添加剤等の脱炭素社会を見据えた製品開発及び販売を一層強化し、国内・海外を問わず販売先・販売数量の拡大を目指してまいります。
<パーキング事業>
パーキング事業におきましては、中長期的にグループの基盤事業の一つとして安定した収益基盤を築くため、引き続き営業力を強化し、駐車場数の拡大を図ります。また、キャッシュレス決済やフラップレス駐車場の導入促進等により安全・安心で利用しやすい駐車場運営を実現することで他社との差別化を図り、既存駐車場の売上拡大に努めてまいります。
<機械工具販売事業>
機械工具販売事業におきましては、原材料価格の上昇が続いていることに加え物流コストも上昇基調である中、販売価格への転嫁を機動的に行うことで利益の確保に努めてまいります。今後も引き続き取扱アイテムの拡充及び自社オリジナル製品の開発・販売力を強化するとともに、脱炭素社会に向けた商品等の取り扱い品目を拡大し、国内外のマーケットシェアの拡大を目指してまいります。また、事業セグメント内で重複する機能を集約することによる経営の効率化や、商品一括仕入機能の強化による商品調達コストの軽減、適正な在庫水準の実現、製造部門における国内外工場の生産体制の最適化による原価低減、物流の内製化等の取り組みを更に進め、当セグメントの課題である収益性の改善に注力してまいります。更にネット販売については、特定のカテゴリに特化した特色ある自社サイトの構築に注力し、売上規模の拡大及び収益性の向上に取り組んでまいります。
<合成樹脂事業>
合成樹脂事業におきましては、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売において、次世代型遊技機向けの部材開発や、強みであるリサイクル材を採用した部材の技術開発等、新素材の提案力を強化することで新規案件の受注拡大を図るとともに、品質改善にも努めてまいります。また、遊技機部品の開発で培った技術を他の製品分野にも応用することで、新たな収益源となる製品の開発にも注力してまいります。ガス検知器・セラミックヒーターの販売については、シェアの拡大により業界の標準メーカーとなることを目指し、開発・製造・販売・メンテナンス部門の強化を推進してまいります。自動車用内外装部品の販売については、国内外のマーケットシェアの拡大を図るとともに、国内外工場の生産体制の最適化による原価低減や、製品の更なる品質向上を目指してまいります。また、事業セグメント内での製品の共同開発や、国内外の製造拠点の相互活用等を推進し、グループシナジーの最大化に向けて取り組んでまいります。
<農業関連事業>
農業関連事業におきましては、自社農場での農作物の生産・販売について、2022年9月より高知県南国市に新たに開設した「南国農場」に続く新たな大規模農場の開拓により、引き続き事業規模の拡大を図ってまいります。販売面においては、課題である販売単価の向上を実現するため、安定した収穫量及び出荷数量を維持することによる市場からの信頼獲得、販売ルートの多様化による直販比率の向上、農作物の加工品開発による6次産業化の推進等、収益性の改善に向けた取り組みを推進してまいります。生産面においては、各種コストの低減を図るため、栽培ハウス内の温度管理の徹底による燃油代の削減、作業時間短縮を目的とした農業用機器の導入による人件費の削減等の取り組みを継続して進めてまいります。
肥料事業については、地域・作物別の栽培環境変化に対応した製品の開発や、取扱アイテムの拡充に取り組んでまいります。また、農業生産者に向けた栽培指導の実施など、独自のノウハウによる他社との差別化を推進し、収益の拡大を目指してまいります。
<その他>
その他事業のガラス加工事業におきましては、販売力・技術力・生産力を高め、業界における優位性・独自性のある企業経営を追求し、新たな技術や製品開発、市場開拓に取り組んでまいります。また、需要が高まる安全ガラスや機能性ガラスの生産体制を強化するなど、収益性の改善に向けた取り組みを推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.サステナビリティに関するガバナンス、リスク管理、戦略、指標及び目標
(1)ガバナンス
当社グループは、地球環境問題が地域・世代を超えて社会全体に関わる問題であることを理解し、地球環境と事業活動との密接な関わりをよく認識の上、地球環境保全と持続可能な発展のため、「環境方針」を定めております。
気候変動に関する課題に対しては、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会及びTCFD分科会を中心に課題の抽出や対策の議論を行い、それらを取締役会で監視・評価・管理する体制を構築しており、グループの経営戦略やリスク管理に適切に反映してまいります。
(2)戦略
≪シナリオ分析≫
シナリオ分析においては、「1.5℃/2℃」「4℃」の複数シナリオについて検証を実施しました。パリ協定目標(注)の達成と脱炭素社会の実現を見据え、1.5℃シナリオを中心に2℃シナリオを想定したイチネングループの事業への影響について開示いたします。
各気候シナリオで想定した2050年の世界像
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セグメント |
1.5℃/2℃シナリオ |
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自動車リース関連 |
・先進国を中心に内燃機関車両(主にガソリン車、ディーゼル車など)の使用制限。 ・次世代車両(EV、FCVなど)の普及により、GHGを排出しない移動体の主体化(パワートレインの変化)。 |
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ケミカル |
・自動車のEV化(主にエンジン部品点数の減少)。 ・再生可能エネルギーによる発電の拡大(化石燃料発電施設は大幅に減少)。 ・バイオマス由来プラスチック製品・植物由来原料を使用した製品の増加。 |
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パーキング |
・業界全体で低炭素化を新たな競争軸とした不動産の資産価値変化。 ・低炭素に優れた不動産のニーズの拡大、不動産の運用における収益構造の変化。 |
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機械工具販売 |
・車両、建機のEV化。 ・CO2回収、フロン再生破壊関連技術に関する産業の拡大(特にアジアではフロン再生関連ビジネスが進展中)。 ・再生エネルギーを活用した生産活動の普及。 |
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合成樹脂 |
・「プラスチック資源循環促進法」施行に伴う化石燃料由来製品に対する規制強化。 ・プラスチックリサイクル技術の高度化。 |
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農業関連 |
・現在シナリオ分析の検討を進めており、準備が整い次第、適切に情報開示を行う予定です。 |
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その他 |
・ZEB/ZEH化、ビル・住宅の省エネ・創エネ化が急速に進展(内外装窓の高遮熱・高断熱化あるいは小面積化)。 ・省エネ・創エネ効果が見込まれる新たな各種産業用ガラスニーズの顕著化。 |
(注)パリ協定目標・・・世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追求する。
≪気候変動リスク・機会≫
事業活動に影響を与えると想定される気候変動リスク・機会について特定し、財務インパクトの評価を実施し、その評価結果を踏まえ、特に影響の大きいリスクの軽減又は機会の獲得に向けた対応策を検討しております。
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区分 |
セグメント |
社会の変化 |
主要なリスク・機会 |
主要な対応 |
影響度 |
|
移行リスク |
自動車リース関連 |
自動車パワートレインの変化 |
燃料販売減少による収益減少、自動車整備の変化と収益減少 |
EVソリューションの最適化に向けた新サービス、新商品の開発、自動車整備ネットワークの拡充 |
大 |
|
ケミカル |
原料等の脱炭素化、規制強化 |
原料・資材等の調達難・原価上昇 |
製品の処方変更、汎用原料への変更や代替品の検討、容器等の素材、荷姿の変更 |
大 |
|
|
パーキング |
モビリティの電動化 |
シェアリングエコノミーの進展による自動車保有台数減少に伴う駐車場稼働率の減少 |
駐車場稼働率を改善する目的で、EV充電設備を備えた駐車場運営ビジネスを展開 |
小 |
|
|
機械工具販売 |
モビリティの電動化 |
部品業界のシュリンク、化石燃料車の維持費高騰等による車離れが加速 |
電動車(ゼロエミッション車)対応部品商材の拡充リビルト・リサイクル製品の拡充 |
大 |
|
|
合成樹脂 |
プラスチックに係る規制強化 |
リサイクル樹脂の原料となるプラスチックの入手困難 |
調達ルートの多様化(新規開拓) |
小 |
|
|
農業関連 |
現在移行リスクの特定について検討を進めており、準備が整い次第、適切に情報開示を行う予定です。 |
- |
|||
|
その他 |
脱炭素製品やサービスへの切替 |
脱炭素社会に適合した製品の開発や展開の遅延 |
素板の高遮(断)熱化と低炭素化シフト、バイオ樹脂等の低環境負荷素材の製品への導入検討 |
小 |
|
|
物理リスク |
自動車リース関連 |
平均気温の上昇 |
エアコン故障、タイヤバースト等の自動車メンテナンスコストの増加 |
計画整備の充実 |
中 |
|
ケミカル |
平均気温の上昇 |
災害による工場・物流(委託先含む)の操業停止 |
BCP・サプライチェーンマネジメントの強化 |
中 |
|
|
パーキング |
平均気温の上昇 |
風水害による駐車場設備損害の増加や事業停止リスクの増大 |
洪水リスクが高い河川の近くに立地している駐車場の浸水被害等への対策 |
小 |
|
|
機械工具販売 |
平均気温の上昇 |
積雪減少による冬季商材市場の縮小 |
夏季商材(暑熱商材)の拡充と新製品の開発 |
小 |
|
|
合成樹脂 |
平均気温の上昇 |
災害による工場・物流(委託先含む)の操業停止 |
サプライチェーンマネジメントの強化(国内外問わず) |
小 |
|
|
区分 |
セグメント |
社会の変化 |
主要なリスク・機会 |
主要な対応 |
影響度 |
|
物理リスク |
農業関連 |
現在物理リスクの特定について検討を進めており、準備が整い次第、適切に情報開示を行う予定です。 |
- |
||
|
その他 |
平均気温の上昇 |
工場操業や営業活動の停止 |
高強度・高信頼性の安全ガラス製品の展開 |
小 |
|
|
移行機会 |
自動車リース関連 |
自動車パワートレインの変化 |
次世代車両の増加(EV、FCVなど) |
EVソリューションの最適化に向けた新サービス、新商品による収益の拡大 |
大 |
|
ケミカル |
自動車のEV化・電力の燃料転換 |
EV向けケミカル製品の需要拡大、バイオマス燃料の発電設備の拡大 |
EV車に適した洗浄剤・潤滑剤等の開発、バイオマス燃料添加剤の展開・ボイラー付帯設備関連の販売品目拡充 |
中 |
|
|
パーキング |
環境配慮型パーキングサービス |
キャッシュレス化、フラップレス駐車場導入推進 |
集金作業の見直しによる回収コスト削減(巡回に掛かるCO2削減)、鉄使用量減による省資源 |
中 |
|
|
機械工具販売 |
自動車パワートレインの変化 |
次世代車両対応商材の開発、拡販 |
PB商品開発、車体構造変化(樹脂化)に対応した工具の開発による収益の拡大 |
中 |
|
|
合成樹脂 |
循環型社会実現へのニーズ増加 |
リサイクル樹脂に関連する事業の拡大 |
プレコンシューマリサイクル製品の販売拡大、ポストコンシューマリサイクルを見据えた製品開発 |
中 |
|
|
農業関連 |
現在移行機会の特定について検討を進めており、準備が整い次第、適切に情報開示を行う予定です。 |
- |
|||
|
その他 |
脱炭素製品やサービスへの切替 |
脱炭素化社会に適合した製品ニーズが高まる |
素板の高遮(断)熱化と低炭素化シフト |
小 |
|
|
物理機会 |
自動車リース関連 |
平均気温の上昇 |
ESG投資等の資金調達が有利になる |
低炭素環境型の事業に移行 |
小 |
|
ケミカル |
平均気温の上昇 |
暑熱対策関連事業の拡大 |
冷感・消臭・抗菌・防カビ製品の拡販 |
中 |
|
|
パーキング |
平均気温の上昇 |
災害に強い駐車場の需要が増加する |
災害時に避難場所にもなる駐車場の開発 |
小 |
|
|
機械工具販売 |
平均気温の上昇 |
環境配慮型製品の市場拡大 |
脱炭素型&防災商品としてポータブル電源の開発 |
中 |
|
|
区分 |
セグメント |
社会の変化 |
主要なリスク・機会 |
主要な対応 |
影響度 |
|
物理機会 |
合成樹脂 |
平均気温の上昇 |
災害の早期復旧に資するガス検知器の販売拡大 |
災害に伴うガス漏れ対処に有効な検知器の拡販 |
小 |
|
農業関連 |
現在物理機会の特定について検討を進めており、準備が整い次第、適切に情報開示を行う予定です。 |
- |
|||
|
その他 |
平均気温の上昇 |
生産設備やインフラへの強靭化ニーズの高まり |
高強度、高信頼性の安全ガラス製品の展開 |
小 |
|
(注) 事業利益にもたらす影響の大きさにより、影響度を「大」「中」「小」の3段階に分類しました。
(3)リスク管理
当社グループは、「グループリスク管理規程」に基づき、気候変動に伴うリスクを特定・認識し、適切な管理を行ってまいります。併せて、事業を通じた環境問題解決への貢献、GHG排出量削減などをステークホルダー、当社グループいずれにとっても極めて重要性が高いものと考え、「指標及び目標」に掲げる数値目標を検討してまいります。
(4)指標及び目標
気候関連リスク・機会を管理するための指標として温室効果ガス(Scope1・2)排出量を指標と定め、中長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、目標達成に向けて取り組んでおります。
|
項目 |
2017年度実績 (基準年度) |
2023年度実績 (2017年度比) |
目標年 |
目標値 (2017年度比) |
|
Scope1・2 |
|
(22.6%削減) |
2030年度 |
13,999トン (30.0%削減) |
(注)1.当連結会計年度において温室効果ガス排出量の算定を精緻化した結果、Scope1・2 2017年度実績(基準年度)について以下の通り数値の見直しを行っております。
Scope1・2
2017年度実績(基準年度) 修正前:18,216トン 修正後:19,998トン
2.当連結会計年度に連結子会社となりましたマルイ工業株式会社及び日東エフシー株式会社の温室効果ガス排出量は上記数値に含まれておりません。準備が整い次第、適切に情報開示を行う予定です。
3.
https://www.ichinenhd.co.jp/environment/tcfd/
≪現状の取組≫
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取組内容 |
具体的な方策 |
|
省エネルギー設備への切替え |
事務所及び運営する駐車場のLED化 製造部門の作業工程の見直し |
≪今後の取組≫
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取組内容 |
具体的な方策 |
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再生可能エネルギーの導入 |
工場、農園、事務所屋上へ太陽光の設置を検討 |
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省エネルギーの導入 |
工場、事務所、倉庫、屋外等のLED化 |
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設備や社有車の電化 |
生産設備を電化設備へ切替、社有車をEV車やHV車へ切替 |
2.人的資本・多様性に関する戦略、指標及び目標
(1)戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
①価値創造の基盤になり得る”人財”の育成と組織風土の醸成
当社グループは、社員一人ひとりの努力と挑戦により人財価値を高めることでグループの企業価値を高めることを目指しております。その為に社員を大切にし、社員の自律的な成長を積極的に支援し、『社会の変化、自社の変化を理解し、その対応策を考え実行していくことのできる人財』を採用・育成・処遇し続けます。社員一人ひとりが自ら「努力」し、成長に「挑戦」し続け、社員自身・社員の家族・お客さま、全てのステークホルダーと「信頼関係」を築き「満足」を与えることで、強いイチネングループをつくります。
また、社員がその多種多様な強みを発揮できるよう安全で快適な職場環境を追求し、心身の不安なく安心して働いていける組織風土の構築を目指しwell-beingを実現させてまいります。
≪教育制度および人材育成≫
教育制度としては、各年代、階層別に体系的な研修制度を実施し、イチネングループの将来を牽引する次世代の経営を担う人材の育成や、将来を担う若手社員のキャリア形成・開発の実現に向けた取組を進めております。また、グローバルな事業展開に対応できる人材の育成を目的に、当社グループ「グローバル人材育成プラン」を新たに導入いたしました。このプログラムでは当社グループ海外拠点に社員を派遣し、海外事業拡大に貢献できる人材を育成しております。
②ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社グループは、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを推進し、多種多様な価値観(性別、年齢、国籍、宗教、社会的身分、障がいの有無、性的指向・性自認、働き方等)を受け入れることで個人の能力を最大限に活かし、新しいイノベーションを生み出すことで組織活性化を推進させてまいります。経済価値を向上させることで社会へ貢献するとともに当社グループの持続的な成長サイクルを実現させてまいります。
≪ダイバーシティ&インクルージョンへの取組≫
ダイバーシティ&インクルージョンを推進させるにあたり、当社グループ主要会社より推進メンバーを選任し、グループを横断して各テーマに対して検討してまいりました。その一環として、シニア人材の活用を目的とした定年制度の延長、非正規社員の正社員登用を新たに制度化し長期雇用を確保できる体制を構築いたしました。また、地域を限定した社員区分を設け、一定の地域でも将来のキャリア展望を描き安心して働いていける制度実現のため取り組んでおります。
③環境整備の取組
当社グループは、労働災害がなく安全で、心身の不安なく安心して働ける環境の整備に力を入れ、快適で働きがいのある職場づくりを推進しております。また、人権を侵害し、職場環境を著しく害する行為の一切の撲滅を目指しております。
≪ワークライフバランスの向上≫
社員の満足度向上、多様な働き方の整備の一環として、時間単位での有給休暇制度を導入し、また、心身をリフレッシュしてもらうために、土日を含めた9日間の連続休暇を取得促進することで有給休暇の取得率向上に取り組んでおります。また、社員の自律的な成長を助成する枠組みとして、資格取得・スキル向上を目指す社員に費用補助を行い積極的に支援する等、一連の取り組みの中で社員自身の日々の仕事と生活を充実させ、ワークライフバランスの向上と推進を実践しております。さらに、グループ各社の従業員を対象にしたハラスメント研修や、自身のストレス要因やストレス反応に早期に気づき改善できるようセルフケア研修、管理職に対しては、部下のストレスとの向き合い方、心理的安全性の充実に向けたラインケア研修を実施しております。
また、子育て世代に対しては、第三子以降の出生について、社員の経済的負担を軽減させ、少子化対策に貢献する施策として「子育て応援特別支給金」を一律支給し、社員が子育てしながらでも安心して働ける職場環境の整備を制度面から推進しております。
(2)指標及び目標
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)金利変動リスク
当社グループのコア事業である自動車リース関連事業における自動車リースにおいては、その取引の特性から有利子負債により多額の資金調達を行っているため、金利が上昇した場合、資金調達コストが増加し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは金利上昇リスク等について常に分析・検討を行い、その結果に基づき財務戦略を立案・執行し、金利動向を踏まえた最適な調達を行っております。
また、変化の激しい資金調達環境の中、内部留保の充実による企業体質の更なる強化を図り、格付の維持・向上に取り組んでおり、徹底したリスク管理の実践と資金調達コストの低減を図っております。
|
回次 |
第58期 (2020年3月期) |
第59期 (2021年3月期) |
第60期 (2022年3月期) |
第61期 (2023年3月期) |
第62期 (2024年3月期) |
|
|
売上高 |
(百万円) |
98,715 |
112,618 |
120,644 |
127,822 |
138,253 |
|
売上原価 |
(百万円) |
76,407 |
87,791 |
93,910 |
100,001 |
108,478 |
|
(資金原価) |
(百万円) |
(295) |
(308) |
(325) |
(328) |
(394) |
|
売上総利益 |
(百万円) |
22,307 |
24,827 |
26,733 |
27,820 |
29,775 |
|
営業利益 |
(百万円) |
6,877 |
7,516 |
8,623 |
8,861 |
9,045 |
|
経常利益 |
(百万円) |
6,948 |
7,513 |
8,728 |
9,102 |
9,460 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
(百万円) |
4,426 |
3,015 |
5,646 |
5,923 |
12,253 |
|
回次 |
第58期 (2020年3月期) |
第59期 (2021年3月期) |
第60期 (2022年3月期) |
第61期 (2023年3月期) |
第62期 (2024年3月期) |
|
|
短期借入金 |
(百万円) |
6,720 |
8,300 |
4,350 |
4,300 |
4,400 |
|
コマーシャル・ペーパー |
(百万円) |
3,000 |
3,500 |
3,500 |
3,500 |
2,000 |
|
1年内償還予定の社債 |
(百万円) |
260 |
5,260 |
260 |
5,260 |
5,230 |
|
1年内返済予定の長期借入金 |
(百万円) |
15,777 |
20,856 |
20,042 |
20,571 |
21,536 |
|
社債 |
(百万円) |
12,010 |
6,750 |
16,490 |
11,230 |
16,000 |
|
長期借入金 |
(百万円) |
47,955 |
51,991 |
52,386 |
51,568 |
58,381 |
|
小計<A> |
(百万円) |
85,722 |
96,657 |
97,029 |
96,429 |
107,547 |
|
総資産<B> |
(百万円) |
149,228 |
161,948 |
168,507 |
171,888 |
202,606 |
|
<A>/<B> |
(%) |
57.4 |
59.7 |
57.6 |
56.1 |
53.1 |
(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第60期の期首から適用しており、第60期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(2)与信リスク
当社グループの自動車リース関連事業におけるリース取引では、リース期間が比較的長期(3~5年程度)にわたることから、景気変動やその他の事由によって取引先の業績悪化や倒産を招き、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これにつきましては、取引開始時等に厳格に審査を行い、取引先毎に与信限度額を設けるとともに、取引開始後についても随時業況を注視の上必要な対応を行う等、与信管理体制を整えており与信リスクの極小化を目指しております。
また、当社グループの他の取引におきましても、取引金額の大きな取引先の業績悪化や倒産などにより、当社グループの経営成績に影響を与える場合があります。
これらにつきましても、取引内容に即した与信管理規程を策定し、与信限度額を設けるなどの与信管理体制を整え、リスクの極小化に努めております。
(3)制度変更リスク
当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準をもとに自動車リース関連事業を始めとする各事業を展開しております。これらの諸制度や基準が将来大幅に変更された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、諸制度や基準の変更に備え、様々な情報収集及び検討を行っておりますが、その中でも国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)の適用が義務化された場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原油価格変動によるリスク
当社グループでは、原油の市況変動が以下の各事業の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
自動車リース関連事業のリース及び自動車メンテナンス受託においては、原油を主原料とするタイヤ・エンジンオイル等のメンテナンス消耗部品の仕入価格が上昇した場合に、メンテナンス原価が上昇することによって、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、同事業の燃料販売においては、ガソリン・重油等の仕入価格の上昇に対して販売価格の改善が図れなかった場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
ケミカル事業においては、原油を主原料とする原材料等の仕入価格の上昇に対して、製品販売価格の改善が図れなかった場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ各事業においては、随時仕入価格の変動状況を注視して販売価格の決定を行っており、原油価格変動によるリスクを最小限に抑えるよう努めております。
(5)競合に関するリスク
当社グループの主要取引である自動車リースは、数多くの同業他社との競争下にあります。当社グループは他の大手オートリース会社の主要顧客とは異なり、中小口規模の企業を主なターゲットとしております。また、メンテナンスにおける強みを活かしたサービスにより、同業他社との差別化を図っております。
しかしながら、今後当社グループの顧客層への新規参入及び競合他社との過度な価格競争等が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)流動性及び資金調達に関するリスク
当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や資本市場からの調達(社債、コマーシャル・ペーパー等)によって賄っております。当社グループではコミットメントライン枠の設定等適切な対応策を講じておりますが、金融市場に混乱が生じる、又は銀行の貸出姿勢の変化等により、資金の安定的な確保が難しくなる場合は、新規契約の縮小等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)残価リスク
当社グループのリースのほとんどは自動車リースであり、契約満了後の自動車については中古車市場で売却を行っております。契約当初の自動車の見積残価は、過去及び現在の中古車市場の動向を勘案し、適切でなおかつ保守的な見積残価を設定しております。しかし、中古車市場の状況によっては、実際の処分額と想定した価額との差が大きくなり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)遊技機業界に対する法的規制、自主規制について
当社グループの合成樹脂事業が行っている遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売は、直接的に法的規制を受けておりませんが、遊技機メーカーは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づき、「国家公安委員会規則」(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)による法的規制を受けています。また、当社の製品の最終ユーザーである遊技場は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の許認可及び「都道府県条例」の規制を受けています。さらに、過度な射幸性を抑制する目的から、遊技機メーカー、遊技場、販売業者に対して業界団体が自主規制を行う場合があります。
これら規制により遊技機の需要が変化することに伴い、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替リスク
当社グループのケミカル事業、機械工具販売事業及び農業関連事業におきましては、外貨建での輸入仕入取引があります。
当社グループは、為替予約等による為替リスクヘッジに努めておりますが、急激な為替レートの変動が、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)M&A及び新規事業への参入に係るリスク
当社グループは、コア事業の規模の拡大、又は現在のコア事業以外の分野で柱となる事業を育成すべく、新規事業への進出を含めたM&Aを推進しております。M&Aにあたっては、一定期間の収益の合計額がのれんの金額を上回ることが見込まれ、M&A実行の直後から当社グループの経営成績に寄与することが見込まれること等を事前に精査した上で対象先の選定を行っておりますが、当初想定した効果を生まない可能性があります。また、そのような場合はのれんの減損処理等が発生することで、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)海外への事業展開に係るリスク
当社グループは、海外において事業を展開しているため、海外子会社の進出国における政情、経済、法規制、租税制度及びビジネス慣習等の進出国固有の影響により、事業の遂行が継続困難になった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)品質に関するリスク
当社グループは、品質管理には万全を期しておりますが、万が一、製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストが発生し、当社グループに対する評価に重大な影響を与え、それにより当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)気候変動リスク
当社グループでは、地球温暖化をはじめとした世界的な気候変動がもたらす大規模災害による被害や原材料・製商品等の物品調達への影響により、当社グループの事業活動に影響を及ぼされる可能性があります。また、気候変動に対する規制強化や制度変更により、原材料、エネルギー等様々なコストが上昇する可能性があり、これらが当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、気候変動に伴うリスクに対しては、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会を中心に課題の抽出や対策の議論を行い、それらを取締役会が監視・評価・管理する体制を構築しており、当該リスクに適切に対応してまいります。
(14)その他
当社グループでは、事業運営上、事務処理ミス、不正行為、法令違反、システムダウン、システム障害、情報流出、災害の発生、風評の発生、テロや戦争など世界情勢の変化、人材の確保及び育成、労働安全衛生に係る問題、サプライチェーン上の人権等様々なリスクがあることを認識しております。当社グループは、それらのリスクに対しできる限り回避あるいは低減するよう適切な管理に努めております。しかしながら、当社グループが事業を遂行するに当たり、これらのリスクは、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、世界的な金融引締めや中国経済の先行き懸念等に伴う海外景気の悪化、物価上昇等の下振れリスク、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など依然として先行き不透明な状態が続いております。
このような状況の下、当社グループは「いちねんで、いちばんの毎日を。」をスローガンに掲げ、最高の品質とサービスでより多くのお客様に満足をご提供し、適正な利潤の確保によりステークホルダーに報い、社会に貢献できる企業を目指しております。
基盤事業である自動車リース関連事業を中心に、ケミカル事業、パーキング事業、機械工具販売事業、合成樹脂事業、農業関連事業を展開しており、これら既存事業の強化を進めながら、事業領域の枠にとらわれない新規事業への参入、規模拡大を目的とした積極的なM&A、海外展開にも挑戦しております。その一環として当連結会計年度は、2023年10月16日にマルイ工業株式会社及びその子会社1社並びに孫会社1社、2023年11月30日に日東エフシー株式会社及びその子会社8社並びに孫会社1社を子会社化いたしました。
当連結会計年度の連結売上高は1,382億53百万円(対前期比8.2%増)、営業利益は90億45百万円(対前期比2.1%増)、経常利益は94億60百万円(対前期比3.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は122億53百万円(前期は59億23百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
各セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「その他事業」に含めておりました「農業関連事業」は、量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。それに伴い、前期との比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
また、下記のセグメント別売上高は、内部売上高消去前の金額であります。
<自動車リース関連事業>
リースにおきましては、リース契約車両は依然として小型化傾向にありますが、国内のリース車保有台数は堅調な伸びを維持しており、市場は緩やかながら拡大傾向にあります。当社グループは、地域密着のきめ細やかなサービスで競合他社との差別化を図りながら、比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行うとともに、既存顧客との更なる取引深耕に努めました。
これらの結果、2024年3月末現在リース契約台数は95,417台(対前期末比2,227台増)となり、リース契約高は453億27百万円(対前期比19.0%増)、リース未経過契約残高は924億95百万円(対前期末比8.0%増)となりました。
自動車メンテナンス受託におきましては、当社グループ独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとしながら、更なる契約台数、契約残高の増加に努めた結果、メンテナンス受託契約台数は74,975台(対前期末比6,963台減)となりましたが、メンテナンス受託契約高は64億59百万円(対前期比5.8%増)、メンテナンス未経過契約残高は85億60百万円(対前期末比1.5%増)となりました。
燃料販売におきましては、主に自動車用燃料給油カードにおいて、低燃費車の普及により需要が減少傾向にありますが、既存顧客へのサービス向上並びに新規顧客の獲得に注力いたしました。
販売面では、リースは契約台数が順調に推移いたしました。
損益面では、主力である自動車リースの販売が増加いたしました。一方で、前期に車両販売の販売単価が上昇し、利益が増加したことの反動により、利益が減少いたしました。
この結果、売上高は586億73百万円(対前期比1.0%減)、セグメント利益は57億94百万円(対前期比7.6%減)となりました。
<ケミカル事業>
ケミカル事業におきましては、住みよい地球環境と人々の暮らしの向上に貢献するべく、商品開発力の強化及び品質向上に取り組むとともに、付加価値の高い商品の販売に注力いたしました。
販売面では、化学品関連の自動車整備工場向けケミカル製品及び機械工具商向けケミカル製品の販売は順調に推移いたしました。一方、船舶用燃料添加剤の販売並びに一般消費者向けケミカル製品の販売は減少いたしました。
損益面では、営業活動の増加等に伴い販売費及び一般管理費が増加した影響により利益が減少いたしました。
この結果、売上高は119億18百万円(対前期比0.3%増)、セグメント利益は9億98百万円(対前期比3.0%減)となりました。
<パーキング事業>
パーキング事業におきましては、安全・安心・清潔で利用しやすい駐車場をお客様にご提供するべく、「OnePark」のブランド名でコインパーキングや来客用駐車場を全国に展開しているほか、病院や官公庁及び商業施設に附帯する駐車場の運営管理も行っております。中長期的に安定した収益基盤を築くため、更なる駐車場数の拡大に努めた結果、2024年3月末現在駐車場管理件数は1,896件(対前期末比63件増)、管理台数は37,552台(対前期末比226台増)となりました。
販売面では、新規駐車場の開発が順調に進み、また、既存駐車場の継続的な収益改善活動の効果もあり、販売が増加いたしました。
損益面では、販売増加の影響により利益が増加いたしました。
この結果、売上高は74億97百万円(対前期比8.4%増)、セグメント利益は11億21百万円(対前期比17.5%増)となりました。
<機械工具販売事業>
機械工具販売事業におきましては、プロ向けや個人向けの各種工具類、自動車部品、産業・建設機械部品など幅広い商材を取り扱っており、自社でインターネット通販も展開しております。更なる事業規模の拡大並びに収益性の向上を実現させるため、取扱アイテムの拡充、自社オリジナル製品の開発・販売の強化、商品調達コスト及び物流コストの低減に努めました。
販売面では、建設機械部品並びに空調工具及び計測工具の販売は順調に推移いたしました。一方、産業機械部品等の販売は減少いたしました。
損益面では、上記要因における販売減少に加え、営業活動の増加等に伴い販売費及び一般管理費が増加した影響により利益が減少いたしました。
この結果、売上高は361億89百万円(対前期比0.7%減)、セグメント利益は3億84百万円(対前期比26.9%減)となりました。
<合成樹脂事業>
合成樹脂事業におきましては、遊技機部品の製造・販売を行う主力の遊技機部品事業を中心に、新規案件の受注拡大及び新商品の開発を図り、同時に品質改善にも努めてまいりました。また、マルイ工業株式会社の子会社化に伴い、新たに自動車用内外装部品の製造・販売事業にも参入しております。
販売面では、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売、科学計測器の販売並びに半導体実装装置メーカー等へのセラミックヒーターの販売が順調に推移いたしました。また、当連結会計年度に新たに連結子会社となったマルイ工業株式会社が販売増加に寄与いたしました。
損益面では、上記要因における販売増加の影響により利益が増加いたしました。また、当連結会計年度に新たに連結子会社となったマルイ工業株式会社が利益の増加に寄与いたしました。
この結果、売上高は173億30百万円(対前期比41.2%増)、セグメント利益は3億39百万円(前期は1億61百万円のセグメント利益)となりました。
<農業関連事業>
農業関連事業におきましては、自社農場での農作物生産について、栽培ノウハウの蓄積を進めるとともに、新しい販路の開拓及び6次産業化に向けた検討・研究等、収益化に向けた取り組みを行ってまいりました。また、日東エフシー株式会社の子会社化に伴い、新たに肥料の製造・販売事業にも参入しております。
販売面では、既存農場における農作物の販売数量が増加したことに加え、前期に新たに開設した「南国農場」が販売増加に寄与いたしました。また、当連結会計年度に新たに連結子会社となった日東エフシー株式会社が販売増加に寄与いたしました。
損益面では、既存農場における農作物の販売数量の増加等の影響により利益が増加いたしました。また、当連結会計年度に新たに連結子会社となった日東エフシー株式会社が利益の増加に寄与いたしました。
この結果、売上高は56億73百万円(前期は2億81百万円のセグメント売上高)、セグメント利益は1億67百万円(前期は1億38百万円のセグメント損失)となりました。
<その他>
その他事業のガラス加工事業におきましては、新規顧客の拡大や新たな市場開拓を図るとともに、品質向上に取り組んでまいりました。
販売面では、ガラス製品の販売が順調に推移いたしました。
損益面では、販売増加の影響により利益が増加いたしました。
この結果、売上高は20億75百万円(対前期比12.4%増)、セグメント利益は2億16百万円(前期は38百万円のセグメント利益)となりました。
各セグメントの売上高の推移は下記のとおりであります。
|
回次 |
第60期 (2022年3月期) |
第61期 (2023年3月期) |
第62期 (2024年3月期) |
|
|
自動車リース関連事業 |
(百万円) |
53,606 |
59,039 |
58,416 |
|
ケミカル事業 |
(百万円) |
10,992 |
11,264 |
11,287 |
|
パーキング事業 |
(百万円) |
5,571 |
6,917 |
7,497 |
|
機械工具販売事業 |
(百万円) |
35,126 |
36,202 |
35,980 |
|
合成樹脂事業 |
(百万円) |
14,194 |
12,269 |
17,323 |
|
農業関連事業 |
(百万円) |
214 |
281 |
5,672 |
|
報告セグメント計 |
(百万円) |
119,708 |
125,975 |
136,178 |
|
その他 |
(百万円) |
936 |
1,846 |
2,074 |
|
計 |
(百万円) |
120,644 |
127,822 |
138,253 |
(注)売上高については、セグメント間の内部売上高消去後の金額を記載しております。
当社グループの財政状態は下記のとおりであります。
<資産の状況>
当連結会計年度末における流動資産の残高は949億97百万円となり、前連結会計年度末残高765億67百万円と比べて184億30百万円増加いたしました。これは「現金及び預金」の減少17億80百万円、「受取手形及び売掛金」の増加56億76百万円、債権流動化等による「電子記録債権」の減少17億85百万円、ファイナンス・リース取引の契約増加による「リース投資資産」の増加45億23百万円、「商品及び製品」の増加69億16百万円、「仕掛品」の増加5億97百万円、「原材料及び貯蔵品」の増加39億64百万円、燃料販売仕入に係る前渡金の増加等による流動資産「その他」の増加1億57百万円が主な要因であります。
固定資産の残高は1,075億47百万円となり、前連結会計年度末残高952億79百万円と比べて122億68百万円増加いたしました。これはオペレーティング・リース取引の契約増加による「賃貸資産」の増加6億59百万円、マルイ工業株式会社並びに日東エフシー株式会社の子会社化等に伴う「建物及び構築物」の増加11億52百万円、「機械装置及び運搬具」の増加7億68百万円、「土地」の増加68億42百万円、償却による「のれん」の減少2億46百万円、「投資有価証券」の増加21億91百万円、「繰延税金資産」の増加2億5百万円、投資その他の資産「その他」の増加75百万円が主な要因であります。
繰延資産の残高は61百万円となり、前連結会計年度末残高42百万円と比べて19百万円増加いたしました。
以上の結果、資産合計は当連結会計年度末残高2,026億6百万円となり、前連結会計年度末残高1,718億88百万円と比べて307億17百万円増加いたしました。
<負債の状況>
当連結会計年度末における流動負債の残高は635億59百万円となり、前連結会計年度末残高573億47百万円と比べて62億11百万円増加いたしました。これは「支払手形及び買掛金」の増加30億59百万円、「コマーシャル・ペーパー」の減少15億円、「1年内返済予定の長期借入金」の増加9億65百万円、「未払金」の増加7億29百万円、「未払法人税等」の増加18億72百万円、「未払消費税等」の減少1億54百万円、「賞与引当金」の増加4億7百万円、流動負債「その他」の増加6億15百万円が主な要因であります。
固定負債の残高は780億38百万円となり、前連結会計年度末残高661億65百万円と比べて118億72百万円増加いたしました。これは「社債」の増加47億70百万円、「長期借入金」の増加68億12百万円、「退職給付に係る負債」の減少1億67百万円、固定負債「その他」の増加2億71百万円が主な要因であります。
以上の結果、負債合計は当連結会計年度末残高1,415億98百万円となり、前連結会計年度末残高1,235億13百万円と比べて180億84百万円増加いたしました。
<純資産の状況>
当連結会計年度末における純資産合計は610億7百万円となり、前連結会計年度末残高483億75百万円と比べて126億32百万円増加いたしました。これは「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上による「利益剰余金」の増加122億53百万円、配当金の支払による「利益剰余金」の減少13億22百万円、時価評価による「その他有価証券評価差額金」の増加7億45百万円、「非支配株主持分」の増加5億43百万円が主な要因であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より16億10百万円減少し、83億74百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、52億66百万円(前期は27億16百万円)となりました。これは主に、「税金等調整前当期純利益」が152億72百万円になったこと、オペレーティング・リース取引の契約増加により「賃貸資産の純増減額(△は増加)」が△158億92百万円になったこと、「減価償却費」が178億55百万円になったこと、「負ののれん発生益」が△63億54百万円になったこと、「その他の損益(△は益)」が5億44百万円になったこと、「売上債権の増減額(△は増加)」が13億50百万円になったこと、「仕入債務の増減額(△は減少)」が8億58百万円になったこと、ファイナンス・リース取引の契約増加により「リース投資資産の純増減額(△は増加)」が△52億77百万円になったこと、「法人税等の支払額」が△35億4百万円になったこと、「法人税等の還付額」が6億69百万円になったことによるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは、△165億41百万円(前期は△18億60百万円)となりました。これは主に、「有形及び無形固定資産の取得による支出」が△15億98百万円になったこと、「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」が△150億63百万円になったことによるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローは、96億36百万円(前期は△17億78百万円)となりました。これは主に、「借入れによる収入」531億円、「社債の発行による収入」99億58百万円が、「借入金の返済による支出」△452億22百万円、「コマーシャル・ペーパーの純増減額(△は減少)」△15億円、「社債の償還による支出」△52億60百万円及び「親会社による配当金の支払額」△13億22百万円を上回ったことによるものであります。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
|
回次 |
第60期 (2022年3月期) |
第61期 (2023年3月期) |
第62期 (2024年3月期) |
|
自己資本比率 |
25.9% |
28.1% |
29.8% |
|
時価ベースの自己資本比率 |
18.5% |
17.7% |
20.9% |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
19.1年 (4.7年) |
35.5年 (5.7年) |
20.4年 (5.1年) |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
150.2倍 (605.5倍) |
51.1倍 (316.1倍) |
93.5倍 (375.8倍) |
(注)各指標の計算式は、以下のとおりであります。
自己資本比率 … 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 … 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 … 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ … 営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象としております。
※営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
※キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローから賃貸資産の取得による支出等の影響額を除いて算出した数値を( )内に記載しております。
③生産、受注及び販売の実績
<全セグメントの状況>
a.生産実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動車リース関連事業 |
(百万円) |
- |
- |
- |
|
ケミカル事業 |
(百万円) |
5,443 |
4,989 |
91.7 |
|
パーキング事業 |
(百万円) |
- |
- |
- |
|
機械工具販売事業 |
(百万円) |
2,749 |
2,035 |
74.0 |
|
合成樹脂事業 |
(百万円) |
9,885 |
11,483 |
116.2 |
|
農業関連事業 |
(百万円) |
333 |
4,206 |
- |
|
報告セグメント計 |
(百万円) |
18,411 |
22,714 |
123.4 |
|
その他 |
(百万円) |
1,073 |
1,134 |
105.7 |
|
合計 |
(百万円) |
19,484 |
23,849 |
122.4 |
(注)1.金額は製品製造原価ベースで記載しております。
2.当連結会計年度において農業関連事業の生産実績が著しく増加しているのは、2023年11月に日東エフシー株式会社、その子会社8社及びその孫会社1社を子会社化したことによるものであります。
また、報告セグメントに「農業関連事業」を追加したことに伴い、従来「その他」に集計していた株式会社イチネン農園及び株式会社イチネン高知日高村農園の生産実績を「農業関連事業」の区分に変更しております。
なお、前連結会計年度の生産実績については、変更後の区分に基づき作成しております。
b.仕入実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動車リース関連事業 |
(百万円) |
19,099 |
17,198 |
90.0 |
|
ケミカル事業 |
(百万円) |
2,142 |
2,290 |
106.9 |
|
パーキング事業 |
(百万円) |
4,671 |
5,052 |
108.2 |
|
機械工具販売事業 |
(百万円) |
27,770 |
28,022 |
100.9 |
|
合成樹脂事業 |
(百万円) |
- |
- |
- |
|
農業関連事業 |
(百万円) |
10 |
1,678 |
- |
|
報告セグメント計 |
(百万円) |
53,694 |
54,241 |
101.0 |
|
その他 |
(百万円) |
192 |
176 |
91.7 |
|
合計 |
(百万円) |
53,886 |
54,417 |
101.0 |
(注)当連結会計年度において農業関連事業の仕入実績が著しく増加しているのは、2023年11月に日東エフシー株式会社、その子会社8社及びその孫会社1社を子会社化したことによるものであります。
また、報告セグメントに「農業関連事業」を追加したことに伴い、従来「その他」に集計していた株式会社イチネン農園及び株式会社イチネン高知日高村農園の仕入実績を「農業関連事業」の区分に変更しております。
なお、前連結会計年度の仕入実績については、変更後の区分に基づき作成しております。
c.販売実績
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動車リース関連事業 |
(百万円) |
59,039 |
58,416 |
98.9 |
|
ケミカル事業 |
(百万円) |
11,264 |
11,287 |
100.2 |
|
パーキング事業 |
(百万円) |
6,917 |
7,497 |
108.4 |
|
機械工具販売事業 |
(百万円) |
36,202 |
35,980 |
99.4 |
|
合成樹脂事業 |
(百万円) |
12,269 |
17,323 |
141.2 |
|
農業関連事業 |
(百万円) |
281 |
5,672 |
- |
|
報告セグメント計 |
(百万円) |
125,975 |
136,178 |
108.1 |
|
その他 |
(百万円) |
1,846 |
2,074 |
112.4 |
|
合計 |
(百万円) |
127,822 |
138,253 |
108.2 |
(注)1.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
2.金額については、セグメント間の内部売上高消去後の金額を記載しております。
3.当連結会計年度において合成樹脂事業の販売実績が著しく増加しているのは、2023年10月にマルイ工業株式会社、その子会社1社及びその孫会社1社を子会社化したことによるものであります。
4.当連結会計年度において農業関連事業の販売実績が著しく増加しているのは、2023年11月に日東エフシー株式会社、その子会社8社及びその孫会社1社を子会社化したことによるものであります。
また、報告セグメントに「農業関連事業」を追加したことに伴い、従来「その他」に集計していた株式会社イチネン農園及び株式会社イチネン高知日高村農園の販売実績を「農業関連事業」の区分に変更しております。
なお、前連結会計年度の販売実績については、変更後の区分に基づき作成しております。
<自動車リース関連事業セグメント(リース)の状況>
a.リース契約の実行高
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
輸送用機器 |
(百万円) |
35,779 |
43,690 |
122.1 |
|
その他 |
(百万円) |
2,301 |
1,636 |
71.1 |
|
合計 |
(百万円) |
38,081 |
45,327 |
119.0 |
(注)1.リース契約の実行高は、発生額より中途解約額を控除しております。
2.当連結会計年度において輸送用機器の契約実行高が増加しているのは、主に株式会社イチネンTDリースにおいて特殊車両の契約が増加したことによるものであります。
b.未経過リース料期末残高相当額の期日別内訳
[1]所有権移転外ファイナンス・リース取引
|
|
1年以内 (百万円) |
2年以内 (百万円) |
3年以内 (百万円) |
4年以内 (百万円) |
5年以内 (百万円) |
5年超 (百万円) |
合計 (百万円) |
|
前連結会計年度 (2023年3月31日現在) |
7,415 |
5,975 |
4,632 |
3,080 |
1,866 |
2,319 |
25,289 |
|
当連結会計年度 (2024年3月31日現在) |
8,200 |
6,886 |
5,366 |
3,900 |
2,450 |
4,006 |
30,810 |
(注)未経過リース料の期日別内訳については、リース投資資産に係るリース料債権部分の決算日後の回収予定額を表示しております。
[2]オペレーティング・リース取引
|
|
1年以内(百万円) |
1年超(百万円) |
合計(百万円) |
|
前連結会計年度 (2023年3月31日現在) |
15,819 |
26,501 |
42,321 |
|
当連結会計年度 (2024年3月31日現在) |
15,648 |
26,391 |
42,039 |
c.営業成績
|
|
売上高 (百万円) |
売上原価 (百万円) |
差引利益 (百万円) |
資金原価 (百万円) |
売上総利益 (百万円) |
営業資産 平均残高 (百万円) |
利益率 (%) |
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
43,214 |
35,149 |
8,064 |
328 |
7,736 |
83,136 |
9.3 |
|
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
44,561 |
36,580 |
7,981 |
394 |
7,586 |
87,459 |
8.7 |
<自動車リース関連事業セグメント(自動車メンテナンス受託)の状況>
a.メンテナンス契約の実行高
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
輸送用機器 |
(百万円) |
6,105 |
6,459 |
105.8 |
|
合計 |
(百万円) |
6,105 |
6,459 |
105.8 |
(注)メンテナンス契約の実行高は、発生額より中途解約を控除しております。
b.未経過メンテナンス契約債権の期日別内訳
|
|
1年以内 (百万円) |
2年以内 (百万円) |
3年以内 (百万円) |
4年以内 (百万円) |
5年以内 (百万円) |
5年超 (百万円) |
合計 (百万円) |
|
前連結会計年度 (2023年3月31日現在) |
4,259 |
1,944 |
1,145 |
703 |
300 |
83 |
8,437 |
|
当連結会計年度 (2024年3月31日現在) |
4,247 |
2,014 |
1,169 |
735 |
304 |
89 |
8,560 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針と見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、棚卸資産、有形・無形固定資産、投資有価証券、各引当金等の計上に関しては、一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠した当社グループ会計方針及び見積り基準に基づき計上しています。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②財政状態に関する分析
当連結会計年度の財政状態については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、パーキング事業及びその他事業のガラス加工事業が順調に推移したことに加え、マルイ工業株式会社及び日東エフシー株式会社のグループ加入に伴い合成樹脂事業及び農業関連事業の売上が大幅に増加したことにより、前連結会計年度に比べて104億31百万円(8.2%)増収の1,382億53百万円となりました。
(売上総利益)
売上高が順調に増加したことに加え、新たに連結子会社となったマルイ工業株式会社及び日東エフシー株式会社の売上原価が増加したため、当連結会計年度の売上原価は前連結会計年度に比べて84億76百万円(8.5%)増加し、1,084億78百万円となりました。これにより、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べて19億55百万円(7.0%)増加し、297億75百万円となりました。
(営業利益、経常利益)
売上高及び売上総利益は順調に増加しましたが、一方で物価やエネルギーコスト等の上昇を背景として、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて17億71百万円(9.3%)増加しました。これにより、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて1億83百万円(2.1%)増加し、90億45百万円となりました。経常利益は、受取補償金等の営業外収益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて3億58百万円(3.9%)増加し、94億60百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、マルイ工業株式会社及び日東エフシー株式会社のグループ加入に伴い「負ののれん発生益」を計上したことにより、前連結会計年度に比べて63億30百万円(106.9%)増加し、122億53百万円となりました。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、賃貸資産の購入費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上継続的に良質な資金を確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入及びコマーシャル・ペーパーを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入及び社債の発行を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、1,075億47百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は83億74百万円となっております。
⑦経営上の目標の達成・進捗状況
当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を確保するため、財務基盤の確立に重点を置いております。このため、経営指標といたしましては自己資本及び自己資本比率、営業利益を重要な指標として位置付けており、中期的に自己資本750億円超、自己資本比率35%超、営業利益150億円超の達成を目指して経営にあたっております。
なお、当連結会計年度における自己資本は603億77百万円(対前期比24.9%増)、自己資本比率は29.8%(対前期比1.7ポイント増)、営業利益は90億45百万円(対前期比2.1%増)となりました。
この目標の達成に向けて、今後も引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。
当社グループが締結している主な契約は次のとおりであります。
(1)営業関係
|
契約会社 |
相手先 |
契約種類 |
内容 |
契約期間 |
|
㈱イチネン |
メンテナンス委託整備工場 |
自動車メンテナンス委託契約 |
自動車リース及び自動車メンテナンス受託の車両の車検、法定点検、整備に関する委託契約 |
契約締結日から向こう1ヶ年間とし以降1ヶ年間毎の自動更新 |
|
㈱イチネン |
三菱商事エネルギー株式会社 |
販売代理店契約 |
石油製品及びその他商品の継続的売買に関する契約 |
契約締結日から向こう1ヶ年間とし以降1ヶ年間毎の自動更新 |
(2)株式譲渡に関する契約
①マルイ工業株式会社の株式譲渡契約
当社は、2023年9月28日開催の取締役会において、マルイ工業株式会社の株式を2023年10月16日付で取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
②日東エフシー株式会社の株式譲渡契約
当社は、2023年10月31日開催の取締役会において、日東エフシー株式会社の株式を2023年11月30日付で取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社グループにおける研究開発活動は、ケミカル事業においては、連結子会社の株式会社イチネンケミカルズの研究開発センターが主体となって、新商品開発を行っております。2024年3月末時点で研究開発センターは58名、新規事業開発部開発チームは3名、総勢61名のスタッフで構成されております。開発部門については、工業用薬品(燃料添加剤関連研究開発)部門、生産工場用ケミカル関連開発部門、一般消費者向け商品開発部門、表面処理関連開発部門、新規開発ケミカル製品関連部門、分析・試験関連部門の6部門でケミカル品の開発、改良、分析に注力しております。また、当連結会計年度も前連結会計年度と同様に、各部門を跨いだ若手を中心とするプロジェクトを立ち上げ、更なる製品開発のスピードアップ、他部門との連携体制の強化の他に、各営業部門内での部会、分科会を一層充実させ研究開発センターとの連携体制の強化に注力いたしました。さらに、業務課の職務を拡大させ、研究活動の推進や支援を一層充実させました。
合成樹脂事業においては、連結子会社の株式会社イチネン製作所の第一事業部が遊技機部品の新規提案及び新製品開発を、第二事業部がガス検知器・セラミックヒーターの新製品開発を行っております。2024年3月末時点で第一事業部は7名、第二事業部は6名、総勢13名のスタッフで構成されております。
農業関連事業においては、連結子会社の日東エフシー株式会社の技術部門研究開発部が主体となって新製品開発を行っております。2024年3月末時点で技術部門研究開発部は5名のスタッフで構成されております。
当社グループを取り巻く諸情勢は年々変化が激しく、社会情勢の変化に対応できる組織が求められている状況です。顧客ニーズに沿った短中期的開発テーマに重点を置きながら、将来を見据えた技術開発が急務と判断しており、中長期的視野での技術開発も検討すべきと考えております。将来の方向性を示すことが研究開発部門の課題であり、時代の要望に沿った研究開発活動を目指しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
(1)ケミカル事業
①工業用薬品(燃料添加剤関連研究開発)部門
<燃料添加剤>
バイオマス火力に注力し複数の新規ケミカル製品にて成果を収めております。顧客のトラブル状況に合わせた薬品の提案により実績を上げながら、添加剤による効果をより詳細に解析し、さらに効果的な添加剤の開発に注力しております。前連結会計年度に市場投入いたしました新燃料添加剤は売上に貢献しております。また、焼却炉向けの新燃料添加剤も市場投入を開始しており、売上の拡大を期待しております。
②生産工場用ケミカル関連開発部門
<メンテナンス用ケミカル品>
前連結会計年度に市場投入いたしました植物由来原料を配合したパーツクリーナーは、市場でのサンプル評価試験を継続しており、今後売上の拡大を期待しております。また、当連結会計年度もGreenJIP部会を通じて環境配慮型製品の開発に注力しております。新たに2製品の開発とバイオマスマークの取得も終えており、翌連結会計年度に市場投入し売上への貢献を期待しております。
<溶接ケミカル製品>
新型電解研磨機(600W、1,000W、1,500Wタイプ)及び高性能ケミカル製品は、当連結会計年度も売上に貢献しており、昨今の半導体業界の市場動向により更なる売上の拡大を期待しております。また、当連結会計年度は半導体業界向けの営業及び開発専門チームの活動を通じて、高性能ケミカル製品の開発に着手しております。翌連結会計年度には市場投入し売上への貢献を期待しております。
<自動車修理工場関係>
修理工場向けの塩害ガードシリーズは、当連結会計年度も環境配慮型製品(有機則、特化則、PRTR非該当)の開発に注力しており、市場投入も終え、売上に貢献しております。また、環境配慮型の水性タイプの高性能品の開発にも着手しており、翌連結会計年度には市場投入し売上への貢献を期待しております。
③一般消費者向け商品開発部門
<コンシューマー向け自動車用ケミカル>
当連結会計年度に市場投入いたしましたクリンビューの曇り止め効果を向上させた新製品は、売上に貢献しております。また、ガラスコート製品の完全リニューアルに伴い、環境も配慮した新製品の開発は終えており、翌連結会計年度に市場投入し売上への貢献を期待しております。また、新製品には紙製パッケージを採用し、プラスチック使用量の削減への取り組みも継続しております。
④新規開発ケミカル製品関連部門
<新規ケミカル開発部>
粘土膜を使った無機耐熱コーティングの開発については、当連結会計年度も電子材料分野での実用化を目指し性能評価を継続しております。また、用途開発に関しては保護コーティングも含め、それ以外の分野でのサンプル評価を継続しており、翌連結会計年度には他分野への応用に期待しております。プラスチック材料への環境型添加剤に関しましては、当連結会計年度も展示会出展等のPR活動を継続し、売上に貢献しております。再生プラスチックへの応用に関しては、当連結会計年度は環境配慮型のレジン開発を終え(バイオマスマーク取得予定)、汎用樹脂のPPにおいても同様に成功しており、市場投入は終えております。また、植物由来材料や廃食油を使用した植物性のプロセスオイル及び可塑剤の開発にも着手しております。
なお、当連結会計年度に支出したケミカル事業に係る研究開発費は
(2)合成樹脂事業
遊技機部品
得意先である遊技機メーカーの要望に応えるべく、新規機構、盤面及び役物のデザイン等の各種提案及び製品
開発を行っております。
ガス検知器・セラミックヒーター
ガス検知器については「安全・安心」をご提供すべく、また、得意先の要望に応えるべく、汎用製品から特定顧客向けのカスタム対応製品まで多種多様なタイプの製品開発を行っており、IoT活用や次世代通信網を利用した「システム系ガス検知器」開発も進めてまいりました。
セラミックヒーターについては、半導体実装装置に使用される工業用部材として、標準品及び得意先の要望に応えたカスタム対応製品の開発を行っており、臨機応変なカスタム対応を可能としている点が他社にない特色となっております。
なお、当連結会計年度に支出した合成樹脂事業に係る研究開発費は
(3)農業関連事業
「地球にやさしく生命を支える」という経営理念に基づき、農産物の生産コスト低減のための肥料生産技術の
革新、肥料や資材の開発を通じて栽培技術の発展に貢献できることを目指し次のテーマに取り組んでおります。
(1)多様なニーズに対応する肥料の開発
(2)環境調和型機能を持った肥料の用途及び施肥技術の開発
(3)農産物生産システムの進化に対応した肥料の開発
(4)化学肥料の生産コスト低減のための生産技術の開発
(5)みどりの食料システム戦略に対応する未利用資源の活用
この結果、省力・省コスト栽培が求められる中、技術普及部と協力し作物及びその地域に合った肥料の研究を
行い、硝酸化抑制材と肥効速度の異なる窒素原料との組み合わせまたは亜リン酸等の機能性のある原料との組み
合わせによる肥効調整型の肥料の開発を行い、全国各地で圃場試験を実施し順次販売を開始しております。
その他、被覆尿素のマイクロプラスチック問題に対応する目的で化成タイプの一発栽培肥料の開発、また回収
りん等の未利用資源を活用した肥料の開発、また天候不順時や乾燥・高温時の健全な生育維持・品質向上のため
の総合的な対策として微量要素に特化した液体肥料の開発を行い、全国各地で圃場試験を実施し順次販売を開始
しております。
なお、当連結会計年度に支出した農業関連事業に係る研究開発費は