第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、事業の創出・育成を目的とした“The Business Producing Company”です。「社会を変える 事業を創る。」ことをミッションに、「挑戦者が一番会いたい人になる。」ことが当社のビジョンです。新しい事業を創るためには、「構想し、戦略を立て、仲間を集め、挑戦する」ことが必要であり、そのプロセス全体において常に「枠を超える。」ことが、最も大切なバリューだと考えております。

 ミッションの実現と企業価値向上の両立のために、今後は、当社のコア・ケイパビリティであるビジネスプロデュース事業に経営資源を集中していく方針です。国内・海外の大企業、ベンチャー、政府、投資家等、様々なプレイヤーとの連携、インキュベーション事業で培った知見・スキルの活用等により、ビジネスプロデュース事業を継続成長基盤としてより一層の事業拡大を目指してまいります。

 

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(2)経営戦略等

 当社は現在、「ビジネスプロデュース事業の拡張による継続成長基盤化」「インキュベーション事業の適切な収穫」「企業価値向上への成長投資と株主還元のバランス」の3つを重点テーマに掲げた中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)に基づき、構造改革と安定成長基盤づくりに取り組んでおります。その取り組み状況は以下のとおりです。

 ①ビジネスプロデュース事業の拡張による継続成長基盤化

  ビジネスプロデュース事業に経営資源を集中し、サービスライン・陣容・協業・機能の4つの拡張を進めております。

 a.サービスライン拡張:

  これまでフォーカスしていた事業創造戦略策定のフェーズから、その戦略を実装するフェーズの支援や、付随する多様な顧客ニーズを支援するための機能(ビジネスプロデュース・インストレーション等)をサービスラインとして拡張しております。前連結会計年度に新たに立ち上げた「Technology & Amplify」(T&A)はこれまでのビジネスプロデュースに「デジタル」「テクノロジー」という切り口を加え、事業創造支援により実装面の価値を付加することを企図しております。すでに成長軌道に乗り始め、全社の顧客基盤の拡大にも大きく貢献しております。

 

 b.陣容拡張:

  ビジネスプロデューサーの採用・育成を強化し、2023年3月末時点で87名だったビジネスプロデューサーは、当連結会計年度末時点で155名に拡大しました。2025年3月末には196名まで人員を拡大する予定です。

 

 c.協業拡張:

  株式会社電通グループと資本業務提携を行い、相互の強みや提供価値を組み合わせることで、戦略策定から実行支援まで、一気通貫でのソリューションを提供してまいります。また、新たに株式会社山口フィナンシャルグループと資本業務提携を行い、地方創生や新しい地銀モデルの構築などを通じた地域の成長を加速させるビジネスモデルの構築も目指します。

 

 d.機能拡張:

  アイペットホールディングス株式会社売却により収穫した資金をビジネスプロデュース事業関連・周辺事業への投資に活用するとともに、ベンチャー投資事業で培ってきた投資ストラクチャリングの知見やPMIで培った事業経営スキル等をビジネスプロデュース事業の拡大に活用してまいります。加えて、従来の「顧客の事業創造の伴走支援」に留まらず、創造した事業の実現確度を向上すべく、成果報酬型や事業参画型など、顧客やパートナーとより一緒になって事業創造に取り組むラインナップの追加も進めております。従来のフィーモデルだけでなく、成功報酬や事業成果からのレベニューシェア等、多様な収益モデルも実装することで収益力を強化し、更なる成長に繋げてまいります。

 

 ②インキュベーション事業の適切な収穫

  期間損益が重視される株式市場において、ボラティリティが高く、株式市場から評価されにくかったインキュベーション事業については、適切な収穫を進めていく方針です。この方針に基づき前連結会計年度までにアイペットホールディングス株式会社などを売却しましたが、当連結会計年度においてもさらに6社を売却しました。また、上述のとおり、これまで培ってきた投資育成のケイパビリティは、ビジネスプロデュース事業の機能拡張とそれに伴う収益力の強化に活用してまいります。

 

 ③企業価値向上への成長投資と株主還元のバランス

 継続的な成長を目指すビジネスプロデュース事業の利益と、インキュベーション事業の収穫により得た原資の使途については、強化したガバナンス体制にて、成長投資と株主還元の最適バランスの観点から、これまで以上に規律(中長期的な企業価値向上)をもって判断してまいります。アイペットホールディングス株式会社を売却して得た税引き後キャッシュイン約150億円については、成長投資に50億円、株主還元に100億円配分することとしております。成長投資の使途としては、ビジネスプロデュース事業基盤のさらなる強化のための人材投資、インフラ投資、及び一定の社内ハードルレートを前提としたビジネスプロデュース事業関連・周辺事業への投資等を想定しております。株主還元としては、特別配当として前連結会計年度末に20億円と当連結会計年度末に12億円を実施し、自己株式取得として当連結会計年度中に28億円をすでに実施しております。また、翌連結会計年度中に10億円の中間配当(特別配当)を行う予定であり、今後も引き続き株主還元を着実に実行してまいります。

 

 なお、翌連結会計年度のビジネスプロデュース事業は売上高73億円、純利益5億円を計画し、中期経営計画に掲げた目標に比べて、売上高は上方修正、純利益は下方修正しております。これは、中長期成長を見据えて更なる規模拡大を追求するものの、売上の立ち上がりに一定の時間差があり、コスト先行傾向が多少残ることが理由であります。

 

(3)経営環境

ビジネスプロデュース事業:

 ビジネスプロデュース事業においては、旺盛な事業創造へのニーズを背景に顧客層が順調に拡大しております。加えて、新プラクティスであるTechnology & Amplifyも成長軌道に乗り、今後益々の売上拡大を計画しております。また、2024年4月には株式会社山口フィナンシャルグループとの資本業務提携による協業を開始するなど、ビジネスモデル強化に向けた取り組みも継続しております。拡大する市場ニーズを最大限取り込み、事業の成長を加速させてまいります。

 

インキュベーション事業:

 ベンチャー投資セグメントにおいては、新規投資を抑制し、既存のポートフォリオの回収を進める方針であります。ポートフォリオの回収は株式市況やIPO動向に伴い振幅することから、見通しを立てにくい状況が続くものと考えております。

 

(4)優先的に対処すべき課題

 ①最大の差別性であるビジネスプロデュース事業への投資

  ビジネスプロデュース事業へ経営資源を集中し、継続成長基盤化を進めてまいります。

 

 ②ビジネスプロデュース事業の差別性をレバレッジ/スケール化する仕組み

  ソーシャルインパクトボンド(SIB)ファンドの立ち上げ等、金融機関・政府系機関との協業を推進しております。

 

 ③インキュベーション事業の業績ボラティリティ低下

  ボラティリティ抑制とビジネスプロデュース事業への経営資源集中のため、自己資金投入を抑制し、既存のポートフォリオにつきましては適切な収穫を進めております。

 

 ④計画の遂行を実効性をもって後押しするガバナンス体制の構築

  2021年6月より取締役会構成を見直し、現在は社外取締役を半数以上とする取締役会構成となっております。また、ガバナンスを向上させるために、取締役会のモニタリング機能を引き続き強化してまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、期間業績を表す指標であるセグメント別の売上高、セグメント利益及び、その総和である連結売上高、連結営業利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益を重視しております。また、今後の成長の柱であるビジネスプロデュース事業においては、当該事業の売上高・親会社株主に帰属する当期純利益・人員数・EPSの数値目標を開示しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、当社のミッションである「社会を変える 事業を創る。」、ビジョンである「挑戦者が一番会いたい人になる。」、そして社是を基本的な考え方として、以下のサステナビリティ基本方針を定めております。

 

1.サステナブルな環境創造を、ビジネスの力で実現する。

・顧客の事業を支援し、自らも取り組む。

2.そのための挑戦者を応援する。

・挑戦者を応援しつつ、自らも挑戦者であり続ける。

3.プロとしての付加価値を提供する。

・プロフェッショナルな個人としての矜持と規律。

・上場会社としてのガバナンスと成長・分配。

 

 「サステナビリティ方針」の実現のために、ESGの各観点において、顧客・社会、そして自社に対するコミットメントを明確化したフレームワークを設定しております。

 

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(1)ガバナンス

 当社は、取締役副社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。本委員会には、ビジネスプロデュースを推進する各本部長、コーポレート部門の執行役員が出席し、サステナビリティに関する方針の策定、重点施策の検討、モニタリング等を行います。また、同委員会の下には、ESGの各テーマ単位での分科会を設置し、サステナビリティ方針・フレームワークの下での、具体的な業務を推進致します。

 サステナビリティに関する取り組み状況は、定期的に取締役会及び経営会議に報告の上、協議致します。

 

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(2)リスク管理

 当社は、サステナビリティに関連するリスクに迅速かつ的確に対処するため、サステナビリティ委員会において、リスクの評価、管理、対策立案を行います。また、サステナビリティ委員会の内容については、取締役会および経営会議とも情報共有を行い、全社としての的確な対応を行います。

 当社は、事業の特性として、気候変動による直接的な影響は限定的である一方、人的資本が経営上の最も重要な資本です。社員が高い志を持ち、常に挑戦者であり続けられる最高の環境を提供することで、社員がプロとして、顧客に対して高い付加価値を提供することを追求し続けます。このような人材の在り方に対してリスクとなるような事象が発生した場合には、速やかに対応を致します。

 

 

(3)人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

 「社会を変える 事業を創る。」をミッションに、社会変革に向けた新たな事業創造に取り組む当社において、その担い手である「人材」こそが最大のアセットです。

 

多様な人材が集い、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる組織・環境づくりを推進することで、個人と企業が共に成長し、持続的な企業価値向上を目指します。

 

人材育成方針

当社ミッション・ビジョン・バリューを体現できるプロフェッショナル人材の育成に取り組んでいます。

 

高い志を持ち、自己変革に挑戦する社員を尊重し、顧客に対し高い付加価値を提供しつつ、自らも常に挑戦し続けられるように、OJT・OFF-JT・研修を組み合わせ、個々の適性やキャリア志向をふまえた成長機会を提供します。

性別や年齢、国籍等にかかわらず多様な人材が活躍し、相互尊敬をもって共創する組織において、“挑戦者が一番会いたい”と思える「真のビジネスプロデューサー」へと育成します。

社内環境整備方針

当社が持続的な成長を図るために、人材育成とDiversity, Equity & Inclusionを重要な経営施策の一つとして位置づけています。

 

多様なバックグラウンドや価値観を持つ優秀な人材に幅広く活躍の機会を提供するとともに、連携・共創により生み出される価値を最大化するための文化醸成、育成体制整備やプログラム開発、評価制度の見直し、個人の価値観やライフプランに応じた働き方の多様化等を推進し、プロフェッショナルにとって働きがいのある環境づくりに積極的に取り組んでいます。

 

(4)測定可能な指標および目標

当社が持続的成長を図るためには、人材の多様性の確保は最重要課題と認識しており、多様なバックグラウンドや価値観を持つ優秀な人材を、性別・国籍等の属性に依ることなく積極的に採用しています。

全社員に平等な機会を設けるものとし、女性・外国人・中途採用者等を問わず、能力や・経験等を総合的に判断して管理職への登用を行っております。

全ての人材が互いの多様性を尊重し、連携により生み出される価値を最大化するための環境の整備や、育成体制・プログラムの見直し、個人の価値観やライフプランに応じた働き方・キャリアの多様化を検討、推進しています。

 

現時点の多様性確保の状況及び目標は以下の通りです。

主要項目

指標

実績

(2024年3月期)

目標

2028年3月期)

DE&Iの推進

女性比率

23.5%

27.0%

女性管理職比率

12.3%

20.0%

中途採用比率

89.5%

80%以上

中途採用管理職比率

90.1%

80%以上

外国籍比率*1

2.0%

2.0%

エンゲージメント

ワークエンゲージメント*2

A

A以上

環境

(働き方・健康・安全)

女性の育児休業取得率

100%

100%

女性の育児休業復帰率

100%

100%

男性の育児休業取得率

83.3%

80.0%

労働災害

0

0件継続

*1当社単体(東京本社)における外国人比率は現状2.0%ですが、グローバルSXチームに属し、本社メンバーと共にグローバルプロジェクトに携わっている外国人スタッフは、ベトナム拠点に18名、インド拠点に4名います。

*2 アドバンテッジリスクマネジメント タフネスサーベイ S 大変良好 A良好 B標準的 C要改善 D至急改善

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社及び当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)景気変動リスク

 ビジネスプロデュース事業では通常、クライアント企業よりプロジェクトを受注し、サービスフィーを受領することで収益を認識します。当社の主要クライアントは、グローバルに展開する各業界のリーディングカンパニーのため、国内のみならず、世界の先進国、新興国の景気変動がクライアント企業の経営状態に与える影響を通じて、当社が支援するプロジェクトの内容や受注頻度に影響を与えます。クライアント企業との関係を深化し、受注プロジェクトの長期化を図ること、サービスメニューを拡充し、クライアント企業の複線化を図ること等の対応によりリスク低減に努めております。

 

(2)人材の確保に関するリスク

 ビジネスプロデュース事業は、今後のサービスライン及び陣容拡張のため、各分野での豊富な経験や高度な知識・専門性を持つ優秀な人材の採用・確保及び育成が重要であると考えております。しかしながら、コンサルティング業界における人材の争奪により、人材の採用・確保及び育成が計画通りに進まない場合や、転職等により人材が流出することで十分な人材を確保できなかった場合には、ビジネスプロデュース事業拡張の制約となる可能性があります。

 

(3)市場リスク

 インキュベーション事業は、株式の引受を伴うため、株式市場の市況変動や、それに伴う未上場株式相場の変動が、当社の株式取得や売却における価格に対して影響を与えます。また、外貨建てで行う海外投資については、保有資産の価値に対して為替変動の影響を受けます。

 

(4)カントリーリスク

 海外企業と取引や出資を行う場合、当該会社が所在している国の政治・経済情勢の変化によって、事業遂行や資金回収が困難となるリスクを有します。当社グループでは現在、インキュベーション事業においてインド企業への投資が大きな比率を占めております。

 

(5)訴訟リスク

 当社グループが損害賠償の請求や訴訟を提起された場合、当社グループの財政に直接的な影響や、風評を通じた間接的な影響を受ける可能性があります。

 

(6)情報管理リスク

 ビジネスプロデュースにおいては、クライアント企業の機密情報を取得することが前提となりますので、秘密保持契約等によってクライアントやその可能性のある企業に対して守秘義務を負っております。

 厳重な情報管理の徹底及び従業員への守秘義務の徹底をしておりますが、何らかの理由でこれらの機密情報が外部に漏洩した場合、当社グループの信用失墜等によって、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)コンプライアンスリスク

 当社は、国内外にグループ会社を展開しておりますので、当社の従業員のみならず、グループ会社の従業員に対しても、コンプライアンス意識の徹底を行っております。

 しかしながら、万が一当社グループ役職員がコンプライアンス違反をした場合には、当社グループの信用失墜等によって、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

 当社グループの当連結会計年度における財政状態は、資産残高は17,454百万円(前連結会計年度末は31,310百万円)となり、前連結会計年度末と比較して13,855百万円減少しております。負債残高は2,271百万円(前連結会計年度末は9,393百万円)となり、前連結会計年度末と比較して7,121百万円減少しております。純資産残高は15,182百万円(前連結会計年度末は21,917百万円)となり、前連結会計年度末と比較して6,734百万円減少しております。

 

b.経営成績

 当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高は5,378百万円と前年同期に比べ24,754百万円(△82.2%)の減収、経常損失は1,992百万円と前年同期に比べ3,219百万円(前年同期は経常利益1,227百万円)の減益、親会社株主に帰属する当期純損失は1,847百万円と前年同期に比べ13,401百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益11,553百万円)の減益となっております。

 

 当連結会計年度における報告セグメントごとの業績は、以下のとおりです。

 

(ビジネスプロデュースセグメント)

 ビジネスプロデュースセグメントでは、主に大企業向けの事業創造支援や成長戦略立案支援に関する戦略コンサルティング、M&Aファイナンシャル・アドバイザリーの提供、及び社会課題を解決するための新たな官民連携の仕組みであるソーシャルインパクトボンド(SIB)を活用したファンド運営をしております。また、クライアントへの提供価値の更なる向上を目指して、新プラクティスであるTechnology & Amplifyを本格始動しております。

 クライアントの事業創造ニーズの高まりに加え、積極的なマーケティング活動に取り組んだ結果、新規プロジェクトの受注高は引き続き伸長しております。一方で、新プラクティスの立ち上げなどの業容拡大に対応するため採用を積極化したことにより人件費等も増加しております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,034百万円(前年同期は3,838百万円)で、セグメント利益(営業利益)は955百万円(前年同期は1,314百万円)となっております。

(ベンチャー投資セグメント)

 ベンチャー投資セグメントにおいては、スタートアップ企業等への投資育成を行っております。

 当連結会計年度においては、中期経営計画に基づいた適切なトレードセールによるキャピタルゲインを実現した一方で投資先18社の価値下落に伴い減損1,792百万円を計上しております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は344百万円(前年同期は1,915百万円)、セグメント損失(営業損失)は1,929百万円(前年同期はセグメント利益(営業利益)375百万円)となっております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、期首と比較して4,017百万円減少し、6,245百万円となっております。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、7,458百万円の支出(前連結会計年度は3,669百万円の収入)となっております。これは主に、法人税等の支払によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、8,161百万円の収入(前連結会計年度は5,150百万円の支出)となっております。これは主に、有価証券(合同運用指定金銭信託)の償還によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、4,751百万円の支出(前連結会計年度は1,388百万円の支出)となっております。これは主に、配当金の支払及び自己株式の取得によるものであります。

 

 

 なお、当社(当社グループ)のキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率

40.2%

31.3%

29.1%

68.5%

86.0%

時価ベースの自己資本比率

38.3%

41.1%

78.4%

92.1%

160.8%

キャッシュ・フロー
対有利子負債比率

-%

-%

40.7%

1.4%

-%

インタレスト・カバレッジ・レシオ

-倍

-倍

585.3倍

484.6倍

-倍

(注)1 各指標は以下の方法により算定しております。

・自己資本比率           :自己資本/総資産

・時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額/総資産

 (株式時価総額は、期末株価終値に期末発行済株式数を乗じて算定しております)

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い

2 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

3 2020年3月期、2021年3月期及び2024年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社及び当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は次のとおりです。

区分

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

ビジネスプロデュース

5,132

43.5

合計

5,132

43.5

(注)1 ベンチャー投資には受注という概念がないため、ベンチャー投資セグメントの受注実績は記載しておりません。

2 前連結会計年度にアイペットホールディングス株式会社株式を売却したことに伴いペットライフスタイルセグメントを廃止したため、当該セグメントについては記載に含めておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。

区分

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

ビジネスプロデュース

5,034

31.1

ベンチャー投資

344

△82.0

セグメント間の内部売上高又は振替高

合計

5,378

△6.5

(注) 前連結会計年度にアイペットホールディングス株式会社株式を売却したことに伴いペットライフスタイルセグメントを廃止したため、当該セグメントについては記載に含めておりません。

 

d.投資実績

証券種類

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

投資実行高

期末投資残高

投資実行高

期末投資残高

金額

(百万円)

会社数

(社)

金額

(百万円)

会社数

(社)

金額

(百万円)

会社数

(社)

金額

(百万円)

会社数

(社)

株式・出資金等

274

8

4,960

53

115

5

3,027

50

新株予約権等

4

3

合計

274

8

4,960

55

115

5

3,027

52

(注)1 新株予約権等は、当社コンサルティングサービスの対価として発行会社から無償で取得している場合がありますが、上表においては、その際の金額をゼロとし会社数のみを記載しております。

2 株式、新株予約権等を重複して投資を行っている会社があります。

3 市場価格のない株式等以外のものについては、取得原価を記載しております。

4 上表には余剰資金の運用目的の有価証券及び投資有価証券は含まれておりません。

5 期末において保有している新株予約権等を全て行使した場合の株式取得価額の総額は、以下の通りであります。

前連結会計年度

当連結会計年度

98百万円

95百万円

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社及び当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産残高は17,454百万円(前連結会計年度末は31,310百万円)となり、前連結会計年度末と比較して13,855百万円減少しております。主に、配当金の支出や税金の支払いにより現金及び預金や有価証券(合同運用指定金銭信託)が減少したことによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債残高は2,271百万円(前連結会計年度末は9,393百万円)となり、前連結会計年度末と比較して7,121百万円減少しております。主に、税金の支払いにより未払法人税等が減少したことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産残高は15,182百万円(前連結会計年度末は21,917百万円)となり、前連結会計年度末と比較して6,734百万円減少しております。主に、配当金の支出による利益剰余金の減少や自己株式の増加によるものであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高、売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上高は5,378百万円(前連結会計年度は30,132百万円)となり、前連結会計年度と比較して24,754百万円減収となっております。また、売上原価は4,925百万円(前連結会計年度は16,746百万円)となり、前連結会計年度と比較して比べて11,820百万円減少しております。主な要因は、前連結会計年度中にアイペット損害保険株式会社等が当社の連結子会社から外れたことに伴い売上高及び売上原価が減少したことであります。

 この結果、売上総利益は452百万円(前連結会計年度は13,386百万円)となり、前連結会計年度と比較して12,934百万円減益となっております。

 

 

(販売費及び一般管理費、営業損失)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,418百万円(前連結会計年度は12,196百万円)となり、前連結会計年度と比較して9,778百万円減少しております。主な減少要因は、前連結会計年度中にアイペット損害保険株式会社等が当社の連結子会社から外れたことに伴い、人件費や販売手数料等が減少したことなどであります。

 この結果、営業損失は1,966百万円(前連結会計年度は営業利益1,190百万円)となり、前連結会計年度と比較して3,156百万円減益となっております。

 

(経常損失)

 当連結会計年度の営業外収益は27百万円(前連結会計年度は74百万円)となり、前連結会計年度と比較して46百万円減少しております。

 また、営業外費用は53百万円(前連結会計年度は37百万円)となり、前連結会計年度と比較して16百万円増加しております。

 この結果、経常損失は1,992百万円(前連結会計年度は経常利益1,227百万円)となり、前連結会計年度と比較して3,219百万円減益となっております。

 

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 特別利益及び特別損失は、当連結会計年度は計上がなく、前連結会計年度と比較して、それぞれ18,948百万円、2,529百万円減少しております。

 当連結会計年度の法人税等合計は232百万円(前連結会計年度は5,918百万円)となり、前連結会計年度に比べて5,686百万円減少しております。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,847百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益11,553百万円)となり、前連結会計年度に比べて13,401百万円減益となっております。

 

 なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

 当連結会計年度においては、法人税等の支払5,909百万円、自己株式の取得による支出2,790百万円、及び配当金の支払1,996百万円等により現金及び預金が大きく減少しております。この結果、当連結会計年度における現金及び預金残高は6,428百万円(前連結会計年度は10,397百万円)となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、セグメント別の売上高、セグメント利益及びその総和である連結売上高、連結営業利益を重視する経営指標としております。なお、セグメント別の売上高、セグメント利益については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に、連結売上高及び連結営業利益は「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績の分析」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2024年3月26日開催の取締役会において、株式会社山口フィナンシャルグループ(以下、山口フィナンシャルグループ)と、資本業務提携契約を締結することを決議し、同日付で資本提携業務契約を締結しております。なお、山口フィナンシャルグループは、2024年4月に当社株式を取得しております。

 

(1)資本業務提携の目的及び理由

 当社と山口フィナンシャルグループは、2021年10月18日に公表したソーシャル・インパクト・ボンド(以下、SIB)に関する連携協定を締結以後、地域の社課題解決や地域価値向上を通じた地方創生を目指してまいりました。その活動を通じて、更なる地域課題の解決の取り組みの必要性を認識し、両社のケイパビリティを活かした地域創生の取り組み実施に向けた可能性を検討いたしました。

 その結果、SIBに関わる連携に加え、資本業務提携を通じて、両社の経験、人材、顧客基盤などを相互に有効活用することは地域の社会課題の解決や地域価値向上に資する仕組みづくりにつながるという考えに至り、この度の資本業務提携に至っております。

 

(2)資本業務提携の内容

①提携の内容

以下の項目について業務提携を推進することで合意しております。

・「ビジネスプロデュース×金融×地域」による“新たな地銀ビジネス”の確立

・地域活性化に資する事業の創造

・人財交流など、その他両社の発展に関する分野での連携推進

②山口フィナンシャルグループに新たに取得された株式の数

 2,100,000株

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。