文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断した
ものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「限りない創造 社会への奉仕」という「社是」のもとに、それを具体化した次の「経営理念」を
掲げており、その実現に向けた企業活動に努めるとともに、社会・株主・顧客・仕入先・従業員等のあらゆる
ステークホルダーに信頼される企業として、発展成長していくことを目指しています。
①私たちは、良き企業市民として、各国・地域に根ざした事業活動および社会貢献活動により、経済・社会の
発展に貢献します。[社会への貢献]
②私たちは、法令の遵守や企業倫理の徹底に向けた体制を構築し、誠実な事業活動を行います。
[適正な事業活動]
③私たちは、仕入先様とのオープンで対等な関係を基本に、互いに企業体質の強化・経営の革新に努め、
グループの総合力を高めます。[持続的な成長]
④私たちは、変化を先取りした研究開発とものづくり技術により、お客様に満足いただける品質・価格で、
タイムリーに商品・サービスを提供します。[お客様の満足]
⑤私たちは、環境に配慮した製品の提供と工程づくりに努め、あらゆる企業活動を通じ、社会と連携して環境・資源を保全し、豊かな地球を未来に残すことに貢献します。[地球環境・資源の保全]
⑥私たちは、労使相互信頼・責任を基本に、一人ひとりの個性を尊重するとともに、チームワークによる
総合力を高め、活力と働きがいのある企業風土を実現します。[人間性の尊重]
(2)今後の経営環境および対処すべき課題
世界情勢や自動車業界は大きな転換期を迎えており、当社に影響を及ぼす社会課題やリスクも急速に変化して
います。その課題にいち早く取り組み持続的な事業成長を実現するために「2030事業計画」を策定しました。
セーフティシステムを軸とした「安心・安全」の分野では、芦森工業株式会社との協業を皮切りにシートベルトと
エアバッグの乗員保護システムをトータルで提案するとともに、インド地域をはじめとしてさらなる拡販を行い、
エアバッグの生産個数は2030年までに2022年度比で1.5倍の増加を目指します。内外装部品を土台とした「快適」
の分野では、より快適な車内空間づくりを目指すとともに、BEV化の進展によりカーメーカーのモノづくりも
大きく変化する中で、樹脂化による軽量化や一体化などを実現する新商品を提供し、BEV関連売上比率を40%まで
引き上げていきます。「脱炭素」の分野では、高分子材料の知見を活かし、高機能材料の開発と材料リサイクルの
事業化を推進していきます。このような成長性や収益性の高い分野へリソーセスシフトを行い、事業ポートフォリオ
の最適化に取り組みます。
カーボンニュートラルへの取り組みやBEV化への対応、さらに従来水準とは異なる賃金上昇等は、グループ一丸と
なって対処すべき喫緊の課題です。その課題解決に向けて、権限委譲による意思決定のスピードアップを狙いと
した「CxO制度」を導入しました。また、地域間の連携を強化する「センターオブエクセレンス」の考えを導入
しました。例えば、低コストと省エネルギーを両立する「賢い自動化」については、それが得意なタイ拠点から
グローバルに展開していくなど、本社主導による「一極・一方向」から、各地域が持つ強みを「多極・多方向」に
展開することで、地域発信と連携を強化し、グループ全体での組織力最大化を目指します。これは人と組織が
より有機的に結びつく「高分子型組織」そのものであり、新たな付加価値を創出していきます。
当社グループは、サステナビリティ活動をより一層推進していくために、環境(E)・社会(S)・ガバナンス
(G)への取り組みを基盤とした、基本的な考え方とサステナビリティマネジメント体系図を策定しています。
(1) サステナビリティに関する基本的な考え方
当社の社是「限りない創造 社会への奉仕」は豊田綱領に基づき策定され、経営の根幹として脈々と受け継がれ
てきました。
その考え方は、「事業活動を通じて環境・社会課題解決に貢献する」サステナビリティの概念と共通していま
す。
私たちは、これからもステークホルダーや社会から信頼され、必要とされる企業であり続けるために、
サステナビリティ重要課題と中長期事業計画との統合を図った経営に取り組み、時代の変化に即した、社会の
持続的な発展と当社の持続的な成長を目指していきます。
■マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)
私たちは「限りない創造 社会への奉仕」を社是とし、当社の成長を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、
「社会的価値」と「経済的価値」の両立を目指しています。
2030事業計画で掲げている「目指す姿」と「提供価値」の実現に向けて、変化する事業環境を考慮し、
社会予測やSDGsなどの様々な社会課題の中から、当社として特に貢献できる重要な分野を「マテリアリティ」と
して選定し、取り組んでいます。
< マテリアリティ特定のプロセス >
< マテリアリティ(サステナビリティ重要課題) >
詳細は当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.toyoda-gosei.co.jp/csr/think/materiality/
(2)サステナビリティへの取り組み
■推進体制
社是・経営理念のもと、事業活動を通じて、社会の持続的な発展と当社の持続的な成長に向けた取り組みを
推進するためのマネジメント体制を構築しています。全てのステークホルダーの皆様との対話を重ね、中期経営
計画の達成に向けたKPI・目標を設定し、PDCAサイクルを回していくことが重要と考えています。
< サステナビリティマネジメント体制 >
■サステナビリティ会議(ガバナンス・リスク管理)
取締役社長を議長とし、社外を含む全取締役、全監査役および海外地域を含めた本部長をメンバーとして構成しており、客観性と透明性の高いバランスの取れたサステナビリティの施策を実行しています。(原則年2回開催)
< サステナビリティ会議の概要 >
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目的 |
サステナビリティに関する重点取り組み事項の審議・決定と実施状況の確認 |
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開催頻度 |
原則2回/年 |
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議長 |
取締役社長 |
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構成員 |
全取締役・全監査役(社外取締役・社外監査役を含む)、本部長および海外地域本部長 |
|
主なアジェンダ |
・サステナビリティに関する重点取り組み事項の決定 ・重点取り組み事項および目標値の実施状況の報告 ・重要な社外開示項目の決定 |
■サステナビリティKPI・目標
マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)をベースとした、環境・社会課題解決と当社の持続的成長に
つながる中長期KPI・目標値を設定し、それらの達成に向けて単年度のPDCAサイクルを回しています。
環境、人的資本に関する中長期KPI・目標値については、表「マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)」に
記載しています。
(3)主な取り組み
①環境の分野(E)
当社は、「環境基本方針」のもと、1993年に第1次環境取組みプランを策定し、環境課題の解決に向け取り組んで
きました。2016年2月には、長期目標「TG2050環境チャレンジ」を発表するとともに、マイルストーンとして
2030年までの目標を設定、さらに5年間の活動項目と目標を設定した取組みプランを策定し、環境保全活動を推進
しています。
グローバルでは、日本をはじめ、米州、中国、東南アジア、インド地区に環境統括機能を置き、欧州・
南アフリカを含め世界5極でエリア管理しながらグループ一丸となって取り組みを推進しています。
また、行政・顧客・サプライヤーとも連携して取り組みを進めています。
・TG2050環境チャレンジ
ゴム・樹脂の高分子分野の専門メーカーである当社が象徴としている六角形の「ベンゼン環」(高分子の原点と
なる構造体)にちなんだ「6つのチャレンジ」を掲げ、2050年を見据えた長期的視点で環境保全活動を推進して
います。
その実現に向けたロードマップとして、5カ年計画である環境取組みプランを策定して活動しています。
また、2023年8月には、自社の生産活動などで発生するCO2排出量(Scope1, 2)について、カーボンニュートラル
実現時期を2050年から2030年へと20年早期化する新たな目標を策定し、材料・部品の調達等からのCO2(Scope3)
排出量目標を設定しました。さらに、脱炭素の国際認定「SBT認定」を取得し、気候変動問題への対応を強化して
います。

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項目 |
範囲 |
実績 |
削減の主な活動 |
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2022年 |
2023年(概算値) |
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CO2排出量(Scope1) (注1) |
連結 |
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・ボイラー・冷温水発生器などの ユーティリティ設備の高効率化 ・太陽光発電システム設置など再生可能 エネルギーの利用拡大 |
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(Scope2) (注1) |
連結 |
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(Scope3) (注1) |
連結 |
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- (注2) |
・リサイクル材、バイオマス材の開発・ 活用・物流における積載効率、運航 ルートの効率化 ・製品の軽量化 |
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廃棄物量 |
単体 |
5.1 千t |
4.6 千t |
・徹底的な分別による有価物化の推進 ・発生源対策として歩留改善 ・ゴムの廃棄物削減に向けた脱硫再生に よるリサイクルの推進 |
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水 (売上当り取水量) |
単体 |
0.57千t/億円 |
0.51千t/億円 |
・冷却機器の更新 ・製品の洗浄方法の変更 (蒸気式⇒電気式) |
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生物多様性 (緑の復元面積) |
単体 |
10ha |
13ha |
・里山整備の拡大(森町工場での新規 実施) ・干潟の保全活動 ・平和町工場のビオトープが環境省の 「自然共生サイト」に認定 |
|
過去の実績値については当社ウェブサイトをご参照ください。
(注1)Scope1: 企業自身が直接排出したCO2排出量(化石燃料・天然ガス等)
Scope2: 企業が間接的に排出したCO2排出量(購入電力等)
Scope3: 企業が間接的に排出するサプライチェーンでの温室効果ガス排出量
(原材料製造、輸送、出張、通勤など)
(注2)Scope3の2023年度実績データは算定中につき、「豊田合成レポート2024」で開示予定
これらの取り組みは、2023年 日本経済新聞社「SDGs経営度調査」の環境評価価値でS+、環境活動に関する情報
開示を推進する国際NGOのCDP(注3)による「気候変動」及び「水セキュリティ」の2分野で、リーダーシップ
評価を獲得し、「気候変動サプライヤー・エンゲージメント評価」においては、5年連続最高評価を獲得
しました。更に、11月には、当社目標が世界共通の温暖化対策の枠組みであるパリ協定(注4)に準じた内容で
あるとして、国際機関(SBTi)による「SBT(注5)認定」を取得しました。
引き続き顧客・サプライヤーと連携し、各Scopeの排出量低減と情報開示などを進め、 環境保全活動の充実を
図っていきます。
(注3)CDP:旧名称であるCarbon Disclosure Projectの略。 イギリスを拠点とした国際NGO
(注4)パリ協定: 2015年にパリで採択され、翌年に発効した国際協定。産業革命前と比較し、世界の平均気温
上昇「2℃未満」を必達目標、「1.5℃未満」を努力目標として掲げる
(注5)SBT:Science Based Targetの略。科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標。本目標の達成を推進
することを目的に、国際的な環境非営利団体CDPなどの4団体により、SBTi(Science Based Targets
initiative)が設立された
ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社は、気候変動への対策として、CO2排出量削減による脱炭素社会の構築をマテリアリティ(重要課題)の1つ
として掲げ、2019年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。
TCFDの考え方に基づき、シナリオ分析を行い事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略へ盛り込む活動
を実施しています。なお、今後も財務への影響を検証するなど充実していきます。
a.ガバナンス
2016年2月に長期の環境活動計画となる「TG2050環境チャレンジ」をカーボンニュートラル・環境委員会
で策定し、公表を行い、当社グループで持続可能な社会の実現に向けて活動を強化しました。
カーボンニュートラル・環境委員会は取締役社長が委員長を務め、年2回開催し、サプライヤーへの影響
も含めて気候変動によるリスクと機会について審議し、中長期目標の認定、実現に向けたシナリオの策定を
行い、経営戦略へ反映しています。その結果を取締役会、経営会議等へ定期的に報告しています。
b.戦略
当社は、「TG2050環境チャレンジ」に基づき、これまでもCO2削減に取り組んできました。昨今の社会的
要請の高まりを受け、工場CO2排出量ゼロの達成時期を2050年から2030年に前倒し、さらに2030年再生可能
エネルギー導入率100%とより高い目標に見直しました。
その実現のため、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した「4℃シナリオ(注6)」、
「1.5℃/2.0℃シナリオ(注7)」などを考慮し、下記のとおり事業活動に与える気候関連のリスク
(物理リスクおよび移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。
(注6)4℃シナリオ:産業革命前と比べ4℃前後上昇するシナリオ
(注7)1.5/2.0℃シナリオ:産業革命前に比べ21世紀末に世界平均気温の上昇幅が1.5/2.0℃に抑えられる
シナリオ
< 物理リスク > 気候変動による災害など物理的影響に関連するリスク
|
影響する項目 |
リスク |
影響 (注8) |
機会 |
影響(注8) |
対応 |
|
|
急性 |
・異常気象による大規模災害 |
・河川の氾濫、巨大台風、サプライチェーンの分断、渇水などに よる生産支障 |
大 |
・BCPのレジリエンス強化による盤石な生産体制の確保と競争力の向上 |
中 |
・BCPのレジリエンス体制・訓練の強化 ・緊急時における重要インフラの確保 ・土地・建屋の耐久性、浸水リスクの 点検・改修 ・耐久、耐水、耐熱性に優れた機能性材料開発および新製品開発 |
|
慢性 |
・気温上昇 ・降水、気象パターンの変化 |
・温暖化による製品耐久 性の不足で品質不具合 |
中 |
・製品の耐久性の充実で付加価値が向上し、収益向上 |
中 |
|
< 移行リスク > 脱炭素社会への移行に伴い発生するリスク
|
影響する項目 |
リスク |
影響 (注8) |
機会 |
影響 (注8) |
対応 |
|
|
政策 ・ 規制 |
・電動化の促進施策 (ZEV(注9)、 燃費、ガソリン車 規制) ・政府のカーボン ニュートラル宣言 (CP(注10) 制度、補助金の 拡大) |
・BEV開発の加速に伴うガソリン車専用部品の売上減少 ・炭素税の導入による コスト競争力の低下 |
大
大 |
・ZEVであるBEV/FCEVの製品開発が進み売上増加 ・国の支援(補助金等)を活用した環境配慮型の製品、工法開発の伸展で競争力を確保 ・燃費(電費)向上に向けた軽量化の製品・部品の売上増加 |
大
中
中 |
・BEV/FCEV向けの新製品開発 ・BEV先行市場・OEMへの拡販 ・高分子材料の知見を活かした樹脂・ ゴム製品の高い耐久性・軽量化、 脱炭素化 ・ICPの導入による取り組みの加速 ・2030年へのカーボンニュートラル 前倒し ・省エネ、創エネによる工場・オフィス のZEB(注11)化 |
|
市場 |
・CASE、MaaS市場 拡大 ・グリーンテクノロ ジー(注12)に よる新分野の市場 拡大 |
・ユーザーの価値観、 使い方の変化で従来 製品の売上減少 ・環境負荷の高い製品の不買化による売上減少 |
中
中 |
・カーシェアの拡大に伴う除菌/抗菌製品の売上増加 ・グリーンテクノロジーの開発による事業拡大 |
中
大 |
・深紫外線LED技術を活かした除菌/浄化製品の開発 ・GaNパワーデバイスの開発・商品化 ・自動運転向けの新製品開発 ・非自動車ビジネスの拡大(ヘルスケア、エネルギーなど) |
|
技術 |
・エネルギー生産・ 転換技術の開発・ 普及 ・再生可能エネルギ ー技術の進歩、 普及 ・省エネ技術の普及 |
・新たなエネルギー資源への対応による生産 技術コストの増加 ・技術普及の乗り遅れによる競争力の低下(CO2削減の鈍化、炭素税によるコスト増) |
中
中 |
・省エネ活動によるエネルギーコストの削減による競争力の確保 ・環境に配慮した製品開発、工程整備が進み収益向上 |
大
中
|
・工場エネルギーの最適化を推進 ・IoT、デジタル活用による生産プロセスの効率化による省エネ ・再生可能エネルギーの積極的な導入 ・CAR to CARリサイクルや製品ライフサイクルでの負荷低減の推進 ・水素タンク事業の拡大 |
|
評判 |
・顧客の評価の変化 ・投資家の評判の 変化 |
・発注条件に環境配慮(脱炭素、 リサイクル材料など)が加わり対応できず競争力の低減 |
中 |
・自動車部品のゴム・樹脂分野で先んじたグリーンテクノロジーの開発による競争力の向上 |
中 |
・環境配慮型の製品開発と事業化(高機能材料、バイオ材料、リサイクル材料 開発) |
(注8)影響:発生の頻度・規模による事業への影響度。
(注9)ZEV: Zero Emission Vehicleの略。走行時にCO2等の排出ガスを出さないEV/FCEV等。
(注10)CP: Carbon Pricingの略。炭素税や排出量取引により炭素に価格付けを行うこと。
(注11)ZEB: Net Zero Energy Buildingの略。高効率設備や再生可能エネルギー導入により、年間1次エネルギー収支ゼロとする
建築物。
(注12)グリーンテクノロジー:環境問題を解決、あるいは緩和するための技術・製品(例:軽量化や脱炭素に資する技術・製品など)
c.リスク管理
当社は、カーボンニュートラル・環境委員会、内部統制委員会やマネジメントシステム(ISO14001)
で、気候関連のリスク(物理リスクおよび移行リスク)を管理しています。リスク管理のプロセスは、リ
スクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けした上で、委員会等で回避・軽減・移
転・保有などの対策を決定し、進捗管理をしています。
重要リスクについては定期的に取締役会に報告しています。
d.指標及び目標
当社は、「TG2050環境チャレンジ」に基づき、これまでもCO2削減に取り組んできました。昨今の社会的
要請の高まりを受け、自社の生産活動などで発生するCO2排出量(Scope1,2)について、カーボン
ニュートラル実現時期を2050年から2030年に前倒し、さらに2030年再生可能エネルギー導入率100%とより
高い目標に見直しました。また、環境に配慮した生産工程や設備の開発など、社内横断的にCO2低減活動を
進めていきます。さらに5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を
推進しています。
< 中長期目標 >
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取組み |
目標年 |
目標値 |
|
第7次環境取組みプラン |
2025年 |
Scope1+ Scope2における CO2排出量2015年度比 25%減 |
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2030年マイルストーン |
2030年 |
・Scope1+ Scope2における再生可能エネルギーなどを 組み合わせ、カーボンニュートラルを実現 ・再生可能エネルギー導入率100% ・Scope3におけるCO2排出量2019年度比 27.5%減 |
|
TG2050環境チャレンジ |
2050年 |
・Scope1+ Scope2+ Scope3におけるカーボンニュートラル ・製品技術での環境社会への貢献 |
イ)循環型社会の構築への取り組み
当社は、「TG2050環境チャレンジ」に基づき、循環型社会への対応として、廃棄物低減、水リスク低減に
よる循環型社会の構築をマテリアリティ(重要課題)の1つとして掲げ、取り組みを推進しています。
a.ガバナンス
「ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応 a.ガバナンス」に記載しています。
b.戦略
当社は、廃棄物量・水リスクの極小化やリサイクルしやすい製品設計を通じて、循環型社会の実現に
向け、取り組みを進めてきました。昨今の資源循環を取り巻く動向など事業活動に与えるリスクと機会を
抽出し、活動へ反映させています。
廃棄物低減としては、製品設計段階では自動車のライフサイクル全体を考え、リサイクルしやすい製品
や材料の開発・設計、廃材リサイクル技術の開発を推進しています。また、生産段階では、発生源対策と
リサイクルを推進しています。
水リスク低減としては、国内外の拠点を水量・水質の両面でリスク評価し、それぞれリスクのレベルを
付け、リスクレベルごとに対策を分けて活動をしています。
< リスクと機会 >
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影響する項目 |
リスク |
機会 |
対応 |
|
資源の枯渇 (不足) |
・原材料の調達難や価格 高騰による収益悪化 と生産支障 |
・リサイクル技術、材料使用 量の削減による収益向上 ・上記技術開発による企業 価値の向上 |
・軽量化に向けた製品開発の推進 ・原材料のリサイクル技術開発 ・植物由来のバイオ材や リサイクル材の活用拡大 |
|
水リスク (量・質) |
・生産に必要な水の確保 難による生産支障 ・水質悪化による製品 品質の悪化 ・水害による生産支障 |
・水の再利用、使用量の削減 による収益向上 ・上記技術開発による企業 価値の向上 |
・水の再利用技術の開発 ・雨水の利用の活用拡大 ・生産体制の見直し、電気設備の 設置場所見直し
|
c.リスク管理
d.指標及び目標
当社の環境活動は、長期計画である「TG2050環境チャレンジ」の中の項目として、廃棄物量・水リスク
の極小化を目指して、2030年マイルストーンとして目標を設定し、取り組んでいます。更に5年ごとに
「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を推進しています。
< 中長期目標 >
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項目 |
2025年目標 第7次環境取組みプラン |
2030年目標 マイルストーン |
2050年目標 TG2050環境チャレンジ |
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廃棄物低減 |
豊田合成 |
2012年度比 40%削減 |
2012年度比 50%削減 |
廃棄物量の極小化 |
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海外関係会社 |
2015年度比 50%削減 |
2015年度比 55%削減 |
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水リスク <グローバル> |
高リスク エリア |
水質 (4拠点) |
2拠点で 対策完了 |
4拠点(全拠点)で 対策完了 |
水リスクの極小化 |
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取水量 (7拠点) |
3拠点で 対策完了 |
7拠点(全拠点)で 対策完了 |
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低リスクエリア |
2019年度比 売上高当り取水量 6%削減 |
2019年度比 売上高当り取水量 11%削減 |
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ウ)生物多様性の保全に向けた自然共生社会の構築への取り組み
当社は、自然から原材料や水など多くの資源を受けている一方で、CO2排出や排水など、自然環境に影響を
与えています。ネイチャーポジティブの実現に向け、地域社会との共生をマテリアリティ(重要課題)の1つ
として、生物多様性の保全活動を推進しています。
a.ガバナンス
生物多様性の保全に向けた自然共生社会の構築を、環境活動の長期目標となる「TG2050環境チャレン ジ」の柱の一つに掲げ、顧客やサプライヤーとの連携も含めて当社グループ全体で取り組みを進めています。
事業活動の生物多様性への影響や自然共生の保全活動に関する中長期目標の設定などを、カーボン
ニュートラル・環境委員会で審議し、事業活動へ反映しています。その結果は取締役会、経営会議等へ
定期的に報告します。
b.戦略
当社は「TG2050環境チャレンジ」に基づき、これまでも自然共生活動に取り組んできました。昨今の
社会的な要請の高まりを受け「命の源である水で活動をつなぐ」をスローガンに、里山整備、ビオトープ
の整備、河川保全、海のエリアでは干潟の保全などを進めています。2050年までに工場面積と同等の緑地
面積の保全を行う「緑のノーネットロス」という目標を設定して取り組んでいます。またこの考え方は、
環境省「生物多様性のための30by30アライアンス」に賛同し、保全区域の拡大を推進しています。
< リスクと機会 >
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影響する項目 |
リスク |
機会 |
対応 |
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自然資本 の減少 |
・原材料の調達難や価格 高騰による収益悪化 と生産支障 ・水質悪化による製品品質 の悪化 ・汚染排水等の流出による 周辺エリアへの被害で 企業信頼の失墜
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・自然保護活動を通じた 人材や原材料の確保による 事業継続 ・里山整備、河川保全を通じ た良質の水資源確保による 持続可能な生産および企業価値の向上 |
・軽量化の製品開発の推進 ・原材料のリサイクル技術 開発 ・植物由来のバイオ材や リサイクル材の活用拡大 ・排水等の管理の強化
|
c.リスク管理
d.指標及び目標
当社の環境活動は、長期計画である「TG2050環境チャレンジ」として、2050年に「緑のノーネットロ
ス」の目標を掲げています。また、中期目標である「2030年マイルストーン」として緑の復元面積 23.0ha
(2010年度比)、更に5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を
推進しています。
< 緑のノーネットロス実現に向けた活動 >
< 緑のノーネットロス目標 > ~命の源である水で、活動をつなぐ~
|
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< 中長期目標 >
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項目 |
2025年目標 第7次環境取組みプラン |
2030年目標 マイルストーン |
2050年目標 TG2050環境チャレンジ |
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緑のノーネットロス (緑の復元) |
14.0ha 以上 |
23.0ha 以上 |
59.0ha(工場の面積分) |
②社会の分野(S)
ア)人材戦略
2030事業計画実現に向け、失敗を恐れずに「変える/変わる」こと、そして「チャレンジ」することで
「チャンス」をつかみ取る・創り出していくことが重要であると考え、「組織風土」と「人材」の両面で
の施策を展開します。
組織風土では、ダイナミズムに満ちた「高分子型組織」を目指します。様々な個性や価値観を持った一人
ひとりの分子が互いに刺激し合い、化学反応を起こすことにより創造力を高め、分子同士の強い結合により
パワーを結集させる。そして、チーム・グループ・部門・関係会社間においても同様の刺激と反応を起こし、
さらにはパートナー企業、仕入先様、取引先様やお客様などの他の組織ともつながり、結果として高い
創造性と生産性を発揮する。環境の変化に応じて、自在に形を変え、新しい価値を創出できる。これが、
私たちが考える「高分子型組織」です。その前提となる組織風土の土壌づくりのために「安心できる居場所
づくり」、「活躍できる舞台づくり」と「一人ひとりに光をあてる」を通じた自己実現により、従業員の
ウェルビーイングの実現をサポートしていきます。
一方、人材では、社会的価値とTGの存在意義を自ら問い、戦略的に事業を展開できる人材の育成を目指し
ます。そのために、多様な人材の確保や事業ポートフォリオの見直しを行っていきます。
a.戦略
当社は「多様な人材の活用推進・人権尊重」をマテリアリティ(重要課題)の1つとして捉え、
これまで、人材戦略の柱として「人材育成の促進」「多様な人材の活躍」「働きやすい風土づくり」の3つ
を掲げ、仕事の進め方の基本である「問題解決手法、PDCA サイクル」や、技術や材料など専門的な知識を
習得する教育機会の提供、また、女性や障がい者、多様な価値観を持つ人材が力を発揮できる環境づくり、
当社のありたい姿への取り組みと働きがいや成長実感が重なるエンゲージメントの向上への取り組みを
進めてきました。
しかしながら、昨今、企業価値向上の有意な手法として期待される人的資本経営に照らし合わせて検証
してみますと、これまでの人材戦略は人事機能の観点からの課題認識に基づくものであったことから
改めて、人材戦略を見直しました(下図)。経営戦略との結びつきをより強化し、新たに立案した戦略に
基づき、これまでの取り組みに加え、新たな施策を展開し、活動を進めています。
b.ガバナンス および c.リスク管理
人材戦略に基づく施策に関しては、「人事会議」(年2回開催)にて、また、部長職以上、関係会社役員
などの重要なポジションの任免や、将来の登用計画などについては「GSC:Global Succession Committee」
(年5回開催)にて審議しています。これにより、経営戦略の実現を念頭に置いた人材育成や配置などを
行っています。人事会議、GSCとも議長は総務・人事本部長が務め、人事会議は取締役社長以下、取締役、
監査役、執行役員、GSCは取締役と本部長以上が参加し、議論を行っています。
d.指標及び目標
< 2023年度重点項目の実績と2025年度・2030年度目標値[単体] >
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重点項目 |
2023年度実績 |
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2030年度目標 |
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- |
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- |
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400名 |
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100名(8.8%) |
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(グローバル) |
(グローバル) |
60% |
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30%以上 |
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[国内グループ全体] |
法定雇用率達成 [国内グループ各社] |
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75%以上 |
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(注)中途採用者の在籍比率と同等の管理職比率を使用しています。
■働きやすい組織風土づくり
・ウェルビーイング向上に向けた取り組み
当社では、これまでも働きやすい風土づくりを進めてきましたが、2030事業計画を受け、人と組織の
活性化に向けた取り組みを重要視し、これまでの活動を昇華させるべく、一人ひとりが自己実現できる
環境や制度づくりを進めていきます。その方策として、当社はウェルビーイングを高める施策、
横の連携を活発化させる施策を推進しています。
ウェルビーイングを高める施策では、「安心できる居場所づくり」「活躍できる舞台づくり」、
そして「一人ひとりに光をあてる活動」の3つを軸に施策を展開しています。23年度は特に管理職が
従業員に寄り添い、一人ひとりの価値観を活かすマネジメントスタイルへの変革をねらいに「心の通う
職場づくり」に取り組んでいます。マネジメント層(GL・係長)を対象に研修を実施し、その内容を実践
してもらうことで、信頼関係や絆の構築を目指しています。
・LGBTQへの取り組み
2023年4月より同性パートナーがいる従業員向けに、法律婚と同様に結婚時や弔事の特別休暇が取得
できるようにするなど、制度の一部を見直しました。また、多様な性のあり方に配慮した「みんなの
トイレ」や「相談窓口」の設置、社内啓発研修なども行っています。これらの取り組みが評価され、
一般社団法人work with Prideが策定する、日本の職場におけるLGBTQ+などの性的マイノリティへの
取り組みの評価指標である「PRIDE指標2023」において、シルバーを受賞しました。
■人材育成の促進
・経営幹部候補の確保と育成
将来の経営を担える人材の計画的な育成のため、経営戦略から人選・研修・配置まで、一貫した仕組み
を導入しています。重要ポストを担う将来の幹部候補人材を、若手層から各世代で確保し、研修と実践
(タフアサインメント)を通じ、継続的に育成しています。ローカルスタッフ/社外からの登用も行い、
変革をリードし、実現できる、多様な人材の育成を推進していきます。
・ローカル幹部育成
世界16の国・地域に61社を構える当社では、持続的成長を支える地域に根付いた事業運営の実現を
目指しています。そのような事業運営の実現のためには、現地の商慣習や文化に精通した人材が運営に
携わることが必須であると考えているため、海外拠点のローカル幹部人材登用および育成を積極的に
進めています。各地域において積極的な登用を加速するために、2021年度に、ローカル幹部(副社長
以上)登用の基本方針、ターゲットを定め、実現に向けて各事業体にて取り組みを進めています。
2025年までにローカル幹部比率40%達成を目指し、各地域でハイポテンシャル人材の評価、
育成計画の策定を進めており、幹部人材候補への「ミドルマネジメントトレーニング」、
「課題設定型問題解決研修」の実施など、現地人材の育成を進めています。また、「RSC(Regional
Succession Committee)」を米州、東南アジア、中国で開催し、幹部後継者候補育成・採用の活動
状況や課題を共有し、毎年本社開催のGSC(Global Succession Committee)にて報告しています。
■ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
当社では、一人ひとりのウェルビーイングを高め、価値創造につながるダイバーシティ・エクイティ& インクルージョン(DE&I)を実現するため、下図のようなロードマップに沿った活動を進めています。
・女性の活躍促進
性別に関わらず、全従業員が活躍・成長できる状態を実現し、多様性を活かした新たな価値創造へ
つなげるため、「女性従業員の育成・活躍支援」・「上司の意識・行動改革」・「仕事と生活の
両立支援」を軸に、下表のような取り組みを実施しています。
女性従業員が安心して長く働き、成長し続けられる環境をつくるとともに、より多様な価値観や
新たな視点・考え方を経営に取り入れるため、2025年までに女性管理職数45名以上を目指します。
例えば、「女性従業員の育成・活躍支援」においては、リーダーを目指す女性従業員を対象に、
「マネジメントスキル向上のための研修」を実施するとともに、「経験幅・視野の拡大」を
ねらいとした育成ローテーションを積極的に実施するなど、リーダーとしての活躍を後押しする
育成の取り組みを強化しています。
また、技能職場においても、からくり改善やロボットの活用拡大による高負荷作業の見直しなど、
力作業を極力減らす工夫を取り入れることで、性別や年齢に関わらず活躍できる製造現場づくりを
進め、女性従業員の活躍を後押ししています。
・シニア従業員のさらなる活躍の促進
今後ますます増加するシニア従業員が、60歳を区切りとせず安心感と高い意欲をもって活躍し続け
られる環境を整備するとともに、シニア従業員の豊富な経験や技術・スキルと若手従業員の発想・
着眼等を融合し、新たな価値を生み出していきます。その基盤づくりのため、2022年4月より定年
年齢を60歳から65歳へ引き上げました。今後、65歳まで意欲高くいきいき働き続けることを後押し
する次ページ表のような取り組みを継続していきます。
年齢に関わらず、最大限の能力発揮ができる環境づくりに向けた活動を継続し、エンゲージメントの
さらなる向上を図ります(目標:従業員のエンゲージメント(50代・60代)の肯定回答率65%以上)。
例えば、「意欲向上」の取り組みとして、50代の従業員を対象にキャリア研修を実施し、「今後の
働き方」や「これまで培った技術・技能・経験をどのように職場で発揮していくか」等を、同世代と
意見交換しながら改めて考える場を設定しています。
また、「健康・体力向上」の取り組みとして、「節目年齢での健康セミナーの実施」や「食堂
メニューの見直しによる食生活の改善」など、従業員と定期的に議論しながら、健康増進に向けた
活動を強化しています。
・若手のキャリア開発
100年に一度の大変革期といわれる自動車業界において、企業としてのさらなる成長・発展に向け、
企業競争力を高めなければなりません。そのためには、従業員自身がキャリアプランを描き、自己実現
していくことで充実感・満足感を得ながら、一人ひとりが最大限の能力発揮・成長することが不可欠と
考えています。
2021年度より、「ワク・キャリ活動(ワクワク・イキイキとキャリア形成意識を高める活動)」と
称し、下表のように、ワク・キャリ活動3本柱を重点施策として位置付け、活動を推進しています。
今後は「安心できる居場所」、「活躍できる舞台」を軸に、上司と伴走しながら従業員それぞれの
キャリアプランを実現させていくための施策(キャリア形成促進活動)をさらに拡充させていきます。
■人権の尊重
当社グループ(豊田合成株式会社および国内外の連結子会社)は、国連の「世界人権宣言」や
「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際規範を支持・尊重するとともに、「豊田合成
グループ行動憲章」において、「人権や個人の多様性・人格・個性を尊重し、差別的行為や
ハラスメント行為等を行わず、労使協調のもとで常に健全で働きやすく安全な職場づくりを努めます」
との基本方針を定めています。本憲章の理念を実現するための行動基準となる「豊田合成行動倫理
ガイド」においては、人格・人権の尊重、公正な採用、強制労働や児童労働およびあらゆる形態の
ハラスメントの禁止を明言しています。
・人権方針に基づくデュー・デリジェンスの実施
2022年5月以降、「豊田合成グループ人権方針」に基づき「人権デュー・デリジェンス」を実施して
います。
豊田合成グループ人権方針
人権デュー・デリジェンスとは、企業の事業、サプライチェーンおよびその他のビジネス上の関係に
おいて、人権への負の影響を特定し、その負の影響を防止・軽減し、実施状況および結果について
追跡調査を行い、どのように負の影響に対処したかを伝える一連のプロセスを指し、そのサイクルを
定期的に繰り返していきます。第1ステップとして「人権影響評価」を行い、当社グループ内における
優先的に取り組むべき人権課題(顕著な人権課題)として、①ハラスメント、②移民労働者、③DE&I
(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の3つを特定しました。特定された当社グループ内での人権課題についての負の影響の防止・軽減への取り組みを関連部署と連携し、推進しています。
本年度は、外国人技能実習生を活用している国内連結子会社(6社)への実態調査を行い、ベトナム
からの実習生の手数料是正、労働環境の整備などを進め、実習生の適切な活用に取り組んでいます。
本活動の進捗状況については、当社ホームページにて適宜開示しています。
< 当社グループ内における顕著な人権課題 >
< 人権リスクマトリクス >
イ)グローバル統一の品質保証
■TQM活動による企業体質強化
TQMの基本理念に基づき「品質・仕事の質」「人と組織の活力」を高め、柔軟で強靭な企業体質をつくる
TQM活動を全社を挙げて推進しています。「職場マネジメント改善活動」「小集団活動」など従来からの
改善活動に加え、“変化を先取りして仕事のやり方を変える”ことをコンセプトとした「新TQMの理念」を
構築・展開しています。TQM活動を通じて何でも言い合える職場づくりを目指し、心理的安全性を高め
ながら、「品質マインド」に加え、「価値創造マインド」醸成にも取り組んでいます。
■将来の事業・環境変化に対応できる品質保証システム構築と人材育成
・新規技術・新規開発品に適応した品質保証システム
品質保証システムについては、ISO9001/IATF16949の認証を取得し、品質マネジメントシステムを確立
するとともに、企画~設計~生産までの各プロセスの完成度をチェックする「初期管理システム」を
用いて新製品の品質のつくり込みを実施しています。CASE、MaaSなどにより様変わりする新規技術・
新規開発品、ソフトウェアやコトビジネスにおいてもお客様の期待に応える品質の確保に向けて、
継続的に初期管理システムの改善に取り組んでいます。
・改革・革新に挑戦する風土醸成のための「価値創造コミュニティ活動」スタート
新TQMの理念「改革・革新に挑戦」に基づき、TQM推進部と新価値創造部が連携し下記を目的として、
「価値創造コミュニティ活動」を2023年11月よりスタートしました。
公募による参加者と共に、価値創造に挑戦できるコミュニティを目指しています。
<コミュニティの目的>
価値創造マインドを共有できる職場を超えた仲間づくり
価値創造に向けた居場所の提供
失敗を恐れずに変える、変わる、チャレンジする風土醸成
活動の様子(なごのキャンパス※)
価値創造コミュニティ活動の位置付け ※名古屋駅に開校された起業家やベンチャーの育成拠点

・「お客様第一」「品質第一」の品質マインドの醸成
取締役社長による「グローバル品質向上宣言」、各自の持ち場・立場での「考動宣言」、11月の
「グローバル品質月間」など定期的に自身の行動を振り返ることで、サプライヤー・海外拠点を含む
グループメンバー全員へ「お客様第一」「品質第一」のマインド定着を図っています。
また、「品質学習館」を設立し、モノづくりで大切にすべき考え方・姿勢を学び、当社で働く一人
ひとりが品質を原点から、未来へ向けた取り組みまで繰り返し学ぶ場として活用しています。
■製造品質確保と絶え間ない改善活動
・保安部品工程の自工程完結工程づくり
世界のお客様に安心・安全な製品をお届けできるようクルマの基本性能(走る・曲がる・止まる)や
安全に直結する保安部品の生産工程を中心に自工程完結を進めています。
・「品質安心宣言活動」の継続
継続的に改善ができる職場風土の醸成と、変化に強い製造現場づくりをねらいに、「品質安心宣言活動」
を進めています。「人づくり」「工程づくり」「再発防止」の切り口で、全員参加で改善活動を行い、
目標が達成できた段階で、係長から取締役社長・事業本部長に安心宣言する活動です。グローバルで
お客様の信頼を得られる品質を目指し、全社一丸となって本活動を進めています。

ウ)サプライチェーンマネジメント
■調達基本方針
当社はサプライヤーとの共存・共栄の考えのもと、調達基本方針を定め、サプライヤーの皆様とパートナーシップを深めながら、持続的な成長をともに目指しています。
■当社のサプライチェーンとグローバル展開
当社が直接取引している国内外におけるサプライヤーの数は、製品・部品で424社、資材・設備で327社
であり、その他のサプライヤーを含めると合計776社となります。(2024年3月31日現在)
グローバルでの事業展開においては、品質・コスト・リスク回避などあらゆる面を考慮し、各地域の調達
担当者間での連携に取り組んでいます。
グローバル調達連絡会を年2回開催し、SQDC(安全・品質・納期・コスト)に加え、サステナビリティ活動における情報共有や課題解決に向けた対話を実施しています。
■新規サプライヤーとの取引
当社Webサイト上にエントリーフォームを設置し、新規提案や新規取引に対してオープンな対話を実施。また新規取引開始にあたっては、SQDCの評価に加え、当社のサステナビリティガイドラインへの賛同
状況等をふまえた経営の取組み状況を確認、同時に各種契約書や覚書の締結と併せて、当社の展開する
各種ガイドラインを説明し理解を求めています。
エ)サプライヤーとの取り組み
■サプライチェーン全体でのサステナビリティへの取組み
サステナビリティの取り組みに対するサプライヤーの理解と浸透、実践を目的に「仕入先サステナビリティガイドライン(第2版)」を策定し、サプライヤーと共有しています。同ガイドラインは、人権・労働、
環境、コンプライアンスなどの項目に関する方針を定めており、社会面(児童労働・強制労働・差別の禁止や機会均等・長時間労働削減・最低賃金の遵守など)に加え、水使用や生物多様性などの環境面への順守を要請しています。環境に関しては、「グリーン調達ガイドライン」において、CO2の削減、廃棄物を含めた資源循環、化学物質の管理を求めています。また、紛争鉱物については、サプライヤーに責任のある資源・原料調達を要請するとともに年に1回、全てのサプライヤーの協力のもと、紛争鉱物に関する調査を実施しています。上記の通り、様々に変化する社会情勢に合わせて、サプライチェーン全体で持続的成長に必要な取り組みを促進しています。
■サプライチェーンのカーボンニュートラル活動促進
サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指すため、2021年よりサプライヤーと共同で活動を
開始しました。説明会・講演会の実施や現状把握を行い、サプライヤー個々の課題を認識した上で、
2022年からCO2排出量低減活動をスタートしています。当社の省エネノウハウを展示した「省エネ道場」
での勉強会や、エネルギー使用量実測支援、各種研修会を行うなど、個々のサプライヤーに寄り添った
低減テーマ策定および低減活動の実施に取り組み、2023年3月・9月には「カーボンニュートラル
活動促進会」を開催、参加約120社が1年間の低減事例・課題を持ち寄り、業種ごとのグループ討議や課題
の共有を行いました。今後ともサプライヤーと一体となってカーボンニュートラル活動を推進していきま
す。
■サプライヤーとのパートナーシップ強化
毎年4月に「調達方針説明会」を開催、国内主要サプライヤー約250社に対して経営理念や事業環境、
会社方針を説明し、課題や目標を共有した上で、期待値懇談会を通じて結果の確認と改善に向けた協議を
定期的に行っています。また、2019年度より毎年12月を「サプライヤー月間」と定め、サプライヤーに
対して「感謝と尊敬の念をもち、本音に謙虚に耳を傾ける機会」と捉え、日頃の取り組みに感謝の意を
表すために感謝状の贈呈などを実施するなど、サプライヤーとのより良い関係づくりを目指しています。
さらに年6回「調達連絡会」を開催し、取り組み事例の紹介や情報の共有に加え、カーボンニュートラルを
はじめとした社会課題に関する「セミナー」を実施しています。2020年度からは、サプライヤーの経営者
を対象に「経営困りごと相談室」を設置、様々な経営課題について相談を受け付け、実効性の高い解決策
をアドバイスすることに努めています。
■ともに成長するためのサプライヤー支援
安全・サステナビリティ・品質・原価・生産の観点から様々な支援を実施しています。いずれも当社の
スキル保有者の出向やサプライヤーのコア人材の出向受入など、人材育成支援と関連付けながら推進して
います。また、サプライヤーが相互研鑽や優良事例の横展開を目的に編成する「協和会」の活動を側面
から支援し、2022年より、サプライヤーが培ってきた知見を当社製品の付加価値向上に活かすなど、双方
の競争力強化を図ることを目的に、協和会による「勝ち(価値)技展示会」を開催しています。また、
2023年は当社の困り事(ニーズ)、協和会の提案(シーズ)の情報共有により、双方の力を活かした取り
組みを開始しています。
■サプライヤー情報のモニタリング
継続的に取引のあるサプライヤーには年に1回以上の頻度で、経営情報に関するサプライヤー調査票の
提出を依頼しており、大きな変化点については訪問やヒアリングの実施など、リスクの早期解決や困り事
の解決などに努めています。加えてSQDCを含めたサプライヤー評価を行い、各社の強みと弱み、課題を
整理した上で、取引内容を検討しています。
オ)安全と健康
■基本理念
当社では安全と心身の健康の確保を最も重要な経営課題の1つと位置付け、全ての事業活動において安心
で働きやすい職場環境を確保します。
■安全衛生
・取り組み
当社では上記基本理念に基づき、安全衛生宣言を定めて企業活動を展開しています。
・推進体制
安全健康推進部担当本部長を議長として、取締役社長・労働組合委員長・国内事業場の全工場長および
国内外子会社社長が出席する中央安全衛生委員会(4回/年)を組織し、安全衛生に関する諸施策の報告・
審議を行い、その結果を取締役会に報告しています。中央安全衛生委員会の審議結果に加えて、年初の
社長メッセージや社内報による安全情報の発信を繰り返し実施することで、全社一丸となって活動を
推進しています。またサプライヤーについても、調達連絡会などを通じて定期的に各種関連情報の共有化を
図っています。
・目標と実績 [グローバル]
当社で働く全ての人が、出社した時の元気な姿で帰宅できることが会社の責務であるとの考えから、
グローバルで重大(注1)災害・重篤(注2)なSTOP7(注3)災害件数0件を目標に掲げ、各種諸施策を
推進しています。2023年度は「挟まれ・巻き込まれ」災害の防止に向けて、機械設備の本質安全化対策と
リスクアセスメントの実践力向上を重点施策に掲げ活動に取り組みました。
(注1)重大:死亡 (注2)重篤:被災者の身体の一部(または機能)を失った状態
(注3)STOP7:大きなケガが起こる可能性はある7つの事象
①挟まれ・巻き込まれ ②重量物 ③墜落・転落 ④感電 ⑤車両 ⑥高温物・爆発・ガス ⑦切断
・国内外子会社の安全確保
国内外子会社の安全・防火レベルの視える化と弱点の底上げを目的に、2020年度より「SFPM(安全防火
カルテ)」を展開しています。国内子会社には3回/年(13社:計39回)の現地現物による監査・支援を実施、海外子会社31社については、Webミーティングによる評価結果(活動内容)の確認と指導を繰り返し行い、更なる安全・防火レベルの向上につなげています。
■健康経営
・取り組み
当社で働く全ての人が心身ともに健康であり続けるために、健康経営活動を推進しています。
・推進体制
中央安全衛生委員会の下部組織として、健康経営の拡充を目的に「健幸推進協議会」を年4回開催して
います。この協議会では健康だけではなく、「幸せ」に働くことを目指し、安全健康推進部を事務局に、
産業医・人事部・健康保険組合・労働組合が一体となって、健康経営・幸福経営活動の協議を行って
います。また、協議・決定事項は各事業所の安全衛生委員会へと展開しています。
・健康経営活動における「健康チャレンジ8」の取り組み
従業員一人ひとりがいきいきと健康に働けることを目指し、健康経営に取り組んでいます。KPIとして
定めている「健康チャレンジ8※」を従業員自らが意識し行動に移せるよう、2023年度は職場ごとに健康
推進リーダーとして「健康UPレンジャー」を任命し、勉強会への参加や健康情報の発信など、職場主体の
活動を促進する取り組みをしています。
また、各事業所で実施する健康診断を「健康を考える日」と定め、「健康ひとことおみくじ」「握力測定」など、保健師・看護師による健康の啓発活動を実施しています。
これらの活動が評価され、スポーツ庁より「スポーツエールカンパニー2024+(プラス)」、経済産業省が推進する「健康経営優良法人2024」の認定を受けました。
※健康チャレンジ8 :体重・朝食・飲酒・間食・喫煙・運動・睡眠・ストレス、の8項目
・女性の健康保持・増進に向けた取り組み
働く女性の健康を支える活動の一環として、2024年2月に「女性の健康週間」イベントを開催し、食堂で
の特別メニュ―(ピンクリボンランチ)の提供、パネル・チラシ・デジタルサイネージでの情報提供を実施しました。
また、健康保険組合や人事部と協業で、乳がん・子宮がん検診の重要性を啓発する個別レターや啓発グッズの送付も行いました。これらの活動が評価され、厚生労働省が推進するがん対策推進企業アクションより、「がん対策優良企業表彰」を受けました。
カ)地域社会貢献
当社は、経営理念にもある「良き企業市民」であるべく「社会福祉」「環境保全」「青少年育成」「地域
防犯」の4つの重点分野を中心にグローバルでの活動を積極的に行っています。こうした中、2023年2月には
当社ボランティアサークル「車イスドクターズ」が長年の地道な活動を評価され、第2回クルマ・社会・
パートナーシップ大賞にて「選考委員特別賞」を受賞いたしました。今後も社内で社会貢献活動への参加機会を
増やすとともに、地域のためになる活動を推進していきます。
③ガバナンスの分野(G)
2023年6月にチーフオフィサー制度を導入し、社長の権限と責任の一部をチーフオフィサーに移譲すること
により、重点機能について事業本部・地域本部の枠を超えてグローバル全体で管理し、戦略性の高い業務執行
の実現と経営のスピードアップを図っています。
当社グループは、内部統制委員会(以下「当委員会」)において、法令遵守とリスクマネジメントの状況を確認し、
不正およびリスクの未然防止の取り組みを推進しています。また、内部監査の状況についても当委員会に報告して
います。構成員としては委員長である取締役社長、社内取締役、執行役員、常勤監査役等から構成しています。
当委員会はリスクの重要性を評価して重点リスクを特定し、対応活動を決定し、実行状況の確認を行っています。
このリスクマネジメントの主な活動は下記のとおりです。これら一連の活動を繰り返し、不正およびリスクの未然防止を推進しています。
①PLAN
まず本社各部門、関係会社が法令改正・事業環境変化をふまえ、当社グループを取り巻くリスクの洗い出し、
見える化(リスクアセスメント)をしています。次に、役員等へのヒアリングを行い、経営目線、将来目線での
リスクを抽出しています。その後、発生可能性、影響度等の観点から当社グループとしての重点リスクを特定して
います。
また、各対応部門が重点リスクに対し「発生可能性を下げる」「影響度を下げる」等の考え方から対応策を
策定しています。
②DO、③CHECK
各対応部門が対応策を実行、その状況を確認し、当委員会にて報告します。
④ACTION
対応策の実行状況に応じて活動の改善、修正を行い、より実効性のある対策にします。
リスクマネジメントの主たる活動
当社グループの財政状態、経営成績(サステナビリティ含む)および株価などに影響を及ぼす可能性のある
リスクとしては、以下のようなものがあります。当委員会において選定された主な重点リスクは以下の各リスクに
含まれています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが
判断したものです。また、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)経済状況
当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、米州、アジア、欧州・アフリカを含む
当社グループの主要市場における景気低迷、感染症の流行による社会的かつ経済的混乱、およびそれに伴う自動車
需要の縮小は当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定の得意先への販売依存度について
当社は、トヨタ自動車株式会社の関連会社であり、当社グループは同社およびその子会社(以下、同社グループ)に各種自動車部品を販売しています。連結売上収益に占める同社グループへの売上収益は前連結会計年度 54.3%、
当連結会計年度 57.3%を占め、当社グループの経営成績は、同社グループの自動車生産台数、当社グループ製品の
装着率および同社グループの購買政策などにより影響を受ける可能性があります。
(3)為替レートの変動について
為替レートの変動は、各国経済に大きな影響を及ぼすとともに、当社グループ各社での価格競争力、取引価格などに大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社の外貨建取引における外貨額および連結財務諸表作成のための海外関係会社の財務諸表数値は、決済・換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受け、当社グループの
財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)国際的活動および海外進出に潜在するリスクについて
当社グループの生産および販売活動は、日本をはじめとして米州、アジア、欧州・アフリカの諸地域で展開して
います。これらの海外市場への事業進出には、事業活動に係る内部要因リスク以外に、以下のようなリスクが内在
しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性が
あります。
①予期しえない法律または規制の変更、不利な影響を及ぼす租税制度の変更
②不利な政治的または経済的要因の発生
③人材の採用・確保の難しさと労務問題に係るリスク
④社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる事業活動への悪影響
⑤地政学的リスク、自然災害、感染症、その他の要因による社会的または経済的混乱
(5)知的財産権について
当社グループは、他社製品との差別化を図るために独自の技術とノウハウの蓄積および知的財産権の取得に努めていますが、新たに開発した全ての製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。その
ため、第三者が類似製品を製造・販売するのを効果的に防止できない可能性があります。また当社グループでは、
第三者の知的財産権に配慮しながら、製品や技術の開発を行っていますが、これらの開発成果が将来的に第三者の
知的財産権を侵害していると判断される可能性があります。また、これらに起因して訴訟等を受けた場合、当社
グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)新製品開発力について
当社グループは、「高分子の可能性を追求し、より良い移動と暮らしを未来につなぐ会社」を目指し、
市場ニーズの先取りにより顧客の満足が得られるように日々研究開発を進め、先進技術を導入した積極的な
製品開発に取り組んでいます。今後においても、継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、
新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとするさまざまな
リスクが含まれています。
①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が、必ずしも新製品または新技術の創造につながる保証はありません。
③顧客からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの製品の販売が
成功する保証はありません。
④急速な技術の進歩や市場ニーズの変化により、当社グループ製品の商品価値が急激に低下する可能性が
あります。
⑤現在開発中の新製品・新技術の市場投入が遅れ、収益機会を逸する可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発
できない、または遅れた場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性
があります。
(7)製品の品質不具合について
当社グループは、世界的に認められた品質管理基準に従って各種の製品を製造していますが、全ての製品について品質不具合が無く、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を完全にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社
グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)価格競争
当社グループの収益基盤である自動車部品事業での価格競争は大変厳しいものとなっています。
当社グループは、顧客の要望に応えて、高品質で高付加価値の製品を全世界に供給する企業であると考えていますが、完成車メーカーからの価格引き下げ要請や、新しい競合先の台頭や既存競合先間の提携により、将来においても有効に競争できるという保証はありません。このような場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を
及ぼす可能性があります。
(9)原材料・部品供給元への依存、物流
当社グループは、原材料、部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、取引基本
契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市場の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の突発的
な事故、地政学的リスク、感染症による生産停止や納入遅れ、物流の遮断および経営問題などにより、原材料・部品
の不足、原材料・部品価格の高騰が生じないという保証はありません。このような場合、当社グループ製品の原価
上昇、さらには生産停止などが起こり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)災害や停電等による影響について
当社グループは、製造ライン中断による影響を最小限にするため、生産設備における定期的な検査と点検を
行っています。しかし、当社グループの生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象のほか原材料、
部品の調達先や製品の納入先での災害、感染症流行による当局からの社会的制限(都市封鎖・外出禁止等)などの
発生により影響を受ける可能性があり、これらの影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。特に、
当社グループの国内工場や仕入先などの取引先の多くは、中部地方に所在しており、この地域で大規模な災害が
発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)退職給付債務による影響について
当社グループの従業員退職給付費用、退職給付債務および制度資産は、割引率など数理計算上で設定される前提
条件に基づいて算出されています。このため、実際の金利水準の変動や制度資産の運用利回りが悪化した場合には、
財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)法的手続について
当社グループは、ビジネス活動においてコンプライアンスの実践を基本においていますが、様々な訴訟および
規制当局による法的手続の当事者となる可能性があり、その場合には当社グループの財政状態および経営成績に
影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報セキュリティ
当社は日々高まる情報セキュリティのリスクに対して、サイバー攻撃を重要な経営リスクとして位置づけ、
中期的な推進計画を策定し、外部からのサイバー攻撃(侵入防止・検知)や詐欺メールへの対策、社員への啓発・
教育などセキュリティ対策を強化しています。また当社国内外関係会社に対しては、日常点検や監査を通じて
セキュリティレベルの底上げを行うなど、当社グループとしての信頼の維持と向上に努めるとともに、当社仕入先
とも情報セキュリティ対策強化の取り組みを行うことで、サプライチェーン全体の安全性確保に努めています。
しかし万一、外部からのサイバー攻撃やコンピューターウィルスの拡散による社内情報システムの停止や機密情報
の漏洩または喪失があった場合、被害の規模により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性
があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及び
キャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、労働需給の逼迫を背景とした賃金上昇やエネルギー費高騰によるインフレ圧力の継続、
中国における不動産市場の低迷に加え、貿易摩擦による国際関係の緊張や地域紛争など地政学リスクの顕在化等もあり、不確実性が高まりました。
日本経済は、円安による原材料費・燃料費の高騰もありましたが、インバウンド消費などコロナ禍からの
回復による需要増にも支えられ、回復基調をたどりました。2024年3月には「17年ぶりの利上げ」という
歴史的転換点を迎え、賃金と物価の好循環の実現、さらにデフレ脱却に向けて重要な局面を迎えています。
自動車業界は、半導体供給の安定と旺盛な需要に支えられ好調に推移しました。一方で、クルマの
電動化に向けた動きは、一部で普及スピードに懐疑的な見方も広がりましたが、新興国市場での電気自動車
(BEV)のシェア拡大や新興BEVメーカーの急成長に見られるように、脱炭素に向けた電動化へのシフト
チェンジの大きな流れは継続しており、各社とも対応に向けて大きな変化が求められる1年となりました。
当社はこのような状況の下、将来にわたる持続的な事業成長を実現するための中長期経営計画として、
2023年8月に「2030事業計画」を策定しました。この計画では「高分子の可能性を追求し、より良い移動と
暮らしを未来につなぐ会社」を目指す姿とし、大きく2つの軸によって成長を目指すこととしています。
1つ目の軸としては、BEVをはじめとするCASEやMaaSなどの新モビリティ社会を支える「安心・安全」
「快適」をカタチにして社会に貢献することを掲げました。
2つ目の軸としては、豊かな地球環境を未来に残していくため、当社の強みであるゴム・樹脂の高分子技術の
知見を活かし「脱炭素」に貢献することを掲げました。
このように社会的価値と経済的価値を両立させることで、持続可能な事業の発展を目指していきます。
〈安心・安全への貢献〉
ハンドルやエアバッグなどのセーフティシステム製品は、BEVや自動運転技術の普及に伴い、機能と性能の
両面で進化が求められています。重点市場であるインドでは現地開発機能を強化し、カーメーカーへの提案の充実や対応の迅速化を進めました。また芦森工業株式会社との資本業務提携を強化し、相互の事業資産と
ノウハウを活用することで、より安全で安心なモビリティ社会の実現に貢献していきます。
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中国のエアバッグ新工場 (豊田合成(佛山)汽車部品有限公司) |
豊田合成(佛山)汽車部品 有限公司においてエアバッグ 新工場が稼働開始しました。需要拡大に対応するとともに 環境にも配慮したモノづくり を追求します。 |
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インドの新技術開発拠点 (豊田合成テクニカルセンターインディア)
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インドにおいて、現地技術 開発拠点「豊田合成テクニカ ルセンター インディア」を 開設しました。カーメーカー の安全性能の向上に向けた 製品開発ニーズに対して、 対応の迅速化を図っていきます。 |
〈快適への貢献〉
CASEやMaaSなどのモビリティの変化に対応しながら、より快適な車内空間づくりを目指します。内装や
外装製品の開発を進め、新しいモビリティの快適性向上に貢献していきます。
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ヒータ機能付きアームレスト |
車内の暖房効率化のために、乗員の体の周りを局所的に温める「ヒータ機能付きアームレスト」を新規開発し、市場投入しました。熱エネルギーロスの少ない 構造設計により消費電力を 半減させ、BEVの省電力化 (電費向上)のニーズに 応えました。 |
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LEXUS LMのフロントグリル |
新たに開発した「ホットスタンプ技術」を用いたフロントグリルを市場投入しました。生産時のCO₂排出量を2割削減するだけでなく、従来のコーティング材料が不要になるため省資源化にも貢献します。 |
〈脱炭素への貢献・新事業への取組み〉
樹脂やゴムの材料技術・加工技術を活用し、水素社会や循環型社会の実現に向けた取り組みを
加速します。
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大型高圧水素タンク |
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量販燃料電池小型 トラック(CJPT社) |
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スマホ用ワイヤレス給電 レシーバー |
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CES2024 Innovation Awards |
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普及が期待される燃料電池トラック向けの「大型高圧水素 タンク」を市場投入しました。今後も、燃料電池の基幹部品で ある水素タンクの開発・生産を通じ、水素社会の実現に貢献して いきます。 |
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Ossia社(米国)と共同で進めているワイヤレス電力供給 技術を使った「スマホ用ワイヤレス給電レシーバー」が CES2024においてInnovation Awardsを受賞しました。 |
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当期の売上収益は、日本、米州を中心とした顧客の生産台数増加等により、1兆711億円(前期比 12.5%増)と増収となりました。
利益については、増販効果や合理化努力等により、営業利益は 677億円(前期比 93.1%増)、親会社の
所有者に帰属する当期利益は 514億円(前期比 221.5%増)となりました。
当期末における総資産は、主に現金及び現金同等物の増加に伴い、前期末に比べ 680億円増加し、9,333億円
となりました。また、負債は主に社債及び借入金の減少により、前期末に比べ 123億円減少し、3,666億円と
なりました。
資本については、主に利益剰余金の増加により、前期末に比べ 803億円増加し、5,667億円となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
a.日本
売上収益は、顧客の生産台数増加等により 4,434億円(前期比 12.5%増)となりました。
営業利益については、増販効果や合理化努力等により、159億円(前期比 151.4%増)となりました。
b.米州
売上収益は、顧客の生産台数増加等により 3,973億円(前期比 20.6%増)となりました。
営業利益については、増販効果や合理化努力等により、262億円(前期比 64.3%増)となりました。
c.アジア
売上収益は、中国の顧客の生産台数減少はあるものの、インドの生産台数増加等により、2,869億円
(前期比 3.1%増)となりました。
営業利益については、インドの増販効果等により、227億円(前期比 36.3%増)となりました。
d.欧州・アフリカ
売上収益は、顧客の生産台数増加等により 345億円(前期比 20.9%増)となりました。
営業利益については、増販効果や一過性要因等により、27億円(前期は営業損失 37億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末 1,052億円に比べ 407億円増加し、1,460億円と
なりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは 1,283億円(前期比 137.8%増)の収入となりました。
これは主に、税引前利益 718億円、減価償却費及び償却費 508億円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは 406億円(前期比 27.3%増)の支出となりました。
これは主に、政策保有株式の縮減等による投資の売却による収入 127億円等により収入が増加したものの、
有形固定資産及び無形資産の取得による支出 467億円等により支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは 530億円(前期比 85.8%増)の支出となりました。
これは主に、BEV向けの製品の開発・生産を推進する資金として社債の発行による収入 49億円等により収入が
増加したものの、外部借入金の圧縮を進めたことで、長期借入金の返済による支出 277億円等により支出が
増加したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
415,565 |
10.4 |
|
米州 |
333,966 |
3.2 |
|
アジア |
235,568 |
△0.3 |
|
欧州・アフリカ |
33,302 |
19.1 |
|
合計 |
1,018,402 |
5.6 |
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注実績
当社グループ(以下「当社および連結子会社」)は、主にトヨタ自動車株式会社をはじめとして
各納入先より生産計画の提示を受け、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
403,262 |
12.8 |
|
米州 |
394,235 |
21.0 |
|
アジア |
240,493 |
△0.3 |
|
欧州・アフリカ |
33,116 |
20.9 |
|
合計 |
1,071,107 |
12.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先への販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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トヨタ自動車㈱ |
198,265 |
20.8 |
243,544 |
22.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる
見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上収益は、日本、米州を中心とした顧客の生産
台数増加等により、1兆711億円(前期比 12.5%増)と増収となりました。
利益については、増販効果や合理化努力等により、営業利益は 677億円(前期比 93.1%増)、親会社の
所有者に帰属する当期利益は 514億円(前期比 221.5%増)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりです。
a.当社グループの財務方針
2023年8月に公表した「2030事業計画」策定にあたり、成長性・安全性・効率性のバランスをとりながら
企業価値向上につなげる新たな財務方針を策定しました。これまでP/L偏重で、特に資産・資本効率の観点
が不足していましたが、改めて資本コストを意識した効率的な事業運営を進める、バランスシート
マネジメントを強化する考えを掲げています。
(成長性)
研究開発も含めた投資は、高成長・高収益が期待できる分野に重点的にリソーセス配分をしていき
ます。事業軸ではセーフティシステム・内外装、地域軸では米州・インドです。
例えば、成長が著しいインドでは、特にセーフティシステム分野での伸びが期待できます。新たな
法規制として6エアバッグ化が予定されており、従来の運転席エアバッグ、助手席エアバッグに加えて、
サイドエアバッグ、カーテンエアバッグも装着義務化されます。量、質ともに需要が倍増していくと
見込んでおり、研究開発体制、生産体制を拡充するとともに、地域特性を加味したマーケティング
も強化していきます。
(安全性)
成長機会を逃さぬよう、あらゆる投資機会に機動的に対応できる自己資金および資金調達力を確保して
いきます。手元資金に関して、安全性を重視する観点に変化はありませんが、グローバルでは、現金と
借入が両建てとなっており非効率な状況でした。グループファイナンスの導入により本社主導で資金の
効率化と平準化を進め、連結月商1か月に見直ししております。
(効率性)
資本コストを意識した効率的な事業運営を進めるため、TG-ROICと名付けた当社独自のROIC計算式を
用い、各事業・地域の固定資産・棚卸資産のリソーセスに見合ったリターンを追求するとともに効率化を
進めていきます。2030年のROE10%を目指して、連結でのTG-ROIC20%を目標に、各事業・地域の目標値を
設定し、事業ポートフォリオの改善につなげていきます。
株主還元については、安定的かつ継続的な増配を実現するため、DOE(株主資本配当率:配当額÷株主
資本(連結))2.5%を下限目標に設定しました。また、適切な資本構成を構築するため、機動的な自己
株式の取得にも取り組み、従来以上に資本効率向上も意識して、投資家の皆様の期待に応えていきます。
加えて、非財務情報を含む積極的な情報開示や、株主構成の多様化、特に個人株主の増加を図ることで
株主資本コストの低減にも努めていきます。
b.資金需要
当社グループでは、当連結会計年度において、494億円の設備投資を実施しています。
今後も、重点とする各事業、地域を中心に、TG-ROICをモノサシにメリハリをつけた設備投資を実施する
とともに、安定的かつ継続的な増配を基本とした株主還元も実施します。また、事業環境や成長機会に
応じたM&Aやアライアンス、もしくは資本効率向上の観点からの追加的な株主還元に回すなど戦略的に配分
していきます。
c.資金調達方法
当社グループは、円滑な事業活動に必要な資金の流動性確保と財務の安定性・健全性維持を資金調達の
基本としており、金融機関からの借入や社債の起債など資金効率を考えた多様な資金調達を行っています。
また、グループファイナンスの導入により、グローバルでの資金効率も図っています。
当連結会計年度末における社債および借入金を含む有利子負債の残高は 1,383億円となっています。
d.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末 1,052億円に比べ 407億円増加し、1,460億円と
なりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要
②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、
「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(1)技術援助を受けている契約
技術援助を受けている契約で重要な契約等はありません。
(2)技術援助を与えている契約
技術援助を与えている契約で重要な契約等はありません。
当社グループの研究開発体制は、当社の開発本部・自動車関連の各事業本部・ライフソリューション事業本部
(日本地域)、海外子会社の豊田合成ノースアメリカ株式会社(米州地域)、豊田合成(中国)投資有限公司
(アジア地域)、豊田合成アジア株式会社(アジア地域)、豊田合成ミンダインディア株式会社(アジア地域)、
豊田合成ヨーロッパ株式会社(欧州・アフリカ地域)が連携し、グローバルな研究開発活動を展開しています。
最近の主な成果としては、新たに開発したホットスタンプ技術を用いた「トップコートレス ホットスタンプ
グリル」、車室内の快適性向上に寄与する「ヒータ機能付きアームレスト」、スマートフォンを置くだけで充電
できる車載用の「小型ワイヤレス充電ホルダの平置きタイプ」、燃料電池車MIRAIの水素貯蔵技術を応用した船舶
向けの「大型高圧水素タンク」、世界トップクラスの光出力で水や空気などを除菌する「高出力UV-C LED」などの
革新的な新製品・新技術を開発しています。
また脱炭素社会の実現に向けて、ゴム・樹脂製品のリサイクル技術やバイオ素材の開発、BEVをはじめとするCASEや
MaaSなどの新モビリティ社会への対応として、電動車向けの製品および生産技術の開発、更には今後の自動運転技術
の進展に対応した付加価値の高い製品開発なども積極的に推進しています。
なお、当事業年度に係る研究開発費は