第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

1. 経営の基本方針

当社グループの中核企業であるLINEヤフー(株)は、LINE(株)およびヤフー(株)を中心とした組織再編を経て、2023年10月に新会社として新たなスタートを切りました。

あわせて当社グループが追求するミッションも刷新し、新たに"「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。"をミッションに掲げ、その実現を目指しています。

情報技術の発展により、人々はインターネットを介してあらゆる知識・情報の取得と、世界中に向けた情報発信が可能になりました。今後も人々は情報技術の活用によって様々な制約から解放されるとともに、新たな未来を創っていくと当社グループは考えます。常にユーザーファーストの視点を貫き持続的成長に向けたサービスの向上に努め、人々や社会の課題を解決することに貢献し、当社グループの企業価値向上を目指します。

 

2. 目標とする経営指標

当社グループは主要財務指標として、全社の売上収益および調整後EBITDA(注)を重視しています。これらの指標を設定した理由は以下のとおりです。

売上収益:全ての収益の源泉となるものであり、成長性および収益性、事業規模を表す指標として採用しました。

調整後EBITDA:減価償却費及び償却費に加え、減損損失や企業結合に伴う再測定損益等の非経常かつ非現金の取引損益を除外することにより、経常的な収益性を把握できる指標として採用しました。

財務以外の主要指標として、ポータルサイトのYahoo! JAPANは月間ログインユーザーID数やログインユーザー利用時間等、コミュニケーションアプリのLINEは月間アクティブユーザー数(MAU)、DAU/MAU比率(MAUに占める日次アクティブユーザー数(DAU)の比率。アクティブ率)等をそれぞれ重視しています。そのほか、事業別の主要指標は以下のとおりです。

メディア事業:広告関連売上収益、「LINE公式アカウント」アカウント数等

コマース事業:eコマース取扱高等

戦略事業:PayPay(株)の「PayPay」取扱高、「PayPay」決済回数、PayPayカード(株)の「PayPayカード」クレジットカード取扱高、PayPay銀行(株)の銀行口座数等

(注)調整後EBITDAは、IFRSにおいて定義された財務指標ではありませんが、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として当該指標を採用しています。そのため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。

 

3. 中長期的な会社の経営戦略

(1)経営環境

近年、情報技術が発達し、社会のあらゆる領域でオンラインとオフラインの境目は急速に失われつつあり、インターネットの可能性が飛躍的に広がる中で、ビッグデータの価値が加速度的に高まっています。 日本政府が提唱する「Society5.0」にあるとおり、データを用いて経済発展と社会課題の解決を両立するサービスや事業を創り出す企業が求められています。

さらに世界中でキャッシュレスやIoT、ビッグデータ等、インターネットを介し、革新的で高い利便性を持つサービスが次々と生み出され、生活の新しいスタンダードになりつつあります。加えて、生成AI(人工知能)の進化と普及により、世界中で開発競争が激化し、今後もデジタル・トランスフォーメーション(DX)が一層加速していくことが予想されます。

当社グループの展開する事業はメディア事業、コマース事業、並びに戦略事業に大別されます。

メディア事業では、多様なメディアサービスを提供し、企業等の広告を掲載することで収益を上げています。(株)電通の発表によると、2023年の日本の総広告費は通年で前年比3.0%増の7兆3,167億円で、1947年に同社が推定を開始して以降、過去最高となりました。中でもインターネット広告費は前年比7.8%増の3兆3,330億円と、社会のデジタル化を背景に継続して高い増加率を保っており、日本の総広告費全体の成長をけん引しています。また、インターネット広告費の約8割を占めるインターネット広告媒体費は、検索連動型広告やビデオ(動画)広告の成長により、前年比8.3%増の2兆6,870億円となりました。インターネット広告媒体費は、検索連動型広告とディスプレイ広告の2種が全体の約7割を占め、ビデオ(動画)広告は前年比15.9%増で全体の2割強を占めています。

コマース事業では、eコマースを中心とした多様なサービスを展開しています。経済産業省の調査によると、2022年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は前年比9.9%増の約22.7兆円、物販系分野におけるEC化率は9.13%となりました。2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の拡大による社会的影響が落ち着きを見せ、2022年は買い物の実店舗回帰の動きも見られましたが、物販系ECの市場規模は2023年も引き続き拡大しています。一方で、耐久消費財を中心とした販売価格上昇による需要減退等も伸び率の鈍化に影響し、物販ECの市場成長率は、比較可能な2014年以降でもっとも低くなりました。

戦略事業では、Fintechを中心とした多様なサービスを展開しています。経済産業省の調査によると、2023年の日本のキャッシュレス決済比率は前年比3.3ポイント増の39.3%と着実に上昇している一方で、諸外国との比較では依然として低水準にとどまっています。経済産業省はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度、将来的には世界最高水準の80%まで上昇させることを目標としているため、日本のキャッシュレス決済市場は今後も拡大が予想されます。

 

(2)経営戦略

当社グループは、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供する、世界的にもユニークな企業グループです。当社グループの提供する多様なサービスから得られる豊富なデータは、当社グループならではのサービスを創り出すための重要な競争優位性となります。各サービスから得られるデータを横断的に活用することで、利用者一人ひとりに最適化されたサービスを提供し、さらに質の高い利用者体験の提供を目指します。また、豊富なデータ量と多様性あふれるデータ資産を持ち合わせた国内最大級のデータ所有者として、その能力を最大限に引き出し、社会全体の価値を向上させる企業を目指します。

 

(3)主要セグメントの基本方針

メディア事業

メディア事業では、日常に欠かせない多様なメディアサービスを提供することで多くの利用者を集め、広告により収益を上げています。ユーザーファーストの理念に基づき、必要とされるサービスを適切なタイミングで提供することに日々努めています。メディアとしての信頼性を高めることが、結果として中長期的なユーザー数の拡大、広告売上収益の増加につながると考えています。

また当社は、グループの技術やアセットを活用しながら、認知から興味・関心といった「新規顧客獲得のためのファネル」に加えて、購入からCRMの「優良顧客化のためのファネル」まで一気通貫で支援する、新たなマーケティングソリューションを実現していきます。

2023年11月からクロスユース施策としてLINE・ヤフーの新たな会員サービス「LYPプレミアム」の提供を開始しました。旧Yahoo!プレミアムで提供していた特典に加えて、「LINE」アプリがもっと楽しく便利になる特典を利用できるサービスを通して新規会員を獲得し、LINEヤフーグループのサービス利用の拡大を目指します。

 

コマース事業

コマース事業では、eコマース関連サービスを提供しています。国内最大級のユーザー基盤を持つ「LINE」、「ヤフー」、「PayPay」の3つの起点をつなげ、グループサービス間のクロスユースを促進し、グループ経済圏を拡大することで、収益の持続的な成長を目指します。グループサービスの特典を組み合わせた「LYPプレミアム」により、eコマース取扱高の増加を図るとともに、「PayPay」や「PayPayカード」等の会員数および取扱高増加にもつなげています。

また、今後の取り組みとして、LINEアプリのリニューアルを予定しています。新たに「ショッピング」タブを追加することで、メッセンジャーアプリを起点とした購入体験を提供します。LINEアプリのリニューアルを通じて、LINEの利便性向上と、さらなるクロスユースの促進強化に取り組みます。

 

戦略事業

戦略事業では、Fintechを中心とした多様なサービスを展開しています。国内のQRコード決済市場において6割以上のシェアを占める キャッシュレス決済サービス「PayPay」を起点に、クレジットカード、銀行、証券、保険等の様々な金融サービスの拡大を図ります。

 

 

4. 優先的に対処すべき課題

当社グループは、3.(2)の経営戦略を実行するにあたり、最優先課題として個人に関する情報(以下、パーソナルデータ)の保護をはじめとするセキュリティの強化に取り組んでいます。横断的なマルチビッグデータの利活用を進める上で、最も大切な基本姿勢は利用者の方のパーソナルデータを尊重することです。当社グループは、プライバシーポリシーを策定し、同ポリシーに基づいて適切にパーソナルデータを保護していくことに努めてまいります。

なお、当社は2023年度において、①2023年11月に公表しました不正アクセスによる情報漏洩等に関して総務省から指導および個人情報保護委員会から勧告等を受け、また②2023年8月に公表したインターネットオークションサービスの不具合に関して個人情報保護委員会から指導を受けました。多数のユーザーを抱えるプラットフォーム事業者としての信頼を損なう重大な事態であると重く受け止め、再発防止を推進してまいります。具体的な再発防止策およびその進捗状況については、総務省および個人情報保護委員会に報告するとともに、当社のコーポレートサイト上の特設ページ(※)にて適時適切に公開してまいります。

※特設ページ:

■URL:https://www.lycorp.co.jp/ja/privacy-security/recurrence-prevention/

■掲載内容:指導・勧告等の内容、再発防止策・その進捗状況等に関する最新の状況(随時更新)

 

当社グループは突発的な事故や自然災害等に対する施設面・業務面でのリスクマネジメントの徹底にも努めています。現代社会において、インターネットは生活やビジネスに欠かせないインフラであり、その中で当社グループの担う公共的な責任も年々増していると考えるためです。また当社グループは、コーポレートガバナンスを中長期的な企業価値の拡大に必要不可欠な機能と位置付けています。少数株主を含む全株主の利益に適う経営が実現できるよう、ガバナンス体制の強化に努めています。加えて、企業の社会的責任を果たすための取り組みや、企業経営のリスクに対応するための内部統制システムの構築および運用についても、一層の強化を図ります。

あわせて、企業の価値創造の源泉である人材のパフォーマンス最大化も、重要な課題のひとつです。そのため当社グループは、仕事に対する社員の意識や仕事の質のスダンタードを向上させる仕組み・制度の整備を進めています。当社グループでは、働く人の心身のコンディションを最高の状態にすることが最大のパフォーマンスにつながり、働く人自身とその家族の幸せにつながると考えており、代表取締役社長による「健康宣言」を行なっています。これらの取り組みの結果、経済産業省および日本健康会議による「健康経営優良法人2024 (大規模法人部門)」通称「ホワイト500」に選定されました。今後も全ての社員が心身ともに最高の状態で仕事に向き合えるような環境整備に、継続して取り組んでまいります。

※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

1.サステナビリティ全般

 

(1) ガバナンス

当社は、グループ会社横断でサステナビリティを巡る諸課題への取り組みを推進するべく、最高意思決定機関である取締役会の監督のもと、執行機関としてサステナビリティ委員会を設置し、原則年4回開催しています。

サステナビリティ委員会は、代表取締役社長が委員長を務めるほか、CFOや社外取締役等の委員によって構成され、当社グループの重点課題(マテリアリティ)やサステナビリティ領域の方針・各種施策に関する審議・意思決定、推進状況のモニタリングを行います。2023年度のサステナビリティ委員会では、気候変動や自然資本等における対応方針や、人的資本等のESGにかかる戦略について討議を行いました。サステナビリティ委員会に連なる組織として、「環境分科会」および「人権分科会」を設置しています。これらの分科会では、グループ各社の環境・人権責任者が委員に就任し、当社グループとしての方針・施策検討や、グループ各社における施策の推進等を進めています。

監督体制においては、サステナビリティ委員会は取締役会に重要事項の付議・報告を行い、また独立社外取締役で構成されたガバナンス委員会に対しても適宜報告を行います。取締役会は付議された重要事項の審議・決議を行うことを通じて、サステナビリティ推進状況を監督しています。

また、取締役※のサステナビリティ推進へのコミットメントを図るべく、役員報酬のうち、現金賞与額決定の指標として±5%の範囲でサステナビリティ評価を組み込んでいます。サステナビリティ評価は、ミッションおよび中長期的な企業価値向上の実現に向けてカーボンニュートラルの進捗度、多様性に関する指標、データガバナンスをはじめとした各マテリアリティ指標における前年度の実績に加えてESG評価機関の外部評価によって構成されています。なお、サステナビリティ評価の指標(±5%)は独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会にて決議されています。報酬ポリシーは下記リンクよりご覧ください。

https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/governance/corporate-governance/#anc8

 

※監査等委員である取締役を除く。

 


リスクマネジメント体制の詳細は、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(2) リスク管理

当社は、取締役会監督のもと、代表取締役社長をリスクマネジメント最高責任者としたERM( Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)体制を構築し、包括的に当社およびグループ会社における経営および事業に関わるリスクを的確に把握し対応するための全社横断的なリスク管理体制を整備しています。

サステナビリティ関連のリスク管理はERM体制に統合されており、リスクマネジメント委員会およびリスクマネジメント室と連携のもと、ESG推進室が環境・社会リスクを主管しています。環境・社会リスクについては、リスク主管部門であるESG推進室が事業部門およびグループ会社から収集したリスクアセスメント結果をもとにリスクの識別・評価・優先順位付け・モニタリングを行い、サステナビリティ委員会配下の環境分科会・人権分科会に報告の上、リスクへの対応策を検討・実施しています。なお、リスク管理の詳細は「3 事業等のリスク」、気候変動に関するリスクと機会については、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「3. 気候変動に対する取り組み」をご参照ください。

 

(3) 戦略

当社グループは、“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。”をミッションとしています。私たちは事業を通じて社会にポジティブなインパクトをもたらすと共に、地球環境や人権等を含めた社会課題に向き合い、未来世代に責任を持ったサステナビリティ経営を推進していきます。推進にあたって、以下のサステナビリティ基本方針と6つのマテリアリティ(重要課題)を定めています。

1.サステナビリティを社会、事業の両軸で捉え推進する

2.グループ各社の特性を活かしながら、一丸となってサステナビリティに取り組む

3.前例に捉われずにチャレンジし、イノベーションを継続的に生む努力をする

 

 

① マテリアリティ策定プロセス

当社グループはステークホルダーとともに、持続可能な社会およびミッション“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。”を実現するべく、重点課題(マテリアリティ)を策定しています。

 


 

② 評価マップ

ステークホルダーの期待と、当社内での分析を踏まえ、GRIスタンダード、主要なESG評価項目等を参考に、社会からの要請に照らして自社の活動を整理し、ステークホルダーと当社の双方にとって重要性の高い項目を抽出しました。


 

③ 特定マテリアリティ

評価マップを踏まえ、当社グループのミッションを実現する「6つのマテリアリティ」を特定しました。

 


 

④ サステナビリティに関するリスクと機会

当社グループは、未来世代に責任を持ったサステナビリティ経営を推進するべく、当社グループをとりまく環境・社会課題をリスクと機会含め網羅的に捉えた上で6つのマテリアリティを策定しています。特に気候変動問題については、世界的に重要な課題として広く認識されていることに加え、当社の事業においてもデータセンター稼働等に電力を大量に使用していることからリスクと機会の両面で企業価値に影響を与える可能性が高いと考えています。また、データセンター稼働時にはサーバーの冷却等のため水資源に大きく依存しており、気候変動による水枯渇リスクへの対応とともに自然資本の持続的な活用も不可欠であると認識しています。そのため、当社は持続可能な成長を遂げる上で「気候変動への対応」および「自然資本の持続可能な活用」を重要な経営課題として認識し、リスクと機会を特定しています。リスクと機会の詳細は、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「3.  気候変動に対する取り組み」をご参照ください。

 

(4) 指標と目標※1

当社グループは、特定したマテリアリティ毎に「実現に向けた取り組み」および「評価指標」※2を設定し、取り組みの進捗を継続的にモニタリングしています。加えて、当社グループの事業環境や社会情勢に鑑みて中長期で優先して取り組むべき課題を順次見直し、サステナビリティ委員会決議の上、特に優先すべき課題として指標および目標を設定し、目標の達成に向けて取り組みを進めています。

 

※1当社は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏えいを最優先で対処すべき経営課題として認識し、安全管理措置および委託先管理の抜本的な見直しおよび対策の強化、親会社等を含むグループ全体でのセキュリティガバナンスの本質的な見直しおよび強化、適切な情報提供等利用者対応の徹底を推進しています。具体的な再発防止策およびその進捗状況は下記特設ページよりご覧ください。

 https://www.lycorp.co.jp/ja/privacy-security/recurrence-prevention/

 

※2「評価指標」は取り組みの進捗をグループ内で把握し、更なる施策を検討する目的で設定しているため非開示情報を含みます。なお、主な開示実績は以下サイトよりご覧ください。

 https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/management/#anc4

 

① データ/AIを活用した新たな体験(WOW/!)の提供

便利で感動的なユーザー体験は、新たな機能や優れたUI/UXの提供に加え、データ/AIを駆使したアプローチから生まれます。当社の存在意義は、多様なサービスのクロスユースを促進し、データ連携によりデータの質を高めた上でAI解析を行うという手順を効果的に繰り返し、新たな体験を生み出すことにあります。そのために体制構築・技術投資・教育等を推進してまいります。

 

実現に向けた取り組み

評価指標

データ連携の推進とクロスユースの促進

・国内総利用者数
・Yahoo! JAPANログインユーザーID数
・LINE月間アクティブユーザー数
・PayPay累計登録者数
・グループID連携率
・PayPayとヤフーショッピングのクロス利用者数
・クロスユース率

データAI活用方針と体制の構築(UPDATE)

・AI倫理基本方針の適切な内容への見直し
・取り組みに向けた体制のUPDATE

AIのサービス開発促進に向けた技術投資・教育の推進

・パテントスコア(特許の注目度を指標化)
・AI領域の出願件数
・技術投資内容(金額・概要)
・AIモデルリリース数
・トップカンファレンス論文採択数
・データガバナンスEラーニング受講率

 

 

② 安心・安全なデジタルプラットフォームの運営※

安心・安全なITサービスの提供は、社会のニーズであり、信頼、評価につながります。そのためには、事故ゼロを目指したグループ横断的な教育の実施が不可欠であると考えます。また、デジタルプラットフォーマーとしての責任として健全な運用の仕組みを構築し、その取り組み内容を透明性を持って開示してまいります。

 

実現に向けた取り組み

評価指標

健全な運用の仕組みを構築

[内部統制]
・データプロテクション基本方針(適宜必要な検証と改善)の開示
・基本方針に基づく実施体制(情報セキュリティマネジメント体制)の更新と開示(DPOの設置等)

・開発工程チェックリストの作成と運用の徹底
・重要インシデント再発防止策、管理プロセスの構築
・違法有害情報対策事例の開示
・メディアサービスにおける表現の自由に関する方針と取り組みの開示

・透明性レポートの開示

 

[外部連携]
・有識者からの提言活用
・省庁等による先進実証や取組みの採択数
・セキュリティ関連団体との連携体制の更新と開示

セキュリティ・プライバシー保護関連の

教育や技術の向上

・セキュリティ・プライバシー関連教育の実施(受講者数、受講率、実施回数)
・Yahoo! JAPANパスワードレスログイン数

セキュリティ関連事故の低減・防止

・セキュリティ関連の第三者認証
・主要子会社での行政処分や一定の行政指導の件数

 

※当該マテリアリティは不正アクセスによる情報漏えいへの再発防止策および進捗状況を踏まえて、速やかに更新してまいります。

 

③ しなやかで強靭な社会基盤の構築

不確実が増す世界は、社会のレジリエンスを高める必要に迫られています。デジタライゼーションにより新たな顧客体験の提供や新たな事業価値を創造してきた当社グループは、より長期的、より広い視野に立ち、社会基盤の構築に貢献していきたいと考えます。そのために、「防災・減災と復興支援」「3R推進」「DX推進」「情報格差の是正」を重点領域とし、社会と連携して取り組んでまいります。

 

実現に向けた取り組み

評価指標

情報技術を活用した防災・減災の推進と復興時までの社会支援

・自治体との支援協定数による人口カバー率
・寄付額・寄付件数、助成額・助成件数
・防災関連の情報提供サービス数

リデュース・リユース・リサイクル(3R)の推進

・リユース事業取扱高
・環境省等実証事業への採択
・紙リサイクル

DX推進

・LINE公式アカウント数
・PayPay累計登録者数
・PayPay加盟店数
・自治体連携数
・産学連携数
・オンライン行政手続き導入自治体数

サービスの継続提供と情報格差是正に向けた社会的アプローチを推進

・BCP関連指標(BPO、RTO、RLO等)によるマネジメント
・情報モラル教育(児童・生徒、保護者、教員)、デジタルデバイド対策(高齢者)

上記リテラシー向上プログラムそれぞれの受講者・採用自治体の

人口カバー率

 

 

④ 人材の強化

インターネット事業における競争力の本質は、革新的なサービスやプロダクトの創出力にあり、これは社員の力によって支えられています。社員が活力を持って働き、卓越したサービス・プロダクトを生み出すサイクルを確立することが、LINEヤフーにとっての最優先事項の一つです。

そこで当社は、社員がパフォーマンスを最大限に発揮し、組織全体の成長力向上に寄与するために、「人と事業をつなぎ、人材と組織のパフォーマンスを最大化する」を人材戦略の根幹に掲げました。具体的には、「人材強化」と「カルチャー醸成」を二つの主軸としており、特に、「人材強化」については、重点課題(マテリアリティ)の一つに位置付けています。また、グループ内再編以前は、各社の風土、制度、環境等の違いが強みである一方、グループとしての一体感醸成につながらなかった背景もあり、「カルチャー醸成」を掲げることで、LINEヤフーとしての独自のカルチャー創出につなげ、ミッションの実現に寄与することを目指しています。人材戦略の二つの主軸である「人材強化」と「カルチャー醸成」について、全従業員を対象に毎月実施しているエンゲージメント調査項目や、定期的な実施を予定している DE&I調査項目等を通じて、その進捗を測ることとし、グループ内再編時点よりも維持・向上を図っていくことを目指してまいります。

また、多様性の観点から、女性管理職比率を重要な指標と捉えており、具体的な人材戦略および指標と目標の詳細は、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「2. 人的資本・多様性に対する取り組み」をご参照ください。

 

実現に向けた取り組み

評価指標

各社・グループの成長戦略実現に寄与する採用・人材獲得の推進

・新卒採用人数
・中途採用人数
・新規採用男女比率

新たな価値創出につながる多様性の確保

・男女管理職比率、男女管理職登用人数比率
・外国人比率
・障がい者雇用率
・男女の平均年間給与(中央値)比率
・育児休業取得率(男女)

学び・経験機会の創出

・研修時間
・研修費用 
・AIアカデミア累計受講者数等
・TECH系研修時間、費用、累計受講者数等

Well-beingの向上

・健康診断受診率
・ストレスチェック受験率
・ハラスメントチェック受講率
・有給休暇取得率
・新しい働き方の浸透度(在宅勤務利用者数等)

 

 

⑤ 未来世代に向けた地球環境への責任

当社グループは、主要な事業の一つであるインターネットメディア/サービスの性質上、データセンター稼働等に必要となる電力やサーバー冷却等に不可欠な水資源に大きく依存しています。また、自社のみならず連携する企業も多岐にわたることから、サプライチェーン全体での影響は甚大です。これらの活動で排出する「温室効果ガス」や「水資源」への依存を減らしていくことは、「未来世代に向けた地球環境への責任」であるとともに、自社の「原材料調達力」を高め事業リスクを低減させることに繋がると考えています。なお、当社における気候変動対策の詳細は、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「3. 気候変動に対する取り組み」をご参照ください。

 

特に優先すべき課題

・カーボンニュートラル

 指標: 温室効果ガス排出量

 目標: LINEヤフーグループとして2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2)

        LINEヤフーとして2025年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2)

 実績: 117,759 t-CO2(LINEヤフーグループ、2022年)

     99,433 t-CO2 (LINEヤフー、2022年)

 

・ネットゼロ

 指標: 温室効果ガス排出量

 目標: LINEヤフーグループとして2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ3)

 実績: 3,278,437 t-CO2(2022年)

 

・水資源の保全

 指標: 水使用量(売上収益100万円あたり)

 目標: LINEヤフーグループとして2030年までに10%削減(2022年度比)

 実績: 0.376㎥(2022年度)

 

実現に向けた取り組み

評価指標

気候変動への取り組み(脱炭素)
 スコープ1&2:CO2排出量を2030年度までに実質ゼロ(RE100コミットメントの履行)
 スコープ3:2050年ネットゼロの達成(SBT ネットゼロスタンダード)を念頭にスコープ3の把握と削減に取り組みSBT認定を目指す

・スコープ1&2のCO2排出量
・スコープ3のCO2排出量
・スコープ3カバレッジ

自然資本の持続的な活用への取り組み
 資源循環:廃棄物リサイクルの取り組み推進
 水資源 :水資源枯渇エリアでの使用量把握、水利用表示項目の向上

・リサイクル率
・売上収益あたり廃棄物量
・売上収益あたりの水使用量

環境領域への継続的な投資

・環境投資額

・再エネ電力調達(再エネプラン、非化石証書、グリーン電力証書費)
・グリーンボンドおよびソーシャルボンド発行による調達金額

 

 

⑥ グループガバナンスの強化

業界・事業のスピード・成長に合わせた当社らしいグループガバナンスの体制を構築・向上させていくことを特に優先すべき課題として掲げています。人権をはじめとした中長期にわたる継続的な取り組みが必要な領域は、サステナビリティ委員会を中心に取り組みを推進していきます。また、コーポレート・ガバナンスの強化を目的として取締役会の実効性をさらに高め、当社グループの企業価値向上を図ることを目指します。

 

特に優先すべき課題

 当社らしさのあるコーポレート・ガバナンス体制の構築・向上

  指標: 取締役会の独立性・多様性

  目標: ①取締役会における独立社外取締役過半の実現

      ②取締役会における多様性方針/考え方の開示

  実績: ①株主総会「決議通知」における掲載

       https://www.lycorp.co.jp/ja/ir/stock/agm.html

      ②コーポレートガバナンス報告書への掲載

       https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/governance/corporate-governance/

 

実現に向けた取り組み

評価指標

グローバルな水準のデータガバナンス体制の構築※

・データガバナンス分科会の活動実態・充実化
・データプロテクション基本方針の推進
・データ領域のグループトップリスクの洗い出し、インシデントの把握

人権に関する基本方針(人権ポリシー)の

遵守と推進

・サプライチェーンを含む人権デューデリジェンスの実施

「当社らしさ」のあるコーポレート・

ガバナンス体制の構築・向上

・取締役会実効性評価の内容(コーポレート・ガバナンス報告書等での報告)
・情報開示(質・量)の継続的改善
・企業価値向上(市場・機関投資家、ESG評価機関等からの評価含む)
・外国人/女性取締役比率の向上

 

※当該「実現に向けた取り組み」および「評価指標」は、不正アクセスによる情報漏えいへの再発防止策および進捗状況を踏まえて、速やかに更新してまいります。

 

 

 

 

2.人的資本・多様性に対する取り組み

 

(1) 戦略

当社はグループ内再編を機に新たに“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。”をミッションと定め、圧倒的なプロダクトドリブンを目指す姿として位置付け、人々に驚きや感動を与える新たな価値創出に挑戦していきます。

インターネット事業における競争力の本質は、革新的なサービスやプロダクトの創出力にあり、これは社員の力によって支えられています。これまで、LINEやヤフーの数々のサービスを創り上げ、事業を牽引してきた多くの社員の存在が当社の強みであり、社員がさらに活力を持って働き、卓越したサービス・プロダクトを生み出すサイクルを確立することが、最優先事項の一つです。

そこで当社は、社員がパフォーマンスを最大限に発揮し、組織全体の成長力向上に寄与するために、「人と事業をつなぎ、人材と組織のパフォーマンスを最大化する」を人材戦略の根幹に掲げました。具体的には、「人材強化」と「カルチャー醸成」を二つの主軸としており、特に、「人材強化」については、重点課題(マテリアリティ)の一つに位置付けています。また、グループ内再編以前は、各社の風土、制度、環境等の違いが強みである一方、グループとしての一体感醸成が課題であった背景もあり、「カルチャー醸成」を掲げることで、LINEヤフー独自のカルチャー創出につなげ、ミッションの実現に寄与することを目指します。

 

LINEヤフー人材戦略全体像


 

■人材育成方針(人材強化・成長支援)

DX、AI、データの活用等に優れたスキルや経験を有し、数多くのサービスを創出し、事業を牽引してきた社員をはじめ、他社にはない人材ポートフォリオが当社の強みです。その社員の成長に資する多様な機会を創出することで社員とプロダクト双方の持続的な成長を目指し、社員は変化や挑戦を楽しみながら、プロダクト創りを通じて自らの成長機会を探求し続ける。そのための機会・環境の構築に取り組んでいます。

具体的には、各種研修・企業内大学「LINEヤフーアカデミア」や、リスキリングも含めたスキル・知識向上機会の提供、社員一人ひとりのさらなる成長機会として、社内公募・グループ会社間公募を通年で実施しています。

また、当社では人事評価制度は、社員一人ひとりの成長を促進し、能力を最大限発揮できるように支援するために機能するものと位置づけ、重点領域にも掲げています。目標・評価のシステムは組織やプロダクトと社員双方の成長ドライバーであり、組織や事業の変化に応じて常にシステムの改善も必要になると考えています。システムのたゆまぬアップデートによりさらなる成長につなげていきます。

 

重点領域

施策の方向性

人材開発

各種研修やeラーニング等を通じ、リスキリングも含めたスキル・知識の向上機会を提供し、社員一人ひとりの成長促進を支援

評価・処遇

人や組織のパフォーマンスを可視化し、更なる成長につなげるための評価制度を導入し、フィードバックを通じた気づきや社員の処遇にも反映させることで、やりがいと成長の両軸で社員を支援

人材ポートフォリオ強化

社内にとどまらず、グループ各社も含めた幅広い経験機会を提供する等、採用のみならず、適材適所の実現による人材ポートフォリオの強化により、事業戦略の実現に寄与

 

 

評価プロセス

 

■社内環境整備方針(人材強化・環境づくり)

・人権を尊重し、社員の誰もがその属性やライフステージに関わらずパフォーマンスを発揮できる環境づくりに取り組んでいます。新会社の発足に伴い、全社DE&I意識調査を実施してさらに多様性の高まった新たな社内の状況や社員の意識を可視化し、その調査結果に基づいて「LINEヤフー DE&I基本の考え方」を定めました。

DE&Iを推進していくことは、プロダクトドリブンをより加速し、ミッションを実現する上で大切だと考えています。イノベーションを創出し、多くのユーザーを感動させるプロダクトを創るためには、作り手である社員自身が多様であること、そして多様性への理解と尊重が不可欠だと考えているからです。

そのために、以下を当社におけるDE&Iの基本的な考え方として、取り組んでいきます。

 ―共に働く仲間、それぞれが持つ属性や個性、文化について互いに理解・尊重すること

 ―同じゴールをめざすために、違いを知り、率直な議論と対話をすること

 ―誰もがその属性やライフステージに関わらず、能力を最大限に発揮できる環境をみんなで作ること

 

・当社では、全ての社員が協調し、チームとして最も高いパフォーマンスを発揮するために、社員が個々の多様なライフスタイルやライフステージに応じて最適な労働場所やスケジュールを自律的にマネジメントしています。情報技術を活用して場所や時間の制約を取り払うことで、個人と組織の生産性向上を目指しています。同時に、深夜時間帯や休日勤務を前提とした働き方は従来どおり認められないものとし、社員の健康を守ります。

 当社共通の働く環境はオンラインです。社員には自身が最も業務パフォーマンスを発揮できる働く環境を自律的に構築し、オフィスワークとリモートワークそれぞれのメリットをハイブリッドに活かすことを期待しています。

 

・働くwell-beingの向上を目指し、当社グループでは代表取締役社長による「健康宣言」のもと、全ての働く人が心身ともに最高のコンディションで業務に従事することができる企業を目指し、様々な取り組みを行っています。具体的には、生活習慣病対策やメンタルヘルス対策、過重労働対策、女性のための健康支援等を実施しています。 当社は、2024年3月に日本健康会議による「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」通称 「ホワイト500」に選定されました。今後も、全ての働く人が心身ともに最高のコンディションで仕事に向き合うことのできる企業を目指していきます。

 

重点領域

施策の方向性

多様性

相互理解・尊重、議論と対話により、誰もがその属性やライフステージに関わらず、能力を最大限に発揮できる環境を実現

働き方

柔軟な働き方のための制度や仕組みを整えることで、人と組織がパフォーマンスを最大化できる環境を整備

Well-being

社員一人ひとりの心身の健康に着目し、健康経営やライフサポート施策の充実により、働くWell-beingを向上

 

 

 また当社では、異なるカルチャーを持った会社の再編であることをふまえ、まずはお互いを理解しあうことに始まり、ミッションを実現するために定義した働き方である「バリュー」を通じて、一体感の創出と当社ならではのカルチャー醸成につなげてまいります。

 

重点領域

施策の方向性

カルチャー融合を目指す機会創出

仕組やルールを共有する土壌を形成しつつ、社員同士がお互いを理解・尊重しあえる場を創出

社員個々人への共有と浸透

バリューの共有・浸透を図りながら、DE&I視点でも相互理解・尊重の重要性を強調

経営と社員の対話

経営の声を頻度高く、社員に届け、社員の声を聞く仕組み・機会を設ける

 

 

 

(2) 指標と目標

当社では、多様性の観点から、女性管理職比率を指標と位置づけ、現状18.5%を踏まえて、2030年までに、2023年10月1日時点の従業員男女比率と同等(33%)を目指すこととしています。

また、人材戦略の二つの主軸である「人材強化」と「カルチャー醸成」については、全従業員を対象に毎月実施しているエンゲージメント調査項目や、定期的な実施を予定しているDE&I調査項目等を通じて、その進捗を測ることとし、グループ内再編時点よりも維持・向上を図っていくことを目指してまいります。

 

■多様性(女性管理職)

指標項目

目標

2023年度実績

女性管理職比率

2030年までに従業員男女比率と同等(33)を目指す

18.5

 

 

■人材戦略

対象領域

主な指標項目

方向性

「人材強化」成長支援

エンゲージメント調査による

「成長支援」関連項目

グループ内再編時点よりも維持・向上を目指す

「人材強化」環境づくり

エンゲージメント調査による

「環境づくり」関連項目

グループ内再編時点よりも維持・向上を目指す

「カルチャー醸成」

エンゲージメント調査による

「カルチャー醸成」関連項目

グループ内再編時点よりも維持・向上を目指す

 

なお当社は、2023年10月1日にグループ内再編したことに鑑み、まずはLINEヤフー単体での考え方を記載するとともに、女性管理職比率以外の具体的な指標および目標については現在策定中となります。

 

 

3.気候変動に対する取り組み

 

(1) ガバナンス

当社は、最高意思決定機関である取締役会の監督のもと執行機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、原則年4回開催しています。「サステナビリティ委員会」は、代表取締役社長が委員長を務めるほか、CFOや社外取締役等の委員によって構成され、気候変動対応・水資源の保全・生物多様性保全・資源循環社会の構築等を推進しています。「サステナビリティ委員会」に連なる組織として「環境分科会」を2022年に発足し、グループ各社の環境責任者が委員に就任し、当社グループとしての気候変動対応や自然資本の保全等における方針・施策検討や、グループ各社における施策の推進を進めています。

監督体制においては、サステナビリティ委員会は取締役会に重要事項の付議・報告を行い、また独立社外取締役で構成されたガバナンス委員会に対しても適宜報告を行います。取締役会は付議された重要事項の審議・決議を行うことを通じて、サステナビリティ推進状況を監督しています。

また、取締役※のESG推進へのコミットメントを図るべく、役員報酬のうち、現金賞与額決定の指標として±5%の範囲でサステナビリティ評価を組み込んでいます。サステナビリティ評価は、ミッションおよび中長期的な企業価値向上の実現に向けてカーボンニュートラルの進捗度をはじめとした各マテリアリティ指標における前年度の実績に加えてESG評価機関の外部評価によって構成されています。なお、サステナビリティ評価の係数(±5%)は独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会にて決議されています。なお、報酬ポリシーは下記リンクよりご覧ください。

https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/governance/corporate-governance/#anc8

※監査等委員である取締役を除く。

 

当社は、こうした地球環境保全への取り組みを、重要な経営課題と認識しマテリアリティ(未来世代に向けた地球環境への責任)に特定し、取り組みの指針となる「環境基本方針」を制定しています。

 

<環境基本方針>

私たちLINEヤフーおよびLINEヤフーのグループ会社で構成されるLINEヤフーグループは、情報技術の活用により、未来世代に向けた地球環境保全への取り組みを継続的に実践します。

 

1. 脱炭素社会の実現

  環境負荷低減の中期目標を設定し、その達成に向けサプライチェーンと共に取り組みます

2. 自然資本の保全

 ・事業による生態系への影響に配慮し、持続可能な調達、廃棄物対策および水資源・生物多様性の

  保全に努めます

 ・地球環境保全の取り組みを支援します

3. 法令遵守と国際的責任の遂行

 ・環境問題を重要視し、リスク低減に努めます

 ・環境保全に関わる国内法令を遵守します

 ・国際環境イニシアチブに賛同し、国際社会と協調して気候変動対策に取り組みます

4. サービスを通じた、社会との連携

 ・気候変動にともなう自然災害に対して、自治体との連携や防災・減災サービスなどを通じ

  社会と連携します

 ・持続可能な社会の実現に向け、循環型サービスを拡充します

5. 未来を創る、教育・啓発活動

  社員の一人ひとりが、環境問題の重要性を理解し、環境に配慮したサービスの改善や

  イノベーションの創出ができるよう、教育・啓発活動を行います

 

 

(2) 戦略

気候変動は重要な経営課題と認識しており、マテリアリティ(未来世代に向けた地球環境への責任)の実現に向けた取り組みに定めています。その実現に向けてITのチカラを活用し、当社グループおよびサプライチェーンと共に電力の再エネ化等脱炭素社会の実現をめざしていきます。気候変動対応と繋がりのある自然資本についても、水資源や生物多様性の保全等を通じた取り組みを推進していきます。こうした気候変動や自然資本への対応を、社会の幅広いステークホルダーの皆様と連携を深める事業機会としても捉え、チャレンジし続けていきます。

 

気候変動緩和へ向けた移行計画:

当社グループはグループ全社の事業活動での温室効果ガス排出量を2030年度までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」を2022年2月に発表しました。データセンターで利用する電力を再生可能エネルギーに切り替える等、100%再生可能エネルギー化に取り組んでいます。2030年度の達成に向けて、まずは2025年度頃までに、 80%以上を再生可能エネルギー化し、その後の5年間で100%再生可能エネルギー化および電気自動車の導入等を進めます。

 

短期・中期・長期のリスクと機会:

気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、2020年6月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)賛同表明を行いました。TCFD提言を参照し、短期:2022~2025年、中期:2025~2030年、長期:2030~2050年、と期間を区切って特定し、短期・中期・長期のリスクと機会を分類し開示しています。なお、自然資本に関わるリスクと機会も併せて記載しています。

 

 

リスクと機会

※短期:2022~2025年、中期:2025~2030年、長期:2030~2050年

TCFD提言に基づく

リスクと機会の分類

想定される主なリスクと機会 ● は重要度が高い項目

時間軸

リスク

移行リスク

法や規制に関するリスク

● 炭素税・排出量取引の開始

<当社グループのリスク>

・炭素税や排出量取引の導入によるコスト増加

短~中期

テクノロジーリスク

電力・エネルギー価格の推移

<当社グループのリスク>

・火力発電廃止に伴う電力不足や電力価格の高騰に伴うコスト増加

短~中期

● 消費電力・エネルギーの増加

<当社グループのリスク>

・消費電力やエネルギーが増えることによるコスト増加

・非常用電源の必要性が高まることによるコスト増加

・車両の脱炭素化に伴うコスト増加

短~中期

市場リスク

● ビジネス自粛や消費者心理の冷え込み

<当社グループのリスク>
・特に広告領域における売上収益減少

・コマース領域をはじめ個人購買行動の減少

・イベント中止の頻発による売上収益減少

短~中期

顧客の行動変化

<当社グループのリスク>

・生活必需品等における正常な流通がなされなくなるリスク

・プラットフォーマーとしてのオペレーションコスト増加

短~中期

レピュテーションリスク

気候変動対策への遅れ

<当社グループのリスク>

・ステークホルダーからの信頼低下とブランド力の低下

・取引先対象として選定される機会低下に伴う売上収益減少

・気候変動意識が高い将来世代の人材獲得の困難化

短期

気候変動対策に遅れている企業との取引

 <当社グループのリスク>

・ステークホルダーからの信頼低下とブランド力の低下

・該当する企業との取引停止に伴う売上収益減少

短期

物理的リスク

急性リスク

● 異常気象の激甚化

<当社グループのリスク>

・データセンターのダウンによる機能低下やデータ欠損の発生

・アクセスの過負荷や集中が発生する頻度の上昇リスク

・事業所やデータセンターの機能停止に伴うサービスの停止

・事業所やデータセンターの高所または高緯度への移設

・施設の損壊による改修等に係るコストの発生

・データセンターにおける冷却水の大量消費

・物流サービスの停止リスク

・取引先の事業停止リスク

短~中期

慢性リスク

気候パターンの変化

平均気温の上昇

<当社グループのリスク>

・屋外での活動を低下または停止せざるをえないリスク

・メディア等主要サービスの人員分散化

・傷病者の増加による業務遂行への影響

・通勤規制による業務遂行への影響

・サプライチェーン調達コストの上昇

・生活に適した地域の地価高騰

・水資源の調達・排水に関するリスク

・想定する災害規模/頻度の上昇

中~長期

 

 

TCFD提言に基づく

リスクと機会の分類

想定される主なリスクと機会 ● は重要度が高い項目

時間軸

機会

資源効率

● 技術革新

<当社グループの機会>

・省エネ、水利用量の削減、廃棄物処理等資源効率の向上によるコスト削減

長期

● 環境配慮

<当社グループの機会>

・物流における輸送配送手段および梱包資材のエコ化促進

短~中期

エネルギー

技術革新

<当社グループの機会>

・発電系の事業推進

・自社での再生可能エネルギーの確保

長期

製品と

サービス

ビッグデータ

<当社グループの機会>

・ビッグデータ/IT×気候変動ビジネス

・ビッグデータ/IT×生物多様性

・ビッグデータ/IT×在宅医療サービス等

・既存のインターネットサービス×気候変動対策機能の提供

・データやAIを活用した、在庫適正化や在庫廃棄の削減・個人情報法制の改定によるレコメンド精度向上

中期

サプライチェーン

<当社グループの機会>

・サプライチェーンにおける自前領域の拡大

・水資源の確保と販売

・グループのスケールメリットを活かした取組結果としてのCO2排出量削減

中期

● サービス 

<当社グループの機会>

・コマースにおける売れ筋の変化

・災害対応サービスの強化

・環境に優しい企業からの広告出稿増加

・回収スキームを実現した新たな資源循環型サービスの構築

短~中期

市場

技術革新

<当社グループの機会>

・労働力の機械化

・イベントのバーチャル化

・気候変動に左右されない農作物育成と販売、またはその支援

・地下開発の進展

長期

● ライフスタイル

<当社グループの機会>

・保険(生保、損保)ビジネスの需要増

・健康経営

・コマースでの宅配需要の増加

・募金や寄付等、メディアを通じた社会貢献

短~中期

行動変容

<当社グループの機会>

・気候変動対策が盛り込まれた商品やサービスを選択する購入者層の獲得

・人のつながりを大切にする文化

・居住地域の流動化

・地域のリスク分析ビジネス

・室内での活動を中心とする生活

中~長期

レジリエンス

事業の安定稼働

<当社グループの機会>

・多岐にわたるサービスによる事業の安定化

短~中期

 

 

戦略のレジリエンス:

メディア事業、コマース事業、Fintech領域を中心に新たな収益の柱を創出する戦略事業等、多様なインターネットサービスを展開する当社グループでは、データセンター、オフィス、物流センター等において事業を運営するための電力を使用しています。特に、データセンターによる消費電力量は当社グループ全体の大部分を占めていることからも、データセンターの効率性向上と再生可能エネルギー化がリスク回避につながると考えます。カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速することを目的に、環境問題の解決に貢献する事業に対する資金調達手段として、2021年国内インターネットセクターでは初となるグリーンボンドを発行しました。調達された資金(200億円)は、当社グループで利用するエネルギー効率の高いデータセンターの建設や改修等、データセンターへの投資およびデータセンター運営に必要な再生可能エネルギーの調達資金に充当しています。 早期にカーボンニュートラル化を達成することで移行リスクによる炭素税の負担を回避できるものと考えます。

 

自然資本への配慮:

当社は、昨今の非財務情報開示基準の標準化の流れや、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)による自然資本等に関する開示枠組み策定の動きに則り、水資源・生物多様性、資源循環等の自然資本に関わるリスクと機会を多面的な視点で捉え対応策を講じることで、ステークホルダーとの対話・協力を進め、持続可能な社会構築を目指しています。具体的な主な取り組みは、次のとおりです。

 

・水資源の保全を重要課題と認識し、当社グループの水使用量の目標を定めるとともに、水資源枯渇エリアでの使用量把握、水利用に関わる開示内容の拡充のため、財務・非財務報告を行っている連結対象グループ会社の拠点182箇所(重複して入居する拠点は1カウント)の地域について、世界資源研究所(WRI)のWater Risk Atlasツールを活用し水リスクの確認を行いました。

 

・当社はTNFDの理念に賛同し、2023年2月にTNFDフォーラムに加盟、2023年11月にTNFD Early Adoptersに登録しました。今後も、継続的にTNFD情報開示フレームワークに基づいた積極的な情報開示を進めていきます。

 

 

 

(3) リスク管理

リスク管理の体制とプロセス:

当社は、取締役会監督のもと、代表取締役社長をリスクマネジメント最高責任者としたERM( Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)体制を構築し、包括的に当社およびグループ会社における経営および事業に関わるリスクを的確に把握し対応するための全社横断的なリスク管理体制を整備しています。

気候変動や自然資本に関わるリスクはERMに統合されており、リスクマネジメント委員会およびリスクマネジメント室と連携のもと、ESG推進室が当該リスクを主管しています。

リスク主管部門であるESG推進室は、気候変動や自然資本に関わるリスクについて、事業部門およびグループ会社から収集したリスクアセスメント結果をもとに、リスクを識別・評価・優先順位付け・モニタリングを行い、サステナビリティ委員会配下の環境分科会へ報告の上、対応を協議・実施しています。なお、機会についてはマテリアリティを特定していく議論の中で、グループ各社各部門が事業・サービスの特性に応じた検討内容から抽出しています。

 

シナリオとメソドロジー:

シナリオ分析は、国際的な認知度や信頼性を考慮し、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)および気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)が策定したシナリオを参照しています。産業革命以前からの気温上昇を+1.5℃以内に抑えるシナリオとしてNZE(Net Zero Emissions by 2050)とSSP1-1.9を、+2℃相当のシナリオとしてAPS(Announced Pledges Scenario)とSSP1-2.6を、+4℃を上回るシナリオとしてSTEPS(Stated Policies Scenario)とSSP5-8.5を用いました。

 

(4) 指標と目標

当社グループは、主要な事業の一つであるインターネットメディア/サービスの性質上、データセンター稼働等に必要となる電力やサーバー冷却等に不可欠な水資源に大きく依存しています。また、自社のみならず連携する企業も多岐にわたることから、サプライチェーン全体での影響は甚大です。そのため、サプライチェーンを含めた温室効果ガス排出量や、水使用量は特に優先すべき課題として指標と目標を以下のとおり掲げています。なお、資源循環や環境投資額は評価指標を定めモニタリングを行っています(下表参照)。

 

特に優先すべき課題

・カーボンニュートラル

 指標: 温室効果ガス排出量

 目標: LINEヤフーグループとして2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2)

        LINEヤフーとして2025年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2)

 実績: 117,759 t-CO2(LINEヤフーグループ、2022年)

     99,433 t-CO2 (LINEヤフー、2022年)

・ネットゼロ

 指標: 温室効果ガス排出量

 目標: LINEヤフーグループとして2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ3)

 実績: 3,278,437 t-CO2(2022年)

・水資源の保全

 指標: 水使用量(売上収益100万円あたり)

 目標: LINEヤフーグループとして2030年までに10%削減(2022年度比)

 実績: 0.376㎥(2022年度)

 

実現に向けた取り組み

評価指標

2021年度

2022年度

気候変動への取り組み(脱炭素)

 スコープ1&2:CO2排出量を2030年度までに実質ゼロ(RE100コミットメントの履行)

 スコープ3:2050年ネットゼロの達成(SBT ネットゼロスタンダード)を念頭にスコープ3の把握と削減に取り組みSBT認定を目指す

スコープ1&2のCO2排出量(t-CO2)

142,063

117,759

スコープ3のCO2排出量(t-CO2)

2,743,708

3,278,437

スコープ3カバレッジ(%)

69.3

76.4

自然資本の持続的な活用への取り組み
 資源循環:廃棄物リサイクルの取り組み推進
 水資源 :水資源枯渇エリアでの使用量把握、水利用表示項目の向上

リサイクル率(%)

82.9

74.8

売上収益あたり廃棄物総排出量(t/百万円)

 

0.018

0.019

売上収益あたり水消費量 (m3/百万円)

0.386

0.376

環境領域への継続的な投資

環境投資額

(百万円)

4,752

4,918

再エネ電力調達(再エネプラン、非化石証書、グリーン電力証書費)(百万円)

591

グリーンボンドおよびソーシャルボンド発行による調達金額(百万円)

20,000

0

 

※2023年度数値は2024年6月末日までに下記ページにて公開予定です。

  https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/data/#anc1

※2022年度のスコープ3のCO2排出量はカバレッジの拡大等により前年度から増加しました。

 

3 【事業等のリスク】

 当社は、子会社・関連会社(以下、グループ会社という。また、当社と併せて、当社グループという。)を統括して管理する一方で、当社グループが、国内外において多岐に渡る事業を展開しています。これらの企業活動の遂行には様々なリスクを伴います。2024年3月31日現在において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクは以下のとおりです。

なお、これらは当社グループで発生し得る全てのリスクを網羅しているものではありません。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、2024年3月31日現在において判断したものです。

 

 当社では、ERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)に関する規程に基づき、包括的に当社グループにおける経営および事業に関わるリスク把握・評価を行い、企業価値の創出に繋げるERM活動を推進するとともに、リスクマネジメント委員会を開催し、リスクに係る意思決定を行います。

 

(1)リスクマネジメント:当社グループ全体にリスクマネジメントを運用することで、事業活動に関わる広域なリスクの分析を通じて的確に特定し、評価、対応を行っています。

(2)クライシスマネジメント:インシデントが発生した際、迅速かつ適切な初期対応を行い、事態の拡大防止と早期収束、再発防止策等の検討を行っています。

(3)基本ルール、計画、体制の整備:ERMプロセスの運用を支えるための方針、規程、規則等を作成しています。

(4)リスクインテリジェンス活動:事業環境および社会情勢変化等の外部情報を収集分析し、当社グループのリスクマネジメント関係者へ連携しています。

(5)リスクカルチャーの醸成、教育:リスクマネジメントの重要性をトップメッセージとして全従業員に向けて発信している他、グループ内の全ての関係者がリスクマネジメントの意識を持って日々の活動に取り組むことができるよう、あらゆるチャネルを使い、その意識の向上に努めています。

(6)外部公表情報対応:当社グループにおける重要なリスクおよびその取組状況を、各チャネルを通じて適時適切に公表しています。

 


 

・ERM体制

 当社グループは、リスクマネジメント最高責任者を代表取締役社長としたERM体制を構築し、ERMプロセスを円滑に実施することにより、リスクの低減、未然防止等を図っています。なお、外部基準としてISO31000のフレームワークを参照しています。

 

 


 

※リスクマネジメント委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、取締役(社外取締役を除く)およびCFO、CTO等リスクマネジメント最高責任者が指名するものを含めた人員とリスクマネジメント統括組織を所管する執行役員で構成され、グループ全体のリスクマネジメントを統括しています。

 

・リスクカテゴリー

 当社グループにおけるリスクを網羅的に捉えるべく、リスクカテゴリーを設定しています。

 

「戦略系リスク」

事業戦略リスク

組織の事業戦略および戦略目標に影響を与える、またはそれらによって生じるリスク

 

「非戦略系リスク」

財務

市場リスク

様々な市場のリスク・ファクターの変動により財務的影響を被るリスク

信用リスク

信用供与先の財務状況の悪化等により財務的損失を被るリスク

流動性リスク

必要な資金が確保できず資金繰りがつかなくなるリスク、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされるリスク

投資

投資リスク

企業間の投融資、M&Aにおいて投資した資産の価値が変動し影響を被るリスク

IT

システムオペレーションリスク

サービスの運営や維持に必要なオペレーションにおいてのミス、システムダウン又は誤作動、不備等に伴い損失を被るリスク

プロダクト品質リスク

提供するサービスや商品において品質管理が行き届かずユーザーに影響を与えるリスク

情報セキュリティリスク

情報システムやデータの破損および改ざん、または情報漏洩等で損害を受けるリスク

法令・コンプライアンス

法令リスク

各種取引上の契約等における順守違反や契約違反等に伴い罰則適用や損害賠償の影響を被るリスク、当社グループもしくは従業員が法令違反を犯すリスク

コンプライアンスリスク

LINEヤフーグループ行動規範や社内規程に反する行動により影響を被るリスク、当社グループもしくは従業員が、故意または重過失により違反を犯すリスク

マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与リスク

当社グループのサービスが、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に悪用されるリスク、またはマネー・ローンダリング対策の不手際により監督官庁から指摘を受けるリスク

ガバナンス

コーポレート・ガバナンスリスク

当社グループにおける重要な意思決定に関するガバナンスの枠組みが十分に整備されず、当社グループにおいて適時適切な意思決定が行われないリスク

データガバナンスリスク

保有するデータの管理や利活用に関連するリスク

サプライチェーンガバナンスリスク

不適切な委託先の選定や、委託業務・委託社員の管理が不十分なことにより影響を被るリスク

社会

経済安全保障リスク

事業に関連する特定の国や地域の政治・経済・社会情勢等の変化により影響を被るリスク

規制・政策リスク

規制・政策、ステークホルダーの情勢把握等に関する不備、各種法令への対応の不備に関するリスク

環境・社会リスク

事業が環境や社会に悪影響を与えてしまうリスク、または外的な社会環境の影響により事業が影響を被るリスク

レピュテーションリスク

悪評や風評の拡大により影響を被るリスク、またはメディア対応を失敗するリスク

事業運用

事業継続リスク

自然災害やその他外的要因により事業やサービスの継続提供が困難となるリスク

人的リスク

人材リソースに関連するリスク、または従業員の生命・健康を脅かすリスク

業務オペレーションリスク

業務運営上での事務的なミスにより、損失が発生するリスク

その他

有形資産リスク

有形資産の毀損や執務環境等の質の低下等により損失を被るリスク

 

 

・グループトップリスク

 内部環境や外部環境の分析、経営層や実務責任者による認識を踏まえ、特に重要度が高いリスクを「グループトップリスク」と位置づけています。「グループトップリスク」は、環境変化等による影響を考慮しながら適宜見直し、優先度をつけて対応策を実行し、進捗のモニタリングを行います。

前事業年度の有価証券報告書における「事業等のリスク」の「グループトップリスク」を以下のとおり変更しました。これらのリスクについては、2024年度のグループトップリスクとして、2023年11月のリスクマネジメント委員会にて新たに決定し、現時点での状況を踏まえ判断したものです。

 

法令規制対応

地政学リスク

情報セキュリティ

データガバナンス

 

 

法令規制対応 / 地政学リスク

 1 規制や制度変更により事業展開スピードへ影響するリスク 

  当社は、当社が提供するサービスである「Yahoo!ショッピング」および「Yahoo!広告」について、特定デジタルプラットフォームの透明性および公正性の向上に関する法律に基づき特定デジタルプラットフォーム提供者としての指定を受けています。同法により義務付けられる情報開示や自主的体制の整備に関しては、外部有識者の意見も聴取し、一部は法施行に先行する形で積極的に対応しています。また、各種LINEサービスも含めて、高い透明性や公正性を意識し、継続的な改善を行っていきます。しかしながら、取組が不十分であると政府から認定され同法に基づく行政措置の対象となった場合や、同法に基づき政府に提出する報告書が低い評価を受け、その評価結果が公表された場合、当社に対する取引先および一般ユーザーからの評価や社会的評価が低下する可能性もあります。さらに、デジタルプラットフォームを提供する企業に対して、より一層厳しい規制の対象としていくという諸外国の動向に鑑み、仮に日本国内でも規制が強化され、当社のサービスがその対象となった場合、円滑な事業遂行が困難となる可能性があります。

 2 経済安全保障に関わるリスク

  当社は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(以下、経済安全保障推進法)に基づき、2023年11月16日に特定社会基盤事業者(基幹インフラ事業者)に指定されました。この制度においては、2024年5月17日から規律が適用されました。経済安全保障推進法が定める国による審査に適切な対応ができなかった場合、当局からの当社に対する是正や中止の勧告、命令等の行政措置、それに伴う事業の一時停止、遅延、追加の設備投資並びに追加の対策やコスト、当社の信用毀損が生じる可能性があります。その場合、当社の事業、業績、社会的信用に影響を与える可能性があります。なお、経済安全保障室にて国内外の社会情勢に関するモニタリングや情報収集、必要に応じた外部の専門家からの助言等を通じ継続して、経済安全保障リスクの抽出・特定・対応を行っています。

 

 

情報セキュリティ 

 1 サイバーセキュリティに関わるリスク

  当社および当社グループは、安心して利用できる安全なサービスをユーザーに提供するため、中長期的な視点で全社を挙げて情報セキュリティの向上に取り組んでいます。しかしながら、これらの取り組みが及ばず、業務上の人為的ミスや故意による不法行為、災害等によるシステム障害、マルウェア感染や標的型攻撃等のサイバー攻撃、システムや製品等の脆弱性等により、情報漏洩、データの破壊や改ざん、サービスの停止等の被害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるだけでなく、当社グループの信用失墜につながる可能性があります。なお、当社はグループ会社の情報セキュリティを支援しています。具体的には、情報セキュリティ対策の仕組みの共有や導入支援、脆弱性情報等情報セキュリティに関する情報の共有、各社の求めに応じて情報セキュリティ対策の相談対応等を行っています。また、グループ会社に対しては当社と同等の情報セキュリティ対策を行うための規程の提供や第三者認証取得支援等の支援を行っています。さらに、当社グループでは、日々高度化するサイバー攻撃等の脅威に備え、必要かつ前衛的な対策を取るべく必要十分な費用の確保に努めています。しかしながら、想定以上のサイバー攻撃等の脅威が発生した場合には追加費用が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

  サイバーセキュリティに関わるリスクに関連して、当社は2023年11月27日に公表した不正アクセスの事案を受け、総務省および個人情報保護委員会への報告を行ったほか、行政指導および勧告を踏まえた対応等を推進していますが、取り組みが不十分と判断された場合、当社グループへの信用毀損や業績等へ影響を及ぼす可能性があります。

 2 通信の秘密に関わるリスク

  当社は、「LINE」「Yahoo!メール」等のサービスにおいて、通信内容等の通信の秘密に該当する情報を取り扱っています。これらの取扱いの際は電気通信事業法に則り、情報セキュリティに対する取り組みのもと、適切な取扱いを行っています。しかしながら、これらの情報が「LINE」「Yahoo!メール」等のサービスを提供するシステムの不具合や、マルウェア等の影響、通信設備等への物理的な侵入、当社の関係者や業務提携・委託先等の故意または過失等によって侵害された場合、当社のブランドイメージの低下や法的紛争に発展し、ユーザーの減少やサービスの停止や縮退に伴う損害賠償や売上収益減少等による業績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

 

データガバナンスリスク 

 データガバナンスに関わるリスク

  多様かつ多軸な当社グループにおいて、各社へのガバナンスの実効性が及ばず事故や問題が生じる、体制の不備により問題や事故が生じる一方で、ボトルネックが生じサービスのリリースの遅れ等につながる等のリスクが生じる可能性があります。個別には以下のような例があります。LINEおよびYahoo! JAPANをはじめとする多岐にわたる事業の展開に伴い、当社グループが個人情報をはじめとするデータを取り扱う量も飛躍的に増大しています。 データの取り扱いに際して当社は「分かりやすい説明」「国内法に基づく運用」「有識者による助言・評価」「プライバシー&セキュリティファースト」の4点を重視しつつ、その利活用を合理的・効率的にするためにデータガバナンス(データ資産管理の統制)の確立を図っています。当社グループは、データプロテクション基本方針を定め、これにかかる取り組みを当社およびグループ会社に対しても継続的に進めています。また、2023年10月1日に、当社は当社ならびに当社の完全子会社であるLINE(株)およびヤフー(株) を中心としたグループ内再編を行い、新会社としてLINEヤフー株式会社が誕生しました。グループ内再編後の新会社において、事業会社たる当該新会社のデータガバナンスおよび当該新会社のグループ会社全体のデータガバナンスが円滑かつ適切に機能するよう体制を整え、その強化に取り組んでいます。今後も個人情報の適切な取り扱いに関して当社グループ全体のガバナンスの強化に取り組んでいきますが、かかる対策やガバナンス強化の施策が有効に機能しないことによる当局から当社グループへの行政処分、当社グループの信用毀損、当社グループのサービスへの需要の減少、追加の対策の策定・実施、また、データの漏洩やそのおそれとなる事象の発生等により、当社グループの社会的信用や業績等に影響を与える可能性があります。

  データガバナンスに関わるリスクに関連して、当社は2023年11月27日に公表した不正アクセスの事案を受け、総務省および個人情報保護委員会への報告を行ったほか、行政指導および勧告を踏まえた対応等を推進していますが、取り組みが不十分と判断された場合、当社グループへの信用毀損や業績等へ影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1. 財政状態の状況

 

(1) 資産

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて455,246百万円(5.3%増)増加し、9,043,969百万円となりました。

 

主な増減理由は以下のとおりです。

・現金及び現金同等物の主な増減理由は、「キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

・カード事業の貸付金は、主にクレジットカード事業の取扱高増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。

・銀行事業の有価証券は、PayPay銀行(株)の資金運用による有価証券の取得・売却等により前連結会計年度末と比べて増加しました。

 

(2) 負債

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて326,161百万円(6.2%増)増加し、5,596,983百万円となりました。

 

主な増減理由は以下のとおりです。

・営業債務及びその他の債務は、主にPayPay(株)の加盟店に対する未払金の増加およびユーザーからの預り金の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。

・銀行事業の預金は、顧客からの預金の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。

 

(3) 資本

当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末と比べて129,084百万円(3.9%増)増加し、3,446,985百万円となりました。

 

主な増減理由は以下のとおりです。

・利益剰余金は、配当の支払いによる減少があったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。

・その他の包括利益累計額は、主に円安の影響に伴う在外営業活動体の換算差額の増加により前連結会計年度末と比べて増加しました。

 

2. 経営成績の状況

 (1) 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況

当連結会計年度の売上収益は、2022年10月にPayPay(株)を連結子会社化した影響に加えて、PayPay(株)とPayPayカード(株)を含むPayPay連結の成長に伴う戦略事業の増収、アスクルグループおよびZOZOグループの成長に伴うコマース事業の増収、アカウント広告の成長に伴うメディア事業の増収により、過去最高となる1兆8,146億円(前年同期比8.5%増)となりました。

調整後EBITDAは、上記増収やコマース事業を中心としたコスト最適化、戦略事業での事業の選択と集中により、過去最高となる4,149億円(24.7%増)となりました。なお、前年度第3四半期に計上した、PayPay(株)連結子会社化による企業結合に伴う再測定益の影響により、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益等については前年同期比で減益となったものの、企業結合に伴う再測定益は調整後EBITDAの算出における調整項目であり、調整後EBITDAへの影響はありません。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりです。なお、2024年3月期第1四半期より、サービスの効率的な提供に重点を置き、迅速に市場の変化に対応するため、一部のサービスおよび子会社をセグメント間で移管しています。主な変更内容は、その他に区分されていたヤフー(株)のデータソリューションサービスおよび子会社であるdely(株)のサービスをメディア事業に移管し、また、その他および調整額に配賦していたLINE(株)およびその子会社に関する費用の一部をメディア事業、コマース事業および戦略事業に配賦しています。これに伴い、前年同期のセグメント情報を遡及修正して表示しています。

 

 また、2023年10月1日付のグループ内再編に伴い、2024年3月期第3四半期より一部のサービスおよび費用をセグメント間で移管しています。主な変更内容は、コマース事業に区分されていたプレミアム会員、戦略事業に区分されていた「LINE Search」およびその他に区分されていたメールサービスをメディア事業に移管し、調整額に計上されていたスタッフ部門およびテクノロジー部門の人件費、データセンターおよび社内インフラに関わる費用をメディア事業、コマース事業、戦略事業およびその他に配賦しています。これに伴い、前年同期のセグメント情報を遡及修正して表示しています。

 

① メディア事業

 メディア事業の売上収益は、アカウント広告の増収等により7,076億円(前年同期比1.8%増)となりました。また、調整後EBITDAは2,546億円(前年同期比7.0%増)となりました。なお、メディア事業の売上収益が全売上収益に占める割合は39.0%となりました。

・アカウント広告:「LINE公式アカウント」において2023年6月に料金プランを改定したことも奏功し、有償アカウント数が増加しており、売上収益は前年同期比で22.3%増加しました。

・検索広告:パートナーサイト面では減収となったものの、LINEヤフー面の増収により、売上収益は前年同期比 0.8%増となりました。

・ディスプレイ広告:市況は緩やかな改善傾向にあるものの、前年同期比で減収となりました。

 

② コマース事業

 コマース事業の売上収益は、アスクルグループおよびZOZOグループにおける増収や、サービスEC事業の成長もあり、前年同期比で増加しました。

 eコマース取扱高(※1)は、コスト最適化等の影響があったものの、4兆1,954億円(前年同期比2.0%増)となり、うち国内物販系取扱高は、3兆380億円(前年同期比1.7%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度におけるコマース事業の売上収益は、8,215億円(前年同期比3.6%増)となりました。また、調整後EBITDAは上記増収やコスト最適化により、1,432億円(前年同期比25.0%増)となりました。なお、コマース事業の売上収益が全売上収益に占める割合は45.3%となりました。

 

 (※1) eコマース取扱高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 33. 売上収益 (1) 売上収益の分解 各セグメントの主なサービス・商品」に掲載しているコマース事業の「LINEヤフー」内の「ショッピング事業」、「リユース事業」、「サービスEC事業」および「ZOZO、アスクル」内の「ZOZO」、「アスクル」ならびにメディア事業の「その他」の有料デジタルコンテンツ等における取扱高の合算値です。

 

③ 戦略事業

 戦略事業の売上収益は、2022年10月のPayPay(株)連結子会社化の影響やPayPay連結の成長により、前年同期比で増加しました。

 PayPay連結取扱高は、12.5兆円(※2、3)(前年同期比22.2%増(※4))となり、順調に拡大しています。また、PayPay銀行(株)の貸出金残高は7,293億円(前年同期比16.8%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における戦略事業の売上収益は、2,899億円(前年同期比51.0%増)となりました。また、事業の選択と集中を推進したことやPayPay連結の成長により、戦略事業の調整後EBITDAは115億円となり通期で初めて黒字となりました。なお、戦略事業の売上収益が全売上収益に占める割合は16.0%となりました。

 

(※2) ユーザー間での「PayPay残高」の「送る・受け取る」機能の利用は含まず。2022年3月期第4四半期以降は「Alipay」、「LINE Pay」等経由の決済を含む。2022年2月より提供開始した「クレジット (旧あと払い)」による決済を含む。PayPayカード(株)の取扱高を2022年3月期の期初から連結して表示。PayPay(株)とPayPayカード(株)間の内部取引消去後

(※3) 値は10億円単位で端数切り捨ての上、1,000億円単位で四捨五入

(※4) PayPayカード(株)の取扱高を含む連結取扱高の増減率

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメント毎に生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
 なお、販売の状況については、「2 経営成績の状況 (1) 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況」における各セグメントの業績に関連づけて示しています。

 

(3) 経営指標に関する分析・検討

当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の各指標を主要な経営指標としています。当連結会計年度における当該指標の推移のうち、全社の売上収益、調整後EBITDA、広告関連売上収益、eコマース取扱高、「PayPay」取扱高については、「2.経営成績の状況」に記載のとおり堅調に推移しています。

また、その他の経営指標に関しましては、メディア事業では、Yahoo! JAPANポータルサイトの月間ログインユーザーID数、ログインユーザー利用時間。また、コミュニケーションアプリLINEの月間アクティブユーザー数(MAU)、DAU/MAU比率(MAUに占める日次アクティブユーザー数(DAU)の比率。アクティブ率)は前年同期比で引き続き、堅調に推移しました。また、戦略事業ではキャッシュレスの推進等により、「PayPay」の決済回数やPayPay銀行(株)の貸出金残高が順調に増加しました。これらの増加は、当連結会計年度における同事業の堅調な成長に寄与していると判断しています。

 

3. キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ231,420百万円減少し、1,420,430百万円となりました。このうち銀行事業に関する日銀預け金は231,807百万円です。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、カード事業の貸付金の増加、法人所得税の支払、銀行事業の貸付金の増加があったものの、主に営業債務及びその他の債務の増加、税引前利益の計上、銀行事業の預金の増加の計上により316,477百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、銀行事業の有価証券の売却または償還による収入、貸付金の回収による収入があったものの、主に銀行事業の有価証券の取得による支出、投資の取得による支出、有形固定資産の取得による支出により444,060百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入があったものの、主に社債の償還による支出、長期借入金の返済による支出、配当金の支払、リース負債の返済による支出、コマーシャル・ペーパーの発行・償還により81,490百万円の支出となりました。

 

 流動性および資金の源泉

流動性リスクとその管理方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 30. 金融商品」に記載しています。

当連結会計年度における資金の主な増減要因については、上記に記載していますが、恒常的な支出であるサーバー等ネットワーク設備への設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としています。

 

4. 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.見積り及び判断の利用」に記載しています
 

 

5 【経営上の重要な契約等】

1. サービス提供契約

契約会社名

LINEヤフー株式会社

契約相手先

グーグル・アジア・パシフィック・プライベート・リミテッド

締結年月日

2020年5月29日(当初契約日2010年7月27日)

契約期間

2027年3月31日まで

主な内容

サービス提供契約(GOOGLE SERVICES AGREEMENT)

① 相手方による検索技術および検索連動型広告配信技術の非独占的提供

相手方は、検索技術および検索連動型広告配信技術を非独占的にLINEヤフー㈱に提供し、LINEヤフー㈱は、これらを用いて自らのブランドにてサービスを提供する。

 

② 検索サービスの差別化

 両者は、検索サービスによる検索結果について差別化するための付加的な機能を自由に開発・運用することができる。

 LINEヤフー㈱は、相手方が提供する検索結果を自らの判断で表示するか否かを決定することができる。

 

③ LINEヤフー㈱の相手方に対するサービスフィーの支払い
LINEヤフー㈱が提供を受けたサービスの対価は、LINEヤフー㈱のサイトから得られる金額を基準に年次に応じて定められた計算式によって算出される金額とする。LINEヤフー㈱がパートナーのサイトで利用したサービスの対価は、パートナーのサイトから得られる売上収益に年次毎に定められたレートを乗じた金額とする。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費は42,332百万円であり、主にAIやFintechの研究開発活動に係るものです。