第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社は、2022年10月3日に静岡銀行の単独株式移転により設立され、静岡銀行の基本理念「地域とともに夢と豊かさを広げます。」を引き継ぎ、ステークホルダーのウェルビーイングの向上とともに地域の総合金融グループとして発展していくため、社会価値の創造と企業価値の向上を両立する経営を実践するとともに、健全性と先進性、成長性を兼ね備えたバランスのとれた事業運営に取り組んでおります。

 

(2) 中長期的な経営戦略

持株会社体制として初めて臨む第1次中期経営計画「Xover(クロスオーバー)~新時代を拓く」(計画期間:2023~2027年度(5年間))の名称には、異なる分野がそのジャンルを超えて融合し、「未来世代」を含む全てのステークホルダーと新たな価値を共創しながら、不確実な時代に未来を切り拓いていく決意を込めています。

持株会社体制移行のもと、総合金融グループとしてさらに磨きをかけ、地域・お客さまの課題解決を通して新たな価値を創造していく観点から「未来へつなぐ新たな価値を創造する課題解決型企業グループ」を中計ビジョンとしています。

当グループが2030年に目指す姿として、「すべてのステークホルダーがサステナブルかつ幸福度が高まっている状態」を掲げ、その姿からのバックキャストにより計画を策定したうえで、経営環境の変化に対し柔軟に軌道修正を図りながら、ビジョンの実現を目指します。

また、人的資本経営を軸として4つの基本戦略(「地域共創戦略」、「グループビジネス戦略」、「トランスフォーメーション戦略」「グループガバナンス戦略」)を推進し、地域・お客さま、および当グループのマテリアリティ(優先して取り組むべき重要な課題)を解決することで、社会価値の創造と企業価値の向上の両立を図ります。

 


 

「地域共創戦略」では、地域の多種多様な課題に対し、当グループのネットワークを活用して課題解決を図ることで地域活性化を目指します。「グループビジネス戦略」では、「深く、大きく、新しく」をコンセプトに、従来のコア事業領域に加え、既存ビジネスの深掘りや事業領域の拡大、新事業への挑戦を図るなかで、「地域共創戦略」により創出された収益機会も取り込みながら、地域・お客さまの課題解決と当グループの収益拡大の好循環を目指します。「トランスフォーメーション戦略」では、デジタル投資により先進的なデジタル技術やデータも活用しながら、業務の生産性向上と経費構造の変革を図るとともに、人財(人的資本)や新事業分野等に対する攻めの投資も加速することで、経営戦略の実現に向けたグループの経営基盤拡充を図ります。「グループガバナンス戦略」では、当社がグループ全体を見渡し事業を統括・支援する役割を担い、事業シナジーの創出や各社の成長を促進することで、自立(自律)と連携により第1次中期経営計画を実現するグループ事業体制を構築します。

 

(3) 目標とする経営指標

第1次中期経営計画では、地域と当グループ双方の持続的な成長や2030年に目指す姿に向けたKPIとして、地域金融機関としての社会価値創造の効果をはかる「社会インパクト指標」と、企業価値の向上を目指す「エンゲージメント指標」「財務目標」で構成される『サステナビリティ指標』を掲げています。

 


 

(4) 対処すべき課題

2024年度の経済動向を展望しますと、コロナ禍からの経済活動の正常化のなかで、日本経済に成長への胎動が感じられる1年となることが予想されます。賃金と物価の好循環、GX(グリーントランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)など社会変容へのレジリエンスを高める投資、さらには金融政策の正常化に向けた動きなど、構造的なデフレからの脱却に向け、社会・経済・金融なども変化が求められる環境にあります。そのような環境下にあって、当グループだけではなく、地域やお客さまにとっても、こうした変化への対応は不可避であるものと認識しております。

 

当グループは、第1次中期経営計画で目指す「社会価値の創造と企業価値の向上の両立」に向け、当事業年度に整備を進めたグループ体制を基盤として、脱炭素化やデジタル化、社会・産業構造の変容、金利環境の変化など、内外の環境変化を踏まえつつ、ステークホルダーの皆さまとの共成長に向け、「価値創造実現に向けた戦略の具体化・実践の加速」に取り組みます。

 

<グループ各社の自立(成長)と連携(シナジー)>

多様化・複雑化する地域やお客さまの課題を解決するためには、グループ各社が自立(成長)し、その力を最大限発揮しながら、それぞれの専門性を連携させ、グループシナジーを創出することが重要です。当社は持株会社として、グループの人財や資本、情報などの経営資源の潜在力を最大限に創出し、全体最適な事業体制の構築・拡充に取り組むことで、地域共創戦略の具現化、ひいては社会価値の創造を通じた企業価値の向上を図ります。

 

<経営環境の変化への対応>

当グループは、持続可能な社会形成(サステナビリティ)を経営方針の原則に据え、環境や社会との共生、すべてのステークホルダーのウェルビーイング実現に向けた事業活動に邁進します。

また、変容する社会環境や多様な価値観を捉えた先進的な経営を心掛け、従来から取り組んできた地域やお客さまへの課題解決支援の輪をグループ内外においてさらに広げていきます。

金融政策の正常化を見据えた経済・金融環境の変容に対しても、レジリエントなグループ事業体制の構築を進めます。地域の総合金融グループとして、預金や貸出金、有価証券運用のほか、証券・リース・キャピタル・コンサルティングなど、金融ビジネスの土台をより大きなものとしつつ、地域の成長に貢献する新事業やイノベーションの創出にも積極的に取り組み、当グループの事業領域をさらに拡大していきます。

そして、これらの経営戦略を実現するための人的資本への投資はもちろんのこと、新たな価値創造に向けた先進的なデジタル投資にも積極的に取り組みます。

 

 

<株式価値の共有による共成長の好循環>

当社では、静岡銀行時代から、株主の皆さまに長きにわたり保有いただける株式となるよう、株式価値の持続的な成長を目指した経営に取り組んでまいりました。

この考えを基本としつつ、第1次中期経営計画で目指す全てのステークホルダーとの価値共創の観点から、2024年2月には株主還元方針を変更し、その充実を図りました。地域やお客さま起点の企業活動を通じた社会価値の創造が当グループの企業価値の向上につながり、当社株式を通じた価値共有のもと、株式価値の向上、株主還元の充実が、地域の皆さまやグループ役職員による新たな社会価値の創造、ひいては地域と当グループの持続的な成長を促進していく好循環を目指します。

 


 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

① サステナビリティを基本に据えた第1次中期経営計画 

当グループが2030年に目指す姿として「すべてのステークホルダーがサステナブルかつ幸福度が高まっている状態」を掲げ、その姿からのバックキャストによる第1次中期経営計画(計画期間:2023年度~2027年度)を取締役会にて決定しております。当計画では、社会価値の創造と企業価値の向上の双方に影響が大きい地域の社会課題を当グループのマテリアリティ(優先して取り組むべき重要な課題)として選定し、地域と当グループ双方の持続的な成長および2030年に目指す姿に向けたKPIとして、地域金融機関としての社会価値創造の効果をはかる「社会インパクト指標」と、企業価値の向上を目指す「エンゲージメント指標」「財務目標」で構成される『サステナビリティ指標』を定めております。

② 第1次中期経営計画の進捗状況に対する監督体制 

第1次中期経営計画に基づき毎年度の執行計画(業務計画等)を策定のうえ、その進捗状況については、当社の子会社の代表者も出席するグループ経営会議にて定期的にモニタリングしております。グループ経営会議の審議内容等の業務執行状況は、当社に設置するグループチーフオフィサー(CxO)等が四半期毎に取締役会へ報告することで、サステナビリティの観点を含む第1次中期経営計画の進捗を監督する体制としております。なお、当該監督体制に関係する執行部門のモニタリング体制(リスク管理体制)の概要は、下記(3)「リスク管理」の項目に記載のとおりです。

③ サステナビリティに関する重要テーマを議論する委員会の設置 

当グループのサステナビリティ経営における重要テーマとして、「環境委員会」と「人的資本経営委員会」を設置しており、機動的かつ実効性の高い施策の実践を目指しております。「環境委員会」はTCFD提言に基づく対応等について、「人的資本経営委員会」は当グループの人的資本経営の実現に向けた経営戦略に連動した人財戦略等について、子会社を含むグループ横断的な議論を行っております。

会議体

サステナビリティに関する対応

取締役会

・第1次中期経営計画を策定:経営目標として『サステナビリティ指標』(社会価値創造の効果をはかる「社会インパクト指標」と、企業価値の向上を目指す「エンゲージメント指標」「財務目標」で構成)を設定

・第1次中期経営計画および2023年度の執行計画(業務計画を含む)の対応状況等をモニタリング

↓ 方針・監督   ↑グループチーフオフィサー等による報告

グループ経営会議

・サステナビリティ会議(経営執行会議)

・グループ統合リスク・予算管理会議

・グループコンプライアンス会議

・第1次中期経営計画に基づき、リスク管理やコンプライアンスの観点を含む2023年度の執行計画(業務計画を含む)を策定し、同計画の進捗状況について、定期的に会議を開催してモニタリング

↓ 方針・管理   ↑ 委員会報告

人的資本経営委員会

環境委員会

・重要性が高い個別の経営テーマに焦点を当てて、グループ横断的かつ各社での施策への展開も踏まえた議論を実施

 

 

(2) 戦略

当グループのサステナビリティに関する「戦略」については、第1次中期経営計画の基本方針として「第2 事業の状況 」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

(3) リスク管理

当社では、グループチーフオフィサー(CxO)制度を導入し、CEO(最高経営責任者)による統括のもと、分野毎にCFO(最高財務責任者)、CIO(最高情報責任者)、CRO(最高コンプライアンス・リスク管理責任者)、CIAO(最高内部監査責任者)を設置するほか、グループ経営会議として「サステナビリティ会議(経営執行会議)」や「グループ統合リスク・予算管理会議」、「グループコンプライアンス会議」を定期的に開催し、第1次中期経営計画に基づく業務執行について、各分野の専門性に応じて、またグループ横断的にモニタリングする体制を整備・運用することでリスク管理の実効性を確保しております(体制の概略図は上記(1)「ガバナンス」に記載)。

 

(4) 指標及び目標

当グループのサステナビリティに関する「指標及び目標」(第1次中期経営計画で掲げる「サステナビリティ指標」)については、「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりです。

 

(5) 脱炭素社会の実現に向けた取り組み

① ガバナンス 

当社の取締役会において「しずおかフィナンシャルグループ環境方針」を定め、気候変動が引き起こす影響が当グループの経営リスクになることを認識し、脱炭素社会の実現に向けて、地域金融を中心とする本業を通じて貢献していく方針を明確化しています。

当社はTCFD提言に賛同(静岡銀行では2020年3月に賛同)し、グループ全体で脱炭素化を推進しており、当社子会社をメンバーに含む「環境委員会」を設置することで、取り組みの一層の強化を図っています。

TCFD提言に基づく対応方針や取り組みについては、定例的に環境委員会で議論し、サステナビリティ会議(経営執行会議)を経て取締役会において審議(前回は2024年3月)することで、脱炭素社会の実現に向けたガバナンスを確保しております。

 

会議体

当事業年度の主な議題(審議事項)

取締役会

・TCFD提言に対する2023年度取組状況、2024年度取組方針(サステナブルファイナンス目標及び温室効果ガス排出量削減目標、地域の脱炭素化支援を含む)

↓ 方針・監督   ↑ 付議・報告

サステナビリティ会議

(経営執行会議)

・TCFD提言に対する2023年度取組状況、2024年度取組方針(サステナブルファイナンス目標及び温室効果ガス排出量削減目標、地域の脱炭素化支援を含む)

※執行部門の最上位の会議体として、TCFD関連施策の取組状況・方針や他社(外部)の動向に関する情報共有を含み審議のうえ、取締役会へ上程

・TNFD Adopterへの登録と今後の方針

↓ 方針・管理   ↑ 付議・報告

環境委員会

・カーボンニュートラル(Scope1、2)達成に向けた2024年度以降の削減計画

・移行リスクと物理的リスクにかかるシナリオ分析の高度化について

・地域のカーボンニュートラル実現に向けた各種施策(地域のお客さまへのソリューション支援・啓発策、地方公共団体等との連携を含む)

・地域の取引先等に対する温室効果ガス排出量の算定支援(温室効果ガス排出量算定サービス「しずおかGXサポート」の展開)

・2024年度サステナブルファイナンス(環境関連ファイナンスを含む)目標の設定

・TNFD Adopterへの登録と今後の方針

 

 

環境委員会の概要

議長

グループCFO(最高財務責任者)※経営企画部所管役員

委員

当社:経営企画部・経営管理部・リスク統括部の所管役員及び部長

子会社:各社担当部の所管役員及び部長

開催実績

5回(2023年4月~2024年3月実績)

役割

気候変動対応をはじめとした環境経営に関するグループ各社の取組方針・取組状況を共有し、経営に与える機会とリスクを踏まえ、グループ横断的に方針や施策について議論する

 

 

 

② 戦略 

<地域の温室効果ガス排出量削減に向けた取り組み~「しずおかGXサポート」の提供~>

当社の中核子会社である静岡銀行では、第1次中期経営計画のサステナビリティ指標に掲げる、静岡県内の温室効果ガス排出量の削減に向け、2023年10月より事業者向けの温室効果ガス排出量算定サービス「しずおかGXサポート」の取扱いを開始し、地域の他金融機関や自治体との連携を図りながら地域における温室効果ガス排出量の見える化を進めています。今後、地域の脱炭素化に向け排出量削減にかかるソリューションメニューの拡充にも取り組んでいく方針です。

<サステナブルファイナンス(環境関連ファイナンスを含む)>

当グループでは、地域のSDGsや脱炭素化に貢献するため、2030年度までのサステナブルファイナンス目標(10年間の投融資累計額2兆円、このうち環境関連ファイナンス1兆円)を掲げています。2023年度における投融資額は3,875億円、このうち環境関連ファイナンスは1,457億円であり、2021年度以降(3年間)の累計額は8,491億円(進捗率42.4%)、このうち環境関連ファイナンスは3,754億円(進捗率37.5%)と目標に向けて着実に進捗しております。

 

2030年度目標

(投融資累計額)

2023年度実績

(当年度)

2023年度迄実績

(2021年度以降の3年間)

サステナブルファイナンス

2兆円

3,875億円

8,491億円

うち環境関連ファイナンス

1兆円

1,457億円

3,754億円

 

 

<産業変革支援プロジェクトチーム>

地域経済を支える産業の持続的な成長を支援していくため、デジタル化や脱炭素化といった社会変化のなかで産業構造の変容を見据えた事業支援を行うべく、静岡銀行に「産業変革支援プロジェクトチーム」を設置しております。静岡県の主要産業の一つである自動車関連産業のサプライチェーンの調査・分析、支援体制構築に向けた外部機関等とのネットワーク形成のもと、取引先の事業戦略策定や関係機関との連携による技術力改善・高度化等の支援、静岡・名古屋アライアンスの一環として名古屋銀行と共同設立したファンドの活用など支援の拡充を図っています。

<気候変動リスク(移行リスクと物理的リスク)>

気候変動による当グループへの影響を把握するため、シナリオ分析(気候変動に関するリスクが与信ポートフォリオに与える影響を把握)を実施しています。当年度は、移行リスクの分析対象に「金属・鉱業」「陸運業」を追加しました。

 

(移行リスク)

対象業種

製紙業

自動車・同付

属部品製造業

電力業

金属・鉱業

陸運業

使用したシナリオ

・IEA・50年実質ゼロシナリオ(NZE2050)

・IEA・ETP2017Beyond2℃シナリオ

・NGFS Net Zero 2050

分析方法

シナリオに基づき炭素税等の予測データを使用して、2050年までの損益財政状態の変化を予想し、与信費用の変化を分析

分析結果

与信費用増加額:2050年までに合計で最大約230億円

 

 

(物理的リスク)

対象範囲

静岡県・神奈川県・東京都の中小企業の建物毀損・事業継続リスクにかかる与信費用の算出

静岡県・神奈川県・東京都の住宅ローン取引先の建物毀損・与信費用の算出

使用したシナリオ

IPCC第6次報告書におけるRCP8.5(4℃シナリオ)

分析方法

事業所情報や担保所在地情報をハザードマップと重ね、水害時における浸水リスクを分析

分析結果

与信費用増加額:2050年までに合計で最大約180億円

 

 

(リスク認識)

移行リスク

短期

エネルギー価格の変動によるお客さまの業績への影響

中長期

炭素税や規制などの導入等の影響によるお客さまの業績への影響

物理的リスク

短期・中長期

水害規模拡大や頻度増加による担保価値毀損及びお客さまの業績変動

 

 

 

③ リスク管理

当グループではTCFD提言を踏まえ気候変動に起因するリスクを分類しており、リスクの分類ごとに下表のとおり移行リスク及び物理的リスクの事例を想定し、適切な管理に取り組んでまいります。

リスクの分類

移行リスク

物理的リスク

時間軸

信用リスク

政策・規制・技術開発の変化など事業環境の変化に伴い、お客さまの業績が悪化し当グループの与信費用が増加する

風水害等によるお客さまの資産への被害や社会インフラの損壊により業績が悪化するほか、担保資産の毀損により、当グループの与信費用が増加する

短期

~長期

市場リスク

政策・規制・技術開発の変化など事業環境の変化に伴い、当グループが保有する政策投資株式やファンド等の価格が下落する

・風水害等によりお客さまの業績が悪化し、当グループが保有する政策投資株式やファンド等の価格が下落する

・風水害等の発生を受けて、市場参加者が、経済成長に対し悲観的になり、当グループが保有する有価証券等の価格が下落する

短期

~長期

流動性リスク

移行リスクへの対応が不十分と見做され、当グループの信用格付が悪化し、市場調達手段が制限される

・風水害等に被災したお客さまの手許現金に対するニーズ等により預金が流出する

・大規模、広範囲にわたる風水害等の発生から金融市場が混乱し、市場調達が困難となる

短期

~長期

オペレーショナルリスク

脱炭素化へ適切に対応できず、ステークホルダーから訴訟を提起され損失を被る。また当グループの評判が悪化する

風水害等により建物などの当グループ保有資産に被害が生じるほか、これに伴い業務が中断する

短期

~長期

 

当社の中核子会社である静岡銀行では、石炭火力発電向け等の投融資を通じた環境・社会への負の影響を低減・回避するため「特定セクターに対する投融資方針」を制定しております。同方針のもと、石炭火力発電向け投融資について新規に行っておらず、2040年度を目途に残高をゼロ(2024年3月末実績157億円)とする目標を掲げて事業活動を行っております。同方針の詳細は、当社ホームページ「サステナビリティ/方針・賛同するイニシアティブ」(https://www.shizuoka-fg.co.jp/sustainability/action-policy.html)に掲載しております。

なお、静岡銀行の総貸出金に占める事業性貸出にかかる炭素関連資産の割合(2024年3月末)は以下のとおりです。

エネルギー

運輸

素材・建築物

農業・食料・林産物

1.74%

7.85%

14.03%

4.32%

 

 

 

④ 指標及び目標

当グループは、2030年度のカーボンニュートラル達成(Scope1、2)を目標に掲げて脱炭素化を推進しております。当グループの温室効果ガス排出量(Scope1、2)の2013年度比削減率(2022年度)は▲31.3%(2013年度18,514トン→2022年度12,714トン)となっており、各年度における削減の進捗状況は、統合報告書(https://www.shizuoka-fg.co.jp/ir/disclosure.html)へ継続的に掲載してまいります(2023年度における2013年度比削減率は▲7割水準となる見込み)。なお、当年度より、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」の算定範囲に加えTCFDガイダンスに沿って算定範囲を拡充しております。

さらに当社の事業活動に関連する他社の温室効果ガス排出量(Scope3)の削減の重要性を認識し、各カテゴリの排出量を算定するとともに、2022年度の排出量の算定内容(Scope1、2、3)については、一般財団法人日本品質保証機構の第三者検証を受けております。2023年度の排出量の算定内容については、2024年7月発刊予定の当社統合報告書へ掲載(https://www.shizuoka-fg.co.jp/ir/disclosure.html)する予定です。

また、上記②「戦略」に記載のとおり、2030年度までのサステナブルファイナンス目標(10年間の投融資累計額2兆円、このうち環境関連ファイナンス1兆円)を掲げ、地域の事業者の脱炭素化を支援しております。

 

(2022年度 排出量)

Scope1、2

単位:t-CO2

Scope1

1,177

Scope2

11,538

Scope1+2

12,714

 

 

Scope3(カテゴリ1~14)

単位:t-CO2

カテゴリ1

製品・サービスの購入

30,426

カテゴリ2

資本財

23,002

カテゴリ3

燃料・エネルギー使用

2,031

カテゴリ4

購入物品の輸送・配送

カテゴリ1に含む

カテゴリ5

廃棄物

99

カテゴリ6

出張

560

カテゴリ7

通勤

1,469

カテゴリ8

リース資産の使用

対象外

カテゴリ9

出荷後の輸送・配送

カテゴリ10

販売製品の加工

カテゴリ11

販売製品の使用

カテゴリ12

販売製品の廃棄

カテゴリ13

他社にリースした資産の稼働

0

カテゴリ14

フランチャイズ店舗の稼働

対象外

 

・カテゴリ8~12および14は業務上該当なく対象外。

・算定対象範囲は当社および連結子会社(海外駐在員事務所および海外子会社を除く)。ただし、カテゴリ13について、静銀リース株式会社は集計対象外。

・算定方法は「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(環境省)」を参照し、排出係数は「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(同)」より使用しています。

 

 

Scope3(カテゴリ15)

 

業種

炭素強度

(単位:t-CO2e/百万円)

排出量

(単位:t-CO2e/百万円)

石油、ガス

9.80

2,737,911

石炭

3.32

12,659

電力

11.99

246,061

航空貨物輸送

0

航空旅客輸送

4.75

15,080

海運

9.81

170,359

鉄道輸送

1.12

28,271

トラックサービス

2.73

416,065

自動車、部品

0.20

121,704

金属、鉱業

12.24

4,550,676

化学品

3.32

269,714

建材

0.11

1,017

資本財(建物)

0.34

71,341

不動産管理、開発

0.02

199,539

飲料

0.33

2,919

農業

6.73

47,461

包装食品、肉

0.82

219,806

紙、林産物

2.28

594,780

その他

0.67

2,216,874

合計

11,922,235

 

・2023年3月末日を基準日として、PCAFスタンダードに基づき算定。

・静岡銀行の法人融資取引先のScope1、2が対象。ただし、決算期が未到来等算定に必要なデータの集計ができない取引先を除く(カバー率96.4%)。

・脱炭素への取組み支援による自社での排出量算定・開示企業の増加や算定基準・業種分類の変更などにより、今後算定結果は変動する可能性があります。

 

(参考資料:脱炭素社会の実現に向けた取り組み


 

 

(6) 自然資本の保全・回復

生物多様性の損失は、生存基盤への脅威として、気候変動と同様に深刻な危機であると受け止められており、事業者には、生物多様性の損失を回避し反転させるネイチャーポジティブに向け行動することが求められています。

しずおかフィナンシャルグループ環境方針のもと、これまで以上に、郷土の豊かな潤いのある自然環境に配意した事業活動を推進していくため、当社は、2023年12月にTNFD提言の採用者に登録するとともに、自然資本に関するリスク・機会の考察に向け各種分析へ着手しており、分析結果等については、2024年7月発刊予定の当社統合報告書へ掲載(https://www.shizuoka-fg.co.jp/ir/disclosure.html)する予定です。

 

(7) 人的資本経営の実現に向けた取り組み

① ガバナンス 

2022年10月に人的資本経営委員会を設置し、当グループにおける人的資本経営の実現に向けた課題・戦略等について議論しております。当グループ各社の所管部部長等をメンバーとしてグループ横断的に人的資本経営への取組み強化と推進を図り、定期的に人的資本経営委員会で議論し、サステナビリティ会議(経営執行会議)、取締役会への報告を通じて人的資本経営の実現に向けたガバナンスを確保しております。

また、当委員会の下部組織として当グループの重要なテーマである「人財育成」「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」「Well-being」の3つのワーキンググループにて、役職員の声を踏まえた施策や人的資本開示内容に関する検討、人権尊重の観点から「人権方針」を策定する等の活動を実施しております。

会議体

 

当事業年度の主な議題(審議事項)

 

 

<全体施策>

<しずおかFG役職員エンゲージメント調査>

<人員計画>

取締役会

 

 

・しずおかフィナンシャルグループ役職員エンゲージメント調査結果報告

 

↓ 方針・監督   ↑ 付議・報告

サステナビリティ会議

(経営執行会議)

 

・人的資本経営委員会ならびにワーキンググループ活動報告

・2024年度重点施策検討

・人的資本開示項目の状況について

 

・しずおかフィナンシャルグループ役職員エンゲージメント調査結果報告

 

・2024年度基準人員計画ならびに2025年度グループ採用人員計画

↓ 方針・管理   ↑ 付議・報告

人的資本経営委員会

(人財育成WG・DE&IWG・

Well-beingWG)

 

・人財育成施策のグループ共通化

・グループ全体でのDE&I浸透施策強化

・カルチャー&ウェルビーイングイノベーションの実施

 

・しずおかフィナンシャルグループ役職員エンゲージメント調査結果ならびに各社分析結果共有

 

・2024年度基準人員ならびに2025年度グループ採用人員の検討

 

<人的資本経営委員会の概要>

議長

経営管理部所管役員 八木 稔(株式会社しずおかフィナンシャルグループ 取締役)

委員

当社:経営企画部長、経営管理部長

子会社および銀行子会社:担当部もしくは関連部より1名

開催実績

委員会:3回 下部組織:12回(2023年4月~2024年3月実績)

役割

人的資本経営の実現に向け、グループ各社の取組方針・取組状況を共有しグループ横断的に方針や施策について議論・実施

 

 

② 戦略

A.人財育成方針および社内体制整備方針

 


第1次中期経営計画(以下、「本中計」)では、人的資本経営を土台に位置付け、4つの基本戦略を展開しています。人的資本への投資等の観点では、新たなビジネスモデルへの変革を目指し、本中計で掲げる基本戦略と連動した「人財戦略」の取組みを通じ、「個人と組織の共成長」と「社会価値の創造・企業価値の向上」の好循環を目指します。

未来へつなぐ新たな価値を創造する課題解決型企業グループへの変革に向け、下記の戦略を中心に人的資本の最大化に取り組んでいます。

 

B.目指すべき姿と実現に向けた取組み

(a) 第1次中期経営計画への理解・浸透強化と役職員の行動変革に直結する人事制度の運用

新中計のスタート以降、「第1次中計の更なる理解」と「役職員一人ひとりの夢・行動と企業理念・経営戦略の一致」を図るための施策を強化してきました。また、「基本理念」と「日々の行動」、「評価」の一致を図るための人事制度の運用を通じ、グループ役職員一人ひとりの想いと経営ビジョンのベクトルを合わせることで、地域の未来を切り拓く自律的な変革を目指します。

 

(b) 戦略実現に向けた人財ポートフォリオ計画の策定と運用


 従来からの課題解決型人財に加え、育成領域・分野を戦略・マテリアリティに合わせて拡張した価値創造型人財とデジタル人財を新たに定義しました。戦略の担い手となる3つの人財は、活躍分野に合わせた認定制度によりスキルを多角的に判定し、マテリアリティ解決の即戦力を育成し人財ポートフォリオの充足を目指します。

 

 採用チャネルの多様化を通じ、人財ポートフォリオの中長期的な維持と多様性の確保を目指します。役職員一人ひとりの多様な経験・キャリアおよび価値観を認め合い、掛け合わせることでこれまでにない発想や新感覚を生み出す「DE&I(Diversity,Equity and Inclusion)」を一層促進し、地域社会の発展と当グループの持続的成長、企業価値の向上につなげます。

 

 

2024年度は、「しずおかFG人財育成リカレント3.0」と位置づけ、「社会価値創造と企業価値向上の両立を実現できる人財の育成」「役職員一人ひとりの夢・行動と企業理念・経営戦略の一致」の2本柱で、以下を重点的に実施しています。

①価値創造型人財の育成          ⑤サステナ研修の継続実施

②課題解決能力の高度化          ⑥マイ・サステナブックの活用定着

③次世代のリーダー育成          ⑦タウンミーティングの開催

④役職員一人ひとりのキャリア自律支援   ⑧人権を含むDE&I教育のさらなる充実

 

(c) 自律的な成長やキャリア形成を促進する制度の推進

しずおかFGで働くことを通じて、役職員一人ひとりの「夢」の実現を目指し、自身のキャリアを自ら考えデザインすることを支援していく制度の充実を図っています。役職員の自律的な成長やキャリア形成を支援する制度の新設により、イノベーションを創出する企業を目指しています。

 

(d) 自律的な働き方の浸透と健康経営の深化

2019年7月より、全役職員の柔軟な働き方を実現するための取組みとして「ワークスタイル・イノベーション」を推進し、フルフレックスタイム制度の導入など、さまざまな制度の導入・拡充を進めてきました。2023年4月からはこの取組みを「カルチャー&ウェルビーイングイノベーション」へと発展させ役職員一人ひとりのエンゲージメントとウェルビーイングの向上につながる施策を展開しています。また、健康経営を重要な経営戦略と位置づけ、社会・総合的健康、からだの健康、こころの健康の3点を重視した役職員の健康づくり支援に取り組んでいます。

 

各施策ならびに対応状況については、毎年7月に発刊する統合報告書へ詳細内容を掲載(https://www.shizuoka-fg.co.jp/ir/disclosure.html)しております(直近では2023年7月発刊「しずおかフィナンシャルグループ統合報告書2023」に掲載)。

 

 

③ 指標及び目標

持株会社体制移行以前より、女性の活躍推進をはじめ、中途採用・外国人留学生の採用など、人財の多様化に取り組んでいますが、10年ビジョン「地域の未来にコミットし、地域の成長をプロデュースする企業グループ」および第1次中期経営計画ビジョン「未来へつなぐ新たな価値を創造する課題解決型企業グループ」の実現に向けて、最大の経営資本である役職員一人ひとりのエンゲージメントを高めることこそ、新たな価値創造と生産性向上に繋がると考えます。また、こうした考えのもと、本中計では役職員一人ひとりのエンゲージメントの高まりによる「個人と組織の共成長」の実現を目指す上で、上記「②戦略」において記載した人財育成方針および社内環境整備方針について、次の指標及び目標を掲げております。

 

<指標および実績> ※その他指標についてはコーポレート・ガバナンス報告書、および統合報告書(2024年7月発刊予定)へ詳細内容を記載

指標

目標

実績

(前事業年度)

(当事業年度)

管理職に占める

女性労働者の割合※1

2027年3月末日まで27

18.1

18.6

エンゲージメント※2

2027年3月末日まで4.0(5点満点中)

3.76

3.81

 

※1 中核子会社である静岡銀行の数値を記載しております。なお、当事業年度までの目標は『管理職に占める女性労働者の割合:22%』としていたところ、実績は上記の通りとなりました。2027年3月末日の目標に向け関連施策を推進してまいります。その他、グループ合算ならびにグループ各社詳細の数値については、「第1 企業の概況」「 5 従業員の状況」にて詳細を記載しております。

※2 当グループ全体での数値を記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります(発生時の当グループ(当社および連結子会社)への影響度が大きいと認識するものには○印を付しております)。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当グループが当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。当グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

 

当グループのビジネスは、銀行法等の各種金融規制を遵守して営まれているところ、近年は規制緩和が進展し、金融分野におけるデジタル技術の活用も浸透するなかで、異業種企業による金融分野への参入等を含め競争が厳しくなっているほか、低金利環境も資金運用収益に影響を与えております。当グループの営業基盤である地域社会・地域経済においては、人口減少や少子高齢化といった構造変化に加え、コロナ禍で加速したデジタル化や脱炭素化に向けた社会構造の変化も相俟って、先行きの予測が困難な環境に直面しております。また、日本銀行の金融政策の動向によっては、経済金融環境の変化が生じることも想定されます。

こうした環境下において、第1次中期経営計画(2023年度から2027年度)では、「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり「未来へつなぐ新たな価値を創造する課題解決型企業グループ」の実現に向けて、社会価値の創造と企業価値の向上を両立する観点から、地域・お客さまの課題解決支援に最優先で経営資源を投入しつつ、人的資本やDX等に対しても積極的な投資を行うことで経営基盤の拡充を図り、既存ビジネスの深掘りや事業領域の拡大、新事業への挑戦にも取り組んでおります。ただし、当グループがこれらの取り組みを推進していく過程においては、以下に掲げる各種リスクを適切に管理していく必要があると認識しております。

 

(1) 最近の経営環境、事業活動等を踏まえたリスク

① 社会・経済・金融動向及び国際情勢等を踏まえたリスク

地域における人口減少・少子高齢化のほか社会・経済活動のデジタル化・脱炭素化等の影響、ウクライナ情勢・中東情勢等の地政学的な動向を背景としたグローバルな経済活動における影響(例えば、原材料・エネルギーの価格上昇や物価上昇をひきおこしたり、サプライチェーンに支障が生じたりすること)等を通じて、当グループの営業エリアの社会・経済活動へ影響を及ぼす場合、取引先の財務内容等が悪化することで当グループの不良債権及び与信関係費用が増加し、業績に悪影響を与え自己資本の減少につながる可能性があります。

当グループは、第1次中期経営計画で掲げるマテリアリティ(地域と当グループが優先して取り組むべき重要な課題)の解決について事業活動を通じて実践することで、営業基盤である地域社会・地域経済の持続的な成長に取り組んでおります。

地域の総合金融グループとして、事業者の成長や経営の安定に向け円滑な資金供給に取り組むほか、当社の連結子会社である静岡銀行や静銀経営コンサルティング、静岡キャピタルなど、事業支援の専門性を有するグループ各社が連携して、事業の成長支援や業況悪化を余儀なくされた事業者の経営改善・事業再生支援に取り組むことで、地域の事業基盤の維持拡充、雇用環境の確保を図りながら与信関係費用の抑制を図ります。なお、業務の健全性及び適切性の観点から、当グループでは、信用リスクなど各種リスクを計量化し、自己資本の範囲内に収めるリスク資本配賦運営等を実施するなど、直面するリスクに見合う十分な資本を確保できるよう取り組んでおります。

また、地政学的な動向や各国中央銀行の金融政策等が金融市場の取引に影響を与え価格や指標等の変動に波及すること等を通じ下記(3)「市場リスク」及び(4)「流動性リスク」が顕在化する可能性があります。

 

② 気候変動に関するリスク

地球規模の気候変動に関する問題について、風水害等の自然災害の発生により取引先の所有物件が毀損した場合や気候変動対応に関する規制または社会的要請により取引先の事業が影響を受ける場合等に、下記(2)「信用リスク」の増加につながる可能性があります。また、気候変動対応に関する社会的要請の水準によっては、下記(8)「その他リスク」の「③規制変更」にかかるリスクが増加する可能性があります。

当社は、TCFD提言への賛同を表明しており、気候変動が当グループの事業活動に与える影響に関し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」のカテゴリを踏まえ、機会とリスクの両面から対応、開示を進めており、当該取組状況、取組方針の概要は、「第2 事業の状況」「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。

 

 

(2) 信用リスク

信用リスクとは、社会・経済のあり方や構造変化に応じ、取引先の財務状況が悪化するなどにより、資産の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスクであります。その主なリスク事象、要因および対応策は以下のとおりです。

影響大

リスク事象

主な要因

対応策

景気動向などにより取引先の財務内容などが悪化した場合は、当グループの不良債権及び与信関係費用が増加し、当グループの業績に悪影響を及ぼし自己資本の減少につながる

・国内外(特に静岡県※1)の景気悪化

・世界の経済金融情勢の悪化

・震災、台風等の自然災害発生

・経済情勢の見通しを前提とした取引先の業況、債権の保全状況をもとに、予想される損失額を見積もり必要とされる額に応じて貸倒引当金を積み増す

取引先の状況、債権の保全状況および経済全体に関する見通しに基づく予想損失率の算出、貸倒引当金の計上に対し、前提条件と比較して、著しい経済状態の悪化や不動産価格の下落などが生じた場合は、貸倒引当金の積み増しが必要となり、当グループの業績に悪影響を及ぼし自己資本の減少につながる

不動産市場における流動性の欠如又は価格の下落、有価証券価格の下落などが発生した場合は、担保権を設定した不動産などの換金、又は取引先の保有資産に対する強制執行が事実上できず、信用コストが増加するとともに不良債権処理が進まず、当グループの業績に悪影響を及ぼし自己資本の減少につながる

・世界の経済金融情勢の変動

・国内外の財政・金融政策の変更

・政変、紛争の勃発等

・震災、台風等の自然災害発生

 

1 当社の連結子会社である静岡銀行では、貸出金の約5割が静岡県内向けであり、主要営業基盤である静岡県の経済動向に左右される可能性があります。

 

(3) 市場リスク

市場リスクとは、金利、為替、及び株価等の市場価格の変動により、当グループが保有する資産・負債の価値が変動し損失を被るリスク、資産・負債から生み出される収益が減少するリスクであります。その主なリスク事象、要因および対応策は以下のとおりです。

影響大

リスク事象

主な要因

対応策

大幅な株価下落が生じた場合は、政策投資目的で保有する株式、投資業務で保有する投資信託に減損または評価損が発生し、当グループの業績に悪影響を及ぼし自己資本の減少につながる

・世界の経済金融情勢の変動

・国内外の財政・金融政策の変更

・政変、紛争の勃発等

・震災、台風等の自然災害発生

・有価証券の残高や損失額に限度額を設定

・統計的手法によるリスクの定量化とモニタリング

・必要に応じたヘッジ取引の実施

内外金利が大幅に上昇した場合は、投資業務で保有する日本国債、米国モーゲージ債などの債券に減損または評価損が発生し、当グループの業績に悪影響を及ぼし自己資本の減少につながる

 

デリバティブ取引を含む金融商品の短期取引を行うトレーディング取引や為替取引において、金利、為替、債券価格の変動などにより、損失を被り、当グループの業績に悪影響を及ぼし自己資本の減少につながる

 

 

(4) 流動性リスク

流動性リスクとは、市場環境の悪化などにより必要な資金が確保できず資金繰りが窮したり、通常よりも著しく高い金利で資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク(資金繰りリスク)と市場の混乱などにより債券などの金融商品の売却ができなくなったり、不利な価格での売却を余儀なくされることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)であります。その主なリスク事象、要因及び対応策は以下のとおりです。

影響大

リスク事象

主な要因

対応策

金融市場の混乱、当グループの信用力低下による預金の流出等により、資金繰りが逼迫し、金融市場からの資金調達コストが増加

・金融市場の混乱

・当グループの格付け低下

・運用と調達のミスマッチ、及び一定期間内に必要な資金調達額を予め定めた範囲内に抑制

・金融危機などを想定したストレステストの実施

 

保有する有価証券の売却が円滑にできず、通常よりも不利な価格での売却を余儀なくされる

 

 

(5) オペレーショナル・リスク

オペレーショナル・リスクとは、「当グループにおける各業務の過程、役職員の活動もしくはシステムが不適切であること、又は外的な事象により損失が発生しうるリスク」であります。当グループでは、オペレーショナル・リスクを事務リスク、システムリスク等の8つのリスクカテゴリーに区分し、管理しております。

影響大

リスクカテゴリー

想定されるシナリオ

対応策

 

①事務リスク

各種取引に伴う事務を適宜適切に処理しなかったこと、及び事務プロセスそのものの不備、並びに外部者による窃盗や詐欺などの事故が発生した場合、金融資産の喪失や原状回復にかかわる対応費用などの発生により損失を被る

・オペレーショナル・リスクを適切に管理するための組織体制及び諸規程を整備するとともに、リスク顕在化の未然防止及び発生時の影響を極小化するため、継続的にRCSA(Risk & Control Self Assessment、リスクとコントロールの自己評価)を実施する

 

・人材の育成や教育・研修活動を通じて、オペレーショナル・リスク管理を重視する文化の確立に取り組む

 

・自然災害やオンライン障害等により重要な業務の中断が生じた場合の損失を最小限とするため、非常事態対策要綱等によりコンティンジェンシープランを定め、定期的に訓練を実施する

 

・新商品の販売、新しい業務の取扱開始等にあたっては、事前に当該商品または業務のオペレーショナル・リスクを特定・評価することにより、オペレーショナル・リスクの顕在化の未然防止を図る

 

・サイバー空間からの攻撃に対し、顧客情報・会社情報の保護及び、コンピューターシステムの安全性・信頼性を確保するため、サイバーセキュリティ事案に対応するための組織を整備し、外部機関との情報連携を行うほか、定期的にサイバーセキュリティ事案への対応訓練を実施するなど、当グループにおけるサイバーセキュリティに係るリテラシーの向上並びに組織力の維持・向上に向けて取り組む

②システムリスク

災害、各種機器や通信回線の故障、プログラムの不備などによりコンピューターシステムが停止・誤作動したり、コンピューターの不正使用、サイバー攻撃などにより情報の破壊や流出が発生した場合、決済機能やサービス業務の停止、社会的信用の失墜などにより当グループの業績に悪影響を及ぼす

③情報管理リスク・業務委託リスク

情報管理リスク)

当グループが管理している顧客情報や経営情報などについて漏洩、紛失、改ざん、不正使用などが発生した場合、社会的信用の失墜などにより当グループの業績に悪影響を及ぼす

(業務委託リスク)

当グループ業務の委託先において、当グループが委託した業務に関し事務事故、システム障害、情報漏洩などの事故が発生した場合、社会的信用の失墜などにより当グループの業績に悪影響を及ぼす

④リーガルリスク

 ※2

当グループ役職員の業務上における法令等違反行為やお取引先などとの不適切な契約の締結及び重大な訴訟が発生した場合、社会的信用の失墜などにより当グループの業績に悪影響を及ぼす

 

⑤有形資産リスク

災害、犯罪又は資産管理の瑕疵などの結果、当グループの有形資産が毀損したり当グループの有形資産が顧客などに損傷を与えた場合、有形資産の再構築費用などの発生や、社会的信用の失墜などにより当グループの業績に悪影響を及ぼす

 

⑥人的リスク

人事処遇や勤務管理などの人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題などに関連する重大な訴訟などが発生した場合、社会的信用の失墜などにより当グループの業績に悪影響を及ぼす

 

⑦風評リスク

地域、取引先、投資家、報道機関、インターネットなどで、事実と異なる風説や風評により評判が悪化したり、不適切な業務運営などが明るみに出ることにより当グループに対する信頼が低下し業務運営に支障をきたした場合、社会的信用の失墜などにより当グループの業績に悪影響を及ぼす

 

⑧その他

 オペレーショナル・リスク

「お客さまおよび外部委託先」以外の外部で発生した事故など、上記①~⑦のリスクカテゴリーのいずれにも属さないオペレーショナル・リスク事象が発生した場合、金融資産の喪失や原状回復にかかわる対応費用などの発生により損失を被る

 

※2 2024年3月31日現在、当グループの経営に重要な影響を及ぼす訴訟はありません。

 

 

(6) コンプライアンスに係るリスク

当グループでは、企業倫理の重要性を経営の最重要課題として認識し、諸施策の実施を通じてコンプライアンス態勢の整備に努めてまいりますが、法令等遵守状況が不十分であった場合には、当グループの業務運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 自己資本に係るリスク

① 自己資本比率

当グループは、バーゼルⅢに基づく国際統一基準による自己資本比率及びレバレッジ比率に関する規制が適用されています。

当グループの自己資本比率及びレバレッジ比率は、現在、要求される水準を上回っておりますが、利益剰余金、保有有価証券の評価差額などの増減、リスク・アセット等の変動などにより影響を受けます。これらの比率が要求される水準を下回った場合、金融当局から社外流出額の制限、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。

 

② 税効果会計

現時点の会計基準に基づき、将来実現すると見込まれる税務上の便益を繰延税金資産として計上します。今後、会計基準に何らかの変更があり繰延税金資産の算入に何らかの制限が課された場合、あるいは繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断される場合は、当グループの業績及び自己資本比率に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 固定資産の減損会計

今後、固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針等に何らかの変更がある場合や、所有する固定資産に損失が発生した場合には、当グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) その他のリスク

① 法務リスク

当グループでは、銀行法をはじめとして、現時点における様々な法令など(日本及び当グループが事業を営むその他の市場における法律、政令、省令、規則、告示、関係当局のガイドラインなどを含みます)の規制に従って業務を遂行しております。

将来における法令などの制定や改正、及びそれらによって発生する事態が当グループの業務遂行や業績に影響を及ぼす可能性がありますが、その可能性の程度や時期、発生する影響の具体的内容について予測することは困難です。

 

② 年金債務

年金資産の時価が下落した場合や、年金資産の運用利回りが想定を下回った場合、また、予定給付債務を計算する前提となる数理上の前提・仮定に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務債務が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も、年金債務及び未認識債務に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 規制変更

将来における法律、規制、政策、実務慣行及び解釈の変更並びにこれらの変更への対応が不十分とみなされる風評の発生により、当グループの業務遂行や業績などに影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競争

近年、金融制度は規制緩和が進展していることにくわえ、地域金融機関の再編や異業種企業による金融分野への参入、金融サービスのデジタル化などにより、金融業界の競争環境が大きく変化しております。その結果、当グループの営業基盤における競争が激化し他金融機関、金融サービス事業者などに対して競争優位を得られない場合、当初計画している経営戦略が奏功しないことにより、当グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 地震リスク

当グループの主要営業基盤である静岡県内を中心とした巨大地震が発生した場合、当グループ自身の被災による損害のほか、取引先の業績悪化による信用リスクの上昇などを通じて、当グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 金融犯罪にかかるリスク

当グループは、キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺等の金融犯罪による被害を未然に防止するため、セキュリティ強化に向けた取り組みを行っております。しかしながら、高度化する金融犯罪の発生により、不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合には、不測の損失の発生や社会的信用の失墜などにより、当グループの業務運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止対策不備による制裁等のリスク

当グループは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止を経営の重要な課題と位置づけ、管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、マネー・ローンダリング等に関する法令等遵守状況が不十分であった場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、社会的信用の失墜などにより、当グループの業務運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 持株会社体制の収益構造に関するリスク

当社は、銀行持株会社であり、収入の多くを静岡銀行など子会社からの配当に依存しているところ、規制等による一定の要件に抵触することで配当が制限される場合があります。また、静岡銀行など子会社が十分に利益を確保することができず、当社に配当できない等の状況となった場合に、当社は株主に対する配当ができない可能性があります。

 

 

(参考情報)

当グループが直面する全てのリスクに関して、それぞれのリスクカテゴリーごとに評価したリスクを可能な限り総体的にとらえ、リスクを自己資本の範囲内に収めることを統合的リスク管理の基本方針として「グループリスク管理基本規程」に定めております。リスク管理統括部署並びに各種リスクごとのリスク管理部署を設置し、当グループにおけるリスクを組織横断的に分析・評価する体制を構築することを明確化しております。

各種リスクをVaR等の統一的な尺度で計量化し、各種リスク量を合算して、リスクを自己資本の範囲内に収めるリスク資本配賦運営を、統合的リスク管理の中核と位置づけております。リスク資本配賦運営では、業務計画遂行にあたり、当グループの各部署のリスクが顕在化しても健全性が確保できるように、中核的な自己資本の範囲内でリスク資本を配賦しております。信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスクの各リスクカテゴリー、取引等に配賦するとともに、地震リスク・気候変動リスクのほか、ストレス事象の顕在化や新事業の開始等への備えを確保しております。当該配賦額については、業務計画の策定において、取締役会の監督のもとサステナビリティ会議(経営執行会議)にて審議、決議しております。また、グループ統合リスク・予算管理会議において、リスク資本の使用状況・遵守状況のモニタリングを行っております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

〔経営成績〕

2023年度の国内経済は、世界的な金融引き締めや地政学的リスクなど景気への不透明感を抱えながらも、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みました。日経平均株価が史上最高値を更新したほか、3月には日本銀行の金融政策変更が発表されるなど、社会・経済・金融環境において大きな潮目の変化がみられた1年となりました。

第1次中期経営計画の初年度となる当連結会計年度は、4つの基本戦略(「地域共創戦略」「グループビジネス戦略」「トランスフォーメーション戦略」「グループガバナンス戦略」)を推進し、「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載する目標とする経営指標に向けて取り組みました。財務目標として掲げる「収益性」「効率性」「健全性」において一定の成果をあげたほか、エンゲージメント指標においても、カーボンニュートラル(Scope1、2)目標に向け計画に沿った温室効果ガス排出量の削減を図るとともに、グループ役職員エンゲージメントが過去最高値に上昇するなど、2027年度に目指すサステナビリティ指標の実現に向け着実な進捗を図ることができました。

 

〔財政状態〕

 当グループの当年度末の総資産は、貸出金および有価証券の増加などにより前年度末に比べ4,867億円増加し、16兆1,415億円となりました。負債につきましては、債券貸借取引受入担保金の増加などにより前年度末に比べ4,314億円増加し、14兆9,382億円となりました。また、純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による株主資本の増加などにより前年度末に比べ552億円増加し、1兆2,033億円となりました。

 

 グループの中核である静岡銀行の主要勘定の特徴は以下のとおりです。

○貸出金

地域とともに成長する総合金融グループとしての責任を果たすべく、地域のお客さまに対する安定的な資金供給に取り組んでまいりました。

当年度末の貸出金残高は、中小企業向けや個人向け貸出金の増加などにより、前年度末に比べ3,835億円増加し、10兆4,465億円となりました。

○預金等(譲渡性預金を含む)

 当年度末の預金等残高は、法人ならびに個人向け預金の増加などにより前年度末に比べ2,754億円増加し、12兆1,009億円となりました。また、個人のお客さまの多様なニーズにおこたえするため、個人年金保険、投資信託などの商品を幅広く提供してまいりました。

 この結果、預金等を含めた個人のお客さまからの預り資産残高は、前年度末に比べ1,743億円増加し、8兆8,621億円となりました。

○有価証券

当年度末の有価証券残高は、国債や外国証券の増加などにより前年度末に比べ3,866億円増加し、3兆3,343億円となりました。

有価証券に関しては、健全かつ安定的なポートフォリオの構築を図りつつ、相場動向に応じた適切な運用に努めてまいります。

 

〔キャッシュ・フローの状況〕

当年度の連結キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、債券貸借取引受入担保金の増加などにより1,700億円のプラスとなりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得などにより2,934億円のマイナスとなりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式の取得による支出などにより247億円のマイナスとなりました。

この結果、当年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前年度末に比べ1,482億円減少し、1兆4,204億円となりました。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

目標とする経営指標(財務目標等)

財務目標等

第1次中期経営計画目標

(2027年度/計画最終年度)

実績

(2023年度/計画初年度)

A 収益性

連結経常利益

1,000億円以上

1,022億円

連結ROE(純資産基準)

6.5%程度

4.9%

連結ROE(株主資本基準)

7.5%程度

6.2%

B 健全性

連結CET1比率※1

13%以上

18.17%

(14.22%※2

C 効率性

連結OHR

53%程度でコントロール

56.3%

D その他

配当性向(連結)

2027年度までに「50%以上」

へ累進的に引き上げ

37.4%

 

※1 バーゼルⅢ最終化ベース ※2 バーゼルⅢ最終化完全適用後の試算値

A 収益性

当年度は、第1次中期経営計画の初年度であり、社会価値の創造と企業価値の向上の両立に向け、グループ各社の専門性を広げつつ連携することで、地域・お客さまに対する課題解決支援の取り組みを拡充しました。

ご融資を中心とした資金供給はもちろんのこと、事業承継や経営改善のほか、脱炭素化やデジタル化、ベンチャービジネス支援など幅広い事業者支援に取り組みました。また、預金や住宅ローンをはじめとした各種ローン、投資信託や保険商品等のご提案など、個人のライフプランに応じたニーズへの対応も進めたほか、有価証券運用における保有債券の利回り改善等にも取り組みました。これらの取り組みの結果、資金利益および役務取引等利益が着実な成長を見せ、当年度の連結業務粗利益は、前年度比111億57百万円増加の1,713億23百万円となりました。

連結営業経費は、人的資本投資に伴う人件費が増加したものの、中間期に実施した固定資産評価見直しに伴い、保有資産の減価償却費が減少したことで、前年度比6億11百万円増加の964億69百万円となりました。

この結果、連結経常利益は、連結業務粗利益の増加にくわえ、固定資産評価の見直しに併せ政策投資株式の縮減・売却を実施して株式等関係損益(黒字額)が増加したこと、さらにはマネックスグループの持分法投資損益(黒字額)が一過性の要因もあって増加したことで、前年度比282億60百万円増加の1,022億24百万円となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産評価の見直しに伴う特別損失が発生したものの、連結経常利益の増加により前年度比53億63百万円増加し577億60百万円となりました。

報告セグメント「リース業」では、連結子会社の静銀リースにおいて、収益性を考慮した契約残高の積み上げ等に取り組み、経常利益は前年度比1億44百万円増加の17億11百万円となりました。報告セグメント「その他」について、静銀経営コンサルティングではM&Aのコンサルティング業務を中心に収益力の増強が図られ、また、静銀ティーエム証券では、ストック収益重視の営業体制への転換に向け、新NISAの時機も捉え株式投資信託等のご提案が拡大するなど、静岡銀行以外の連結子会社においても収益体質の強化が図られました。

このように、総合金融グループとして中核事業における利益成長が図られた結果、連結ROEは、純資産基準で4.9%(2022年度4.6%)、株主資本基準で6.2%(同5.8%)と前年度に比べ上昇しました。

 

B 健全性

当年度末の連結CET1比率は、信用リスク・アセットの増加を主因に前年度末比0.25ポイント低下の18.17%となりました(バーゼルⅢ最終化完全適用後の試算値は14.22%)。

第1次中期経営計画では、連結CET1比率(バーゼルⅢ最終化ベース)13%以上を目標としており、総合金融グループとして安定経営に必要な資本水準を踏まえつつ、株主還元等により自己資本を適正水準にコントロールしながら、資本効率の向上を伴うリスク・アセットの積上げ等に取り組むことで、連結ROE向上を図ります。

 

C 効率

当年度の連結OHRは、人的資本投資に伴う人件費が増加した一方で固定資産評価見直しにより減価償却費が減少し、また業務粗利益の増加も相まって、前年度比3.8ポイント改善の56.3%となりました。

第1次中期経営計画では、デジタルや人的資本、新事業分野における攻めの投資を推進しつつトップラインの成長を図ることで連結OHRを53%程度でコントロールしていく方針です。

 

D その他

当年度の配当性向(連結)は、1株あたり年間9円の増配※を実施した結果、前年度比5.0ポイント上昇※の37.4%となりました。引き続き、第1次中期経営計画最終年度(2027年度)までに累進的に50%以上へ引き上げる目標に向けて、株主還元の拡充を図ってまいります。

※前年度は、単独株式移転により当社の完全子会社となった静岡銀行における中間配当を含む

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

A 資金調達等

当グループの中核企業である静岡銀行の当年度末の預金等(譲渡性預金を含む)残高は、法人預金と個人預金がともに増加したことにより、前年度末比2,754億円増加し、12兆1,009億円となりました。

当グループの成長戦略は、主要な資金調達基盤である預金の安定的な成長が必要であり、また、預金は、当グループがご提案する各種商品・サービスの入り口となる取引基盤でもあります。金利動向や人口減少、相続の発生、銀行取引のデジタル化等が預金の調達環境に影響を与えることも想定しつつ、また地域に対して安定した資金供給を行いながら、収益性向上に向けた運用戦略を推進していく観点からも、預金を拡大させていく方針です。

くわえて、取引先の資金需要(貸出金)や有価証券等の外貨資金運用に適切に対応していくため、安定した外貨調達基盤の確保にも取り組んでおり、今後も円貨および外貨の流動性に配意しつつ、健全性と収益性を伴った資金運用に努めてまいります。

B 有価証券の運用状況

当グループの中核企業である静岡銀行の当年度末の有価証券残高は、前年度末比3,866億円増加し、3兆3,343億円となりました。当年度は、金利動向を見極めながら円債の中長期的なポートフォリオの構築や外債の利回り改善にも取り組み、前年度に比べ国債等債券関係損益は改善、有価証券利息配当金は増加しました。今後も、安定的な収益成長を可能とする有価証券ポートフォリオの構築を進めてまいります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社が連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

(参考)

1 国内・海外別収支

資金運用収支は、前連結会計年度比88億76百万円増加して1,277億71百万円、役務取引等収支は、前連結会計年度比70億12百万円増加して443億56百万円、特定取引収支は、前連結会計年度比21億81百万円減少して15億42百万円、また、その他業務収支は、前連結会計年度比25億44百万円減少して△23億36百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

116,833

2,061

118,895

当連結会計年度

125,667

2,104

127,771

 うち資金運用収益

前連結会計年度

148,889

14,051

4,331

158,608

当連結会計年度

190,620

23,134

7,681

206,074

 うち資金調達費用

前連結会計年度

32,055

11,989

4,331

39,712

当連結会計年度

64,953

21,029

7,681

78,302

信託報酬

前連結会計年度

2

2

当連結会計年度

2

2

役務取引等収支

前連結会計年度

37,368

△24

37,343

当連結会計年度

44,353

3

44,356

 うち役務取引等収益

前連結会計年度

76,905

92

58

76,939

当連結会計年度

82,688

90

24

82,753

 うち役務取引等費用

前連結会計年度

39,537

116

58

39,596

当連結会計年度

38,334

86

24

38,397

特定取引収支

前連結会計年度

3,723

3,723

当連結会計年度

1,542

1,542

 うち特定取引収益

前連結会計年度

3,723

3,723

当連結会計年度

1,542

1,542

 うち特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

その他業務収支

前連結会計年度

185

21

207

当連結会計年度

△2,341

△3,937

△3,941

△2,336

 うちその他業務収益

前連結会計年度

26,802

21

26,824

当連結会計年度

19,188

4

4

19,188

 うちその他業務費用

前連結会計年度

26,616

26,616

当連結会計年度

21,530

3,941

3,946

21,525

 

(注) 1 「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(海外店を除く。以下「国内連結子会社」とい    う。)であります。

  2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下「海外連結子会社」という。)であります。

  3 「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しております。

  4 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度6百万円、当連結会計年度13百万円)を控除して表示しております。

 

 

2 国内・海外別資金運用/調達の状況

資金運用勘定平均残高は、前連結会計年度比8,570億円増加して14兆4,369億円となりました。資金運用利息は、前連結会計年度比474億65百万円増加して2,060億74百万円となりました。この結果、資金運用利回りは、前連結会計年度比0.25ポイント増加して1.42%となりました。

資金調達勘定平均残高は、前連結会計年度比1兆2,670億円増加して14兆8,714億円となりました。資金調達利息は、前連結会計年度比385億89百万円増加して783億2百万円となりました。この結果、資金調達利回りは、前連結会計年度比0.23ポイント増加して0.52%となりました。

 

(1) 国内

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

13,339,085

148,889

1.11

当連結会計年度

14,202,886

190,620

1.34

 うち貸出金

前連結会計年度

9,533,216

108,490

1.13

当連結会計年度

9,871,663

123,964

1.25

 うち有価証券

前連結会計年度

2,273,829

30,359

1.33

当連結会計年度

2,775,754

48,062

1.73

 うちコールローン及び
 買入手形

前連結会計年度

71,563

1,572

2.19

当連結会計年度

151,299

7,359

4.86

 うち買現先勘定

前連結会計年度

4

△0

△0.10

当連結会計年度

4

△0

△0.10

 うち預け金

前連結会計年度

1,225,359

4,122

0.33

当連結会計年度

1,132,016

4,158

0.36

資金調達勘定

前連結会計年度

13,383,298

32,055

0.23

当連結会計年度

14,652,511

64,953

0.44

 うち預金

前連結会計年度

11,234,209

12,765

0.11

当連結会計年度

11,490,953

28,103

0.24

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

45,190

2

0.00

当連結会計年度

79,345

2

0.00

 うちコールマネー及び
 売渡手形

前連結会計年度

539,726

2,209

0.40

当連結会計年度

766,619

1,377

0.17

 うち売現先勘定

前連結会計年度

257,537

8,015

3.11

当連結会計年度

448,041

24,801

5.53

 うち債券貸借取引
 受入担保金

前連結会計年度

190,506

245

0.12

当連結会計年度

650,087

288

0.04

 うち借用金

前連結会計年度

1,130,210

2,033

0.17

当連結会計年度

1,254,504

4,073

0.32

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の国内連結子会社については、前連結会計年度末と当連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しております。

   2 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度645,300百万円、当連結会計年度1,072,934百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度104,800百万円、当連結会計年度106,253百万円)及び利息(前連結会計年度6百万円、当連結会計年度13百万円)をそれぞれ控除して表示しております。

 

 

(2) 海外

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

468,535

14,051

2.99

当連結会計年度

501,034

23,134

4.61

 うち貸出金

前連結会計年度

253,021

8,578

3.39

当連結会計年度

285,645

15,190

5.31

 うち有価証券

前連結会計年度

109,061

3,232

2.96

当連結会計年度

95,348

4,002

4.19

 うちコールローン及び
 買入手形

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち買現先勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち預け金

前連結会計年度

93,116

1,775

1.90

当連結会計年度

106,925

3,227

3.01

資金調達勘定

前連結会計年度

432,305

11,989

2.77

当連結会計年度

456,577

21,029

4.60

 うち預金

前連結会計年度

215,471

5,918

2.74

当連結会計年度

212,939

10,807

5.07

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

35,859

1,065

2.97

当連結会計年度

49,616

2,793

5.63

 うちコールマネー及び
 売渡手形

前連結会計年度

25

0

3.29

当連結会計年度

 うち売現先勘定

前連結会計年度

16,570

394

2.38

当連結会計年度

13,695

660

4.82

 うち債券貸借取引
 受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち借用金

前連結会計年度

6,276

267

4.26

当連結会計年度

0

0

5.51

 

(注) 1 海外連結子会社の平均残高は、前連結会計年度末と当連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しております。

2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度2,232百万円、当連結会計年度1,640百万円)を控除して表示しております。

 

 

(3) 合計

 

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り
(%)

小計

相殺
消去額
(△)

合計

小計

相殺
消去額
(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

13,807,621

227,747

13,579,873

162,940

4,331

158,608

1.16

当連結会計年度

14,703,921

266,949

14,436,971

213,755

7,681

206,074

1.42

 うち貸出金

前連結会計年度

9,786,237

9,786,237

117,069

117,069

1.19

当連結会計年度

10,157,309

10,157,309

139,155

139,155

1.36

 うち有価証券

前連結会計年度

2,382,891

16,577

2,366,314

33,592

33,592

1.41

当連結会計年度

2,871,102

29,334

2,841,768

52,065

52,065

1.83

 うちコールローン
 及び買入手形

前連結会計年度

71,563

71,563

1,572

1,572

2.19

当連結会計年度

151,299

151,299

7,359

7,359

4.86

 うち買現先勘定

前連結会計年度

4

4

△0

△0

△0.10

当連結会計年度

4

4

△0

△0

△0.10

 うち預け金

前連結会計年度

1,318,476

40,727

1,277,748

5,897

328

5,569

0.43

当連結会計年度

1,238,942

44,387

1,194,555

7,385

578

6,807

0.56

資金調達勘定

前連結会計年度

13,815,603

211,169

13,604,434

44,044

4,331

39,712

0.29

当連結会計年度

15,109,088

237,614

14,871,473

85,983

7,681

78,302

0.52

 うち預金

前連結会計年度

11,449,680

40,727

11,408,953

18,684

328

18,355

0.16

当連結会計年度

11,703,892

44,387

11,659,505

38,911

578

38,332

0.32

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

81,049

81,049

1,067

1,067

1.31

当連結会計年度

128,962

128,962

2,796

2,796

2.16

 うちコールマネー
 及び売渡手形

前連結会計年度

539,751

539,751

2,210

2,210

0.40

当連結会計年度

766,619

766,619

1,377

1,377

0.17

 うち売現先勘定

前連結会計年度

274,107

274,107

8,409

8,409

3.06

当連結会計年度

461,737

461,737

25,462

25,462

5.51

 うち債券貸借取引
 受入担保金

前連結会計年度

190,506

190,506

245

245

0.12

当連結会計年度

650,087

650,087

288

288

0.04

 うち借用金

前連結会計年度

1,136,486

1,136,486

2,300

2,300

0.20

当連結会計年度

1,254,504

1,254,504

4,073

4,073

0.32

 

(注) 1 「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しております。

2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度647,533百万円、当連結会計年度1,074,575百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度104,800百万円、当連結会計年度106,253百万円)及び利息(前連結会計年度6百万円、当連結会計年度13百万円)をそれぞれ控除して表示しております。

 

 

3 国内・海外別役務取引の状況

役務取引等収益は、前連結会計年度比58億14百万円増加して827億53百万円となりました。また、役務取引等費用は、前連結会計年度比11億98百万円減少して383億97百万円となりました。

 

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

76,905

92

58

76,939

当連結会計年度

82,688

90

24

82,753

 うち預金・貸出業務

前連結会計年度

14,129

90

14,220

当連結会計年度

16,230

88

2

16,315

 うち為替業務

前連結会計年度

6,115

1

13

6,102

当連結会計年度

6,408

1

12

6,398

 うち証券関連業務

前連結会計年度

5,263

5,263

当連結会計年度

7,703

7,703

 うち代理業務

前連結会計年度

5,981

5,981

当連結会計年度

6,047

6,047

 うち保護預り・
 貸金庫業務

前連結会計年度

423

423

当連結会計年度

407

407

 うち保証業務

前連結会計年度

6,500

0

44

6,455

当連結会計年度

6,454

0

9

6,444

 うちリース業務

前連結会計年度

29,511

29,511

当連結会計年度

28,637

28,637

役務取引等費用

前連結会計年度

39,537

116

58

39,596

当連結会計年度

38,334

86

24

38,397

 うち為替業務

前連結会計年度

954

0

954

当連結会計年度

1,140

0

2

1,139

 うちリース業務

前連結会計年度

26,941

26,941

当連結会計年度

25,922

25,922

 

(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

  2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3 「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しております。

 

 

4 国内・海外別特定取引の状況

(1) 特定取引収益・費用の内訳

特定取引収益は、前連結会計年度比21億81百万円減少して15億42百万円となりました。また、特定取引費用の計上はありません。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

3,723

3,723

当連結会計年度

1,542

1,542

 うち商品有価証券
 収益

前連結会計年度

2,355

2,355

当連結会計年度

831

831

 うち特定金融派生
 商品収益

前連結会計年度

1,363

1,363

当連結会計年度

704

704

 うちその他の特定
 取引収益

前連結会計年度

5

5

当連結会計年度

6

6

特定取引費用

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

  2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

 

(2) 特定取引資産・負債の内訳(末残)

特定取引資産は、前連結会計年度比9億39百万円増加して118億35百万円となりました。また、特定取引負債は、前連結会計年度比21億36百万円減少して41億82百万円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

10,895

10,895

当連結会計年度

11,835

11,835

 うち商品有価証券

前連結会計年度

880

880

当連結会計年度

926

926

 うち商品有価証券
 派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち特定金融派生
 商品

前連結会計年度

7,014

7,014

当連結会計年度

4,912

4,912

 うちその他の特定
 取引資産

前連結会計年度

2,999

2,999

当連結会計年度

5,996

5,996

特定取引負債

前連結会計年度

6,319

6,319

当連結会計年度

4,182

4,182

 うち商品有価証券
 派生商品

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち特定金融派生
 商品

前連結会計年度

6,319

6,319

当連結会計年度

4,182

4,182

 

(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

  2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

 

 

5 国内・海外別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

11,541,315

210,621

46,865

11,705,070

当連結会計年度

11,709,061

185,917

41,908

11,853,070

 うち流動性預金

前連結会計年度

7,833,814

383

7,834,197

当連結会計年度

8,166,949

293

8,167,243

 うち定期性預金

前連結会計年度

2,852,323

210,238

16,928

3,045,633

当連結会計年度

2,744,928

185,623

2,930,552

 うちその他

前連結会計年度

855,177

29,937

825,239

当連結会計年度

797,182

41,908

755,273

譲渡性預金

前連結会計年度

25,710

39,394

65,104

当連結会計年度

51,210

47,875

99,085

総合計

前連結会計年度

11,567,025

250,015

46,865

11,770,174

当連結会計年度

11,760,271

233,793

41,908

11,952,156

 

(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

  2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

  3 ① 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

 ② 定期性預金=定期預金+定期積金

  4 「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しております。

 

6 国内・海外別貸出金残高の状況

(1) 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内
(除く特別国際金融取引勘定分)

9,762,827

100.00

10,085,322

100.00

製造業

1,608,328

16.47

1,665,851

16.52

農業、林業

8,135

0.08

8,034

0.08

漁業

12,943

0.13

15,818

0.16

鉱業、採石業、砂利採取業

16,105

0.17

14,112

0.14

建設業

278,959

2.86

280,757

2.78

電気・ガス・熱供給・水道業

180,445

1.85

177,270

1.76

情報通信業

51,718

0.53

73,595

0.73

運輸業、郵便業

299,908

3.07

297,578

2.95

卸売業、小売業

878,915

9.00

820,791

8.14

金融業、保険業

622,929

6.38

693,162

6.87

不動産業、物品賃貸業

2,274,630

23.30

2,344,605

23.25

医療・福祉、宿泊業等サービス業

622,414

6.38

644,907

6.39

地方公共団体

98,886

1.01

88,267

0.87

その他

2,808,504

28.77

2,960,569

29.36

海外及び特別国際金融取引勘定分

274,300

100.00

308,541

100.00

政府等

4,145

1.51

3,021

0.98

金融機関

36,062

13.15

49,347

15.99

その他

234,092

85.34

256,173

83.03

合計

10,037,128

10,393,864

 

(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

  2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

 

(2) 外国政府等向け債権残高(国別)

「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、2023年3月31日現在及び2024年3月31日現在の当該外国政府等向け債権残高はありません。

 

7 国内・海外別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

854,509

854,509

当連結会計年度

954,635

954,635

地方債

前連結会計年度

244,658

244,658

当連結会計年度

246,231

246,231

社債

前連結会計年度

498,153

498,153

当連結会計年度

504,091

504,091

株式

前連結会計年度

479,042

479,042

当連結会計年度

543,609

543,609

その他の証券

前連結会計年度

849,848

99,674

29,809

919,713

当連結会計年度

1,056,293

71,926

44,193

1,084,026

合計

前連結会計年度

2,926,212

99,674

29,809

2,996,076

当連結会計年度

3,304,861

71,926

44,193

3,332,594

 

(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。

  2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。

3 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

4 「相殺消去額」は、「国内」と「海外」間の取引に関する相殺額を記載しております。

 

 

8 「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

連結会社のうち「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は静岡銀行1社です。

(1) 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)

 

資産

科目

前連結会計年度
(2023年3月31日)

当連結会計年度
(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

銀行勘定貸

141

17.28

117

15.28

現金預け金

678

82.72

652

84.72

合計

820

100.00

770

100.00

 

 

負債

科目

前連結会計年度
(2023年3月31日)

当連結会計年度
(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金銭信託

820

100.00

770

100.00

合計

820

100.00

770

100.00

 

(注) 共同信託他社管理財産 前連結会計年度の残高は5百万円、当連結会計年度の残高は5百万円であります。

 

(2) 有価証券残高の状況

  該当事項はありません。

 

(3) 元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)

 

科目

前連結会計年度
(2023年3月31日)

当連結会計年度
(2024年3月31日)

金銭信託
(百万円)

貸付信託
(百万円)

合計
(百万円)

金銭信託
(百万円)

貸付信託
(百万円)

合計
(百万円)

銀行勘定貸

141

141

117

117

資産計

141

141

117

117

元本

141

141

117

117

その他

0

0

0

0

負債計

141

141

117

117

 

 

 

(自己資本比率等の状況)

(参考)

  自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

  なお、当社は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。

  また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(2019年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

  当社は、2023年3月末より、バーゼルⅢ最終化を早期適用しております。

 

 連結自己資本比率(国際統一基準)

  (単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1.連結総自己資本比率(4/7)

18.17

2.連結Tier1比率(5/7)

18.17

3.連結普通株式等Tier1比率(6/7)

18.17

4.連結における総自己資本の額

10,454

5.連結におけるTier1資本の額

10,454

6.連結における普通株式等Tier1資本の額

10,454

7.リスク・アセットの額

57,520

8.連結総所要自己資本額

4,601

 

 

 持株レバレッジ比率(国際統一基準)

(単位:%)

 

2024年3月31日

 持株レバレッジ比率

6.88

 

 

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、静岡銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

静岡銀行(単体)の資産の査定の額

 

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

147

138

危険債権

768

739

要管理債権

133

132

正常債権

101,497

104,594

 

 

(生産、受注及び販売の実績)

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。