第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 また、前連結会計年度の有価証券報告書「第2 事業の状況 2事業等のリスク (12)に記載のとおり、前連結会計年度において重要なマイナスの営業キャッシュ・フローの計上及び2020年連結会計年度からの3期連続の営業損失の計上により継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しておりました。

 しかしながら同記載の分析・検討内容及び改善策の結果として、当第1四半期連結累計期間においては、営業利益155百万円を計上しており、また当第1四半期連結累計期間末において現金及び預金を6,083百万円有しており、未使用の資金調達枠(当座借越残高)も1,300百万円と変動はなく、前連結会計年度より引き続き安定した資金調達を行うことが可能であることから資金状況は安定的に推移する見通しであり、現時点で資金繰りに重要な懸念はないことから継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)業績の状況

 当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、これまで約3年間続いた深刻なコロナ禍を脱し、感染防止のための様々な規制も緩和されており、社会全体でウィズコロナの環境に対する適応が進み、経済活動は再活性化に向けて動いていると認識しております。さらに、政府は新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを2023年5月上旬から季節性インフルエンザ同等とすることを決定し、またすでに訪日外国人の入国制限も大幅に緩和されており、今後、中国人観光客の訪日が本格的に解禁されれば、インバウンド需要のさらなる高まりも期待できることなどから、景気回復要素が増えると見込んでおります。

 一方で、ロシア軍によるウクライナ侵攻を発端とした原材料の高騰と供給不足・遅延が発生し、モノや人の調達コストが上がっており、コロナ禍を経て新たな世界・社会へ突入していく中で、様々な意味でのコスト管理が一段と重要になると考えております。また、日本に先行して景気回復した海外の主要国では利上げ局面に入っており、足元は景気回復にブレーキがかかりつつあり、日本では特に製造業への影響が懸念されますが、非製造業については急激な円安が一服していることと、これまで抑えられていた個人消費が活発化してきており、設備投資計画も動いてくると想定されることから、比較的堅調であると見ております。

 当社グループを取りまく経済環境は、主に景気の現状判断DI・先行き判断DI(内閣府 景気ウォッチャー調査)、第3次産業活動指数(経済産業省)、及びマネタリーベース平均残高(日本銀行)の動向等を主要な判断指標としております。景気の現状判断DI・先行き判断DIと、非製造業やサービス業の動向を示す第3次産業活動指数は、コスト上昇の影響等から回復は緩やかですが、底堅く推移しております。一方、マネタリーベース平均残高については日銀が金融緩和策を継続しているものの、足元の伸び率(前年比)はマイナスに低下しており、米国などの中央銀行は政策金利を引き上げていることから、先行きは日銀も追随する可能性があると注視しております。

 リーマン・ショックが起きた2008年、当社は景気動向の影響を受けやすい「店舗施設の制作事業」を主力事業としていたことから、売上高は大幅に減少し、初めて営業赤字に転落しましたが、その苦しい経験を糧に「いかなる環境下においても成長していける基盤の構築」をスローガンとして掲げ、顧客層や事業内容を多様化することで景気が落ち込んでも業績への影響を受けにくい企業体制の構築を進めております。「店舗施設の制作事業」について、2008年当時と2021年を比較しますと、売上高は約1.8倍に増やしながらも、売上高全体に占める同事業の比率は87.5%から50.2%にまで低下させることができました。2022年はコロナ禍の影響と同事業において物販という新たな業態開拓が好調だったことも寄与して、上記の比率は61.6%に高まりましたが、当社は幅広い分野での事業展開を進めており、新たな事業分野も成長してきていることから、この比率は2023年以降、再度低下すると見込んでおります。

 当社グループは、2016年から第2次10年計画「世界でも期待される企業に成る」の下、2016年から2018年の3ヵ年の中期経営計画は「進:利益基盤の構築」を目標に、即戦力となる人材(人財)を確保すると同時に、就業人口の減少に備え、将来の戦力となる人材(人財)育成を行い、幅広いマーケットの開拓と深掘りを進め、次なる領域へステップアップするための足場固めをしてまいりました。

 2019年から2021年の3ヵ年は、社会の生活スタイルの変化に適応できる企業へ変わっていかなければならないと考え、「化:時代が求めている企業へ化ける」を目標とし、当社グループは他に見ないこのユニークなスタイル(企業群)で幅広いマーケットに対応できるよう、国内外の各グループ会社において事業分野の間口・販路を広げ、グループ会社間でシナジーを創出してまいりました。加えて、「思いやりとおもてなしの心を持ってお客様に向き合う」ために、IT・RPA等の新しいDigital(デジタル)技術を積極的に導入して、DX(デジタルトランスフォーメーション)の基盤を作り、本業に革新を起こすとともに、あらゆる面でロスを削減して生産性を上げ、社員がやりがいを持って力を十分に発揮できるよう、業務量の適正化を進めてまいりました。

 しかし、2020年以降は新型コロナウイルス感染症という想定外の全世界的な非常事態が起こり、当社グループとしても可能な限りの対策は講じたものの、誠に遺憾ながら当初の計画どおりに進まない面も多くありましたが、ここで経験したことを次に活かしていくことが重要であると認識しております。

 今、世界は産業革命以来の大いなる過渡期にあり、AI(人工知能)に代表されるDigital技術の飛躍的な発展により、これまでの常識や社会全体に劇的な変化が起きております。すなわち「時間の概念」「モノづくり」及び「ライフスタイル」のすべてが変わり、ビジネスにおいてもDigital技術を積極的に利用していくかどうかで、今後数年のうちに企業間格差がますます広がっていきます。

 そこで、当社グループは2022年から2025年の4ヵ年の目標を「成:Digital × あなた」= DX とし、2026年からの次なる「第3次10年計画」に向け、商空間創りにおける新しい企業モデルの土台作りを行ってまいります。この「DX」とは、単なるデジタルトランスフォーメーションではなく、常に主役は「あなた=人」であり、この激動の時代に「Digital(技術だけではなく、知識も含む)」という時代に合った道具(手段)を、大事な財産である「あなた=人(人財)」が活用することで何倍もの価値を生み出し、最終的にお客様や社会や未来を支えるひとりひとりの主役(あなた)を輝かせることこそが本来の姿であると考えております。

 現在、建設業に関わっている企業の最大の課題は、急速に進んでいる建設業就業者の減少・高齢化、及び2024年4月から建設業にも適用される「働き方改革関連法」(時間外勤務時間の上限 原則 月45時間、年360時間)で、技術者の価値が劇的に変わっていくことから、生産性の向上は急務であり、利益率の高い企業へ大きく変革していくことが求められています。すでに当社グループは第2次10年計画がスタートしてからこれまでの7年間で人材(人財)の採用と育成を積極的に行い、グループ内職人を約4.8倍、従業員数を約2.8倍に増やすと同時に、新時代に適応するための DX 基盤の構築に約25億円を投資し、生産性向上を図った結果、売上高総利益率を2.8ポイント向上させることができました。しかしながら、様々な取組みに対しての評価・検証を確実に行うことで、さらなる改善の余地があると考えております。

 2023年は、コロナ禍の約3年間の厳しい冬の時代が終わり、本当の意味での春=再始動の年となって、新たな時代・環境が始まっております。昨年に引き続き、ロシア・ウクライナ戦争や原材料高、コスト上昇の要因となる急激な円安、また金利上昇など様々なリスクや懸念はありますが、特に日本の内需は極めて慎重に警戒し、耐え忍び、疲弊してきたことから、その反動は大きく、円安によるインバウンド効果も後押しとなって、盛り返す局面が来ると見込んでおります。当社グループもこの流れを掴み、未来へ進むために、「傷んだ体を回復させ、ホップ・ステップ・ジャンプ」を2023年のスローガンとして掲げ、当社グループ全体で直接的なコミュニケーションを復活させ、財務体質の改善を含めて今一度足場固めを行い、これまで十分に撒いてきた様々な種(施策)から花を咲かせる、つまりグループ一丸となって結果を出していくことが不可欠であると考えております。

 具体的には、売上・原価・販管費を3つの大きな課題と捉え、まずは昨年一定の成果を出した受注分析をさらに徹底することで売上増を目指します。原価については、物価高という厳しい状況が続いておりますが、昨年来実施しているメンテナンス部員の稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)向上の取組みのように、人工の生産性向上という観点も含め、原価低減を図ってまいります。また、販管費については、我々のコアである人(社員)の教育・育成は積極的に行い、人(社員)以外の無駄なコストは徹底的に削減いたします。この3つの課題をクリアすることで、人(社員)やこれに関わるコストが増加しても、売上を積み増しながら売上総利益率も高めていくことができる体制を構築してまいります。

 以上の結果、同期間の業績は、売上高118億3千3百万円(前年同四半期比53.0%増)、営業利益1億5千5百万円(前年同四半期は9千8百万円の営業損失)、経常利益1億8千8百万円(前年同四半期は2千万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益1億1千2百万円(前年同四半期は8千万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

 

当社グループでは、事業内容を明確化するために事業分野を6つに区分しております。

事業分野別の売上高及び概況は、以下のとおりであります。

 

《事業分野別売上高》

事業分野の名称

前第1四半期

連結累計期間

(百万円)

当第1四半期

連結累計期間

(百万円)

前年同四半期比

(%)

店舗施設の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

4,467

5,201

16.4

商業施設の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

1,269

2,298

81.0

食品工場、物流倉庫の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

880

1,386

57.5

メンテナンス事業 (注2)

545

571

4.8

省エネ・CO2削減事業

31

30

△4.1

建築事業

541

2,344

333.1

7,736

11,833

53.0

(注1) 「制作事業」とは、ここでは企画、設計及び施工の事業を指しております。

当社グループの事業内容を正確にご理解いただくために、2020年12月期第1四半期より事業分野について、事業分野名称のみ変更しております。なお、各事業に含まれる事業内容、算出基準等は変更しておりません。

 

事業分野の名称

(変更前:2019年12月期本決算 以前)

事業分野の名称

(変更後:2020年12月期第1四半期決算 以降)

店舗施設の企画制作事業

店舗施設の制作事業

商業施設の企画制作事業

商業施設の制作事業

食品工場、物流倉庫の企画制作事業

食品工場、物流倉庫の制作事業

店舗メンテナンス事業

同左

省エネ・CO2削減事業

同左

建築事業

同左

(注2) これまで「店舗メンテナンス事業」としておりました事業分野について、近年、ビルメンテナンスなど店舗以外のメンテナンスも増えてきており、事業内容を正確にご理解いただくために、2021年12月期第3四半期より事業分野名称のみ変更しております。なお、当該事業に含まれる事業内容、算出基準等は変更しておりません。

 

事業分野の名称

(変更前:2021年12月期第2四半期決算 以前)

事業分野の名称

(変更後:2021年12月期第3四半期決算 以降)

店舗施設の制作事業(企画・設計・施工)

同左

商業施設の制作事業(企画・設計・施工)

同左

食品工場、物流倉庫の制作事業

(企画・設計・施工)

同左

店舗メンテナンス事業

メンテナンス事業

省エネ・CO2削減事業

同左

建築事業

同左

 

 

《店舗施設の制作事業》

 店舗施設の制作事業につきましては、長らく当社の中心事業でありますが、近年ではネットショッピングの需要が一段と高まり、発展していく中で、今後は店舗の役割や意義が変わってくることもあり得ると考えております。そのため、スーパーマーケットや飲食店、小売店に加え、多種多様な業態の店舗施設の開拓に挑み、かつ「現場力の強化」をスローガンとして、企画・設計・施工を担う技術者の内製化を進めており、部門やグループ会社といった枠組みを超え、チームが一丸となって、単なる施工ではなく、付加価値をつけた提案もできるよう努めております。当社グループの主要顧客である飲食店、小売店はコロナ禍の影響を大きく受けてきましたが、今やウィズコロナを踏まえた営業体制が浸透してきており、当社でも飲食店がウィズコロナ、アフターコロナの時代にも適応できる新業態としてデリバリー専門店やクラウドキッチンを検討する際の新たな支援サービスとして「まるごと店舗サービス」の提供も行っております。また、物販という新たな業態を積極的に開拓し、結果が出てきております。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は52億1百万円(前年同四半期比16.4%増)となりました。

 

《商業施設の制作事業》

 商業施設の制作事業につきましては、複数テナントを有する商業施設(テナント及び共用部工事を含む)と建築設備事業を基幹分野のひとつとして位置づけております。当該分野を一段と強化するとともに、大手デベロッパーや電鉄系の顧客開拓を進めており、受注件数は着実に増えてまいりました。将来的には、グループ会社間のシナジー創出により大きく発展する事業分野であります。多くのデベロッパーにおいては、2024年から2025年をひとつの盛り上がりの山と考え、着々と動き始めております。当社でも、我慢の時期に改めて工期の長い大型案件にきっちりと対応するための基盤構築を行ってまいりました。企画からオープンまで時間を要する案件も多く、即座に数字として表れてにくい分野ではありますが、街に人出が戻って、これまで手控えられていた商業施設の出店計画等も活発化してきており、当社グループもこの流れを着実に捉えてまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は22億9千8百万円(前年同四半期比81.0%増)となりました。

 

《食品工場、物流倉庫の制作事業》

 食品工場、物流倉庫の制作事業につきましては、当社設立時からの基幹技術である冷凍冷蔵技術を活かす重要分野であり、物流はネットショッピングの拡大に伴って成長途上にあり、コロナ禍を経て一段と重要性が高まって、活性化しております。当社は大手ゼネコンやエンジニアリング会社からの受注獲得を目指し、積極的に営業活動を展開すると同時に、これまでに培ってきた技術に甘んずることなく、常に新たな知識も取り入れながら、技術力向上を図っております。また、当社及び当社グループの株式会社ハイブリッドラボ(基幹事業:水産加工及び水産加工DXソリューションの研究開発)は、製造業の設計に特化したコンサルティング会社である株式会社O2(オーツー、現 株式会社オーツー・パートナーズ)とともに「未来ファクトリープロジェクト」の一環として、SDGsも見据えた中で、労働集約型産業である水産加工工場をはじめ、製造業全般においても生産性の高いソリューションを提供すべく研究開発を進めております。その第1弾として、ホタテの選別工程を支援するAIソリューション「AIセレクタ」を開発中であり、現在、パイロット運用を行っております。今後、この事業を軌道に乗せることで当該分野発展の一翼を担うと見込んでおります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は13億8千6百万円(前年同四半期比57.5%増)となりました。

 

《メンテナンス事業》

 メンテナンス事業につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、コールセンターにてお客様からの修理依頼に応えるだけではなく、満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。2017年6月からメンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続け、新規の保守メンテナンス店舗数は現在までに23,800件を突破しました。また、メンテナンス員の稼働率向上のため、昨年より中央指令室を設置し、スケジュール管理と人員配置を徹底するとともに、ウェアラブルデバイスを活用した遠隔支援も行える体制を整えております。さらに、技術レベルに応じた研修プログラムを実施し、工種の異なる作業にも対応できるマルチメンテナンス部員の育成を進め、1人当たりの稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)を高める取組みを行っております。

 加えて、従来の修理・保守といったメンテナンスだけではなく、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンスは当該分野において主力の一角となっております。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は5億7千1百万円(前年同四半期比4.8%増)となりました。

《省エネ・CO2削減事業》

 省エネ・CO2削減事業につきましては、エアコンレンタルから始まったレンタル事業(れん太くんシリーズ)を主力事業として展開しており、現在では食洗機、電気フライヤー、油ろ過機、業冷庫、製氷機、キュービクル(高圧受電設備)、GHP(ガスヒートポンプ)をはじめ、様々なラインナップを増やし、これらを組み合わせてレンタルできるカスタマイズレンタルも行い、お客様のニーズに合わせた多様なレンタルパターンを提案してまいりました。昨年2月には「レン太くん.com」として大幅刷新し、レンタル機器のラインナップを増やし、工事費やアフターサービス費用を含むプランも選択できるようになりました。昨今の電気やガスなど光熱費の値上がりは企業にとってはマイナス要因となりますが、当該事業分野においてはビジネスチャンスにもなり得ることから、こうした工事以外の分野でも営業機会を拡大してまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は3千万円(前年同四半期比4.1%減)となりました。

 

《建築事業》

 建築事業につきましては、以前は耐震診断及び補強工事が中心でありましたが、この10年間で培ってきた実績と技術力の積み上げにより、建物の躯体に関わる部分から、建物に付随する設備や建物内の内装に至るまで、当社グループですべて請け負うことが可能になったことから新築・増改築の引き合いも増え、主力事業のひとつに成長いたしました。とはいえ、当社としてはまだまだ新規分野で、さらに基盤を固めていくうえで克服しなければならない課題もあり、今後、当該事業を強靭な柱として発展させるべく、設計も含めた施工体制の充実を図ってまいります。

 当該事業分野は、大型ホテルのように工期が長く、受注額の大きい案件も多いことから、短期的な景気動向の影響を受けにくい傾向がありますが、コロナ禍で顧客が設備投資等に対して極めて慎重になっていた分野でもあります。特にホテル業界はコロナ禍の打撃を大きく受けましたが、現在ではウィズコロナ下における新しい営業スタイルが確立しており、当社においてはリノベーション案件の受注も入ってきております。また、全国旅行支援、入国制限の緩和と円安によるインバウンド需要も追い風となって、ホテル業界は引き続き回復が見込めることから、当社も積極的に営業攻勢をかけてまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は23億4千4百万円(前年同四半期比333.1%増)となりました。

 

(参考資料)『部門別売上高及び概況』

部門別の売上高及び概況は、以下のとおりであります。

 

《部門別売上高》

関連部門の名称

前第1四半期

連結累計期間

(百万円)

当第1四半期

連結累計期間

(百万円)

前年同四半期比

(%)

スーパーマーケット関連部門

2,450

3,591

46.5

フードシステム関連部門

4,679

7,643

63.3

保守メンテナンス部門

605

599

△1.1

7,736

11,833

53.0

 

《スーパーマーケット関連部門》

 スーパーマーケット関連部門につきましては、スーパーマーケット販売統計調査(スーパーマーケット協会3団体)によりますと、2022年はコロナ禍も比較的落ち着いて、ウィズコロナの生活スタイルが定着し、巣ごもりが減って外出の機会が増えたことなどもあり、売上高の伸び率(前年比)はほぼ前年並みとなっておりましたが、昨年秋口から人の動きが活発になってきており、2023年以降は前向きな改装計画なども出てきております。引き続き、当社グループは経済環境に大きく左右されず、あらゆる営業機会を逃さないために、各グループ会社の強みを活かして、設計や内装施工だけではなく、給排水・空調設備工事や電気設備工事等、対応できる事業領域やサービスの拡大を図ってまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は35億9千1百万円(前年同四半期比46.5%増)となりました。

 

《フードシステム関連部門》

 フードシステム関連部門につきましては、外食産業市場動向調査(日本フードサービス協会)によりますと、コロナ禍で2020年の店舗売上高の伸び率(前年比)は大きく落ち込み、当社グループの主要顧客である飲食店、小売店、商業施設、ホテル等の営業環境は厳しく、当社グループの受注においてもその影響を受けましたが、2021年以降はテイクアウトやデリバリーなど新たな需要が生まれたこともあって、外食産業全体では緩やかながらも回復局面に入り、2022年はさらに回復が鮮明になって、同調査の店舗売上高の伸び率(前年比)は+10%を超える好調でした。コロナ禍を経て、業態の構造変化も見られることから、当社グループは今後も状況や時代に適応したサービスや付加価値を提供できるよう努めてまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は76億4千3百万円(前年同四半期比63.3%増)となりました。

 

《保守メンテナンス部門》

 保守メンテナンス関連部門につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、コールセンターにてお客様からの修理依頼に応えるだけではなく、満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。2017年6月からメンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続け、新規の保守メンテナンス店舗数は現在までに23,800件を突破しました。また、メンテナンス員の稼働率向上のため、昨年より中央指令室を設置し、スケジュール管理と人員配置を徹底するとともに、ウェアラブルデバイスを活用した遠隔支援も行える体制を整えております。さらに、技術レベルに応じた研修プログラムを実施し、工種の異なる作業にも対応できるマルチメンテナンス部員の育成を進め、1人当たりの稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)を高める取組みを行っております。

 加えて、従来の修理・保守といったメンテナンスだけではなく、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンスは当該分野において主力の一角となっております。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は5億9千9百万円(前年同四半期比1.1%減)となりました。

 

(注) 2018年12月期までは、部門別の売上高を主とし、事業分野別の売上高を参考情報としておりましたが、当社の事業内容が変化してきたことにより、事業分野別売上高の方が事業の実態をより表しているため、2019年12月期より事業分野別売上高を主、部門別売上高を参考情報としております。

 

(2)財政状態の分析

(資産の部)

 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、301億4千6百万円と前連結会計年度末に比べ6億3千3百万円の減少となりました。

 流動資産は、193億9千4百万円と前連結会計年度末に比べ7億3千3百万円の減少となりました。これは、売上債権及び契約資産が増加したものの、仕掛品の減少及び借入金返済による現金及び預金の減少が主な要因であります。

 固定資産は、107億5千2百万円と前連結会計年度末に比べ1億円の増加となりました。これは、保有株式の株価上昇により投資有価証券の増加が主な要因であります。

(負債の部)

 流動負債は、176億8千9百万円と前連結会計年度末に比べ5億5百万円の減少となりました。これは、未払消費税等が増加したものの、仕入債務、未払費用及び未払法人税等の減少が主な要因であります。

 固定負債は23億6百万円と前連結会計年度末に比べ1億7千1百万円の減少となりました。これは、長期借入金の減少が主な要因であります。

 以上の結果、負債の部は199億9千5百万円と前連結会計年度末に比べ6億7千7百万円の減少となりました。

(純資産の部)

 純資産の部は101億5千1百万円と前連結会計年度末に比べ4千3百万円の増加となりました。これは、配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上及び保有株式の株価上昇によるその他有価証券評価差額金の増加が主な要因であります。

 なお、自己資本比率は33.6%と前連結会計年度末より0.8ポイント増加しております。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(特別調査委員会による調査結果を踏まえた今後の課題)

当社は、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む当社の経費計上について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年2月14日、当社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行なってまいりました。当社は、2024年4月12日に受領した調査報告書の内容を踏まえ、不適切な経費精算と認定された経費について、過年度に遡って費用計上を取り消すとともに、当該代表取締役社長(当時)に返還を求めるべく未収入金(流動資産その他)計上を行い、さらに関連当事者取引として当該代表取締役社長(当時)による当該不適切な経費精算及び当社からの仮払金の支払い等を注記するため、過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。特別調査委員会の調査報告書によると、当社から当社代表取締役社長(当時)への仮払金の支払いに加え、当社の長期売掛金の回収に関して、当社代表取締役社長(当時)から、同氏が議決権の100%を所有する資産管理会社を経由し、長期売掛金の相手先会社へ資金の移動があったことが確認されており、当社代表取締役社長(当時)から流れた資金が、当社の長期売掛金への一時的な返済原資(2019年4月返済分から2020年3月返済分まで)となっていたことが認められております(長期売掛金の相手先会社に流された資金については2020年4月に同社から資産管理会社を介して当社代表取締役社長(当時)へ返金されております)。またこの実行に、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)が関与しておりましたが、これらの事実が取締役会に報告されておりませんでした(以下、これらを総称して「今般不適切交際費等事案」といいます。)。

加えて、前述の当社代表取締役社長(当時)に関する関連当事者取引としての注記の追記に際し、改めて関連当事者取引の網羅性について当社内の自主点検を行った結果、当該内容の他に、過年度より関連当事者取引として開示すべき当社役員による当社新株予約権の行使及び当社役員が議決権の過半数を所有している会社からの設備工事の受託等が新たに判明したため(以下、「その他関連当事者取引の未開示」という。)、上記と併せて過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。

なお、訂正に際しては、当該不適切な経費計上の訂正に加え、2023年12月期第1四半期以前における当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法)案件等に関する不適切な会計処理(特別調査委員会(2023年5月12日設置)より受領した調査報告書(同年7月25日)により認定された事案(以下、「当初工事原価付替え事案」といいます。)。過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であったため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の財務諸表に含めて処理したもの)、当社内の自主点検により判明した事項及びその他重要性の観点から過年度において修正を行わなかった事項も併せて、過年度に遡った訂正を行いました。

 

当社は、今般不適切交際費等事案において、当社代表取締役社長(当時)による不適切な経費精算に関して、財務諸表及び関連当事者取引注記における虚偽の表示が生じた原因として、同氏のガバナンス意識の低さ、すなわち、上場会社の経営者として、過誤によるとしても私的なものが一切混在しないよう公私を厳格に分け、利害関係者に対する説明責任を全うするという意識が不十分であった点がその根底にあったものと認識しております。

同時に取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)のガバナンス意識が不十分であったことも原因であり、当社代表取締役社長(当時)に対する忖度から、十分な統制機能を果たせなかった点に加え、取締役会や監査等委員会に対しても適切な情報提供がなされず、その結果、当社代表取締役社長(当時)の行為に対し、取締役会及び監査等委員会が十分な批判的検討ができなかった点に繋がったものと認識しております。

その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスが形骸化し、十分網羅的な情報収集ができておりませんでした。

 

次に、前述の当初工事原価付替え事案に関する不適切な会計処理(具体的には①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン株式会社))が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識しており、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社による各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点をその原因として認識しております。また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さをその原因の一つとして認識しておりますが、同時に2017年10月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったことを認識しております。

 

当初工事原価付替え事案に対しては、特別調査委員会からの調査報告書受領後、再発防止策を検討のうえ、順次改善対応を進めてきており、本報告書時点での対応状況は以下のとおりです。

 

[当初工事原価付替え事案に対する再発防止策の実施状況]

① 工事担当者等のコンプライアンス意識の低さ及び各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点

コンプライアンス・リスク管理委員会において、コンプライアンス・マニュアルや企業憲章を改定の上、全従業員を対象としたコンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施いたしました。また、当初工事原価付替え事案への関与者に関しては懲戒処分を実施、社内公表するとともに、全社員にコンプライアンス・アンケートも実施いたしました。今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

 

② 工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点

工事部門外からの牽制機能を強化するため、工事の着工許可時及び完了時に、工事担当者以外の積算部による工事原価の妥当性のチェックプロセスを追加するとともに、工事原価に関する各種証憑の回収の徹底と回収状況のチェックプロセス(工事担当者以外の工事アシスタントが確認する)を追加いたしました。特に工事原価の請求書については、回収確認の手続き及び外注先の都合でどうしても請求書発行が遅延する場合の取扱いを定め、支払遅延が生じないような統制を追加いたしました。

また各工事部門における共通メールアドレスを導入し、工事担当者と工事等の発注先(協力会社)とのやり取りについて、一担当者が単独では行えない仕組みに変更いたしました。

なお、積算部による工事原価の妥当性のチェックについては、2023年12月末時点において十分に網羅的なチェックがなされていなかったこと(チェックの証跡が残されていなかったことも含む)から、今後も工事原価に関する統制の継続的な改善を進めてまいります。

 

③ 工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった点

主要取引区分における会計リスクの洗い出しと分析を実施し、追加対応が必要だと識別されたリスクについては内部統制の追加や内部監査での追加チェック等の追加対応を行いました。特に子会社の工事進行基準案件について、当社管理部門におけるレビュープロセスを追加し、各社の工事進行基準処理(工事損失引当金の検討含む)についてチェックを実施いたしました。

 

④ 子会社における適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ

当初工事原価付替え事案において不適切な会計処理が確認された子会社に対しては、コンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施するとともに、関与者への懲戒処分を実施し、社内公表しております。当社グループにおいて設備工事系及び建築内装系の業務を行う子会社(以下「工事子会社」といいます。)に対しては、コンプライアンス・リスク管理委員会での議事を共有することと、今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

 

⑤ 子会社に対し、当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと

当社グループにおいて工事子会社への管理を強化するため、工事子会社担当執行役員を選任し、各工事子会社の執行責任者、施工責任者、経理担当者と定期的な面談を実施しております。

また、各工事子会社の事業規模やリスクに応じて、業務プロセスに係る内部統制の再整備や、当社内部監査における工事取引のサンプルテスト、当社管理部による会計仕訳のレビューを追加し、当社側からの牽制と統制(モニタリング)を強化いたしました。

次に、今般不適切交際費等事案及びその他関連当事者取引の未開示に対しては、特別調査委員会からの調査報告書及びガバナンス委員会からの答申書の内容等を踏まえ、以下に掲げる再発防止策を策定しております。

 

 

[今般不適切交際費等事案に対する再発防止策]

(1) 当社ガバナンス体制の抜本的な改善

① 当社取締役(監査等委員含む)の刷新(社外からの社長の招聘含む)

② 指名報酬委員会の設置と社外役員の過半数化

③ 当社代表取締役社長(当時)を含む当社取締役(監査等委員含む)に対する責任追及

(2) 取締役会・監査等委員会によるガバナンス機能の強化

① 取締役会への情報共有や情報伝達の改善

② 内部監査体制の位置づけの見直し(監査等委員直下とする)と体制の強化

③ 取締役会における重要リスクのモニタリング

④ リスク管理体制の再構築とリスク管理の強化

(3) 本件を踏まえた個別的な対応

① 関連当事者取引及び利益相反取引に関する規程の見直し

② 役員経費精算のルール設定(接待交際費に関する運用の厳格化含む)

(4) 当社企業風土の刷新

① 企業風土の刷新に向けた全役職員に対する研修の継続的な実施(営業関連役職員に対する技術営業に向けたワークショップの開催含む)

② 役員や管理職以上の社員に対するコンプライアンス及び職責・ガバナンスに関する研修の継続的な実施

③ 内部通報窓口の機能充実

 

今回、投資家の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。当社はこれらの施策を着実に実行すると共に、適正な内部統制の整備及び運用のさらなる強化に取り組み、内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ることが重要であると考え、再発防止に努めてまいります。

 

[その他関連当事者取引の未開示に対する改善策]

(1) 関連当事者取引の情報収集と検証プロセスの改善

① 関連当事者との取引明細シートの改善

② 役員に対する関連当事者取引注記に関する説明会の継続的な実施

 

(6)研究開発活動

 金額が僅少のため、記載を省略しております。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。