1【内部統制報告書の訂正報告書の提出理由】

 2021年3月30日に提出いたしました第51期(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)内部統制報告書及び2023年7月28日に提出いたしました第51期(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)訂正内部統制報告書の記載事項に一部誤りがありましたので、金融商品取引法第24条の4の5第1項に基づき内部統制報告書の訂正報告書を訂正するものであります。

 

2【訂正事項】

3 評価結果に関する事項

 

3【訂正箇所】

 訂正箇所は___を付して表示しております。

 

1.訂正の対象となる内部統制報告書及び訂正内部統制報告書の提出日

内部統制報告書 2021年3月30日

訂正内部統制報告書 2023年7月28日

 

2.訂正の理由及び財務報告に係る内部統制の評価結果を訂正するに至った経緯

2.1.訂正の理由

内部統制報告書の「3 評価結果に関する事項」の記載事項に誤りがあることから訂正することといたしました。

 

2.2 財務報告に係る内部統制の評価結果を訂正するに至った経緯

当社は、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む当社の経費計上について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年2月14日、当社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行なってまいりました。当社は、2024年4月12日に受領した調査報告書の内容を踏まえ、不適切な経費精算と認定された経費について、過年度に遡って費用計上を取り消すとともに、当該代表取締役社長(当時)に返還を求めるべく未収入金(流動資産その他)計上を行い、さらに関連当事者取引として当該代表取締役社長(当時)による当該不適切な経費精算及び当社からの仮払金の支払い等を注記するため、過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。特別調査委員会の調査報告書によると、当社から当社代表取締役社長(当時)への仮払金の支払いに加え、当社の長期売掛金の回収に関して、当社代表取締役社長(当時)から、同氏が議決権の100%を所有する資産管理会社を経由し、長期売掛金の相手先会社へ資金の移動があったことが確認されており、当社代表取締役社長(当時)から流れた資金が、当社の長期売掛金への一時的な返済原資(2019年4月返済分から2020年3月返済分まで)となっていたことが認められております(長期売掛金の相手先会社に流された資金については2020年4月に同社から資産管理会社を介して当社代表取締役社長(当時)へ返金されております)。また当該不適切な行為の実行には、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)が関与しておりましたが、これらの事実が取締役会に報告されておりませんでした(以下、これらを総称して「今般不適切交際費等事案」という。)。

加えて、前述の当社代表取締役社長(当時)に関する関連当事者取引としての注記の追記に際し、改めて関連当事者取引の網羅性について当社内の自主点検を行った結果、当該内容の他に、過年度より関連当事者取引として開示すべき当社役員による当社新株予約権の行使及び当社役員が議決権の過半数を所有している会社からの設備工事の受託等が新たに判明したため(以下、「その他関連当事者取引の未開示」という。)、上記と併せて過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。

なお、訂正に際しては、当該不適切な経費計上の訂正に加え、2023年12月期第1四半期以前における当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法)案件等に関する不適切な会計処理(特別調査委員会(2023年5月12日設置)より受領した調査報告書(同年7月25日)により認定された事案(以下、「当初工事原価付替え事案」という。)。過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であったため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の財務諸表に含めて処理したもの)、当社内の自主点検により判明した事項及びその他重要性の観点から過年度において修正を行わなかった事項も併せて、過年度に遡った訂正を行いました。

 

当社は当初工事原価付替え事案に関し、当社及び子会社における全社的な内部統制及び購買業務プロセスについて開示すべき重要な不備を識別したため、2023年7月28日に訂正内部統制報告書を提出しておりますが、今般新たに、当社代表取締役社長(当時)による不適切な経費精算及び当社からの仮払金の支払い等についての関連当事者取引としての未開示、並びに、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)の財務ライントップ3人による不適切な行為への関与及びその事が取締役会に報告されなかったことによる牽制機能の不全について、当社の全社的な内部統制における開示すべき重要な不備が、その他関連当事者取引の未開示について決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備が追加で識別されたため、訂正の対象となる内部統制報告書の評価結果に関する事項を再訂正することといたしました。

 

なお、当初の内部統制報告書における「2 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項」に記載の全社的な内部統制の評価範囲の選定については、当社に加えて、連結子会社の内、金額的及び質的重要性の観点から上位3社(マッハ機器株式会社・墨東建材工業株式会社・大阪エアコン株式会社)を評価の対象としておりましたが、当初工事原価付替え事案において不適切な会計処理が検出された子会社(光電機産業株式会社)は評価の対象となっておりませんでした。従いまして、全社的な内部統制の評価範囲の選定において、特に工事進行基準案件に係るリスクを考慮した検討が不十分であったものと判断しております。また、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲の選定については、各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達している事業拠点を「重要な事業拠点」として評価の対象としておりましたが、当初工事原価付替え事案において不適切な会計処理が検出された子会社(大阪エアコン株式会社・光電機産業株式会社)は評価の対象となっておりませんでした。従いまして、業務プロセスの評価範囲の選定において、特に工事進行基準案件に係るリスクを考慮した検討が不十分であったものと判断しております。

 

さらに、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスを、財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加しておりました。しかしながら、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算、及び、当社から当社代表取締役社長(当時)への仮払金の支払い等に関する関連当事者取引について、当社代表取締役社長(当時)の経済行為に対するリスク認識やガバナンス意識の不足や、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)の財務ライントップ3人による不適切な行為について、その事実が取締役会に報告がされなかったため、その結果として取締役会による監視が効かず、新たに識別された内部統制の不備について検出できなかったものと考えております。

その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスとして評価対象ではあったものの、評価が形骸化し、深度ある運用ができておりませんでした。

加えて、当該事実の判明が当事業年度の末日以降であったため、訂正の対象となる内部統制報告書の提出日においては、当該開示すべき重要な不備を把握することができず、訂正の対象となる内部統制報告書に記載することができませんでした。

 

3.訂正箇所及び訂正の内容

 訂正箇所は___を付して表示しております。

 

 

3 評価結果に関する事項

(訂正前)

 下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。

 

 

当社は、当社が施工工事等を委託する協力会社から入手した工事原価に係る見積書(電子ファイル)を当社の一部従業員が変造していた疑義が判明したため、2023年5月12日に外部有識者を委員に含めた特別調査委員会を設置し、調査を開始いたしました。また、調査の過程において、当初疑義に加えて当社の一部従業員による協力会社に対する工事代金の額及び請求時期等に係る不適切な要請が行われていた疑義が新たに判明したため、特別調査委員会の構成を当社から独立した中立・公正な外部専門家のみを委員とする構成に変更したうえで調査を進めて参りました。さらに、当社の連結子会社である大阪エアコン株式会社(以下「大阪エアコン」という。)において架空又は水増しした請求書を発行させ、それを基に、工事進行基準案件の工事収益及び工事原価の過大計上が行われた疑義が追加的に判明したため、調査体制を拡充し、これら追加的に判明した疑義も含めて調査を進めて参りました。

当社は、特別調査委員会から2023年6月14日に調査報告書(中間報告)を、同年7月25日に調査報告書(最終報告)を受領し、当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法。以下「工事進行基準」という。)案件等について、①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン))、という不適切な会計処理が行われていたことの報告を受けました。

 当社は、これら不適切な会計処理による当社の過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であるため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の財務諸表に含めて処理することとしております。

 

 当社は、上記工事進行基準案件に関する不適切な会計処理が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識していますが、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社側から各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点(全社的な内部統制:統制環境)を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点(購買業務プロセス(実在性・網羅性))、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点(全社的な内部統制:リスクの評価と対応)をその原因として認識しております。

また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ(全社的な内部統制:統制環境)をその原因の一つとして認識しておりますが、同時に2017年10月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと(全社的な内部統制:統制環境(子会社管理面))を認識しております。

 

これらの全社的な内部統制及び購買業務プロセスにおける不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。

 なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。

 

 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。

 

1. 今回の事案を受けたトップメッセージの発信

当社代表取締役社長望月圭一郎は、今回の不適切会計処理に関する問題が発生したことを真摯に反省し、その背景や原因及び責任の所在を明らかにし、再発防止に向けた決意とともに今後の当社グループのあるべき姿・指針について全従業員向けにメッセージを発信し、その周知徹底を行い、適切な財務報告も含め上場企業としての使命を果たします。

 

2. 従業員の意識レベルの引き上げ

コンプライアンス・リスク管理委員会は、適切な財務報告の重要性を徹底し、コンプライアンス意識の向上を図るため、従業員に対し実効的な社内研修を継続的に企画・実施いたします。早急に今回の事案の振り返りを含むコンプライアンスに関する研修、財務報告や工事進行基準、関連業法等に関する研修を実施し、また、今後も財務報告観点を含めたコンプライアンス研修を継続的に実施し、全従業員の意識向上と啓蒙に努めます。

また、コンプライアンス・リスク管理委員会は、定期的に全従業員にコンプライアンス・アンケートも実施し、コンプライアンス意識の定着と問題の早期発見に努めます。

 

3. 不適切な会計処理や会計不正に関するリスク識別と対応

当社内部監査室が主体となり、今回の原価付替えや工事原価の過少計上(簿外債務)、工事収益の過大計上に加え、当社グループの事業や業態における不適切な会計処理や会計不正に関するリスクについて分析・検討を行います。また、リスクや影響が大きい部分については、取締役会に報告の上、十分な対応を行う体制の構築を行います。なお、十分な対応を行う体制の構築に当たり、必要と判断した場合は、外部専門家の協力を得ることとします。

 

4. 工事原価に関する業務プロセスの再整理(発注・支払いプロセスの適正化の観点から)

今回の工事原価付替えや工事原価の過少計上(簿外債務)の背景となった、回収しきれない想定外の原価の発生や、検収承認時の利益率検証に起因する支払遅延の発生を未然に防止するため、発注プロセス及び支払プロセスの再整理を行います。一例として、発注内容の一部が未確定で着工前に発注金額が確定しない工事については、条件付きの仮注文書の発行と請書の受領を行うことで、発注内容の変更による原価の変動を抑制することや、協力会社への支払いにおいても検収承認時における利益率検討と、実際の支払プロセスの混同を改め、協力会社に対しては遅滞なく支払いを行う業務プロセスの確立を図ります。

 

5. 工事原価の計上及び工事進行基準の適用に関する社内ルールの再整理

当社管理本部が主体となり、工事原価の計上プロセスや必要となる証憑書類、特にそれらが暫定的なものとなる場合(仮注文書等)等の取り扱いについても社内ルールとして明文化いたします。また、工事進行基準に関しても、着工時に協力会社からの見積書が適時に受領できない場合や、請求書受領が間に合わない状態で原価を計上するような場合等の取り扱いも含め、実務上の様々なケースに対応した社内ルールを制定いたします。

これら一連の対応については、必要に応じて外部専門家の協力も仰ぎ、実態に即した実効性あるルールの整備を早期に進めます。

これらの社内ルールについては、社内研修等で定期的に指導を行うとともに、当社管理本部に窓口担当者を設置し、工事担当者が社内ルールの運用に際して直面する疑問や問題を相談し、適切な助言を受けることができる体制を構築いたします。

 

6. 第1.5線の構築(工事部門内外からの牽制機能の強化)

工事原価に関する現業部門における統制を強化するため、各工事担当者に対し、工事原価に関する各種証憑の回収(暫定的なものについての取扱いも別途規定)を徹底したうえで、今後、第1.5線による統制として、工事管理部とは別の客観的な観点から当社積算部が着工(予算)承認時及び検収承認時に予算額の合理性、実績額の妥当性(特に予算と大きく相違する部分)についてチェックを行う体制を構築いたします。

また、上記に加えて、工事担当者と協力会社とのやり取りについては、課単位の共通メールアドレスを導入し、個人でのやり取りからチームとしてのやり取りへと変更するとともに、取引に関する各種証憑についても改めて収集・保管のルールを設定の上、工事担当者とは別の工事アシスタントその確認を行うことで、担当者個人レベルの不適切な行為の牽制を図ります。

 

7. 第3線(内部監査)の強化(リスクフォーカスと質的・量的な体制拡充)

第3線としての当社内部監査室に専門人員を拡充し、上記3.の分析によりリスク識別された領域への監査を特に強化します。内部監査室は、各現業部門に配置した工事アシスタントとも連携しながら、第1線へのモニタリングを強化して参ります。

また、これら一連の対応については、外部専門家の協力も仰ぎ、内部監査の実施に際しても必要に応じて外部リソースも活用することで、質・量ともに内部監査体制の増強を行い、実効性ある内部監査体制の整備を早期に進めます。

 

8. 第2線(管理本部)の強化(第1線のサポートとモニタリング)

第1.5線における事前統制と第3線における事後統制の強化に加え、第1線における適切な業務遂行と各種規程・法令の遵守をサポートするための第2線の機能と体制の強化を行います。特に法務面については、法務専門家の採用もしくは外部弁護士を活用することで、コンプライアンスに関する支援体制の増強を図るとともに、管理本部が中心となってコンプライアンス研修や各種社内規程やルールについての研修・勉強会を実施することで第1線での適切な業務遂行をサポートし、また、経理財務面については、特に子会社のモニタリング観点から月次・四半期等で子会社から吸い上げる情報について、外部専門家の協力とリソースも活用しながら深度ある精査や分析を行う体制の構築を進めます。

また、第2線で検出されたリスクや不正・不適切処理の兆候については、速やかに当社内部監査室や監査等委員会、当社経営陣に連携し、対応いたします。

 

9. 工事本部に関するガバナンス体制の見直し

当社工事本部に関して、当社代表取締役社長望月圭一郎が工事本部長を長く兼務しておりましたが、今回、工事本部長を辞任し、新たに専任の工事本部長を任命致します。同時に、役割が不明瞭なものとなっていた工事本部長代行の役職は廃止するとともに、社長から工事本部長への権限移譲、工事本部長から部門長への権限移譲を進め、工事部門長が工事部門の中間管理職の育成も含め、より現場に近いところから工事管理に関する内部統制上の要として機能する体制の構築を進めます。

また、加えて、当社代表取締役社長望月圭一郎の営業本部長との兼務についても見直しを予定しており、今後、営業部門における執行役員層を増強の上、順次権限移譲と体制の見直しを進めてまいります。

 

10. 子会社管理体制の強化

当社グループにおいて特に設備工事系及び建築内装系の業務を行う子会社への管理を強化するため、当社側に子会社管掌役員(工事子会社担当役員)を新たに配置し、子会社における各種業務プロセスの内部統制の状況の網羅的な再検証と、子会社からの情報収集体制の見直し及びモニタリングの仕組みの再構築を改めて実施いたします。特に工事原価や工事進行基準に関する業務フローや社内ルールについては当社側でも今回の事案を踏まえ全面的な見直しを行いますが、各子会社においても当社と同水準の統制レベルの構築を目指します。

これら一連の対応については、工事子会社担当役員主導で進めますが、当社内部監査室との連携、また、外部専門家の協力も仰ぎ外部リソースも活用することで、当社の子会社管理体制の強化を早期に進めます。

また、コンプライアンス・リスク管理委員会は、各子会社に対しても前述のコンプライアンス研修と同等の研修を実施するとともに、子会社の従業員についても定期的にコンプライアンス・アンケートを実施し、子会社の実情把握と問題の早期発見に努めます。

 

11. 協力会社に対して取引の適正化に向けた当社の取り組み方針の発信

外注工事等の委託先となる協力会社に対して、当社における誠実・公正かつ適切な取引に向けたコンプライアンス重視の姿勢を改めて書面で伝達(当社WEBでも開示)するとともに、仮に当社側から不適切な行為の要請等を受けたような場合は、これに応じず通報窓口(当社従業員向けと同じもので、外部弁護士も窓口となるもの)に通報する旨の誓約書の提出を求め、健全な取引の徹底を図ります。

既存の取引先については誓約書の回収を行うこととし、今後に取引開始する新規の取引先については取引開始の際に誓約書の回収を行います。また、定期的に継続取引先に対して当社の取り組み方針の発信を行ってまいります。

 

12. 協力会社に対する定期的な取引確認の実施

当社管理本部が、協力会社(取引内容や取引回数、取引額等を勘案して抽出致します。)に対して定期的に取引確認書の発送・回収を行い、取引残高の確認を行うとともに、原価の付替えや架空請求書の要請等の不適切な行為の要請等がなかったかについて定期的に確認を実施したします。

また、確認結果については、当社内部監査室にも共有の上、取引の状況や取引確認の結果、必要と認めた協力会社については、当社内部監査室を中心に適宜ヒアリングや面談等を行い、取引実態の把握や問題の早期発見に努めます。

 

以 上

 

(訂正後)

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。

 

 

当社は、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む当社の経費計上について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年2月14日、当社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行なってまいりました。当社は、2024年4月12日に受領した調査報告書の内容を踏まえ、不適切な経費精算と認定された経費について、過年度に遡って費用計上を取り消すとともに、当該代表取締役社長(当時)に返還を求めるべく未収入金(流動資産その他)計上を行うとともに、関連当事者取引として当該代表取締役社長(当時)による当該不適切な経費精算及び当社からの仮払金の支払い等を注記するため、過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。特別調査委員会の調査報告書によると、当社から当社代表取締役社長(当時)への仮払金の支払いに加え、当社の長期売掛金の回収に関して、当社代表取締役社長(当時)から、同氏が議決権の100%を所有する資産管理会社を経由し、長期売掛金の相手先会社へ資金の移動があったことが確認されており、当社代表取締役社長(当時)から流れた資金が、当社の長期売掛金への一時的な返済原資(2019年4月返済分から2020年3月返済分まで)となっていたことが認められております(長期売掛金の相手先会社に流された資金については2020年4月に同社から資産管理会社を介して当社代表取締役社長(当時)へ返金されております)。また当該不適切な行為の実行には、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)が関与しておりましたが、これらの事実が取締役会に報告されておりませんでした(以下、これらを総称して「今般不適切交際費等事案」という。)。

加えて、前述の当社代表取締役社長(当時)に関する関連当事者取引としての注記の追記に際し、改めて関連当事者取引の網羅性について当社内の自主点検を行った結果、当該内容の他に、過年度より関連当事者取引として開示すべき当社役員による当社新株予約権の行使及び当社役員が議決権の過半数を所有している会社からの設備工事の受託等が新たに判明したため(以下、「その他関連当事者取引の未開示」という。)、上記と併せて過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。

なお、訂正に際しては、当該不適切な経費計上の訂正に加え、2023年12月期第1四半期以前における当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法)案件等に関する不適切な会計処理(特別調査委員会(2023年5月12日設置)より受領した調査報告書(同年7月25日)により認定された事案(以下、「当初工事原価付替え事案」という。)。過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であったため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の財務諸表に含めて処理したもの)、当社内の自主点検により判明した事項及びその他重要性の観点から過年度において修正を行わなかった事項も併せて、過年度に遡った訂正を行いました。

 

当社は、今般不適切交際費等事案において、当社代表取締役社長(当時)による不適切な経費精算に関して、財務諸表及び関連当事者取引注記における虚偽の表示が生じた原因として、同氏のガバナンス意識の低さ、すなわち、上場会社の経営者として、過誤によるとしても私的なものが一切混在しないよう公私を厳格に分け、利害関係者に対する説明責任を全うするという意識が不十分であった点(全社的な内部統制:統制環境)がその根底にあったものと認識しております。

同時に取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)のガバナンス意識が不十分であったことも原因であり、当社代表取締役社長(当時)に対する忖度から、十分な統制機能を果たせなかった点(全社的な内部統制:統制環境)に加え、取締役会や監査等委員会に対しても適切な情報提供がなされず(全社的な内部統制:情報と伝達)、その結果、取締役会及び監査等委員会によるガバナンス機能の不全(全社的な内部統制:統制環境)にも繋がったものと認識しております。

その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスが形骸化し、十分網羅的な情報収集ができておりませんでした(決算・財務報告プロセス:関連当事者取引)

 

次に、前述の当初工事原価付替え事案に関する不適切な会計処理(具体的には①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン株式会社))が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識していますが、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社による各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点(全社的な内部統制:統制環境)を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点(購買業務プロセス(実在性・網羅性))、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点(全社的な内部統制:リスクの評価と対応)をその原因として認識しております。また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ(全社的な内部統制:統制環境)をその原因の一つとして認識しておりますが、同時に2017年10月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと(全社的な内部統制:統制環境(子会社管理面))を認識しております。

 

これらの全社的な内部統制及び購買業務プロセスにおける不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。

 

当社は、財務報告に係る内部統制、決算・財務報告プロセスの重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策(既に実施済みのものも含む)を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。

 

1 今般不適切交際費等事案に対する改善策

(1)当社ガバナンス体制の抜本的な改善

① 当社取締役(監査等委員含む)の刷新(社外からの社長の招聘含む)

② 指名報酬委員会の設置と社外役員の過半数化

③ 当社代表取締役社長(当時)を含む当社取締役(監査等委員含む)に対する責任追及

(2)取締役会・監査等委員会によるガバナンス機能の強化

① 取締役会への情報共有や情報伝達の改善

② 内部監査体制の位置づけの見直し(監査等委員直下とする)と体制の強化

③ 取締役会における重要リスクのモニタリング

④ リスク管理体制の再構築とリスク管理の強化

(3)本件を踏まえた個別的な対応

① 関連当事者取引及び利益相反取引に関する規程の見直し

② 役員経費精算のルール設定(接待交際費に関する運用の厳格化含む)

(4)当社企業風土の刷新

① 企業風土の刷新に向けた全役職員に対する研修の継続的な実施(営業関連役職員に対する技術営業に向けたワークショップの開催含む)

② 役員や管理職以上の社員に対するコンプライアンス及び職責・ガバナンスに関する研修の継続的な実施

③ 内部通報窓口の機能充実

 

2 その他関連当事者取引の未開示に対する改善策

(1) 関連当事者取引の情報収集と検証プロセスの改善

① 関連当事者との取引明細シートの改善

② 役員に対する関連当事者取引注記に関する説明会の継続的な実施

 

3 当初工事原価付替え事案に対する改善策(訂正内部統制報告書の提出日(2023年7月28日)以後、順次改善対応を進めております)

 

(1)工事担当者等のコンプライアンス意識の低さ及び各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点(全社的な内部統制:統制環境)

コンプライアンス・リスク管理委員会において、コンプライアンス・マニュアルや企業憲章を改定の上、全従業員を対象としたコンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施いたしました。また、当初工事原価付替え事案への関与者に関しては懲戒処分を実施、社内公表するとともに、全社員にコンプライアンス・アンケートも実施いたしました。今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

 

(2)工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点(購買業務プロセス(実在性・網羅性))

工事部門外からの牽制機能を強化するため、工事の着工許可時及び完了時に、工事担当者以外の積算部による工事原価の妥当性のチェックプロセスを追加するとともに、工事原価に関する各種証憑の回収の徹底と回収状況のチェックプロセス(工事担当者以外の工事アシスタントが確認する)を追加いたしました。特に工事原価の請求書については、回収確認の手続き及び外注先の都合でどうしても請求書発行が遅延する場合の取扱いを定め、支払遅延が生じないような統制を追加いたしました。

また各工事部門における共通メールアドレスを導入し、工事担当者と工事等の発注先(協力会社)とのやり取りについて、一担当者が単独では行えない仕組みに変更いたしました。

なお、積算部による工事原価の妥当性のチェックについては、2023年12月末時点において十分に網羅的なチェックがなされていなかったこと(チェックの証跡が残されていなかったことも含む)から、今後も工事原価に関する統制の継続的な改善を進めてまいります。

 

(3)工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった点(全社的な内部統制:リスクの評価と対応)

主要取引区分における会計リスクの洗い出しと分析を実施し、追加対応が必要だと識別されたリスクについては内部統制の追加や内部監査での追加チェック等の追加対応を行いました。特に子会社の工事進行基準案件について、当社管理部門におけるレビュープロセスを追加し、各社の工事進行基準処理(工事損失引当金の検討含む)についてチェックを実施いたしました。

 

(4)子会社における適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ(全社的な内部統制:統制環境)

当初工事原価付替え事案において不適切な会計処理が確認された子会社に対しては、コンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施するとともに、関与者への懲戒処分を実施し、社内公表しております。当社グループにおいて設備工事系及び建築内装系の業務を行う子会社(以下「工事子会社」という。)に対しては、コンプライアンス・リスク管理委員会での議事を共有することと、今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

 

(5)子会社に対し、当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと(全社的な内部統制:統制環境(子会社管理面))

当社グループにおいて工事子会社への管理を強化するため、工事子会社担当執行役員を選任し、各工事子会社の執行責任者、施工責任者、経理担当者と定期的な面談を実施しております。

また、各工事子会社の事業規模やリスクに応じて、業務プロセスに係る内部統制の再整備や、当社内部監査における工事取引のサンプルテスト、当社管理部による会計仕訳のレビューを追加し、当社側からの牽制と統制(モニタリング)を強化いたしました。

 

以 上