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独立監査人の監査報告書 |
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2024年6月14日 |
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株式会社ラックランド |
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取締役会 御中 |
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東京事務所 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ラックランドの2022年1月1日から2022年12月31日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ラックランド及び連結子会社の2022年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
強調事項
重要な後発事象に記載されているとおり、会社は、2023年2月14日開催の取締役会において、資本準備金及び利益準備金の額の減少並びに剰余金の処分について、2023年3月30日開催予定の第53回定時株主総会に付議することを決議した。
当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。
監査上の主要な検討事項
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
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会社は、代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む会社の経費計上について不適切な会計処理の疑義(以下「経費精算事案」という。)が生じたため、2024年2月14日、会社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会及び自主点検チームを設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行った。
会社は、2024年4月12日に受領した特別調査委員会の調査報告書の内容を踏まえ、不適切な経費精算と認定された経費について、過年度に遡って費用計上を取り消すとともに、代表取締役社長(当時)に返還を求めるべく未収入金(流動資産その他)計上を行った。さらに、関連当事者取引として、代表取締役社長(当時)による当該不適切な経費精算等の取引金額、未収入金、及び会社からの仮払金の支払い等を注記するため、過年度に遡り決算の訂正を行った。当該訂正により、当連結会計年度において開示された関連当事者との取引は、以下のとおりである(
(取引の内容及び取引金額(単位:千円))
(期末残高(単位:千円))
また、特別調査委員会が経費精算事案に関する調査を進めている中で、会社の長期売掛金の回収に関して、代表取締役社長(当時)から、同氏が議決権の100%を所有する資産管理会社を経由し、長期売掛金の相手先会社へ資金の移動があったこと、及び、代表取締役社長(当時)から流れた資金が、長期売掛金の一時的な返済原資(2019年4月返済分から2020年3月返済分まで)となっていたことが認定された(以下「債権回収事案」という。)。なお、この実行に、代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)が関与していたが、当該事実は取締役会に報告されていなかった(以下経費精算事案及び債権回収事案を総称して「不適切交際費等事案」という。)。 会社は、不適切交際費等事案が生じた原因として、代表取締役社長(当時)のガバナンス意識の低さ、すなわち、上場会社の経営者として、過誤によるとしても私的なものが一切混在しないよう公私を厳格に分け、利害関係者に対する説明責任を全うするという意識が不十分であった点がその根底にあったものと認識している。また、同時に取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)のガバナンス意識が不十分であったことも原因であり、代表取締役社長(当時)に対する忖度から、十分な統制機能を果たせなかった点に加え、取締役会や監査等委員会に対しても適時かつ適切な情報提供がなされず、その結果、取締役会及び監査等委員会によるガバナンス機能の不全にも繋がったものと認識している。会社は、これらの統制環境や情報と伝達に関する不備は全社的な内部統制の不備であり、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当するものと判断している。 加えて、代表取締役社長(当時)に関する関連当事者取引としての注記の追記に際し、改めて関連当事者取引の網羅性について会社内の自主点検を行った結果、当該内容の他に、過年度より関連当事者取引として開示すべき会社役員による新株予約権の行使及び会社役員が議決権の過半数を所有している会社からの設備工事の受託等が新たに判明したため(以下、「その他関連当事者取引の未開示」という。)、上記と併せて過年度に遡り決算の訂正を行った。会社は、当該その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスが形骸化し、十分網羅的な情報収集ができておらず、財務報告に重要な影響を及ぼすことから開示すべき重要な不備に該当するものと判断した。 当監査法人は、以下の理由により、「不適切交際費等事案及びその他関連当事者取引の未開示への対応」が当連結会計年度の連結財務諸表の監査において特に重要であることから、監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 (1)不適切交際費等事案の事実関係の正確かつ網羅的な把握のために、経営者の利用する不正調査の専門家を利用したうえで、監査上慎重な判断を行使する必要があること (2)不適切交際費等事案に係る会計処理の訂正の検証並びに訂正監査において入手した全ての情報を踏まえた不正による重要な虚偽表示リスクの追加識別及びリスク対応手続の見直しにより、十分かつ適切な監査証拠を入手する必要があること (3)その他関連当事者取引の未開示の存在も考慮して、関連当事者注記が正確かつ網羅的に作成されているかを慎重に検討する必要があること |
当監査法人は、不適切交際費等事案及びその他関連当事者取引の未開示への対応について、当監査法人に所属する不正調査の専門家を利用し、主として以下の手続を実施した。
(1)不適切交際費等事案の事実関係の正確かつ網羅的な把握 ●会社が利用した特別調査委員会の調査報告書の信頼性を評価するために、以下の手続を実施した。 ○特別調査委員会の委員及び補助者の適性、能力及び客観性の検討 ○会社の経営者、監査等委員会、及び特別調査委員会への質問 ○不適切交際費等事案の類似案件に関する調査を含む、調査の範囲、実施した手続、調査結果及びその根拠の評価 ○調査で使用された基礎データの目的適合性、網羅性及び正確性の評価 ○特別調査委員会のヒアリング議事録、調査資料及び関連証憑の閲覧 ○類似案件の調査を含むデジタル・フォレンジック調査について、調査対象の網羅性及び適切性、データ保全の完全性、キーワードの妥当性、検出された重要事項の内容とその対応結果の評価 ○調査報告書における発生原因分析の評価 ○主として類似案件の調査で会社が設置した自主点検チームの委員及び補助者について、適性、能力及び客観性の検討を行うとともに、調査の範囲、実施した手続、調査結果及びその根拠の評価 ●調査報告書を通読し、当監査法人が入手した他の監査証拠との間に不整合が生じていないかを検討した。
(2)リスク評価及びリスク対応手続の見直し ●不適切交際費等事案について、特別調査委員会が実施した調査結果、及び会社が実施した事業合理性の検討結果について閲覧等により検討した。また、調査結果に基づいて、過年度に遡り会計処理の訂正が合理的に行われているかを検討した。 ●訂正監査において入手した全ての情報を踏まえて、不正による重要な虚偽表示リスクが高いと判断する債権回収事案等と類似の性質を有する非通例な取引を抽出して不正による重要な虚偽表示がないかどうかを検証した。
(3)その他関連当事者取引の未開示の存在を考慮した関連当事者注記の検証 ●不適切交際費等事案が関連当事者注記に正確かつ網羅的に反映されていることを確認した。 ●その他関連当事者取引の未開示を踏まえた会社による関連当事者取引に係る追加調査を評価し、関連当事者注記が正確かつ網羅的に作成されているかを評価した。 |
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
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一定の期間にわたり収益を認識する方法の適用にあたっては、信頼性のある売上高総額、売上原価総額、及び発生工事原価に基づき、連結会計年度末における履行義務の充足に係る進捗度として工事進捗度を見積り、これに応じて売上高を計上している。会社グループは、この一定の期間にわたり収益を認識する方法の適用にあたり、売上高総額は、当事者間で合意された契約等に基づいており、売上原価総額は、工事案件ごとの実行予算に基づいて見積っている。実行予算は工事着工後も実際発生原価との比較を行い、適時に見直しを行っている。また、工事進捗度は、原価比例法によって見積っている。なお、売上高総額及び売上原価総額の見積りは、工事契約の変更等工事着手後の作業内容の変更、実行予算作成時に顕在化していなかった事象の発生等の状況変化により変動する可能性があり、不確実性を伴う。 なお、特別調査委員会(2023年5月12日設置)より受領した2023年7月25日付の調査報告書及び自主点検チームによる点検結果において、①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(株式会社ラックランド)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(株式会社ラックランド及び光電機産業株式会社)、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(大阪エアコン株式会社)(以下、併せて「工事原価付替え事案」という。)による不適切な会計処理が認定された。当該不適切な会計処理について、会社は「不適切交際費等事案及びその他関連当事者取引の未開示」を端に過年度に遡って訂正を行った。 会社は、当該工事原価付替え事案に関連して、工事担当者等のコンプライアンス意識の低さ及び各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点等の統制環境やリスクの評価と対応等の全社的な内部統制、及び購買プロセスにおいて開示すべき重要な不備を識別し、当連結会計年度末にかけて当該不備の是正を試みた。しかしながら、購買プロセスの一部の統制活動について運用状況の有効性が確認できず、また、当該統制活動が改善策の一つである点に鑑み、当連結会計年度末において引き続き開示すべき重要な不備が残存している。 履行義務の充足に係る進捗度の見積りの前提となる売上原価総額の見積りは、詳細な情報の収集と工事管理者や経営者の判断が必要であり、見積りの不確実性の程度が高い。また実際発生原価が正しく集計されない場合も工事進捗度の計算に重要な影響を及ぼす。さらに、工事原価付替え事案に関連した追加的な不正対応手続や開示すべき重要な不備への対応等について、監査上の慎重な判断が伴う。以上より、当監査法人は一定の期間にわたり収益を認識する方法による売上高について監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
当監査法人は、一定の期間にわたり収益を認識する方法による売上高について、主に以下の手続を実施した。 ●以下に係る内部統制の整備状況を評価した。また会計方針について経営者への質問により、理解した。 ○実行予算と売上原価の実績を比較・分析し、適時・適切に売上原価総額の見積りを見直すための統制 ○工事契約の変更やその他の事後的な事情の変化を識別して、適時・適切に売上原価総額の見積りを見直すための統制 ●経営者による工事契約全体の売上原価総額の見積りの評価にあたり、リスク評価手続として、複数の既存工事契約における前連結会計年度末の売上原価総額の見積額と、当連結会計年度における売上原価総額の見積額または確定額とを比較した。 ●工事進捗度の見積りの合理性、及び正しい期間に原価が集計されているか検討するために以下の手続を実施した。 ○売上原価総額の見積りについて、その根拠となった見積書等の資料との照合を行った。 ○工事管理者の責任者等に実行予算の見直しの必要があるかの質問を行うとともに、関連する管理資料を閲覧し、実行予算が最新であるかの検討を行った。 ○工事現場を視察し、工事等の実施状況が工事の進捗管理に用いられる管理資料と整合しているかどうか検証を行った。 ●当連結会計年度末で工事が未完成であり、かつ一定の期間にわたり収益を認識する方法によって売上高を計算している契約に対して、契約高の確認状を送付し、契約の実在性、契約金額の正確性を検証した。 ●一定の期間にわたり収益を認識する方法によって計算された売上高が正確に計算されているかどうかについて再計算を行った。 ●また、工事原価付替え事案について、会社が利用した特別調査委員会の調査報告書の信頼性を評価するために、当監査法人の不正調査の専門家を利用し、以下の手続を実施した。 ○特別調査委員会の委員及び補助者の適性、能力及び客観性の検討 ○会社の経営者、監査等委員会、及び特別調査委員会への質問 ○工事原価付替え事案の類似案件に関する調査を含む、調査の範囲、実施した手続、調査結果及びその根拠の評価 ○特別調査委員会のヒアリング議事録、調査資料及び関連証憑の閲覧 ○類似案件の調査を含むデジタル・フォレンジック調査について、調査対象の網羅性及び適切性、データ保全の完全性、キーワードの妥当性、検出された重要事項の内容とその対応結果の評価 ○調査報告書における発生原因分析の評価 ○会社が設置した自主点検チームの委員及び補助者について、適性、能力及び客観性の検討を行うとともに、協力会社に対する債務残高確認手続を含め、調査の範囲、実施した手続、調査結果及びその根拠の評価等 ●購買プロセスにおける開示すべき重要な不備への対応も含めて、リスク対応手続として、工事原価の見積額と、直近までに入手された実績額との比較を実施した。 ●工事原価付替え事案に関連した修正額が適切に会計仕訳に反映されているかを検討した。 |
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
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会社は、主にコロナ禍の長期化等による影響から、当連結会計年度において重要なマイナスの営業キャッシュ・フロー及び3期連続の連結営業損失を計上している。また、 当該契約には下記のとおり財務制限条項が付されている。 ① 各連結会計年度末の連結純資産額を、その直前の連結会計年度末又は2018年12月末の連結純資産額のうち、いずれか大きい金額の75%以上にすること ② 2022年12月に終了する決算期において連結の損益計算書上の経常損益に関して経常損失を計上し、かつ、2023年12月に終了する決算期の決算短信において連結の損益計算書上の経常損益に関して経常損失を見込む場合 会社は、上記①及び②の財務制限条項に抵触していないが、当連結会計年度の連結損益計算書に計上した経常利益97,907千円には、子会社で計上した補助金収入151,813千円が含まれている。当該補助金収入は、子会社における工場増築にかかる国からの補助金(連結損益計算書関係※11)である。 以上の状況を総合的に検討し、会社は継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると判断している。 会社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無を検討するため、受注体制の強化、グループ間調達によるコスト低減、及び精度の高い原価管理体制の確立による利益の確保と拡大を対応策として策定し、また、事業計画に基づき作成された翌期1年間の資金繰り計画を検討した。その結果、当連結会計年度末において現金及び預金を6,925,255千円有しており、2022年12月末時点で未使用の資金調達枠(当座借越残高)が1,300,000千円存在することから、資金繰りに重要な懸念はなく、継続企業の前提に重要な不確実性はないと判断している。 子会社の補助金収入を連結損益計算書の営業外収益に計上できるかどうかは、シンジケートローンの財務制限条項に抵触するかどうかに重要な影響を与え、結果として、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況の識別にかかる経営者の判断及び当該事項に対する経営者の対応策に影響を及ぼす。 資金繰り計画の基礎となる事業計画は、翌期の売上高から獲得される収入、また工事業者等への支出などで構成されている。その売上高は期末時点における個々の工事の受注予定金額の積上げによる見積りであり、この見積りに含まれる重要な仮定は不確実性を伴う。 以上から、当監査法人は、当該事項が監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。 |
当監査法人は当該事項を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。
●継続企業の前提に関する重要な不確実性の検討を行うため、資金繰り計画及びその基礎となる事業計画が適切に作成されることを確保するための査閲と承認に関する内部統制の整備及び運用状況を検討した。
●継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に対する経営者の対応策である受注体制の強化の具体案、グループ間調達によるコスト削減の具体的な方策、精度の高い原価管理体制の確立による利益の確保と拡大の具体案、及びその実行可能性について経営者に質問を実施した。
●シンジケートローンの契約書を閲覧し、財務制限条項に係る経営者の説明と整合すること、及び当連結会計年度の財務数値を検討し、財務制限条項への抵触の有無を検討した。また、財務制限条項の対象となる連結損益計算書の営業外収益に計上した補助金収入に関する実在性及び表示区分に関して、子会社経営者へ質問、また交付金の確定通知との照合、表示区分の妥当性を検討した。
●前期の事業計画及び資金繰り計画と実績を比較し、乖離が生じている場合にはその理由を検討し、将来の事業計画及び資金繰り計画に反映されていることを検討した。
●資金繰り計画の基礎となる事業計画は翌期の売上高から獲得される収入、または工事業者等への支出で構成されている。事業計画の売上高の基礎となる受注獲得見込み等については注文書や顧客との交渉状況が分かる資料等を入手し、会社の見積りが合理的であるかの検討を行った。
●新規借入金については、その実行可能性を検討するために契約書を閲覧し、また借入金の返済についてはその契約書に記載されている返済スケジュールとの整合性の検討をした。 |
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
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親会社は、固定資産の減損会計の適用にあたり、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位によってグルーピングを行っている。 親会社の共用資産を含むより大きな単位である資産グループの営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなっていることから減損の兆候を識別している。 親会社の資産グループについては割引前将来キャッシュ・フローの総額を見積り、固定資産の帳簿価額と比較することで減損損失の認識の判定を行っている。その結果、親会社の資産グループの割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を上回ったため、減損損失を認識しなかった。 割引前将来キャッシュ・フローの総額は、親会社の事業計画を基礎としており、その事業計画は重要な仮定である将来の売上高の受注獲得見込み等を反映して算定されている。割引前将来キャッシュ・フローの予測は長期にわたり、重要な仮定の見積りの不確実性及び経営者の主観的な判断の程度は高い。親会社の共用資産を含む固定資産は、連結財務諸表において金額的に重要である。以上から当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項であると判断した。 |
当監査法人は、減損損失の認識の判定を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。
●固定資産の減損会計の適用に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を評価した。
●親会社における主要な資産の選定が正しいかどうか検討するため、会社か作成した検討資料を閲覧し、その主要な資産が資産グループの将来キャッシュ・フロー生成能力にとって最も重要な資産であることの検討を行った。
●主要な資産の経済的残存使用年数と割引前将来キャッシュ・フローの見積期間が整合しているかの検討を行った。
●親会社の事業計画について、主に以下の手続を実施した。 ○過年度の事業計画と実績を比較し、未達についてその理由を検討し、将来の事業計画に反映されていることを検討した。 ○事業に係る受注獲得見込み等を検討するために、その基礎となった資料を入手し、経営者の見積りとの比較を行った。 ○事業計画の重要な仮定の根拠について、経営者に質問を行いその見積りの基礎となった資料を閲覧した。 |
その他の事項
有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。なお、PwC京都監査法人が、訂正前の連結財務諸表に対して2023年3月29日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、当監査法人(PwC京都監査法人は、2023年12月1日付けでPwCあらた有限責任監査法人と合併し、名称をPwC Japan有限責任監査法人に変更している。)は、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。
その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書の訂正報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の訂正後の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
利害関係
会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
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(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |