文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。なお、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営の基本方針
「社会を構成するメンバーとして、尊敬され、関係する様々な方々の期待に応える企業」
それが我々の求めるラックランドグループの姿です。
我々は日々、様々な方々と関係を持ち、相互の協力の下、活動をしています。そして、その様々な方々からの期待を担っています。我々にとって期待に応える相手とは、お客様、協力会社、地域社会、株主の皆様、そして社員等、我々と関係するすべての方々(ステークホルダー)に他なりません。その期待に対し、誠実に応えていくことが我々の望む姿です。
「商空間創りを通じ、皆の笑顔を創りだす」
我々は商空間の企画・制作・保守メンテナンス等を通じ、様々な人々の期待に応え、笑顔を創りだしていきます。この笑顔とは、「お客様の笑顔」、「お店で働かれている方の笑顔」、「お店に集う方の笑顔」、「地球(すべての人)の笑顔」など様々です。企業として存続していくためには単なる「モノ作り」でなく、社会において様々な「笑顔になれるコト」を創りだしていかなければなりません。このことこそが、我々が自らの仕事をサービス業と考える原点です。
そして、時代のニーズは新たな技術とともに変化していきます。我々は安定した収益基盤を確立しながら、従来の枠組みに捉われず、時代の変化に柔軟に対応し、成長し続けられる企業でありたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2016年よりスタートいたしました第2次10年計画「世界でも期待される企業に成る」の下、最初の3ヵ年は「開拓してきた幅広いマーケットの深掘りと利益基盤の構築」を課題として邁進してまいりました。続く2019年から2021年までの3ヵ年は、これまでの課題にも引き続き向き合いつつ、「時代が求めている企業へ化ける」をメインスローガンとし、新たなステージを目指してまいりました。コロナ禍を経て、今、世界は産業革命以来の大いなる過渡期にあり、これまでの常識や社会全体に劇的な変化が起きている中で、当社は2022年から2025年の4ヵ年のメインスローガンを「成:Digital × あなた」= DX と定め、2026年からの次なる「第3次10年計画」に向け、どんな環境変化にも適応できる強さと柔軟性を兼ね備え、企業として継続していくため、ソリューションプロバイダーとしての企業モデルの土台作りを行っております。
こうした中で、当社グループが経営指標として重視しておりますのは、売上高営業利益率及び自己資本当期純利益率(ROE)であり、これら経営指標の向上に継続して取り組んでまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
2015年までの第1次10年計画は「未来へ進むための基盤作り」であり、その一環として2015年10月には東京証券取引所 市場第一部への指定替えを達成することができました。2016年からの第2次10年計画は「世界でも期待される企業」への進化を遂げ、遅くとも2025年までには売上高 500億円(国内 450億円、海外 50億円)、営業利益率6%を実現できるよう、グループ一丸となって邁進してまいります。
国内においては、当社がこれまで弱かった分野や技術の補強、及び未進出地域への営業網の拡大を目的として、積極的にM&Aを行っております。各専門分野を持つグループ会社がそれぞれの強みを活かして協業することにより、対応できる業務範囲が広がるとともに、新たな事業の創出も可能となり、また制作コストの削減を図ることもできるなど、様々なグループ会社間シナジーが生まれております。今後、グループ会社間の連携を深め、グループ会社間シナジーをさらに発揮することで、我々の目標に着実に近づけると考えております。
加えて、当社グループの成長には、日本より経済成長率が高く、日系企業の進出が盛んな東南アジア圏における海外事業の拡大が必須です。2013年1月のシンガポールを皮切りに、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、台湾と、現在までに7ヶ国で現地法人を設立し、各国での施工実績も増えてまいりました。2017年7月からは株式会社プロネクサス様との業務連携による、飲食・小売業界向けのアジア進出支援サービス「スグデル」の提供も開始しております。アジア進出を目指す日系企業のお客様のご要望に迅速かつ真摯に応えられるよう、各国において現地に根付いた営業網を拡充し、信頼と実績に基づいた当社グループのブランドの確立を進めてきた結果、2022年度は海外グループ会社全体で初めて単年度黒字を達成しました。今後は、本格的な成長軌道に乗り、更なる飛躍を目指すステージに入っております。
(4) 優先的に対処すべき業務上及び財務上の課題
2020年以降は新型コロナウイルス感染症という想定外の全世界的な非常事態が起こり、当社グループとしても可能な限りの対策は講じたものの、誠に遺憾ながら当初の計画どおりに進まない面も多くありましたが、ここで経験したことを次に活かしていくことが重要であると考えております。
前述のとおり、当社グループは2022年から2025年の4ヵ年の中期経営計画を「成:Digital × あなた」= DX と定め、2026年からの次なる「第3次10年計画」に向け、どんな環境変化にも適応できる強さと柔軟性を兼ね備え、企業として継続していくため、ソリューションプロバイダーとしての企業モデルの土台作りを行っております。「Digital(技術だけではなく、知識も含む)」という時代に合った道具(手段)を、「あなた=人(人財)」が活用することで何倍もの価値を生み出し、最終的にお客様や社会や未来を支えるひとりひとりの主役(あなた)を輝かせることこそが、当社グループの DX です。
2023年は、コロナ禍の約3年間の厳しい冬の時代が終わり、本当の意味での春=再始動の年となって、新たな時代・環境が始まります。昨年に引き続き、ロシア・ウクライナ戦争や原材料高、コスト上昇の要因となる急激な円安、また金利上昇など様々なリスクや懸念はありますが、特に日本の内需は極めて慎重に警戒し、耐え忍び、疲弊してきたことから、その反動は大きく、円安によるインバウンド効果も後押しとなって、盛り返す局面が来ると見込んでおります。当社グループもこの流れを掴み、「傷んだ体を回復させ、ホップ・ステップ・ジャンプ」を2023年のスローガンとして掲げ、当社グループ全体で直接的なコミュニケーションを復活させ、今一度、立て直しを行い、2025年にかけて売上を積み増しながら売上総利益率も高めてまいります。すでに各所で DX化を推進し、ロスの削減と同時に生産性の向上を目指しておりますが、その結果に対する評価・検証と改善をこれまで以上に確実に実施し、必要であれば躊躇なくビジネスモデルを変え、人(社員)やコストが増加しても、それ以上の利益を上げられる体制を構築し、お客様や社会に貢献できる企業として進化するために様々な取組みに積極的に挑んでまいります。
<当社グループが重要と位置付けている事業分野>
① 物流センターにおける冷凍冷蔵設備分野
② 新規店舗(これまでに取引のない店舗)へのメンテナンス及び営繕分野
③ 企画・設計・デザイン・コンサルティング等のソフトサービス分野
④ 省エネルギー機器や付加価値機器の開発・製造・販売・レンタル分野
⑤ デベロッパーが所有する大型店舗や商業ビルにおける建築設備分野
⑥ 中小規模の店舗・工場・物流施設における建築分野
⑦ 医療モールやクリニックを含むメディカル分野
⑧ ASEAN圏・台湾における海外分野
⑨ 店舗や食品工場における食品の生産機器や厨房設備分野
⑩ 宿泊施設・ホテルにおけるリノベーション分野
(特別調査委員会による調査結果を踏まえた今後の課題)
当社は、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む当社の経費計上について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年2月14日、当社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行なってまいりました。当社は、2024年4月12日に受領した調査報告書の内容を踏まえ、不適切な経費精算と認定された経費について、過年度に遡って費用計上を取り消すとともに、当該代表取締役社長(当時)に返還を求めるべく未収入金(流動資産その他)計上を行い、さらに関連当事者取引として当該代表取締役社長(当時)による当該不適切な経費精算及び当社からの仮払金の支払い等を注記するため、過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。特別調査委員会の調査報告書によると、当社から当社代表取締役社長(当時)への仮払金の支払いに加え、当社の長期売掛金の回収に関して、当社代表取締役社長(当時)から、同氏が議決権の100%を所有する資産管理会社を経由し、長期売掛金の相手先会社へ資金の移動があったことが確認されており、当社代表取締役社長(当時)から流れた資金が、当社の長期売掛金への一時的な返済原資(2019年4月返済分から2020年3月返済分まで)となっていたことが認められております(長期売掛金の相手先会社に流された資金については2020年4月に同社から資産管理会社を介して当社代表取締役社長(当時)へ返金されております)。またこの実行に、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)が関与しておりましたが、これらの事実が取締役会に報告されておりませんでした(以下、これらを総称して「今般不適切交際費等事案」といいます。)。
加えて、前述の当社代表取締役社長(当時)に関する関連当事者取引としての注記の追記に際し、改めて関連当事者取引の網羅性について当社内の自主点検を行った結果、当該内容の他に、過年度より関連当事者取引として開示すべき当社役員による当社新株予約権の行使及び当社役員が議決権の過半数を所有している会社からの設備工事の受託等が新たに判明したため(以下、「その他関連当事者取引の未開示」という。)、上記と併せて過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。
なお、訂正に際しては、当該不適切な経費計上の訂正に加え、2023年12月期第1四半期以前における当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法)案件等に関する不適切な会計処理(特別調査委員会(2023年5月12日設置)より受領した調査報告書(同年7月25日)により認定された事案(以下、「当初工事原価付替え事案」といいます。)。過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であったため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の財務諸表に含めて処理したもの)、当社内の自主点検により判明した事項及びその他重要性の観点から過年度において修正を行わなかった事項も併せて、過年度に遡った訂正を行いました。
当社は、今般不適切交際費等事案において、当社代表取締役社長(当時)による不適切な経費精算に関して、財務諸表及び関連当事者取引注記における虚偽の表示が生じた原因として、同氏のガバナンス意識の低さ、すなわち、上場会社の経営者として、過誤によるとしても私的なものが一切混在しないよう公私を厳格に分け、利害関係者に対する説明責任を全うするという意識が不十分であった点がその根底にあったものと認識しております。
同時に取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)のガバナンス意識が不十分であったことも原因であり、当社代表取締役社長(当時)に対する忖度から、十分な統制機能を果たせなかった点に加え、取締役会や監査等委員会に対しても適切な情報提供がなされず、その結果、当社代表取締役社長(当時)の行為に対し、取締役会及び監査等委員会が十分な批判的検討ができなかった点に繋がったものと認識しております。
その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスが形骸化し、十分網羅的な情報収集ができておりませんでした。
次に、前述の当初工事原価付替え事案に関する不適切な会計処理(具体的には①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン株式会社))が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識しておりますが、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社による各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点をその原因として認識しております。また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さをその原因の一つとして認識しておりますが、同時に2017年10月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったことを認識しております。
当初工事原価付替え事案に対しては、特別調査委員会からの調査報告書受領後、再発防止策を検討のうえ、順次改善対応を進めてきており、本報告書時点での対応状況は以下のとおりです。
[当初工事原価付替え事案に対する再発防止策の実施状況]
① 工事担当者等のコンプライアンス意識の低さ及び各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点
コンプライアンス・リスク管理委員会において、コンプライアンス・マニュアルや企業憲章を改定の上、全従業員を対象としたコンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施いたしました。また、当初工事原価付替え事案への関与者に関しては懲戒処分を実施、社内公表するとともに、全社員にコンプライアンス・アンケートも実施いたしました。今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。
② 工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点
工事部門外からの牽制機能を強化するため、工事の着工許可時及び完了時に、工事担当者以外の積算部による工事原価の妥当性のチェックプロセスを追加するとともに、工事原価に関する各種証憑の回収の徹底と回収状況のチェックプロセス(工事担当者以外の工事アシスタントが確認する)を追加いたしました。特に工事原価の請求書については、回収確認の手続き及び外注先の都合でどうしても請求書発行が遅延する場合の取扱いを定め、支払遅延が生じないような統制を追加いたしました。
また各工事部門における共通メールアドレスを導入し、工事担当者と工事等の発注先(協力会社)とのやり取りについて、一担当者が単独では行えない仕組みに変更いたしました。
なお、積算部による工事原価の妥当性のチェックについては、2023年12月末時点において十分に網羅的なチェックがなされていなかったこと(チェックの証跡が残されていなかったことも含む)から、今後も工事原価に関する統制の継続的な改善を進めてまいります。
③ 工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった点
主要取引区分における会計リスクの洗い出しと分析を実施し、追加対応が必要だと識別されたリスクについては内部統制の追加や内部監査での追加チェック等の追加対応を行いました。特に子会社の工事進行基準案件について、当社管理部門におけるレビュープロセスを追加し、各社の工事進行基準処理(工事損失引当金の検討含む)についてチェックを実施いたしました。
④ 子会社における適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ
当初工事原価付替え事案において不適切な会計処理が確認された子会社に対しては、コンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施するとともに、関与者への懲戒処分を実施し、社内公表しております。当社グループにおいて設備工事系及び建築内装系の業務を行う子会社(以下「工事子会社」といいます。)に対しては、コンプライアンス・リスク管理委員会での議事を共有することと、今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。
⑤ 子会社に対し、当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと
当社グループにおいて工事子会社への管理を強化するため、工事子会社担当執行役員を選任し、各工事子会社の執行責任者、施工責任者、経理担当者と定期的な面談を実施しております。
また、各工事子会社の事業規模やリスクに応じて、業務プロセスに係る内部統制の再整備や、当社内部監査における工事取引のサンプルテスト、当社管理部による会計仕訳のレビューを追加し、当社側からの牽制と統制(モニタリング)を強化いたしました。
次に、今般不適切交際費等事案及びその他関連当事者取引の未開示に対しては、特別調査委員会からの調査報告書及びガバナンス委員会からの答申書の内容等を踏まえ、以下に掲げる再発防止策を策定しております。
[今般不適切交際費等事案に対する再発防止策]
(1) 当社ガバナンス体制の抜本的な改善
① 当社取締役(監査等委員含む)の刷新(社外からの社長の招聘含む)
② 指名報酬委員会の設置と社外役員の過半数化
③ 当社代表取締役社長(当時)を含む当社取締役(監査等委員含む)に対する責任追及
(2) 取締役会・監査等委員会によるガバナンス機能の強化
① 取締役会への情報共有や情報伝達の改善
② 内部監査体制の位置づけの見直し(監査等委員直下とする)と体制の強化
③ 取締役会における重要リスクのモニタリング
④ リスク管理体制の再構築とリスク管理の強化
(3) 本件を踏まえた個別的な対応
① 関連当事者取引及び利益相反取引に関する規程の見直し
② 役員経費精算のルール設定(接待交際費に関する運用の厳格化含む)
(4) 当社企業風土の刷新
① 企業風土の刷新に向けた全役職員に対する研修の継続的な実施(営業関連役職員に対する技術営業に向けたワークショップの開催含む)
② 役員や管理職以上の社員に対するコンプライアンス及び職責・ガバナンスに関する研修の継続的な実施
③ 内部通報窓口の機能充実
[その他関連当事者取引の未開示に対する改善策]
(1) 関連当事者取引の情報収集と検証プロセスの改善
① 関連当事者との取引明細シートの改善
② 役員に対する関連当事者取引注記に関する説明会の継続的な実施
今回、投資家の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。当社はこれらの施策を着実に実行すると共に、適正な内部統制の整備及び運用のさらなる強化に取り組み、内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ることが重要であると考え、再発防止に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 特定の業界及び特定の取引先への依存について
当社グループは、新規顧客の開拓等による取引先分散の継続的な推進を行っており、特定取引先への販売依存はありませんが、飲食料品小売業界及び外食業界に属する企業への売上高が大きなウェイトを占めております。このため、景気動向やこれらの業界動向の変動により顧客企業の事業環境に急激な変化が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。2022年12月期(連結)における飲食料品小売業界への依存度は31.0%(2021年12月期(連結)37.4%)、外食業界への依存度は18.7%(2021年12月期(連結)16.7%)であります。
(2) 業績の季節変動及び大型案件の引渡し時期の変動について
当社グループは、食品スーパーマーケットや外食産業の店舗における企画・設計・施工・メンテナンスを主な事業としている関係上、顧客企業の出店政策や出店計画に影響を受け、業績に季節的な変動が見られます。売上高の季節的変動に伴い、営業利益も同様の傾向があります。当連結会計年度及び前連結会計年度の上半期・下半期のそれぞれの売上高及び営業利益(△は営業損失)は下記のとおりであります。
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(単位:千円) |
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上半期(1月~6月) |
下半期(7月~12月) |
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2021年12月期 |
売上高(構成比) |
18,720,635(52.2%) |
17,167,467(47.8%) |
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営業利益(構成比) |
424,348(160.5%) |
△688,760(△260.5%) |
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2022年12月期 |
売上高(構成比) |
17,970,727(43.8%) |
23,056,489(56.2%) |
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営業利益(構成比) |
△382,728(△122.4%) |
69,959(22.4%) |
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なお、売上規模が多額の大型案件の受注増加に伴い、躯体工事等の請負範囲外の前工程の遅延、顧客の事情による工期延期・工期延長や天災その他予想し得ない事態による工期の遅延等により大型案件の引渡し時期が各四半期末もしくは期末を越えて遅延した場合、当社グループの業績が変動する可能性があります。
(3) 品質管理について
品質管理につきましては、設計及び制作分野における知識や経験の豊富な専門人員で構成する品質管理の専門部署を社内に設置し、設計及び施工の過程において同部署による複数回の品質チェックを行うなど、十分な品質管理体制を整備しております。
しかしながら、万が一に想定外の不良やチェック漏れ等により多額の工事のやり直しや顧客への補償金が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 債権管理について
債権管理につきましては、顧客企業からの受注に当たって事前の与信調査から債権発生・回収まで、一貫した管理体制を整備しております。また、原則として債権を長期間にわたり分割して回収する延払条件付き契約の締結は禁止しておりますが、諸々の事情を鑑み、当該契約の締結を行う場合には、連帯保証や担保差入れなどにより債権保全を図っております。
訴訟による和解決定など特殊な事情により締結した延払条件付き契約に係る債権については、当該債権残高に対して個別に回収可能性を検討し貸倒引当金を計上しております。
しかしながら、経済環境の激変などにより顧客企業の属する業界動向に急速な悪化が生じた場合には、債権の滞留や貸倒れが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 業界に対する特有の法的規制並びに主要な業務に係る免許及び許認可等について
当社グループの主要な事業活動の継続には下記の許認可が必要ですが、「建設業法」においては第29条、「建築士法」においては第26条、「宅地建物取引業法」につきましては第66条に、取消、営業停止等の事由が定められております。当社グループは、2022年12月31日現在において、これらに該当する事実はないと認識しております。
しかしながら、将来、取消等の事由が生じた場合、当社グループの事業遂行に支障をきたし、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2022年12月31日現在)
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許認可等の名称 |
根拠法令 |
許認可等の内容 |
有効期間 |
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特定建設業 |
建設業法 |
電気工事業、管工事業、建築工事業、熱絶縁工事業、内装仕上工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、鉄筋工事業、板金工事業、鋼構造物工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、建具工事業、解体工事業の許可 (特-26)第10470号 |
2020年3月4日~ 2025年3月3日 |
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一般建設業 |
建設業法 |
土木工事業、ほ装工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、しゆんせつ工事業の許可 (般-26)第10470号 |
2020年3月4日~ 2025年3月3日 |
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一級建築士事務所 |
建築士法 |
一級建築士事務所の登録許可 東京都知事登録 第40172号 |
2020年8月10日~ 2025年8月9日 |
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一級建築士事務所の登録許可 宮城県知事登録 第19010112号 |
2019年10月27日~ 2024年10月26日 |
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宅地建物取引業 |
宅地建物 取引業法 |
宅地建物取引業の免許 国土交通大臣(1)第9568号 |
2019年7月4日~ 2024年7月3日 |
また、当社グループの主要顧客先であるスーパーマーケット業界や外食業界に対する主な法的規制として、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、都市計画法、食品衛生法、食品リサイクル法があります。当社グループは、自社グループ及び顧客の事業に関連する各種法令を熟知し遵守して、要件の充足、免許の取得、必要な届出等を行い、事業の展開しております。
しかしながら、当該各種法令の改廃や新たな法的規制が導入された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 人材の確保について
当社グループは、設計・施工・メンテナンス業務の内製化による収益確保のため、数年前より先行して人員確保を行い、専門的な技能者の育成に努めてまいりました。しかしながら、今後の育成が計画通りに進まず、必要数の技能者の確保が困難な状態となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 資材価格の変動について
当社グループは、冷凍冷蔵機器や工事主要材料等につきまして、受注後に即時発注するなど資材価格の変動を極力抑制する原価管理体制を整備しております。しかしながら、原材料価格の高騰を請負代金に反映することが困難な状態となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 有価証券投資について
当社グループは、既存顧客との営業上の取引関係の更なる強化、あるいは新規顧客の開拓及び取引関係の強化のため、株式の持合を行っております。
2022年12月期末の残高は1,592,539千円でありますが、顧客企業が属する業界の株式市場の低迷などにより、株価が著しく下落した場合は評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) ストックオプションについて
当社はストックオプション制度を採用しており、当社役職員及び当社子会社役職員に対して新株予約権を付与しております。
これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、今後、優秀な人材を確保するために同様のインセンティブプランの継続を検討しており、これから付与される新株予約権の行使が行われた場合にも、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、短期的な需給バランスの変動が発生し、株価形成に影響を及ぼす可能性があり、ストックオプションに係る新しい会計基準が設定された場合、当該基準の変更内容によっては当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) M&A、組織再編等について
当社グループは、事業戦略上、企業価値の向上を目的として必要に応じて企業や事業の買収、組織再編等を行っております。
当該行為に際しては、入念な調査、分析、検討を行っておりますが、買収時点では想定できなかった収益性の低下等の不測の事態が生じる場合や、グループ会社間におけるシナジーが当初想定したほど発揮されない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 事故及び災害について
当社グループは、現場での安全確保・管理には万全を期して取り組んでおりますが、施工中に予期せぬ重大事故が発生した場合には、経営成績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。また、地震、風水害等の予期しない大規模災害が発生した場合にも、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、コロナ禍の長期化による第3四半期(1~9月)までの顧客の設備投資の手控え及びロシアのウクライナ侵攻による資機材の急騰を受けた設備投資の内容や時期の見直しによる影響を受け、また、当社が建設業界の課題である慢性的な人手不足への対策として、全従業員の給与等を平均10%程度ベースアップし、優秀人材の確保のための費用を投じたこと等から、当連結会計年度において重要なマイナスの営業キャッシュ・フロー及び3期連続の連結営業損失の計上となりました。
しかしながら、コロナ禍の終息の兆しを受けた第4四半期の初頭から、顧客は徐々に設備投資を再開し、これまで設備投資の抑制を余儀なくされていた反動もあり、2023年度の設備投資を活発化させる意向を強めており、2023年12月期の当社グループの業績は回復する見込みとなっております。
当社グループは、業績の回復を確実なものとし持続的な成長と発展を果たすため、①人材と協力会社の囲込みによる受注体制の強化と利益の向上、②資機材のグループ間調達による材料コストの低減による利益の向上、③精度の高い原価管理体制の確立による利益の確保と拡大、といった取り組みを継続して実施して参ります。
また、当連結会計年度末において現金及び預金を6,925百万円有しており、2022年12月末時点で未使用の資金調達枠(当座借越残高)が13億円あり、引き続き安定した資金調達を行うことが可能であることから資金状況は安定的に推移する見通しであり、現時点で資金繰りに重要な懸念はありません。なお、当社は金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しておりますが、当該契約の財務制限条項には抵触しておりません。
以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、当初、新型コロナウイルス感染症の第6波が流行したことから伸び悩みが続きましたが、世界の多くの国ではワクチン接種が進み、重症化リスクは低くなっており、感染防止のための様々な規制は緩和されております。社会全体でウィズコロナの環境に対する適応が進んでおり、日本でも特に3月以降は長かった夜が終わり、経済活動は再活性化に向けて間違いなく始動したと認識しております。7月から8月にかけてピークであった同 第7波においても、政府は行動制限を設けず、9月下旬から全国一律で感染者数の全数把握の見直し(簡略化)を決定し、10月には全国旅行支援制度が開始され、訪日外国人の入国制限も大幅に緩和されております。さらに、政府は新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを2023年5月上旬から季節性インフルエンザ同等とすることを決定しており、日本経済回復の要素が増えると見込んでおります。
一方で、ロシア軍によるウクライナ侵攻を発端とした原材料の高騰と供給不足・遅延が発生し、モノや人の調達コストが上がる局面に入ってきております。モノの値段が上がる局面での景気回復はこの30年ほぼ見られなかったことであり、新たなる世界・社会へ突入していく中で、様々な意味でのコスト管理が一段と重要になると考えております。
当社グループを取りまく経済環境は、主に景気の現状判断DI・先行き判断DI(内閣府 景気ウォッチャー調査)、第3次産業活動指数(経済産業省)、及びマネタリーベース平均残高(日本銀行)の動向等から判断しております。景気の現状判断DI・先行き判断DIと、非製造業やサービス業の動向を示す第3次産業活動指数は、新型コロナウイルス感染症やコスト上昇の影響等から回復は緩やかですが、底堅く推移しております。一方、マネタリーベース平均残高については日銀が金融緩和策を継続しているものの、足元の伸び率(前年比)はマイナスに低下しており、米国などの中央銀行はすでに金融緩和策を終了し、政策金利を引き上げていることから、先行きは日銀も追随する可能性もあると注視しております。これら指標の動向から、当連結会計年度の当社グループを取りまく経済環境については、「まん延防止等重点措置」が全面的に解除された3月以降は明らかに回復の動きが見られ、秋口からは勢いが出てきておりましたが、昨年から続いている原材料の高騰と供給不足・遅延、急激な為替変動(特に円安)が下振れ要因となりました。
リーマン・ショックが起きた2008年、当社は景気動向の影響を受けやすい「店舗施設の制作事業」を主力事業としていたことから、売上高は大幅に減少し、初めて営業赤字に転落しましたが、その苦しい経験を糧に「いかなる環境下においても成長していける基盤の構築」をスローガンとして掲げ、顧客層や事業内容を多様化することで景気が落ち込んでも業績への影響を受けにくい企業体制の構築を進めております。「店舗施設の制作事業」について、2008年当時と2021年を比較しますと、売上高は約1.8倍に増やしながらも、売上高全体に占める同事業の比率は87.5%から50.2%にまで低下させることができました。2022年はコロナ禍の影響と同事業において物販という新たな業態開拓が好調だったことも寄与して、上記の比率は61.6%に高まっておりますが、当社は幅広い分野での事業展開を進めており、新たな事業分野が成長してきていることから、この比率は2023年以降、再度低下すると見込んでおります。
当社グループは、2016年から第2次10年計画「世界でも期待される企業に成る」の下、2016年から2018年の3ヵ年の中期経営計画は「進:利益基盤の構築」を目標に、即戦力となる人材(人財)を確保すると同時に、就業人口の減少に備え、将来の戦力となる人材(人財)育成を行い、幅広いマーケットの開拓と深掘りを進め、次なる領域へステップアップするための足場固めをしてまいりました。
2019年から2021年の3ヵ年は、社会の生活スタイルの変化に適応できる企業へ変わっていかなければならないと考え、「化:時代が求めている企業へ化ける」を目標とし、当社グループは他に見ないこのユニークなスタイル(企業群)で幅広いマーケットに対応できるよう、国内外の各グループ会社において事業分野の間口・販路を広げ、グループ会社間でシナジーを創出してまいりました。加えて、「思いやりとおもてなしの心を持ってお客様に向き合う」ために、IT・RPA等の新しいDigital(デジタル)技術を積極的に導入して、DX(デジタルトランスフォーメーション)の基盤を作り、本業に革新を起こすとともに、あらゆる面でロスを削減して生産性を上げ、社員がやりがいを持って力を十分に発揮できるよう、業務量の適正化を進めてまいりました。
今、世界は産業革命以来の大いなる過渡期にあり、AI(人工知能)に代表されるDigital技術の飛躍的な発展によって、これまでの常識や社会全体に劇的な変化が起きております。すなわち「時間の概念」「モノづくり」及び「ライフスタイル」のすべてが変わり、ビジネスにおいてもDigital技術を積極的に利用していくかどうかで、今後数年のうちに企業間格差がますます広がっていくと考えられることから、どんな環境変化にも適応できる強い企業として生き残るために、当社グループも将来を見越して DX 化をいっそう推進し、お客様のご要望にお応えできるソリューション開発を進めてまいります。
当社グループは2022年から2025年の4ヵ年の目標を「成:Digital × あなた」= DX とし、2026年からの次なる「第3次10年計画」に向け、ソリューションプロバイダーとしての企業モデルの土台作りを行っております。この「DX」とは、単なるデジタルトランスフォーメーションではなく、常に主役は「あなた=人」であり、この激動の時代に「Digital(技術だけではなく、知識も含む)」という時代に合った道具(手段)を、大事な財産である「あなた=人(人財)」が活用することで何倍もの価値を生み出し、最終的にお客様や社会や未来を支えるひとりひとりの主役(あなた)を輝かせることこそが本来の姿であると当社グループは考えております。
現在、建設業に関わっている企業の最大の課題は、急速に進んでいる建設業就業者の減少・高齢化と2024年4月から建設業にも適用される「働き方改革関連法」(時間外労働時間の上限 原則 月45時間、年360時間)で、技術者の価値が劇的に変わっていくことから、生産性の向上は急務であり、利益率の高い企業へ大きく変革していくことが求められています。すでに当社グループは2016年から2021年までの6年間で人材(人財)の採用と育成を積極的に行い、グループ内職人は4.5倍、従業員数は2.6倍に増やし、売上総利益率は3.4%ポイント向上させてきたと同時に、新時代に適応するための DX 基盤の構築に約20億円を投資してまいりました。
2022年度は「やって、やって、やりきる」を改めてスローガンとして掲げ、売上総利益率を前年度からさらに2%ポイント引き上げるため、具体策として、さらに約5億円を DX 関連に投資し、いまだ個人や部門レベルにとどまっている顧客・機器・案件といった業務に関するすべての情報をグループ全体で共有してデータベースに蓄積し、用途に合わせて様々な形できめ細かく分析・活用して、モノ・人・物件(案件)という切り口であらゆるロスを削減していくことで、受注率 10%ポイントアップ、メンテナンス部員の稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)4倍を目指しました。結果として、案件の失注・消滅率は件数ベースで昨年末比 約6%ポイント改善し、売上高は第2四半期以降拡大傾向に転じており、その中で売上高をコロナ禍前の水準に戻している国内や海外のグループ会社もあり、特に海外グループ全体ではアジア進出から10年目で初の黒字を達成いたしました。また、メンテナンス部員の稼働率(同)は約3倍まで向上できました。しかしながら、海外に追随して日本でもウィズコロナ下での景気回復が進む中で、人やモノの調達が適時かつ十分にできないリスクを想定して準備していたものの、機器や部品等の供給不足および調達コストの上昇、人手不足(コストの上昇)の影響は想定以上に大きく、売上総利益率は昨年とほぼ同水準にとどまり、残念ながら道半ばでありますため、引き続き目標達成に向けて取り組んでまいります。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高410億2千7百万円、営業損失3億1千2百万円、経常利益9千7百万円、親会社株主に帰属する当期純損失1億6千8百万円となりました。
次に、部門別の売上高と各部門の営業概況についてご報告いたします。
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(単位:千円未満切捨) |
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関連部門の名称 |
前連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
対前連結会計年度比増減額 (△は減) |
対前連結会計年度比 増減率(%) |
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スーパーマーケット関連部門 |
12,221,101 |
11,517,970 |
- |
- |
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フードシステム関連 部門 |
21,225,328 |
26,918,498 |
- |
- |
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保守メンテナンス 部門 |
2,441,672 |
2,590,747 |
- |
- |
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計 |
35,888,102 |
41,027,217 |
- |
- |
《スーパーマーケット関連部門》
スーパーマーケット関連部門につきましては、スーパーマーケット販売統計調査(スーパーマーケット協会3団体)によりますと、2020年に入って新型コロナウイルス感染症防止対策のため在宅時間が増え、外食の機会が減ったことなどから、売上高の伸び率(前年比)は大幅に高まり、2021年も底堅く推移していたものの、2022年はウィズコロナの生活スタイルが定着し、巣ごもりが減って外出の機会が増えたことなどもあり、売上高の伸び率(前年比)はほぼ前年並みに鈍化しております。しかしながら、2022年春以降の日本経済は回復傾向にあり、2023年以降はさらに前向きな改装計画なども出てくると見込んでおります。引き続き、当社グループは経済環境に大きく左右されず、あらゆる営業機会を逃さないために、各グループ会社の強みを活かして、設計や内装施工だけではなく、給排水・空調設備工事や電気設備工事等、店舗内で対応できる事業領域の拡大を図ってまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は115億1千7百万円となりました。
《フードシステム関連部門》
フードシステム関連部門につきましては、外食産業市場動向調査(日本フードサービス協会)によりますと、日本経済の緩やかな回復基調が続いたここ数年の店舗売上高の伸び率(前年比)は平均2~3%台で推移して比較的堅調でしたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行で大幅に落ち込みました。当社グループの主要顧客である飲食店、小売店、商業施設、ホテル等の営業環境は厳しく、当社グループの受注においてもその影響を受けましたが、2021年以降の外食産業はテイクアウトやデリバリーが堅調だったこともあって緩やかながらも回復局面に入り、2022年の同調査の店舗売上高、利用客数、及び客単価の伸び率(前年比)はプラス圏に戻って上昇傾向にあります。コロナ禍を経て、業態の構造変化も見られることから、当社グループは今後も状況や時代に適応したサービスや付加価値を提供できるよう努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は269億1千8百万円となりました。
《保守メンテナンス部門》
保守メンテナンス関連部門につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、コールセンターにてお客様からの修理依頼に応えるだけではなく、満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。2017年6月からメンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続け、新規の保守メンテナンス店舗数は現在までに23,500件を突破しました。また、メンテナンス員の稼働率向上のため、2022年度より中央指令室を設置し、スケジュール管理と人員配置を徹底するとともに、ウェアラブルデバイスを活用した遠隔支援も行える体制を整えております。加えて、工種の異なる作業にも対応できるマルチメンテナンス部員の育成を進め、1人当たり約4倍の稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)アップを目指しており、2022年は残念ながら目標には届かなかったものの約3倍を達成することができました。
加えて、従来の修理・保守といったメンテナンスだけではなく、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンスは当該分野において主力の一角となっております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は25億9千万円となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億9千4百万円増加し、当連結会計年度末残高は65億4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は6億4千2百万円(前連結会計年度は16億5千2百万円の増加)となりました。
これは、仕入債務の増加及び税金等調整前当期純利益の計上があったものの、売上債権及び契約資産の増加、契約負債が減少したこと及び法人税の支払いが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は6億6千2百万円(前連結会計年度は6千5百万円の減少)となりました。
これは、有価証券及び投資有価証券の売却による収入があったものの、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出があったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は16億6千6百万円(前連結会計年度は4億8千4百万円の減少)となりました。
長期借入金の返済による支出及び配当金の支払いがあったものの、ストック・オプションの行使による収入及び新たな短期及び長期の借入れが主な要因であります。
生産、受注及び販売の実績
当社グループは、一貫した店舗施設制作事業を事業内容とする単一セグメントであるため、制作、商品仕入、受注及び販売実績については、関連部門別に記載しております。
(1) 制作実績
当連結会計年度における制作実績を関連部門ごとに示すと、次のとおりであります。
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関連部門の名称 |
制作高(千円) |
前年同期比(%) |
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スーパーマーケット関連部門 |
10,496,996 |
96.3 |
|
フードシステム関連部門 |
26,442,658 |
126.6 |
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計 |
36,939,655 |
116.2 |
(注) 金額は販売価額で算定しております。
(2) 商品仕入実績
当社グループは、スーパーマーケット関連部門、フードシステム関連部門において外部より商品を仕入れておりますが、商品仕入時においてはどの部門で販売されるか確定していないため、関連部門ごとの商品仕入実績の記載は省略しております。
(3) 受注実績
当連結会計年度における受注実績を関連部門ごとに示すと、次のとおりであります。
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関連部門の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
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スーパーマーケット関連部門 |
12,872,615 |
99.9 |
2,720,488 |
199.2 |
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フードシステム関連部門 |
29,305,335 |
124.6 |
12,938,976 |
122.6 |
|
計 |
42,177,950 |
115.9 |
15,659,464 |
131.4 |
(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績を関連部門ごとに示すと、次のとおりであります。
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関連部門の名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
スーパーマーケット関連部門 |
11,517,970 |
- |
|
フードシステム関連部門 |
26,918,498 |
- |
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保守メンテナンス部門 |
2,590,747 |
- |
|
計 |
41,027,217 |
- |
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1[連結財務諸表等][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、307億7千9百万円と前連結会計年度末に比べ36億3百万円の増加となりました。
流動資産は、201億2千8百万円と前連結会計年度末に比べ32億6千3百万円の増加となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産、仕掛品が増加したことが主な要因であります。
固定資産は、106億5千1百万円と前連結会計年度末に比べ3億4千万円の増加となりました。これは、投資有価証券の売却及び長期売掛金を回収したものの、ソフトウエア仮勘定の増加及び子会社で建物及び構築物、機械装置及び運搬具が増加しことが主な要因であります。
(負債の部)
流動負債は、181億9千4百万円と前連結会計年度末に比べ39億5千8百万円の増加となりました。これは、契約負債が減少したものの、仕入債務及び有利子負債の増加が主な要因であります。
固定負債は24億7千8百万円と前連結会計年度末に比べ6億9千2百万円の減少となりました。これは、有利子負債の返済による減少が主な要因であります。
以上の結果、負債の部は206億7千2百万円と前連結会計年度末に比べ32億6千5百万円の増加となりました。
(純資産の部)
純資産の部は101億7百万円と前連結会計年度末に比べ3億3千8百万円の増加となりました。これは、配当金の支払い及び投資有価証券売却によるその他有価証券評価差額金の減少があったものの、ストック・オプションの行使により資本金及び資本剰余金が増加したことが主な要因であります。
なお、自己資本比率は32.7%と前連結会計年度末より3.1ポイント減少しております。
(3) 経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、コロナ禍の非正常を脱し、徐々に正常化が進んできていた中で、「まん延防止等重点措置」が全面的に解除された3月以降は明らかに回復の動きが見られ、特に店舗施設の制作事業の売上高が回復・増加し、また、連結子会社についても、国内子会社はコロナ渦も一段階終局へ向かう中で既に業績は回復基調となっており、海外子会社についても海外諸国のコロナ渦における対応が早かったことに加え10年間の基盤構築が成功したことにより売上高が増加したことで、410億2千7百万円となっております。
② 売上原価
当連結会計年度の売上原価に関しては、業務に関するすべての情報を当社グループ全体で共有してデータベースに蓄積・分析・活用し、モノ・人・物件(案件)という切り口であらゆるロスを削減していくことで、前連結会計年度より受注率 10%ポイントアップ、メンテナンス部員の稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)4倍を達成し、売上総利益率を2%ポイント高めることを目標としておりましたが、結果としては案件の失注・消滅率(件数ベース)は約6%ポイント改善、メンテナンス部員の稼働率(同)は約3倍に向上したものの、機器や部品等の供給遅延・不足及び調達コストの上昇、人手不足(コストの上昇)の影響が想定以上に大きく、売上原価率は87.3%と前連結会計年度末より0.6ポイント増加しました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、当社が建設業界の課題である慢性的な人手不足への対策として、全従業員の給与等を当連結会計年度下期から順次平均10%程度改訂し、優秀人材の確保のための費用を投じたこと、及び株主数の増加、株主優待予約制度の導入等により株主優待費用が増加したため、55億2千5百万円となりました。
④ 営業損益
当連結会計年度は上記の結果により3億1千2百万円の営業損失となりました。
⑤ 営業外収益及び営業外費用
営業外収益は、主に為替差益の発生及び連結子会社で工場増築にかかる国の補助金を受け取ったことにより5億9千3百万円となりました。
また、営業外費用は、前期は連結子会社にて工事違約金が発生していたことにより1億8千3百万円となりました。
⑥ 経常損益
当連結会計年度は9千7百万円の経常利益となりました。その結果、当連結会計年度における売上高経常利益率は0.2%となり、総資産経常利益率(ROA)は0.3%(前期は△0.3%)となりました。
⑦ 特別利益及び特別損失
特別利益は投資有価証券売却益を計上したこと及び固定資産売却益があったことにより5千7百万円となりました。
また、特別損失は、主に連結子会社である静清装備株式会社の固定資産及びのれんについて減損損失を計上したこと及びその他の子会社で災害による損失を計上したことにより9千4百万円となりました。
⑧ 税金等調整前当期純損益
当連結会計年度は6千万円の税金等調整前当期純利益となりました。
⑨ 法人税等
法人税等(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は2億2千8百万円(前期比109.3%増)となりました。これは主に課税所得の増加によるものです。
⑩ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、外部株主が存在する連結子会社の当期純利益(又は当期純損失)の増減の影響を受けますが、当社グループにおける影響は僅少であります。
⑪ 親会社株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度は1億6千8百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。
その結果、当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度に比べ1.3ポイント減少し△1.7%となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、制作原価、販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、業容拡大等による事務所等の拡張・メンテナンスステーション開設、移転による内装費用等、省人化及び効率化、間接業務の削減を目的にしたシステムの費用があり、その他の資金需要として、当社グループの分野の強化や技術者の補充を目的にしたM&A費用があります。
当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達を行っております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は7,162,272千円となりました。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、資本効率のバランスを考慮しつつも、安定した収益基盤を確立することに注力することで、売上高営業利益率を高めることを優先課題として、自己資本当期純利益率(ROE)の改善に取り組む方針であります。
当連結会計年度に含む直近3連結会計年度の指標は以下のとおりです。
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指標 |
2020年度 (第51期) |
2021年度 (第52期) |
2022年度 (第53期) |
中期目標 |
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売上高営業利益率 |
△1.1% |
△0.7% |
△0.8% |
6.0% |
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自己資本当期純利益率(ROE) |
△4.4% |
△0.4% |
△1.7% |
10.0% |
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。