(注) 1.第20回新株予約権証券(以下、「本新株予約権」といいます。)については、2024年6月14日開催の当社取締役会において発行を決議しております。
2.申込み及び払込みの方法は、本有価証券届出書による届出の効力発生後に本新株予約権の買取契約(以下、「本買取契約」といいます。)を締結し、払込期日までに上記払込取扱場所へ発行価額の総額を払い込むものとします。
3.本新株予約権の募集は第三者割当の方法によります。
4.本新株予約権の振替機関の名称及び住所
株式会社証券保管振替機構
東京都中央区日本橋兜町7番1号
(注) 1.行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の発行により資金調達をしようとする理由
当社は、下記「(1) 資金調達の目的」に記載のとおりの目的のための資金調達を行う手法として、様々な資金調達方法を比較・検討してまいりましたが、下記「(2) 資金調達方法の概要」及び「(4) 本スキームの特徴」に記載した資金調達方法(以下、「本資金調達」又は「本スキーム」といいます。)による資金調達のメリット及びデメリット及び「(5) 他の資金調達方法」に記載のとおり、各種資金調達方法には各々メリット及びデメリットがある中で、本資金調達が現在の当社の資金ニーズを満たす最も適切な資金調達手法であることから、本資金調達によるデメリットも考慮した上で、総合的に判断し、本資金調達を採用することを決定しました。
(1) 資金調達の目的
当社は「がんを切らずに治療する」が開発コンセプトであるテロメライシン(OBP-301)(※1)の事業化を目的に、2004年に創業されました。現在は「がんのウイルス療法」と「重症ウイルス感染症治療薬」を事業領域として、世界でも非常にまれな『ウイルス創薬』に取り組んでいます。
表1:当社の事業領域

当社は創業以来、パイプラインの開発を一定段階まで進め、その後の開発や販売は製薬会社等に知的財産権を許諾し、その対価としてマイルストーン収入やロイヤリティ収入を得る「ライセンス型事業モデル」を志向して、事業を運営してまいりました。
事業領域の1つである「重症ウイルス感染症治療薬」では、当社が抗HIV薬として開発を進めていたOBP-601を、2020年にTransposon Therapeutics, Inc.(米国、以下「Transposon社」といいます。)との間で総額3億ドル以上のライセンス契約を締結し、同社へ全世界の開発・製造・販売等に関するOBP-601の知的財産権の活用を許諾しました。Transposon社は、当初想定していた疾患とは異なる疾患の治療薬として転用するドラッグリポジショニングを進め、現在ではPSP(進行性核上性麻痺)、ALS(筋萎縮性側索硬化症)やFTD(前頭側頭型認知症)、AGS(アイカルディ・ゴーティエ症候群)等当初の標的疾患とは異なる神経変性疾患領域を対象に、米国や欧州の複数施設で臨床試験を進めています。
特に最も先行するPSPでは、既にPhase2a試験を終了し、米国の優先承認審査制度であるFast Track指定を受けています。
これらの臨床試験は、Transposon社が費用を全額負担する一方で、当社はTransposon社からライセンス契約に基づく契約一時金やマイルストーン収入を受け取っています。
また、Transposon社が第三者である製薬会社等へOBP-601を再ライセンスするか、又はTransposon社が買収を受ける可能性もあり、その場合には、当社はTransposon社から、再ライセンスによる契約一時金及びマイルストーン収入の一定割合や、買収金額の一定割合を受領することとなります。
なお、再ライセンスや買収が生じた場合でも、当社とTransposon社の間の総額3億ドル以上のライセンス契約は継続します。そのため、2020年に締結したライセンス契約に基づくマイルストーン収入やロイヤリティ収入に加えて、再ライセンスや買収によるTransposon社から当社への追加的な支払いが発生する可能性があるということになります。
表2:Transposon社とのライセンス契約の概要

一方、もう1つの事業領域である「がんのウイルス療法」では、日本国内で食道がん治療薬として開発を進めているテロメライシンは、食道がんPhase2臨床試験の結果を基に、PMDAと新薬承認申請に向けた各種協議を進めています。
当社は、「先駆け審査指定制度」(※2)を利用して、独自でテロメライシンを国内開発することが最も効率的に承認申請まで進めていけると判断しており、販売面に関しては富士フイルム富山化学株式会社(以下、「富士フイルム富山化学」といいます。)と販売提携契約を締結しました。また供給面では、三井倉庫ホールディングス株式会社(以下、「三井倉庫HD」といいます。)と契約し、ベルギーのヘノジェン社で製造したテロメライシンを日本国内へ輸入し、国内製造所である三井倉庫HDで最終製品化し、富士フイルム富山化学を通じて医療現場へ届けるサプライチェーンを構築しています。
表3:テロメライシンのサプライチェーン

テロメライシンの米国における開発状況に関しては、過去に複数の治療歴がある最も重症度が高い胃がん及び胃食道接合部がん患者を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した医師主導治験であるPhase2試験が米国で実施され、米国コーネル大学のマニッシュ・シャー医師により、2023年6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で16例のうち3例で長期生存が確認されたことが発表されました。
この結果を受けて、米国コーネル大学は当社の事前合意を得た上で、Merck Sharp & Dohme LLC.(以下、「MSD社」といいます。)へ新たな治験の実施や治験費用の負担を提案し、2023年12月に当社とコーネル大学の契約、コーネル大学とMSD社の契約が締結され、共同開発体制が構築されました。
本治験は組み入れ対象を、2次治療(※3)と呼ばれる抗PD-1/PD-L1抗体を含む治療を一度だけ受けた経験がある胃がん患者群へ変更しました。本共同開発体制に基づき、当社はテロメライシンを、MSD社はペムブロリズマブをコーネル大学に提供します。また、治験費用は当社とMSD社で折半します。
本治験は、抗PD-1/PD-L1抗体を含む1次治療に抵抗性のある胃がん・胃食道接合部がん患者を対象に、2次治療としてテロメライシンとペムブロリズマブを併用し、投与を開始しています。抗PD-1/PD-L1抗体を販売する大手製薬会社にとって、テロメライシンを併用した胃がんの2次治療が確立された場合には、併用により、未だ充足されていないがん治療に貢献できる機会を拡大する可能性があります。
表4:当社の主なパイプライン

テロメライシンの国内での開発に関しては、従来のライセンスモデルではなく国内自社申請方針へ転換し製薬会社型の事業モデルを当社の事業モデルに付加したため、従来のライセンス型事業モデルだけでは生み出せなかったテロメライシンの商用製造や流通面における付加価値を、当社が創出可能になります。製薬会社型事業モデルとライセンス型事業モデルのハイブリッドへの転換により、ライセンス型事業モデルのみに依存しているビジネスモデルと比較して、より大きな収入を得られる可能性が高まると考えております。
今後は従来のライセンス型事業モデルに加えて、国内テロメライシンといった一部のパイプラインに関しては、このように自社で製造販売承認を得る製薬会社型事業モデルの展開も検討し、「ライセンス型事業モデルと製薬会社型事業モデルのハイブリッド」で事業を展開していく方針です。
表5:当社の事業モデル

一方で、製薬会社型事業モデルでは、「テロメライシンの製造・販売・流通に関する費用」や、「テロメライシンの製造販売体制構築や維持等の運転資金」等、従来のライセンス型事業モデルでは発生しなかった事業運営資金が生じることになります。また、2024年2月に富士フイルム富山化学と締結した販売提携契約では、契約交渉においてテロメライシンの将来販売収入を重視したため、契約締結前に期待していた契約一時金や新薬承認申請以前に発生する開発マイルストーン収入は盛り込みませんでした。2020年6月にライセンス契約を締結しているTransposon社からのOBP-601に関する次回マイルストーン収入も、2024年12月期の発生を期待していますが、2024年下半期以降となる見込みです。
また、医薬品開発では当初から先行投資として多額の資金が必要になるものの、安定的な収益の計上に至るまでには相当な期間を要するため、当初は期間損益がマイナスになるのが一般的な傾向です。当社は、2013年12月期から2023年12月期までの直近11期間において当期純損失を計上してまいりました。
具体的には2023年12月期の経営成績は売上高63百万円、営業損失1,929百万円、経常損失1,913百万円、当期純損失1,938百万円、営業キャッシュ・フローはマイナス1,336百万円となっており、資金的な観点では2023年12月末における現預金1,532百万円は前年同期に比較し178百万円の減少となっております。また、足元の業績では、2024年12月期第1四半期の経営成績は、売上高は発生せず、営業損失378百万円、経常損失363百万円、四半期純損失364百万円となっており、資金的な観点では2024年3月末における現預金は1,478百万円となり、2023年12月末に比較し54百万円の減少となっております。
なお、2023年7月24日発行の第19回新株予約権による調達資金の具体的な使途及び充当状況については、2024年4月30日時点で、(1)テロメライシンの製造・販売・流通に関する費用につき341百万円が未充当(844百万円のうち502百万円充当済み)ですが2024年8月には全額充当予定、(2)テロメライシンの製造販売体制構築や維持等の運転資金につき134百万円が未充当(1,048百万円のうち914百万円充当済み)ですが2024年6月までに全額充当となっております。本資金調達における資金使途のうち、(1)テロメライシンの製造・販売・流通に関する費用、(2)テロメライシンの製造販売体制構築や維持等の運転資金は第19回新株予約権に係る調達資金の目的と重なりますが、上記のとおり第19回新株予約権による調達資金が当初の予定調達額を下回り(発行時における調達予定資金の額2,176百万円に対し、実際の調達額が1,891百万円)、調達資金の全額が2024年8月までには充当予定となっていることに加えて、上記のとおりマイルストーン収入での事業収入の発生が後ろ倒しになる等しているため、今後の事業運営に際して追加的に資金が必要であると考えております。
このような状況下、当社は従来から企業活動資金確保の優先順位を、「① 既存及び新規のライセンス契約や販売提携契約等による事業収入、② 銀行等による長期借入金や短期借入金等希薄化を伴わない資金調達の実施、③ 事業会社との資本業務提携の実施、④ 有価証券の発行による資金調達」と定めておりますが、現時点の当社の事業環境に鑑み、テロメライシンの上市を速やかに実現することを最優先に検討を重ねた結果、本資金調達の決定に至りました。
本資金調達により調達する資金(以下、「本調達資金」といいます。)は、現在想定しているテロメライシンの上市年度までに必要となる「テロメライシンの製造・販売・流通に関する費用」、「テロメライシンの製造販売体制構築や維持等の運転資金」及び「テロメライシンのMSD社との共同開発体制に関する費用」に充当する方針です。これらの費用は、当社が従来のライセンス型事業モデルを拡充する機会創出に向けた活動に加えて、今後製薬会社の形態をとって成長し、利益を上げていく上で必要不可欠なものになります。
当社は2004年3月の創業以来、研究開発を続けてきたテロメライシンの製造販売体制を確立し、承認取得・上市を実現することで、新たに製薬会社として一層の企業価値向上を目指してまいります。
(2) 資金調達方法の概要
今回の資金調達は、当社が割当予定先に対し本新株予約権を割り当て、その行使に伴って当社の資本が増加する仕組みとなっております。
当社は、本新株予約権について、割当予定先との間で、本新株予約権の募集に係る有価証券届出書による届出の効力発生後に、下記の内容を含む本買取契約を締結する予定です。
① 行使価額の修正
本新株予約権の行使価額は、2024年7月2日に初回の修正がなされ、以後各取引日毎に修正されます。行使価額が修正される場合、行使価額は、修正日の直前取引日において取引所が発表する当社普通株式の普通取引の終値の100%に相当する金額(但し、当該金額が下限行使価額を下回る場合、下限行使価額とします。)に修正されます。但し、いずれかの修正日の直前取引日に本新株予約権の発行要項第11項の規定に基づく調整の原因となる事由が発生した場合には、当該修正日の直前取引日において取引所が発表する当社普通株式の普通取引の終値は当該事由を勘案して合理的に調整されます。
下限行使価額は、当初349円としますが、本新株予約権の発行要項第11項の定める行使価額の調整の規定を準用して調整されます。下限行使価額の水準については、割当予定先の投資家としての収益確保と、当社として資金調達額の最大化を図るという要素を割当予定先と当社間で議論の上決定したものであります。
② 行使コミット条項
<コミット条項>
割当予定先は、2024年7月2日(当日を含みます。)から、原則として2025年1月6日(当日を含みます。)(以下、「全部コミット期限」といいます。)までの期間(以下、「全部コミット期間」といいます。)に、割当予定先が保有する本新株予約権の全てを行使することを約します。
かかる全部コミットが存在することで、当社は本スキームによる資金調達の確実性を高めることができます。
また、割当予定先は、2024年7月2日(当日を含みます。)から、原則として2024年9月30日(当日を含みます。)(以下、「中間コミット期限」といいます。)までの期間(以下「中間コミット期間」といいます。)に、1,200,000株相当分以上の本新株予約権を行使することを約します。
ただし、①全部コミット期限及び中間コミット期限までにコミット期間延長事由(以下に定義します。)が発生した場合、及び②当社が行使停止指示(下記「③ 行使停止条項」において定義します。以下本②において同じ。)を行った場合、下記のとおり、それぞれ延長されることとなります。
全部コミット期間中のいずれかの取引日において、①取引所の発表する当社普通株式の終値が当該取引日において適用のある下限行使価額の100%以下となった場合、②当社普通株式が取引所により監理銘柄若しくは整理銘柄に指定されている場合、③取引所において当社普通株式の普通取引が終日行われなかった場合(取引所において取引約定が全くない場合)、④当社普通株式の普通取引が取引所の定める株券の呼値の制限値幅の下限(ストップ安)のまま終了した場合(取引所における当社普通株式の普通取引が比例配分(ストップ配分)で確定したか否かにかかわらないものとします。)、⑤上記①乃至④の他、割当予定先の事情に起因する場合を除き、何らかの理由で本新株予約権の行使が受け付けられない場合、又は⑥当社が行使停止指示を行った場合(以下、上記①乃至⑥の事象を総称して、「コミット期間延長事由」といいます。)には、コミット期間延長事由が1回発生する毎に、全部コミット期間は1取引日(但し、行使停止指示を原因とする⑥の事由に基づく延長については、当該行使停止指示に係る行使停止期間(下記「③ 行使停止条項」において定義します。以下本②において同じ。)に含まれる取引日数とします。)ずつ延長されます(但し、かかる延長は合計20取引日(但し、コミット期間延長事由のうち、定時株主総会の開催を原因とする⑤の事由及び⑥の事由に基づく延長については、かかる20回のカウントに際して考慮しません。)を上限とします。)。中間コミット期間中のいずれかの取引日においてコミット期間延長事由が発生した場合も、同様に、コミット期間延長事由が1回発生する毎に、中間コミット期間は1取引日(但し、行使停止指示を原因とする⑥の事由に基づく延長については、当該行使停止指示に係る行使停止期間に含まれる取引日数とします。)ずつ延長されます(但し、かかる延長は合計10取引日(但し、コミット期間延長事由のうち、定時株主総会の開催を原因とする⑤の事由及び⑥の事由に基づく延長については、かかる10回のカウントに際して考慮しません。)を上限とします。)。なお、全部コミット期間及び中間コミット期間の双方について、上記の延長は、各取引日において生じたコミット期間延長事由につき1回に限られ、同一の取引日において複数のコミット期間延長事由が生じた場合であっても、当該コミット期間延長事由に伴う延長は1回のみとなります。
<コミット条項の消滅>
全部コミット期間中において、コミット期間延長事由の発生に伴う全部コミット期間の延長が20取引日(但し、コミット期間延長事由のうち、定時株主総会の開催を原因とする⑤の事由及び⑥の事由に基づく延長については、かかる20取引日のカウントに際して考慮しません。)を超えて発生した場合、全部コミットに係る割当予定先のコミットは消滅します。同様に、中間コミット期間中において、コミット期間延長事由の発生に伴う中間コミット期間の延長が10取引日(但し、コミット期間延長事由のうち、定時株主総会の開催を原因とする⑤の事由及び⑥の事由に基づく延長については、かかる10取引日のカウントに際して考慮しません。)を超えて発生した場合、中間コミットに係る割当予定先のコミットは消滅します。
なお、これらのコミットの消滅後も、割当予定先は、その自由な裁量により任意の数の本新株予約権を行使することができます。
③ 行使停止条項
当社は、2取引日前までに書面で通知(以下、「行使停止指示」といいます。)することにより、当社の指定する数(以下、「行使停止数」といいます。)の本新株予約権の行使を当社の指定する最大5取引日の期間(以下、「行使停止期間」といいます。)にわたり停止することができます。当社は、本新株予約権の行使期間中に合計3回を上限として行使停止指示を行うことができます。行使停止期間中、割当予定先は行使停止期間の開始日において保有する本新株予約権のうち行使停止数分の本新株予約権を行使することができません。
当社は、2取引日前までに書面で通知することによりいつでも以前の行使停止指示を撤回することができます。当社は、当社の資金需要や当社株価の動向を踏まえて行使停止指示を行い、また撤回することにより、本新株予約権が当社株価に過度の影響を与えることを避けることができます。なお、行使停止指示及びその撤回を行った際には、当社は適時開示を行う予定です。
(3) 資金調達方法の選択理由
当社は、2023年7月24日に発行した第19回新株予約権(以下、「前回新株予約権」といいます。)による資金調達が前回新株予約権の割当先による早期行使により発行時に予定していた資金調達期間より短く、かつ調達予定額より少なく終了したことから、次回ファイナンスとして上記「(1)資金調達の目的」に記載した資金使途の目的に適う資金調達を検討し、複数の金融機関等から当該資金調達に関する提案を受けました。このうちEVOLUTION JAPAN証券株式会社(住所:東京都千代田区紀尾井町4番1号、代表取締役:ショーン・ローソン)(以下、「EJS」といいます。)から、本新株予約権の発行による資金調達方法である本スキームの提案を受け、当社は本スキームが当社の資金需要にふさわしい資金調達方法であるかを検討いたしました。本スキームにおいて発行される本新株予約権は、行使コミット条項により当社の当面の資金需要を満たす資金を早期にかつ相当程度高い蓋然性をもって調達できるうえ、行使停止条項に基づく行使の停止及び停止の撤回を通じて当社は希薄化のタイミング等に対して一定程度のコントロールを及ぼすことが可能な設計となっております。このため本スキームの手法及びその条件は、既存株主の利益に配慮し当社株価の急激な希薄化を抑制するとともに、本スキームの目的及び中期的な経営目標の達成に向けて、財務の柔軟性を確保しながら安定的かつ強固な経営基盤を確立することに重点を置いている当社のニーズに最も合致しているものと判断しました。また、当社は、下記「(4) 本スキームの特徴」に記載の本スキームのメリット及びデメリット並びに「(5) 他の資金調達方法」に記載の他の資金調達方法について検討し、これらの検討結果として、本スキームによる資金調達方法が、既存株主の利益に配慮しながら下記「2 新規発行による手取金の使途 (2) 手取金の使途」に記載した各資金使途に必要となる資金を調達することができる可能性が高いと判断し、総合的な判断により本スキームを採用することを決定しました。
(本新株予約権の特徴)
本新株予約権の行使価額は、修正日に、直前取引日において取引所が発表する当社普通株式の普通取引の終値の100%に相当する金額(但し、当該金額が、下限行使価額を下回る場合は下限行使価額)に修正される設計となっております。行使価額修正条項付新株予約権に係る行使価額の修正は、発行会社の普通株式の普通取引の終値からディスカウントがなされることが一般的ですが、本新株予約権においてはディスカウントが行われない設計となっております。ディスカウントがなされない設計により、市場株価から乖離が少ない価額での行使がなされることになるため、本新株予約権は、既存株主の皆様への影響をできる限り少なくし、既存株主の利益にもできる限り配慮された設計となっております。また、本新株予約権においては、上記のとおりディスカウントがなされないことから、その行使により調達できる額がより大きくなることが期待されます。その他のメリット及びデメリットは下記「(4) 本スキームの特徴」をご参照ください。
(4) 本スキームの特徴
本スキームによる資金調達には、以下のようなメリット及びデメリットがあります。
[メリット]
① ディスカウントなしでの株式発行
通常、行使価額修正条項付の新株予約権の場合、基準となる株価から、8~10%程度のディスカウントがなされた上で株式の交付が行われます。これに対し、本新株予約権は、行使日の直前取引日の終値の100%に相当する金額で株式の交付がなされるため、基準となる株価からのディスカウントがなく、既存株主の皆様にとっても大きなメリットであると考えております。
② 短期間における確実性の高い資金調達
本新株予約権(対象となる普通株式数4,000,000株)は、コミット期間延長事由が発生するか、又は当社が行使停止指示を行わない場合、2025年1月6日までに全部行使(全部コミット)されます。かかるコミットにより、本新株予約権の行使の蓋然性は高く、確実性の高い資金調達が期待できます。
③ 時期に応じた資金調達
全部コミットに加え、原則として2024年9月30日までに、本新株予約権の30%(対象となる普通株式数1,200,000株)の行使もコミット(中間コミット)されており、全部コミットによるまとまった資金調達と、中間コミットによる早期の段階におけるタイムリーな資金調達を両立することができます。
④ 最大交付株式数の限定
本新株予約権の目的である当社普通株式数は4,000,000株で固定されており、株価動向にかかわらず、最大交付株式数が限定されております。そのため、希薄化率が当初予定より増加することはありません。
⑤ 株価上昇時の調達額の増額
本新株予約権は株価に連動して行使価額が修正され、かつ行使価額に上限がないことから、株価が上昇した場合に資金調達額が増額されます。
⑥ 株価上昇時の行使促進効果
今回本新株予約権の行使により発行を予定している4,000,000株について、行使期間中に株価が大きく上昇する場合、割当予定先が投資家として早期にキャピタル・ゲインを実現すべく、行使期間の満了を待たずに速やかに行使を行う可能性があり、結果として迅速な資金調達の実施が期待されます。
⑦ 行使停止指示
当社は、最大3回の行使停止指示により当社の指定する最大5取引日の期間にわたり割当予定先の保有する本新株予約権の全部又は一部の行使を停止することができます。また、当社は2取引日前までに書面で通知することによりいつでも以前の行使停止指示を撤回することができます。かかる行使の停止及び停止の撤回を通じて当社は希薄化を一定程度コントロールすることができます。
⑧ 取得条項
当社は、本新株予約権に付された取得条項を、当社の裁量により行使することができるため、本新株予約権による資金調達の必要性がなくなった場合や今後の当社の状況の変化によって異なる資金調達手法を選択することが適切となった場合等、当社や市場の将来の状況の変化を考慮しながら、当社取締役会が本新株予約権を取得する日を定めて割当予定先に対し通知することにより、本新株予約権の払込金額と同額の金銭を支払うことで、本新株予約権を取得・消却することが可能であり、必要に応じてかかる取得条項を活用することで将来的に既存株主の皆様への希薄化の影響を抑えることが可能です。
⑨ 本買取契約上の本新株予約権の譲渡制限
本買取契約において、本新株予約権の譲渡に関し当社の取締役会による事前承認を要する旨の譲渡制限が付される予定です。そのため、当社の事前承認がない限り、割当予定先から第三者へは譲渡されません。
[デメリット]
① 当初に満額の資金調達ができないこと
新株予約権の特徴として、新株予約権者による権利行使があって初めて、行使価額に行使の対象となる株式数を乗じた金額の資金調達がなされます。そのため、本新株予約権の発行当初に満額の資金調達が行われるわけではありません。
② 株価低迷時に、資金調達額が減少する可能性
本新株予約権の行使期間中、株価が長期的に発行決議日の直前取引日の株価を下回り推移する状況では、発行決議日の直前取引日の株価に基づき想定される金額を下回る資金調達となる可能性があります。また、行使価額が下限行使価額を下回ることとなる株価水準においては、行使が進まない可能性があります。
③ 資金調達の時期の不確実性
株価が本新株予約権の行使価額を超えている場合でも、割当予定先が本新株予約権を行使するとは限らず、資金調達の時期には不確実性があります。
④ 株価の下落リスクがあること
割当予定先の当社普通株式に対する保有方針は純投資目的であることから、割当予定先が本新株予約権を行使して取得した株式を市場で売却する可能性があります。現在の当社普通株式の流動性も鑑みると、かかる当社普通株式の売却により当社株価が下落する可能性があります。
⑤ 不特定多数の新投資家へのアクセスの限界
第三者割当方式という当社と割当予定先のみの契約であるため、不特定多数の新投資家から資金調達を募ることによるメリットは享受できません。
(5) 他の資金調達方法
① 新株式発行による増資
(a) 公募増資
公募増資による新株発行は、資金調達が一度に可能となるものの、同時に1株当たり利益の希薄化も一度に引き起こすため、株価に対する一時的かつ直接的な影響が大きいことから、資金調達方法として適当でなく、また、当社の現状に鑑みると、当社株式の公募増資に関して引受証券会社を見つけることは困難であると考えており、現時点では現実的な選択肢ではないと判断いたしました。
(b) 株主割当増資
株主割当増資では希薄化懸念は払拭されますが、近年において実施された事例が乏しく、既存株主の参加率が非常に不透明であることから、本スキームと比べて必要資金を調達できない可能性が高く、また、参加率を上げるために払込金額を低く設定した場合には株価に大きな悪影響を与える可能性も否定できないことから、今回の資金調達方法として適当ではないと判断いたしました。
(c) 新株式の第三者割当増資
新株式の第三者割当増資は即時の資金調達として有効な手段となりえますが、同時に1株当たり利益の希薄化も一度に引き起こすため、株価に対する一時的かつ直接的な影響が大きいことから、現時点では資金調達方法としてはデメリット面があり適当でなく、また、当社の現状において迅速に、かつ適切な新株式の引受先を見つけることは困難であると考えており、現時点では現実的な選択肢ではないと判断いたしました。
② 新株予約権付社債(CB)
新株予約権付社債は、発行当初に資金調達が可能となるものの、その全額が当初負債となるため、財務健全性が低下し、今後の当社の借入余力に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、その後の転換状況も株価に依拠するため、今回の資金調達方法として適当ではないと判断いたしました。
③ 新株予約権無償割当による増資(ライツ・オファリング)
株主全員に新株予約権を無償で割り当てることによる増資、いわゆるライツ・オファリングには当社が金融商品取引業者と元引受契約を締結するコミットメント型ライツ・オファリングと、当社が金融商品取引業者との元引受契約を締結せず新株予約権の行使は株主の決定に委ねられるノンコミットメント型ライツ・オファリングがありますが、コミットメント型ライツ・オファリングについては国内で実施された実績が乏しく、資金調達手法としてまだ成熟が進んでいない段階にあり、また、引受手数料等のコストが増大することが予想される点や時価総額や株式の流動性による調達額の限界がある点等、適切な資金調達手段ではない可能性があることから、今回の資金調達方法として適当でないと判断いたしました。また、ノンコミットメント型ライツ・オファリングについては、当社は最近2年間において経常赤字を計上しており、取引所の定める有価証券上場規程に規定される上場基準を満たさないため、実施することができません。
④ 借入れ・社債・劣後債による資金調達
借入れ、社債又は劣後債のみによる資金調達では、調達額が全額負債となるため、財務健全性が低下することから、今回の資金調達方法として適当ではないと判断いたしました。
2.企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第9項に規定する場合に該当する場合にあっては同項に規定するデリバティブ取引その他の取引として予定する取引の内容
該当事項はありません。
3.当該行使価額修正条項付新株予約権付社債券等に表示された権利の行使に関する事項について割当予定先との間で締結する予定の取決めの内容
当社は割当予定先との間で、本有価証券届出書による届出の効力発生後に、上記「1.行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の発行により資金調達をしようとする理由 (2) 資金調達方法の概要」記載の内容を含む本買取契約を締結する予定です。
4.当社の株券の売買について割当予定先との間で締結する予定の取決めの内容
該当事項はありません。
5.当社の株券の貸借に関する事項について割当予定先と当社の特別利害関係者等との間で締結される予定の取決めの内容
当社並びに当社の役員及び役員関係者は、割当予定先との間において、本新株予約権の行使により取得することとなる当社普通株式に係る株券貸借契約を締結する予定はありません。
6.その他投資者の保護を図るために必要な事項
該当事項はありません。
7.本新株予約権の行使請求の方法
(1) 本新株予約権を行使請求しようとする場合は、上表「新株予約権の行使期間」欄記載の行使請求期間中に同「新株予約権の行使請求の受付場所、取次場所及び払込取扱場所」欄記載の行使請求受付場所に行使請求に必要な事項を通知しなければなりません。
(2) 本新株予約権を行使請求しようとする場合は、上記(1)の行使請求に必要な事項を通知し、かつ、本新株予約権の行使に際して出資の目的とされる金銭の全額を現金にて上表「新株予約権の行使請求の受付場所、取次場所及び払込取扱場所」欄記載の払込取扱場所の当社が指定する口座に振り込むものとします。
(3) 本新株予約権の行使請求の効力は、上表「新株予約権の行使請求の受付場所、取次場所及び払込取扱場所」欄記載の行使請求受付場所に行使請求に必要な事項が全て通知され、かつ当該本新株予約権の行使に際して出資の目的とされる金銭の全額(行使請求に必要な事項の通知と同日付で上表「新株予約権の行使時の払込金額」欄第3項に定める行使価額の修正が行われる場合には、当該修正後の行使価額に基づき算定される金額とします。)が上記(2)の口座に入金された日に発生します。
8.本新株予約権に係る株券の交付方法
当社は、行使請求の効力発生後、本新株予約権の新株予約権者が指定する振替機関又は口座管理機関における振替口座簿の保有欄に振替株式の増加の記録を行うことにより株式を交付します。なお、当社は本新株予約権に係る新株予約権証券を発行しません。
9.社債、株式等の振替に関する法律の適用等
本新株予約権は、社債、株式等の振替に関する法律に定める振替新株予約権とし、その全部について同法の規定の適用を受けるものとします。また、本新株予約権の取扱いについては、株式会社証券保管振替機構の定める株式等の振替に関する業務規程、同施行規則その他の規則に従うものとします。
該当事項はありません。
(注) 1.上記払込金額の総額は、本新株予約権の払込金額の総額に本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額を合算した金額であります。
2.払込金額の総額の算定に用いた本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額の合計額は、全ての本新株予約権が当該当初行使価額で行使されたと仮定して算出された金額です。行使価額が修正又は調整された場合には、本新株予約権の払込金額の総額に本新株予約権の行使に際して出資される財産の額を合算した金額は増加又は減少する可能性があります。また、本新株予約権の行使期間内に行使が行われない場合及び当社が取得した本新株予約権を消却した場合には、本新株予約権の払込金額の総額に本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額の合計額を合算した金額は減少する可能性があります。
3.発行諸費用の概算額の内訳は、本新株予約権の発行に係る弁護士費用、新株予約権評価費用、割当予定先への調査費用の合計額であります。
4.発行諸費用の概算額には、消費税及び地方消費税は含まれておりません。
本新株予約権の発行及び割当予定先による本新株予約権の行使によって調達する資金の差引手取概算額は、上記のとおり合計2,786百万円となる予定であり、調達する資金の具体的な使途については、以下のとおりです。
(注) 1.本新株予約権の行使状況によって資金調達額や調達時期が決定されることから、支出予定時期中に行使が行われず、本新株予約権の行使による資金調達ができない場合、優先順位を支出発生時期の順に充当し、金額不足分は手元資金の活用や銀行借入等他の方法による資金調達の実施により上記記載の使途への充当又は事業計画の見直しを行う可能性があります。なお、本新株予約権の行使時における株価推移により上記の使途に充当する支出予定金額を上回って資金調達ができた場合には、上記表中②の資金使途に充当していく予定であります。
2.本新株予約権の行使価額は修正又は調整される可能性があり、また割当予定先は本買取契約において本新株予約権の発行日の翌取引日以降、原則として約6ヶ月以内に全ての本新株予約権を行使することをコミット(全部コミット)していますが、かかる全部コミットは本新株予約権の発行日の翌取引日以降にコミット期間延長事由に伴う全部コミット期間の延長が20回を超えて発生した場合には消滅するものとされていることから、実際に調達できる資金の額及びその支出時期と現時点において想定している調達資金の額及び支出予定時期との間に差異が生じる可能性があります。調達資金が大きく不足した場合には、追加での資金調達についても検討し、実施について適切に判断してまいります。なお、上記の資金使途に充当するまでの間、当該資金は銀行預金で保管する予定です。
本調達資金は、主に以下への充当を予定しています。
① テロメライシンの製造・販売・流通に関する費用
② テロメライシンの製造販売体制構築や維持等の運転資金
③ テロメライシンのMSD社との共同開発体制に関する費用
がんのウイルス療法テロメライシンについては、現在、日本及び米国で開発が進んでいます。特に日本国内では、テロメライシンと放射線を併用した食道がんPhase2臨床試験の結果を基に、PMDAとテロメライシンの承認申請に向けた各種協議を行っています。
また、テロメライシンは、2019年4月に厚生労働省から再生医療等製品の「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されており、当社はテロメライシンが承認申請後、速やかに医薬品として承認されることを期待しています。
医薬品としてテロメライシンが承認された後は、医療現場へ安定的に供給する必要があります。これを実現するために、当社は製造委託先であるヘノジェン社(ベルギー)において、テロメライシンの原薬を製造した後に同施設で製剤化し、マイナス80度の冷凍状態で日本国内へ輸入します。また、当社の神戸リサーチラボとユーロフィン分析科学研究所株式会社(日本)がテロメライシンの最終出荷判定を行います。サプライチェーンに関しては、当社は再生医療等製品の物流経験のある三井倉庫HDと国内製造所の契約を行い、ウイルス製造場所から医療機関まで円滑にテロメライシンを移送できる体制を構築しています。さらに、国内での効率的な販売を行うために、富士フイルム富山化学と販売提携を締結しています。
上述のとおり、テロメライシンは「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されているため、承認申請後、同制度の対象品目に指定されていない他の候補薬よりも早く承認される可能性があります。一方で、医薬品として承認された後は、当社には医療現場へ安定供給する義務が生じます。
当社は、本調達資金の一部を、現在想定される上市年度までの「テロメライシンの製造・販売・流通に関する費用」に充当することで、医薬品として承認後、速やかにかつ安定して医療現場に供給できる体制を構築する方針です。
表6:テロメライシンのサプライチェーン

当社は創業以来、マイルストーン収入やロイヤリティ収入を得るライセンス型事業モデルで事業を運営してまいりました。しかし、上述のとおり、テロメライシンの国内ビジネスに関しては、当社が自ら製薬会社としての機能を構築し、医薬品製造販売業としての機能を果たすことで企業価値を向上させ、テロメライシン製剤の販売収入を得る方針です。
ライセンス型事業と製薬会社型事業では収入の絶対額が大きく異なります。ライセンス型事業では、ライセンス先に許諾した知的財産権の対価として、上市後は医薬品の販売金額に応じたロイヤリティ収入を得ます。しかし、その料率は一般的に1桁~10%台程度になります。一方、製薬会社型事業の場合は、当社が知的財産権を保有したまま独自で医薬品の製造販売や流通に関する付加価値を創出します。また、規制当局との薬価交渉等も製造販売業者である当社が担います。そのため、知的財産権の許諾だけを行うライセンス型事業モデルと比べて当社が創出する付加価値は増大し、上市後に販売提携先から得られるテロメライシン製剤の販売収入は、ロイヤリティ収入の数倍となることが見込めます。
表7:富士フイルム富山化学との販売提携契約の概要

このような製薬会社型事業のメリットを享受するためには、「製造販売業許可」を行政から得て、製薬会社になる必要があります。当社は、「総括製造販売責任者(※1)」・「品質保証責任者(※2)」・「安全管理責任者(※3)」といった薬事三役を既に採用しています。今後は、医薬品製造販売業者としてテロメライシンの市販後管理体制を築いていく方針です。また、製造販売業者である当社に市販後調査機能を設置し、テロメライシンの上市後の品質や安全対策を推進していきます。
さらに、上記の今後新規に発生するテロメライシンの製造販売体制の構築費用の他、臨床試験や製造等の第三者への委託費用の発生有無にかかわらず、企業運営のための人件費、家賃、米国子会社の維持費用等が販売費及び一般管理費として、年間約1,100~1,300百万円程度の費用が発生する見込みです。本調達資金は、今後発生することが期待されるTransposon社からのOBP-601に関するマイルストーン収入と併せて、上記の製造販売体制維持等の運転資金にも充当します。なお、第19回新株予約権による調達資金が当初の予定調達額を下回り(発行時における調達予定資金の額2,176百万円に対し、実際の調達額が1,891百万円)、マイルストーン収入での事業収入の発生が後ろ倒しになる等しているため、第19回新株予約権による調達資金の全額が2024年8月までには充当予定となりました。しかしながら、今回の資金調達が計画通り完了した場合には、2025年12月末までの当社運営資金を確保できる見込みです。
このように、当社は、本調達資金の一部を、現在想定される上市年度までの「テロメライシンの製造販売体制構築や維持等の運転資金」に充当することで、医薬品製造販売業者としての体制を築き、企業価値を向上させていくことを計画しております。国内の販売体制を当社単独で構築するには多大なコストが発生するため、富士フイルム富山化学との契約を前提にした製造販売業者としての必要不可欠な体制及びテロメライシンの市販後販売規模に応じた品質や安全性の確保を充足できる、適正規模の販売体制の維持を目指しています。
また、テロメライシンの適応拡大を目指し、当社による製薬会社型事業モデルの拡大を進めていきます。
表8:ライセンス型事業モデルと製薬会社型事業モデルの特徴

当社は、国内のテロメライシンを軸に新たに構築中の製薬会社型事業モデルに加えて、従来から展開しているライセンス型事業モデルを拡充する機会創出を目指しています。2020年にTransposon社と締結したOBP-601の全世界ライセンス契約に加えて、海外のテロメライシンにおいても新たなライセンス契約の締結を目指しています。同ライセンス活動の促進のために、MSD社と共同開発体制を構築し、コーネル大学で胃がん2次治療の医師主導治験の投与が進められています。
同医師主導治験は、抗PD-1/PD-L1抗体を含む1次治療に抵抗性のある胃がん・胃食道接合部がん患者を対象に、2次治療としてテロメライシンとペムブロリズマブを併用し、投与が進んでいます。テロメライシンを併用した胃がんの2次治療が確立された場合には、抗PD-1/PD-L1抗体を販売する大手製薬会社にとって、テロメライシンを併用することで自社の医薬品ががん治療に貢献できる機会を拡大できる可能性があります。
各社が公表した決算書類や各種レポートなどを確認したところ、2023年度の医療用医薬品の全世界売上高は、前年2位のMSD社のペムブロリズマブが第1位になり、前年第9位であった小野薬品/BMS社のニボルマブが引き続きトップ10入りしています。この2医薬品に限らず、複数の抗PD-1/PD-L1抗体は年間売上高10億ドルを超えるブロックバスターに成長しており、製薬会社の経営に大きな影響を与えています。
当社は、MSD社と共に本治験を推進するために、本調達資金の一部を「テロメライシンのMSD社との共同開発体制に関する費用」としてコーネル大学への支払いに充当し、抗PD-1/PD-L1抗体が再びがん治療に貢献できる機会の可能性を示し、海外での新たなテロメライシンのライセンス契約を目指す方針です。
表9:米国での胃がん治療と主な抗PD-1/PD-L1抗体

該当事項はありません。
(注) 上記は、2024年4月30日現在におけるものです。
当社は、上記「第1 募集要項 1 新規発行新株予約権証券(第20回新株予約権証券) (2) 新株予約権の内容等 (注) 1.行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の発行により資金調達をしようとする理由」に記載したとおり、「第1 募集要項 2.新規発行による手取金の使途 (2) 手取金の使途」に記載した各資金使途に充当するための機動的かつ確実な資金調達方法について、複数検討してまいりました。
そのような中で、EJSから本新株予約権による資金調達に関する提案を受けました。同時期に他の金融機関等から提案を受けた資金調達手法の内容を考慮しつつ、当社内において協議・比較検討した結果、本スキームが、当社の必要とする資金を高い蓋然性をもって調達できるとともに、株価に対する一時的な影響を抑制しつつ既存株主への過度な影響を及ぼさずに資金調達ができる点において、有効な資金調達手段であると判断いたしました。また、前述の本スキームのメリット・デメリットを勘案の上、割当予定先と協議した結果、既存株主の株式価値希薄化への配慮から、本スキームによる資金調達方法が最良の選択肢であり、同様のスキームによる投資実績を有していること等から、EVO FUNDが割当予定先として適当であるとの結論に至ったため、本新株予約権の割当予定先としてEVO FUNDを選定いたしました。
割当予定先は、上場株式への投資を目的として2006年12月に設立されたファンド(ケイマン諸島法に基づく免税有限責任会社)であります。これまでの投資実績として、複数の第三者割当の方法による新株予約権増資案件において、本新株予約権と同様の手法を用いて、割り当てられた新株予約権の全てを行使し、発行会社の資金調達に寄与した案件が複数あります。割当予定先は、マイケル・ラーチ氏以外の出資者はおらず、割当予定先の運用資金は取引先であるプライム・ブローカーからの短期的な借入れを除き、全額自己資金であります。
割当予定先の関連会社であるEJSが、関連企業の買受けのあっせん業の一環として今回の資金調達のアレンジャー業務を担当しました。EJSは英国領ヴァージン諸島に所在するタイガー・イン・エンタープライズ・リミテッド(住所:Craigmuir Chambers, PO Box 71, Road Town, Tortola VG1110, British Virgin Islands、代表取締役:マイケル・ラーチ,リチャード・チゾム)の100%子会社であります。
(注) 本新株予約権に係る割当は、日本証券業協会会員であるEJSのあっせんを受けて、割当予定先に対して行われるものであり、日本証券業協会の定める「第三者割当増資等の取扱いに関する規則」(自主規制規則)の適用を受けて募集が行われるものです。
本新株予約権の目的である株式の総数は、4,000,000株です。
割当予定先は、純投資を目的としており、本新株予約権の行使により取得する当社普通株式を原則として長期間保有する意思を有しておらず、出資者に対する運用責任を遂行する立場から、保有先の株価推移により適宜判断の上、本新株予約権の行使により交付を受けることとなる当社普通株式につきましては、基本的にマーケットへの影響を勘案しながら市場内で売却するものの、ブロックトレード相手が見つかった場合には市場外で直接売却していく方針である旨、割当予定先の真の保有株式数を不明確にするような取引(例えば、本新株予約権の行使期間中において金融機関や機関投資家とのスワップ取引等を行う行為)を行わない旨、及び本新株予約権をプライム・ブローカー等の金融機関に対して譲渡する予定はない旨を口頭にて確認しております。
また、当社と割当予定先は、本新株予約権につき下記の内容を含む本買取契約を締結する予定です。
ア.当社は、取引所の定める有価証券上場規程第434条第1項及び同施行規則第436条第1項乃至第5項の定めに基づき、原則として、単一暦月中に割当予定先が本新株予約権を行使することにより取得される株式数が、本新株予約権の払込日時点における上場株式数の10%を超える場合には、当社は当該10%を超える部分に係る本新株予約権の行使(以下、「制限超過行使」といいます。)を行わせないこと。
イ.割当予定先は、所定の適用除外の場合を除き、制限超過行使に該当する本新株予約権の行使を行わないことに同意し、本新株予約権の行使にあたっては、あらかじめ当社に対し、当該本新株予約権の行使が制限超過行使に該当しないかについて確認を行うこと。
ウ.割当予定先は、本新株予約権を譲渡する場合、あらかじめ譲渡先となる者に対して、当社との間で制限超過行使に係る義務を負うことを約束させ、また譲渡先となる者がさらに第三者に譲渡する場合にも当社に対して同様の義務を承継すべき旨を約束させること。
エ.上記ウに従い本新株予約権が譲渡された場合、当社は当該譲渡先との間でも同様の内容を約し、当該譲渡先がさらに他の第三者に譲渡する場合も同様の内容を約するものとする。
さらに、本買取契約において、本新株予約権の譲渡の際に当社取締役会の承認が必要である旨が定められる予定です。譲渡が行われることとなった場合には、当社の取締役会による承認に先立ち、当社は、譲受人の本人確認、反社会的勢力でないことの確認、払込みに要する資金等の状況の確認、及び譲受人の保有方針の確認を行います。また、譲渡が行われた場合、当社は当該事実を開示いたします。
割当予定先の払込みに要する財産の存在については、当社は割当予定先の保有財産の裏付けとなる複数のプライム・ブローカーの2024年5月31日時点における現金・有価証券等の資産から借入れ等の負債を控除した純資産の残高報告書を確認しており、払込期日において本新株予約権の払込金額(発行価額)の総額の払込みに要する資金は十分であると判断しております。
なお、本新株予約権の行使にあたっては、割当予定先は、基本的に新株予約権の行使を行い、行使により取得した株式を売却することにより資金を回収するという行為を繰り返して行うことが予定されているため、一時に大量の資金が必要になることはないことから、割当予定先は本新株予約権の行使にあたっても十分な資金を有していると判断しております。また、割当予定先は、現在、当社以外にも複数社の新株予約権を引き受けているものの、上述のとおり、行使及び売却を繰り返して行うことが予定されているため、一時点において必要となる資金は多額ではなく、それらを合算した金額を割当予定先の純資産残高から控除した上でなお、本新株予約権の払込金額(発行価額)の総額の払込み及び本新株予約権の行使に要する資金としては十分であると判断しております。
当社は、EJSにより紹介された割当予定先並びに間接的にその持分の100%を出資しており、かつ役員であるマイケル・ラーチ氏、及び割当予定先の役員であるリチャード・チゾム氏について、反社会的勢力等と何らかの関係を有していないか、過去の新聞記事やWEB等のメディア掲載情報を検索することにより、割当予定先が反社会的勢力でない旨を確認いたしました。また、割当予定先からは、反社会的勢力との間において一切の関係がない旨の誓約書の提出を受けております。
さらに慎重を期すため、企業調査、信用調査を始めとする各種調査を専門とする第三者調査機関である株式会社東京エス・アール・シー(住所:東京都目黒区上目黒四丁目26番4号、代表取締役:中村勝彦)に割当予定先並びに間接的にその持分の100%を出資しており、かつ役員であるマイケル・ラーチ氏、及び割当予定先の役員であるリチャード・チゾム氏について調査を依頼しました。そして、同社の保有するデータベースとの照合等による調査を行った結果、2024年5月30日、割当予定先、その出資者及び役員に関する反社会的勢力等の関与事実がない旨の報告書を受領いたしました。
以上から総合的に判断し、当社は、割当予定先、その出資者及び役員については、反社会的勢力との関係がないものと判断し、割当予定先、その出資者及び役員が反社会的勢力と関わりがないことの確認書を取引所に提出しております。
本新株予約権には譲渡制限は付されていません。但し、本買取契約において、本新株予約権の譲渡の際に当社取締役会の承認が必要である旨が定められる予定です。
当社は、本新株予約権の発行要項及び割当予定先との間で締結する予定の本買取契約に定められた諸条件を考慮した本新株予約権の評価を当社及び割当予定先との取引関係のない独立した外部の第三者算定機関である株式会社プルータス・コンサルティング(以下、「プルータス」といいます。)(住所:東京都千代田区霞が関三丁目2番5号、代表者:野口真人)に依頼しました。プルータスと当社及び割当予定先との間には、重要な利害関係はありません。
プルータスは、価格算定に使用する価格算定モデルの決定にあたって、ブラック・ショールズ・モデルや二項モデルといった他の価格算定モデルとの比較及び検討を実施した上で、本新株予約権の発行要項及び割当予定先との間で締結する予定の本買取契約に定められたその他の諸条件を相対的に適切に算定結果に反映できる価格算定モデルとして、一般的な価格算定モデルのうちモンテカルロ・シミュレーションを用いて本新株予約権の評価を実施しております。また、当該算定機関は、評価基準日(2024年6月13日)の市場環境や割当予定先の権利行使行動等を考慮した一定の前提(当社の株価(698円)、配当利回り(0%)、無リスク利子率(0.114%)、当社の株価変動性(48.58%)及び市場出来高、割当予定先が行使コミット条項に基づく権利行使を完了するように権利行使期間にわたり一定数量の本新株予約権の権利行使を行うことを含みます。なお、取得条項及び行使停止条項については当社の裁量によるため合理的な予測を行うことが困難であり、評価には反映されていません。)を想定して評価を実施しております。
当社は、当該算定機関が上記前提条件を基に算定した評価額を参考に、割当予定先との間での協議を経て、本新株予約権1個当たりの払込金額を当該評価額と同額である55円とし、本新株予約権の行使価額は当初、2024年6月13日の取引所における当社普通株式の普通取引の終値と同額である698円としました。
本新株予約権の発行価額及び行使価額の決定にあたっては、当該算定機関が公正な評価額に影響を及ぼす可能性のある事象を前提として考慮し、新株予約権の評価額の算定手法として一般的に用いられているモンテカルロ・シミュレーションを用いて公正価値を算定していることから、当該算定機関の算定結果は合理的な公正価格であると考えられるところ、払込金額が算定結果である評価額と同額で、割当予定先との間での協議を経て決定されているため、本新株予約権の発行価額は有利発行には該当せず、適正かつ妥当な価額であると判断いたしました。
なお、当社監査役3名全員(うち2名が会社法上の社外監査役)からは、本新株予約権の発行要項の内容及び当該算定機関の算定結果を踏まえ、下記事項について確認し、本新株予約権の発行条件が割当予定先に特に有利な条件での発行に該当せず、適法な発行である旨の意見表明を受けております。
・ プルータスは新株予約権評価に関する知識・経験を有し当社経営陣及び割当予定先から独立していると考えられること
・ 本新株予約権の評価額の算定にあたり、プルータスは公正な評価額に影響を及ぼす可能性のある行使価額、当社普通株式の株価及びボラティリティ、権利行使期間等の前提条件を考慮して、新株予約権の評価額の算定手法として一般的に用いられているモンテカルロ・シミュレーションを用いて公正価値を算定していることから、当該評価額は合理的な公正価格と考えられること
・ 払込金額が当該評価額と同額であること
本資金調達により発行される本新株予約権が全て行使された場合に交付される株式数は4,000,000株(議決権数40,000個)であり、2023年12月31日現在の当社発行済株式総数19,717,100株及び議決権数196,200個を分母とする希薄化率は20.29%(小数第3位を四捨五入)(議決権ベースの希薄化率は20.39%(小数第3位を四捨五入))に相当します。そのため、本新株予約権の発行により、当社普通株式に一定程度の希薄化が生じることになります。
しかしながら、当社は、本新株予約権による資金調達により調達した資金を上記「第1 募集要項 2 新規発行による手取金の使途 (2) 手取金の使途」に記載した各資金使途に充当する予定であり、これは企業価値の向上を実現し、将来の売上及び利益を向上させるとともに、当社の財務基盤の安定化に資するものであることから、当社の既存株主の皆様の利益に貢献できるものと考えております。また、当社普通株式の過去6ヶ月における1日当たり平均出来高は323,814株であって、行使可能期間において円滑に市場で売却できるだけの十分な流動性を有しております。また、本新株予約権が全て行使された場合に、交付されることとなる当社普通株式数4,000,000株を、割当予定先の全部コミット期間である125取引日で行使売却するとした場合の1取引日当たりの株数は32,000株(直近6ヶ月平均出来高の約9.88%)となるため株価に与える影響は限定的なものと考えております。したがって、本新株予約権による資金調達に係る当社普通株式の希薄化の規模は、市場に過度の影響を与える規模ではなく、株主価値向上の観点からも合理的であると判断しております。
本新株予約権が全て行使された場合に交付される株式数は、4,000,000株(議決権40,000個)であり、2023年12月31日現在の当社の議決権数196,200に占める割合は、20.39%(少数第3位を四捨五入)となりますので、当該希薄化率は25%未満であります。
本件に基づき新たに発行される当社普通株式の数は最大4,000,000株(議決権40,000個)ですが、本新株予約権は、複数回に分けて行使されるものであり、これらが全て同時に発行されることはありませんので、第三者割当後の大株主の状況は以下の記載と異なることがあります。
(注) 1.割当前の「所有株式数」及び「総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、2023年12月31日現在の株主名簿上の株式数により作成しております。
2.「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、2023年12月31日現在の総議決権数196,200個に基づき、本新株予約権の行使による普通株式の発行により増加する議決権数(40,000個)を加えた数で除して算出した数値となります。
3.割当予定先であるEVO FUNDの「割当後の所有株式数」は、割当予定先が本新株予約権の行使により取得する当社普通株式を全て保有した場合の数となります。
4.「総議決権数に対する所有議決権数の割合」及び「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、小数点以下第3位を四捨五入しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
第1 【公開買付け又は株式交付の概要】
該当事項はありません。
第2 【統合財務情報】
該当事項はありません。
第3 【発行者(その関連者)と対象者との重要な契約(発行者(その関連者)と株式交付子会社との重要な契約)】
該当事項はありません。
会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類をご参照ください。
事業年度 第20期(自2023年1月1日 至2023年12月31日) 2024年3月29日関東財務局長に提出
事業年度 第21期第1四半期(自2024年1月1日 至2024年3月31日) 2024年5月10日関東財務局長に提出
1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書提出日(2024年6月14日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2024年4月3日に関東財務局長に提出
上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書及び四半期報告書(以下、「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後本届出書提出日(2024年6月14日)までの間において生じた変更その他の事由はありません。
また、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されていますが、当該事項は本有価証券届出書提出日(2024年6月14日)現在において変更の必要はないものと判断しております。
オンコリスバイオファーマ株式会社 本店
(東京都港区虎ノ門四丁目1番28号)
株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
該当事項はありません。
第1 【保証会社及び連動子会社の最近の財務諸表又は財務書類】
該当事項はありません。