第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは以下の「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動について記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、日々の業務に取り組んでおります。

◆経営理念

「東洋テックグループは、安心で快適な社会の実現に貢献します。」

◆行動宣言

・私たちは、お客様のニーズに最適なサービスを提供します。

・私たちは、企業価値の向上に取り組みます。

・私たちは、ひとりひとりの人間性を尊重します。

・私たちは、誠実で透明性の高い行動に努めます。

・私たちは、変革に挑戦し時代とともに成長します。

◆行動指針

お客様のために

・私たちは、お客様の生命・身体・財産を守るため、高品質のサービスを提供します。

・私たちは、法令及び社内規程を遵守し、お客様に信頼されるサービスを心掛けます。

・私たちは、公正で透明な取引を誠実に行い、お客様との信頼関係の構築と維持に努めます。

・私たちは、お客様の情報管理を徹底し、情報漏えい・不正利用を防止します。

・私たちは、お客様からのご指摘を真摯に受け止め、誠実に対応します。

株主のために

・私たちは、安易な値引き、減免等を行わず、商品・サービスの正当な対価に拘ります。

・私たちは、収益向上のため、徹底した効率化とコスト削減に取り組みます。

・私たちは、中長期的な収益資源を得るため、新しい分野へ積極的にチャレンジします。

・私たちは、柔軟な発想と、先進的な視点をもって、変革へ挑戦し続けます。

・私たちは、開示すべき情報を積極的に公開し、透明性の高い経営に努めます。

従業員のために

・私たちは、従業員の多様性・人格・個性を尊重し、差別のない職場を作ります。

・私たちは、お互いの役割を理解し、風通しの良い、チームワークのある職場を作ります。

・私たちは、労働関係法令を遵守し、超過勤務を防止し、休暇を取得します。

・私たちは、セクハラ・パワハラ・マタハラ等の各ハラスメントをしません。

・私たちは、働きやすい職場環境と挑戦できる企業風土を作ります。

社会のために

・私たちは、法令、社会規範、企業倫理、社内諸規程等のルールを順守します。

・私たちは、反社会的勢力との結びつきを完全に排除し、健全な企業風土を保ちます。

・私たちは、積極的に地域社会貢献活動や環境問題に取り組みます。

・私たちは、社会からの不信を招く、自身の利得のための接待・贈答を行いません。

・私たちは、公共、公益に資するため、心身ともに健全な状態で業務に取り組みます。

 

(2) 経営環境及び対応すべき課題等

経営計画への取り組み

当社グループでは、第12次中期経営計画《2022年4月1日~2025年3月31日》を策定し、「社会的要請に応え、成長・発展し続ける企業グループ」を目指し、「構造改革への挑戦」をスローガンに、引き続き高い収益性と成長力を目指し取り組んでおります。計画の概要は、以下のとおりです。

 


 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。


 


 


 

当社グループでは、「人・街・未来をまもる」使命とともに、従業員の健康をまもり、心身ともに健康で活き活きと働くことができるよう、従業員の健康づくりに積極的に取り組んでまいります。

2019年度以降継続して、経済産業省、日本健康会議による「健康経営優良法人認定制度」における健康経営優良法人の認定を受けております。この「健康経営優良法人認定制度」とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。

また、2017年11月以降継続して、大阪市による「女性活躍リーディングカンパニー」の認証を受けております。この「女性活躍リーディングカンパニー」とは、法令の遵守に留まらず、「意欲のある女性が活躍し続けられる組織づくり」「仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)支援」「男性の家庭参画」について積極的に取り組んでいる企業に対し、大阪市が一定の基準を基に認証する制度(3年毎の更新)です。当社は「三つ星認証企業」(3段階の認証レベルの最高ランク)「イクメン推進企業」に認定されました。

 


 


 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。

当社グループは、リスクマネジメントシステムを導入し、各事業において顕在化、もしくは潜在化しているリスクを抽出し、リスクマネジメント規程に基づき管理を行っています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法規制に関するリスクについて

当社グループは、警備事業等、当社グループの各種事業を実施するに当たって、警備業法並びに関係諸法令等の各種規制を受けております。

警備事業において当社グループ各社は、本社所在地を管轄する公安委員会から同法に基づく警備業の認定を受け、5年毎の更新手続きを行う必要があります。

また、警備業法により警備員指導教育責任者の選任届出や警備に係る各種検定資格者の配置義務が規定されております。当社グループは検定資格者の配置基準数を上回る資格者を有しておりますが、引き続き資格取得の促進を図っております。また、警備業法により指導教育責任者や警備に係る各種資格者の配置義務が規定されております。当社グループは有資格者等の登録を完了させており、引き続き資格取得の促進を図っております。

その他、機械警備業務や工事・機器販売に係る契約先への警報機器の設置工事につきましては、建設業法の規制を受け、また、輸送警備業務におきましては貨物自動車運送事業法等の規制を受けております。

これらの関係法令に違反した場合、処罰の対象となり、営業停止等の行政処分を受ける可能性があります。

ビルメンテナンス事業、不動産事業に加え、各種業務面においても、労働法令をはじめとした必要な関係諸法令等の各種規制を受けております。これら当社事業に関係する全ての法令については、コンプライアンス・マニュアルの「法令・ルール等遵守事項表」に基づき管理を行い、法的規制の変更について、関係当局の動向を注視し、また顧問弁護士との連携を通じ、適宜対応しております。

 

(2) 特定の売上先への依存リスクについて

当社グループは、金融機関に対する売上割合が高いため、キャッシュレスの進展、合併、統合等の再編に起因して、店舗機械警備や貴重品輸送警備、CD/ATM機を総合管理するATM管理業務等が解約、縮小となり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、金融機関の回金業務の受託等、金融機関からのアウトソーシング業務の受託等に注力することで、金融機関取引の維持、拡大に努めております。

 

(3) 特定の仕入先への依存リスクについて

当社グループは、機械警備システムの運用に係る監視センター装置について、その開発、機材等を富士通㈱に依存しています。自然災害等によりセンター装置等の故障や機材の供給に障害が生じた場合には、当社グループの監視センターの運用に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、機械警備システムの開発・保守については富士通LCMセンター(LifeCycleManagement)と24時間365日のメッセージ通報対応サービスを契約しており、障害への対応をしています。また、機器(サーバー等)については原則二重化(冗長化)又は予備機が用意されており、故障や機材の供給に対応しています。

 

(4) 受託現預金の管理リスクについて

当社グループは、ATM管理業務において主として金融機関等が設置するCD/ATM機の障害対応業務、資金管理業務、銀行店舗内現金管理業務等を行っています。また、近年売上金回収サービス業務を行っており、当社グループは資金管理業務と売上金回収サービス業務に使用する現金及び預金を受託現預金として管理しております。

業務委託先である金融機関等の経営悪化に伴い、立替資金を回収できなくなる可能性があります。この場合も当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、連休等による立替資金の長期化について、受託先の協力を得て、柔軟な対応をとっています。また売上金回収サービス業務については、信用調査等を実施し、取引を行っております。

 

(5) 技術環境の変化リスクについて

当社グループは、警備事業やビルメンテナンス事業において、AIやロボット等の新たな技術の導入による急激 なサービスの変化の影響を受ける可能性があります。

当社グループは、AI、ロボット等の最先端技術の調査、研究ならびに新商品、サービスの企画、販売推進を行 うイノベーション推進部を設置し、技術の変化に即したサービスを提供できる体制を構築しています。

 

(6) 投資に関する価格変動リスクについて

当社グループは、株式等、価格変動リスクを有する有価証券を保有しておりますので、有価証券の価値が下落し た場合、評価損等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、経済環境、市況、保有先の業績動向、取引関係等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。

また、不動産事業において、賃貸不動産等を有しております。不動産価値は経済状況等により、価格変動のリスクを有しております。

当社グループは、経済環境や不動産市況、資産活用状況等の様々な影響等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。

 

(7) 情報漏洩リスクについて

当社グループは、取引先と警備請負契約等を締結する場合、関係者の氏名、住所、電話番号、警備対象物件に係 る情報等について各種情報を取得し、各種警備対応や顧客管理に必要な情報として利用しており、取引先等に係る各種情報や個人情報の社外流出、漏洩等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等につながり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、徹底した管理体制と社員教育により取引先に係る各種情報が外部に漏洩しないよう情報管理に努めております。また個人情報保護法への対応については、「個人情報保護規程」等個人情報保護に係る内部規程及び関連する会社業務規程を定め、社内への周知徹底を図っております。また、プライバシーマークを取得し、個人情報保護教育をはじめとした個人情報保護への取り組みを強化しております。その他、個人情報漏洩賠償責任保険に加入しています。

 

(8) サイバー攻撃リスクについて

当社グループは、監視系システムをはじめとした各種システムにより事業を行っております。当該システムへのサイバー攻撃により、各種システムダウンによる業務の停止、各種情報の漏洩リスクがあります。

当社グループは、監視系システムについてはインターネットと直接つなげないことで攻撃を受けるリスクを回避しています。事務系システムについてはインターネットの出口にファイアウォールを設置し、基本的に外部からのアクセスは全て遮断しています。また、サーバー及びパソコンについてはウィルス対策ソフトを導入し、リアルタイムで監視しています。また、サーバーについては強固なセキュリティを施したクラウド化を進めています。その他、標的型テストメールを使ったテストを定期的に実施する等、迷惑メールへの対応の啓発活動を行っています。


 

 

(9) 社員による不適切事案発生リスクについて

当社グループは、各業務において不適切な事案が発生した場合は、当該業務の解約、縮小等につながり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、コンプライアンス研修を定期的に実施するとともに、「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動について記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、朝礼等の場で唱和することで、日々の行動を律しております。また社内監査、社内アンケートにより、定着状況を確認しています。

 

(10) 人材確保リスクについて

当社グループは、警備事業、ビルメンテナンス事業等において、継続的な人材確保が必要とされております。

今後予想されている国内人口の減少により、人材確保ができない場合、持続的な業務の維持等に影響が生じる可能性があります。

当社グループは、新入社員の採用に注力する他、将来の外国人労働者の採用に向けての外国人技能実習生の採用等を行い人材確保に向け注力しています。また女性警備員の増員等、女性の活躍の場を拡大しダイバーシティ&インクルージョンに取り組むとともに、離職防止のための施策として、新入社員へのメンター制度導入、若手社員交流会の開催、社内イベントの実施等を行っております。その他、エンゲージメント向上のために、社員の処遇改善、働き方改革、健康促進に前向きに取り組んでおり、6年連続で「健康経営優良法人 2024(大規模法人部門)」の認定を受けております。

 

(11) 大規模自然災害リスクについて

当社グループは、本社監視センターを始め、各拠点の監視センターにおいて警備に係る様々な情報を遠隔で集中監視し、取引先での不審者の侵入、火災等の異常事態の発生時には直ちにパトロール員を急行させ緊急対処しております。この集中監視システムはそれぞれの警備対象施設を通信回線で結んでおりますが、ネットワークを構成する重要な要素である通信回線は、第1種通信事業者が提供するサービスに依存しております。東日本大震災と同等クラスの震災や大津波による被災などの激甚災害やテロ等による大規模な事故、或いは大規模停電等により通信回線に重大な障害が発生した場合、遠隔監視による警備業務に重大な問題が発生する可能性があります。

この場合、当社グループの業績や今後の事業展開に大きな影響を与えるほか、センター装置等の復旧などに多額の費用を要する可能性があります。

当社グループは、BCP(大規模震災・水害対策編)を策定し、定期的なBCPに基づく防災訓練の実施、防災用品の備置等を行うことで対策を講じております。 

 

(12) パンデミックリスクについて

当社グループは、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「コロナ」という。)等の危険度の高い感染症が感染拡大した場合、警備事業、ビルメンテナンス事業において、社員の感染により業務の継続に支障が出るリスクがあります。

当社グループは、BCP(パンデミック編)を策定し、感染症法で規定されている「2類感染症」及び、「3類感染症」が国内で発生した場合には、直ちにBCP発動による対策本部を設置し、危機管理体制を構築しております。またマスク、消毒薬等の感染防止用品を備蓄し、業務に支障の出ない対策を講じております。予防面においては、「新型インフルエンザハンドブック」を制定し、社員に対して感染予防の徹底を行っております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の回復ペースの鈍化という逆風の中、内需の堅調さが支えとなり、緩やかながらも成長を続けています。政府の経済対策が功を奏し、消費者物価は2%を超える水準で推移しており、物価の安定に向けた動きが見られます。一方で、企業の設備投資は緩やかな増加傾向にあり、雇用・所得環境の改善が個人消費を支えている状況にあると考えられます。

警備業界、ビル管理業界では、近年の社会情勢の変化に伴い、ホームセキュリティへのニーズの高まりやオフィスの在り方の見直しなどにより新たな需要が創出されるとともに、業界全体の売上は回復傾向にありコロナ禍前の水準へ戻りつつあります。しかし、最低賃金上昇に伴う人件費の上昇、物価上昇に伴う原価の上昇に加え、人手不足が大変深刻な課題となっており、経営環境は極めて厳しいものとなっています。

このような経営環境の中、当社グループの業績は次のとおりとなりました。

物価上昇や最低賃金引上げ、またかつてない人員逼迫等厳しい環境でしたが、値上げへの取り組み強化、親会社組織改正、ビル管理事業子会社の再編などの組織体制整備に取り組んだ結果、売上高は、31,249百万円、前期比1,110百万円3.7%の増の増収となりました。利益面では、営業利益は966百万円、前期比121百万円14.4%の増益、経常利益は1,063百万円、前期比99百万円10.3%の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の減少により、626百万円前期比115百万円15.6%の減益となりました。

 

事業セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(警備事業)

警備事業におきましては、値上げ効果等により収益力は大幅に改善し、新規獲得も堅調に推移しました。

その結果、警備事業の売上高は、20,940百万円(前期比1,137百万円5.7%の増収)、セグメント利益は718百万円(前期比258百万円56.3%の増益)となりました。

 

2023年3月期実績

(百万円)

2024年3月期実績

(百万円)

前年同期比

(百万円)

前年同期比

(増減率%)

警備事業

19,802

20,940

1,137

5.7

 

機械警備

7,604

7,668

64

0.9

輸送警備

2,033

1,980

△53

△2.6

常駐警備

4,927

5,577

650

13.2

ATM管理

1,636

1,830

193

11.8

工事・機器販売

1,488

1,653

164

11.1

その他  (注)

2,113

2,230

117

5.5

 

(注) 1.その他:停解業務、緊急通報業務、保険代理店手数料等

2.記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。

 

(ビル管理事業)

ビル管理事業におきましては、清掃2社統合により一連の子会社再編は完了し、シナジー効果の実現や業容拡大に取り組み増収となりましたが、最低賃金引上げに対する値上げが後手に回ったことや、内製化・工事粗利改善の遅れにより、利益面は伸び悩みました。

その結果、ビル管理事業の売上高は、9,820百万円(前期比911百万円10.2%の増収)、セグメント利益は160百万円(前期比70百万円79.3%の増益)となりました。

 

2023年3月期実績

(百万円)

2024年3月期実績

(百万円)

前年同期比

(百万円)

前年同期比

(増減率%)

ビル管理事業

8,909

9,820

911

10.2

 

(注) 記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。

 

 

(不動産事業)

不動産事業におきましては、保有不動産物件の稼働率低下・新規物件取得による一時的費用の発生により賃貸事業の収支状況が悪化したことに加え、大口不動産の販売の期ずれが発生したことから、前期比大幅減収減益となりました。

その結果、不動産事業の売上高は、488百万円(前期比938百万円65.8%の減収)、セグメント利益は91百万円(前期比191百万円67.7%の減益)となりました。

 

2023年3月期実績

(百万円)

2024年3月期実績

(百万円)

前年同期比

(百万円)

前年同期比

(増減率%)

不動産事業

1,426

488

△938

△65.8

 

(注) 記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。

 

財政状態は次のとおりであります。

(資産)

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、16,114百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,468百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が258百万円減少しましたが、一方でATM管理業務に係る受託現預金が969百万円、販売用不動産が180百万円、受取手形及び売掛金が158百万円、契約資産が199百万円それぞれ増加したことによるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、19,657百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,716百万円増加しました。その主な要因は、土地が56百万円、無形固定資産が165百万円、繰延税金資産が111百万円それぞれ減少しましたが、一方で建物及び構築物が2,021百万円、機械装置及び運搬具が146百万円、投資有価証券が392百万円それぞれ増加したことによるものです。

(負債)

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、7,281百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,383百万円増加しました。その主な要因は、短期借入金が570百万円、未払法人税等が25百万円それぞれ減少しましたが、一方で預り金が1,418百万円、その他流動負債(未払金等)が318百万円それぞれ増加したことによるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、7,178百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,113百万円増加しました。その主な要因は、リース債務が52百万円減少しましたが、一方で長期借入金が1,909百万円、株式給付引当金が35百万円、その他固定負債(預り保証金等)が145百万円増加したことによるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、21,312百万円となり、前連結会計年度末に比べ688百万円増加しました。

なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の65.3%から5.7ポイント減の59.6%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10百万円減少5,511百万円となりました。
 

当連結会計年度における各活動別のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は、1,900百万円であります。その主な内容は、税金等調整前当期純利益1,053百万円、減価償却費1,157百万円、売上債権の増加357百万円、販売用不動産の増加180百万円、その他債権の増加438百万円、受託現預金の減少400百万円、法人税等の支払額499百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動により使用した資金は、3,049百万円であります。その主な内容は、定期預金の解約による減少247百万円、有形固定資産の取得による支出3,880百万円、有形固定資産の売却による収入605百万円、投資有価証券の売却による収入204百万円、投資有価証券の取得による支出146百万円、保険積立金の払戻による収入82百万円、企業結合による支出41百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により取得した資金は、1,138百万円であります。その主な内容は、短期借入金の返済による減少570百万円、長期借入金の借入による収入2,355百万円、長期借入金の返済による支出253百万円、自己株式の取得による支出355百万円、自己株式の処分による収入391百万円、配当金の支払による支出373百万円等であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中のセグメント別の契約件数は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

契約件数(件)

前連結会計年度末比
増減(件)

警備事業

74,109

2,093

ビル管理事業

4,809

△1,966

不動産事業

8

2

合計

78,926

129

 

 

b.販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前連結会計年度比

増減額(千円)

増減率(%)

警備事業

20,940,164

1,137,199

5.7

ビル管理事業

9,820,898

911,610

10.2

不動産事業

488,383

△938,376

△65.8

合計

31,249,446

1,110,433

3.7

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.100分の10以上の相手先別の販売実績はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、31,249百万円、前期比1,110百万円3.7%の増、13期連続の増収となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は966百万円、前期比121百万円14.4%の増益となりました。

物価上昇や最低賃金引上げ、またかつてない人員逼迫等厳しい環境でしたが、値上げへの取り組み強化、親会社組織改正、ビル管理事業子会社の再編などの組織体制整備に取り組んだことが寄与しました。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は1,063百万円、前期比99百万円10.3%の増益となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は626百万円、前期比115百万円15.6%の減益となりました。投資有価証券売却益の減少によるものです。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、次のとおりであります。

2023年度では、警備・ビル管理事業とも、中長期的な営業力強化・生産性向上に向けて、当社においては営業・業務部門にまたがる大幅な組織改正、関係会社においては清掃2社統合によるビル管理事業会社の再編完了と、組織体制整備を進めることができました。また、2025年大阪・関西万博の警備業務を、当社を代表幹事とする共同企業体での受注が決定し、2025年度の業績向上につながる対応も行うことができました。こうした中、物価上昇に伴う経費増大に対処すべく値上げ等による収益増強を図りましたが、業績面については、前述のとおり、警備事業が堅調に推移し、値上げ効果もあったことから売上高は堅調に推移したものの、不動産事業における大口案件の期ずれやビル管理事業の収益改善の遅れにより、営業利益・経常利益とも前期比増益は確保したものの、計画に対しては未達となりました。

2024年度は中期経営計画の最終年度として、計画値の達成に向けて邁進すべきところですが、足下では賃上げの動向など計画策定時には想定していなかった大幅な環境変化が起こっています。労働分配率の高い当社グループにとって、この環境変化への対応は収益面では極めて大きな影響を及ぼしますが、中長期的な競争力、ならびに大阪・関西万博の戦力確保のためには、人的資本投資の拡充による人材の安定確保は最優先課題ととらえています。このような状況のもと、2024年度は①人的資本経営の高度化、②価格転嫁による収益力向上、③業務効率化による生産性向上、④2025年大阪・関西万博への万全な準備の4点を重点施策に掲げて取り組んでまいります。

2024年度の業績の見込みとしては次のとおりです。

売上高につきましては、主力の警備事業が堅調に推移していること、ならびにM&A等の成長戦略が概ね計画どおり進展していること等から、ほぼ当初計画水準を達成する見込みです。一方で、収益につきましては、想定を上回る賃上げの動向や材料費等のコスト上昇、ならびにビル管理事業の収益拡大の遅れ等により当初計画を下回る見込みとなっております。当初計画には届きませんが、引き続き増収増益の基調は維持できており、警備会社のM&Aの実施や2025年大阪・関西万博の警備の受注など業績伸長に向けた材料もあり、諸々のコスト増加に対する販売価格への転嫁を継続推進していくとともに、中長期的な競争力の確保に向け人的資本投資の拡充を図りつつ、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。

 


 

② キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、警備業務に係る現場対応費用、販売費及び一般管理費の営業費用等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A、不動産等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、M&A、不動産案件や長期運転資金の調達につきましては、金融機関から社債及び長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は6,547百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,511百万円となっております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の残高及び当該期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。

見積り及び仮定については、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき判断を行っております。また、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。

この見積りと判断が、当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えられるのは、以下の重要な会計方針であります。

(退職給付費用)

退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率、年金資産の長期収益率などがあります。当社グループの退職給付においては、割引率は日本の長期金利の水準を基準として算出しております。期待収益運用率は、年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待収益率に基づき計算されます。

(繰延税金資産)

当社グループは、固定資産に繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の計上においては、将来の課税所得見込みと回収計画により行っております。

繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 株式取得による子会社化

当社は、2024年2月16日開催の取締役会において、アムス・セキュリティサービス㈱(本店:大阪市、資本金9,800万円)、アムス・セキュリティサービス㈱(本店:京都府福知山市、資本金1,000万円)、アムス・シークレットサービス㈱(本店:大阪市、資本金1,000万円)各社の全株式を取得し子会社化することについて決議いたしました。当該決議に基づき、2024年3月19日に株式譲渡契約を締結し、2024年5月1日に当該株式を取得し子会社化いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(2) 業務委託契約 

2025年4月に大阪で開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)の日本国際博覧会協会発注の警備業務を、当社を幹事会社とする共同企業体での受注が下記のとおり決定しました。
① 発注元  公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会

② 受注金額 共同企業体全体で、10,819百万円

 (注)受注金額に対する共同企業体の中での売上計上方法は調整中であります。

③ 履行期間 2024年3月から2025年10月まで

④ 受注業務(受注共同企業体名)及び受注金額

a.

ゲート警備実施業務

(2025年日本国際博覧会 ゲート警備共同企業体)

5,950百万円

b.

会場警備実施業務

(2025年日本国際博覧会 会場警備共同企業体)

4,869百万円

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。