第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

また、重要事象等は存在しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)業績の状況

当第1四半期連結累計期間(2024年2月1日~2024年4月30日)におけるわが国経済は、コロナ禍からの経済活動の正常化が進む中、インバウンド需要の増加などにより雇用・所得環境は緩やかな回復の動きが見られるものの、不安定な海外情勢や世界的な金融引き締めなどによる円安の進行、原材料や燃料価格を含む物価の高騰、実質賃金の伸び悩みなど、先行きが不透明な状況が続いております。

このような状況のなか、当社グループは中期経営計画を策定し、「これまで培ってきたグループ資産の活用促進」「市場の環境変化に対応した新しい事業の開発による成長領域の創出」「収益構造の転換(既存事業の安定化と成長事業への投資による、事業ポートフォリオの転換)」を基本方針として、知の生成と流通に持続的に貢献するための成長力と資本効率の向上に取り組んでおります。

当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、店舗・ネット販売事業及び図書館サポート事業は堅調に推移しましたが、文教市場販売事業においての教科書などの書籍販売減少の影響により、売上高は464億17百万円(前年同期比0.4%減)と減収となりました。利益面は、営業利益20億93百万円(前年同期比6.4%減)、経常利益21億1百万円(前年同期比6.2%減)と減益となりましたが、特別利益の計上及び税金費用の減少により親会社株主に帰属する四半期純利益は14億84百万円(前年同期比2.7%増)と増益となりました。

 

セグメント別の業績は次の通りであります。

 

[文教市場販売事業]

当事業は以下の事業を行っております。

1.図書館(公共図書館・学校図書館・大学図書館)に対する図書館用書籍の販売、汎用書誌データベース「TRC MARC」の作成・販売及び図書装備(バーコードラベルやICタグ等の貼付等)や選書・検索ツール等の提供

2.大学などの教育研究機関や研究者に対する学術研究及び教育に関する輸入洋書を含む出版物(書籍・雑誌・電子ジャーナル、電子情報データベースほか)や英文校正・翻訳サービスをはじめとする研究者支援ソリューションの提供

3.教育・研究施設、図書館などの設計・施工と大学経営コンサルティングをはじめとする各種ソリューションの提供

4.大学内売店の運営や学生に対する教科書・テキストの販売等

 

当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、教育・研究施設、図書館などの設計・施工は、前年に比べ増加したものの、教科書などの書籍販売が減少した影響から、売上高は161億33百万円(前年同期比4.6%減)、営業利益は17億87百万円(前年同期比8.8%減)と減収減益となりました。

 

[店舗・ネット販売事業]

当事業は、主に全国都市部を中心とした店舗網において和書・洋書などの書籍をメインに、文具・雑貨・洋品まで多岐にわたる商品の販売を行っております。

店舗の状況といたしましては、2024年3月にフランチャイズ加盟している株式会社駿河屋BASEが展開するホビーショップと書店のコラボショップ「駿河屋 梅田茶屋町店」「駿河屋 天文館店」を開店、また2月に「戸田書店 富士宮店」を閉店した結果、2024年4月末時点の店舗数は111店舗となっております。(うち1店舗は海外店(台湾)、18店舗は「丸善(MARUZEN)」「ジュンク堂書店」の店舗名ではありません。)

当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、和書の売上が堅調であったことに加え、「駿河屋」を2店舗、「絵本の世界を楽しむことのできる空間」をコンセプトとした「EHONS」を2ヶ所(池袋・広島)、2025大阪・関西万博オフィシャルストアを4ヶ所(大阪梅田・京都・福岡・札幌)それぞれオープンするなど新形態の店舗展開に取り組んだ結果、売上高は173億30百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は3億26百万円(前年同期比47.8%増)と増収増益となりました。

 

[図書館サポート事業]

当事業は、図書館の業務効率化・利用者へのサービス向上の観点から、カウンター業務・目録作成・蔵書点検などの業務の請負、地方自治法における指定管理者制度による図書館運営業務、PFI(Private Finance Initiative)による図書館運営業務及び人材派遣を行っております。

当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、図書館受託館数は期初1,806館から18館増加し、2024年4月末時点では1,824館(公共図書館621館、大学図書館240館、学校図書館他963館)となり堅調に推移しました。

その結果、当事業の売上高は91億66百万円(前年同期比4.8%増)、営業利益は7億円(前年同期比3.7%増)と増収増益となりました。

 

[出版事業]

当事業は、『理科年表』をはじめとする理工系分野を中心とした専門書・事典・便覧・大学テキストに加え、絵本・童話などの児童書、図書館向け書籍の刊行を行っております。また医療・看護・芸術・経営など多岐にわたる分野のDVDについても発売を行っております。

当第1四半期連結累計期間につきましては、専門分野として『天体力学講義』『生理学用語ハンドブック』『第六版 大学講義 技術者の倫理 入門』『令和6年3月 鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)』『47都道府県・文学の偉人百科』、児童書として『ネコになりたかったクモのルイージ』『おねえちゃんって、もうさいこう!』『すきなあの人』『ひよこ いないいないばあ!』など、合計新刊49点(前年55点)を刊行いたしました。

当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、新刊刊行数の減少などの影響により売上高は9億79百万円(前年同期比10.5%減)と減収となり、利益面では52百万円の営業損失(前年同期39百万円の営業利益)となりました。

 

[その他]

当事業は、書店やその他小売店舗を中心に企画・設計デザインから建設工事・内装工事・店舗什器・看板・ディスプレーなどのトータルプランニング(店舗内装業)に関わる事業、図書館用図書の入出荷業務、Apple製品やパソコンの修理・アップグレード設定等の事業(株式会社図書館流通センターの子会社であるグローバルソリューションサービス株式会社による)、総合保育サービス(株式会社図書館流通センターの子会社である株式会社明日香による)、税務・会計・M&A領域において電子化された専門書籍・雑誌を横断的に検索・閲覧できるサービス(丸善リサーチ)を行っております。

当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、総合保育サービス事業が順調に推移したことで、売上高は28億7百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益は1億30百万円(前年同期比4.5%増)と増収増益となりました。

 

(2)財政状態の分析

① 資産

流動資産は、前連結会計年度末に比べて59億59百万円増加し、990億58百万円となりました。これは、その他は25億円減少しましたが、現金及び預金が28億23百万円、受取手形及び売掛金は40億28百万円、商品及び製品が17億98百万円増加したことなどによります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて2億11百万円増加し、360億9百万円となりました。これは、有形固定資産が1億20百万円、無形固定資産が1億60百万円増加したことなどによります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて61億71百万円増加し、1,350億67百万円となりました。

② 負債

流動負債は、前連結会計年度末に比べて44億63百万円増加し、610億25百万円となりました。これは、短期借入金は44億50百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が80億33百万円増加したことなどによります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて1億76百万円減少し、243億90百万円となりました。これは、その他が1億97百万円減少したことなどによります。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて42億86百万円増加し、854億16百万円となりました。

③ 純資産

純資産合計は、前連結会計年度末と比べて18億84百万円増加し、496億51百万円となりました。これは、利益剰余金が12億99百万円、その他有価証券評価差額金が6億1百万円増加したことなどによります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年2月29日開催の取締役会において、当社子会社である雄松堂ビルディング株式会社における固定資産の譲渡について決議、2024年3月6日に売買契約を締結いたしました。また、2024年3月19日開催の取締役会において、当社子会社である株式会社丸善ジュンク堂書店における固定資産の譲渡について決議、2024年3月25日に譲渡契約を締結いたしました。

詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)(固定資産の譲渡)」に記載のとおりであります。