第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営の基本方針

当社グループは、経営理念として、

 1.お客様に喜ばれる商品を創造し、豊かな社会づくりに貢献する

 2.個性とチャレンジ精神を尊重し、若さと夢あふれた企業をめざす

 3.社会の一員として、法と倫理を遵守し自然・地域と共生する企業をめざす

を掲げ、お客様の期待に応える商品の提供を通じて、企業価値を増大し、株主の皆様を始めとしたステークホルダーの方々に貢献してまいります。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、中期経営方針・課題を掲げ昨今の環境変化に対応し、更なる成長のための経営体質強化を

図ってまいります。

 1.お客様の期待に応える『品質の東海理化』を確立

 2.世界の競合を凌駕する製品競争力の向上

 3.環境変化に耐えられる柔軟かつ強固な経営基盤の確立

当社グループは、グループを挙げて「スピード、実行、フォロー」をモットーに、一人ひとりが仕事の質を高め、技を究めるとともに、法令遵守、社会貢献等、社会的責任を果たすことで企業価値向上に努めてまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等と今後の取り組み

(世界経済)

地政学リスクの高まり等に伴うインフレが根強い場合は、金融政策の引き締めが長期化する可能性があり、世界成長率の下振れリスクが予想されます。

 

(自動車業界)

世界的な半導体不足の緩和により生産回復の兆しがあるものの、コロナ禍以前と同水準の生産台数までは、未だ回復をしておりません。また、電気自動車は、今後も需要が高まる一方で、政府による補助金の減少などにより一部地域を中心に需要に大きな減速がかかるリスクがあります。

 

(今後の取り組み)

2022年5月より、2030年をターゲットとし、将来の成長に向けて中期経営計画を策定し、実現に向けて取り組んでおります。

① 事業戦略の推進

マーケティングを含む企画・開発段階から、関係する機能部門が一丸となりスピード感をもって業務遂行するため、開発・商品企画の統合や、営業・調達機能などの組織変更を行うと共に、新規事業の事業化を加速するため、社内カンパニー組織、プロジェクト組織を新設いたしました。組織変更の見直しを通じ、技術・新領域への挑戦や、挑戦を通じた人財育成も図ってまいります。

② 未来創造投資

新技術・新領域への挑戦を加速させ、中期経営計画目標の実現と、その先の当社の未来を創造するために、『未来創造投資』として、約200億円を投資する方針といたしました。半導体ビジネスの拡大としての少量多品種のロングテール製品向けカスタムICの外販や、竹山の保全事業で伐採される竹をチップ繊維に変え、持続可能性素材としてアップサイクルした新材料「Bamboo+(バンブープラス)」、家庭用蓄電池ビジネスなど、自動車とは異なる新しいビジネスに投資し、未来を創造してまいります。

 

当社グループは、人に優しい、人に寄り添う製品・サービスを提供することにより、「豊かな社会づくりに貢献」する会社を目指すことで、企業価値の向上に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)考え方

 当社グループは「人が手掛けないことこそやる」の創業者精神のもと、お客さまのニーズに応える商品づくりに取り組んでまいりました。そのような中、2020年12月に取締役会で5つの重要テーマと15項目の重要課題(マテリアリティ)を決定し、「東海理化グループは、経営理念にある法と倫理を遵守し、自然・地域と共生する健全な事業活動を通じて、全てのステークホルダーと共に、持続可能な社会の実現に貢献します。」とするサステナビリティポリシーを制定しました。

 

 マテリアリティ一覧

革新的な製品開発を通じて社会課題を解決する

社会課題解決型商品開発

顧客の安心安全を支える

顧客の安全・品質保証

情報セキュリティの推進

働く意欲を高め、成長と社会への貢献を促す

労働安全衛生

人財育成

多様性(ダイバーシティ)

環境への負荷を低減する

気候変動への対応

環境汚染の予防

持続可能な資源利用

生物多様性への取り組み

ガバナンスの強化とサプライチェーン全体での公正な取引の実現

コーポレートガバナンス

全社CSR体制の再構築

反競争的行為

サプライチェーンへのCSR浸透

 

 マテリアリティを基に、2021年5月には将来の成長に向けて取り組む活動を「SDGs経営」として発表しました。

以下のようにカーボンニュートラル戦略、ソリューションビジネスの拡大、多様な人財の活躍推進、既存事業における戦略、国内事業の競争力強化、DX推進を取り組んでいます。

詳細はhttps://www.tokai-rika.co.jp/investors/pdf/setsumeikai_presents_2021.pdfを参照してください。

 

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(2)ガバナンス

 取締役会がサステナビリティに関する監督の責任を持ち、業務執行については、経営会議が配下の関係各部とともに担っています。

 総務部が事務局を担当し、方針管理と経営会議への報告を執り行います。

 詳細はhttps://www.tokai-rika.co.jp/sustainability/think/promotion/を参照ください。

 

 

(3)戦略

 当社グループは、2022年5月に「SDGs経営」に基づく中期経営計画を発表し、2023年5月には、2025年度に向けた活動、2030年度6,000億円超の成長エンジン、経営基盤の強化に向けた取り組み、資本戦略について報告しています。

 詳細はhttps://www.tokai-rika.co.jp/investors/pdf/mid-term_business_plan_2023.pdfを参照ください。

 

 中期経営計画概要

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(4)リスク管理および指標と目標

 当社グループは、マテリアリティに対するリスクと機会を見極めたうえで、目標(KPI)を設定し、方針管理を行っています。

 

 リスクと機会(抜粋および目標改変)

マテリアリティ

リスク

機会

25(30)年度目標(KPI)

社会課題解決型商品開発

・競争力の低下

・既存事業の枠組みを超えた価値創造

・売上150億円(30年度)

・デジタルキーを中心としたクラウドビジネス基盤の開発と販売活動強化

・消費者向け商品の開発と販売活動の強化

安全衛生

・モチベーション低下

・人財確保困難

・優秀な人材の育成・確保

・休業発生率2.0%

・プレゼンティーズム18.0%

・BMI25以上23.0%

多様性(ダイバーシティ)

・画一的な思考・判断

・イノベーションの促進

・男性育休80%

・女性管理職20年度比倍増

気候変動への対応

・自然災害の増加

・エネルギーコスト増加

・地球温暖化問題の解決に貢献

・13年度比工場CO2排出量△25%(30年度△60%)

・再生可能エネルギー比率15%(30年度25%)

 

 詳細は当社ホームページhttps://www.tokai-rika.co.jp/sustainability/materiality/risk/を参照ください。

 

(5)人的資本に関する考え方

 当社グループは、経営理念・東海理化イズムを踏まえ、経営戦略の実現に向けて「多様な個を活かし合い、挑戦を通じて新たな価値を創造する環境・人財づくり」を人事基本方針に掲げております。「必要な人財の確保・活用」、「求める人財の挑戦・進化」、「全員活躍を実現する組織風土づくり」の3本の柱として様々な取り組みを行い、人財価値を最大限引き出すことで企業の持続的成長の実現を目指しています。

 

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①戦略

a.必要な人財の確保・活用

(適所適材)

 経営戦略に沿った重点配置を強化し、働く個人の実力と要望に合った働き方を実現するための社内公募制度を導入し、2024年以降さらに拡充を行っていきます。

 

b.求める人財の挑戦・進化

(成長支援)

 当社では、価値創造人材の育成を目的とした異業種交流機会の拡充や、ソフトウエア領域など新たな領域への挑戦やスキル転換を目的としたリスキリングに力を入れて取り組んでおります。

 

c.全員活躍を実現する組織風土づくり

(ダイバーシティの推進)

当社では、ダイバーシティ宣言として「東海理化で働く様々な個性を持つすべての人財が、互いに認め合う風土の中で、意欲高く、切磋琢磨しながら成長し活躍できる企業風土と働く環境の確立を目指します。」を掲げています。

 女性活躍推進に関しては、女性社員の活躍に向けた社内講演会の開催やキャリア形成支援研修の開催、男性社員の育児休職取得促進を目的とした制度・利用事例の周知、不安を取り除くための座談会の実施など、継続的な取組みが高く評価され、「えるぼし」「プラチナくるみん」の認定を受けています。

 

 

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(健康経営)

 当社グループは、従業員一人ひとりが主体的に健康づくりに取り組み、心身ともに健康でいきいきと働き続けることを目標に、健康経営2030ビジョンを設定しました。健康方針を策定し、「社員が自ら健康維持・増進に努める(自己保健義務)」と「社員が心身ともに健康かつ安全に働けるための配慮をする(安全配慮義務)」の両輪で健康活動を推進し、安全で安心な職場づくりに取組んでいます。これらの取組みが評価され、2020年から5年連続で「健康経営優良法人」に選定されています。

 詳細は当社ホームページhttps://www.tokai-rika.co.jp/society/social/helth/を参照ください。

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②指標及び目標

 当社では、上記戦略の実現に向けて、次の指標を用いて施策の推進を行っております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

 

指標

2023年度(現状)

2025年度(目標)

施策

経営戦略に沿った重点配置

(公募・活人)

120

200

・社内公募の拡充、リスキリング

異業種交流施策参加数

50

150名以上

・参加者は技術職、技能職を中心に女性社員を含む次世代リーダーを期待する社員

 プログラム内容は内製で企画、実施

リスキリング人数

60

100

・ソフトウエア技術者の育成

男女間賃金格差(※)

65

68%以上

・入社時に職掌の違いにより受講対象外となっていた社員(旧業務職)に対して研修を実施

女性管理職比率

1.9

2.1%以上

・異業種交流会や異業種リーダー講演会の開催

・マネジメント向けの教育の実施

男性育児休業取得率

72.2

75%以上

・育児休職を取得した先輩社員の経験や工夫を座談会やイントラネットで紹介

・マネジメント向けの教育の実施

※同じ役割であれば男女で賃金の差を設けていないため、給与の高い管理職が男性に多いことが格差の要因になっています。

 

(6)気候変動への対応

戦略、指標及び目標

 当社では、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする目標を設定し、そのマイルストーンとして2021年5月に「カーボンニュートラル戦略2030」を策定しました。製品、生産、調達、物流の4つの戦略を軸に2030年の数値目標を設定し、ライフサイクル全体での活動を進めています。

詳細は当社ホームページhttps://www.tokai-rika.co.jp/sustainability/environment/policy/を参照ください。

 

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3【事業等のリスク】

当社グループではリスクを「会社運営・業績・株価などに重大な影響を及ぼす可能性のある事項」と捉え、「経営の基本方針」、「中期的な経営方針・対処すべき課題」を遂行する上で取り組むべき課題として認識しております。

当社グループの業績は自動車の販売台数に依存しておりますが、自動車業界を取り巻く環境はクルマの在り方の変化、政府による補助金の減少などによる減速感はあるものの電気自動車(EV)需要の増加により大変革期にあり、当社グループの新製品開発へも大きな影響を与えております。従って、対応次第では大きなリスクにもなります。

また、品質に関しては当社グループとして最優先で取り組んでおります。リコール等の品質問題は業績への影響のみならず、お客様の信頼にも大きな影響を与えます。さらに、「環境変化に耐えられる柔軟かつ強固な経営基盤の確立」を目指すうえで、事業継続計画(BCP)へのリスク認識は不可欠で、減災活動、生産復旧活動、電子部品の安定供給など、当社グループのみならず仕入先も含めたリスク対応を実施しております。

当社グループは、以上のような項目を中心に重要なリスクを識別し、対策を検討しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 自動車産業及び、主要客先への販売依存

当社グループの製品は、主としてHMI製品、シートベルト、スマートシステム、シフトレバー等の自動車部品であり、当社グループ製品の販売実績は自動車の販売台数に大きく依存しております。従いまして、完成車メーカーの生産動向に直接的な影響を与える事象は当社グループへも大きな影響を与えます。

また、主要客先であるトヨタ自動車株式会社、及びトヨタグループ(関連会社含む)への売上高比率は73%と比較的高い水準になっており、当社グループの経営成績はトヨタ自動車株式会社の生産動向の影響を大きく受けております。従いまして、直近での半導体不足のような完成車メーカーの生産動向に直接的な影響を与える事象は当社グループへも大きな影響を与えます。

更なる成長に向け、各拠点にて他の完成車メーカーへの拡販活動を継続し、当社グループ製品の搭載は拡大しております。

 

(2) 新製品開発

自動車業界は100年に一度の大変革期を迎え、クルマの変化・使われ方を見据えた製品企画・技術開発が必要となります。特にクルマの自動化・電動化の進捗は既存の製品やビジネスモデルを大きく変える可能性があり、当社グループにとってその遅れは既存・新規ビジネスの機会を逸する事になり、当社の経営成績に影響を及ぼします。

このような環境のなか、既存事業においては電気信号で車両のシフト操作を行う「シフトバイワイヤシフター」が品質、価格競争力に加え、多くの採用実績が評価され、米国・インドにおいても車両メーカーへの拡販に成功しております。自動運転向けでは、遠隔監視システムと乗客検知システムの開発に取り組んでおります。実証実験にも参画し、カメラに付いた水滴や汚れを除去するエアウォッシャー機能付きカメラの開発にも取り組んでおります。

また、デジタルキー分野では社有車管理サービス「Bqey(ビーキー)」にはアルコールチェック記録や日常点検記録などをクラウドで一元管理できる機能を順次追加しており、より使いやすいサービスへと改善しております。加えて、当社の自動車事業で培ったスイッチ技術を活用したeスポーツ向けゲーミングブランド「ZENAIM(ゼンエイム)」を誕生させ、ロープロファイルキーボードを発売しました。

 

(3) 競争の激化

自動車業界の再編や、自動化・電動化に伴い当社グループの事業領域への他業種からの新規参入により競争が激化しております。

当社グループでは、新製品開発による競争力強化に加え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進による開発、生産準備のリードタイム短縮や間接部門業務プロセスの改善、更には国内外の生産体制再編による競争力強化に取り組んでおります。

 

(4) 海外進出に内在するリスク

当社グループは海外13か国32拠点に生産及び営業拠点を構え、当社グループの事業活動における海外比率は年々高まっております。これら海外市場、特に新興国には法令・規制の変化、その他要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブルの発生リスクが内在しております。従って、政治または法環境の変化、労働力不足、ストライキ等、予期せぬ事象により当社の事業の遂行に問題が生じる可能性があります。

当社グループとしては、現地での法律・規制・租税制度等に関する動向は海外拠点スタッフの情報網に加え、外部コンサルタント等を積極的に活用する事で適時適切に入手し対応するように努めております。

 

(5) リコール等の品質問題

当社グループは品質第一を基本的な考え方として各種製品を製造しておりますが、将来においてリコールや製造物責任が発生する可能性があります。また、自動車業界における部品の共通化は効率化、取引拡大の機会となる反面、品質不具合が発生した際に影響を受ける対象が拡大するため、多額のコストが発生する可能性があります。

その対応として、①リコールフリー必達に向けた品質確保、②品質の東海理化を支える基盤強化、③新事業のお客様満足の向上、を柱に品質向上活動を行っており、2025年頃「お客様に選び続けられる東海理化」、2030年頃「お客様に無くてはならない東海理化」を目指した活動を推進しております。

 

(6) 自然災害等による影響と事業継続計画

地震・台風・洪水などの自然災害、または感染症等により企業活動・生産活動が停止する可能性があります。さらに災害への備えが不十分な場合、甚大な被害をおよぼし生産活動に大きな支障をきたし、生産停止からの復旧が遅れるなどの可能性があります。対策として、減災対応の強化や社員の災害対応力向上のために初動対応訓練を実施することで災害リスクの軽減を図るように努めています。また、大規模自然災害や感染症等の発生を想定した生産復旧訓練による全社BCP(事業継続計画)の強化をはじめ、BCP用電子部品の在庫積み増し、有事の際の外製移行といった代替シミュレーションを実施しております。

 

(7) 仕入先への供給依存

当社グループの生産は仕入先からの原材料や部品の供給に依存しております。当社グループは供給元と取引基本契約を結び、原材料や部品の安定的な取引を前提としておりますが、事故・災害により仕入先の操業が不安定になる可能性があります。仕入先からの供給停止は当社グループの安定生産に大きな影響を与えます。また、需給逼迫等による価格の高騰や供給量不足が生じる可能性もあります。

当社グループでは、事業継続性の観点からリスクの高い供給元の特定を行い、対象となる仕入先において在庫管理、工程管理、生産管理が適切に行われているかを確認するとともに課題を共有し、仕入先ごとに改善計画を策定しております。

 

(8) 情報セキュリティ

企業や組織、生産システムの情報のデータ化促進に伴い、情報資産の最適活用が重要になっております。また、組織内において情報の共有化のみならず提供・収集が電子的に行われる事が一般的になっており、扱われる情報が高密度なものになっております。このような環境下においては機密情報や個人情報が外部流出し、事業活動が一時的に停止する可能性があります。

対策として、情報セキュリティポリシーを策定し、3大要素であるCIA「機密性(Confidentiality)」、「完全性(Integrity)」、「可用性(Availability)」の確立に向けて活動を進めております。

また、有事の際の影響を最小限に抑えるため、子会社を含めた初動体制整備を進めるとともに、特定の企業や組織を狙った「標的型攻撃」への教育訓練の実施等で社員の情報セキュリティ意識の向上に努めております。

 

(9) 気候変動対応

気候変動がもたらすリスクは、製品の開発設計から調達・生産・物流・販売まで、企業活動全般に渡って存在しており、異常気象による災害リスクがもたらす生産影響、規制強化によるコスト増等は企業活動を停滞させる恐れがあります。

当社グループでは「カーボンニュートラル戦略2030」を策定しCO2削減の様々な取組みを推進しています。生産戦略では温室効果ガスの代替化、既存生産技術の改善、革新生産技術の開発導入、再生可能エネルギーの利用拡大により工場CO2を2030年までに60%以上削減(2013年度比)し、先行して本社・本社工場ではカーボンニュートラルの実現にチャレンジしています。

加えて、環境情報の開示に関してはCDPによる気候変動質問書への回答を通じて環境情報を開示しています。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)最終提言、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)最終提言V1.0の推奨開示項目に対する対応状況も開示しています。

詳細は当社ホームページhttps://www.tokai-rika.co.jp/sustainability/environment/tcfd/を参照ください。

 

 

(10) 法令への適合

当社グループは事業の遂行にあたり各国の法的規制の適用を受けております。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受ける可能性があります。訴訟及び規制当局法的手続きの当事者になる事で和解金及び罰金等の費用が発生し、業績に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループではコンプライアンス委員会を設置しております。また、法令主管部署及び各部にコンプライアンス管理責任者・担当者を設置し職場に適した活動やコンプライアンス相談窓口の設置とその適切な対応を継続的に行う事が出来るように取り組んでおります。

 

(11) 知的財産管理

当社グループは知的財産に関し、当社技術の保護及び他社権利の侵害防止などの取組みを強化しておりますが、当社グループ製品には多くの技術が使われているため、知的財産が理由で係争や訴訟に巻き込まれたり、第三者から思いがけない指摘を受けたりすることによって当社グループの不利益につながる可能性があります。

対策としては、当社製品に採用される技術を特許出願により確実に保護するとともに、他社による権利侵害が持続しないように対処しております。また、技術開発・製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。

 

(12) 為替変動の影響

当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、当連結会計年度60%となっております。当社グループの経営成績は為替変動により重要な影響を受ける可能性があります。当社グループでは一部の外貨建輸出債権を対象とした為替予約によるリスクヘッジを実施し影響を最小限にするよう取り組んでおります。

 

(13) 退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上の前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、将来の退職給付費用及び債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(経済状況)

当連結会計年度における世界経済の状況は、コロナ禍からの経済活動の正常化への流れが継続する一方、地政学リスクの高まりや、インフレの加速、金利上昇など様々な要因があり、先行きが不透明な状況となっております。

 

(自動車業界)

世界の自動車生産台数は、世界的な半導体不足の影響が緩和傾向にある上に、堅調な需要を背景に前年度と比較して増加したものの、コロナ禍以前と同水準の生産台数までは、未だ回復をしておりません。

 

(取り組み)

当社は、皆様のご支援により、2023年8月30日に創立75周年を迎えることができました。心より感謝申しあげます。当社グループでは、「『安全第一』・『健康第一』の経営の実践」「お客様に選び続けられる品質の提供」「一人ひとりが活躍出来る人財育成と職場環境の改善」「競争力のある製品開発の強化と新ビジネス拡大」「競争を勝ち抜くための生産技術力の強化」「グローバル生産企画構築と生産体制の再編」「将来に向けた全社情報基盤の再構築」「カーボンニュートラルの実現」「環境変化に強い収益基盤づくり」「社会的責任(CSR)の遂行」を年度方針に掲げ、グループ一丸となって継続的に取り組んでまいりました。

 主なトピックスは、次のとおりです。

 

<既存製品>

 世界ナンバー1シェアを目指した電気信号で車両のシフト操作を行う「シフトバイワイヤシフター」の米国・インドへの拡販などが主力事業の成長を牽引しております。また、プレス加工においてDX技術を活用したスマート金型機構を実現し、良品率向上とCO2排出量削減に貢献したことが評価され、トヨタ自動車株式会社から「技術開発賞」を受賞しました。

 

<デジタルキー>

社用車管理の課題を解決する DX サービス「Bqey(ビーキー)」がグッドデザイン賞(主催:財団法人日本産業デザイン振興会)を受賞しました。アルコールチェック記録や日常点検記録などをクラウドで一元管理でき、初期工事不要で後付けできるため、業務DXのバランスがとれた好例だと評価をいただきました。

 

<新規分野>

自動車事業で培ったスイッチの技術を活用し、eスポーツ向けのゲーミングブランド「ZENAIM(ゼンエイム)」を誕生させ、ロープロファイルキーボードの発売を開始しました。ZENAIMブランドを通して、新たな体験や価値をお客様にお届けできるように取り組んでまいります。

 

<新会社・新工場設立>

 東北地方でのビジネス拡大、モノづくりによる東北への地域貢献を目的として設立された当社子会社である株式会社東海理化トウホクは、2025年1月の生産開始に向けて準備を進めております。また、今後の経済・自動車市場の成長が見込まれているインドにある当社子会社のトウカイリカ ミンダ インディア株式会社では、競争力を一段と強化することをねらいとした新工場が2024年9月頃の生産開始に向けて準備を進めております。

 

<生産拠点の再編>

北米の当社子会社であるインディアナ州のTRIN株式会社の生産をTACマニュファクチャリング株式会社、TRMI株式会社 (共にミシガン州の当社子会社)へ順次移管し、米国3生産拠点の生産再編を図ります。これにより、工程の集約・近接化などによる生産効率向上と固定費削減を進めて、収益体質の強化を図り、重点市場である北米での更なる競争力強化を実現してまいります。

 

 

<SDGsへの取り組み>

 自社工場の生産工程から発生するシートベルト端材を活用したペンケースやトートバッグなどの開発、製造、販売するサステナブル&アップサイクルブランド「Think Scrap(シンクスクラップ)」が日本最大級の SDGs 推進フェア「SDGs AICHI EXPO 2023」に参加しました。

 

<TR SPORTS>

 社内の一体感醸成や地域活性化を目的とした「TR SPORTS」は、硬式野球部が第94回都市対抗野球で初のベスト8進出を果たしたことをはじめ、各クラブ活動が感動と勇気を与えました。また、当社所属の車いすテニスプレイヤー小田 凱人(おだ ときと)選手が4大大会で3度の優勝を飾りました。

 

<健康経営・ダイバーシティの推進>

 経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人 (ホワイト 500)」に5年連続で選定されました。今後も社員参加型のイベントを増やすことで、社員とその家族へ笑顔あふれる活動を通して健康意識を高めていきます。また、愛知県からの委嘱を受け、「あいち女性の活躍プロモーションリーダー」に就任しました。今後も女性の活躍促進に積極的に取り組んでまいります。

 

<自己株式の取得について>

 2023年11月29日開催の取締役会決議に基づき、公開買付けにより、自己株式を取得しました。今後も適切なキャピタルアロケーションを行い、さらなる株主還元と資本効率の向上に努めてまいります。

 

 

<当期実績>

当連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は623,558百万円と、前連結会計年度に比べ70,434百万円(12.7%)の増収となりました。利益につきましては、連結営業利益は28,822百万円と、前連結会計年度に比べ12,166百万円(73.0%)の増益となりました。連結経常利益は39,592百万円と、前連結会計年度に比べ15,529百万円(64.5%)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は24,850百万円と、前連結会計年度に比べ13,950百万円(128.0%)の増益となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(日本)

客先生産台数の増加などにより、売上高は313,157百万円と、前連結会計年度に比べ42,860百万円(15.9%)の増収となりました。営業損失は、品質費用の発生などにより、△9,819百万円(前連結会計年度比△54百万円)となりました。

 

(北米)

客先生産台数の増加に加え、原材料の価格高騰分の売価への転嫁が進んだことなどにより、売上高は164,167百万円と、前連結会計年度に比べ30,648百万円(23.0%)の増収となりました。営業利益は、原材料の価格高騰分の回収が進んだことなどにより、9,646百万円と、前連結会計年度に比べ6,299百万円(188.2%)の増益となりました。

 

(アジア)

円安による為替換算上の影響などにより、売上高は195,839百万円と、前連結会計年度に比べ2,089百万円(1.1%)の増収となりました。営業利益は、合理化努力等により、25,327百万円と、前連結会計年度に比べ2,769百万円(12.3%)の増益となりました。

 

(その他)

売上高は49,516百万円と、前連結会計年度に比べ9,159百万円(22.7%)の増収となりました。営業利益は、3,569百万円と、前連結会計年度に比べ1,828百万円(105.0%)の増益となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、69,384百万円となり前連結会計年度末より2,890百万円増加いたしました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は前連結会計年度に比べ、26,511百万円増加し、53,266百万円となりました。

これは主に税金等調整前当期純利益が13,312百万円増加した結果であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は前連結会計年度に比べ、22,779百万円増加し、31,474百万円となりました。

これは主に有価証券の売却及び償還による収入が7,700百万円減少した結果であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は前連結会計年度に比べ、16,496百万円増加し、22,574百万円となりました。

これは主に自己株式の取得による支出が14,756百万円増加した結果であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

250,787

15.1

北米(百万円)

162,113

22.7

アジア(百万円)

159,907

△1.6

報告セグメント計(百万円)

572,808

11.7

その他(百万円)

48,289

19.7

合計(百万円)

621,097

12.3

 (注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、トヨタ自動車株式会社をはじめとして、各納入先より四半期毎及び翌月の生産計画の提示を受け、当社グループ(当社及び連結子会社)の生産能力を勘案して生産計画をたて生産しております。このため、受注実績の記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

249,888

15.8

北米(百万円)

163,756

23.2

アジア(百万円)

160,812

△2.2

報告セグメント計(百万円)

574,457

12.0

その他(百万円)

49,101

22.8

合計(百万円)

623,558

12.7

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

        2  最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車㈱

112,852

20.4

134,196

21.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は623,558百万円、営業利益は28,822百万円、経常利益は39,592百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は24,850百万円となりました。

 上記の他、当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は69,384百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,890百万円増加いたしました。営業活動の結果獲得した資金が53,266百万円と前連結会計年度に比べ26,511百万円増加し、投資活動の結果使用した資金が31,474百万円と前連結会計年度に比べ22,779百万円増加し、財務活動の結果使用した資金が22,574百万円と前連結会計年度に比べ16,496百万円増加しております。

 上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは現在、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は社債発行等により資金調達することとしております。当連結会計年度末において、社債の残高は10,000百万円であります。

 当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

④経営目標の達成状況

当社は、経営目標の達成状況を判断するための客観的指標として営業利益を用いております。目標達成のために、会社別・項目別に収益改善計画を立て、活動に取り組んでおります。2023年4月26日に公表した業績予想と比較しまして、当連結会計年度の連結営業利益は売上高の増加に加え、北米を中心に原材料等の価格高騰分の回収が進んだことなどから、11,822百万円の増益となりました。

 

2024年3月期

(予想)

2024年3月期

(実績)

増減

増減率(%)

売上高(百万円)

570,000

623,558

53,558

9.4

営業利益(百万円)

17,000

28,822

11,822

69.5

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携契約

契約会社名

相手方の名称(国名)

契約の内容

当社

豊田合成株式会社     (日本)

エアバッグ、シートベルト等を一体としたセイフティシステムの開発、設計、販売及び生産について豊田合成㈱と当社は提携して業務を行う。業務提携の範囲は日本国を含む全世界を適用範囲とする。

 

(2)共同経営契約

契約会社名

相手方の名称(国名)

契約の内容

契約期間

当社

豊田通商株式会社     (日本)

PT.TOYOTA TSUSHO INDONESIA

                 (インドネシア)

自動車用スイッチ、キーセット及びステアリングロック等の製造及び販売に関するトウカイリカインドネシア㈱の設立並びにその事業活動

自 2011年5月6日

至 当事者の合意解除

  等により本契約が

  終了する日

当社

信昌機械廠股份有限公司 (台湾)

無錫理昌科技有限公司  (中国)

PT.INDOSAFETY SENTOSA INDUSTRY

        (インドネシア)

自動車用シートベルトの製造及び販売に関するトウカイリカセイフティインドネシア㈱の設立並びにその事業活動

自 2012年12月1日

至 当事者の合意解除

  等により本契約が

  終了する日

 

 

6【研究開発活動】

 

 当社グループは、「お客様に喜ばれる商品を創造し、豊かな社会づくりに貢献する製品の開発」を目指し、人とふれあい対話する製品づくりを通じて豊かな社会づくりに貢献し、新たな価値を提供する商品開発に取組んでおります。

 主な事業領域である自動車用部品に中心に、新規事業であるコンシューマー市場に向けても、多様な市場ニーズへの対応や、地球環境問題への対応などを提案の機会と捉え、技術開発力を強化し、商品力の向上と価格競争力の確保を目指した現有製品の改良開発および時代を先取りした新製品の開発に取組んでおります。

 その結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、30,505百万円となっております。

 

 種々の自動車用スイッチやシフトレバーなどの入力装置を発展させたHMI(Human Machine Interface)製品、キーロックに電子技術を適用したセキュリティシステム製品、シートベルトや自動車用ミラーなどセイフティシステム製品、自動車用部品開発で培った技術や知見などを応用した新規事業分野の製品を中心に、魅力ある新製品開発及び要素技術開発に取組みました。

 

 最近の主な取組みと成果としまして、HMIシステム関連では、ディスプレイと表示連携した静電タッチステアリングスイッチ、自動運転時にステアリング把持状態を検知するステアリング把持センサを開発しました。また、新素材や透過加飾技術を採用したシームレスステアリングスイッチ、ヒーターコントロールスイッチの開発を進めております。さらに、標準化や低コスト化を進めたATシフトレバーや、EV車などクルマの進化に合わせた機電一体型の小型シフトバイワイヤシフターを開発しております。その他、シフトバイワイヤシフターのバリエーション開発も進めております。カーナビゲーションからエアコンや電動スライドドアを操作できるシステムもカーナビメーカと共同開発しました。

 セキュリティシステム関連では、トラックの脱輪課題への対応や新しい盗難対策を施したスマートキーシステム、低価格車向けスマートキーシステムの開発と展開を進めております。

 セイフティシステム関連では、小型化ニーズに応えた次期標準のリトラクタや、2029年のアセスメント要求に対応した乗員保護性能を高める将来のシートベルト開発に取り組んでおります。さらに、社会課題である「園児の通園バスへの置き去り」を防止する安全装置の設置義務化に対応し、既存の車両に後付け設置が可能で、シンプルな操作が特徴の「車内置き去り防止支援システム」を開発しました。また、自動運転車向けに、遠隔監視システムと乗客検知システムの開発に取り組み実証実験に参画し、カメラに付いた水滴や汚れを除去するエアウォッシャー機能付きカメラの開発にも取り組んでおります。

 コンシューマー向け関連では、デジタルキービジネスの拡大として、Bqey(社用車管理システム)には「アルコールチェッカーとの連携や車両稼働状況の見える化」をはじめとした機能を順次追加しており、今後もアルコールチェックとエンジン始動の連携を可能にするなど、より使いやすいサービスへと改善してまいります。また、Uqey(レンタカー向けサービス)は継続的な機能改善を図ることで利用会員数が増加しております。シートベルトの端材などを利用してSDGsに貢献するアップサイクルブランド「Think Scrap」では、鞄やペンケースなど商品を拡充しております。他にも、クルマの部品を70年以上創り続ける過程で培ってきた高品質なモノづくりやコア技術で、ゲーミングギア市場の課題の解決と新たな価値を創造していくゲーミングギア、いろいろな特性をもつ子どもたちのための「学習の入り口」を提供する発達支援デジタル教材を発売、地元である大口町への地域貢献と活性化の取り組みとしてイチゴの生産、販売も開始いたしました。車載以外への商品開発の取組みも強化しております。

 モノづくりへの取り組みでは、カーボンニュートラルへの貢献と生産効率の向上を実現するために、型内塗装技術の実用化に向けて開発を進めております。また、プレス加工では、良品率と部品精度を向上するため、生産しながら寸法調整を行うスマート金型を開発し、実用化しました。カーボンニュートラルを実現する新材料として、国産の竹を原料としたバイオマス複合材料「Bamboo+」の実用化に向けた取り組みを行っております。本材料は、竹由来の炭素を固定するとともに石油由来の原料使用量も削減してCO2排出削減に貢献いたします。半導体関連では、ウエハ1枚から生産できるライン構築、0.35umプロセス開発をしながら、カスタム半導体の外販に取り組んでおります。

 

 グローバルな技術開発体制としては、日本において先行開発や要素技術開発を行い、北米・欧州・中国の各拠点においては地域ニーズの把握、地域最適を目指した企画提案や製品開発を行っております。

 このような活動による研究開発費は、日本セグメント29,939百万円、北米セグメント566百万円になっております。