(1)経営方針
当社グループは以下の「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動につい
て記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、日々の業務に取り組んでおります。
◆経営理念
「東洋テックグループは、安心で快適な社会の実現に貢献します。」
◆行動宣言
・私たちは、お客様のニーズに最適なサービスを提供します。
・私たちは、企業価値の向上に取り組みます。
・私たちは、ひとりひとりの人間性を尊重します。
・私たちは、誠実で透明性の高い行動に努めます。
・私たちは、変革に挑戦し時代とともに成長します。
◆行動指針
お客様のために
・私たちは、お客様の生命・身体・財産を守るため、高品質のサービスを提供します。
・私たちは、法令及び社内規程を遵守し、お客様に信頼されるサービスを心掛けます。
・私たちは、公正で透明な取引を誠実に行い、お客様との信頼関係の構築と維持に努めます。
・私たちは、お客様の情報管理を徹底し、情報漏えい・不正利用を防止します。
・私たちは、お客様からのご指摘を真摯に受け止め、誠実に対応します。
株主のために
・私たちは、安易な値引き、減免等を行わず、商品・サービスの正当な対価に拘ります。
・私たちは、収益向上のため、徹底した効率化とコスト削減に取り組みます。
・私たちは、中長期的な収益資源を得るため、新しい分野へ積極的にチャレンジします。
・私たちは、柔軟な発想と、先進的な視点をもって、変革へ挑戦し続けます。
・私たちは、開示すべき情報を積極的に公開し、透明性の高い経営に努めます。
従業員のために
・私たちは、従業員の多様性・人格・個性を尊重し、差別のない職場を作ります。
・私たちは、お互いの役割を理解し、風通しの良い、チームワークのある職場を作ります。
・私たちは、労働関係法令を遵守し、超過勤務を防止し、休暇を取得します。
・私たちは、セクハラ・パワハラ・マタハラ等の各ハラスメントをしません。
・私たちは、働きやすい職場環境と挑戦できる企業風土を作ります。
社会のために
・私たちは、法令、社会規範、企業倫理、社内諸規程等のルールを順守します。
・私たちは、反社会的勢力との結びつきを完全に排除し、健全な企業風土を保ちます。
・私たちは、積極的に地域社会貢献活動や環境問題に取り組みます。
・私たちは、社会からの不信を招く、自身の利得のための接待・贈答を行いません。
・私たちは、公共、公益に資するため、心身ともに健全な状態で業務に取り組みます。
(2)経営環境及び対応すべき課題等
当警備業界におきましては、2019年の祝賀御列の儀やG20、ラグビーワールドカップ等の国際的イベントもあり、警備が従来以上に注目を集めることとなり、延期とはなりましたが2021年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックへ向け、より一層警備の重要性・注目度が高まってはいますが、一方新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が非常に懸念されています。
また中長期的には、人手不足による採用難、人件費・外注費の増加、キャッシュレス時代の本格的な到来など、厳しい環境が予想されています。
このような環境下、当社グループでは、2019年度を初年度とする第11次中期経営計画(2019年4月1日から2022年3月31日)を策定し、「変革への持続的挑戦」をスローガンに高い収益性と成長力を目指し取り組んでいます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
◆第11次中期経営計画(2019年4月1日から2022年3月31日)
この中期経営計画の3年間の位置づけは、2025年の大阪・関西万博や、計画されMICE(マイス)・ IR(アイアール)等のビジネスチャンスに応える経営資源とノウハウを蓄積していく第一ステージであります。また同時に、東洋テックグループの発展に向けた体質改革、イノベーション実現の3年間でもあり、2025年には「関西における警備・ビルメン業界のリーディングカンパニー」を目指しております。
◎スローガン
「変革への持続的挑戦」
◎中期経営計画目標数値(2019年4月1日~2022年3月31日)
◎課題への取り組み
第11次中期経営計画達成のために、以下の課題に取り組んでいます。
1.環境変化、技術革新への挑戦
(1)恒常的人手不足の克服(人材調達力の向上)
・人事企画、採用力の強化、採用活動の多様化・柔軟化
・女性警備員の大幅増強、外国人労働者の活用
(2)警備機器、警備手法のデジタル化・技術革新への取組
・監視カメラを活用した機械警備、新商品・新サービスの開発
・画像処理技術への取組強化、画像センターの新設による新サービスの開発
(3)IoT、AI、RPAの活用
・IoT、AI、RPAへ積極投資を実施し、差別化を実現
・販売管理部門の業務量削減や工程見直しによる効率化追求
(4)キャッシュレス化を伴う金融機関ビジネスの見直し
・回金センター新設による金融機関警送業務、回金業務の受託力強化
・キャッシュレス化進展に伴うニュービジネスの研究、商品化
2.収益構造の変革(骨格、体質の改革)
(1)M&Aの推進体制強化と戦略的投資の計画的実行
・専担推進者の配置とネットワーク拡大による推進力の強化
・計画期間中9,000百万円の戦略的投資を実行
(2)機械警備他、各業務別の利益率改善具体策の実行
・付加価値サービス(新商品)の提供による新規契約推進
・業務別適正粗利の設定と順守徹底
(3)第三の主要先(業態)の発掘、開拓、深耕
・地域インフラ企業への営業力強化
・ビッグイベントの要人警護や交通機関の施設への安全性確保に対応
(4)地方公共団体等とのビジネスチャンスの研究、高齢者向け商品開発
・安全、安心に係わる官民の境界線上のビジネスを追求
・増加する高齢者世代に対するビジネスチャンスを研究
(5)重点推進先の設定と全社営業の実施(重点新規先、重点深耕先)
・営業推進先の明確化による全社営業の徹底
・営業人員の増強、推進体制の整備による営業力の強化
3.ブランド(企業価値)の創造
(1)TV等各種媒体へのCM実施による認知度向上
・各種媒体へのCM実施
(2)TECグループビジョンの作成、公表
・60周年に向けたビジョン、スローガンを策定
(3)株主還元の拡充
・安定配当に加え、業績に連動した配当を実施
4.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取組み
お客様へのサービス品質維持並びに、従業員の安全を第一に考え、厚生労働省の指針、大阪府等の行政の要請に準じ、感染拡大防止に向け取り組んでいます。
(1)管理体制
・2020年1月31日にBCP(パンデミック)発動により対策組織を立上げ。
・管理本部経営統括部に管理機能を一元化し、スピーディな感染予防措置を構築。
(2)社内体制
・社員へのマスク配布、消毒スプレーの配置等、予防策の構築を実施。
・密室及び長時間の会議禁止、Web会議の導入、出張禁止、テレワーク、時差出勤、交代勤務、食堂
の利用人数制限等による3密(密閉、密集、密接)の禁止を徹底。
・重症化リスクの高い社員に対する特別休暇付与。 他
(3)現場対応
・マスク、手袋の着用徹底。
・コールセンター、監視センターの拠点分散、カーテン設置。
・勤務交代時の引継ぎの接触を禁止し、IPad、電話、ノートの活用を実施。
・集中待機所の分散勤務を実施。
・警乗ペア、及び派遣隊ごとの勤務員の固定化により濃厚接触機会を極小化。
・事務机間にパーテーション設置。 他
当社グループはこれらへの取組みを実現すべく、東洋テックグループの役職員が一丸となって努力してまいる所存であります。
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。
当社グループは、リスクマネジメントシステムを導入し、各事業において顕在化、もしくは潜在化しているリスクを抽出し、リスクマネジメント規程に基づき管理を行っています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法規制に関するリスクについて
当社グループは、警備事業等、当社グループの各種事業を実施するに当たって、警備業法並びに関係諸法令等の各種規制を受けております。
警備事業において当社グループ各社は、本社所在地を管轄する公安委員会から同法に基づく警備業の認定を受け、5年毎の更新手続きを行う必要があります。
また、警備業法により指導教育責任者や警備に係る各種資格者の配置義務が規定されております。当社グループは有資格者等の登録を完了させており、引続き資格取得の促進を図っております。
その他、機械警備業務や工事・機器販売に係る契約先への警報機器の設置工事につきましては、建設業法の規制を受け、また、輸送警備業務におきましては貨物自動車運送事業法等の規制を受けております。
これらの関係法令に違反した場合、処罰の対象となり、営業停止等の行政処分を受ける可能性があります。
ビルメンテナンス事業、不動産事業に加え労働法令をはじめとした各種業務面においても、必要な関係諸法令等の各種規制を受けております。これら当社事業に関係する全ての法令については、コンプライアンス・マニュアルの「法令・ルール等遵守事項表」に基づき管理を行い、法的規制の変更について、関係当局の動向を注視し、また顧問弁護士との連携を通じ、適宜対応しております。
(2)特定の売上先への依存リスクについて
当社グループは、金融機関に対する売上割合が高いため、キャッシュレスの進展、合併、統合等の再編に起因して、店舗機械警備や貴重品輸送警備、CD/ATM機を総合管理するATM管理業務等が解約、縮小となり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、金融機関の回金業務の受託等、金融機関からのアウトソーシング業務の受託等に注力することで、金融機関取引の維持、拡大に努めております。
(3)特定の仕入先への依存リスクついて
当社グループは、機械警備システムの運用に係る監視センター装置について、その開発、機材等を富士通株式会社に依存しています。自然災害等によりセンター装置等の故障や機材の供給に障害が生じた場合には、当社グループの監視センターの運用に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、機械警備システムの開発・保守については富士通LCMセンター(LifeCycleMnagement)と24時間365日のメッセージ通報対応サービスを契約しており、障害への対応をしています。また、機器(サーバー等)については原則二重化(冗長化)又は予備機が用意されており、故障や機材の供給に対応しています。
(4)受託現預金の管理リスクについて
当社グループは、ATM管理業務において主として金融機関等が設置するCD/ATM機の障害対応業務、資金管理業務、銀行店舗内現金管理業務等を行っています。また、近年売上金回収サービス業務を開始しました。当社グループは資金管理業務と売上金回収サービス業務に使用する現金及び預金を受託現預金として管理しております。
業務委託先である金融機関等の経営悪化に伴い、立替資金を回収できなくなる可能性があります。この場合も当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、連休等による立替資金の長期化について、受託先の協力を得て、柔軟な対応をとっています。また売上金回収サービス業務については、信用調査等を実施し、取引を行っております。
(5)技術環境の変化リスクについて
当社グループは、警備事業やビルメンテナンス事業において、AIやロボット等の新たな技術の導入による急激 なサービスの変化の影響を受ける可能性があります。
当社グループは、AI、ロボット等の最先端技術の調査、研究ならびに新商品、サービスの企画、販売推進を行 うイノベーション推進部を設置し、技術の変化に即したサービスを提供できる体制を構築しています。
(6)投資に関する価格変動リスクについて
当社グループは、株式等、価格変動リスクを有する有価証券を保有しておりますので、有価証券の価値が下落し た場合、評価損等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、経済環境、市況、保有先の業績動向、取引関係等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。
また、不動産事業において、賃貸不動産等を有しております。不動産価値は経済状況等により、価格変動のリスクを有しております。
当社グループは、経済環境や不動産市況、資産活用状況等の様々な影響等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。
(7)情報漏洩リスクについて
当社グループは、取引先と警備請負契約等を締結する場合、関係者の氏名、住所、電話番号、警備対象物件に係 る情報等について各種情報を取得し、各種警備対応や顧客管理に必要な情報として利用しており、取引先等に係る各種情報や個人情報の社外流出、漏洩等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等につながり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、徹底した管理体制と社員教育により取引先に係る各種情報が外部に漏洩しないよう情報管理に努めております。また個人情報保護法への対応については、「個人情報保護規程」等個人情報保護に係る内部規程及び関連する会社業務規程を定め、社内への周知徹底を図っております。また、プライバシーマークを取得し、個人情報保護教育をはじめとした個人情報保護への取り組みを強化しております。その他、個人情報漏洩賠償責任保険に加入しています。
(8) サイバー攻撃リスクについて
当社グループは、監視系システムをはじめとした各種システムにより事業を行っております。当該システムへのサイバー攻撃により、各種システムダウンによる業務の停止、各種情報の漏洩リスクがあります。
当社グループは、監視系システムについてはインターネットと直接つながっていないため攻撃を受けるリスクを回避しています。事務系システムについてはインターネットの出口にファイアーウォールを設置し、基本的に外部からのアクセスは全て遮断しています。また、サーバー及びパソコンについてはウィルス対策ソフトを導入し、リアルタイムで監視しています。また、サーバーについては強固なセキュリティを施したクラウド化を進めています。その他、標的型テストメールを使ったテストを定期的に実施する等、迷惑メールへの対応の啓発活動を行っています。
(9) 社員による不適切事案発生リスクについて
当社グループは、各業務において不適切な事案が発生した場合は、当該業務の解約、縮小等につながり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、コンプライアンス研修を定期的に実施するとともに、「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動について記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、朝礼等の場で唱和することで、日々の行動を律しております。また社内監査、社内アンケートにより、定着状況を確認しています。
(10) 人材確保リスクについて
当社グループは、警備事業、ビルメンテナンス事業等において、継続的な人材確保が必要とされております。
今後予想されている国内人口の減少により、人材確保ができない場合、持続的な業務の維持等に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、新入社員の採用に注力する他、将来の外国人労働者の採用に向けての外国人技能実習生の採用等を行い人材確保に向け注力しています。また女性警備員の増員等、女性の活躍の場を拡大しています。その他、働き方改革、社員の処遇改善に前向きに取り組んでおり、前年度に続き「健康経営優良法人 2020(大規模法人部門、通称ホワイト500)」の認定を受けております。
(11)大規模自然災害リスクについて
当社グループは、本社監視センターを始め、各拠点の監視センターにおいて警備に係る様々な情報を遠隔で集中監視し、取引先での不審者の侵入、火災等の異常事態の発生時には直ちにパトロール員を急行させ緊急対処しております。この集中監視システムはそれぞれの警備対象施設を通信回線で結んでおりますが、ネットワークを構成する重要な要素である通信回線は、第1種通信事業者が提供するサービスに依存しております。東日本大震災と同等クラスの震災や大津波による被災などの激甚災害やテロ等による大規模な事故、或いは大規模停電等により通信回線に重大な障害が発生した場合、遠隔監視による警備業務に重大な問題が発生する可能性があります。
この場合、当社グループの業績や今後の事業展開に大きな影響を与えるほか、センター装置等の復旧などに多額の費用を要する可能性があります。
当社グループは、BCP(大規模震災・水害対策編)を策定し、定期的なBCPに基づく防災訓練の実施、防災用品の備置等を行うことで対策を講じております。
(12)パンデミックリスクについて
当社グループは、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等が発生した場合、警備事業、ビルメンテナンス事業において、社員の感染により業務の継続に支障が出るリスクがあります。
当社グループは、BCP(パンデミック編)を策定し、感染症法で規定されている「2類感染症」及び、「3類感染症」が国内で発生した場合には、直ちにBCP発動による対策本部を設置し、危機管理体制を構築しております。またマスク、消毒薬等の感染防止用品を備蓄し、業務に支障の出ない対策を講じております。予防面においては、「新型インフルエンザハンドブック」を制定し、社員に対して感染予防の徹底を行っております。
〇当期における主な取り組み
◇環境変化、技術革新への挑戦
・キャッシュレス化への対応として、関西みらい銀行のりそなグループ入りに伴い、りそなグループ向け関西
メール便を元受受託しました。また、地元金融機関の回金業務を受託する等、取引金融機関と一層の関係強
化を図っています。
・人手不足への対応として、2020年度入社の新入社員を例年より30名以上多く採用、また働き方改革へも積極
的に取り組む等、人材の確保に注力しています。
・画像センターを新たに開設し、より高度な監視システムを構築しています。
◇収益構造の変革(骨格、体質の改革)
・M&A等の戦略投資についても継続的に取り組んでおり、2019年4月に森田ビル管理㈱を完全子会社といたし
ました。
・G20の警備を機に、当社の警備品質が認められ、新たにOsaka Metroの駅の警備を受注する等、
前期の新幹線警乗業務に続き、新たな業態(鉄道)との取引を開拓しております。
◇ブランド(企業価値)の創造
・TVCM、YouTubeCMの放映等を行いブランド認知度向上に努めました。
・安定配当に加え、記念配当を除き4期連続増配を行い、業績に連動した配当を実施しております。
〇当期の実績についての評価、分析など
当期については、将来のキャッシュレス化への対応として、上記の通り取引金融機関との一層の関係強化を図るとともに金融機関取引、関電SOSに続く第3の柱としている鉄道事業向け業務において新幹線警乗業務の拡大、Osaka Metroの駅の警備の新規取引を行うなど、一定の実績があがりました。また期初に戦略投資としてビルメンテナンス会社である森田ビル管理㈱を完全子会社化するなど、第11次中期経営計画の計画に則った施策を実行することができました。その他2020年4月入社の新入社員を例年より30名程度多く採用し、また社員の政策的な処遇改善、働き方改革により、離職率も低下するなど、中長期的な人材不足に備えた対応を行うことができました。その一方で消費増税による機器販売の低迷に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、新規受注やスポット案件が減少する等、業績については、第4四半期に急失速することになりました。
このような取り組みにより、売上高は、大型案件の受注が好調な輸送警備と常駐警備が順調に推移いたしました。また、ビル管理がスポット案件を中心に受注を伸ばし、不動産業務においても、大型仲介案件が成約したことにより仲介手数料収入が大幅に増加いたしました。
売上高合計は、24,842百万円、前期比1,609百万円、6.9%の増、9期連続の増収となりました。利益面では、人材確保に向けた政策的な処遇の改善や、輸送業務(メール便業務)の大型受注に伴う人員の先行手配、TVCMの実施に加え、本社別館閉鎖に伴う移転費用等、人件費、物件費が増加しましたが、営業利益1,079百万円、前期比49百万円、4.8%の増益、経常利益は1,253百万円、前期比48百万円、4.0%の増益、4期連続の増益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、861百万円、前期比155百万円、22.1%の増益となりました。
事業セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(警備事業)
輸送警備と常駐警備が順調に伸長しましたが、消費増税と第4四半期における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響により、機器販売が前年比、大幅な減少となりました。また、キャッシュレスの進展と外出自粛の影響により、金融機関ビジネスが急速に停滞したことも、同様に減少要因となりました。
その結果、警備事業の売上高は、17,205百万円(前期比△97百万円、0.6%の減収)、セグメント利益は、407百万円(前連結会計年度比△312百万円、43.4%の減益)となりました。
※その他:停解業務、緊急通報業務、保険代理店手数料等
(ビル管理事業)
売上面では、森田ビル管理株式会社の子会社化により、大きく増収となりました一方、セグメント利益は最低賃金の上昇等のコストアップ要因を、値上げや新規受注でカバーすることができませんでした。
その結果、ビル管理事業の売上高は、6,914百万円(前期比1,258百万円、22.2%の増収)、セグメント利益は、117百万円(前連結会計年度比△57百万円、32.9%の減益)となりました。
(不動産事業)
売上面では、不動産の大口仲介案件の成約と、前期末に取得した賃貸不動産の売上が貢献し、大幅な増収、増益となりました。
その結果、不動産事業の売上高は、723百万円(前期比448百万円、162.8%の増収)、セグメント利益は、512百万円(前連結会計年度比415百万円、430.9%の増益)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、13,811百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,387百万円減少しました。その主な要因は、現金及び預金が174百万円、受取手形及び売掛金が217百万円それぞれ増加しましたが、一方でATM管理業務に係る受託現預金が1,517百万円、有価証券が200百万円減少したこと等によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、16,069百万円となり、前連結会計年度末に比べ400百万円増加しました。その主な要因は、機械及び装置が87百万円、のれんが93百万円、投資有価証券が380百万円それぞれ減少しましたが、一方で土地が710百万円、建設仮勘定が284百万円増加したことを等によるものです。
(負債)
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、4,795百万円となり、前連結会計年度末に比べ911百万円減少しました。その主な要因は、短期借入金が80百万円、未払法人税等が260百万円、未払金が127百万円、未払消費税が174百万円それぞれ増加しましたが、一方でATM管理業務にかかる預り金を含む預り金が1,539百万円減少したこと等によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、4,240百万円となり、前連結会計年度末比109百万円減少しました。その主な要因は、退職給付に係る負債が64百万円増加しましたが、一方で繰延税金負債が133百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、20,845百万円となり、前連結会計年度末比34百万円増加しました。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の67.4%から2.3ポイント増の69.8%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ67百万円増加し4,933百万円となりました。
当連結会計年度における各活動別のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は、2,038百万円であります。その主な内容は、税金等調整前当期純利益1,324百万円、減価償却費846百万円、法人税等の支払額△209百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動により使用した資金は、1,444百万円であります。その主な内容は、有形固定資産の取得による支出1,369百万円、無形固定資産の取得による支出103百万円、投資有価証券の取得による支出104百万円、投資有価証券の売却による収入161百万円、投資有価証券の償還による収入200百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により使用した資金は、527百万円であります。その主な内容は、長期借入金の返済による支出181百万円、自己株式の取得による支出168百万円、配当金の支払による支出315百万円等であります。
当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中のセグメント別の契約件数は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 100分の10以上の相手先別の販売実績はありません。
3 上記金額には、消費税等を含んでおりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の残高及び当該期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。
見積り及び仮定については、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき判断を行っております。また、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。
この見積りと判断が、当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えられるのは、以下の重要な会計方針であります。
(退職給付費用)
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率、年金資産の長期収益率などがあります。当社グループの退職給付においては、割引率は日本の長期金利の水準を基準として算出しております。期待収益運用率は、年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待収益率に基づき計算されます。
(繰延税金資産)
当社グループは、固定資産に繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の計上においては、将来の課税所得見込みと回収計画により行っております。
繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
当社グループは、昨今の経営環境の変化に柔軟に適応していくために、全社一丸となって業務全般にわたる効率化の実施やローコスト・オペレーションを徹底するとともに、新規取引先の開拓やM&A案件の発掘に取り組んでまいりました。
2016年4月にスタートしました第10次中期経営計画≪2016年度(2017年3月期)から2018年度(2019年3月期)≫におきまして、「変革と挑戦」をスローガンに、高い収益性と成長力を目指し、「経営基盤の拡充」と「企業風土の改革」を推し進めてまいりました。
「経営基盤の拡充」につきましては、コア事業である警備事業とビル管理事業の安定的な拡大をベースとした経営基盤の強化を図るべく、継続的な「新規営業」、「グループ一体となったファシリティマネジメント営業」、「独自商品(TEC-CD)の販売拡大」等に加え、警備事業会社への一部出資などにも取り組んでまいりました。また、不動産事業の拡大として、収益物件(賃貸用テナントビル(区分所有)、賃貸用マンション、賃貸用ビジネスホテル)への投資も取り組んでまいりました。
「企業風土の改革」につきましては、従来の「経営理念」、「行動宣言」に、新たに各ステークホルダー(株主、顧客、従業員、地域社会)に対して「どのように行動するか」、「どうありたいか」を明確に示した「行動指針」を加え、これらを「TEC WAY」と総称し、全グループ社員の行動意識の改革に努めております。
今後の見通しにつきましては、新たに策定した第11次中期経営計画≪2019年度(2020年3月期)から2021年度(2022年3月期)≫における各種取り組みを着実に実施することで、同計画の達成を目指してまいります。
当社グループは、今後とも多様化するお客様のニーズに的確に対応し、より良い商品、サービスの提供に努めてまいる所存であります。
経営成績の分析は、次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、24,842百万円、前期比1,609百万円、6.9%の増、9期連続の増収となりました。
大型案件の受注が好調な輸送警備と常駐警備が順調に推移いたしました。また、ビル管理がスポット案件を中心に受注を伸ばし、不動産業務においても、大型仲介案件が成約したことにより仲介手数料収入が大幅に増加いたしました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は1,079百万円、前期比49百万円、4.8%の増益となりました。
人材確保に向けた政策的な処遇の改善や、輸送業務(メール便業務)の大型受注に伴う人員の先行手配、TVCMの実施に加え、本社別館閉鎖に伴う移転費用等、人件費、物件費が増加したしました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は1,253百万円、前期比48百万円、4.0%の増益、4期連続の増益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は861百万円、前期比155百万円、22.1%の増益となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュフローの分析は、次のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、次のとおりであります。
当社グループを取り巻く経営環境は、警備事業並びにビル管理事業において、同業他社との激しい競合が続き、受注価格の低下や既存取引先からの値下げ等の要請も依然として根強く、価格競争が激化しております。一方、最低賃金の上昇等に伴う人件費や各種経費、外注費のコストアップとも相俟って、収益面では厳しい状況が続いております。
このような状況下において、第10次並びに第11次中期経営計画の主要施策である戦略投資として、2019年3月に不動産(賃貸不動産)投資を、2019年4月にM&Aによる事業会社(森田ビル管理株式会社(ビルメンテナンス))の買収(100%子会社化)を行っております。
事業等のリスクにつきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、警備業務に係る現場対応費用、販売費及び一般管理費の営業費用等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A、不動産等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、M&A、不動産案件や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,716百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,933百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
◆第11次中期経営計画《2019年度(2020年3月期)から2021年度(2022年3月期)》
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。