第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 (1)経営方針

当社グループは以下の「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動について記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、日々の業務に取り組んでおります。

   ◆経営理念

     「東洋テックグループは、安心で快適な社会の実現に貢献します。」

   行動宣言

   ・私たちは、お客様のニーズに最適なサービスを提供します。

・私たちは、企業価値の向上に取り組みます。

私たちは、ひとりひとりの人間性を尊重します。

   ・私たちは、誠実で透明性の高い行動に努めます。

   ・私たちは、変革に挑戦し時代とともに成長します。

   ◆行動指針

      お客様のために

     ・私たちは、お客様の生命・身体・財産を守るため、高品質のサービスを提供します。

    ・私たちは、法令及び社内規程を遵守し、お客様に信頼されるサービスを心掛けます。

    ・私たちは、公正で透明な取引を誠実に行い、お客様との信頼関係の構築と維持に努めます。

    ・私たちは、お客様の情報管理を徹底し、情報漏えい・不正利用を防止します。

    ・私たちは、お客様からのご指摘を真摯に受け止め、誠実に対応します。

    株主のために

    ・私たちは、安易な値引き、減免等を行わず、商品・サービスの正当な対価に拘ります。

    ・私たちは、収益向上のため、徹底した効率化とコスト削減に取り組みます。

    ・私たちは、中長期的な収益資源を得るため、新しい分野へ積極的にチャレンジします。

    ・私たちは、柔軟な発想と、先進的な視点をもって、変革へ挑戦し続けます。

    ・私たちは、開示すべき情報を積極的に公開し、透明性の高い経営に努めます。

    従業員のために

    ・私たちは、従業員の多様性・人格・個性を尊重し、差別のない職場を作ります。

    ・私たちは、お互いの役割を理解し、風通しの良い、チームワークのある職場を作ります。

      ・私たちは、労働関係法令を遵守し、超過勤務を防止し、休暇を取得します。

    ・私たちは、セクハラ・パワハラ・マタハラ等の各ハラスメントをしません。

    ・私たちは、働きやすい職場環境と挑戦できる企業風土を作ります。

    社会のために

    ・私たちは、法令、社会規範、企業倫理、社内諸規程等のルールを順守します。

    ・私たちは、反社会的勢力との結びつきを完全に排除し、健全な企業風土を保ちます。

    ・私たちは、積極的に地域社会貢献活動や環境問題に取り組みます。

    ・私たちは、社会からの不信を招く、自身の利得のための接待・贈答を行いません。

    ・私たちは、公共、公益に資するため、心身ともに健全な状態で業務に取り組みます。

 

(2)経営環境及び対応すべき課題等

  ①経営計画への取り組み

当警備業界におきましては、半導体不足による機器販売への影響等はありましたが、無観客となったものの延期されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催や、再開されつつある各種イベント、継続的に行われている都市開発への警備ニーズに加え、新型コロナワクチン接種会場の警備等、新たなビジネス機会もありました。

このような経営環境の中、当社グループは第11次中期経営計画(2019年4月から2022年3月まで)の最終年度として、「変革への持続的挑戦」をスローガンに高い収益性と成長力を目指し、「環境変化、技術革新への挑戦」、「収益構造の変革(骨格、体質の改革)」、「ブランド(企業価値)の創造」へ取り組んでまいりました。当該計画期間における実績は以下のとおりであります。

 

◎第11次中期経営計画(2019年4月1日~2022年3月31日)実績

 

2022年3月期

当初計画

2022年3月期

修正計画

 2020年3月期
 実績

 2021年3月期
 実績

 2022年3月期
 実績

連結売上高

300億円

270億円

       248億円

260億円

275億円

連結経常利益

17億円

9億円

        12億円

8億円

9億円

戦略投資額

計画期間総額

90億円

計画期間総額

90億円

 (当期累計)

14億円

(当期累計)

25億円

(計画期間累計)

32億円

配当方針

還元の拡充

還元の拡充

中間15.00円

期末15.00円

年間30.00円

中間15.00円

期末15.00円

年間30.00円

中間15.00円

期末15.00円

年間30.00円

 

    (注)1.2020年3月実績、2021年3月実績、2022年3月実績は、小数点第1位を四捨五入しています。

  2.計画策定時に予想できなかった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、

    大きく経済環境、社会情勢が変化したこともあり、期間中に計画を修正しております。

 

   ◎第11次中期経営計画(2019年4月1日~2022年3月31日)期間中戦略投資内訳

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

M&A

森田ビル管理㈱

㈱新栄ビルサービス

㈱明成

資本提携

1社

2社

1社

投資不動産

レジデンス1棟

営業戦略

東大阪センター建築

画像監視センター構築

 

 

 

   ◎第12次中期経営計画(2022年4月1日~2025年3月31日)

当社グループでは、第11次中期経営計画に続き、第12次中期経営計画《2022年4月1日~2025年3月31日》を策定し、「構造改革への挑戦」をスローガンに、引き続き高い収益性と成長力を目指し取り組んでおります。計画の概要は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 


 

  ②働き方改革への取り組み  

当社グループの働き方改革への取り組みとしては、「連続休暇制度」、「ミニ休暇制度」、「半日休暇制度」、「リフレッシュ休暇制度」等の休暇制度の充実と休暇取得の促進、企業主導型保育所との提携等の取り組み等により、日本次世代企業普及機構(通称:ホワイト財団)が運営するホワイト企業認定を、2021年6月に取得しました。ホワイト企業認定とは、労働法の遵守や健康経営などの7つの項目を総合的かつ客観的に評価する認定制度であり、当社は5段階の最上位ランクであるプラチナランクの認定を受けております。また経済産業省、日本健康会議による「健康経営優良法人認定制度」における健康経営優良法人にも2019年度以降、継続して認定されております。

その他取り組みとしましては、豊富な知識と職業経験を有した社内の先輩が、新入社員に対して、業務上のみならずキャリア形成なども含めた幅広い支援活動を行うメンター制度を導入し、人材育成、社員の定着率向上にも取り組んでおります。

このような取り組みにより、今後も、当社グループでは、「人・街・未来をまもる」使命とともに、従業員の健康をまもり、心身ともに健康で活き活きと働くことができるよう、従業員の健康づくりに積極的に取り組んでまいります。

また、2017年11月には大阪市による「女性活躍リーディングカンパニー」の認証を受けております。この「女性活躍リーディングカンパニー」とは、女性の登用や女性が働きやすい職場づくりに積極的に取り組んでいる企業に対し、大阪市が一定の基準をもとに認証する制度です。

当社は年休取得推進施策や育児関連施策を積極的に実施していることが認められ「二つ星認証企業」(2段階の認証レベルの上位ランク)に認定されております。

 

  ③サステナビリティへの取り組み


 

  ④新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取組み

東洋テックグループでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組みとして、以下の対応を行い、お客様へのサービス品質維持並びに、従業員の安全を第一に考え、厚生労働省の指針、大阪府等の行政の要請に準じ、感染拡大防止に向けた取り組みを行っております。

◆管理体制

・2020年1月31日にBCP(パンデミック)発動により対策組織を立上げ。

・管理本部経営統括部に管理機能を一元化し、スピーディな感染予防措置を構築。

◆社内体制

・社員へのマスク配布、消毒スプレーの配置等、予防策の構築を実施。

・密室及び長時間の会議禁止、Web会議の導入、出張禁止、テレワーク、時差出勤、交代勤務、食堂の利用人数制限等による3密(密閉、密集、密接)の禁止を徹底。

・重症化リスクの高い社員に対する特別休暇付与。

・執務スペース、会議スペース、食堂スペース等における座席間へのアクリル板設置による飛沫感染防止対策の実施

・玄関、執務室入り口等への検温装置の設置 

・本社受付への受付ロボットの導入 他

◆現場対応

・マスク、手袋の着用徹底。

・コールセンター、監視センターの拠点分散、カーテン設置。

・勤務交代時の引継ぎの接触を禁止し、iPad、電話、ノートの活用を実施。

・集中待機所の分散勤務を実施。

・警乗ペア、及び派遣隊ごとの勤務員の固定化により濃厚接触機会を極小化。

・事務机間にパーティション設置。 他

 当社グループはこれらへの取組みを実現すべく、東洋テックグループの役職員が一丸となって努力してまいる所存であります。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。

当社グループは、リスクマネジメントシステムを導入し、各事業において顕在化、もしくは潜在化しているリスクを抽出し、リスクマネジメント規程に基づき管理を行っています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)法規制に関するリスクについて

当社グループは、警備事業等、当社グループの各種事業を実施するに当たって、警備業法並びに関係諸法令等の各種規制を受けております。

警備事業において当社グループ各社は、本社所在地を管轄する公安委員会から同法に基づく警備業の認定を受け、5年毎の更新手続きを行う必要があります。

また、警備業法により指導教育責任者や警備に係る各種資格者の配置義務が規定されております。当社グループは有資格者等の登録を完了させており、引続き資格取得の促進を図っております。

その他、機械警備業務や工事・機器販売に係る契約先への警報機器の設置工事につきましては、建設業法の規制を受け、また、輸送警備業務におきましては貨物自動車運送事業法等の規制を受けております。

これらの関係法令に違反した場合、処罰の対象となり、営業停止等の行政処分を受ける可能性があります。

ビルメンテナンス事業、不動産事業に加え労働法令をはじめとした各種業務面においても、必要な関係諸法令等の各種規制を受けております。これら当社事業に関係する全ての法令については、コンプライアンス・マニュアルの「法令・ルール等遵守事項表」に基づき管理を行い、法的規制の変更について、関係当局の動向を注視し、また顧問弁護士との連携を通じ、適宜対応しております。

 

  (2)特定の売上先への依存リスクについて

当社グループは、金融機関に対する売上割合が高いため、キャッシュレスの進展、合併、統合等の再編に起因して、店舗機械警備や貴重品輸送警備、CD/ATM機を総合管理するATM管理業務等が解約、縮小となり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、金融機関の回金業務の受託等、金融機関からのアウトソーシング業務の受託等に注力することで、金融機関取引の維持、拡大に努めております。

 

  (3)特定の仕入先への依存リスクについて

当社グループは、機械警備システムの運用に係る監視センター装置について、その開発、機材等を富士通株式会社に依存しています。自然災害等によりセンター装置等の故障や機材の供給に障害が生じた場合には、当社グループの監視センターの運用に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、機械警備システムの開発・保守については富士通LCMセンター(LifeCycleManagement)と24時間365日のメッセージ通報対応サービスを契約しており、障害への対応をしています。また、機器(サーバー等)については原則二重化(冗長化)又は予備機が用意されており、故障や機材の供給に対応しています。

 

  (4)受託現預金の管理リスクについて

当社グループは、ATM管理業務において主として金融機関等が設置するCD/ATM機の障害対応業務、資金管理業務、銀行店舗内現金管理業務等を行っています。また、近年売上金回収サービス業務を開始しました。当社グループは資金管理業務と売上金回収サービス業務に使用する現金及び預金を受託現預金として管理しております。

業務委託先である金融機関等の経営悪化に伴い、立替資金を回収できなくなる可能性があります。この場合も当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、連休等による立替資金の長期化について、受託先の協力を得て、柔軟な対応をとっています。また売上金回収サービス業務については、信用調査等を実施し、取引を行っております。

 

  (5)技術環境の変化リスクについて

当社グループは、警備事業やビルメンテナンス事業において、AIやロボット等の新たな技術の導入による急激 なサービスの変化の影響を受ける可能性があります。

当社グループは、AI、ロボット等の最先端技術の調査、研究ならびに新商品、サービスの企画、販売推進を行 うイノベーション推進部を設置し、技術の変化に即したサービスを提供できる体制を構築しています。

 

  (6)投資に関する価格変動リスクについて

当社グループは、株式等、価格変動リスクを有する有価証券を保有しておりますので、有価証券の価値が下落し た場合、評価損等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、経済環境、市況、保有先の業績動向、取引関係等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。

また、不動産事業において、賃貸不動産等を有しております。不動産価値は経済状況等により、価格変動のリスクを有しております。

当社グループは、経済環境や不動産市況、資産活用状況等の様々な影響等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。

 

  (7)情報漏洩リスクについて

 当社グループは、取引先と警備請負契約等を締結する場合、関係者の氏名、住所、電話番号、警備対象物件に係 る情報等について各種情報を取得し、各種警備対応や顧客管理に必要な情報として利用しており、取引先等に係る各種情報や個人情報の社外流出、漏洩等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等につながり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、徹底した管理体制と社員教育により取引先に係る各種情報が外部に漏洩しないよう情報管理に努めております。また個人情報保護法への対応については、「個人情報保護規程」等個人情報保護に係る内部規程及び関連する会社業務規程を定め、社内への周知徹底を図っております。また、プライバシーマークを取得し、個人情報保護教育をはじめとした個人情報保護への取り組みを強化しております。その他、個人情報漏洩賠償責任保険に加入しています。

 

  (8) サイバー攻撃リスクについて

当社グループは、監視系システムをはじめとした各種システムにより事業を行っております。当該システムへのサイバー攻撃により、各種システムダウンによる業務の停止、各種情報の漏洩リスクがあります。

当社グループは、監視系システムについてはインターネットと直接つながっていないため攻撃を受けるリスクを回避しています。事務系システムについてはインターネットの出口にファイアウォールを設置し、基本的に外部からのアクセスは全て遮断しています。また、サーバー及びパソコンについてはウィルス対策ソフトを導入し、リアルタイムで監視しています。また、サーバーについては強固なセキュリティを施したクラウド化を進めています。その他、標的型テストメールを使ったテストを定期的に実施する等、迷惑メールへの対応の啓発活動を行っています。

 

 (9) 社員による不適切事案発生リスクについて

当社グループは、各業務において不適切な事案が発生した場合は、当該業務の解約、縮小等につながり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、コンプライアンス研修を定期的に実施するとともに、「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動について記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、朝礼等の場で唱和することで、日々の行動を律しております。また社内監査、社内アンケートにより、定着状況を確認しています。

 

   (10) 人材確保リスクについて

当社グループは、警備事業、ビルメンテナンス事業等において、継続的な人材確保が必要とされております。

今後予想されている国内人口の減少により、人材確保ができない場合、持続的な業務の維持等に影響が生じる可能性があります。

当社グループは、新入社員の採用に注力する他、将来の外国人労働者の採用に向けての外国人技能実習生の採用等を行い人材確保に向け注力しています。また女性警備員の増員等、女性の活躍の場を拡大しています。その他、働き方改革、社員の処遇改善に前向きに取り組んでおり、「健康経営優良法人 2022(大規模法人部門)」の認定を受けております。

 

(11)大規模自然災害リスクについて

  当社グループは、本社監視センターを始め、各拠点の監視センターにおいて警備に係る様々な情報を遠隔で集中監視し、取引先での不審者の侵入、火災等の異常事態の発生時には直ちにパトロール員を急行させ緊急対処しております。この集中監視システムはそれぞれの警備対象施設を通信回線で結んでおりますが、ネットワークを構成する重要な要素である通信回線は、第1種通信事業者が提供するサービスに依存しております。東日本大震災と同等クラスの震災や大津波による被災などの激甚災害やテロ等による大規模な事故、或いは大規模停電等により通信回線に重大な障害が発生した場合、遠隔監視による警備業務に重大な問題が発生する可能性があります。

この場合、当社グループの業績や今後の事業展開に大きな影響を与えるほか、センター装置等の復旧などに多額の費用を要する可能性があります。

当社グループは、BCP(大規模震災・水害対策編)を策定し、定期的なBCPに基づく防災訓練の実施、防災用品の備置等を行うことで対策を講じております。 

 

   (12)パンデミックリスクについて

当社グループは、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等が発生した場合、警備事業、ビルメンテナンス事業において、社員の感染により業務の継続に支障が出るリスクがあります。

当社グループは、BCP(パンデミック編)を策定し、感染症法で規定されている「2類感染症」及び、「3類感染症」が国内で発生した場合には、直ちにBCP発動による対策本部を設置し、危機管理体制を構築しております。またマスク、消毒薬等の感染防止用品を備蓄し、業務に支障の出ない対策を講じております。予防面においては、「新型インフルエンザハンドブック」を制定し、社員に対して感染予防の徹底を行っております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当警備業界におきましては、半導体不足による機器販売への影響等はありましたが、無観客となったものの延期されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催や、再開されつつある各種イベント、継続的に行われている都市開発への警備ニーズに加え、新型コロナワクチン接種会場の警備等、新たなビジネス機会もありました。

このような経営環境の中、当社グループは第11次中期経営計画(2019年4月から2022年3月まで)の最終年度として、「変革への持続的挑戦」をスローガンに高い収益性と成長力を目指し、「環境変化、技術革新への挑戦」、「収益構造の変革(骨格、体質の改革)」、「ブランド(企業価値)の創造」への取り組みを行いました。

 

前年度に比べ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が限定的であったことや、コロナワクチン関連の受注や新規先獲得が寄与したこともあり、売上高合計は、27,465百万円、前期比1,464百万円5.6%の増、11期連続の増収となりました。

利益面では、上記のとおり増収となったことや、コストコントロール、値上げに取組んだことで、ビル管理事業が増益となったこと、また、不動産事業も大口販売用不動産の売却で増益となったことから、営業利益は848百万円、前期比151百万円21.8%の増益、経常利益は895百万円、前期比47百万円5.6%の増益、となりました。投資有価証券売却益1,504百万円を特別利益に、訴訟解決のための和解金1,430百万円、本社隣接建物の取壊し費用67百万円、訴訟弁護士費用41百万円等を特別損失に計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、459百万円前期比101百万円18.1%の減益となりました。

 

 事業セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(警備事業)

新規先獲得やコロナワクチン接種会場警備・東京オリンピック・パラリンピック警備で常駐警備が順調に伸長し、機械警備も4期ぶりに増収に転じました。前年度は苦戦しておりました工事機器販売も復調しましたが、一方で、収益性の高い金融機関のATM管理業務が減少したこと等によりセグメント利益は微減となりました。

その結果、警備事業の売上高は、17,714百万円(前期比512百万円3.0%の増収)、セグメント利益は210百万円(前期比13百万円6.2%の減益)となりました。

 

2021年3月期実績

(百万円)

2022年3月期実績

(百万円)

前年同期比

(百万円)

前年同期比

(増減率%)

警備事業

17,201

17,714

512

3.0

 

機械警備

7,207

7,316

109

1.5

輸送警備

2,016

2,023

7

0.4

常駐警備

3,096

3,392

296

9.6

ATM管理

1,631

1,616

△14

△0.9

工事・機器販売

1,148

1,326

178

15.5

その他※

2,102

2,038

△63

△3.0

 

※その他:停解業務、緊急通報業務、保険代理店手数料等

 記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。

 

(ビル管理事業)

前年度に比べ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連影響は限定的で、新規受注や大規模修繕工事の受注、コロナワクチン接種会場の消毒清掃等もあり、全般的に好調に推移しました。また、ビル管理事業の更なる強化を目指し、2022年4月1日付でグループ4社を合併し、東洋テックビルサービス株式会社を発足しました。

ビル管理事業の売上高は、8,968百万円(前期比666百万円8.0%の増収)、セグメント利益は311百万円(前期比76百万円32.5%の増益)となりました。

 

2021年3月期実績

(百万円)

2022年3月期実績

(百万円)

前年同期比

(百万円)

前年同期比

(増減率%)

ビル管理事業

8,301

8,968

666

8.0

 

※記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。

 

(不動産事業)

大口販売用不動産の売却や、新たな収益物件の購入がありました。不動産賃貸も引き続き堅調に推移しております。

その結果、不動産事業の売上高は、782百万円(前期比285百万円57.2%の増収)、セグメント利益は259百万円(前期比80百万円44.8%の増益)となりました。

 

2021年3月期実績

(百万円)

2022年3月期実績

(百万円)

前年同期比

(百万円)

前年同期比

(増減率%)

不動産事業

497

782

285

57.2

 

※記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。

 

財政状態は次のとおりであります。

 (資産)

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、14,074百万円となり、前連結会計年度末に比べ157百万円減少しました。その主な要因は、現金及び預金が102百万円、受取手形及び売掛金が175百万円、契約資産が182百万円等がそれぞれ増加しましたが、一方でATM管理業務に係る受託現預金が628百万円減少したことによるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、15,804百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,096百万円減少しました。その主な要因は、建物及び構築物が161百万円、機械装置及び運搬具が271百万円等がそれぞれ増加しましたが、一方で投資有価証券が2,708百万円減少したことによるものです。

 (負債)   

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、4,814百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,236百万円減少しました。その主な要因は、短期借入金が290百万円、1年内返済予定の長期借入金が2,001百万円等がそれぞれ減少したことによるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、4,618百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,285百万円増加しました。その主な要因は、繰延税金負債が618百万円減少しましたが、一方で社債が1,000百万円、長期借入金が714百万円、長期契約負債が162百万円等が増加したことによるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、20,446百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,302百万円減少しました。

なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の67.7%から0.7ポイント減の68.4%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ105百万円増加5,490百万円となりました。
 

当連結会計年度における各活動別のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は、783百万円であります。その主な内容は、税金等調整前当期純利益787百万円、減価償却費978百万円、投資有価証券売却益1,504百万円、法人税等の支払額308百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動により取得した資金は、203百万円であります。その主な内容は、有形固定資産の取得による支出1,668百万円、無形固定資産の取得による支出449百万円、投資有価証券の売却による収入2,373百万円等であります。 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により使用した資金は、881百万円であります。その主な内容は、短期借入金の返済による支出290百万円、長期借入金の借入による収入1,000百万円、社債の発行による収入969百万円、長期借入金の返済による支出2,286百万円、配当金の支払による支出319百万円等であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中のセグメント別の契約件数は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

契約件数(件)

前連結会計年度末比
増減(件)

警備事業

71,604

1,634

ビル管理事業

6,817

136

不動産事業

6

1

合計

78,427

1,771

 

 

b. 販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前連結会計年度比

増減額(千円)

増減率(%)

警備事業

17,714,321

512,829

3.0

ビル管理事業

8,968,248

666,777

8.0

不動産事業

782,862

285,003

57.2

合計

27,465,433

1,464,610

5.6

 

(注) 1  セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 100分の10以上の相手先別の販売実績はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、27,465百万円、前期比1,464百万円5.6%の増、11期連続の増収となりました。

前年度に比べ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が限定的であったことや、コロナワクチン関連の受注や新規先獲得が寄与しました。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は848百万円、前期比151百万円21.8%の増益となりました。

上記のとおり増収となったことや、コストコントロール、値上げに取組んだことで、ビル管理事業が増益となったこと、また、不動産事業も大口販売用不動産の売却で増益となったが影響しております。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は895百万円、前期比47百万円5.6%の増益となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は459百万円、前期比101百万円18.1%の減益となりました。

投資有価証券売却益1,504百万円を特別利益に、訴訟解決のための和解金1,430百万円、本社隣接建物の取壊し費用67百万円、訴訟弁護士費用41百万円等を特別損失に計上しております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、次のとおりであります。

当警備業界におきましては、半導体不足による機器販売への影響等はありましたが、無観客となったものの延期されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催や、再開されつつある各種イベント、継続的に行われている都市開発への警備ニーズに加え、新型コロナワクチン接種会場の警備等、新たなビジネス機会もありました。

このような経営環境の中、当社グループは第11次中期経営計画(2019年4月から2022年3月まで)の最終年度として、「変革への持続的挑戦」をスローガンに高い収益性と成長力を目指し、「環境変化、技術革新への挑戦」、「収益構造の変革(骨格、体質の改革)」、「ブランド(企業価値)の創造」への取り組みを行いました。

 

当該計画期間における実績は以下のとおりであります。

なお事業等のリスクにつきましては、「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

◆第11次中期経営計画《2019年度(2020年3月期)から2021年度(2022年3月期)》実績

 

2022年3月期

(当初計画)

2022年3月期

(修正計画)

2022年3月期

実績

当初計画

達成率

修正計画

達成率

連結売上高

30,000百万円

27,000百万円

27,465百万円

91.5%

101.7%

連結経常利益

1,700百万円

900百万円

895百万円

52.6%

99.4%

戦略投資額

期間中総額 

9,000百万円

期間中総額

9,000百万円

期間中総額

3,175百万円

35.2%

35.2%

 

※2022年3月期は、中期経営計画の当初計画比、売上3,000百万円減、経常利益800百万円減としています。これは中期経営計画策定時に予想できなかった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、大きく経済環境、社会情勢が変化したことから、現時点における当社グループを取り巻く環境、当社のおかれている状況を検証し、最終年度における2022年3月期の予想を計画比、修正することといたしました。

 

 ◆第12次中期経営計画《2022年度(2023年3月期)から2024年度(2025年3月期)》

当社グループでは、第11次中期経営計画に続き、第12次中期経営計画《2022年4月1日~2025年3月31日》を策定し、「構造改革への挑戦」をスローガンに、引き続き高い収益性と成長力を目指し取り組んでおります。計画の概要は、以下のとおりです。


 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要  ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、警備業務に係る現場対応費用、販売費及び一般管理費の営業費用等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A、不動産等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、M&A、不動産案件や長期運転資金の調達につきましては、金融機関から社債及び長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,041百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,490百万円となっております。

 

 

③重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の残高及び当該期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。

見積り及び仮定については、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき判断を行っております。また、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。

この見積りと判断が、当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えられるのは、以下の重要な会計方針であります。

(退職給付費用)

退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率、年金資産の長期収益率などがあります。当社グループの退職給付においては、割引率は日本の長期金利の水準を基準として算出しております。期待収益運用率は、年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待収益率に基づき計算されます。

(繰延税金資産)

当社グループは、固定資産に繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の計上においては、将来の課税所得見込みと回収計画により行っております。

繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。

(偶発債務)

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。