文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「感謝・感恩・感動の三感を源にして、縁ある方々の期待を超える感動の流れを生み出し、社会の進化と未来の環境に貢献し続ける」ことを経営理念として掲げております。
この理念のもと、医療関連データベースをコアコンピタンスにした、ヘルスケア事業のサービスと製品を通して、日本の医療費の適正化と国民のQOL(Quality of Life)向上に貢献することを経営の基本方針としております。
(2) 経営戦略等
当社グループは、医療関連データベース、レセプトデータ分析および重症化予防指導などの独自技術をもとに、保険者にデータヘルスのPDCAサイクルのPlan(データヘルス計画の立案)、Do(保健事業の実施)、 Check(保健事業の検証)、Act(改善、次年度の計画へ)を一貫して提供するデータヘルス関連サービスを従来より提供しております。また、データヘルス関連サービス提供先から二次利用の許諾を得た匿名加工情報を公益活用のために分析・データ提供するデータ利活用サービスも新たに立ち上げ、主にこれら2つのサービスを提供することで、医療費適正化とQOL向上に貢献しております。
2018年度から国民健康保険の財政運営が都道府県単位となり、都道府県・市町村が連携し医療費適正化を進めることが求められてきました。
また、2023年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)」には、2023年度に作成される第3期データヘルス計画を見据えたエビデンスに基づく保健事業の推進や、医療・介護分野でのDXを通じた医療情報の利活用推進が記載されており、保険者からのレセプトを用いたアウトカムが分かるデータヘルスへの需要は継続するとともに、医療情報の活用への期待も高まっております このような経営環境のもと、当社グループは積極的な営業活動によりこれらの需要を受注につなげ、シェアおよび売上高の拡大を目指します。また、新サービスの開発や既存サービスの機能強化を目的とした将来に向けての研究開発投資を継続した上で、EBITDA(※)の増加を目標とします。
当社グループの主力であるデータヘルス関連サービスについては、地域シェアと販売地域の拡大、介護予防の事業化、分析力強化による都道府県ヘルスアップ事業の拡大、kencom等のサービスの導入拡大により、自治体の単年度導入数500自治体、シェア3割を目指します。
また、新たに立ち上げたデータ利活用サービスについては、データベースの質ならびに量を充実させることで導入数の拡大を進めるほか、他社との提携により製薬・アカデミア等への価値提供の幅を拡大し、更なる売上規模拡大を進めます。
(※)EBITDA=経常利益+金融費用+減価償却費+のれん償却費+臨時に発生した一時費用
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、DeSCヘルスケア㈱を子会社化し新たにデータ利活用サービスを立ち上げるなど新しい局面を迎えており、投資と一時的費用が多額に発生しました。このため、当社の収益力を図る客観的な指標としてEBITDAを採用することにいたしました。経営の効率性を高め、持続的な成長と企業価値の増大を図るため、EBITDAを重要な経営指標と位置づけ、その増大を目標に経営課題に取り組んでまいります。
EBITDAの期首の計画値は7億6百万円、当連結会計年度は44百万円となり、目標は下回ったものの、プラスに転じました。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① データヘルス関連サービスのサービスラインアップと提供体制の強化
従来から行ってきたデータヘルス関連サービスの充実と、DeSCヘルスケア㈱を子会社化したシナジーとしてアプリケーションを活用した新たな保健事業の提供を行い、その提供体制を強化しコスト増加を抑えてまいります。
(イ)従来から行ってきたデータヘルス関連サービスの充実
ニーズが多様化するデータヘルス計画への対応、保険者機能強化をサポートするサービス提供、保健事業と介護予防の一体的な実施に貢献するサービス構築、多様化する都道府県ヘルスアップ事業への対応など、引き続き提供サービスを充実させていきます。
(ロ)アプリケーションの活用による保健事業の提供対象の拡大
DeSCヘルスケア㈱が持つヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」を自治体の保健事業として提供し、これまで行ってきた壮年期世代の生活習慣病重症化予防に加え、より若い世代の健康的な生活習慣の定着に向けた事業に幅を広げ、全国展開を目指してまいります。
(ハ)サービス提供体制の強化
第3期データヘルス計画の作成、県単位での大規模受注など、保険者のニーズに対応したサービスを短納期で大量に提供し、効率的な業務を行えるよう社内体制を整備、損益反転を目指してまいります。
② データ利活用サービスの成長
データヘルス関連サービスで保険者から二次利用(匿名加工情報)への許諾を得た、当社とDeSCヘルスケア㈱のヘルスビッグデータを活用し、医療費の適正化等、公益性のあるデータ利活用サービスの取組みを加速してまいります。
当期は事業をDeSCヘルスケア㈱とともに立ち上げてまいりました。今後はさらに営業体制の強化を推進、協業先との取組みを強化しながら、アカデミア・製薬企業をはじめとするステークホルダーの皆様に利用いただく機会を拡大してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、すべてのステークホルダーの要望や期待に誠実に応えるよう努力しながら、ヘルスケア事業活動を通じて企業としての持続的な成長を目指すとともに、自社の強みを生かしたサービスから社会に還元するサイクルの創出によりさまざまな社会課題の解決に向け取り組み、社会の持続可能な発展に貢献していきます。
また、ヘルスケア事業を持続的成長させるためには、情報セキュリティのリスク管理とサービスを提供するための人材の採用と育成が重要な課題と認識しております。
(2)ガバナンスとリスク管理
当社グループは、ヘルスケア事業を行う企業として、個人情報保護に対する安全管理は当社の最重要課題と認識し、事業活動のなかでお預かりしました個人情報の取扱いについては、万全の管理体制を持つことは社会的使命であることを認識しております。
このため、情報セキュリティについて、重要なサステナビリティ項目とし、情報セキュリティ体制の維持およびリスク管理を行うため代表取締役社長を委員長とする情報セキュリティ管理委員会を設置し、議論した事項は経営審議会に報告し、経営上重要な事項は経営会議においても議論したうえで、特に重要性の高い事項については取締役会に報告する体制としています。
また、サステナビリティ全般の重要な項目については、取締役会で議論を行うとともに、経理審議会を毎週開催し、リスクの把握と対策の検討を行っております。なお、定期的にリスク管理委員会を開催し、全社的に幅広くリスク情報を収集し、取締役会に報告しております。
(3)人材の採用と育成
当社グループは、持続的成長および企業価値向上実現のために、人材は重要な経営資源であると考えております。そのため、当社は、中途採用を主として、思想、信条、性別、国籍等に関係なく、能力や実績を重視した公正な採用を実施しております。
また、人材登用の考え方として、当社経営理念に照らし、自発的行動ができ、他者に思いを馳せつつ内発的動機を引き出すことができる人材を重視しています。
女性の登用につきましては、女性活躍推進法の趣旨に則り、積極的に進めておりますが、過去の傾向から管理職位への登用には課題があると考えており、管理職に対するキャリアプラン支援など実効性のある施策に中長期的に取り組みます。
当社グループでは、人材の育成方針および社内環境整備に関する方針について数値目標は現時点で定めておりませんが、一人ひとりが個々の能力を発揮し、多様な人材が活躍できる柔軟で働きやすい職場環境の整備を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日(2023年9月29日)現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
① 競合他社の参入と価格競争
当社グループが提供するヘルスケア事業の市場は、今後拡大を続けていくと想定しておりますが、当社グループのビジネスモデルと一部重複するビジネスモデルを掲げる競合企業が現れてきました。
当社グループは、長年にわたり培ってきた医療関連データベース、および特許を取得した4つのレセプト分析技術により、他社との差別化を図り継続的な事業成長に努めておりますが、競合他社により当社グループの優位性が失われた場合は、価格競争が激化し、当社グループの経営成績および今後の事業展開に影響をおよぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策としまして、当社グループではお客様の潜在的なニーズを汲み取った新たなサービスの開発ならびに既存サービスの改善を行うほか、当社のノウハウと業務提携先の強みを生かした新たなサービスの創出により、競合他社との更なる差別化を図り、優位性の保持に努めております。
② 医療費適正化における国や自治体の方針変更や関連法令等の改正
当社グループが主に提供しているデータヘルス関連サービスにおいては、医療費適正化を目指す国の方針のもと保険者努力支援制度等による補助金等の支援を国から自治体に行っております。今後支援制度の内容の変更、補助金の減額または廃止等が行われた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、データ利活用サービスにおいては、匿名加工情報の取り扱いにおいて個人情報保護法を遵守して推進しております。今後関連法令の制定、変更が行われた場合、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策としまして、当社グループでは国や自治体の方針に合わせた商品の見直し等を行うことで対応してまいります。
③ 個人情報保護
当社グループは、サービス提供などにおいて、多くの個人情報を取り扱っております。今後不正や事故などにより個人情報の漏洩が発生した場合、損害賠償や信用力の失墜により、当社グループの経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策としまして、当社および、連結子会社である㈱DPPヘルスパートナーズ、DeSCヘルスケア㈱は、それぞれ「プライバシーマーク」認証を取得し、更新審査等を通じて個人情報を保護する体制の維持に努めております。
さらに、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証を取得し、個人情報を含めた様々な情報保護の仕組みを社内に構築した上で個人情報の適正な管理にも努めております。
その上で、情報セキュリティ管理委員会を設置し、情報セキュリティ体制の維持およびリスク管理を行っております。
④ M&Aにおけるのれん等の減損リスク
当社は2022年10月にDeSCヘルスケア㈱の株式を取得し、同社を連結子会社としました。この企業結合により多額ののれんが生じましたが、今後の事業計画との乖離等によって期待されるキャッシュ・フローが生み出されない場合、減損損失等が計上されることにより当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
⑤ ㈱ディー・エヌ・エーとの資本業務提携契約
当社は2022年6月29日付で㈱ディー・エヌ・エーとの間で資本業務提携契約を締結し、両社は事業運営の独立性を相互に尊重し、ヘルスケア事業について協業を進めております。一方で、㈱ディー・エヌ・エーは、2023年9月末現在、当社株式の発行済株式総数の51.65%を保有する親会社であります。そのため、今後、㈱ディー・エヌ・エーの経営方針に変更があった場合、㈱ディー・エヌ・エーによる当社議決権の行使が当社の事業運営ならびに財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
⑥ 人材の確保
現在、情報産業業界においては優秀な人材の確保が難しい状況であり、当社グループが必要な人材獲得を目標どおりできない場合、また、優秀な従業員が退職するなどの事態が発生した場合には、製品開発の遅れや売上計画の未達、残業時間の増加や人材の採用などに伴う経費の増加により、当社グループの経営成績および今後の事業展開に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループでは、積極的な求人活動を継続するほか、一人ひとりが個々の能力を発揮し、多様な人材が活躍できる柔軟で働きやすい職場環境の整備を進めるとともに待遇の改善に継続的に取組み、従業員の定着率向上に努めております。
⑦ 感染症拡大による経済的影響
ここ数年間に渡り、新型コロナウィルス感染症の拡大は事業運営に対し大きなリスクとなってきました。当社グループにおいては営業活動の制限や保健事業の一部で事業の中止や延期が決定するなどの影響が生じました。その間、当社グループでは、在宅勤務の実施、時差出勤、マスク着用の徹底などを実施し感染予防に努めたほか、保健事業の実施においてweb面談への切り替えを進めるなど感染リスクの低減を進めてまいりました。
2023年に入り新型コロナウィルス感染症拡大は収束傾向にありますが、これまでに得られた知見を将来の新たな感染症に伴うリスクにも応用いたします。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、物価高などの懸念事項があるものの、ウィズコロナの下で景気は緩やかな回復傾向となりました。
当社グループの主要顧客である自治体の国民健康保険、後期高齢者医療広域連合などの保険者においては感染症拡大防止等を目的として、保健事業の中止・延期または事業規模縮小を選択するなどの影響がみられました。一方で、保険財政の改善のための保険者による予防・健康づくりの推進および医療費適正化に向けての取組みは継続されており、当社の主力である市町村国保のデータヘルス関連サービスの需要は堅調に推移しております。また、都道府県が実施する国保ヘルスアップ支援事業による都道府県からの需要も多様化しつつ継続しております。
このような状況下で、当社は、2022年10月3日付で㈱ディー・エヌ・エーからDeSCヘルスケア㈱(以下、DeSC)の株式を取得し、第2四半期連結会計期間より同社を連結子会社としております。今後は、引き続きデータヘルス関連サービスの安定的な成長と、新たにデータ利活用サービスの力強い立ち上げを目指しております。なお、DeSCは「kencom(ケンコム)」(健康保険組合や自治体等で導入され、利用者の健康診断結果や楽しく健康増進を促進する仕組みを取り入れたヘルスケアエンターテインメントアプリ)などの運営とデータ利活用サービスを中心としたヘルスケア事業を行っております。
新体制となった、当連結会計年度において当社グループは、従来のデータヘルス関連サービスの販売活動に加えて、データ利活用サービスの立ち上げのための活動も積極的に行いました。
データヘルス関連サービスの売上高は市町村国保向けの売上高が増加した一方で、生活保護向けの需要が減少したことおよび都道府県からの受注の一部が継続しなかった等の減少要因があったものの、DeSCにおけるデータヘルス関連サービスの売上高が加わった結果、前期比1億7百万円の増加となりました。また、前期よりDeSCと協業して立ち上げたデータ利活用サービスの売上高は7億86百万円となり、順調に伸びております。データ利活用サービスを含むDeSC子会社化の影響で売上高は14億82百万円増加となり、全体では当連結会計年度の売上高は14億20百万円増加し、44億10百万円(前年同期比47.5%増)となりました。
費用面においては売上原価ならびに販売費及び一般管理費がDeSC子会社化により17億52百万円増加したほか、DeSC取得にかかるのれんの償却費1億92百万円などにより前年同期に比べ増加しております。
この結果、売上高の増加以上に売上原価ならびに販売費及び一般管理費が増加し、営業損失は4億98百万円(前連結会計年度は3億15百万円の営業損失)となりました。
営業外損益では、第三者割当増資ならびに公開買付等に係るコンサル報酬等の支払手数料が1億27百万円発生したため、経常損失は5億99百万円(前連結会計年度は3億79百万円の経常損失)となりました。
特別損益では、DeSCが所有するソフトウエアについて減損処理を行い、1億20百万円の減損損失を計上しました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は6億64百万円(前連結会計年度は4億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社単体では、増収増益ならびに損益反転を目指してまいりましたが、2023年度案件の売上計上が予測より後ろ倒しとなったこと等により売上高が目標に届かず、増収増益は達成したものの、95百万円の営業損失となりました。一方で、EBITDA(注)は1億45百万円(前事業年度は90百万円のマイナス)と損益反転を達成しており、収益力は着実に改善しております。
また、連結でのEBITDAは44百万円と黒字化を達成しております。
(注)EBITDA=経常利益+金融費用+減価償却費+のれん償却費+M&Aに関連して発生した一時の費用
(イ)財政状態
(資産の状況)
資産合計の当連結会計年度末の残高は、前期末に比べて41億26百万円増加し、63億90百万円となりました。
このうち、流動資産は売掛金及び契約資産が3億10百万円増加したほか、DeSC子会社化により現金及び預金が6億98百万円増加したことで10億97百万円増加し、当連結会計年度末の残高は21億46百万円となりました。
また、固定資産はDeSC子会社化によりのれんが23億79百万円増加したほか、同社が保有するソフトウエアなどにより30億28百万円増加し、当連結会計年度末の残高は42億43百万円となりました。
(負債の状況)
負債合計の当連結会計年度末の残高は、前期末に比べて13億87百万円増加し、23億64百万円となりました。
このうち、流動負債は金融機関からの短期借入金の増加50百万円のほか、1年内返済予定の長期借入金が6億10百万円発生したことなどにより、9億76百万円増加し、当連結会計年度末の残高は19億8百万円となりました。
また、固定負債は長期借入金が4億10百万円発生したことなどにより4億11百万円増加し、当連結会計年度末の残高は4億55百万円となりました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産の残高は、第三者割当増資の払込みにより資本金および資本準備金がそれぞれ16億99百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失6億64百万円および配当支払により利益剰余金が70百万円減少したことなどにより前期末に比べて27億39百万円増加し、40億25百万円となりました。
また、自己資本比率は60.8%となりました。
(ロ)経営成績
(売上高)
当社グループの当連結会計年度の売上高は、市町村国保向けの売上高が増加した一方で、生活保護向けの需要が減少したことおよび都道府県からの受注の一部が継続しなかった等の減少要因があったものの、DeSCにおけるデータヘルス関連サービスの売上高が加わったほか、DeSCと協業して立ち上げたデータ利活用サービスの売上高が順調に伸びております。データ利活用サービスを含むDeSC子会社化の影響で売上高は14億82百万円増加となり、全体では前期と比べて14億20百万円増加(前期比47.5%増)となり、44億10百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、DeSC子会社化などにより売上原価が増加したため、前期と比べて1億62百万円増加し、14億19百万円となりました。なお、売上高総利益率は32.2%となりました。
(営業損益)
営業損益は、販売費及び一般管理費がDeSC子会社化により増加したほか、DeSC取得にかかるのれんの償却費1億92百万円などにより、4億98百万円の営業損失(前連結会計年度は3億15百万円の営業損失)となりました。売上高営業利益率は、△11.3%となりました。
(経常損益)
経常損益は、賃貸不動産の受取家賃ならびに賃貸収入原価が発生しました。また、第三者割当増資ならびに公開買付等に係るコンサル報酬等の支払手数料が発生したため、5億99百万円の経常損失(前連結会計年度は3億79百万円の経常損失)となりました。売上高経常利益率は、△13.6%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損益は減収の影響に加えて、DeSCが所有するソフトウエアのうち、将来の収益獲得が見込まれなくなったものについて減損を行いました。これらの結果、6億64百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前連結会計年度は4億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ6億98百万円増加し、当連結会計年度末には10億78百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、1億98百万円(前連結会計年度は4億42百万円の使用)となりました。
これは、主に税金等調整前当期純損失7億29百万円、減価償却費3億3百万円、のれん償却額1億92百万円、減損損失1億20百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、35億14百万円(前連結会計年度は5億72百万円の使用)となりました。
これは、主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出27億83百万円、固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、44億11百万円(前連結会計年度は3億31百万円の獲得)となりました。
これは、主に株式の発行による収入33億99百万円、金融機関からの運転資金の借り入れによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当社グループの事業は提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
(ロ)受注実績
当連結会計年度の受注保険者数および受注保険者数残高の実績は、次のとおりであります。
|
サービスの名称 |
受注顧客数 (件) |
前年同期比 (%) |
受注顧客数 残高 (件) |
前年同期比 (%) |
|
データヘルス関連サービス |
775 |
121.5 |
645 |
138.4 |
|
データ利活用サービス |
47 |
- |
11 |
- |
|
合計 |
822 |
128.8 |
656 |
140.8 |
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をサービスの区分ごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
|
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
前年同期比 (%) |
|
データヘルス関連サービス |
2,952,330 |
103.8 |
|
データ利活用サービス |
786,204 |
5414.6 |
|
その他 |
671,950 |
513.6 |
|
合計 |
4,410,484 |
147.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(ロ)経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は44億10百万円(前期比47.5%増)となりました。売上高が増加した大きな要因は次のとおりと認識しております。
a.新規連結子会社(DeSC)の影響
2022年10月にDeSCの株式を取得し、当連結会計年度から同社を連結子会社としております。DeSCは「kencom(ケンコム)」などの運営とデータ利活用サービスを中心としたヘルスケア事業を行っており、当連結会計年度におけるDeSCの売上高は14憶82百万円となります。これは当連結会計年度における当社グループ売上高の33.6%を占めており、前期からの大きな増加要因となりました。
上記の通り、DeSCの子会社化によって大きく増収となりましたが、売上原価ならびに販売費及び一般管理費についてもDeSCを連結子会社としたことにより大幅に増加いたしました。DeSCは現在投資フェーズにあるため、これらのコストの増加が増収額を上回り、営業損失が増加いたしました。また、DeSC取得において多額ののれんを計上したため、のれん償却費1億92百万円が発生し、これらにより営業損失は4億98百万円(前連結会計年度は3億15百万円の営業損失)となりました。また、経常損失は第三者割当増資ならびに公開買付等に係るコンサル報酬等の支払手数料が多く発生したため、5億99百万円(前連結会計年度は3億79百万円の経常損失)となりました。売上高経常利益率は△13.6%であり、期首の予想値を下回りました。
なお、親会社株主に帰属する当期純損失は、上記の要因に加え減損損失の計上などにより6億64百万円(前連結会計年度は4億10百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(イ)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(ロ)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は事業運営上必要な人件費および業務委託費などの運転資金ならびに研究開発投資に必要な人件費および外注費などであります。
当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金は10億78百万円、有利子負債は14億70百万円であります。
当社グループは、自治体との契約が中心となるため、自治体の年度末である3月末までを契約期間とする業務が多く、営業収入の入金が第4四半期に集中いたします。このため、期中は運転資金の外部調達が必要になりますが、複数の取引銀行と当座貸越契約を締結しており、機動的な資金確保が可能であります。また、当座貸越契約の借入枠については十分な金額を確保しております。
なお、将来大規模な投資資金などの資金需要が発生した場合には、エクイティファイナンス等による調達手段を検討してまいります。
株主還元については、財務体質の強化および積極的な事業展開に備えるため必要な内部留保を確保しつつ、配当性向30%程度を目安として業績に対応した配当を行うことを基本方針としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りや仮定によることが必要になります。経営者は、過去の実績や状況および現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点でもっとも合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に採用しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが採用しております会計方針のうち、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(1) DeSCヘルスケア㈱と当社はデータヘルス関連サービスにおける業務提携契約を締結しております。
契約締結日 2020年4月2日
契約期間 2020年4月1日から2023年3月31日まで。以降一方当事者から期間満了の3カ月前までに別段の意思表示がない限り1年間自動延長され、以降も同様とします。
(2) 当社は、2020年8月14日開催の取締役会において、㈱ディー・エヌ・エーとの間で資本業務提携契約を締結することについて決議を行い、同日付けで資本業務提携契約を締結しております。当該契約に基づき㈱ディー・エヌ・エーは、当社の普通株式306,700株を2020年8月21日付で取得しております。
(3) DeSCヘルスケア㈱と当社は医療ビッグデータのデータベース共有に関する契約を締結しております。
契約締結日 2021年8月6日
契約期間 2021年5月1日から2022年3月31日まで。以降一方当事者から期間満了の3カ月前までに別段の意思表示がない限り1年間自動延長され、以降も同様とします。
(4) 当社は、2022年6月29日開催の取締役会において、第三者割当による新株式発行の議決を行っております。本決議に関し、2022年8月3日付で㈱ディー・エヌ・エーに2,016,600株を割り当て、当社は㈱ディー・エヌ・エーの子会社となりました。また、当社は2022年10月3日付で㈱ディー・エヌ・エーが所有するDeSCヘルスケア㈱の株式の全部(発行済のDeSCヘルスケア㈱株式の95%)を取得し、同社を子会社といたしました。
当社グループは、日本の医療費削減と国民の健康に貢献するためのサービスと製品の研究開発を進めております。
現在の研究開発は、医療関連データベースの開発およびメンテナンス、ヘルスケア事業の機能開発を当社で行っております。また、自社で使用するシステムの開発は、当社ならびに連結子会社の開発部門で行っております。
当社グループの研究開発活動の結果はその内容により、ソフトウエアまたは研究開発費に分けて計上されます。
当連結会計年度の研究開発活動の総額は662百万円で、サービス提供のための部門間の情報連携強化のシステム開発、サービスを提供している既存システムの効率化および機能強化に重点を置き、ソフトウエアに403百万円、ソフトウエア仮勘定に144百万円を計上しております。
また、新サービスの開発をはじめ、既存サービスの改良などを行い、研究開発費は
なお、研究開発スタッフはグループ全体で61名であり、これは総従業員数の16.0%にあたります。