第2【事業の状況】

 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ)の消費税等に係る会計処理は、税抜方式によっているため、この項に記載の売上高、生産実績、販売実績等の金額には、消費税等は含まれておりません。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(経営方針)

 2030年ビジョン「Change the Future ~技術と創造力で新時代に新価値を提供します~」の実現に向け、「グループの総合力で新価値を創造する」を経営方針とした21-23中期事業計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定しております。

 

(経営環境と経営戦略)

 当社を取り巻く経営環境は、自動車業界では、CASEの進展による大変革に加え、新型コロナウイルスの感染拡大影響による物流の停滞、半導体がボトルネックとなるサプライチェーンの混乱により、予断を許さない状況が続いております。

 自動車の急速な電動化、自動運転やインターネットを介して社会インフラと繋がるコネクテッドカーなどの車の知能化、そして、車の所有から共有化の拡大など自動車に対するニーズや価値観の変化が急速に進んでいることにより、コンベンショナルな製品のコモディティ化が急速に進み、メカニカルな製品の競争は新たな機能・付加価値を生み出す生産技術型から、コスト重視の量産型へ移行しております。

 この様な変化に対し、生産技術・開発領域では技術ノウハウの外販と電動化分野を中心に新分野への展開を、量産領域においては徹底したローコストオペレーションの実現を図ってまいります。このようにそれぞれの軸における方針を推進し、「収支構造の変革」及び「収益構造の転換」を図ってまいります。また販売領域ではシェアリングを見据えた「収益源泉の多様化の構築」を重点方針に掲げ、グループ一丸となって強力に推進してまいります。

 その対応の基本的な方向性を下記の通り明確化いたしました。

 

(1)高効率モーターの要素技術及びその製造技術の開発と収益化

(2)合理化の為のAI技術、IoT技術及びこれらを活用した自動化設備の開発と販売

(3)既存アルミダイカスト技術の進化とその技術を活用した軽量化部品の開発

(4)上記アルミダイカスト製品の販路拡大

(5)自動車部品製造の徹底した合理化と固定費の削減(既存事業領域)

 

 また、セグメントごとの短期課題対応は次のとおりであります。

1.日本

 日本では、新規V6エンジン向け動弁系部品及び車載発電用エンジン向け部品の生産能力拡大、アルミダイカスト技術を活用した電動化領域部品の拡大を図ってまいります。

 

2.米国

 米国では、モデルチェンジに伴う能力不足が発生する見込みですが、グループ内の生産能力を活用し、内燃機関部品に向けた新規投資を極力抑え、アルミダイカスト技術を活用した軽量化部品等への経営資源の投入に努めてまいります。

 

3.タイ

 タイでは、日米で量産を開始しているアルミロッカーアームのアセアン地域への適用拡大に伴う現地生産により、今後成長を続けるアセアン地域において売上拡大を目指してまいります。

 

4.ベトナム

 ベトナムでは、引き続き、製造原価の低減及び品質の向上に努め、売上拡大に努めてまいります。

 

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

 優先的に対処すべき事業上の課題といたしましては、自動車業界は、CASE進展の趨勢は間違いなく、自動車の差別化はメカニクスからエレクトロニクスへ移行し、これまで当社が強みとしてきた高品質やメカニクスの生産技術における競争は、コスト競争重視へ移行しており、既存自動車部品製造における課題は徹底したローコストオペレーションへの転換と減収タフネスの構築と認識しております。

 また、当社がこれまで培ってきたメカニクスの生産技術を活かすべく、これまでの事業領域である部品製造の上流プロセスである開発・工程設計分野での技術・ノウハウ・設備の外販、xEV・非自動車の電動化領域への展開が必要であり、その分野で活躍できるスキルを持つ人材の確保と継続的な案件発掘、トライアンドエラーを許容できる収益体質の確立と認識しております。

 財務上の課題といたしましては、親会社の財務体質改善が優先的に対処すべき課題であり、親会社での着実な利益の積み上げと、優良な財務体質の海外子会社からの資金還流により達成してまいります。

 

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 当社グループが目標とする経営指標は効率性と収益性を示すROAとしており、長期目標として6.0%を目指しております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済状況の変化について
 様々な要因による経済の低迷、消費者の購買意欲低下は、四輪車、二輪車及び汎用製品の需要低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」で事業展開をしており、全世界の市場に当社の製品を供給していることにより、各々の国における経済悪化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当社グループは、国をまたぎ複数拠点を持つ強みを生かし、一部市場低迷による影響の最小化に向けた、相互補完体制を強化してまいります。

(2)特定の産業への依存について
 当社グループは自動車部品の製造販売を主な事業内容とし、「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」において自動車部品の製造販売を行っており、また、併せて日本において自動車販売事業を営んでおります。連結売上高に占める比率は自動車部品製造事業が大きく、当社グループの業績は生産拠点各国の自動車生産台数の影響を受ける可能性があり、また自動車販売事業につきましても国内自動車販売台数の影響を受ける可能性があります。
 当社グループは、組織体制として生産本部の生産改革プロジェクト及び生産業務部において、既存事業領域における生産体質の再構築を行い収益基盤を強化してまいります。また、次世代の新価値創出をリードする機能本部の事業開発部において、自動車進化並びに自動車以外の分野への取り組みを推進してまいります。

(3)特定の取引先への依存について
 当社グループの主な販売先は本田技研工業株式会社及びその関係会社であり、連結売上高に占める同グループ向けの販売は高い比率を占めております。したがいまして、同グループの四輪車、二輪車及び汎用製品の販売状況により当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。

 当社グループでは、既存部品の系列外メーカー及びメガサプライヤーへの販路拡大に努めてまいります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(千円)

連結売上高に
占める割合(%)

金額(千円)

連結売上高に
占める割合(%)

本田技研工業㈱

8,083,148

25.3

6,760,827

26.0

ホンダ オブ アメリカ マニュファクチュアリング・インコーポレーテッド

8,260,740

25.8

6,685,208

25.7

その他本田技研工業㈱の関係会社

8,926,658

27.9

6,417,738

24.6

合計

25,270,547

79.0

19,863,774

76.3

連結売上高

32,004,514

100.0

26,041,013

100.0

 

(4)特定の製品への依存について
 当社グループは自動車部品の製造販売を主な事業内容としております。当社グループが取り扱う自動車部品には四輪車、二輪車、汎用のエンジン部品、ミッション部品、シャーシ部品等、多数の品目があります。それぞれの品目及び新規製品での受注拡大を図るための活動を推進しておりますが、連結売上高に占める自動車部品四輪エンジン部品のロッカーアームASSYの割合が大きく、2020年3月期65.3%、2021年3月期64.8%となっております。したがいまして、当社取引先がロッカーアームに替わる新機構や、内燃機関に替わる新動力源を大幅に適用した場合、また競合他社との競争により受注を失った場合には、当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。
 当社グループは、既存アルミダイカスト技術の進化とその技術を活用した軽量化部品の開発と販路拡大、高効率モーターの要素技術及びその製造技術の開発への取り組みを推進してまいります。

(5)品質問題について
 当社グループは、製造工程等での予期せぬ品質不具合の発生が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、グローバル規模での品質保証体制を構築し、品質の維持、向上に引き続き努めてまいります。

(6)為替変動について
 当社グループは、製造及び販売する製品を海外のグループ会社と直接取引及び商社を介した取引を行っております。商社を介した取引は、自国通貨決済のため仕入れ値変動はありませんが、直接取引では、自国通貨安の場合は仕入れ値が上昇し、当社グループの業績が大きく影響を受ける可能性があります。また、連結決算を組む際、海外子会社の業績を期末の為替レートで邦貨換算するため、為替変動が大きく影響を受ける可能性があります。

(7)災害・戦争・テロ・ストライキ等の影響について
 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、それらの事業は自然災害、疫病、戦争、テロ、ストライキ等に影響されやすく、これらの事象が発生した地域においては、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、それが長引くようであれば、当社の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、海外生産拠点における生産の分散化、仕入先との連携強化を図るとともに、生産管理体制の強化を行うことにより、リスクの最小化に努めてまいります。

(8)特定の地域における事業所の集中について
 当社グループは、国内の生産拠点及び自動車販売事業の販売店はすべて富山県下に集中しております。また、外注加工先につきましても同じく富山県下に集中しております。したがいまして、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止を生じさせる自然災害等がこの地域に発生した場合、当社の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、グローバル規模での生産管理体制の強化を推進しており、海外生産拠点における生産の分散化、仕入先との連携強化を図ることにより、リスクの最小化に努めてまいります。

(9)新型コロナウイルス感染拡大について
 当社グループは自動車部品の製造販売を主な事業内容としております。新型コロナウイルス感染拡大は当社グループにおいて売上高の減少や感染者発生による工場の稼働率低下等により、経営成績、財政状態等に影響をもたらすため、下記の通り対応し、事業リスクの最小化に努めてまいります。

(当社グループの対応策)

 ①売上高減少への対応策

  ・総費用の削減

  ・設備投資の最小化や手元資金の確保

  ・当社グループへ影響をもたらす自動車業界における生産動向調査

  ・取引先様への製品の安定供給のための生産調整

 ②感染者発生による稼働率低下への対応

  ・集会やイベント、会食の参加の禁止

  ・出張の原則禁止(テレビ会議等の活用)

  ・テレビ会議の活用、対面必要時は30分内及び席間隔2メートルでの対応

  ・在宅勤務

  ・消毒資材、体制の整備

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 

 当連結会計年度における当社を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が停滞を余儀無くされ、世界経済は悪化いたしました。その影響から、取引先である自動車業界は、中国では感染拡大の封じ込め等により販売台数は回復したものの、その他地域の販売台数は景気悪化の影響を受け、欧米を筆頭に軒並み減少いたしました。
 このような環境の中、売上高につきましては、景気悪化等による受注減少により、26,041百万円(前期比18.6%減)となりました。損益につきましては、前述の減収影響はありましたものの、総費用削減により、営業損失239百万円(前期は320百万円の営業損失)、経常損失197百万円(前期は162百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失571百万円(前期は670百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 セグメントの業績は、次のとおりであります。
1.日本
 売上高につきましては、景気悪化等による受注減少により、12,868百万円(前期比13.3%減)となりました。損益につきましては、先述の減収影響はありましたものの、総費用削減に努めましたことにより、260百万円のセグメント損失(前期は1,074百万円のセグメント損失)となりました。
2.米国
 売上高につきましては、景気悪化等による受注減少により、8,418百万円(前期比20.9%減)となりました。損益につきましては、総費用削減に努めましたものの、先述の減収影響により、178百万円のセグメント損失(前期は186百万円のセグメント利益)となりました。
3.タイ
 売上高につきましては、景気悪化等による受注減少により、4,039百万円(前期比27.1%減)となりました。損益につきましては、総費用削減に努めましたものの、先述の減収影響により、91百万円のセグメント利益(前期比69.8%減)となりました。
4.ベトナム
 売上高につきましては、景気悪化等による受注減少により、715百万円(前期比26.5%減)となりました。損益につきましては、総費用削減に努めましたものの、先述の減収影響により、96百万円のセグメント利益(前期比53.5%減)となりました。

 総資産につきましては、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ58百万円増加し、36,898百万円となりました。負債の部では、退職給付に係る負債の増加等により、154百万円増加し、15,743百万円となりました。なお、純資産の部では、利益剰余金の減少により、96百万円減少し、21,154百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度と比較して845百万円増加し、当連結会計年度末には6,458百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は3,059百万円(前期比15.2%減)となりました。主な内訳は、減価償却費2,730百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は1,444百万円(前期比64.5%減)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出2,249百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は879百万円(前期は1,181百万円の収入)となりました。主な内訳は、長期借入れによる収入400百万円、短期借入金の増加1,105百万円、長期借入金の返済による支出2,265百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

1.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

8,460,154

85.5

米国(千円)

8,205,343

76.6

タイ(千円)

4,036,661

73.9

ベトナム(千円)

701,648

70.6

合計(千円)

21,403,807

79.1

 

2.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

8,370,661

81.6

418,241

74.3

米国

8,470,062

82.6

700,247

108.0

タイ

4,310,929

77.6

375,516

110.3

ベトナム

1,089,871

75.8

223,751

104.2

合計

22,241,524

80.9

1,717,756

97.2

(注)金額は販売価格によっております。

3.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

12,868,139

86.7

米国(千円)

8,418,399

79.1

タイ(千円)

4,039,322

72.9

ベトナム(千円)

715,151

73.5

合計(千円)

26,041,013

81.4

(注)1)セグメント間の取引については相殺消去しております。

2)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

本田技研工業㈱

8,083,148

25.3

6,760,827

26.0

ホンダ オブ アメリカ マニュファクチュアリング・インコーポレーテッド

8,260,740

25.8

6,685,208

25.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、景気悪化等による受注減少により、売上高は26,041百万円(前期比18.6%減)となりました。損益につきましては、前述の減収影響はありしたものの、総費用削減により、営業損失239百万円(前期は320百万円の営業損失)となりました。詳細につきましては、前述の「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 また、総資産につきましては、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ58百万円増加し、36,898百万円となりました。負債の部では、退職給付に係る負債の増加等により154百万円増加し、15,743百万円となりました。なお、純資産の部では、利益剰余金の減少により、96百万円減少し、21,154百万円となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える主要因として、主要顧客の販売状況及び当社主力製品の販売状況が挙げられます。

 その対応といたしましては、直近課題として新型コロナウイルスの新たな変異株発生による感染再拡大、また半導体不足による顧客における生産調整等、先行き不透明な状況の下での、感染拡大予防ならびに総費用の圧縮と最小限の設備投資の経営による、ミニマム体質を推進してまいります。

 また、自動車業界はCASE革命によって、既存領域のコモディティ化や市場縮小が予想を上回るスピードで進行し、一層の価格競争激化が進んでいることにより、この様な変化に対し、新たな戦略の方向性として、生産プロセスにおいて、徹底した固定費削減を実施し、強みである量産の企画や構想並びに設計などの技術や技能の外販を進め、xEVソリューションなど新領域へ展開してまいります。更には、2030年を見据えた長期的課題として、自動車進化並びに自動車以外の分野での社会貢献を実現すべく強力な取り組みが必要と認識し、2030年ビジョン「Change the Future~技術と創造力で新時代に新価値を提供します~」を掲げ推進してまいります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について当社グループでは生産活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるもののほか、投資活動において、新機構となる動弁系部品の立上げや生産能力の増強及び設備保全、更に今後の課題対応に向け、車載発電用エンジンの部品やアルミダイカスト技術を活用した電動化領域における部品等の新規立上げへの投資を適宜行う予定としております。

 これらの資金に対しましては、既存事業での新規受注獲得により安定した収益基盤を強化しつつ、新規事業展開への資源配分を拡大し、一層の利益追求を図ると同時に、たな卸資産の回転率向上、固定資産の稼働率向上を通して資産の効率化に取り組んでまいります。また、不足分の資金は有利子負債による調達を基本にしており、取引銀行との安定した調達体制の維持に努めてまいります。

 

 なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は9,251百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び預金は7,101百万円であります。

 資金は原則として当社で管理しており、当社グループの設備投資資金の調達につきましては、全て当社の事前承認の上実施しております。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、当社グループの目標はROAとしており、実績は△1.6%となりました。引き続き、効率的な資産の活用をし、長期目標として6.0%を目指してまいります。

 

 また、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 経営成績の分析につきましては、前述の「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 検討内容につきましては、前述の「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(経営環境と経営戦略)」に記載のとおりであります。

 

 前述の通り各セグメントにおきましては検討をしてまいりますが、「日本」、「米国」、「タイ」及び「ベトナム」各セグメントにおいて、新型コロナウイルスの新たな変異株発生による感染再拡大、また半導体不足による顧客における生産調整等、依然として先行き不透明な状況は続くものと考えられ、コロナ前水準に戻るのは2022年以降と予測されます。その対応として引き続き「COVID-19対策本部」主導による感染拡大予防ならびに総費用の圧縮と最小限の設備投資の運用をし、ミニマム体質対応をしてまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値には不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

 (固定資産の減損)

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

 (繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について毎期回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、外部の情報源に基づく情報等を含む、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を加味した見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項」の「追加情報 新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

 (たな卸資産)

 当社グループは、顧客に対する供給義務を果たすために保有する補修用部品等に係るたな卸資産について、入庫あるいは生産終了から一定の期間を超える場合に一定の率に基づいて規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。なお、これらのたな卸資産の評価減の判定は、当社グループが過去より蓄積してきた製品等の出荷データ及び使用実績により、当該ライフサイクルの実態を把握できていることを基礎としております。

 経営者は、たな卸資産の評価にあたり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、将来需要や市場状況などの変化により、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、顧客ニーズに対して性能、品質及びコストパフォーマンスに優れる製品をタイムリーに生産すると同時に、将来の製品化を見据えた研究開発が重要と考えており、新製品の開発や既存製品の改良・改善によって、製品価値を高めることにより、競争力ある製品づくりに取り組んでおります。そして、それを実現するための要素技術として新素材・新製造方案・新機構・新規設備などの開発に取り組んでおります。
 研究開発活動は、主に当社の開発統括部が行っており、開発テーマを効率良く短期に完結させるために、必要に応じてプロジェクト体制で取り組んでおります。また、顧客の技術部門や、その他の産学機関などとの密接な連携のもと製品開発を進めております。
 当連結会計年度の研究開発活動の成果としては、当社主力部品であるロッカーアームで培ったアルミダイカスト技術を進化させ、鋳巣をコントロールすることで要求性能を高品質で実現することが可能になり、新製品に技術を投入しております。

 また、電動分野の製品開発では、接着積層モーターコアの生産性向上に寄与する製造技術開発を推進しており、国内外のお客様での試作評価、技術支援を開始しております。電動分野においては、更なる性能向上を目指した次世代モーター製造技術開発にも取り組んでおり、製品化に向けた開発を推進しております。

 今後も既存製品技術の競争力強化と共に、電動化時代のニーズに対応できる新技術の構築に向け引き続き研究開発に取り組んでまいります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、447百万円となっております。当社グループは、研究開発活動のほとんどを日本で行っておりますので、セグメント情報に関連付けての金額記載は省略いたします。