1 【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名 称  ネイビー1株式会社

所在地  東京都千代田区有楽町一丁目13番2号第一生命日比谷ファースト12階

 

2 【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1) 意見の内容

当社は、2024年6月4日開催の当社取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議を行いました。

なお、上記取締役会決議は、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む)全員の承認」に記載の方法により決議されております。

 

(2) 意見の根拠及び理由

本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

 

① 本公開買付けの概要

今般、公開買付者は、2024年6月4日、2024年6月5日より、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式の全て(但し、以下に定義する不応募株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、最終的に当社株式を非公開化するための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを開始することを決定したとのことです。

なお、本書提出日現在において、当社は公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、本取引は、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することは現時点では合意されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注1)にも該当いたしません。

(注1) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が当社の役員との合意に基づき公開買付けを行うものであって当社の役員と利益を共通にするものである取引をいいます。

 

公開買付者は、本公開買付けを通じた当社株式の取得等を目的として、2024年5月22日に設立された株式会社とのことです。公開買付者の発行済株式の全てを、日本法に基づき設立されたネイビー2株式会社(以下「公開買付者親会社」といいます。)が所有しており、公開買付者親会社の発行済株式の全てを米国デラウェア州法上のリミテッド・パートナーシップであるMIRI Opportunities Fund LP(以下「MIRI Opportunities Fund」といいます。)が所有しているとのことです。MIRI Opportunities Fundのゼネラル・パートナーは、米国デラウェア州法上のリミテッド・ライアビリティー・カンパニーであるミリ・キャピタル・マネジメント・エルエルシー(MIRI Capital Management LLC。以下「MIRI」といいます。)とのことです。MIRIは、その傘下の投資ファンド及び関連会社(以下「MIRIグループ」と総称します。)の運用、管理又はアドバイスを提供しているとのことです。

 

本書提出日現在、公開買付者、公開買付者親会社及びMIRI Opportunities Fundは、当社株式を所有していないとのことです。MIRIは、本書提出日現在、当社株式を1,146,600株(所有割合(注2):26.28%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、別途の記載がある場合を除き、比率の計算において同様に計算しています。以下「不応募株式」といいます。)をファンド及び投資一任契約に基づき所有しているとのことです。具体的には、当社が2023年11月14日に提出した「第8期第2四半期報告書」に記載のとおり、当社の第1位株主として、BNYM AS AGT/CLTS NON TREATY JASDEC(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)が、当社株式1,146千株を所有する旨が記載されておりますが、当該当社株式は米国デラウェア州法上のリミテッド・パートナーシップであるMIRI Strategic Emerging Markets Fund LP(以下「MIRI SEM Fund」といいます。)が所有しているとのことです。MIRIは、MIRI SEM Fundのゼネラル・パートナーであり、MIRI SEM Fundが所有する当社株式の全てについて、ファンド及び投資一任契約に基づき、議決権を行使する権限及び投資を決定する権限を有することにより当社株式を所有しているとのことです。なお、本書提出日現在、MIRIが所有する当社株式のほかに、MIRIグループとして所有する当社株式はないとのことです。MIRIは、2021年4月8日から2023年3月31日までの間に当社株式1,146,600株(所有割合:26.28%)を市場内取引により取得しており、2023年4月1日以降は当社株式を取得していないとのことです(注3)。

(注2) 「所有割合」とは、当社が2024年5月15日に提出した「2024年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2024年3月31日現在の当社の発行済株式総数(4,685,745株)から、当社決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(323,154株)を控除した数(4,362,591株)に対する所有株式数の割合をいいます(小数点以下第三位を四捨五入しております。

(注3) なお、MIRIは、2023年3月30日に提出した大量保有報告の変更報告書において、変更報告義務発生日(2023年3月23日)時点の所有株式数として1,141,400株である旨を記載しておりますが、その後2023年3月31日までの間に1%未満の株式取得をしているため、本書提出日現在は1,146,600株を所有しているとのことです。

 

公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、2024年6月4日付で、当社株式1,009,800株(所有割合:23.15%)を所有する第2位株主であるアセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド(Asset Value Investors Limited)との間で、公開買付応募契約(以下「本応募契約」といいます。)を締結し、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドは、その所有する当社株式のほぼ全ての株式(所有株式数:950,600株、所有割合:21.79%)(以下「応募予定株式」といいます。)を本公開買付けに応募する旨の合意をしているとのことです。

また、公開買付者は、2024年6月4日付で、MIRIとの間で、その所有する不応募株式1,146,600株(所有割合:26.28%)について、本公開買付けに応募しない旨を口頭により合意(以下「本不応募合意」といいます。)しているとのことです。加えて、公開買付者及びMIRIは、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の当社の株主を公開買付者及びMIRIのみとし、当社株式を非公開化するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)後、公開買付者親会社に対して本不応募株式の全部について再出資すること、本臨時株主総会(以下に定義します。)において各議案に賛成することを合意しているとのことです。

なお、本応募契約及び本不応募合意の詳細については、下記「(7) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」をご参照ください。

 

 

公開買付者は、本公開買付けにおいては、買付予定数の下限を1,761,800株(所有割合:40.38%)と設定し、本公開買付けに応募された当社株式(以下「応募株券等」といいます。)の合計が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全ての買付け等を行わないとのことです。一方、公開買付者は、当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び不応募株式を除きます。)の全てを取得することにより、当社株式を非公開化することを目的としているため、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全ての買付け等を行うとのことです。

なお、買付予定数の下限(1,761,800株)は、当社決算短信に記載された2024年3月31日現在の当社の発行済株式総数(4,685,745株)から同日現在当社が所有する自己株式数(323,154株)を控除した株式数(4,362,591株)に係る議決権数(43,625個)に3分の2を乗じた数(小数点以下を切り上げ。29,084個)から不応募株式に係る議決権数(11,466個)を控除した議決権数(17,618個)に、当社の単元株式数である100を乗じた数(1,761,800株)です。かかる買付予定数の下限を設定したのは、公開買付者は、本公開買付けにおいて、公開買付者が当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び不応募株式を除きます。)の全てを取得できなかった場合には、本スクイーズアウト手続を実施する予定であるところ、本スクイーズアウト手続として当社株式の株式併合(以下「本株式併合」といいます。)の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本スクイーズアウト手続を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者及びMIRIが当社の総株主の総議決権数の3分の2以上を所有することとなるようにするためとのことです。

 

公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けの決済開始日の2営業日前までに公開買付者親会社から出資を受けるとともに、オリックス銀行株式会社から合計9,268,968,360円を上限として借入れ(以下「本買収ローン」といいます。)を受けることを予定しており、これらの資金をもって、本公開買付けの決済資金等に充当する予定とのことです。なお、本買収ローンに基づき、公開買付者親会社が所有する公開買付者の普通株式及び公開買付者が本取引により取得する当社株式又は当社若しくはその子会社の資産の一部について担保が設定若しくは遊休不動産等の一部が処分され、又は当社若しくはその子会社が連帯保証を提供する可能性があるとのことです。

 

本公開買付けにより、公開買付者が当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び不応募株式を除きます。)の全てを取得できなかった場合には、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、当社に対し、本公開買付け成立後に、公開買付者が当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び不応募株式を除きます。)の全てを取得し、当社の株主を公開買付者及びMIRIのみとするための本スクイーズアウト手続の実施を要請する予定とのことです。

 

 

また、本スクイーズアウト手続の完了後、MIRIは、公開買付者親会社に対して、MIRIが所有する不応募株式又はその代替物の全てを公開買付者親会社に対して現物出資(以下「本再出資」といいます。)することにより、公開買付者親会社の普通株式を取得する予定とのことです(注4)。また、公開買付者親会社は、MIRIが公開買付者親会社に対して現物出資した不応募株式又はその代替物の全てを公開買付者に対して現物出資することにより、公開買付者の普通株式を取得する予定とのことです。本再出資後、公開買付者は当社の100%株主となるとのことです。

(注4) MIRIが取得することを予定している公開買付者親会社の普通株式について、①公開買付者親会社の普通株式の1株当たりの払込金額を決定する前提となる公開買付者親会社の企業価値評価における(公開買付者親会社が公開買付者を通じて間接的に所有する)当社株式の評価は、本公開買付価格と同額とする予定であり、かつ、普通株式はかかる企業価値評価をベースとした時価発行となる(すなわち、ディスカウントした発行価額での株式発行とはならない)予定であること、②本再出資の取引条件を定める上でMIRIが現物出資する当社株式の1株当たりの評価は本公開買付価格と同額とする予定であるため、MIRIによる公開買付者親会社の普通株式の引受けに係る取引条件は、実質的に本公開買付価格よりも有利な条件が設定されているわけではないと考えられることから、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反するものではないと考えているとのことです。

なお、本再出資については、当社株式の全てを公開買付者親会社及び公開買付者に対して現物出資する方法ではなく、その代替物として、MIRIが公開買付者及び公開買付者親会社との間で別途株式譲渡契約(なお、当社株式の取得者は公開買付者とした上で、公開買付者親会社は株式譲渡代金支払債務を連帯保証する予定です。)を締結の上、当該株式譲渡契約に基づく公開買付者親会社に対する株式譲渡代金債権に係る連帯保証債務履行請求権をMIRIから公開買付者親会社に現物出資し、さらに、かかる公開買付者親会社による連帯保証の履行により生じる公開買付者に対する求償権を公開買付者親会社から公開買付者に現物出資する方法による可能性もあるとのことです(詳細は本書提出日現在未定とのことです。)。本再出資の取引条件を定める上でMIRIが現物出資する株式譲渡代金債権に係る連帯保証債務履行請求権に係る株式譲渡契約の譲渡代金額を定める上での当社株式の1株当たりの評価についても本公開買付価格と同額とする予定であることから、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反するものではないと考えているとのことです。

 

本再出資後、公開買付者は、当社を吸収合併消滅会社、公開買付者を吸収合併存続会社とする吸収合併(以下「本合併」といいます。)を行うことを予定しているところ、本合併の具体的な日程等の詳細については本書提出日現在未定とのことです。また、本合併後、公開買付者を吸収合併消滅会社、公開買付者親会社を吸収合併存続会社とする吸収合併を行うことを予定しているところ、その具体的な日程等の詳細については本書提出日現在未定とのことです。

 

 

② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程

MIRIグループは、アメリカ合衆国ボストンに本社を置き、主にアジアを中心とした新興国及び先進国における中小型株、特にテクノロジー及び工業セクターの企業に投資を行う投資会社とのことです。MIRIグループは、全てのステークホルダーにとっての価値向上を追求するために、投資先企業の経営陣と友好的、長期的、協力的な関係を構築することを追求しているとのことです。MIRIグループは、このような長期投資戦略を支持・賛同する機関投資家から資金を受託して投資運用を行っているとのことです。MIRIグループは、2015年の設立以来、日本を含む40カ国以上の国々において、投資先企業の経営陣に対して支援及び経営分析を提供することにより、投資先企業の長期的な価値向上を目指してきたとのことです。MIRIグループは、各投資先企業の経営陣と協力関係を築き、コンサルタントのような親身なアドバイスを提供することを目指しているとのことです。過去の事例では投資対象期間は2年から5年程度となっているとのことです。業種別では、ソフトウェア、金融プラットフォーム(資産運用会社など)、産業サービス、データセンター、インターネットサービス、オンライン・マーケットプレイス、メディア等の業種に投資しているとのことです。国別でみると、日本企業はMIRIの総運用残高の最大である約40%を占めているとのことです。MIRIグループは、投資する日本企業のうち5社で大株主(第1位、第2位又は第3位)になっているとのことです。当社を除く日本の上場企業に対する投資のうち公表されている会社は、本書提出日現在、日本システム技術株式会社(同社の2023年11月13日付「第二四半期報告書」において第2位株主)、株式会社システム ディ(同社の2024年1月30日付「有価証券報告書」において第1位株主)、株式会社インプレスホールディングス(同社の2023年11月14日付「第二四半期報告書」において第3位株主)、ユミルリンク株式会社(同社の2024年3月29日付「有価証券報告書」において第2位株主)があるとのことです。また、MIRIグループは、投資先企業に対して環境・社会の観点からの改善案も提案することによって、投資先企業及びその所在国に対して好影響を与えることも目指しているとのことです。これらの提言は、公の場ではなく、投資先企業との非公開の場で行われてきたとのことです。MIRIグループが行った提言の一例として、二酸化炭素排出量の削減と、取締役会の多様性向上という目標(具体的な目標数値の設定は投資先企業の裁量によるとのことです。)に連動した役員株式報酬の導入等が挙げられるとのことです。

 

一方、当社の完全子会社である日本コンベヤ株式会社(以下「日本コンベヤ」といいます。)は、1949年5月に株式会社日本コンベヤー製作所として設立され、1959年4月に日本コンベヤに商号を変更の上、1961年10月に株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)市場第二部に上場し、1962年7月に東京証券取引所市場第二部に上場した後、1982年2月に東京証券取引所市場第一部及び大阪証券取引所市場第一部に指定されました。当社は、2016年4月1日に、持株会社体制への移行に伴い、日本コンベヤの単独株式移転により設立され、東京証券取引所市場第一部に上場し、持株会社として、子会社等の経営管理及びそれに付帯又は関連する業務を行っております。2022年4月4日以降は東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所スタンダード市場に移行し、現在に至ります。当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社7社及び関連会社1社により構成され、コンベヤ関連及び立体駐車装置関連の製作、販売及び工事の施工、並びに再生エネルギー関連の販売及び工事の施工を主要な事業としております。事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。

 

コンベヤ関連:日本コンベヤがベルトコンベヤ及び附帯機器の製作、据付及び販売をしております。製作のうち設計業務の一部についてはNippon Conveyor Vietnam Co., Ltd.が行っております。

 

立体駐車装置関連:日本コンベヤが立体駐車装置の製作、販売及び関連工事の施工を行っており、また日本コンベヤ、エヌエイチサ-ビス株式会社、ジャパンパーキングサービス株式会社、株式会社ジャパンシステムサ-ビス及び株式会社アプラスが保守・点検・運営管理を行っております。

 

再生エネルギー関連:日本コンベヤ及び丹那アグリソーラーエナジー合同会社が太陽光発電所の分譲販売を行っており、また日本コンベヤ及び関西電機工業株式会社が太陽光発電システム機器の販売及び据付を行っております。

 

 

2023年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症収束に伴い、社会経済活動の正常化が一段と進み、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の増加など、景気は回復基調で推移しましたが、一部の材料調達難の長期化、原材料・エネルギー価格の高止まり、物価の上昇、人手不足などに加え、ウクライナや中東地域をめぐる情勢不安、中国経済の先行き懸念、円安傾向の長期化等の外部要因によって、景気の先行きが不透明な状況で推移しました。

当社グループでは、創業以来、国内をはじめ世界30か国において社会のインフラ事業に携わり、世の中の安全・快適な生活を実現するため取り組んでまいりました。当社グループは企業理念にあるように高潔な志を持って、誠実に取り組み続けることで信頼され選ばれるメーカーとしてさらに進化し続けるため、エンジニアリング事業の構造改革と収益力強化、立体駐車装置関連事業における市場シェアの拡大、メンテナンス事業における顧客サービスの拡充、予防保全等の諸施策を引き続き推進してまいりました。2023年9月には立体駐車装置の保守、予防保全事業における技術的な強みを持つ株式会社ジャパンシステムサービス、2024年3月には二段多段式立体駐車場装置の製造、保守メンテナンスに関するノウハウと技術を有し、再生エネルギー事業を増強できる株式会社アプラスを当社グループに加え、立体駐車場装置事業及び再生エネルギー関連事業の拡大に向けた体制を整えてまいりました。

このような環境の中、2024年3月期の当社グループの連結業績は、コンベヤ大型設備、新設立体駐車装置、保全工事及び部品等の受注が増加したことにより、受注高は15,648,651千円(前年同期比18.4%増)となりました。売上高は立体駐車装置の新設工事、メンテナンス及び再生エネルギー関連の機器販売は堅調に推移しましたが、コンベヤ新設工事が減少したことにより14,454,119千円(前年同期比1.2%増)となりました。損益面につきましては、仕入価格の上昇及び立体駐車装置新設工事に係る工事損失引当金の計上等があったものの、コンベヤ新設工事の原価低減及び仕様変更による追加受注等により営業利益は899,519千円(前年同期比43.9%増)、受取配当金等の計上はありましたが、手数料の発生等により経常利益は800,348千円(前年同期比30.8%増)、投資有価証券売却益の計上、法人税等の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は517,351千円(前年同期比53.9%増)となりました。

一方で、当社グループを取り巻く環境は、政府主導の施策や堅調な企業収益を背景とする設備投資は底堅さを維持しておりましたが、物価及び人件費の上昇並びに労働者不足の問題等により、不安定要素が残っております。また、当社グループは、お客様との個別契約に基づき受注する案件が多く、請負金額が大きい工事等の重要な案件については、応札時や受注契約時をはじめ、プロジェクト開始後も本社と事業部門でリスク分析やリスク対応等の十分な検討を行っていますが、当初想定できなかった政治・経済情勢の変動等による資材費や労務費の高騰、設計変更や工期のずれ等によって、当初見積り以上にコストが膨らみ、当該案件の収益悪化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。そのため、当社としては、さらなる収益構造の強化と安定化を図ることが重要な課題であると認識しております。

 

MIRIグループは、日本を含むアジア及び欧州地域において、当社と同種のテクノロジー及び工業セクターに属する企業への投資実績があり、投資先企業の経営陣に対して、事業拡大戦略、M&A、バランスシート管理、IR及びファイナンスを含む戦略的・財務的なアドバイスを提供してきた経験を有しているとのことです。このような投資実績及び経験を背景に、2021年に当社に対して投資を開始し、2021年6月頃から株主として当社の経営陣と対話を行ってきたとのことです。MIRIグループの独自の調査及び投資経験に基づく初期的な分析としては、当社のパーキング事業のメンテナンス事業は、顧客から継続的に収益を得られるリカーリングなビジネスであり、当社の高い技術的専門知識を基に立体駐車場システムの保守・回収において日本のリーダーに成長することが出来るほどの高い潜在的成長性を持っていると評価したとのことです。他方で、当社の経営陣も事業の見通しに高い先見性を有しているにも関わらず、株式市場においては適切な評価がなされていない可能性があると考えていたとのことです。

 

その後、MIRIグループは、2021年から2023年までの3年間に亘り、当社の経営陣と四半期に1、2回以上の頻度で対話を重ね、当社の事業、競合環境及び成長戦略に対する理解を深めてきたとのことです。また、当社の事業に関し、現地視察、財務分析や競合他社との比較など、さらなる独自調査による分析及び検討を行った結果、当社の事業は、特にパーキング事業における保守事業に強みを持ち、高い潜在的成長余地があることを再確認したとのことです。同時に、この期間、当社においても、MIRIの戦略等について理解し、MIRIグループ及び当社において、相互の信頼関係を構築することができたと考えております。

当該分析及び検討結果も踏まえ、MIRIグループは、当社の経営により深く関与することで、当社の中長期な成長に資する支援を提供することが可能になると考えるに至ったとのことです。具体的には、MIRIグループは当社の経営課題として、以下を認識しているところ、本取引の実行により、当該経営課題に対する解決策や当社の企業価値向上に向けた支援及び施策を実行することができると考えているとのことです。また、MIRI及び当社との間で3年の期間を掛けて構築した深い相互理解を軸に、当社の安定した経営基盤を確保しつつ、本取引後の迅速な業務執行と事業価値向上を実現することが可能であると考えているとのことです。

 

(ⅰ) 本業へ集中できる体制の確立・柔軟かつ機動的な意思決定体制の構築

MIRIグループとしては、当社は、長年に亘り、多様な考えを持つ株主との複雑な関係性を背景に、経営方針の変更や度重なる株主からの要請や提案への対応に当社の経営陣の相応のリソースを割かざるを得ず、安定した経営基盤の確保が困難な状況が継続してきたと理解しているとのことです。本取引による非公開化を実行し、株主を一元化することで、当社は本業に集中できる体制・環境を確立することができると考えているとのことです。また、当社の経営基盤の安定性が高まることで、当社の取引先との信頼関係の継続的な向上にもつながり、長期的視野で企業価値向上に取り組める環境を当社にもたらすことができ、より一層中長期的な成長を目指すことができると考えているとのことです。

また、MIRIグループとしては、当社は、現状、多種多様な少数株主の利益に配慮して、柔軟かつ機動的な意思決定が行えない状況が継続していたものと理解しているとのことです。当社の経営陣とMIRIグループが一体となり、柔軟かつ機動的な意思決定を行い、全従業員、顧客、サプライヤー、株主のために企業の長期的な価値を最大化するという目的に集中することにより、当社を取り巻く事業環境の変化に迅速に対応し、企業価値向上を図ることができると考えているとのことです。

 

(ⅱ) デジタル化の推進等による企業価値の一層の向上

MIRIグループは、日本及びグローバルでの工業セクターへの投資実績に基づく知見、経験及びネットワーク等の資源を有しているとのことです。また、MIRIグループは、当社の事業の中長期的な競争力強化のためにはデジタル化の推進が必要であり、そのためにデジタル分野に関する専門知識や投資経験が重要であると考えているところ、MIRIグループは、投資実績及びアドバイザリーを通じて、デジタル事業やソフトウェア事業に対する専門知識、経験及びネットワーク等の資源を有しているとのことです。さらに、MIRIグループは、M&Aの評価に関する専門的な知見も有しており、当社の属する業界及びM&Aに深い知見を有するアドバイザー、コンサルタント及び専門家への幅広いアクセスとネットワークを有しているとのことです。

MIRIグループの知見、経験及びネットワークを活用することにより、当社事業の潜在的成長性を適切に評価しこれを伸ばしつつ、当社の中長期的な成長のために必要な当社の事業改革、デジタル化及びM&Aを支援することで、当社の企業価値を一層向上することが可能と考えているとのことです。具体的には、今後の当社の事業基盤の拡大に必要となるリソースの確保(外部専門家の登用や人材採用)や、海外市場へのアクセス等を提供することが可能であるほか、当社のデジタル化の推進に向けて支援及び付加価値を提供することが可能と考えているとのことです。

 

 

(ⅲ) インフレに対応する事業戦略の立案

MIRIグループは、当社の各事業がここ十数年間で初めて高水準のインフレに見舞われていると理解しているとのことです。インフレ下における価格転嫁を行うことで適切な利益を確保することが重要視されるなか、日本は長い期間デフレ環境にあったため、インフレに対応した価格戦略を立案、推進することは容易ではなく、当社の経営課題の一つであると認識しているとのことです。MIRIグループは、インフレが継続している国の企業への投資経験が豊富であり、このような環境に適応しようとする当社に対して過去の経験に基づき価格戦略の立案、それに応じた営業体制の構築推進などの点において、必要に応じて専門家のサポートも得ながら推進することで、企業価値向上を図ることができると考えているとのことです。

 

他方で、MIRIグループとしては、当社と同規模の上場会社においては、上場会社であることに起因して発生するコスト(株主提案への対応を含む株主総会運営等を含む。)も上昇していると認識しているとのことです。さらに、当社がこれまで実行・検討してきた事業改革内容を超えて、長期的・持続的な事業改革を実行していくことが重要である一方、大胆な事業改革は、短期的な業績や株主還元を求める株式市場からは適切に評価されないおそれがあると考えるに至ったとのことです。

そこで、当社株式の非公開化を行うことによって、上場維持に伴うコストを削減するとともに、当社の経営陣が、短期的な業績達成や株主還元を求められる資本市場に左右されずに、当社の事業成長及び安定的な経営基盤の確保に向けて注力することが可能になると考えるに至ったとのことです。

 

上記の分析及び結果を踏まえ、MIRIグループは、2023年6月19日に、当社に対して、当社株式に対する公開買付けを通じて当社株式を非公開化することについての初期的な提案(以下「2023年6月19日付初期提案」といいます。)を提出したとのことです。2023年6月19日付初期提案の提出後、MIRIグループは、当社からの推薦も踏まえて、他のプライベート・エクイティ・ファンドと共同で当社を非公開化する取引について当社と協議を開始したとのことです。MIRIグループは当該プライベート・エクイティ・ファンドとの間で、当社の企業価値向上に向けた計画について前向きに協議を進めておりましたが、2024年2月に、当該他のプライベート・エクイティ・ファンドより、当該取引の検討を中止する旨の連絡を受けたとのことです。当該検討中止の明確な理由はMIRIグループには伝えられていないとのことです。

しかしながら、MIRIグループとしては、MIRIグループの支援の下で当社を非公開化することが当社の企業価値の向上に資するとの考えに変更はなかったため、MIRIグループは、2024年2月20日に、当社に対して、当社株式に対する公開買付けを通じてMIRIグループが単独にて当社株式を非公開化することについての法的拘束力のない提案書(以下「第1回提案」といいます。)を提出したとのことです。第1回提案においては、第1回提案提出時点における初期的な分析を基に、当社株式1株当たりの本公開買付価格を2,200円(2,200円は、当該提案がなされた2024年2月20日の前営業日である2024年2月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,512円に対して45.50%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、株価に対するプレミアムの数値において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,570円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して40.13%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,720円に対して27.91%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,719円に対して27.98%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)としたとのことです。当該打診を受け、当社の経営陣及びMIRIグループは、当社の事業の将来や当社株式の非公開化を含む本取引に関する面談を行い、議論を行いました。その後、当社から、2024年2月下旬に、本取引の実施に向けた検討及び協議を進める旨の連絡を受けたことから、アドバイザーの選定や、デュー・ディリジェンスの準備を開始したとのことです。

MIRIグループは、2023年5月に、2023年6月19日付初期提案を行うにあたって法務アドバイザーとしてホワイト&ケース法律事務所を選任していたため、引き続き起用することとし、2024年3月下旬にファイナンシャル・アドバイザーとしてGIP株式会社を選任し、2024年3月上旬から4月中旬にかけて当社に対してデュー・ディリジェンスを行い、当社の事業内容及び当社を取り巻く事業環境、成長戦略、経営課題等に対する理解を深めると同時に、ビジネス、会計、税務、法務等の分野に関して確認を行ってきたとのことです。

 

その後、MIRIグループは、2024年3月上旬から4月中旬にかけて実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果や当社の事業及び多面的かつ総合的な分析等を踏まえ、当社に対し、2024年5月8日に、当社株式1株当たりの本公開買付価格を2,100円(2,100円は、当該提案がなされた2024年5月8日の前営業日である2024年5月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,890円に対して11.11%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,657円に対して26.74%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,658円に対して26.66%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,706円に対して23.09%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする、第2回提案(以下「第2回提案」といいます。)を書面で行ったとのことです。第2回提案に対して、MIRIグループは、当社から、2024年5月17日に、当社の本源的な価値が十分に反映されておらず、当社の少数株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨できる水準には達していないと考えていること、本特別委員会(以下に定義します。以下同じです。)においても同様の評価であると聞いていること、及び当社株式の市場株価と対比したプレミアム率は、本件と類似する公開買付け事例と比較して低く、十分な水準に達していないものと考えていることを理由として、本公開買付価格の再検討の要請を受けました。また、当社は、2024年5月15日に、2024年3月31日を基準日とする1株当たり65円(以下「本配当額」といいます。)の剰余金の配当を行う旨を公表しました。そこで、当社からのかかる要請及び本配当額の公表を受けて、MIRIグループは、当社からの本公開買付価格の引き上げ要請を真摯に考慮した上で、2024年5月24日に本公開買付価格を、2,200円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,135円)(2,135円は、当該提案がなされた2024年5月24日の前営業日である2024年5月23日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,452円に対して47.04%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,779円に対して20.01%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,695円に対して25.96%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,701円に対して25.51%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案(以下「第3回提案」といいます。)を行ったとのことです。第3回提案に対して、MIRIグループは、本特別委員会から、2024年5月28日に、当社の本源的な価値が十分に反映されておらず、当社の少数株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨できる水準には達していないと考えていること、及び当社株式の市場株価と対比したプレミアム率は、本件と類似する公開買付け事例と比較して低く、十分な水準に達していないものと考えていることを理由として、本公開買付価格を2,415円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,350円)まで引き上げる要請を受けました。本特別委員会からのかかる要請を受けて、MIRIグループは、本特別委員会からの本公開買付価格の引き上げ要請を真摯に考慮した上で、2024年5月29日に本公開買付価格を2,230円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,165円)(2,165円は、当該提案がなされた2024年5月29日の前営業日である2024年5月28日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,459円に対して48.39%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,739円に対して24.50%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,688円に対して28.26%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,690円に対して28.11%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案(以下「第4回提案」といいます。)を行ったとのことです。第4回提案に対して、MIRIグループは、本特別委員会から、2024年5月31日に、当社の本源的な価値が十分に反映されておらず、当社の少数株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨できる水準には達していないと考えていること、及び当社株式の市場株価と対比したプレミアム率は、本件と類似する公開買付け事例と比較して低く、十分な水準に達していないものと考えていることを理由として、本公開買付価格を2,315円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,250円)まで引き上げる要請を受けました。本特別委員会からのかかる要請を受けて、公開買付者は、本特別委員会からの本公開買付価格の引き上げ要請を真摯に考慮した上で、2024年6月2日に本公開買付価格を、2,273円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,208円)(2,208円は、当該提案がなされた2024年6月2日の前営業日である2024年5月31日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,466円に対して50.61%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,693円に対して30.42%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,679円に対して31.51%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,681円に対して31.35%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする旨の提案(以下「本最終提案」といいます。)を行ったとのことです。本最終提案に対して、公開買付者は、2024年6月3日、本特別委員会から、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で、当社の取締役会決議を経てなされるという前提のもと、本最終提案を応諾する予定である旨の回答を受けました。

 

 

これを踏まえて、公開買付者は、2024年6月4日に、当社に対し、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの本公開買付価格を2,273円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,208円)(2,208円は、当該提案がなされた2024年6月3日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,507円に対して46.52%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,664円に対して32.69%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,677円に対して31.66%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,678円に対して31.59%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とする、法的拘束力のある本最終提案を書面で行ったとのことです。

公開買付者は、2024年6月4日、本取引の一環として、当社株式1株当たりの本公開買付価格を2,208円として本公開買付けを実施することを決定したとのことです。

また、公開買付者及びMIRIは、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドとの間で公開買付応募契約に関する協議を行っているとのことです。具体的には、MIRIは、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドとの間で2024年3月上旬に秘密保持契約を締結し、応募契約締結に向けた交渉を開始したとのことです。その後、2024年3月中旬に、本取引を実施した場合の本公開買付けへの応募の可否について打診したところ、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドに前向きに検討してもらうことになったとのことです。その後、5月上旬から本応募契約の本格的な交渉を行い、2024年6月4日、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドとの間で本応募契約を締結したとのことです。

 

③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

i.当社を取り巻く事業環境、当社の経営課題

当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営環境の下、2023年6月13日に開示した「当社グループの事業概要と将来性について」において、当社の事業環境に関する認識と今後の事業面での大きな方向性を示したとおり、株主の皆様との間で当社の中長期の経営方針について共通認識を醸成しながら、企業価値の向上に努めてまいりました。一方で、当社事業の特徴として、コンベヤ事業における複数年に跨る流動的な大型案件の存在などにより、近年の株式市場で求められるような中長期的な経営計画を開示することが困難であるといった課題を有しておりました。加えて、当社は長年に亘り、多種多様な考えを持つ株主による事業戦略や株主還元に関する要求への対応に経営資源や経営陣のリソースを割かざるを得ず、中長期的な企業価値向上のための、柔軟かつ機動的な意思決定を行うことのできる安定的な経営基盤の確保が困難な状況が継続しています。このような問題を解決するため、当社は、経営陣と一致する価値観を共有するパートナーによる、当社株式の非公開化を含めた資本政策について検討を行ってまいりました。

 

ⅱ.検討体制の構築の経緯

当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2024年2月20日、公開買付者から、当社株式に対する公開買付けを通じてMIRIグループが単独にて当社株式を非公開化することついての法的拘束力のない第1回提案を受領いたしました。当社は、2023年8月から9月にかけて、当社、公開買付者、公開買付者親会社、MIRI Opportunities Fund、MIRI、MIRIグループ及びアセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド(以下「公開買付関連当事者」といいます。)から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社アイ・アール ジャパン(以下「アイ・アール ジャパン」といいます。)を、法務アドバイザーとして日比谷パーク法律事務所を、それぞれ選任していましたが、当社においてかかる提案について慎重に検討を行うため、2024年2月下旬、本取引と同種の取引に関する公表内容等を踏まえ、専門性及び実績等を検討の上、これらのアドバイザーを引き続き起用することといたしました。

 

また、当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)又は支配株主による公開買付けには該当しないものの、日比谷パーク法律事務所の助言を踏まえ、2024年2月21日付で、当社の独立社外取締役である北川健太郎氏(監査等委員・弁護士)、橋本泰氏及び松木謙一郎氏(監査等委員・公認会計士)の3名から構成される、公開買付関連当事者から独立した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し、本取引に係る協議・交渉を行う体制を構築いたしました(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。

さらに、本特別委員会は、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2024年4月26日、その独立性及び専門性・実績等を検討の上、公開買付関連当事者から独立した独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー」といいます。)を選任する旨を決定しております。

 

ⅲ.検討・交渉の経緯

上記のような体制の下、当社は、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示及び要請等に基づいた上で、アイ・アール ジャパン及び日比谷パーク法律事務所から助言を受けながら、本取引の是非及び取引条件の妥当性等に関して公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を行いました。具体的には、本特別委員会は、2024年4月23日に、公開買付者に対し、本取引の目的・背景、本取引の条件、資金調達の方法、本取引後の当社の経営方針・経営体制等に関して書面による質問をし、同年5月8日に公開買付者から当該質問事項について書面による回答を受け、当該回答を踏まえて、本特別委員会は、同月10日に公開買付者に対し書面による追加質問をし、同月15日に公開買付者から当該質問事項について書面による回答を受け、これらの回答を踏まえて、同月16日に、本特別委員会において公開買付者に対するインタビューを実施し、本取引を提案するに至った検討過程、本取引の実行後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるシナジー・ディスシナジー、その他の影響の内容及び程度を確認いたしました。その後、同月22日に、本特別委員会において当社経営陣に対するインタビューを実施し、当社としての本取引の目的や意義、本取引によって創出が見込まれるシナジー効果を確認いたしました。その上で、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かについての議論及び検討を行いました。当該検討と並行して、当社は、2024年5月下旬以降、本公開買付価格について公開買付者との協議・交渉を開始しました。

 

本公開買付価格については、当社は、2024年2月20日に、公開買付者から、2,200円(提案実施日の前営業日である同月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,512円に対して45.50%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,570円に対して40.13%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,720円に対して27.91%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,719円に対して27.98%のプレミアムを加えた金額となります。)を本公開買付価格とする旨の初回の価格提案書の提出を受けました。その後、当社は、同年5月8日に、公開買付者から、本書提出日時点までに実施されたデュー・ディリジェンスにおける検出事項を基礎とした分析結果を踏まえ、ご提案の公開買付価格を修正したとして、本公開買付価格を2,100円(提案実施日の前営業日である同月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,890円に対して11.11%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,657円に対して26.74%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,658円に対して26.66%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,706円に対して23.09%のプレミアムを加えた金額となります。)を本公開買付価格とする旨の第2回目の価格提案書の提出を受けました。当社は、公開買付者の当該提案に対し、同月17日に、アイ・アール ジャパンからの助言を踏まえ、当社の本源的な価値が十分に反映されておらず、当社の少数株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨できる水準には達していないと考えていること、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーからの助言を受けた本特別委員会においても同様の評価であると聞いていること、及び当社株式の市場株価と対比したプレミアム率は、本件と類似する公開買付け事例と比較して低く、十分な水準に達していないものと考えていることを理由として、本公開買付価格の再検討を要請しました。その後、当社は、同月24日に、公開買付者から、本公開買付価格を2,200円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,135円は、提案実施日の前営業日である同月23日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,452円に対して47.04%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,779円に対して20.01%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,695円に対して25.96%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,701円に対して25.51%のプレミアムを加えた金額となります。)とする第3回目の提案書の提出を受けました。本特別委員会は、公開買付者の当該提案に対し、同月28日に、アイ・アール ジャパン及びデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーからの助言を踏まえ、当社の本源的な価値が十分に反映されておらず、当社の少数株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨できる水準には達していないと考えていること、及び当社株式の市場株価と対比したプレミアム率は、本件と類似する公開買付け事例と比較して低く、十分な水準に達していないものと考えていることを理由として、本公開買付価格を2,415円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,350円)まで引き上げることを要請しました。その後、当社は、同月29日に、公開買付者から、本公開買付価格を2,230円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,165円)(2,165円は、提案実施日の前営業日である同月28日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,459円に対して48.39%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,739円に対して24.50%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,688円に対して28.26%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,690円に対して28.11%のプレミアムを加えた金額となります。)とする第4回目の提案書の提出を受けました。本特別委員会は、公開買付者の当該提案に対し、同月31日に、アイ・アール ジャパン及びデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーからの助言を踏まえ、当社の本源的な価値が十分に反映されておらず、当社の少数株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨できる水準には達していないと考えていること、及び当社株式の市場株価と対比したプレミアム率は、本件と類似する公開買付け事例と比較して低く、十分な水準に達していないものと考えていることを理由として、本公開買付価格を2,315円から1株当たり配当額(65円)を控除した金額(2,250円)まで引き上げることを要請しました。その後、当社は、2024年6月2日に、公開買付者から、本公開買付価格を2,273円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,208円)(2,208円は、提案実施日の前営業日である2024年5月31日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,466円に対して50.61%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,693円に対して30.42%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,679円に対して31.51%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,681円に対して31.35%のプレミアムを加えた金額となります。)とする最終提案書の提出を受けました。本最終提案に対して、本特別委員会は、2024年6月3日、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で、当社の取締役会決議を経てなされるという前提のもと、本最終提案を応諾する予定である旨を回答しました。

 

その後、当社は、同月4日に、公開買付者から、本公開買付価格を2,273円から1株当たり本配当額(65円)を控除した金額(2,208円)(2,208円は、提案実施日の前営業日である同月3日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,507円に対して46.52%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,664円に対して32.69%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,677円に対して31.66%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,678円に対して31.59%のプレミアムを加えた金額となります。)とする、法的拘束力のある本最終提案書の提出を受けました。当社は、本最終提案の妥当性を本特別委員会に確認するほか、アイ・アール ジャパンからの助言も踏まえて慎重に検討を行い、同日、本最終提案を応諾しました。

その上で、当社は、アイ・アール ジャパンから受けた財務的見地からの助言及び2024年6月3日付で取得した株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)」といいます。)の内容及び本特別委員会を通じて2024年6月3日付でデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから提出を受けた株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)」といいます。)、並びに日比谷パーク法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2024年6月3日付の答申書(以下「本答申書」といいます。)の内容を最大限に尊重しながら(本答申書の概要については、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本取引により当社の企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。

 

ⅳ.判断内容

その結果、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであると判断するに至りました。

本取引の意義・目的及び本取引を通じて当社が実現可能と考える具体的なシナジーは、以下のとおりです。

(ア) 上場維持のためのコスト削減・業務負担の軽減と、それによる経営資源の振替

当社は、当社株式の上場を維持するための体制に関して、近年の新市場区分における上場維持基準への対応やコーポレートガバナンス・コードの改訂等の点において、年々、体制の強化が求められております。これらに対応するための上場維持コスト(株主総会の開催・運営、監査、株主名簿管理人への事務委託に要する費用、有価証券報告書等の継続的な情報開示等)は年々増大しており、上場維持のための業務負担(投資家対応、適時開示及びコーポレートサイトでの情報発信の強化、決算説明会の充実といったIR活動)も増加しております。

当社は、本取引を通じて、公開買付者の完全子会社となることで、上場維持のためのコストや業務負担が軽減されると考えており、この結果、当社が上場維持のために用いていた経営資源を、当社の事業部門へ振り替えることで、当社の事業の成長の加速に繋げることができるものと考えます。

(イ) 経営の安定化及び機動的かつ柔軟な意思決定体制の確立

当社は、長年に亘り、多種多様な考えを持つ株主による事業戦略や株主還元に関する要求への対応に経営資源や経営陣のリソースを割かざるを得ず、中長期的な企業価値向上のための、柔軟かつ機動的な意思決定を行うことのできる安定的な経営基盤の確保が困難な状況が継続しています。当社は、こうした状況を踏まえ、本取引を通じて株主を一元化することで、株主と経営陣が一体となった柔軟かつ機動的な意思決定を可能とする、強固で安定した経営体制を構築し、本業である事業の成長に最大限注力できる状況を実現することができるものと考えます。

(ウ) M&A戦略の推進

当社は、M&Aの活用を重要な成長戦略の一つとして位置づけ、2023年度においても2件のM&Aを実施しました。今後も当社の一層の成長には積極的なM&Aの活用が不可欠であると考えるところ、MIRIグループはM&A全般の評価に関する専門的な知見を有しており、当社の属する業界及びM&Aに深い知見を有するアドバイザー、コンサルタント及び専門家への幅広いアクセスとネットワークも有しているとのことです。加えてMIRIグループは今後のM&A等、当社の企業価値向上に資する施策については、必要に応じて追加資金を確保する意向を有しているとのことです。当社は、M&Aを通じた成長戦略の推進にはMIRIグループの支援を最大限活用することが、有効な選択肢であると判断いたしました。

(エ) DX化の推進

当社は、政府主導の施策や堅調な企業収益を背景とする設備投資を行ってまいりましたが、今後さらなる収益構造の強化と安定化を図る上では、DX化の推進によるコンベヤ事業のエンジニアリング部門の効率化を課題の一つと位置付けております。MIRIグループはDX化に関して日本のソフトウェア及びデジタル企業への投資及びアドバイザリーを通じて専門知識、経験及びネットワークを有しているとのことです。当社は、DX化の推進のためには、MIRIグループの高度なノウハウを活用し、協働することが、有効な選択肢であると判断いたしました。

 

 

なお、一般に、株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを以後享受できなくなることが挙げられます。もっとも、資金調達の面では、本取引の実行後は、当社は公開買付者の完全子会社となり、公開買付者の金融機関等との関係や資金調達手段を活用することもできるため、必要な資金を確保することが可能であると見込まれることから、当社に係る上場廃止の影響は限定的と考えております。

また、上記「ⅲ.検討・交渉の経緯」に記載の検討の経緯に加えて、当社は、MIRIグループが2023年6月以降、他のプライベート・エクイティ・ファンドと共同で当社を非公開化する取引について当社と協議を開始したものの2024年2月に検討を中止した経緯や、かねてより当社の資本政策について協議を行っていた別のプライベート・エクイティ・ファンドからも2024年4月初旬頃から当社の非公開化について初期的な関心を示されたものの、同じように具体的な検討には至らなかった経緯なども踏まえた結果、当社は、MIRIグループによる本取引を通じて当社株式を非公開化することが、当社の企業価値向上に資するものであると判断しております。

以上を踏まえ、当社取締役会は、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回り、MIRIグループによる本公開買付けを含む本取引を通じて当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものと判断いたしました。

また、当社は、本公開買付価格(2,208円)及び本公開買付けに係るその他の諸条件は以下の点から妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断しております。

(a) 本公開買付価格が、下記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「ⅱ.算定の概要」に記載されているアイ・アール ジャパンによる当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)における当社株式の株式価値算定結果のうち、市場株価法による算定結果を上回っており、また、DCF法による算定結果のレンジの中央値を上回っていること。

(b) 本公開買付価格が、下記「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「ⅱ.算定の概要」に記載されているデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる当社株式価値算定書(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)における当社株式の株式価値算定結果のうち、市場株価法による算定結果を上回っており、また、DCF法において、その算定結果のレンジの中央値を上回っていること。

(c) 本公開買付価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年6月3日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日の終値1,507円に対して46.52%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,664円に対して32.69%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,677円に対して31.66%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,678円に対して31.59%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2024年4月30日までに成立した事例のうち、日本国内における上場会社に対する非公開化を目的とした公開買付けの事例92件(MBO取引、親会社による子会社の非公開を目的とした取引及び不動産関連取引の事例を除きます。)における公表日の前営業日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値(公表日の前営業日の終値に対して39.14%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して41.09%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.14%及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して45.14%の数値)との比較において、1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準では、上記公開買付けの事例の中央値を下回る水準にあるものの、公表日前営業日の終値に対するプレミアムでは上回っており、相応の水準のプレミアムが付されていると考えられること

(d) 本公開買付価格が、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で決定された価格であること。

 

(e) 本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていること。

以上より、当社は、2024年6月4日開催の取締役会において当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

上記取締役会決議の詳細は、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む)全員の承認」をご参照ください。

 

④ 本公開買付け後の経営方針

公開買付者は、本取引により当社を非公開化した後は、上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の当社の企業価値の最大化のための支援及び施策を推進していく予定とのことです。

公開買付者は、本取引成立後における当社の経営方針として、当社の現経営陣には、引き続き、事業運営に関して主導的な役割を果たしてもらうことを予定しているとのことです。具体的な人数については、本書提出日現在において未確定ですが、公開買付者としては、公開買付者が指名する者を当社の取締役に3名派遣することを想定しているとのことです。その他、本公開買付け実施後の当社の役員構成を含む経営体制の詳細については、公開買付けの成立後、当社との間で協議・検討していくとのことです。なお、組織再編、企業集団の再編、解散、重要な財産の処分その他当社の経営方針に重大な変更を加え、また重大な影響を及ぼす行為を行うことも、本書提出日現在においては予定していないとのことです。

 

また、本公開買付け成立後の当社の従業員については、現時点で決定している具体的な方針はないものの、原則として現在の処遇より向上させることを目指すとのことです。公開買付者は、本取引後、当社の経営陣及び従業員に対して、ストックオプション等のインセンティブ・プランの導入を予定しているとのことです。当社の経営陣及び従業員の一部は当社株式を所有しているところ、(ⅰ)本書提出日現在においてインセンティブ・プランの具体的な内容は未定であり、インセンティブ・プランの導入の有無についても当社の経営陣及び従業員との間で一切の合意がなされていないこと、また、(ⅱ)インセンティブ・プランは、当社の経営陣及び従業員に公開買付者の企業価値向上に向けた共通の目標を持ってもらうことを目的としたものであり、本公開買付けにおける当社の経営陣又は従業員による応募株式数に連動するものではないことから、ストックオプション等のインセンティブ・プランの導入は、本公開買付けにおける応募と紐づくものではなく、公開買付価格の均一性規制(金商法第27条の2第3項)の趣旨に反するものではないと考えているとのことです。

 

 

(3) 算定に関する事項

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

ⅰ.算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、MIRIグループから提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年6月3日付で当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)を取得しました。

なお、アイ・アール ジャパンは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、アイ・アール ジャパンから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。

なお、本取引に係るアイ・アール ジャパンの報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりアイ・アール ジャパンを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しました。

 

ⅱ.算定の概要

アイ・アール ジャパンは、本公開買付けにおいて、複数の算定方法の中から当社の株式価値算定に当たり採用すべき算定方法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから株式の市場株価の動向を勘案した市場株価法を、また将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定方法として用いて、当社の株式価値の算定を行いました。当社は、アイ・アール ジャパンから2024年6月3日付で当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)を取得しております。なお、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、下記「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、アイ・アール ジャパンから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)において、上記各算定方法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

 

市場株価法:1,507円~1,678円

DCF法 :1,934円~2,368円

 

市場株価法では、2024年6月3日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の算定基準日の終値1,507円、直近1ヶ月間の終値単純平均値1,664円、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,677円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値1,678円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,507円から1,678円と算定しております。

 

DCF法では、当社が作成した事業計画を基に、2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業計画における収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2024年4月以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,934円から2,368円と算定しております。なお、アイ・アール ジャパンがDCF法の算定の前提とした当社の事業計画について、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれています。具体的には、2027年3月期において、収益性の優れた土木工事分野でのフリーラインコンベヤ需要の拡大による売上高の増加に伴い営業利益が1,373百万円(対前年比 66.5%増)と大幅な増益となることを見込んでおります。また、フリー・キャッシュ・フローについても大幅な変動を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2026年3月期において前期における運転資本の減少に伴うフリー・キャッシュ・フローの増加の影響が解消しフリー・キャッシュ・フローが441百万円(対前年比 52.8%減)と大幅な減少を、2027年3月期においては収益性の改善等によりフリー・キャッシュ・フローが804百万円(対前年比 82.3%増)と大幅な増加をそれぞれ見込んでおります。本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画には加味しておりません。

(注) アイ・アール ジャパンは、当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)の基礎となる当社株式の株式価値の算定を行うにあたり、公開情報及び当社から提供を受けた一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。アイ・アール ジャパンは、当社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の試算及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。アイ・アール ジャパンは、当社の事業計画については、当社の経営陣により算定時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。アイ・アール ジャパン及びその関係会社は、公開買付関連当事者が発行している株式又はこれらを取得できる権利について、自己勘定取引を行っておらず、かつ、公開買付関連当事者の株式等を現在保有しておりません。アイ・アール ジャパンの算定は2024年6月3日までにアイ・アール ジャパンが入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、アイ・アール ジャパンの算定は、当社取締役会が当社株式の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。

 

② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

ⅰ.算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

本特別委員会は、「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載する諮問事項を検討するにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立した独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対し、当社株式の株式価値算定を依頼し、2024年6月3日付で当社株式価値算定書(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)を取得しております。なお、本特別委員会は、「(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付価格の公正性及び本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置等を実施していることを踏まえ、本公開買付価格を含む本取引の公正性が担保されていると考えた結果、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2024年4月26日開催の特別委員会において、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの専門性・独立性に問題がないことを確認した上で、本特別委員会独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

 

 

ⅱ.算定の概要

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値の算定を行いました。

上記の各方式において算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は、以下のとおりです。

 

市場株価法:1,507円~1,678円

DCF法 :1,980円~2,396円

 

市場株価法では、算定基準日を2024年6月3日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値1,507円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値1,664円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値1,677円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値1,678円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,507円~1,678円と算定しております。

DCF法では、当社が作成した2025年3月期から2029年3月期までの事業計画及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,980円~2,396円と算定しております。なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーがDCF法による算定の前提とした当該事業計画には、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、建設投資に係る土木工事分野の受注増加による売上高の増加に伴い、2027年3月期の営業利益は1,373百万円(対前年比66.5%増)となることを見込んでおります。また、上記要因による売上高の増加に伴う大幅な増益により、2027年3月期のフリー・キャッシュ・フローは763百万円(対前年比80.4%増)を見込んでおります。さらに、2026年3月期のフリー・キャッシュ・フローは、売上高が成長することに伴う運転資本の増加により423百万円(対前年比 61.8%減)を見込んでおり、2028年3月期のフリー・キャッシュ・フローは、売上高が成長することに伴う大幅な増益により、1,025百万円(対前年比 34.4%増)を見込んでおります。本取引の実行により実現することができるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画には加味しておりません。

(注) デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであること、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を及ぼす可能性のある事実でデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、当社の事業計画に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの算定は、2024年6月3日までの上記情報を反映したものであります。

 

 

(4) 上場廃止となる見込み及びその事由

本書提出日現在、当社株式は、東京証券取引所スタンダード市場に上場しておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しておりますので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。

 

(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び不応募株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、当社の株主を公開買付者及びMIRIのみとするための一連の手続を実施することを予定しているとのことです。

 

公開買付者は、会社法第180条に基づき、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として、単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を、本公開買付けの決済の完了後速やかに開催することを当社に要請する予定とのことです。なお、公開買付者は、本公開買付けの決済の開始後の近接する日が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して基準日設定公告を行うことを要請する予定とのことです。当社は、公開買付者からかかる要請を受けた場合には、かかる要請に応じる予定です。本臨時株主総会の開催時期は、本書提出日現在、2024年9月中旬から9月下旬頃を予定しているとのことです。なお、公開買付者及びMIRIは、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及びMIRIを除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。

なお、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在未定ですが、公開買付者及びMIRIのみが当社株式(当社が所有する自己株式を除きます。)の全てを所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及びMIRIを除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう当社に要請する予定とのことです。当社は本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。

 

本株式併合に関連する当社の少数株主の権利保護を目的とした規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(公開買付者及びMIRIを除きます。)は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。

 

 

上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(公開買付者及びMIRIを除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主の皆様は、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、価格決定の申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は最終的に裁判所が判断することになります。

 

上記手続については、関係法令の改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があるとのことです。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及びMIRIを除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該当社の株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。

 

以上に関する具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認ください。

 

(6) 買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置

本公開買付けは、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)又は支配株主による公開買付けには該当しないものの、公開買付者及び当社の筆頭株主であるMIRIが本公開買付けを含む本取引を通じて当社株式を非公開化し、当社の株主を公開買付者及びMIRIのみとすることを企図しており、MIRIと当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを考慮して、当社の株主の皆様への影響に配慮し、慎重を期して、本公開買付価格の公正性を担保するための措置、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。また、以下の記載のうち公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

当社は、本公開買付価格の公正性及び妥当性を担保するため、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年6月3日付で当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)を取得いたしました。なお、アイ・アール ジャパンは、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。当社がアイ・アール ジャパンから取得した当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)の詳細については、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。なお、本取引に係るアイ・アール ジャパンの報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりアイ・アール ジャパンを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

 

 

② 当社における独立した法律事務所からの助言

当社は、本取引に係る当社取締役会の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、その公正性を担保することを目的として、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして日比谷パーク法律事務所を選任し、その後、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続、並びに本取引に係る当社の取締役会の意思決定の方法及び過程その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。なお、日比谷パーク法律事務所は、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。また、日比谷パーク法律事務所の報酬は、時間単位報酬のみとしており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬の支払制度は採用しておりません。

 

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

当社は、2024年2月21日開催の取締役会において、本取引は支配株主による従属会社の買収取引やマネジメント・バイアウト(MBO)取引には該当いたしませんが、本公開買付けが当社株式を非公開化することを目的とする本取引の一環として行われること等を踏まえ、本取引に係る当社取締役会の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、その公正性を担保することを目的として、同日付で、公開買付関連当事者から独立した、当社の独立社外取締役である北川健太郎氏(監査等委員・弁護士)、橋本泰氏及び松木謙一郎氏(監査等委員・公認会計士)の3名から構成される本特別委員会を設置する旨決議しました。本特別委員会の委員は、設置当初から変更しておりません。

そして、当社は、同取締役会において、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的は合理的か(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、(ⅱ)本取引における取引条件(本取引の実施方法及び買付等の価格を含む。)の公正性が確保されているか、(ⅲ)本取引において公正な手続を通じた当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされているか、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)その他の事項を前提に本取引に関する意見表明を含め当社取締役会が本取引を行う旨の意思決定をすることが適切か、また、当社の少数株主にとって不利益なものでないか(以下、総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問する旨を決議しております。なお、当社は、当該決議に際し、(a)本特別委員会を、当社取締役会から独立した合議体であると同時に、当社の少数株主の利益を図る立場に立って本諮問事項について検討・判断する組織として位置付け、当社取締役会は本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引を行う旨の意思決定を行わないこと、(b)当社が公開買付者と本取引の取引条件等について交渉するにあたり、本特別委員会に適時にその状況を報告し、重要な局面でその意見、指示及び要請を受けるものとすること、(c)本特別委員会が必要と認めるときは、当社の費用負担の下、独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができること、並びに(d)本特別委員会は、当社の費用負担の下、その職務に関連する調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、その職務に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含みます。)を行うことができること等を、併せて決議しております。また、本特別委員会の委員の報酬は、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定額の報酬を支払うものとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬の支払制度は採用しておりません。

 

本特別委員会は、2024年4月5日から同年6月3日まで合計13回に亘って開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、本特別委員会は、公開買付者及び当社より提出された各検討資料その他必要な情報・資料等の収集及び検討、並びに本特別委員会の第三者算定機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー、当社の第三者算定機関であるアイ・アール ジャパン、当社のリーガル・アドバイザーである日比谷パーク法律事務所及び公開買付者との面談によるヒアリング調査等を行い、本取引の内容、背景、意義・目的、当社の企業価値に与える影響、第三者算定機関の独立性、公開買付価格算定手法の合理性、分析の前提事実の適正性、公開買付者及び当社の状況、公開買付者及び当社が意思決定をするに至る経緯・検討経緯の妥当性、開示の適正性その他本取引に関連する事項について、説明を受けるとともに質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、当社の取締役から事業計画について説明を受け、質疑応答を行った上で、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー及びアイ・アール ジャパンから当社株式価値算定書(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)及び当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)について説明を受け、当該価値算定の前提等に関するヒアリング調査を行った。加えて、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーである日比谷パーク法律事務所から当社が得た、当社における本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言の内容についても説明を受け、検討をしました。本特別委員会は、以上のような経緯の下、上記本諮問事項について慎重に検討・協議した結果、2024年6月3日に、当社の取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。

 

ⅰ.本特別委員会の意見

(ⅰ) 本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であるといえる。

(ⅱ) 本取引における取引条件の公正性は確保されているといえる。

(ⅲ) 本取引においては公正な手続を通じて当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされているといえる。

(ⅳ) 当社取締役会が本取引を行う旨の意思決定をすることは適切であり、当社の少数株主にとって不利益なものとはいえない。

 

ⅱ.上記意見の理由

(ⅰ) 以下の点より、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であるといえる。

・上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の公開買付者の本取引の意義に係る認識について、本特別委員会としても特段不合理な点は認められない。また、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」及び「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の当社の事業内容と経営環境・経営課題及び当社の本取引の意義に係る認識について、本特別委員会としても首肯し得るものと思料する。

・すなわち、本特別委員会は、当社が株主との間で当社の中長期の経営方針について共通認識を醸成しながら、企業価値の向上に努めてきた一方で、当社事業の特徴として、コンベヤ事業における複数年に跨る流動的な大型案件の存在などにより、近年の株式市場で求められるような中長期的な経営計画を開示することが困難であること、また、当社は長年に亘り、多種多様な考えを持つ株主による事業戦略や株主還元に関する要求への対応に経営資源や経営陣のリソースを割かざるを得ず、中長期的な企業価値向上のための柔軟かつ機動的な意思決定を行うことのできる安定的な経営基盤の確保が困難な状況が継続していることに経営課題があると認識している。このような問題を解決するため、当社が、経営陣と一致する価値観を共有するパートナーによる、当社株式の非公開化を含めた資本政策について検討を行ってきたことは妥当と考える。

・そうした中、当社として慎重に検討を行った結果、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回り、MIRIグループによる本公開買付けを含む本取引を通じて当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものと考えたことについても、首肯し得るものである。

 

 

(ⅱ) 以下の点より、本取引における取引条件の公正性は確保されているといえる。

a 交渉プロセスの合理性

・取引条件の交渉プロセスとしては、本「買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置」に記載の公正性担保措置が講じられたうえで、本特別委員会が、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー及びアイ・アール ジャパンによる株式価値算定状況や同種事例のプレミアム水準、過去の当社株式の株価推移等の諸事情を総合的に勘案して、本公開買付価格を中心とする交渉の方針等について当社及びアイ・アール ジャパンに指示等を行って、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、公開買付者との間で交渉が行われた。

・かかる交渉の過程では、公開買付者側からの買付条件に係る提案に対し、都度、本特別委員会に対し、当社及び当社のアドバイザーによる提案内容の分析結果並びに回答方針及び回答案について説明が行われ、本特別委員会として、適宜、意見を表明し、本特別委員会の意見が適切に反映された上で、公開買付者側への回答が行われた。結果として、本公開買付価格につき、デュー・ディリジェンスにおける検出事項を基礎とした分析結果を踏まえた提案として2024年5月8日に当社に提示された本公開買付価格である2,035円から、合計3回、173円の引上げ(2,035円に対して約8.50%の引上げ)が実現している。また、利害関係を有する関係者の影響により交渉プロセスが歪められたといった事情も見受けられず、両社間において対等な交渉が行われ、当社としても本公開買付価格をできる限り高めるために粘り強く交渉したと評価でき、少数株主の利益を顧慮することなく不公正な価格交渉を行ったという事実は認められない。

・以上に加え、下記(ⅲ)のbのとおり、本取引の実施方法についても十分な公正性担保措置が講じられていることをも勘案すると、価格を中心とした取引条件の交渉プロセスは合理的であったといえる。

 

b 株式価値算定の算定手法と結果の合理性

・デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーによる当社株式価値算定の算定手法と結果は、上記「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおりである。また、アイ・アール ジャパンによる当社株式価値算定の算定手法と結果は、上記「(3) 算定に関する事項」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおりである。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー及びアイ・アール ジャパンは、市場株価法及びDCF法により当社株式1株当たりの株式価値の範囲を算定しているところ、評価手法の選択については同種案件に際しての株式価値の評価実務においても一般的に用いられる算定手法であり、不合理な点は認められない。

・本特別委員会は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー及びアイ・アール ジャパンがDCF法による算定の前提とした事業計画(以下「本事業計画」という。)の作成経緯及び合理性に関し、当社に対するヒアリング結果等を踏まえて検討した。本事業計画は、本取引において使用することを目的として2023年度の実績を踏まえて作成されたものであるところ、実現可能性を見込むことができる当社における努力要素を十分織り込み、足下の市況を踏まえ、当社の現状において実現可能性の高い事業計画であると認められることから、本特別委員会は、本事業計画の内容にも一定の合理性が認められるものと考える。

・上記を踏まえ、本特別委員会は、本事業計画に基づく財務予測をアイ・アール ジャパン及びデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの株価算定の前提とすることを了承した。

 

 

c 買収対価の水準、買収の方法及び買収対価の種類等の妥当性

・本公開買付価格(2,208円)は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年6月3日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日の終値1,507円に対して46.52%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,664円に対して32.69%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,677円に対して31.66%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,678円に対して31.59%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2024年4月30日までに成立した事例のうち、日本国内における上場会社に対する非公開化を目的とした公開買付けの事例92件(MBO取引、親会社による子会社の非公開を目的とした取引及び不動産関連取引の事例を除く。)における公表日の前営業日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの中央値(公表日の前営業日の終値に対して39.14%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して41.09%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.14%及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して45.14%の数値)との比較において、1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準では、上記公開買付けの事例の中央値を下回る水準にあるものの、公表日前営業日の終値に対するプレミアムでは上回っており、相応の水準のプレミアムが付されていると考えられる

・本取引における買収の方法は、上場企業の完全子会社化を行う際に一般的に採用されている方法であり、少数株主が、買収対価が不当に低いと考える場合には裁判手続によって争うことが可能なスキームである。また、本再出資に関しても、格別、少数株主に不利益となる方法であるとは考えられないことから、本取引の買収の方法は、買収対価の種類も含め、妥当であると考えられる。

・その他、価格以外の本取引の取引条件において、当社の少数株主の犠牲のもとに、公開買付者が不当に利益を得たという事実は認められず、当該条件の妥当性を害する事情は見当たらない。

 

d アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドとの真摯な交渉による応募契約の締結

・アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドは、当社への再出資を予定していないことから、本取引においては株式の売り手としての立場のみを有するものであって、その点において、当社の少数株主と共通の利害関係を有していると考えられ、また、公開買付者と重要な利害関係を共通にしていないものと考えられる。

・公開買付者がアセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドとの間で真摯な交渉により本公開買付価格での応募契約の締結に至ることは、本公開買付けの取引条件の公正さを裏付ける一事情となり得るものと考えられる。

 

 

(ⅲ) 以下の点より、本取引においては公正な手続を通じて当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされているといえる。

a 本取引の適法性

・当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、外部のリーガル・アドバイザーとして日比谷パーク法律事務所を選任し、本公開買付け及びその後の一連の手続に対する当社取締役会の意思決定の過程及び方法その他の留意点に関する法的助言を受けており、本取引を構成する各取引においては、金融商品取引法、会社法その他の関係法令に抵触する手続は想定されていない。したがって、本取引における手続の公正性の前提として、本取引の適法性は確保されている。

 

b 公正性担保措置

・当社は、本取引に係る当社取締役会の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、その公正性を担保することを目的として、本特別委員会を設置した。本特別委員会は、2024年4月5日から同年6月3日まで合計13回に亘って開催され、本諮問事項について、慎重に検討・協議した結果、本答申書を提出する。

・本特別委員会は、独立性を有する第三者算定機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを選任し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年6月3日付で当社株式価値算定書(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)を取得している。

・当社は、独立性を有する第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンに当社株式の価値算定を依頼し、2024年6月3日付で当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)を取得している。

・当社は、独立性を有するリーガル・アドバイザーとして日比谷パーク法律事務所を選任し、同事務所から必要な法的助言を受けている。

・本取引に係る当社の取締役会の審議及び決議に参加する当社の取締役(監査等委員である取締役を含む。)は、その全員が本取引に関して利害関係を有していない。

・公開買付者は、当社との間で、対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を一切行っておらず、また、公開買付期間を法令に定められた最短期間である20営業日より長い30営業日に設定しており、本件においては、公開買付者が、他の買収者による買収提案の機会を確保するための措置を講じているものと認められる。

・本公開買付けを含む本取引においては、少数株主が公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するために、強圧性が生じないよう配慮がなされているものと認められる。

・本公開買付けにおける買付予定数の下限は、下記「⑦ マジョリティ・オブ・マイノリティ条件(majority of minority)を達成する買付予定数の下限の設定」に記載のとおり、マジョリティ・オブ・マイノリティの水準を上回るよう設定されており、公開買付者は、公開買付者と利害関係を有さない当社の株主から過半数の賛同が得られない場合には、本公開買付けを含む本取引を行わないこととし、当社の少数株主の意思を重視した買付予定数の下限の設定を行っていることから、本公開買付けの公正性を担保するものと認められる。また、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドは、公開買付者との間で本応募契約を締結しているものの、本公開買付価格で本公開買付けに応募することで当社への投資を回収し、それ以降、公開買付者又は当社に関与することを予定していないことを踏まえると、「公開買付者と重要な利害関係を共通しない当社の株主」であると取り扱うことが妥当と公開買付者が考えていることについては、本特別委員会としても特段不合理ではないと考える。

・当社は、本取引の内容を含め、取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料を、当社の少数株主に対し適切に提供するものと認められる。

 

c 価格等の取引条件の交渉プロセス

・取引条件の交渉プロセスは、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおりであり、価格を中心とした取引条件の交渉プロセスは合理的であると認められ、公正性を害する事情は見当たらない。

 

 

(ⅳ) 以下の点より、当社取締役会が本取引を行う旨の意思決定をすることは適切であり、当社の少数株主にとって不利益なものとはいえない。

・上記で検討してきたとおり、本取引の実施は当社の企業価値の向上に資するものと認められ、当社の少数株主の利益を図る観点から、手続の公正性及び取引条件の公正性は認められる。したがって、本特別委員会は、当社取締役会における本公開買付けを含む本取引についての決定、つまり、本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決定、及び本取引の一環として本公開買付け後に行う株式併合に係る決定は、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考える。

 

④ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを選任し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年6月3日付で当社株式価値算定書(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)を取得いたしました。なお、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。当社がデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから取得した当社株式価値算定書(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)の詳細については、上記「(3) 算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

 

⑤ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む)全員の承認

当社は、アイ・アール ジャパンから受けた財務的見地からの助言及び当社株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)の内容、本特別委員会を通じて2024年6月3日付でデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーから提出を受けた当社株式価値算定書(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)、並びに日比谷パーク法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。

その結果、当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2024年6月4日開催の取締役会において、当社の取締役11名(うち8名が独立社外取締役)の全員一致により、本公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格(2,208円)を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

 

⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置

公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)について、法令に定められた最低期間が20営業日であるところ、本公開買付けにおいては30営業日としております。このように、公開買付期間を法定の最短期間に照らして長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けへの応募について適切な判断機会を確保するとともに、公開買付者以外にも対抗的な買付け等をする機会を確保し、もって本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。また、当社は、公開買付者との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止し、又は当社が本公開買付けへの賛同を撤回することを禁止するような内容の合意は一切行っておらず、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会を確保し、本公開買付けの公正性を担保することを企図しております。

 

 

⑦ マジョリティ・オブ・マイノリティ条件(majority of minority)を達成する買付予定数の下限の設定

本公開買付けにおいて、公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社の非公開化を目的としているため、買付予定数の下限を1,761,800株(所有割合:40.38%)に設定しており、応募株券等の総数が買付予定数の下限(1,761,800株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。また、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドは、公開買付者との間で本応募契約を締結しているものの、本公開買付価格で本公開買付けに応募することで当社への投資を回収し、それ以降、公開買付者又は当社に関与することを予定していないことを踏まえると、「公開買付者と重要な利害関係を共通しない当社の株主」であると取り扱うことが妥当であると考えられるとのことです。この場合、買付予定数の下限(1,761,800株)は、マジョリティ・オブ・マイノリティの水準(当社の発行済株式総数(4,685,745株)から、当社が所有する自己株式数である323,154株及び不応募株式の数である1,146,600株を控除した株式数に係る議決権の数(32,159個)の過半数に相当する数(16,080個)に相当する当社株式数(1,608,000株))を上回ることになります。このように、公開買付者は、公開買付者と利害関係を有さない当社の株主から過半数の賛同が得られない場合には、本公開買付けを含む本取引を行わないこととし、当社の少数株主の皆様の意思を重視した買付予定数の下限の設定を行っているとのことです。

 

(7) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項

① 本応募契約

上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、2024年6月4日付で、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドとの間で本応募契約を締結し、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドが所有する応募予定株式(所有株式数:950,600株、所有割合:21.79%)について、本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。

本応募契約の概要は以下のとおりとのことです。

・本応募契約に基づく応募の前提条件は存在しないとのことです。

・公開買付期間の末日までに、公開買付者以外の第三者が当社株式の過半数以上を取得し、かつ、当社を非公開化することを目的とした公開買付けが開始された場合(以下「対抗公開買付け」といいます。)で、対抗公開買付けに係る公開買付価格が本公開買付価格を上回るときは、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドは、公開買付者と協議するものとし、当該協議を経ても対抗公開買付けに係る公開買付価格が本公開買付価格を上回る場合に限り、本公開買付けに応募する義務を負わないとされているとのことです。なお、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドは、応募予定株式のうち、47,530株を上限として、本公開買付価格を上回る市場価格で、市場内で処分することができるとされているとのことです。

・本応募契約において、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドは、本公開買付けの決済開始日までの間に、当社の株主総会(2024年3月期に係る定時株主総会を含みます。)が開催される場合、当該株主総会におけるアセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドが所有する当社株式に係る議決権その他の一切の権利の行使について、本公開買付け又は本取引の実行に悪影響を与えることが合理的に予想される議案に反対するとともに、公開買付者又はMIRIの指示に従い、当社の取締役会が推奨する提案に賛成し、又は、当社の他の株主による提案に反対する旨を誓約しているとのことです。

なお、本応募契約以外に、公開買付者とアセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドの間で本公開買付けに関する合意は存在せず、本公開買付けに応募することにより得られる金銭以外に、本公開買付けに関して公開買付者からアセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドに対して供される対価は存在しないとのことです。

 

 

② 不応募合意

上記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、2024年6月4日付で、MIRIとの間で、その所有する不応募株式1,146,600株(所有割合:26.28%)について、本公開買付けに応募しない旨を口頭により合意しているとのことです。

また、公開買付者及びMIRIは、本スクイーズアウト手続後、MIRIが公開買付者親会社に対して本不応募株式の全部について再出資すること、本臨時株主総会において各議案に賛成することを合意しているとのことです。

なお、上記の本不応募株式に係る合意以外に、公開買付者とMIRIの間で本公開買付けに関する合意は存在せず、本公開買付けに関して公開買付者からMIRIに対して供される対価は存在しないとのことです。

 

③ 剰余金配当に関する誓約書

公開買付者は、当社から、2024年6月4日付で、当社株式1株当たり65円の剰余金の配当以外の剰余金の配当を行う旨の議案を会社提案として株主総会に提案せず、当該配当と異なる剰余金の配当に係る株主提案(もしあれば)については、会社としては反対するものとし、また、当該配当以外の剰余金の配当を行う旨の取締役会決議を行わないこと等を誓約する誓約書の差し入れを受けております。

 

 

4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

 

氏名

役職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

梶原 浩規

代表取締役社長

31,217

312

吉川 博志

取締役

経営企画本部長

23,000

230

石田 稔夫

取締役

経理部長

17,871

178

橋本 泰

取締役

藤枝 政雄

取締役

木下(牧野) 安与

取締役

小松 弘明

取締役

北川 健太郎

取締役

(監査等委員)

片山 卓朗

取締役

(監査等委員)

髙橋 浩司

取締役

(監査等委員)

松木 謙一郎

取締役

(監査等委員)

72,088

720

 

(注1) 所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。

(注2) 取締役の橋本泰氏、藤枝政雄氏、木下(牧野)安与氏、小松弘明氏、北川健太郎氏、片山卓朗氏、髙橋浩司氏及び松木謙一郎氏は社外取締役であります。

 

5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

該当事項はありません。

 

6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

該当事項はありません。

 

7 【公開買付者に対する質問】

該当事項はありません。

 

8 【公開買付期間の延長請求】

該当事項はありません。