当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
(基本方針)
当社グループは、お客様に信頼され満足される商品・サービスを提供し、社会に貢献する企業であることを企業理念とし、1899年の創業以来120年以上にわたり、日本の農業、食を支えてきております。
今後も株主、取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーとの信頼関係を強固にし、中長期な企業価値の向上を図ってまいるとともに、技術を通じて、日本の「食」「農」を支え、人々の食生活の安定と可能性を追求し続けてまいります。
(2)経営環境、対処すべき課題と中長期的な会社の経営戦略
①経営環境
当社グループの主要顧客は、飼料、製粉、蕎麦、ビール、香辛料等の食品・飲料メーカーですが、いずれの顧客も「食」というライフライン維持に必要不可欠な事業を展開しており、国内人口の減少、穀物等原料価格高騰などの事業環境変動要因はあるものの、機械の新規導入・更新やプラント新設・改修といった設備投資需要は他産業に比べ安定的に推移すると想定しております。
但し、食品業界においては、工場集約・再編、海外展開、「食」への安全性・信頼の確保、生産性・効率化の向上や省人化・省力化等への対応が求められており、当社といたしましても、こうした顧客の課題に適応していくことが必須と認識しております。
②対処すべき課題
上記の経営環境のもと、当社は以下の点を経営課題と認識しております
a.顧客の課題解決に向けた一段の提案営業力強化、付加価値提供による競合他社との差別化
b.製造ラインの生産性・効率性の更なる向上、コスト競争力の強化
c.多様化する顧客ニーズを捉えた商品開発力・研究開発力の向上
d.人材確保・育成、人への投資、技術の伝承
e.長年の業務運営方法に捉われない業務の改革・改善
③中長期的な会社の経営戦略
創業130年超えとなる2030年に向けて、日本の「食」「農」を愚直に支え、貢献し続けるとともに、伝統を大切にしつつ、果敢に変革へチャレンジし続けていくべく、以下の戦略・施策に取り組んでまいります。
(収益基盤の確立・向上)
a.強みに磨きをかけ、競争優位を確立
b.資本業務提携を締結しているAbalanceグループとの連携による競合他社との差別化
c.製造・工事工程の効率化・生産性向上によるコスト競争力強化
(成長事業領域の探求、参入検討)
a.顧客ニーズを踏まえた新製品・新分野の研究開発力強化
b.グローバル戦略におけるパートナー企業との連携強化
c.「食」「農」関連の顧客やパートナーと連携した事業展開
(財務体質の強化)
a.資金効率の改善や有利子負債残高の適正な水準への移行
(働きがいのある企業への変容)
a.企業風土や人事制度等の改革
b.エンジニアリング人材層の厚み確保、技術・ノウハウの伝承
c.社員の能力、知識を磨き・引き出し、価値を創造する仕組み整備
(SDGs、ESGへの取り組み)
a.経営・事業活動を通じた持続可能な社会実現への貢献
(1)サステナビリティの基本方針と取組
当社グループは、存在意義として「技術を通じて、日本の「食」「農」を支え、人々の食生活の安定と可能性を追求し続ける」ことを掲げ、人々の食生活を支え続けるために、伝統を大切にするとともに、変革にもチャレンジし、取引先・社会への貢献や従業員の働きがいを最大化する取組を推進してまいります。
当社グループでは、サステナビリティに関連する項目のうち当社の企業価値に影響を及ぼす課題を整理・分析し、リスク要因を抽出するとともに、当該リスクへの対応方針や進捗状況を報告・検討する体制を構築しております。
月に一度開催されるSDGs推進委員会では、気候変動、食・農への貢献、次世代育成、職場環境等のテーマごとに具体的な目標を設定するとともに、各種施策・取組の進捗状況と課題について議論しております。本委員会での検討事項等は、経営層に報告され、適時適切に指示を受ける体制が構築されており、タイムリーな監視・監督機能が確保されています。重要案件等については取締役会に報告され、取締役会はESG・SDGsへの取組は当社グループの経営基盤を支える重要項目であると認識し、リスク要因、対応方針を審議しており、今後は中長期的な事業戦略立案にもつなげてまいります。また、SDGs推進委員会メンバーは各部門の社員により構成されており、進捗状況や課題等を自部門に持ち帰り、フィードバックを行うことにより、全従業員のESG・SDGsに対する理解・浸透を図っております。
当社グループのESG・SDGsに関する戦略は、存在意義として掲げる「技術を通じて、日本の「食」「農」を支え、人々の食生活の安定と可能性を追求し続ける」に基づいており、リスク低減、新たな事業機会の創出、人材力強化、社会・地域への貢献等につながるものであり、持続可能な社会の実現に資するものと考えております。
リスク管理面に関しては、SDGs推進委員会において、各種リスクを定期的にモニタリングしており、経営へのリスクが大きいものについては、適時適切に取締役会や経営層に報告されております。また、コントロール可能なリスクについては各部門が対応を行っております。
目標設定に関しては、気候変動、食・農への貢献、技術革新、次世代育成、職場環境、社員の健康といった目標軸を定め、当該目標軸の中で個別具体的な目標を設定する運営を行っております。
[気候変動に関する取組]
当社グループではSDGs推進委員会を設置しておりますが、気候変動対応は本委員会の重要課題の一つと位置付けており、進捗状況のモニタリングを行うとともに、重要案件については適時適切に取締役会や経営層へ報告しております。
当社グループでは脱炭素化を着実に進めるべく、課題やリスクへの対応の優先度を踏まえた上で、短期、中長期の時間軸に応じた具体的な目標・施策を定めており、月に一度開催されるSDGs推進委員会にて進捗状況や課題の報告や議論を行っております。
リスク管理面につきましては、SDGs推進委員会において、各種リスクを定期的にモニタリングしており、経営へのリスクが大きいものについては、適時適切に取締役会や経営層に報告されております。
具体的な目標といたしましては、CO2排出量削減、再生エネルギーの自家消費、社有車のEV化推進等を実施予定であり、進捗状況の管理を行っております。
(2)人的資本・多様性に関する取組
人材戦略に関しては、取締役会においては高い専門性、知見を有する社外取締役より、各種議案から派生するケースも含め、人材戦略の問題提起、具体的な提言が行われております。また、業務執行取締役や人事部門においては、重要な人事施策、組織改編に伴う戦略的な人事異動、人員・人件費に関する計画・実績管理等の具体的施策の協議・検討が適時適切に行われております。
当社グループでは、働き甲斐のある企業への変容を経営戦略軸の一つに定め、これを実現するために、以下の
3点を重点施策として取り組んでおります。
①企業風土変革、人事制度改革等による満足感、公平感を感じる体制の構築
②技術、設計等のエンジニアリング人材層の厚み確保、技術・ノウハウの体系的な伝承の仕組み整備
③個々の役職員の能力、知識を磨き・引き出し、価値創造を発揮してもらうための仕組み作り
当社グループでは、人材戦略のリスクとして、従業員が有する技術・専門性が継承されないこと、人材の多様性が確保されないこと、採用競争力劣後による人材獲得難、従業員の離職が重要と判断しております。こうしたリスクをコントロールすべく、各部門において技術に精通した人材の育成、熟練者から若手層への技術の伝承、専門性の高い人材の厚みの確保等を進めており、これらの取組を支えるべく、企業風土改革に向けた各種ルール、処遇・評価・教育等の人事制度の見直し等により、働きがいのある職場へ変革すべく、社内環境の整備を進めております。
人材戦略に関する具体的な目標は、以下のとおりであります。
①人事制度の見直し
2024年4月の導入を目指し、等級、評価、報酬等の見直しの検討を進めてまいります。また、評価の透明性を高めるべく、評価者、さらには被評価者向けの研修を行ってまいります。
②人材教育制度の確立
各階層に応じた「スキル・知識の向上」と「階層に応じた役割の定着化」を目的として、階層別教育制度を整理し、順次実施してまいります。
個々の従業員の能力・知識を磨き・引き出し、価値創造を発揮してもらうための仕組み作り、伝統に拘ることなく、変革にチャレンジできるように、新たなルールや仕組みを検討してまいります。
③スキル・専門性の向上に向けた取組
主要取引先等との人的ネットワークを活かし、継続的に業界勉強会を実施してまいります。また、従業員が自発的に学ぶ・学び直す機会を提供すべく、社内ライブラリーの機能を拡充させてまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、事業のリスクはこれらに限定されるものではありません。
(産業機械関連事業)
(1)顧客の設備投資動向について
当社グループの主力事業であるプラント工事請負や産業機械製造販売におきましては、主要顧客である飼料・製粉業界の設備投資が減少した場合には、当社グループの受注高・売上高に影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)競争激化による影響について
競合他社による競争力のある販売価格設定、高付加価値の新製品・サービスの提供が行われた場合には、当社グループの競争力が劣後する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)業績の季節的変動について
当社グループの受注獲得・売上計上は下半期に偏重する傾向があり、また納期は年度末の3月に偏る傾向にあることから、年度末にかけて予期せぬ事象が発生し、営業活動、工事進行が困難になるような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります
(4)金利水準・為替相場の変動
当社グループは、一部の借入金について変動金利での資金調達を行っており、また一部の原材料等を外貨建てで輸入していることから、金利水準の急激な上昇、為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5)製品の欠陥
当社は製造する製品の品質には出荷前の検査等により万全の対策を実施しておりますが、予期せぬ原因により製品に欠陥が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)新製品開発力
当社グループでは、顧客・市場ニーズに対応した新製品開発に努めていますが、競合企業が提供するような新製品を開発できない、競合他社に比べ当該新商品の市場投入のタイミングが遅れる場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)原材料等の仕入価格上昇やサプライチェーン混乱について
請負・受注契約締結後に鋼材価格、労務費、原材料費、外注費が予算を大幅に超えて上昇し、当該上昇分を販売価格に反映することが困難な場合や、サプライチェーンに支障が生じる等により原材料調達が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8)海外展開
連結子会社明治機械(徳州)有限公司は、製粉用ロール製造販売を中国拠点にて行っており、今後同子会社から日本以外への輸出をより一層強化していくことも想定されますが、海外の政治・経済情勢、為替、租税制度や法的規制等に著しい変化が生じた場合や、テロ・戦争・暴動等の発生、資材価格の高騰及び労務単価の著しい上昇や労務需給のひっ迫があった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)法的規制
当社グループの産業機械関連事業は、建設業法、建築基準法、食品衛生法、労働基準法、安全衛生法、製造物責任法、下請法等の法的規制を受けており、今後これらの法律改正等があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10)人材確保・育成や技術伝承
必要とする人材(国家資格者等)の確保ができない場合や、ベテラン・熟練社員から若手層への専門知識、ノウハウ、技術の伝承等が進まない場合には、営業、設計、製造、研究開発等の業務継続に影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(その他)
(1)情報漏洩のリスク
当社グループは、企業内機密情報や個人・顧客情報、取引先情報等については、情報管理の強化とその取り扱いに充分な注意を払っておりますが、外部から不正アクセス等により当該情報が流出するような場合には、当社への信用が損なわれ、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)自然災害、感染症に関わるリスク
地震等の自然災害や感染症の世界的流行が発生した場合には、当社が保有する設備の損壊、電力、ガス、水道等の供給難による生産停止、工期・納期遅延が起こる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たっては、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づいて作成しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の緩和により経済活動が徐々に正常化に向かう動きが出てくる一方、長期化する資源・原材料価格の高騰や世界的なインフレの進行、各国の金融政策変更に伴う急激な金利・為替・株価等の変動により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは、プラント工事においては、工期が複数年に及ぶ大型工事案件が計画通りに終了し、中小型案件やメンテナンス案件等も順調に引渡しを完了しました。事業基盤強化に向けた施策として、主要顧客における再編・工場統廃合等の環境変化を見据えた情報収集力・提案力の強化、工事リスク管理高度化に向けた組織再編、外注先や協力会会員企業との関係親密化による受注リソース拡大等に取り組んでまいりました。
産業機械製造では、提案力強化による顧客の工場再編に起因する設備機械の新規受注獲得、原材料価格高騰を受けた販売価格の改訂、製造工程の効率化・生産性向上等に取り組んでまいりました。また、機械へのIoT機能の搭載による稼働状況の見える化や省人化ニーズに寄与する機能を付加した機械の開発検討に取り組んでおります。
グローバルな調達・販売戦略においては、顧客・海外パートナーと情報交換等を継続してきた結果として、トルコ企業と国内独占販売契約を締結いたしました。中国子会社では、同国のゼロコロナ政策による工場稼働率低下や顧客の設備投資低迷等により、収益性が低下いたしました。
2022年2月に資本業務提携契約を締結いたしましたAbalance株式会社とは、2022年11月にAbalance株式会社の連結子会社であるWWB株式会社および日本光触媒センター株式会社と業務提携契約を新たに締結いたしました。食、農に関連する当社顧客向けに光触媒関連製品を中心として協働マーケティングを展開してきており、衛生に敏感な食品関係のお客様にて食の安心・安全を担保することを目的として、光触媒酸化チタンコーティング剤(注1)が導入され、Abalanceグループとの具体的なシナジーが発現いたしました。今後も両社グループの強みを発揮できるシナジー創出・連携提案を一層加速させてまいります。
(注1)「光触媒」とは光のエネルギーを使って、酸化チタンの触媒反応を早め、菌・カビ、汚れ等の有機物を分解する技術をいい、「光触媒酸化チタンコーティング剤」とは、酸化チタンをメイン成分として作られた、光触媒作用を利用して、シックハウスの原因となる有害有機物や、汚れ、においの分解を行うことを目的として製造されるコーティング用液剤をいいます。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
ⅰ資産
当連結会計年度末における総資産は、7,236百万円(前連結会計年度末は総資産7,244百万円)と前連結会計年度末より8百万円の減少となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産362百万円、仕掛品299百万円、機械装置及び運搬具158百万円、投資有価証券767百万円等の増加があったことに対し、現金及び預金236百万円、商品及び製品191百万円、前渡金675百万円、土地311百万円等の減少があったことによるものです。
ⅱ負債
当連結会計年度末における負債は3,810百万円(前連結会計年度末は負債6,105百万円)と前連結会計年度末より2,294百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金446百万円等の増加があったことに対し、短期借入金1,247百万円、前受金1,262百万円等の減少があったことによるものです。
ⅲ純資産
当連結会計年度末における純資産は、3,425百万円(前連結会計年度末は純資産1,139百万円)と前連結会計年度末より2,285百万円の増加となりました。これは、利益剰余金2,480百万円、その他有価証券評価差額金494百万円、為替換算調整勘定26百万円の増加があったことに対し、資本剰余金716百万円の減少があったことによるものです。
b. 経営成績
当社グループの連結の売上高は6,306百万円(前連結会計年度は7,591百万円)となりました。また、損益面に関しましては、営業利益188百万円(前連結会計年度は321百万円の営業利益)、経常利益231百万円(前連結会計年度は93百万円の経常利益)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、本社ビルの売却、保有有価証券の売却による特別損益の計上があり、さらに法人税等を差引き、1,764百万円(前連結会計年度は117百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント毎の経営成績については、次のとおりです。
なお、2022年3月31日付のプレスリリース「太陽光発電に係る権利案件販売事業からの撤退に関するお知らせ」で公表のとおり、環境関連事業からの撤退を取締役会決議しており、これにより当連結会計年度より報告セグメントの変更(「環境関連事業」の廃止)を行っております。
〔産業機械関連事業〕
プラント工事については、工期が複数年に及んだ大型工事案件が検収完了・引き渡しとなり、今後は中長期的に当該設備のメンテナンス、修繕等のフォローアップを行ってまいります。中小型工事は、年度前半には昨年度に受注した案件が完成する一方、年度後半には来年度以降が納期となる受注工事の積み増しを図ってまいりました。また、例年同様に年度内納期の修繕・メンテナンス・部品交換等の受注を獲得し施工を完了いたしました。更には、主力の製粉・飼料系のほかにも飲料・菓子メーカー等の生産設備拡張工事を施工する等、長年の実績・技術・ノウハウを活かし、顧客ポートフォリオの分散・多様化も進めてきました。今後の事業基盤強化に向け、大口取引先と定期的な情報収集、意見交換の機会を設ける等、顧客の設備投資動向に関わる情報収集力・提案力を一段と強化するとともに、新設部署が営業部門に牽制機能を効かせる等の工事リスク管理高度化に向けた組織再編、技術者の高齢化・人手不足を踏まえ外注先や協力会会員企業との関係親密化による受注余力の確保・拡大等に取り組んでまいりました。
産業機械製造分野は、主要顧客の工場再編に伴う設備機械の新規受注、国内外にて開催された3つの展示会への出展による顧客ニーズのヒアリング・掘り起こし、原材料価格高騰を受けた販売価格の改訂を進めてまいりました。製造部門では生産工程の見える化、既存図面のCAD化等、生産性・効率性の向上に取り組んでまいりました。また、センサー取り付けにより、機械の振動、温度をモニタリングするIoT機能の導入準備、省人化ニーズを踏まえた機能の研究開発等に取り組んでまいりました。
海外戦略強化の面では、海外企業と部材のグローバル調達、海外向け機械販売やエンジニアリング事業の連携に向けた検討や取り組みを推進し、2022年12月には、米国、ドイツ、英国、インド等75ヶ国以上において、ロールの溝を切削し研磨する目立機・研磨機の販売実績を有するトルコYENAR社と日本国内における独占販売契約を締結し、老朽化に伴う中長期的な更新需要増加が見込まれる市場にて新たな布石を打ち出しました。
2022年2月に資本業務提携契約を締結いたしましたAbalance株式会社とは、連携・提携をより一層加速させるとともに、効率的かつ円滑に進めていくべく、2022年11月にAbalance株式会社の連結子会社であるWWB株式会社および日本光触媒センター株式会社と業務提携契約を締結いたしました。当社は多数の食品関係のお客様にお取引頂いておりますが、こうしたお客様においては、食の安心・安全を担保するため、製造ラインや物流網における抗菌対策、豚コレラ・鳥インフルエンザ等の家畜伝染病予防策として、光触媒製品への強い潜在ニーズ・需要があることから、Abalanceグループとともに協働連携提案を展開してまいりました結果、一部の取引先に光触媒酸化チタンコーティング剤を導入し、Abalanceグループとの具体的なシナジーが発現いたしました。今後も当社の主要顧客である飼料、製粉、酒造製造工程サイロ、畜産農家を始めとして、食に関わるすべての顧客に対し、Abalanceグループ企業が取り扱う光触媒製品やクリーンエネルギー製品等の付加価値の高い提案を続け、両社グループの強みを発揮できるシナジーの創出・連携営業を拡大してまいります。
これらの結果、産業機械関連事業の売上高は6,288百万円(前連結会計年度は7,540百万円)、営業利益184百万円(前連結会計年度は291百万円の営業利益)となりました。
〔不動産関連事業〕
当社は本社ビルの賃貸を行っておりましたが、売上高は17百万円(前連結会計年度は51百万円)、営業利益は3百万円(前連結会計年度は30百万円の営業利益)となりました。
なお、当社は2022年8月31日付で本社ビルを売却しており、9月以降本社ビルの賃貸収入はなくなりました。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は1,367百万円(前連結会計年度 営業活動の結果支出した資金1,935百万円)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が1,688百万円となり、前渡金の減少額675百万円等があり、一方で、固定資産売却益1,418百万円、売上債権の増加額361百万円、前受金の減少額1,262百万円等があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金1,731百万円(前連結会計年度 投資活動の結果支出した資金59百万円)となりました。
これは主に、有形固定資産の売却による収入1,951百万円、投資有価証券の売却による収入332百万円等があったのに対し、有形固定資産の取得による支出217百万円、投資有価証券の取得による支出299百万円等があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は804百万円(前連結会計年度 財務活動の結果得られた資金295百万円)となりました。
これは主に、長期借入金の借入による増加額533百万円、短期借入金の減少額1,247百万円等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ436百万円減少し、2,171百万円となりました。
(資金需要及び財政政策)
当社は、運転資金及び投資等の資金需要に対して、自己資金を充当することを基本方針とし、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、一部資金を銀行借入等により調達しております。
また、金融機関5行と当座貸越契約を締結しており、将来において多額な資金需要が生じた場合にも、外部からの資金調達は可能であると考えております。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前連結会計年度比(%) |
|
産業機械関連事業(千円) |
5,669,065 |
△15.40 |
|
合計 (千円) |
5,669,065 |
△15.40 |
(注)金額は製造原価を表示しております。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
受注残高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
産業機械関連事業(千円) |
3,426,244 |
△13.13 |
1,265,482 |
△68.40 |
|
合計 (千円) |
3,426,244 |
△13.13 |
1,265,482 |
△68.40 |
(注)金額は販売価格を表示しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前連結会計年度比(%) |
|
産業機械関連事業(千円) |
6,288,615 |
△16.60 |
|
不動産関連事業 (千円) |
17,501 |
△65.88 |
|
合計 (千円) |
6,306,116 |
△16.93 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
ホクレンくみあい飼料株式会社、 ホクレンくみあい・雪印飼料株式会社 |
2,021,234 |
26.6 |
1,081,112 |
17.1 |
|
株式会社サタケ |
- |
- |
1,075,590 |
17.1 |
|
ジェイエイ北九州くみあい飼料株式会社 |
- |
- |
1,019,216 |
16.2 |
(注)前連結会計年度及び当連結会計年度において、総販売実績に対する割合が100分の10未満の場合は、記載を
省略しております。
(1)資本業務提携契約
|
契約会社名 |
契約締結先 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
明治機械株式会社(当社) |
Abalance株式会社 |
- |
知見・ノウハウや販路・顧客基盤の有効活用、海外展開における拠点の有効活用、IT技術を用いた業務効率化等 |
定めなし |
|
明治機械株式会社(当社) |
WWB株式会社、日本光触媒センター株式会社 |
共同または協力して行う営業活動にかかる一切の業務 |
3社が有するソリューション・製品・サービス等に関して、3社が協力して事業シナジーを醸成し、推進する |
定めなし |
(2)独占販売契約
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契約会社名 |
契約締結先 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
明治機械株式会社(当社) |
YENAR A.Ş. |
YENAR社製品(ロールを除く) |
YENAR社は、当社に対し、日本国内において同社製品(ロールを除く)を販売する独占的権利を与えること |
2023年1月1日より1年間とし、解約通知がない限り自動更新 |
当社は、産業機械関連事業において、当社の開発部門が機械装置等の商品化・開発を行っております。
この結果、当連結会計年度の製作コストを含めた研究開発に係る総額は