代表取締役社長小塚英一郎は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して、財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により、財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。
財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2023年2月28日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しました。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行っております。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社及び連結子会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しております。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、当社及び連結子会社2社(株式会社東京衡機試験機、株式会社東京衡機エンジニアリング)を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しております。なお、その他の連結子会社2社(株式会社東京衡機試験機サービス、株式会社東京衡機不動産)については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲には含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去前)の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達している2事業拠点(当社及び株式会社東京衡機試験機)を「重要な事業拠点」としております。選定した重要な事業拠点においては、事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金及び棚卸資産に至る業務プロセスを評価の対象としております。さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、財務報告への影響を勘案して、引当金や繰延税金資産などの見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスや重要性の大きい業務プロセスについては、個別の評価対象に追加しております。
上記の評価の結果、下記に記載した財務報告に係る内部統制に関する事項は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当連結会計年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
記
当社は、財務基盤の安定と業績改善に向け、2018年7月13日開催の取締役会にて新たに日本国内において一般雑貨を仕入れて海外(中国等)に輸出することを主体とする事業を開始することを決議し、2019年2月期より当該事業を軌道に乗せ、従前からの一般消費者向けの生活関連商品の販売とあわせて商事事業として業績を伸ばしてまいりました。
しかしながら、外部機関より、当該事業に係る売上計上の一部について、実質的には、取引の主体となっていない代理人取引や金融的取引等があるのではないか等の疑義を呈されたことから、当社では、客観的な事実関係を明らかにするとともに、当社の管理体制に問題がなかったか否か等を明確にするために、当社と利害関係の無い外部の有識者で構成される第三者委員会を2022年12月9日に設置して調査を行いました。
2023年3月3日付の第三者委員会の調査の結果、商事取引には資金還流が確認された実質金融取引、資金還流の兆候や取引商材の実在性の観点から金融取引と疑われる取引、また、それ以外の取引全般についても取引商材の販売価格ではなく販売価格と仕入価格の純額を手数料収入として会計処理すべき介入取引があり不適切な会計処理となっていることが指摘されました。このため当社は、当該不適切な会計処理の決算への影響額を調査し、過年度の決算を訂正するとともに、第113期から第116期までの有価証券報告書及び第114期第1四半期から第117期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
また、第三者委員会からは上記の発生原因として会計コンプライアンス意識等の欠如や不適切な取引を容認する企業風土等と商事事業による売上及び利益拡大の要請のもと、担当取締役への属人的な帰属、商品の実在性を事後的に検証できる体制の不備、稟議書によるチェック機能不全、取引先の信用調査等の不全、取引先との関係性等に起因する牽制機能の欠如等、会計監査人の指摘に十分対応していなかったことなどが本件問題事象を可能ないし容易にした機会であったことや過去の会計不祥事への対応にも不備があったこと等の指摘を受けております。
これらの事実は、当社の統制環境やリスクの評価と対応、モニタリング体制や統制活動等に不備があり、全社的な内部統制が機能しなかったことによるものと認識しております。また、全社的な財務報告プロセス、商事事業の業務プロセスにも不備があったと認識しております。
当社は、特別注意銘柄の指定解除に向け2023年8月28日付で「改善計画・状況報告書」を策定・公表し、グループの役職員一丸となってガバナンス・内部管理体制を抜本的に改善し整備していくための改善措置・再発防止策の実行に取り組み、2024年4月1日に東京証券取引所に有価証券上場規程に定められた内部管理体制確認書を提出いたしました。こうした状況の中で、当社は、既に退任している当社の元取締役で、連結子会社の株式会社東京衡機エンジニアリングの社長を兼務していた者(以下「元取締役」という。)が関与して、当社グループにおいて過去に不適切な取引が行われていた可能性があることが外部からの情報提供により判明したことから、不適切な取引の具体的な内容、期間、会計的な影響、類似案件の有無等を明らかにするために、2024年2月27日付で独立社外役員のみで構成される調査委員会を設置し、2024年3月29日付でその調査報告書を受領し、その内容を公表いたしました。この調査の結果、2016年10月から2023年4月までの間、元取締役の指示で、外注先への製造委託料が本来の請求額から水増しされて請求され、水増し額が元取締役の関係先に支払われていた事実が判明し、水増しされた金額は本来の原価性を有せず、意図的な水増し行為を行った者に対しては返還を請求すべきものであり、水増しされた取引の属する会計期間において、原価を取消して長期未収入金(請求権)として計上すべきであり、当該未収入金は請求可能性を勘案して貸倒引当金の計上を検討すべきであるとの会計上の評価を受けたことから、2024年5月1日付で過年度の会計処理等を訂正するとともに、2024年5月31日付で過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出いたしました。
今回発覚した不正行為は、外注(製造委託)に関してノウハウがあった元取締役に実質的な判断権限が集中し、外注先の選定や、発注から支払いに至る一連の業務は独断で行われ、他の役職員に外注先と折衝することを認めず、情報が独占された結果、元取締役と外注先の間のやり取りがブラックボックス化し、長期間継続する結果となりました。元取締役が株式会社東京衡機エンジニアリングの社長であった際は、同社は実質上営業部だけで構成され、外注業務を含む製造担当部門が存在せず、外注業務の適正さを確保する組織体制や外注先管理に関する社内規程が十分に整備されておらず、外注先との適切なコンタクト・ルールがなく、重要な外注先の監査も実施していなかったことから、不正行為に対する牽制ができておらず、結果として、元取締役に外注先担当者との密室でのやりとりを許してしまっていたことなど、取引先の管理という点において不正を防止する体制が整備されておりませんでした。また、当社グループでは、2023年4月14日までは独立した内部監査部門がなく、内部監査の実施メンバーはすべて兼務者で構成される委員会組織で、日常的な内部監査は行わず、不祥事をチェックする組織としては不十分となっていて、株式会社東京衡機エンジニアリングはJ-SOXの対象外であったこともあり、エンジニアリング事業についての法令に基づく内部監査は行われていなかったことなどから、不正行為に対する内部統制上の牽制体制は不十分となっておりました。
以上のことから当社は、上記に関連する財務報告に係る内部統制の重要な部分が有効に機能していなかったと判断し、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
この度の決算訂正において、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正は、すべて連結財務諸表に反映しております。
しかし、上記の開示すべき重要な不備については、当連結会計年度の末日後から大幅に遅れて認識に至ったため、当連結会計年度の末日においては是正が完了しておりません。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、第三者委員会による提言を受けた経営体制の見直し、全社的なコンプライアンス意識醸成の取り組み、内部監査体制の整備、再発防止策の遵守状況に関するモニタリング等の再発防止策を策定し順次実施してまいります。また、調査委員会の再発防止策の提言を受けて、特別注意銘柄の指定解除に向けて既に実施している改善計画が本件で問題となった元取締役の不正行為の再発防止にもつながるものであるか確認を行うとともに、実施中の改善計画に追加すべき内容を検討し、元取締役が子会社の社長の地位を利用して長年に亘り続けた不正であることから、当該子会社における対応を中心に以下の内容で再発防止策を策定し、ステークホルダーの皆様の信頼回復に向けて、当社グループの役職員一丸となって、今後も引き続きガバナンス・内部管理体制の改善に取り組み、継続的な研修の実施による全社的なコンプライアンス意識の醸成、内部監査・内部統制機能の強化・拡充、子会社管理の強化、業務の属人化の防止、外注先管理を中心とした取引先管理体制の整備・再構築等の改善計画・再発防止策を着実に実行してまいります。
ⅰ)属人化・ブラックボックス化の防止
・職務/業務分掌の適切な見直し(実施中)
・子会社を含む役員選定プロセスの見直し、指名・報酬委員会の実効性強化(実施中)
ⅱ)子会社役職員に対するコンプライアンス教育(実施中)
ⅲ)内部統制システムの再構築
・子会社の取締役会の監視機能の発揮(実施済み)
・親会社の独立社外監査役の子会社監査役への就任(実施済み)
・3線ディフェンスの再構築(実施中)
ⅳ)外注先管理を中心とした取引先管理体制の整備・再構築
・外注先管理に関する社内ルールの整備(実施中)
・外注先との製造委託契約の見直し(未実施)
・具体的な発注内容を明確にした発注業務の実践(実施中)
・原価管理および製造管理に関するシステムの導入(未実施)
・会社のメールアカウントの使用の徹底と外注先とのやりとりの記録化(未実施)
・製造委託先の監査および製造委託先に対するコンプライアンス教育の実施(未実施)
・外注先が利用できる「外部通報窓口」の設置(未実施)
ⅴ)親会社による子会社管理の強化(実施済み)
該当事項はありません。
該当事項はありません。