文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、①技術への挑戦と顧客からの信頼、②人間性の尊重、③地域社会への貢献を企業理念とし、「技術と知識で豊かな社会の実現に貢献する」ことを目指しており、1923年創業当初からの試験機事業をはじめとして、社会インフラの安全・安心を支えるエンジニアリング事業などの事業を展開しております。
(2)経営戦略等
試験機事業では、マーケットシェアの拡大と収益基盤の強化に向けて、標準製品のブラッシュアップや代理店網を活用した営業基盤の強化、顧客の様々な試験ニーズに応えるための製品・技術開発力の強化、オーダーメイドの特殊製品の受注拡大、安定的な取引の継続が期待できる修理・校正・メンテナンスサービスの拡充等に取り組んでおります。エンジニアリング事業では、道路業界、建築業界、鉄道業界、電力業界等の既存顧客の深耕、海外を含む新規顧客の開拓、顧客との共同製品開発による売上の安定的拡大、生産性の向上等によりインフラマーケットへのさらなる浸透を進め、着実な成長を目指しております。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と安定的な収益の確保による企業価値の向上を基本的な経営目標としており、中長期的な経営指標としては、成長性の指標として売上高成長率10%以上、収益性・効率性の指標として営業利益率7%以上、ROE(自己資本利益率)5%以上を目標としております。
(4)会社の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は、ワクチン接種の進展を背景に、わが国の感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更されることから徐々に終息に向かっていくと見られますが、2022年2月に起こったロシアのウクライナ侵攻が全世界に与える影響は依然として予断を許さない状況となっております。
このような状況の下、当社グループといたしましては、試験機事業では、引き続き鉄鋼業界や自動車業界等の主要顧客の深耕を図り、代理店網を活用しながら修理・メンテナンス・校正サービスを含めた試験機の需要を確実に掴んでまいります。また、オーダーメイドの製品を中心に受注が伸び悩んでいることから、営業活動と製品・技術開発を一体化して推進し、標準的な試験機の開発やリピートオーダーの期待できる試験機に注力いたします。また、カーボンニュートラルやEV化などのトレンドに対応した試験機需要獲得に必要なソフトウェア分野を強化し、顧客に対する対応力と提案力を高めてまいります。
エンジニアリング事業では、今後も社会の安心・安全の確保に向けたインフラ整備をはじめ、高速道路の老朽化対策や建物・施設の建替え需要の増加も見込まれることから、引き続きゆるみ止め製品の既存顧客の深耕と市場シェア拡大に努めるとともに、営業活動と新技術開発に一体的に取り組んでまいります。
当社グループは、2023年3月8日付で行った過年度決算の訂正に関連し、当連結会計年度において重要な親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、資金繰り懸念も生じていることから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在している状況にあります。当該重要事象等を解消・改善するため、当社は、既存の事業活動を改めて見直したうえで着実に実行するとともに、2023年3月3日付の第三者委員会の調査報告書での指摘や提言を踏まえ、再発防止策の策定・実行を早期に行い、内部管理体制の改善を経営の最重要課題として取り組んでまいります。また、資金繰りを安定化させるため、商事事業での未回収債権の早期回収に取り組むとともに、取引金融機関と筆頭株主であるDream Bridge㈱に資金的な支援をお願いしてまいります。
当社グループの事業活動その他に関するリスクについて、投資家の判断上、重要であると考えられる主な事項は以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の防止および発生した場合の適切な対処に努めております。
なお、以下に記載している将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
① 災害・事故
地震・豪雨等の自然災害や火災等の事故に対しては、防災対策や設備点検等を実施しておりますが、万一災害・事故が発生した場合、設備の損壊、電力供給停止および道路・橋梁等の周辺インフラの機能不全に起因する生産活動の停止・停滞により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 海外での事業活動
当社グループの事業には、海外における商品の仕入・販売が含まれております。このため、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受け、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、海外での事業活動には、予期せぬ法律や規制の変更、インフラの脆弱性、地域紛争、感染症蔓延その他の要因による社会的または経済的混乱といったリスクがあるため、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 製品の欠陥
当社グループは、製品・商品・サービスに対して、品質管理体制を強化し、信頼性の維持に努めておりますが、予期せぬ欠陥およびリコールが発生する可能性があります。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品等の欠陥は、多額のコストにつながり、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 市場の動向
当社グループが参入する諸市場に大きな収縮を与える国内あるいは世界的な金融または経済的混乱が発生した場合、売上高の減少、債権の回収長期化等が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新製品開発と他社との提携
当社グループは、新製品開発が業容拡大の最適手段と考え、多様な製品の開発を継続しておりますが、新製品の投入時期の遅れ等により市場ニーズに対応できない可能性もあるため、たとえば試験機事業においては、海外有力メーカーとその製品の販売契約等を締結し、市場ニーズに即応する最先端の製品を市場に供給する体制を構築しております。ただし、万一、これらの契約が不測の事態により継続しない場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。
⑥ 人材の確保と育成
当社グループは、事業基盤の強化・拡大のために、必要な人材確保と育成を重要な経営課題と認識しており、社員の自立的な成長を基本とする人事制度等により人材育成を図っておりますが、事業展開のスピードに見合った人材採用と育成が計画通りに進まない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新型コロナウイルス感染症の感染再拡大
当社グループは、全世界に広がった新型コロナウイルス感染症に対し、従業員の健康と安全を第一に、オフィス内のソーシャルディスタンスの確保、アルコール消毒、WEB会議の導入、リモートワークの活用推進等の感染予防対策を講じてきました。なお、新型コロナウイルス感染症は終息傾向にありますが、今後新型コロナウイルス感染症が再拡大し、事業活動に係る生産体制や営業活動に支障が生じた場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、2022年12月9日付の第三者委員会の設置およびその調査結果を受けて行った過年度決算の訂正に関連し、当連結会計年度において重要な親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、当連結会計年度末後、現時点までの間に、資金繰りの懸念も生じております。従って、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象が存在している状況にあります。
これに対して、当社グループは、当該重要事象等を解消し、又は改善するため、既存の事業活動を改めて見直したうえで持続的な成長に向けた取り組みを着実に実行するとともに、2023年3月3日付の第三者委員会の調査報告書での指摘や提言を踏まえ、この度の商事事業に係る会計不祥事の重大性を重く受け止め、再発防止と信頼回復に向けてガバナンス・内部管理体制の改善・強化を経営の最重要課題として取り組んでおります。
また、資金繰りを安定化させるため、引当を行っている商事事業での未回収債権の早期回収に取り組むとともに、当該債権の未回収リスクにつきましては、2023年3月8日に当社の筆頭株主であるDream Bridge㈱と金銭消費貸借基本契約書を締結し当面の運転資金を確保いたしました。
さらに、当社グループの事業は主力事業である試験機事業を中心に一定の受注残高で推移しており、今後もグループ各社において、取引金融機関からの借入を受けながら、事業基盤の健全性を高めていくことで、継続企業として資金・財務基盤の安定・強化を図ってまいります。
以上のことから、当社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
⑨ 東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準への適合
当社グループは、2023年2月28日時点において、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額(事業年度の末日以前3ヶ月間の同取引所の売買立会における日々の最終価格の平均値に事業年度の末日の流通株式数を乗じて得た額)の基準について、2022年11月以降の株価の低迷により、上場維持基準である「10億円以上」を充たさない状況となったことから、2023年4月21日に「上場維持基準の適合に向けた計画」を提出し、2024年2月末時点において当該上場維持基準に適合すべく、当社株式の株価上昇のために各事業の収益性を強化し強固な財務基盤の確立に努めるとともに、当社の企業価値と将来性を的確に伝えていくためにIR活動の充実・強化に取り組んでまいります。
⑩ 特設注意市場銘柄の指定
当社は、㈱東京証券取引所より2023年3月30日付で特設注意市場銘柄の指定を受けたことから、今後当社のガバナンス・内部管理体制を再整備し強化し、内部管理体制等の問題を抜本的に改善するための改善計画を策定し、改善期間を経て指定の解除が受けられるように当社グループの役職員一丸となって改善に尽力してまいります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。 以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。このため、当連結会計年度における経営成績に関する説明において、売上高につきましては、前年同期比増減率は記載しておりません。なお、営業利益以下の各利益につきましては、影響が軽微であるため、当該会計基準等を適用する前の数値を用いて当該増減率を記載しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、ワクチン接種の進展を背景に政府のまん延防止等重点措置が解除され、緩やかな経済活動再開の動きが見られたものの、新たな変異ウイルスの発生により感染拡大の波が繰り返され景気回復に水を差す状況で推移いたしました。また、2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻により顕在化した地政学的リスクの長期化や原材料・資源価格の高騰、サプライチェーンの混乱による経済活動への影響、世界的なインフレの加速と米国をはじめとする主要各国での金融引締め、急激なドル高円安による輸入価格の上昇などわが国経済を取り巻く世界情勢は予断を許さず、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。
このような状況のもと、当社グループは、2023年3月20日の創業100周年を節目に、新たなステージを目指すべく、グループ一丸となって持続的な成長への取組みを進めております。
当社グループの主力事業は当社創業以来の試験機事業であり、これとあわせて「ゆるみ止めナット」のエンジニアリング事業と国際的な商取引に焦点を置いた商事事業を展開し、ステークホルダーの皆様からの信頼を高めるべく、強固な収益基盤を確立していくことに注力してきました。試験機事業およびエンジニアリング事業は、産業の基盤と社会インフラの「安全・安心」を支え、人々の暮らしに豊かさを提供する事業であり、引き続き社会に必要不可欠な企業として存続していくために各事業の発展に取り組んでおります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症のまん延・再拡大の影響の中で、エンジニアリング事業については都市開発や公共工事関連を中心に売上が好調で順調に推移したものの、主力の試験機事業については、標準的な試験機の売上は比較的堅調であったものの、オーダーメイドの試験機の売上が大きく落ち込み、商事事業も第1四半期連結会計期間は概ね計画通り推移したものの、商品仕入れの遅れ等により第2四半期連結会計期間以降は伸び悩み、グループ全体の売上高・営業利益も前年度を下回る結果となりました。
また、当社は、2023年3月8日付「2023年2月期第3四半期決算短信の公表および2023年2月期第3四半期報告書の提出ならびに過年度の決算の訂正に関するお知らせ」に記載のとおり、商事事業に係る一部取引ついて不適切な会計処理が判明したことから、2022年2月期決算短信から2023年2月期第2四半期決算短信および2019年2月期有価証券報告書から2023年2月期第2四半期報告書について、過年度決算訂正を行いました。これに伴い、商事事業の売上計上等に係る疑義についての客観的な事実関係の調査、会計的判断の適否の検証、会計的な影響額の算出、原因の究明、改善策の提言等を目的に設置した第三者委員会の報酬および各種調査費用ならびに同委員会の調査結果に基づく過年度決算訂正に係る監査費用等を過年度決算訂正関連費用として特別損失に計上するとともに、商事事業の販売先に対する売掛代金等の未回収債権を貸倒懸念債権に分類し、貸倒引当金繰入額として特別損失に計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,054,954千円(前年同期は4,039,193千円)、営業利益106,917千円(前年同期比55.5%減)、経常利益153,283千円(前年同期比48.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は702,350千円(前年同期は118,824千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(試験機事業)
試験機事業では、国内企業の景況感も上向きになり、設備投資意欲にも向上の兆しが見えている中で、試験機の引き合いと受注は増加傾向で推移いたしました。また、第3四半期連結会計期間以降、海外渡航制限が緩和され韓国や中国など海外からの製品受注にも回復の動きが見られました。こうした中で、今後需要が見込まれる標準的試験機の開発や既存製品のブラッシュアップ、製造原価の低減等を継続的に推進し収益力の強化に努めましたが、世界的なサプライチェーンの混乱により部材の調達に支障が生じ売上時期が大幅にずれたり、部材の仕入価格の高騰により原価率が上がり利益が圧迫される一方で、メンテナンスサービス関係を中心に価格競争が続き、厳しい経営環境で推移し、売上高、営業利益ともに前年度を下回る結果となりました。
以上の結果、試験機事業の売上高は2,646,364千円(前年同期は2,844,103千円)、営業利益は332,359千円(前年同期比22.3%減)となりました。
(商事事業)
商事事業では、従来からのインバウンド需要を見込んだ量販店向け生活関連商品の販売については、入国制限が緩和され訪日観光客も少しずつ戻りはじめたものの回復の兆しは見られませんでした。また、海外向けの一般雑貨品や家電品等の商品の仕入・販売については、第3四半期連結累計期間までは、中国を主とする越境ECの需要は底堅く比較的堅調に推移したものと見ておりましたが、外部機関より商事事業に係る売上計上について疑義を指摘され、2022年12月9日付で第三者委員会を設置したことから、それ以降は取引を中止するとともに、当該委員会の調査の結果、商事事業の取引の中には実質金融取引や金融取引と疑われる取引等があり不適切な会計処理となっていることが判明したことから、過年度にわたり会計処理を訂正いたしました。また、当社は、この商事事業について、取引の実態を十分に把握せず誤った会計処理を行ったことを深く反省し、今後は事業を継続すべきではないと判断し、2023年3月8日付で撤退することを決定いたしました。
以上の結果、商事事業の売上高は537千円(前年同期は10,243千円)、営業損失は22,049千円(前年同期は7,283千円の営業損失)となりました。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業では、主力製品であるゆるみ止めナット・スプリングについて、引き続き高速道路や橋梁、エネルギー関係等の社会インフラ向けや国内建設市場向けに安心・安全を支える技術・品質をアピールし、製品の浸透と市場シェアの拡大に努めた結果、都市開発や公共工事関連で使用するゆるみ止め製品の販売が好調で、売上高は前年度を上回ることができましたが、原材料価格の高騰に対して販売価格への価格転嫁が遅れたことなどから営業利益は伸び悩みました。
以上の結果、エンジニアリング事業の売上高は408,179千円(前年同期は365,009千円)、営業利益は81,069千円(前年同期比22.9%減)となりました。
(その他事業)
その他の事業につきましては、2022年7月28日付で主に不動産事業を行う子会社として㈱東京衡機不動産を設立し、同年9月22日付で宅地建物取引業の免許を取得して営業を開始いたしましたが、当連結会計年度は売上を計上することはできず、設立・開業準備費用と営業費用のみ発生いたしました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ595,201千円減少し、515,232千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローの減少は160,243千円(前年同期は217,312千円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失683,913千円、過年度決算訂正関連費用223,325千円、貸倒引当金の増加額562,234千円、棚卸資産の増加額173,255千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローの減少は51,817千円(前年同期は92,971千円の減少)となりました。これは主に定期預金等の預入による支出82,000千円、定期預金等の払戻による収入35,000千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローの減少は383,140千円(前年同期は98,700千円の増加)となりました。これは主に短期借入れによる収入4,161,800千円、短期借入金の返済による支出4,540,600千円等によるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価額によっております。
2 セグメント間の取引は相殺消去しております。
3 商事事業は該当事項がないため、その他は、提供するサービスの性格上生産実績に馴染まないため記載しておりません。
4 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、前連結会計年度より海外事業を連結の範囲から除外したことによるものです。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価額によっております。
2 セグメント間の取引は相殺消去しております。
3 商事事業、エンジニアリング事業及びその他は受注生産ではないため、上記の金額に含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引は相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、前連結会計年度より海外事業を連結の範囲から除外したことによるものです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損、棚卸資産の評価、貸倒引当金、賞与引当金及び法人税等であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要となるものは、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(資産の部)
総資産は3,445,340千円となり、前連結会計年度末に比べ946,025千円減少いたしました。
流動資産は2,319,887千円となり、前連結会計年度末に比べ906,393千円減少いたしました。これは主に現金及び預金の減少548,423千円、仕掛品の増加169,610千円、貸倒引当金の増加516,981千円によるものであります。
固定資産は1,125,452千円となり、前連結会計年度末に比べ39,632千円減少いたしました。これは主に建物及び構築物の減少7,627千円、工具、器具及び備品の減少16,752千円、繰延税金資産の減少11,820千円によるものであります。
(負債の部)
流動負債は1,305,179千円となり、前連結会計年度末に比べ213,750千円減少いたしました。これは主に短期借入金の減少378,800千円、未払金の増加105,808千円、訂正関連費用引当金の増加50,950千円によるものであります。
固定負債は723,677千円となり、前連結会計年度末に比べ29,994千円減少いたしました。これは主に退職給付に係る負債の減少28,072千円によるものであります。
(純資産の部)
純資産は1,416,482千円となり、前連結会計年度末に比べ702,280千円減少いたしました。これは主に利益剰余金の減少702,350千円によるものであります。
b. 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は3,054,954千円(前年同期は4,039,193千円)となりました。これは主に2022年2月21日付で当社保有の無錫三和塑料製品有限公司の出資持分を他社に譲渡したことに伴い、連結の範囲から海外事業を除外し、売上が減少したことによります。営業利益は106,917千円(前年同期比55.5%減)となりました。これは主に海外事業を連結の範囲から除外したことや試験機事業において、生産の遅れや原価率の上昇より減収したことによります。経常利益は153,283千円(前年同期比48.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は702,350千円(前年同期は118,824千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、営業キャッシュ・フローで充当することを基本としており、必要に応じて借入により資金調達を実施しております。
④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的な経営指標として、売上高成長率10%以上、営業利益率7%以上、ROE(自己資本利益率)5%以上を目標としております。
当連結会計年度は、営業利益率3.5%、ROE(自己資本利益率)△39.7%となり、営業利益率とROEは目標とする指標を下回る結果となりました。なお、当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用していることなどから、当連結会計年度の売上高成長率につきましては、目標の達成状況を判断しておりません。
1 技術援助契約
(注) 上記契約に従い、HORIBA Europe GmbH に対し、毎年一定額のロイヤルティを支払っております。
2 販売代理契約
(注) 上記契約は、ZwickRoell GmbH & Co.KGの製品の日本国内における販売代理に関する製造元および総販売元との三者契約であります。
当社グループの研究開発活動は、試験機事業を主体にユーザーニーズの高度化・多様化に対処すべく、システム化、自動化、高付加価値化を重点として製品の改良・開発を実施しております。また、試験技術を発展させ、環境保全に貢献できる技術の基礎研究と製品の企画開発にも注力しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は18,361千円であり、主な研究開発活動の状況は次のとおりであります。なお、研究開発活動は試験機事業のみであり、その他の事業の実績はありません。
試験機事業では、前年度からの継続開発案件の性能向上化と新製品開発に取り組みました。
継続開発案件では、車両搭載ホース類を対象とした液圧試験機の制御性能向上に取り組み一定の成果が見られました。また、当該技術を応用した各種内圧試験機の提案も進めております。
疲労試験機および万能試験機向けの次世代コントローラの開発も継続しており、製品化の最終段階へと進んでおります。
新製品開発では、極低温環境下での構造部材評価が可能な試験機開発に取り組みました。当該試験機はカーボンニュートラルの一環として水素利用が活発化する中で、液化水素温度-253℃環境下での試験需要の高まりに対応するもので、クライオスタットと油圧サーボ試験機を組み合わせた試験力500KNの大型疲労試験機をリリースしました。当該試験機は液化水素貯槽の設計参照データ取得などに活用されるものであります。