回次 |
国際会計基準 |
|||||
第4期 |
第5期 |
第6期 |
第7期 |
第8期 |
||
決算年月 |
2019年9月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
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売上収益 |
(百万円) |
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|
|
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|
税引前利益又は税引前損失(△) |
(百万円) |
△ |
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|
親会社の所有者に帰属する 当期利益又は親会社の所有者に帰属する当期損失(△) |
(百万円) |
△ |
|
|
|
|
親会社の所有者に帰属する 当期包括利益 |
(百万円) |
△ |
|
|
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|
親会社の所有者に帰属する持分 |
(百万円) |
|
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総資産額 |
(百万円) |
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1株当たり親会社所有者帰属持分 |
(円) |
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基本的1株当たり当期利益又は 基本的1株当たり当期損失(△) |
(円) |
△ |
|
|
|
|
希薄化後1株当たり当期利益又は 希薄化後1株当たり当期損失(△) |
(円) |
△ |
|
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親会社所有者帰属持分比率 |
(%) |
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|
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親会社所有者帰属持分当期利益率又は親会社所有者帰属持分当期損失率 |
(%) |
△ |
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株価収益率 |
(倍) |
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|
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|
営業活動によるキャッシュ・ フロー |
(百万円) |
|
|
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|
|
投資活動によるキャッシュ・ フロー |
(百万円) |
△ |
|
△ |
△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・ フロー |
(百万円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(百万円) |
|
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|
従業員数 |
(人) |
|
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(注)1.第6期より、国際会計基準(以下、「IFRS」という。)により連結財務諸表を作成しております。なお、2018年10月1日をIFRS移行日とした第4期及び第5期のIFRSによる連結経営指標等をあわせて記載しております。
2.第5期は、決算期変更に伴い、2019年10月1日から2020年3月31日までの6ヶ月間となっております。
3.株価収益率については、第4期、第5期、第6期、第7期及び第8期について、当社株式は非上場であったため、記載しておりません。
4.第4期、第5期、第6期、第7期及び第8期のIFRSに基づく連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。
5.従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、定年後再雇用社員は従業員数に含めております。
6.2021年12月21日開催の取締役会決議に基づき、当社は、2022年1月12日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しております。これに伴い、第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり親会社所有者帰属持分、基本的1株当たり当期利益又は基本的1株当たり当期損失、及び希薄化後1株当たり当期利益又は希薄化後1株当たり当期損失を算定しております。
回次 |
日本基準 |
||||||
第3期 |
第4期 |
第5期 |
第6期 |
第7期 |
第8期 |
||
決算年月 |
2018年9月 |
2019年9月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
|
売上高 |
(百万円) |
|
|
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|
経常利益又は経常損失(△) |
(百万円) |
△ |
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|
|
|
当期純利益又は当期純損失(△) |
(百万円) |
|
△ |
|
|
|
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資本金 |
(百万円) |
|
|
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|
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発行済株式総数 |
(株) |
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普通株式 |
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A種優先株式 |
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純資産額 |
(百万円) |
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|
|
総資産額 |
(百万円) |
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|
|
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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|
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1株当たり配当額 |
(円) |
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|
|
普通株式 |
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|
|
|
|
|
(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
( |
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A種優先株式 |
|
|
|
|
|
|
|
(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
( |
|
1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
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△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(人) |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:-) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
( |
最高株価 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
最低株価 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
(注)1.第5期は、決算期変更に伴い、2019年10月1日から2020年3月31日までの6ヶ月間となっております。
2.第3期、第4期、第5期、第7期及び第8期の1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。第6期につきましては、当社株主のKKR HKE Investment L.P.に対して同社が2018年6月の再編直後から当社株式を他社へ売却する予定であったこと、加えて、当社も他社との経営統合までは運転資金のため内部留保する必要があったことから、第5期事業年度までは同社に対して配当を行っておりませんでした。しかしながら、第6期事業年度については、2021年3月以降、同社が当社を中長期的な投資と位置づけたこと、同年度は過去最高業績であったことから、運転資金の十分な確保など、財務体質の健全性を維持しつつ、2021年3月期及び無配期間の累積利益を考慮し、2021年3月期も含めた過去4期、3年分の配当を実施いたしました。なお、第6期の配当性向につきましては、株式会社日立製作所に対するA種優先株式に対する配当額を対象期間(2017年12月から2021年3月まで)中の事業年度に按分の上、第6期の当期純利益より控除して算出しております。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、第3期、第4期、第5期、第6期、第7期及び第8期について、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。
4.第4期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため、記載しておりません。
5.株価収益率については、第3期、第4期、第5期、第6期、第7期及び第8期について、当社株式は非上場であったため、記載しておりません。
6.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、定年後再雇用社員は従業員数に含めております。
7.第4期以降の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けております。なお、第3期については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
8.2021年12月21日開催の取締役会決議に基づき、当社は、2022年1月12日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しており、発行済株式総数は230,400,000株となりました。これに伴い、第3期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。なお、1株当たり配当額については、当該株式分割前の実際の配当金の額を記載しております。
9.2022年10月31日開催の取締役会決議に基づき、当社は、2021年10月31日付でリストリクテッド・ストック・ユニット報酬契約を締結している従業員の権利確定日を2023年3月31日から2022年11月1日に変更し、同従業員に対し、第三者割当により4,200株の株式を発行しております。
10.株主総利回り、比較指標、最高株価及び最低株価については、第3期、第4期、第5期、第6期、第7期及び第8期について、当社株式は非上場であったため、記載しておりません。
なお、当社株式は2023年10月25日付で、東京証券取引所プライム市場に上場いたしました。
当社は、株式会社日立製作所の子会社として事業運営していた株式会社日立国際電気における成膜プロセスソリューション事業が前身となります。
株式会社日立製作所及び株式会社日立国際電気は、当時の株式会社日立国際電気が運営していた映像・通信ソリューション事業及び成膜プロセスソリューション事業のそれぞれについて経営の最適化を追求することをめざし、2017年2月に新たな資本パートナーとして投資ファンドであるKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.(以下、「KKR」という。)を成膜プロセスソリューション事業の分割による売却先に選定いたしました。その後、KKRが運営・管理する特別目的会社であるHKEホールディングス株式会社(2017年2月にHKEホールディングス合同会社として設立され、2017年12月にHKEホールディングス株式会社へ組織変更)は、株式会社日立国際電気の株式の公開買い付けを実施し、株式会社日立国際電気は2018年3月に東京証券取引所市場第一部上場廃止となり、HKEホールディングス株式会社は2018年5月に株式会社日立国際電気を子会社化いたしました。
その後、2018年6月に株式会社日立国際電気が会社分割を行い、同社の成膜プロセスソリューション事業をHKEホールディングス株式会社が承継し、同時に株式会社KOKUSAI ELECTRICに商号変更して現在に至っております。
そこで、以下では、株式会社日立国際電気の設立から公開買付けによる上場廃止までと、同社の上場廃止から現在に至るまでを2つの表に分けて記載しております。
(株式会社日立国際電気の設立から公開買付けによる上場廃止まで)
年 月 |
概要 |
1949年11月 |
日本政府の委託により第二次世界大戦の終戦まで外地向け通信施設の建設保守業務を担当していた国際電気通信株式会社の総合自家用工場(狛江工場)を母体として、電気通信機器及び高周波応用機器の製造販売を主目的とする国際電気株式会社を設立 |
1956年4月 |
ゲルマニウム、シリコン単結晶引上装置を受注し、半導体製造装置事業を開始 |
1961年9月 |
国際電気株式会社が東京証券取引所に上場(同年10月 市場第一部銘柄に指定) |
1971年3月 |
アメリカのデラウェア州に現地法人Kokusai Electric Co., of Americaを設立 |
1977年3月 |
ドイツのデュッセルドルフに現地法人Kokusai Electric Europe GmbH(現 Kokusai Semiconductor Europe GmbH)を設立 |
1989年2月 |
国際電気システムサービス株式会社(現 株式会社国際電気セミコンダクターサービス)を設立 |
1989年5月 |
富山工場操業開始 |
1991年8月 |
富山工場・トレーニングセンター開設 |
1993年5月 |
大韓民国天安市に現地法人 Kook Je Electric Korea Co., Ltd.を設立 |
1996年9月 |
台湾に亜太國際電機股份有限公司(Kokusai Electric Asia Pacific Co., Ltd.)を設立 |
1997年5月 |
Kokusai Electric America, Inc.を持株会社に改組し、Kokusai Semiconductor Equipment Corporationを設立して半導体製造装置関連業務を移行 |
2000年10月 |
国際電気株式会社・日立電子株式会社・八木アンテナ株式会社が合併し、株式会社日立国際電気に商号変更 |
2001年4月
|
国際電気システムサービス株式会社が通信・情報部門を日立電子システムサービス株式会社に営業譲渡し、株式会社国際電気セミコンダクターサービスに商号変更 |
2002年5月 |
亜太國際電機股份有限公司(Kokusai Electric Asia Pacific Co., Ltd.)が、Kokusai Electric Asia Pacific Shanghai Ltd.(現 科意半導体設備(上海)有限公司(KE Semiconductor Equipment (Shanghai) Co., Ltd.))を設立 |
2003年3月
|
米国現地法人Kokusai Semiconductor Equipment CorporationがKokusai Electric America, Inc.を吸収合併 |
|
連結子会社であったKook Je Electric Korea Co., Ltd.の公募増資により持分法適用関連会社化 Kook Je Electric Korea Co., Ltd.はKOSDAQ市場に上場 |
2006年5月
|
Kokusai Electric Asia Pacific Shanghai Ltd.に追加出資し、Hitachi Kokusai Electric(Shanghai) Co., Ltd. (現 科意半導体設備(上海)有限公司(KE Semiconductor Equipment (Shanghai) Co., Ltd.))に商号変更 |
2008年5月
|
Kokusai Electric Europe GmbHとHitachi Kokusai Electric Europe GmbHが合併し、Hitachi Kokusai Electric Europe GmbHに商号変更 |
2009年3月 |
株式会社日立製作所の連結子会社となる |
年 月 |
概要 |
2010年9月 |
持分法適用関連会社であったKook Je Electric Korea Co., Ltd.を株式の追加取得により連結子会社化 同社の子会社Fusionaid Co., Ltd.についても連結子会社化 |
2010年11月 |
Kook Je Electric Korea Co., Ltd.平澤工場を建設 |
2011年10月 |
Kook Je Electric Korea Co., Ltd.がFusionaid Co., Ltd.を吸収合併 Kook Je Electric Korea Co., Ltd.天安工場を拡張 |
2015年2月 |
連結子会社であったKook Je Electric Korea Co., Ltd.の株式を公開買付 その結果、Kook Je Electric Korea Co., Ltd.はKOSDAQ市場上場廃止 |
2015年9月
|
Hitachi Kokusai Electric Europe GmbHを新設分割し、新設分割設立会社をHitachi Kokusai Electric Europe GmbHとするとともに、分割会社をHitachi Kokusai Semiconductor Europe GmbH(現 Kokusai Semiconductor Europe GmbH)に商号変更 |
2016年1月
|
公開買付け等により連結子会社であったKook Je Electric Korea Co., Ltd.の全ての株式を取得し、完全子会社化 |
2017年2月 |
Kohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.を成膜プロセスソリューション事業の分割による売却先に選定し、Kohlberg Kravis Roberts & Co. L.P.が特別目的会社であるHKEホールディングス合同会社を東京都千代田区丸の内に設立 |
2017年11月 |
富山工場剱館完成 |
2017年12月 |
HKEホールディングス合同会社からHKEホールディングス株式会社に組織変更 HKEホールディングス株式会社が株式会社日立国際電気の公開買付けを実施し、成立 |
2018年3月 |
株式会社日立国際電気が東京証券取引所市場第一部上場廃止 |
(株式会社日立国際電気の公開買付けによる上場廃止以降、現在に至るまで)
年 月 |
概要 |
2018年3月 |
HKEホールディングス株式会社が株式会社日立国際電気からKook Je Electric Korea Co., Ltd.の全ての株式を取得し、完全子会社化 |
2018年5月 |
HKEホールディングス株式会社が株式会社日立国際電気を完全子会社化 |
2018年6月 |
会社分割により、株式会社日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業をHKEホールディングス株式会社が承継し、株式会社KOKUSAI ELECTRICに商号変更 当社の完全子会社となった株式会社日立国際電気の普通株式を20%ずつ、株式会社日立製作所及びHVJホールディングス株式会社へ売却し、非連結子会社化 本店を東京都千代田区丸の内から東京都千代田区神田へ移転 |
2020年2月 |
当社が株式会社日立国際電気の全株式をHVJホールディングス株式会社に売却し、株式会社日立国際電気を非子会社化 |
2021年9月 |
その他資本剰余金99億円を資本金に振替、資本金100億円となる無償増資を実施 |
2022年12月 2023年10月 |
新しい企業理念として「KOKUSAI ELECTRIC Way」を制定 東京証券取引所プライム市場に上場 これに伴い、ケイケイアール・エイチケーイー・インベストメント・エルピー(KKR HKE Investment L.P.)が当社の親会社からその他の関係会社に変更 |
2024年2月 |
シンガポールに現地法人Kokusai Semiconductor Singapore Pte. Ltd.を設立 |
当社グループは、当社及び連結子会社7社で構成され、半導体製造装置の製造・販売・保守サービスを主な内容としてグローバルに事業活動を展開しております。当社グループは、半導体製造装置事業の単一セグメントであるため、ビジネスごとに分類して記載いたします。
(1)装置ビジネス
当社グループでは、半導体の製造に使用する装置の製造及び販売を行っております。半導体の製造プロセスの概略図を(図-1)に示します。半導体は、シリコンウェーハ上に、回路を形成していく工程を何度も繰り返して製造していきます。回路形成工程は、回路形成に必要な薄膜等を形成する成膜工程、成膜後に熱をかけて結晶サイズを揃える(アニール)等の熱処理工程、成膜上に回路を形成するパターニングを行うリソグラフィ工程、パターンに沿って膜を取り除くエッチング工程、各工程間でウェーハを洗浄する洗浄工程、各工程間での検査工程で構成されます。シリコンウェーハ上にこれらの工程を繰り返して回路を形成する製造工程を総称して前工程と呼んでおります。そして、前工程の工程ごとに高度な専用技術を要したさまざまな装置が使用されることで半導体が製造されます。当社グループでは、前工程における「成膜」工程の装置を主力製品として、また「熱処理」工程に用いられる装置の製造及び販売をしております。
図-1 半導体製造前工程と当社グループ適応製品
「成膜」工程とは、シリコンウェーハの回路形成における回路素材となるポリシリコン膜や絶縁膜等の薄膜を形成する工程を指します。当社グループでは、その成膜工程の中でLP-CVD製品のほかに、ALD(注1)に対応した製品を提供しております。
一方、「熱処理」工程とは、熱酸化(注2)膜を形成するプロセスや、成膜後に加熱して膜中の結晶サイズを揃える(アニール)プロセス、成膜後に注入した不純物を加熱して均一に拡散するプロセス、また、プラズマを用いて成膜後に膜質を改善する(トリートメント)プロセスなどを指します。当社グループでは、本工程に最適なプロセス技術にて装置提供を行っております。
これらの工程は、シリコンウェーハの回路形成において重要な役割を担うことから、各装置に、高度な技術と品質の信頼性の高い製品提供が必要となります。
(注1)当社グループでは、複数のガスをサイクリックに供給する工程を伴い、原子層レベルで成膜する手法を「ALD」と呼んでおります。
(注2)シリコン基板表面から内部にかけて高純度の酸化をする方法。熱酸化には、ドライ酸化、ウエット酸化などいくつかの方法があります。
当社グループが装置メーカーとして取り組んでいる最も重要な課題についてご説明します。それは、デバイス構造の複雑化を原因とする成膜プロセスの生産性の低下という問題です。三次元(立体)構造になるとデバイスの構造がより深く、複雑になります。それにより成膜が必要な表面積が拡大し、ガスの移動距離が長くなり、成膜に要する時間が増加するため、生産性の課題が顕在化します。また、デバイス構造の複雑化に伴い、難易度の高い高品質成膜が要求されており、ALDのニーズが高まっております。当社グループは、このニーズに高難易度成膜と高生産性の両立できるバッチALD技術で、顧客の厳しい要求仕様に応えております。このバッチALD技術は、当社のコア技術による競合優位性の高い技術となっております。そのようなことからも、本分野に高度な技術力を有する当社グループは高いシェアを持続しております。
顧客からのニーズが高まっているALDはサイクリックなプロセスであり、そのプロセスの中でガスの流入や流出、また膜質を維持するために副産物の除去を行うため時間を要するプロセスになってしまうことが大きな課題になっております。ALD技術とバッチの組み合わせによる補完関係を実現した当社グループのバッチALD技術は、高難易度成膜と高生産性の両立を可能とするものであり、生産性に関するALDの問題の論理的な解決策となります。
次に当社製品について以下にご紹介いたします。当社製品はバッチ成膜装置とトリートメント(膜質改善)装置をラインアップしており、バッチALDは売上高世界シェア1位(出典:TechInsights Manufacturing Analysis Inc.(VLSI)“TI_ALD Tools_YEARLY” 2023(April))、トリートメントは売上高世界シェア2位(注1)(出典: “Gartner®, Market Share: Semiconductor Wafer Fab Equipment, Worldwide, 2022, Bob Johnson, Gaurav Gupta, Menglin Cao, 17 April, 2023 ”)となっております。
(注)1.Gartnerによる半導体製造装置(前工程)セグメントにおける「RTP and Oxidation/Diffusion」を「トリートメント装置」と定義。
※Gartner リサーチに基づき、当社が作成したものです。ここに記載のある数値は、当社により算出されたものです。GARTNERは、Gartner Inc.又は関連会社の米国及びその他の国における登録商標及びサービスマークであり、同社の許可に基づいて使用しております。All rights reserved. Gartner は、Gartner リサーチの発行物に掲載された特定のベンダー、製品又はサービスを推奨するものではありません。また、最高のレーティング又はその他の評価を得たベンダーのみを選択するようにテクノロジーユーザーに助言するものではありません。
Gartner リサーチの発行物は、Gartner リサーチの見解を表したものであり、事実を表現したものではありません。Gartner は、明示又は黙示を問わず、本リサーチの商品性や特定目的への適合性を含め、一切の責任を負うものではありません。
それぞれの製品についてご説明します。
① バッチ成膜装置
バッチ成膜装置とは、数十枚以上のシリコンウェーハを一括処理することを可能とした成膜装置であり、高生産性が特徴となります。バッチ成膜装置には、高生産性を追究しウェーハ数百枚の一括処理に対応した「ラージバッチ」プラットフォーム(図-2 主要製品概要参照)と、複雑化する半導体構造への難易度が高い高品質成膜に対応し、ウェーハ数十枚の一括処理に対応した「ミニバッチ」プラットフォームがあります。
このバッチ成膜装置のプラットフォームに使途に応じた反応炉をセットし、最適なプロセスを実現しております。「成膜」工程では、「LP-CVD」「ALD」など、「熱処理」工程では「熱酸化」「アニール」「拡散」などに適応しております。
なお、バッチ成膜装置の主力製品であるAdvancedAce®シリーズ及びTSURUGI® 剱®シリーズの概要は下記のとおりです。
・AdvancedAce®シリーズ:当社のコア技術である温度制御技術、自動搬送技術、真空・ガス置換技術、冷却技術、成膜技術を結集することで、高品質な成膜性能と高生産性を実現し、バッチCVD技術とバッチALDに対応したサーマルプロセス装置。
・TSURUGI® 剱®シリーズ:次世代デバイス、特に三次元(立体)デバイスに向けた成膜品質向上の市場ニーズにこたえるため、新反応炉を採用した成膜処理技術向上により、高品質・高生産性を備えたプロセス提供を可能にした新たなサーマルプロセス装置(最新のバッチALD技術に対応)。
② トリートメント(膜質改善)装置
トリートメント装置は、成膜後にプラズマや加熱により膜中の不純物の除去や粒子を安定させることで膜質を改善させることを目的とした装置です。半導体デバイスの微細化、複雑化に伴い低温環境での成膜需要が高まる中で、低温環境でも膜質を維持するソリューションとして需要が拡大しております。
当社グループで製造・販売しているトリートメント装置には、独自のプラズマ源を用いた「酸窒化・トリートメント装置」のMARORA®、ノンプラズマでヒーターを熱源とした「アニール装置」のTANDUO®などがあります。特に「MARORA®」は複雑な半導体形状に対しても高い生産性と品質でのトリートメントが可能であり、顧客からの需要を集めております。
当社はトリートメント装置において既に世界2位の市場シェアを有しておりますが、バッチ成膜装置に次ぐ柱として今後も成長させていく計画です。
③ その他(測定器・洗浄装置用のユニット)
国内関連子会社(株式会社国際電気セミコンダクターサービス)にて、成膜した後に膜の抵抗値を測定する測定検査装置や、他装置メーカー等向けに洗浄装置用の超音波発振器(水の中で振動させて洗浄に使用)ユニットを製品として製造・販売をしております。
図-2 主要製品概要
(2)サービスビジネス
当社グループでは、当社グループが製造・販売する半導体製造装置において部品販売・保守サービスをはじめとするアフターサービスの提供を行っております。半導体生産工場においては、半導体製造装置が年中無休で稼働しており、半導体製造装置に対し安定的な稼働とともに、耐久性が高い製品の提供が要求されております。当社グループにおいては、これら品質を担保した製品の提供を行っておりますが、これに加え、迅速、かつ、的確にアフターサービスを提供する体制が求められております。
当社グループでは、このような顧客の要望に応えるべく、より顧客の製造拠点に近い場所にて、サービス拠点を設置したうえで、優秀なエンジニアを配置するとともに、交換パーツを配備することで、装置トラブルに迅速、かつ、的確に対応可能な体制を整えております。
|
取り扱いサービス(役務提供を含む) |
① |
消耗部品等の部品販売 保守サービス、有償修理 (現地修理/ユニット引取り修理/オーバーホール等) |
② |
装置の移設・改造 (プロセス変更/アップグレード等) |
③ |
ウェーハサイズ200mm以下 レガシー装置(新規・中古)販売 |
① 部品販売、保守サービス、有償修理
当社が製造・販売する主要製品に対し、保守メンテナンスするための製品の提供を行っております。加えて、半導体製造装置のための定期的な保守サービスを行っております。また、製品保証契約による修理サービスに加えて、故障時に有償で修理サービスを提供しております。
② 装置の移設・改造
当社が提供する主要製品に対し、設置後に必要に応じて、装置の移設やプロセスの書き換え、アップグレード等のサービス等を提供しております。
③ ウェーハサイズ200㎜以下の装置と中古装置の販売
当社はレガシー世代でのバッチ成膜装置を新規・中古いずれも顧客の要望に応じて適切に提供しております。2017年には、200mmバッチ成膜装置に、ウェーハサイズ300mmの先端装置技術を移植した新製品として競争力の高いバッチ成膜装置(VERTEX Revolution®)を市場投入して販売しております。また、SiCを含むパワーデバイス用途向けの販売が増加しており、当社は高温アニール技術を生かして差別化をはかっております。
半導体設備投資サイクルの変動を受けにくく、かつ消耗品の販売等リカーリングな収益が発生するサービスビジネスは、安定的かつ高マージンな収益が期待されます。当社グループは装置のライフサイクル全体にわたってアフターサービスを提供し続ける体制を整えており、インストール台数の増加と各サービスの強化を通じてサービスビジネスも拡大しております。
なお、当社グループの2024年3月期におけるビジネスごとの売上収益の構成は、装置ビジネスが65%(2023年3月期は69%)、サービスビジネスが35%(2023年3月期は31%)となっております。
当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。
[事業系統図]
(2023年3月31日時点)
名称 |
住所 |
資本金 (百万円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
(親会社) |
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|
ケイケイアール・エイチケーイー・インベストメント・エルピー (KKR HKE Investment L.P.) (注)3 |
英国領 ケイマン諸島 |
- |
当社への出資 |
被所有 83.2 |
役員の兼任等 |
(連結子会社) |
|
|
|
|
|
株式会社国際電気セミコンダクターサービス |
富山県富山市 |
300 |
半導体製造装置事業 |
100.0 |
当社製品の販売活動及び部品販売、保守サービス 役員の兼任等 |
Kook Je Electric Korea Co., Ltd. (注)4、5 |
韓国 天安市 |
百万韓国ウォン 4,926 |
半導体製造装置事業 |
100.0 |
半導体製造装置の製造・販売 当社製品の販売活動及び部品販売、保守サービス 役員の兼任等 |
科意半導体設備(上海)有限公司 (注)5 |
中国 上海市 |
万米ドル 200 |
半導体製造装置事業 |
100.0 |
当社製品の販売活動及び部品販売、保守サービス 役員の兼任等 |
亜太國際電機股份有限公司 |
台湾 新竹市 |
百万台湾ドル 25 |
半導体製造装置事業 |
100.0 |
当社製品の販売活動及び部品販売、保守サービス 役員の兼任等 |
Kokusai Semiconductor Equipment Corporation |
米国 デラウェア州 |
千米ドル 22,801 |
半導体製造装置事業 |
100.0 |
当社製品の販売活動及び部品販売、保守サービス 役員の兼任等 |
Kokusai Semiconductor Europe GmbH |
ドイツ エアクラート市 |
千ユーロ 2,000 |
半導体製造装置事業 |
100.0 |
当社製品の販売活動及び部品販売、保守サービス 役員の兼任等 |
(注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2.「関係内容」欄の役員の兼任等には、当社の取締役、執行役員及び従業員が含まれております。
3.当社の親会社でありましたケイケイアール・エイチケーイー・インベストメント・エルピー(KKR HKE Investment L.P.)は、当社普通株式の東京証券取引所プライム市場への新規上場に伴う当該親会社の所有株式の売出し及びオーバーアロットメントによる売出しにより、2023年10月25日をもって当社の親会社から当社に対して重要な影響力を有する企業に変更となりました。
4.特定子会社であります。
5.Kook Je Electric Korea Co., Ltd.及び科意半導体設備(上海)有限公司については、2023年3月期における売上収益(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上収益に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等
Kook Je Electric Korea Co., Ltd.
① 売上収益 49,581百万円
② 当期利益 5,188百万円
③ 資本 16,453百万円
④ 資産 26,794百万円
科意半導体設備(上海)有限公司
① 売上収益 32,538百万円
② 当期利益 4,769百万円
③ 資本 8,086百万円
④ 資産 18,701百万円
当社グループは半導体製造装置事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
(1)連結会社の状況
2024年4月30日現在 |
従業員数(人) |
2,520 |
(注) 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、定年後再雇用社員は従業員数に含めております。
(2)提出会社の状況
|
|
|
2024年4月30日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
1,153 |
43.9 |
20.0 |
8,383,497 |
(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、定年後再雇用社員は従業員数に含めております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合は、KOKUSAI ELECTRIC労働組合と称し、日立国際電気グループ労働組合に加盟しており、2024年4月30日現在の組合員数は806人であります。
また、一部連結子会社においても、労働組合が組織されておりますが、当社を含めて労使関係は円満に推移しており、現在、組合と会社との間に特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
最近事業年度 |
||||
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注1) |
||
全労働者 |
うち正規雇用労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
||
4.2 |
65.5 |
76.4 |
77.0 |
51.1 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
② 連結子会社
連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。