当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社は、経営理念「私たちは、お客さま、地域社会の『環境価値』を創造し続けます。」のもと、アジアを主たる活動領域にファシリティマネジメント(以下、「FM」)事業を展開しています。当社が掲げる「環境価値創造」とは、人々が平和と豊かさを享受できる環境を創出していくということです。当社は、事業を通じて環境価値を創造し続け、社会の持続的発展に貢献していくことで、お客さま、地域社会から必要とされ続ける企業でありたいと考えています。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
イオンディライト ビジョン2025
当社は、更なる持続的成長を目的にイオンディライト ビジョン2025(以下、「ビジョン2025」)を策定し、「アジアにおいて『安全・安心』、『人手不足』、『環境』の3つを成長戦略の柱に社会課題を解決する環境価値創造企業を目指す」ことを宣言しました。また、これを実現するため、FMの専門家集団としての企業ブランドを確立するとともに、事業を展開する各エリアにおいて地域経済圏の形成に取り組んでいます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組 ア.ガバナンス 当社グループは、2022年4月より「サステナビリティ委員会」をESG経営の全社推進機関として設置し、事業活動を通じた社会課題の解決、及び持続可能な社会の実現に向けた協議を進めています。社長執行役員を委員長とし、ESG担当執行役員、関連業務を所管する執行役員および関係者を招集し、年2回以上の開催を行っています。 サステナビリティ委員会では、サステナビリティ基本方針に基づく最優先課題及び関連する方針・目標・重要施策を議論し、その進捗管理を行います。また重点的に取り組むテーマについては、下部組織として執行役員を分科会長とする分科会を設置し、実効的な取り組みにつなげています。これらの活動結果は、取締役会に年1回の報告を行っています。 |
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イ.戦略
事業活動を取り巻く社会情勢は今後も大きく変動し続け、企業に対する社会からの要請・ニーズも変化することが予想されます。当社グループは持続可能な社会の実現を目指し、リスク低減と事業機会活用を両輪としたESG経営を推進する中で、2021年8月、ESG経営推進に関する基本的な考え方として、「サステナビリティ基本方針」を制定しました。
ウ.リスク管理
当社グループは、「イオンディライトグループリスク管理基本規程」をもとに、重要リスクに対応したリスクマネジメントを実施しています。リスクアセスメントをもとにリスク管理委員会で重要リスクを選定、それぞれ任命した「重要リスクオーナー」がリスク低減施策の遂行とモニタリングを行っています。リスク管理委員会は重要リスクオーナーから報告を受け、その内容を評価・解析するとともに、取締役会に報告しています。
また、当社グループは、TCFDにおける気候変動リスクをはじめとしたサステナビリティ関連リスクについては「サステナビリティ委員会」において、リスクを評価するとともに、分析・対応を行っていきます。
(2)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
ア.気候変動
イ.人的資本、多様性
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
ア.気候変動
当社グループは2022年5月、気候変動が事業活動に与える影響の把握とその開示を推進するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明しました。
またイオングループの一員として、「イオン脱炭素ビジョン」に基づき、店舗で排出する温室効果ガスを総量でゼロにする取り組みを支援していきます。
気候変動に伴う、当社グループにまつわる機会とリスクの双方を検討した結果、事業活動の機会がリスクを上回ると認識しました。これは、リスクを適切に管理し、従来培ってきた災害などに対する危機対応力や施設の省エネルギー化をはじめとしたお客さまの脱炭素支援サービスを強化し続けることを前提としています。今後も気候変動が事業にもたらすリスクや機会を広範に分析し、自社の取り組みの方向性を確認し経営戦略に反映することで、当社グループとお客さまの気候変動に対するレジリエンス向上につなげます。加えて、脱炭素社会の実現に向けた貢献と、企業としての持続的な成長のために、気候変動への対応に関する情報開示を積極的に行っていきます。
(ア)ガバナンス
ガバナンスについては、
(イ)戦略
・シナリオの選択
当社グループは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)が公表しているシナリオに基づき、分析を行いました。低炭素社会への移行に伴う影響を表した「1.5℃/2℃未満シナリオ」と、気候変動による災害など物理的な影響を示した「4℃シナリオ」を設定しています。時間軸は、中期を2030年、長期を2050年としました。
シナリオ分析の実施にあたっては、当社グループ全体に及ぶ影響を確認するため、分析の対象を当社グループの売上高の約9割を構成する国内の全事業(一部サポート事業を除く)としました。
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・重要なリスク/機会及びその影響度
シナリオ分析の結果、気候変動に伴い想定される移行リスクや物理的リスクなど、さまざまなリスク・機会がある中、当社グループにとって重要なリスク・機会として、以下を特定しました。
-炭素税の導入とコストの増大
2050年におけるカーボンニュートラルの実現に向け、当社グループの主要拠点である日本国内においては、炭素税の導入が想定されます。当社グループにおける温室効果ガスの排出量から想定される炭素税による追加コストは限定的であると想定していますが、引き続き省エネ化に努めていきます。
-再生エネルギー調達コストの増大
イオングループ各店舗から排出される温室効果ガスを総量でゼロにする「イオン 脱炭素ビジョン」を達成するため、当社グループが調達する電力を再生可能エネルギーに転換する可能性があります。当社グループの電力調達を100%再生可能エネルギーに置き換えた場合でも、追加コストは限定的であると想定しています。
-脱炭素・省エネルギーサービスの需要拡大
当社グループは、省エネ機器の設置工事や各種設備の省エネオペレーション、フロン排出抑制法に基づくフロン管理サービス、環境配慮型資材の提案など、地球温暖化対策につながる多様なサービスの提供を行っています。今後は、これらに再生可能エネルギー調達支援などを加え、お客さまの脱炭素化を全面的に支援するソリューションを展開していきます。
(設備の省エネルギー化に向けた提案)
ビルなどの建物内の電力使用状況を「監視・制御・見える化」するエネルギー管理システムBEMS(Building and Energy Management System)の導入のほか、使用電力を大幅に削減できるLED照明をはじめ、空調機器と大型設備の省エネ化を提案しています。
(オープンネットワークシステムの導入)
施設内の各種設備をネットワークでつなぎ、リアルタイムでの一元管理を可能とするオープンネットワークシステムの導入を提案しています。遠隔オペレーションによる効率的な施設運営とともに、施設の省エネ化に貢献しています。
(フロン管理サービスの提供)
第一種特定製品※の簡易点検や定期点検をはじめ、メンテナンスやデータベース化などが求められるフロン排出抑制法に基づき、管理業務代行サービスを提供しています。また、より省エネ効果が高く、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が極めて低いノンフロン冷凍冷蔵ショーケースの導入も積極的に提案しています。
※ 第一種特定製品:フロン類が使用されている業務用エアコンディショナーや業務用の冷蔵/冷凍機器など
(環境配慮型商材の提案)
2030年までに使い捨てプラスチック使用量半減(2018年比)を目指す「イオンプラスチック利用方針」に基づき、店舗納入資材におけるプラスチック削減を推進しています。素材を薄くする、軽くするといった従来の手法のほか、プラスチック資源循環促進法をふまえ、スプーンやフォークの素材を紙や木に変更する脱プラスチックにも取り組んでいます。
2020年度からは、強度と耐水性を兼ね備える4層構造とした、自社開発の紙製ストローの取り扱いを開始しました。2022年度においては、カトラリー類約1億本の提供を行い、そのうち約8割は木製、紙製などの環境配慮型資材へ切り替えを行っています。カトラリー・ストローあわせて、年間約185tの使い捨てプラスチックの削減に寄与しました。
また化石資源の使用を抑え焼却時に大気中の二酸化炭素が増えないバイオマスプラスチックを採用したレジ袋や包装資材、バイオマス由来の成分を含むインキの使用をお客さまに提案しています。
-気候変動に起因する大規模災害の発生
当社グループは、気候変動に起因する自然災害を含む大規模災害・広域災害が発生した際には、発災直後に対策本部を設置。全国各地のサービス拠点や自社グループ内外のネットワークを活用し、被災設備の復旧や応援人員の派遣、関係官庁(消防、警察、水道局など)との調整、災害対応資機材/物資の調達など、お客さまのクライシスマネジメントを支援してきました。災害対応時に中核を担う防災拠点、ADソリューションセンター(大阪市・愛知県小牧市)では災害によるリスクに備え、常時、災害情報を収集・分析するとともに管理施設の異常有無を遠隔監視しています。2021年8月からは、東京都千代田区の本社にADソリューションセンターの代替機能を配備し、さらなる防災レジリエンス強化に努めました。今後も、自社のBCP(事業継続計画)だけでなく、お客さまのBCPを含めた防災・減災体制の整備に取り組みます。
(ADソリューションセンターとカスタマーサポートセンター(CSC))
ADソリューションセンターでは、平時より24時間365日、自然災害・事故などの情報収集・配信といった危機管理対応や設備の異常有無を遠隔監視しています。加えて、全国8支社には各地域におけるお客さま施設の管理運営を遠隔サポートするCSCを設置。有事の際には、ADソリューションセンターを情報収集分析班として、CSCと連携を図ることでお客さま施設の早期復旧、営業再開を実現するための迅速な災害支援を実施します。
-操業への影響
当社グループは、店舗向け包装・パッケージなどを供給するための全国をカバーする物流センターを配置しています。今後異常気象が激甚化することで河川の氾濫リスクが高まり、一部の物流センターに浸水リスクが生じる可能性がありますが、在庫棄損などの被害額は軽微と推定しています。また、物流センターが停電または被災などで稼働停止した場合でも、他の物流拠点から代替品を納品するための対策を行っています。
・今後のシナリオ分析の高度化について
当社グループは、シナリオ分析により気候変動が事業に与えるリスク・機会の大きさを再認識しました。リスクは甚大とまでは言えず、また、ある一定の重要リスクには対策済みであることを確認しています。
一方、当社グループの気候変動対策、クライシスマネジメントが自社のみならず、お客さまのリスク回避、および気候変動リスクへのレジリエンス向上に寄与することも確認しました。今後も、脱炭素サービスやクライシスマネジメントを強化し、社会における気候変動リスク低減に貢献していきます。
(ウ)リスク管理
リスク管理については、
(エ)指標と目標
・イオン 脱炭素ビジョン
イオングループでは、「イオン 脱炭素ビジョン」に基づき、「店舗」「商品・物流」「お客さまとともに」の3つの視点で、省エネ・創エネの両面から店舗で排出する温室効果ガスを総量でゼロにする取り組みを進めています。当社グループにおいても、お客さま施設の省エネルギー化の推進をはじめとした地球温暖化対策や環境配慮型商品の販売などを通じ、脱炭素に貢献していきます。
イ.人的資本、多様性
(ア)人材育成方針
当社グループは、施設管理の専門家集団として、お客さま、地域社会の課題解決に貢献し続けるため、「技術力」「人間力」を兼ね備えた専門人材の育成に注力しています。
ファシリティマネジメント業界では人手不足や有資格者の高齢化が深刻化しており、「人手不足解消」は当社の取り組むべき重要課題と認識しています。DXによるビジネスモデルの変革に加えて、技術・マネジメント・資格取得のための社内研修、グループ内公募や若手人材の早期育成など、社内育成と社外からの採用を組み合わせることで、人材確保につなげています。
[人材育成方針] ①最大の資産である従業員の価値を最大に引き出すことで経営の価値を高める。 ②会社方針と連動した教育施策の提供により、従業員の経営貢献意欲とやる気を高め、業績の 向上に寄与する。 ③従業員が保有する知識・スキル・経験を資産として尊重し、その価値を高めるために効果的 な教育投資を続ける。 ④各分野において従業員がプロ意識と誇りを持って業務に従事できるように、専門知識の向上 と資格取得の支援を行う。 ⑤従業員一人ひとりの志を聴き、志を知り、志を活かすことを通じた成長の機会を与える。
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(イ)社内環境整備方針
当社グループは、革新し続ける企業集団であるために、人種・国籍・民族・性別・年齢・出身地・宗教・学歴・採用区分・心身の障がい・性的指向と性自認等に関わらず多様な人材を活かし、多様な人材が成長していくことができる職場であることを目指しております。それが実現できる職場環境のインフラとして、人権に関わる知識を全従業員に対して啓発し、人権意識の醸成に努めています。
また、ダイバーシティ&インクルージョンと共に、エンゲージメントや働きがい・働きやすさを高めることで、金銭的報酬だけではない非金銭報酬を増大することにより、当社で働き続けることから得られるトータル・リワードを増大させることに努めています。
そして、従業員の安全と健康に配慮した健康経営の推進を、極めて重要な施策と位置付けています。
(ウ)取組
・人材育成
-「技術力」「専門性」向上の取り組み 技術力とホスピタリティを兼ね備えたプロフェッショナル人材育成のため、自社グループの研修施設「イオンディライトアカデミーながはま」を滋賀県長浜市に保有しています。電気・空調・消防などの研修用設備機器や清掃作業習得のためのスペースを保有し、約30種類の実践的な研修を実施 |
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研修施設「イオンディライトアカデミーながはま」 |
しています。業務に関連した14の公的資格対象の受験対策研修のほか、電気・空調・給排水・消防設備における管理技術、緊急時の対応方法、清掃など、受講者のレベルに合わせた内容を用意しています。
教育研修実施概要
年度 |
2020 |
2021 |
2022 |
2023 |
研修実施コース数 |
200 |
425 |
346 |
329 |
受講者延べ人数(名) |
4,865 |
11,840 |
14,953 |
13,127 |
一人当たり教育時間(時間) |
9 |
21 |
28 |
24 |
一人当たり教育費用(千円) |
60 |
82 |
108 |
95 |
-従業員の資格取得を促す取り組み
ファシリティマネジメントは業務遂行上多くの資格が必要となります。また従業員自らが積極的に学び、専門性を高めようとする風土醸成のため、資格取得を促す取り組みを行っています。
自己啓発を支援する「エンジニア・スタディ」は、当社グループ所属の全従業員を対象に、対象16資格の通信教育・eラーニング講座・テキストの受講・購入費用を最大50%、上限10万円の補助を行う取り組みで、2023年度は145名に対し233万円の補助を行いました。
なお「エンジニア・スタディ」を用いず資格取得した場合でも、対象資格であれば受験料・初回登録手数料を援助する仕組みも導入し、積極的に資格取得を図る風土づくりを推進しています。
新卒従業員に対しては、入社時研修での「第二種電気工事士」資格の取得を義務付けるとともに、「第三種電気主任技術者」または「建築物環境衛生管理技術者」資格の取得を推進しています。また、従業員の保有資格207種類を管理し、保有と選任に対する手当を支給しています。2023年度は保有資格に対する手当として8,355万円(基礎資格手当)、対象資格取得者に奨励金1,403万円を支給するとともに、資格取得者を社内報にも掲載することで資格取得に対する意欲促進を図っています。
-経営人材開発体制
経営人材の計画的育成を目的に、指名・報酬諮問委員会の中で経営人材の開発に関する議論を実施しています。執行役員および経営幹部を対象職位とし、候補者の選定と、候補者の育成につながるキャリアプラン・配置計画を審議しています。
また、2022年度から実施しております経営人材育成施策である「支店長研修」を2023年度も継続し、現職・新任の支店長計35名に対し実施しました。また、2023年度は支店長に次ぐ各地域・各施設の長となる職位である「エリアマネージャー」「サイトマネージャー」の新任教育として、これからのイオンディライトのあるべき方向性を示し、自らの役割を明確にするための教育を計33名に対し実施しました。
-キャリアグレードと評価制度
従業員の人材等級の仕組みとして、学歴・年齢・性別・国籍に関わらず、個人の能力に応じて処遇・育成する「キャリアグレード認定制度」を導入しています。9段階のキャリアグレードを設け、段階ごとに対応する職位を定めています。
人事考課・筆記試験と面接からなる「キャリアグレード登用試験」の受験により登用者を決定することで公正性を保っています。また、2023年3月からは電気・工事他の上位資格保有者を対象に、専門知識・技術を活かして職務を行う「専門職制度」を導入しました。「キャリアグレード認定制度」と「専門職制度」を互いに行き来できる複線型キャリアパスにより、専門人材確保と従業員の志向するキャリアコースやライフスタイルの双方の実現を図ります。
評価制度も職制に基づき、公正な処遇、能力の発揮、キャリア構築を目指した人事考課を実施しています。人事考課ではそれぞれに求められる職務に対し、知識・能力と部下の育成に対する「能力評価」と、業績や政策事項、自己目標に対する度合いに対する「達成評価」の二側面から評価を行います。納得性を高めるために半期ごとに個人での目標設定を行うとともに、中間面談で進捗管理し、結果に対しフィードバックを行うことを定めています。
-フレキシブルワークによる多様な働き方の実現
当社は1カ月単位での変形労働時間制を導入しており、業務量に応じて労働時間を柔軟に調整することで、時間外労働の抑制、長時間労働の防止につなげています。
また、新型コロナウイルス感染症の予防対策を契機に、2021年度よりテレワーク勤務制度を導入しました。会社が承認した全従業員・出向者・派遣社員を対象に従来の出社のほか、「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」を行うことが可能であり、自宅のほか、会社で契約するサテライトオフィスなど就業場所の多様化も図っています。
・労働安全衛生
当社グループにとって「安全・安心」は経営理念につながる基盤となる考え方です。お客さまの施設への「安全・安心」の提供に加えて、従業員およびパートナー企業の皆さまを含む全ての関係者に対して、安全衛生基準を満たした労働環境の整備を目指していきます。従業員の
基本的な心構えである「私の約束」においても「私は安全を最優先し、事故の防止に努めます。」と定めています。また、マテリアリティのうち「適正な労務管理」において、勤務中の事故リスクを認識しています。労働安全衛生における基本方針をもとに、労働関係法令にのっとり、労働安全衛生の推進に努めています。 |
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-労働安全衛生体制
「安全衛生管理規程」「安全衛生委員会規程」に則り、安全衛生活動にかかる方針・目標策定と課題抽出・改善に向けた取り組みを決定しています。
労働安全衛生法に則り、50名以上の事業場に「安全衛生委員会」を設置、法令で定められていない50名未満の事業場でも安全衛生委員会に準じた活動として「職場安全衛生ミーティング」を開催しています。また、全社を統括する仕組みとして「中央安全衛生委員会」を労使で開催しています。中央安全衛生委員会では人事担当執行役員を統括安全衛生管理者とし、関連する事業セグメント・グループ会社の安全衛生責任者が出席しています。
-中央安全衛生委員会
中央安全衛生委員会では、毎年、基本方針・重点取り組み・月度ごとの安全衛生重点活動を安全衛生管理活動計画として策定、PDCAを回すことで安全衛生向上に努めています。各事業場では年度計画に基づき毎月安全衛生委員会を開催し、各支社および中央安全衛生委員会がその活動状況をモニタリング、継続的な改善を図っています。
また、再発防止に向け、過去に発生した労働災害事故の原因分析と対策立案を実施、必要に応じてルール化し、水平展開を行っています。
度数率
年度 |
2020 |
2021 |
2022 |
2023 |
労働災害度数率 |
2.5 |
3.8 |
2.71 |
6.78 |
-安全衛生教育
入社時の電気取扱特別安全教育に加え、建設施工・設備管理分野で危険を伴う作業を行う従業員に対し、労働安全衛生法に基づく特別教育および社内教育を行っています。パートナー企業を含む全ての清掃担当者が常時携帯する「クリーンクルーディライト手帳」にも、作業時の事故発生防止のために留意すべきポイントを記載し、定期的な読み合わせを行っています。
また、ADソリューションセンターでは、「事件・事故システム」により事件・事故情報を収集・共有するとともに、分析・原因追及と再発防止のための啓発を行っています。受託物件で発生した労働災害を含むすべての事件・事故情報を常時収集するとともに、品質管理本部に共有し、各現場に対する注意喚起を都度行っています。これらの分析結果は月1回発行する「ADソリューションセンター通信」や、作業時の事故再発防止の留意点を纏めた事故対応事例集として全就業先に共有・周知を図ることで、再発防止に努めています。
・ダイバーシティ
当社グループは、「サステナビリティ基本方針」において、「多様な人材が能力を発揮できる活力ある組織風土づくり」を行うことを掲げています。またダイバーシティの推進は、社会課題解決への対応だけでなく、当社グループの持続可能な成長と事業機会の創出のために必要な事項ととらえ、マテリアリティのひとつにも位置付けています。
人種・国籍・民族・性別・年齢・出身地・宗教・学歴・心身の障がい・性的指向と性自認など理由とした差別を禁止し、従業員一人ひとりが個性や能力を十分に発揮し、活躍できる企業となることを目指しています。
-管理職・採用者における多様性
当社および当社グループは創立以来、複数の合併・統合を経て成長しており、従業員・管理職はいずれもさまざまな企業出身者による多様性のある構成となっています。当社(単体)においては、中途入社者の管理職比率は2023年度時点で既に60%台半ばとなっています。
採用においても、国籍・出身国・ジェンダーに関わらず最適な人材の確保に努めています。当社が拠点を持つ中国・アセアン地域の出身者を中心に、多様な国籍・出身国の従業員を採用しています。当社(単体)の2024年度新卒入社者のうち、大学・大学院卒において、女性は37.8%、外国人は8.1%を占めています。
男女賃金格差 |
正社員・日給月給社員(無期雇用) 時間給社員・日給月給社員(有期雇用) すべての労働者 |
83.0% 72.1% 61.6% |
男性育休取得率 |
28.6% 23.7日 |
|
|
2023年度 単体 |
-ワーク・ライフバランスを実現する取り組み
(時間単位年次有給休暇制度の導入)
多様な働き方を支える柔軟な休暇取得方法として、1時間単位で取得可能な時間単位年次有給休暇制度を2023年7月より導入しました。正社員・契約社員・嘱託社員・パートタイマーを対象に、1年間に5日分を上限とした取得を可能としています。
(「育児・介護ガイドブック」の作成)
2023年4月、従業員の出産や育児・介護での休職・勤務体制について纏めた「育児・介護ガイドブック」を作成しました。産後パパ育休などの法改正のポイントや社内規程、給付のしくみや社内相談窓口について、労働組合と協力し作成しています。従業員の仕事と家庭の両立を支援し、働きやすい職場環境づくりを目指しています。
(定年年齢の65歳への延長)
2022年3月より、年齢に関係なく経験・技能・知識を積極的に活かすため、正社員における定年年齢を60歳から65歳に延長しました。60歳以降、働く場合にもこれまでと同様の職種、勤務制度が適用されます。60歳以降も役職定年制度はなく、処遇は職務・職位に重点を置く職務給制とすることで、各世代それぞれが活躍できる環境を整備しました。
65歳の定年退職後も、本人が希望し、会社が認めた場合には70歳までの再雇用を行っています。
・人権尊重
「サステナビリティ基本方針」および「イオンの人権基本方針」に基づき、国際労働機関(ILO)の「労働における基本原則および権利に関するILO宣言」に記された人権規範の遵守、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の支持と実践による人権尊重を行っています。
当社では、人権方針を社内に広く浸透し、事業で実践していくために、当社で就業する全ての従業員を対象に、人権に関する研修および啓発を実施しています。
2023年度は人権研修を13,264名を対象に実施しました。役員・管理職・一般の階層別・入社時の研修を設定し、人権に関する基礎知識から「ビジネスと人権」までをテーマに開催しています。また当社グループ各社に人権啓発担当者を設置、定期的にミーティングを実施し、人権への理解浸透や課題解決に取り組んでいます。2023年度からは、従来の取り組みに加えて、人
権デューデリジェンスに着手しました。自社従業員・取引先・地域社会の3つの人権侵害の側面における6カテゴリの課題を設定し、合計33のチェック項目でのアセスメントを実施、人権への負の影響が最も大きいと推測される人権リスクを重点人権課題として特定しました。今後は、これらに対する防止・軽減のための活動を開始していきます。 |
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・健康経営の推進 当社グループは、イオンの健康経営宣言にのっとり、従業員の健康の維持向上に取り組んでいます。「心と身体の健康の増進」、「安全・安心で活力ある職場づくり」を通し、従業員の健康推進を今後も進めていきます。 |
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イオンは従業員とお客さまの健康と幸せを実現し地域社会へ貢献するために、人材こそが最大の経営資源であるとの信念に基づき、多様な人材が健康で能力を発揮し活躍し続けられる企業集団となることを目指しています。従業員一人ひとりが心身ともに健康で、長く働き続けたいと感じ、働く意欲に満ちた存在となることが、健康経営で解決したい経営上の課題であると考えています。 従業員の健康づくりは、企業活動の要であり、従業員が健康であってこそ、地域のお客さまへ健康と幸せをもたらすサービスを提供できるという考えのもと、2016年に「イオン健康経営宣言」を発表し、健康経営を推進しています。また日本健 |
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康会議より、当社および当社グループの3社は、2023年3月に健康経営優良法人の認定を受けました。また、当社および当社グループの2社は、2024年3月にも継続して認定を受けています。
(エ)目標と実績
2030年目標 |
実績 |
|
2022年度 |
2023年度 |
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人手不足解消による事業継続性の向上 ・連結女性管理職比率30% ・連結年間従業員退職率50%削減(正社員・契約社員・嘱託社員)(2021年度比) ・連結年間一人当たりの残業時間 50%削減(2021年度比) ・連結年間労災事故※発生件数 30%削減(2021年度比) |
22.4% 21.3%
230.3時間
72件 |
24.8% 30.1%
342.4時間
98件 |
※当社では環境トレンドの変化を踏まえ、長期目標の見直しを予定しております。そのため、人的資本、多様性に関する指標及び目標についても上記より変更となる可能性があります。
有価証券報告書に記載した事業の、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)イオングループ企業との取引について
当社は、純粋持株会社であるイオン㈱の企業集団におけるサービス・専門店事業に属しております。
2024年2月期における同社グループに対する契約金額に基づく取扱高は、2,251億63百万円であり、総取扱高全体に占める割合は62.2%であります。
大口取引先であるイオングループ企業との取引について、条件の変更等が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制について
当社の主な事業内容は、商業施設やオフィスビル等の建物の設備管理、警備、清掃、建設施工等であります。これらの事業を行ううえで、当社は、法的規制に基づく各種許可、登録、認可等を受けております。
今後、これらの法的規制の要件を満たすことができなかった場合には、事業活動に制約を受けることもあり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)個人情報の取り扱いについて
当社は、ファシリティマネジメント事業を展開する上でお客さまやお取引先から得た個人情報を保管管理しております。当社は、個人情報保護の重要性を充分に認識しており、個人情報保護方針・取扱ルールの策定及び従業員教育を含めた社内体制の強化充実を進めております。
しかしながら、万一、個人情報の漏洩や不正利用などの事態が生じた場合には、社会的信用の失墜及び損害賠償責任等により、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)中国及びアセアンでの事業展開について
当社は、中国及びアセアン地域において現地子会社を設立し、事業展開を行っておりますが、同地域にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生する可能性があります。また、文化や習慣の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、当社の予想を超える水準で発生する可能性に加え、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても予想できないリスクが潜んでいると考えております。
こうしたリスクが顕在化した場合、現在実施している事業の中断等が懸念され、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材及び労働力の確保について
当社は、労働集約型事業を展開しているため、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠であります。働き方改善に向け取り組み、労働環境の改善及び整備、社員の定着に取り組んでまいりますが、労働需給がさらに逼迫し、人材を十分に確保できなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、法令や制度の改正、物価変動等により社員に関わるコストが大幅に増加した場合にも、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競争激化による影響について
当社が事業を行っている業界において、技術の進展や新規参入等により競争が激化し、これに十分な対応ができない場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)委託先との関係について
当社は、事業遂行にあたり委託先と協力関係を構築することが必要不可欠であり、「パートナーシップ構築宣言」を公表しております。委託先が当社の要望に応え、委託先との良好な関係が継続するように、当社は委託先の選定と取引開始後の関係性及び委託先の管理には常に最大限の注意を払っております。しかしながら、委託先に技術的あるいは経済的な問題が生じた場合、また委託先を十分に確保できない場合、新規受注の見送りや既存の受注の縮小を余儀なくされ、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)テクノロジーの活用について
当社は、提供するサービスの生産性向上を図るため、進化を続けるIoTやロボット等のテクノロジーの活用を進めております。しかしながら、テクノロジーの活用に係る研究開発が進捗しない、または中断するなどした場合に、期待する成長が達成できない可能性があります。
(9)子会社の管理体制について
当社は、連結子会社28社、関連会社5社を有しており、各社の業績及び財政状態は当社グループの連結財務諸表における業績及び財政状況に影響を及ぼします。
また、連結子会社の運営にあたり、アセアン事業COO及び中国事業COO並びに関連企業部などの管理担当部署を設置し関係会社管理規程に基づき適切な管理及び支援を行っておりますが、当社による連結子会社への管理及び支援が適切に行われず、当該連結子会社の業績の悪化や不祥事等が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)地震や台風等の災害、パンデミック、テロ活動等について
当社の事務所等及び当社が管理する店舗・施設の周辺地域において大地震や台風等の災害或いは予期せぬ事故等の発生、暴動、感染症のパンデミック、テロ活動その他事業活動に影響する何らかの事象が発生し、物理的損害や人的損害により、当社の事業活動が阻害された場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1.経営成績等の状況
(1) 経営成績に関する説明
当連結会計年度(2023年3月1日~2024年2月29日)の業績は、売上高が3,248億20百万円(対前年比106.9%)、営業利益152億35百万円(同96.3%)、経常利益154億82百万円(同96.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益107億7百万円(同105.5%)となりました。
売上高は、イオングループ内外における顧客内シェア拡大や新規受託物件の増加により増収となり、期初に掲げた計画を上回りました。とりわけ、営業強化及び実績やノウハウを評価いただいたことによりイオングループ外の企業や団体からの受託が増加しました。セグメント別では全7事業で増収となり、中でも、省エネ関連工事や改装・修繕工事の受託を拡大した建設施工事業、並びに各種資材の受注を拡大した資材関連事業で2ケタ成長となりました。
一方、営業利益は、販売管理費の増加分をセグメント利益の成長で補うことができず、減益となりました。
[当連結会計年度の主な取り組み]
当期は、中期経営計画(2021年度-2023年度)で掲げる「お客さま起点の経営」、「DXの推進」、「グループ経営」の3つの基本方針に則った取り組みを推進しました。
〈お客さま起点の経営〉
・営業強化によるマーケットシェアの拡大
アカウント営業や各支社・支店の地域営業により顧客への提供サービス拡大や多拠点物件の受託を推進することで顧客内シェアを拡大しました。同時に、省エネや防疫対策を含め、これまでに蓄積してきた実績やノウハウを活かしたお客さま起点の提案活動により、多種多様な施設においてサービスの提供を開始しました。
・現場主体の小規模修繕提案を積極化
管理運営を受託する施設の「安全・安心」や「機能性」、「美観」の維持向上を図るため、国内全8支社にて現場主体による小規模修繕の提案を積極化し、売上高、及び利益の拡大に繋げました。
・エネルギーコスト上昇への対応
エネルギーコストの上昇が企業・団体の大きな課題となる中、当社は、電力の大規模需要家である顧客を中心に、照明のLED化や空調・熱源機器の更新といった省エネ提案を積極化しました。これにより、省エネ関連工事の受託を大幅に拡大するとともに施設の省エネ化に貢献しました。
〈DXの推進〉
・データ連携基盤「イオンディライトプラットフォーム」のアップデート
当社では、全てのお客さまに対して、それぞれの課題に最適なソリューションを提案し、効率的に提供していくためのデータ連携基盤「イオンディライトプラットフォーム※」を構築し、その利活用とアップデートを進めています。
当期は、新たに業種・物件用途別の取引分析ツールや計画修繕工事における進捗状況の可視化ツールなどの機能を追加実装することで、営業活動の効率化や機会損失の防止、工事の適切な進行管理を通じた品質向上に繋げました。
※イオンディライトプラットフォーム…施設内外から得られる各種情報を収集・分析、価値ある情報へと加工し、当社グループ各社やパートナー企業を含めたサービスネットワーク全体に共有する仕組み。
・「エリア管理」の展開
当社では、持続可能な事業モデル構築を目的に、IoTなどの技術を活用し、複数の施設を効率的に管理する「エリア管理」の導入を推進しています。遠隔監視機能を備えたカスタマーサポートセンター※への一部業務の集約やデジタルデバイスを活用した現場業務の効率化を通じて、エリア管理化を加速しました。
当期は、新たに計47施設(累計320施設)にて省人化・無人化を実現し、常駐設備管理員約52名分(累計約219名分)のリソースを創出しました。また、これに伴い、施設管理の現場で培われた専門性を更なる収益機会の拡大に繋げるため、新規受託物件や営業部門、工事部門などへと専門人材の再配置を実施しました。
※カスタマーサポートセンター(CSC)…2021年度期初より国内全国8支社配下で稼働を開始。各種システムやセンサーの活用により、複数の施設を遠隔制御するとともに、各地域でお客さまの施設情報やリクエストを集約する機能を担う。
〈グループ経営〉
(国内グループ会社)
旅行関連事業を展開するイオンコンパス株式会社では、人流回復に伴い出張管理サービスや法人向け旅行事業が好調に推移し、業績を大幅に回復しました。また、2023年4月に完全子会社化した、九州一円で清掃を中心としたサービスを展開する株式会社アスクメンテナンスの寄与により国内グループ会社全体で増収となりました。
一方、利益面につきましては、人件費及び外注費をはじめとした原価上昇の影響により、ビルメンテナンス事業を展開する複数のグループ会社において収益性が低下し、減益となりました。
こうした中、環境整備株式会社や株式会社アスクメンテナンスでは、それぞれが拠点とする北関東、九州の各エリアにおいて、地域の協力会社を含めたサービスネットワークの整備に取り組み、イオンディライトグループとしての経営効率化を推進しました。
(中国事業)
アジア最大の成長エリアと位置付ける中国では、中核事業会社による顧客内シェア拡大や中・高級施設をターゲットとした新規受託拡大、都市開発プロジェクトへの参画を通じたファシリティマネジメント業務の集中受託などにより堅調に事業を拡大しましたが、販売管理費が増加したこと等により増収減益となりました。
こうした中、中国におけるグループ経営の更なる推進を目的に、中核事業会社のひとつである永旺永楽(江蘇)物業服務有限公司を事業統括会社として再定義し、商号を永旺永楽服務管理集団有限公司へと変更しました。
(アセアン事業)
アセアンでは、事業を展開する各国で増収となりました。しかしながら、インドネシアや2023年1月より改正雇用法が施行されたマレーシアにおける人件費上昇の影響などにより、アセアン事業全体では増収減益となりました。
(2) 当連結会計年度における主要事業の概況
[セグメント別業績]
<売上高>
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
構成比(%) |
対前年比(%) |
設備管理事業 |
69,509 |
21.4 |
107.3 |
警備事業 |
50,919 |
15.7 |
102.9 |
清掃事業 |
70,428 |
21.7 |
103.1 |
建設施工事業 |
59,219 |
18.2 |
113.7 |
資材関連事業 |
46,315 |
14.2 |
111.5 |
自動販売機事業 |
9,616 |
3.0 |
101.6 |
サポート事業 |
18,810 |
5.8 |
104.1 |
合計 |
324,820 |
100.0 |
106.9 |
<セグメント利益>
セグメントの名称 |
セグメント利益(百万円) |
構成比(%) |
対前年比(%) |
設備管理事業 |
5,913 |
24.8 |
101.8 |
警備事業 |
3,108 |
13.1 |
94.8 |
清掃事業 |
5,277 |
22.2 |
75.2 |
建設施工事業 |
5,322 |
22.4 |
130.4 |
資材関連事業 |
2,322 |
9.8 |
116.2 |
自動販売機事業 |
1,290 |
5.4 |
119.1 |
サポート事業 |
545 |
2.3 |
117.8 |
合計 |
23,781 |
100.0 |
100.2 |
<設備管理事業>
設備管理事業は、売上高695億9百万円(対前年比107.3%)、セグメント利益59億13百万円(同101.8%)となりました。同事業では、契約業務の新規受託や各種整備業務の受注拡大により増収増益となりました。また、競争力強化を目的に、施設管理業務の省力化を推進しました。
<警備事業>
警備事業は、売上高509億19百万円(対前年比102.9%)、セグメント利益31億8百万円(同94.8%)となりました。同事業では、施設警備の新規受託などにより、増収となりましたが、人件費や外注費の上昇が影響し、減益となりました。こうした中、収益性の改善を目的に、入退店管理、並びに閉店業務のシステム化を推進しました。
<清掃事業>
清掃事業は、売上高704億28百万円(対前年比103.1%)、セグメント利益52億77百万円(同75.2%)となりました。同事業では、継続契約の新規受託や2023年4月に完全子会社化した株式会社アスクメンテナンスの寄与などにより増収となりました。一方、人件費の上昇などにより収益性が低下し、減益となりました。こうした中、収益性改善に向けて、お客さまとの交渉を通じた作業シフトの柔軟化や来期以降の単価見直しに向けた取り組みを推進しました。
<建設施工事業>
建設施工事業は、売上高592億19百万円(対前年比113.7%)、セグメント利益53億22百万円(同130.4%)となりました。同事業では、設備管理事業における「エリア管理」による省力化を通じた体制強化により、省エネ関連工事をはじめとした各種工事の受託を拡大するとともに、各工事における仕様や工程の最適化を通じた収益性の改善により大幅な増収増益となりました。
<資材関連事業>
資材関連事業は、売上高463億15百万円(対前年比111.5%)、セグメント利益23億22百万円(同116.2%)となりました。同事業では、イオングループ内外で受注拡大を推進するとともに、原材料や物流費が上昇傾向にある中、各種資材における原価上昇分の売価への適正な反映に取り組み、増収増益となりました。
<自動販売機事業>
自動販売機事業は、売上高96億16百万円(対前年比101.6%)、セグメント利益12億90百万円(同119.1%)となりました。同事業では、商品単価の見直しや営業強化による新たな設置先の開拓などにより増収増益となりました。また、商機の拡大を目的に、冷凍自動販売機をはじめとした新たな自動販売機の展開を推進しました。
<サポート事業>
サポート事業は、売上高188億10百万円(対前年比104.1%)、セグメント利益5億45百万円(同117.8%)となりました。同事業では、お客さまの施設とその周辺の管理運営に関するアウトソーシングニーズに応える様々なサービスの提供拡大に取り組みました。また、旅行関連事業の寄与などにより増収増益となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ77億17百万円増加し、677億14百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上155億79百万円、減価償却、減損損失及びのれん償却41億15百万円、仕入債務の増加38億73百万円、法人税等の支払38億90百万円等により、185億18百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形及び無形固定資産の取得による支出36億13百万円等により、43億19百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払42億13百万円、自己株式の取得による支出26億2百万円等により、69億22百万円の支出となりました。
(4) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績及び受注実績
当社の業務内容は、ファシリティマネジメント事業の役務提供を主体としており、生産実績及び受注状況を画一的に表示することは困難なため、記載しておりません。
②販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
対前年比(%) |
設備管理事業 |
69,509 |
107.3 |
警備事業 |
50,919 |
102.9 |
清掃事業 |
70,428 |
103.1 |
建設施工事業 |
59,219 |
113.7 |
資材関連事業 |
46,315 |
111.5 |
自動販売機事業 |
9,616 |
101.6 |
サポート事業 |
18,810 |
104.1 |
合 計 |
324,820 |
106.9 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年3月1日 至 2023年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
イオンリテール㈱ |
60,344 |
19.9 |
60,411 |
18.6 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ210億44百万円(6.9%)増加し、3,248億20百万円となりました。セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、設備管理事業21.4%、警備事業15.7%、清掃事業21.7%、建設施工事業18.2%、資材関連事業14.2%、自動販売機事業3.0%、サポート事業5.8%となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ198億68百万円(7.6%)増加し、2,822億7百万円、販売費及び一般管理費は17億54百万円(6.8%)増加し、273億77百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ5億79百万円(△3.7%)減益の152億35百万円となりました。
③ 経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ5億24百万円(△3.3%)減益の154億82百万円となりました。
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、固定資産売却益4億66百万円並びに減損損失3億16百万円及び投資有価証券評価損53百万円の特別損失を計上したことにより、前連結会計年度に比べ1百万円(0.0%)増益の155億79百万円となりました。
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計は、前連結会計年度に比べ6億2百万円減少し、47億73百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ5億55百万円(5.5%)増益の107億7百万円となりました。また、1株当たり当期純利益については、前連結会計年度より16.16円増加し、219.70円となりました。
(2) 当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産
総資産は、前連結会計年度末に比べ96億29百万円(6.4%)増加して1,602億57百万円となりました。
これは主に現金及び預金の増加107億50百万円、受取手形、売掛金及び契約資産並びに電子記録債権を合わせた売上債権の増加8億66百万円、のれんの減少8億43百万、繰延税金資産の減少6億31百万円によるものであります。
② 負債
負債は、前連結会計年度末に比べ48億7百万円(9.4%)増加して560億44百万円となりました。
これは主に支払手形及び買掛金並びに電子記録債務を合わせた仕入債務の増加39億42百万円、固定負債のその他の増加3億51百万円によるものであります。
③ 純資産
純資産は、前連結会計年度末に比べ48億21百万円(4.9%)増加して1,042億12百万円となりました。
これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上107億7百万円、配当の実施42億10百万円、自己株式の取得26億2百万円によるものであります。
(3) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「1.経営成績等の状況」(3)キャッシュ・フローの状況をご参照ください。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループが営むファシリティマネジメント事業は人的サービスを主としていることから、資金需要の主なものは人件費及び委託先へ支払う外注費用であります。
また、設備投資にかかる資金需要の主なものは、自動販売機及び清掃資機材等の器具備品並びにシステムソフトウェアであります。
② 財務政策
当社グループの事業活動に必要な資金については、自己資金にて賄うことを基本としております。
(5) 目標とする経営指標の状況
当社は、積極的な投資を通じて持続的な成長を実現し、中長期的に株主価値を高め、会社の成長に合わせて株主への利益還元を拡大できるように努めます。
また、資本効率に関する目安として自己資本利益率(ROE)を重視し、当面は12%水準を意識してまいります。
なお、2024年2月期の自己資本利益率(ROE)は10.6%であります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
特記事項はありません。
特記事項はありません。