当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「人の能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献する」ことを統括理念とし、安定的な成長を続け、あらゆるステークホルダーから信頼される企業グループとして、社会的責任を果たしていくことを経営目標としております。
また、「プロフェッショナルの生涯価値の向上」と「クライアントの価値創造への貢献」を追求し、クリエイティブ、医療、IT、法曹、会計、建築、ファッション、食、ライフサイエンス等の各分野において、独創的かつ付加価値の高いサービスを提供することにより、企業価値の最大化をはかり、社会の繁栄と活性化の一翼を担っていきたいと考えております。
(2) 経営環境
当社グループを取り巻く経済情勢は、新型コロナウイルス感染症との共生が進み、個人消費の回復やインバウンド需要の増加など社会経済活動は緩やかに回復しているものの、為替相場の円安進行や長期化するロシア・ウクライナ情勢等の影響による資源価格やエネルギー価格の高騰が続いており、依然として社会や経済環境は先行き不透明な状況が続いております。このような環境の中、当社グループのネットワークする、クリエイター、医師、ITエンジニア、弁護士、会計士、建築士、ファッションデザイナー、シェフ、研究者等、専門的な技術を有するプロフェッショナルに対するクライアントのニーズは底堅く推移するものと見込んでおりますが、その内容はより一層多様化していくものと考えております。
したがって、当社グループでは、各セグメントにおいてその専門性を高め、①エージェンシー事業(人材派遣、人材紹介)、②プロデュース事業(開発・請負)、③ライツマネジメント(知的財産の企画開発・流通)事業の3つのサービスを複合的に展開しており、そのサービスレベルをより一層高めております。同時に、セグメントを超えた取り組みを加速させることで、グループとしての付加価値創出をはかり、他に類を見ない企業グループを目指してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、プロフェッショナルとともに成長し、その叡智を組み合わせることで、新たな価値を生み出す事業を展開しております。当社グループの理念と事業活動は、国際連合が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の考え方とその目標そのものであり、事業活動を通じて、社会全体の永続的な発展に貢献してまいります。
この考えのもと、2023年3月より2026年2月までの3年間を経営期間とする中期経営計画を策定いたしました。テーマとしては、「プロフェッショナルとともに事業を創造することにより、豊かな社会を創る」ことを掲げております。①プロフェッショナル分野のさらなる拡大、②新規サービスの創出、③経営人材の創出、④コーポレート・ガバナンスの強化、の4つの基本戦略を基に、より高い信頼を得られる企業グループを目指し、グループ全体での価値向上に努めてまいります。
① プロフェッショナル分野のさらなる拡大
プロフェッショナルの叡智により、クライアントのニーズに的確かつ迅速に対応できる機動的な体制を整えるとともに、これまで蓄積したノウハウを活用し更なる深耕をはかってまいります。さらに、ネットワークするプロフェッショナル分野を拡大する「プロフェッショナル50分野構想」の着実な進展により、クライアントの企業価値向上への貢献を目指してまいります。
② 新規サービスの創出
当社グループは、急激に変化する市場を先行的に捉え、的確に対応するため、プロフェッショナルの能力を組み合わせた新規サービスの創出に取り組んでまいります。日本のコンテンツの海外展開やXR(VR/AR/MR)、AI等新たな市場でのサービス基盤を確立し、さらなる付加価値の提供を目指してまいります。
③ 経営人材の創出
当社グループの目指す経営計画の実現には、各々の事業を担う経営人材が重要であると認識しており、社員教育の充実及び採用の強化をはかり、また、連結経営の高度化により、グループ全体の経営効率を高め、強い結束力とシナジー効果を発揮する企業グループを目指してまいります。
④ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループの規模拡大に伴い、増大するリスクに未然に対処するため、法令遵守、リスク管理の徹底と内部統制機能の充実をさらに進めてまいります。また、適宜業務フローの整備・改善を行い、正確・迅速な業務処理を進め、効率的な資産管理とキャッシュ・フローの管理に努めてまいります。
(4) 目標とする経営指標
当社グループは、収益力の向上をはかるため、売上高営業利益率を経営指標とするとともに、キャッシュ・フローを重視しております。中長期的にはさらに、資本の効率性及び収益性を重視したROIC(投下資本利益率)を目標指標として経営を行ってまいりたいと考えております。
(5) 会社の対処すべき課題
当社グループは、「(2) 経営環境」に記載した環境を踏まえ、クライアントとプロフェッショナルの方々のニーズをより的確に捉え、新たな課題の変化に迅速に対応するために、次の諸施策に取り組んでおります。
① プロフェッショナルネットワークの拡充
クライアントのニーズの多様化により、優秀なプロフェッショナルの確保・育成は当社グループの事業拡大における基盤となるものと認識しております。当社グループでは、様々な分野で活躍するプロフェッショナルに国内外の仕事の情報を提供し、またプロフェッショナルの生涯価値を高めるための教育や育成機関を充実する等、様々な施策を展開しております。今後はさらに、新たな人材の確保とキャリアアップを支援するため、日本最大級のクリエイティブ開発スタジオ「C&Rクリエイティブスタジオ」を核として、メタバース化にも取り組んでおります。また、グループ横断でのマーケティングを積極的に推進してまいります。
② 人材確保及び社内教育制度の充実
当社グループでは、質の高いサービスの提供を維持しつつ、継続的な業容拡大を続けていくために、中途・新卒を問わず優秀な人材の積極的な採用が必要であると考えております。また、人員の増加に併せ、理念教育や階層別研修の実施等、教育制度の一層の充実に努めてまいります。
③ 情報管理体制及び内部管理体制の強化
当社グループでは、多数のプロフェッショナルからなるネットワークを有し、また多くのクライアントとの取引があることから、情報管理は経営の重要課題と認識しております。情報セキュリティシステムの充実や、グループ各社においてプライバシーマーク認定を取得する等、より一層の情報管理体制の強化に努めております。また、当社グループは、金融商品取引法により法制化された財務報告に係る内部統制報告が義務付けられております。グループとしての持続的な成長を目指し、内部統制システムの一層の運用強化をはかってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
<サステナビリティ基本方針>
当社グループの統括理念「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちは、その能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」に基づく当社グループの使命「すべてのステークホルダーへの価値提供」の実現に向けて、様々な社会課題の解決や地球環境の保全について、プロフェッショナルを軸とした事業活動を当社グループ一丸となって取り組むことにより、社会全体の永続的な発展及び当社グループの永続的な成長の両立を目指してまいります。
(1)サステナビリティ共通
① ガバナンス
サステナビリティ基本方針に基づき、当社グループのサステナビリティに関する議論を集約し、実行の質・スピードをさらに高めることを目的としたサステナビリティ委員会を設置しております。代表取締役を委員長とし、常勤取締役、執行役員により構成し、当社グループのサステナビリティに関する課題を審議し、取締役会に提案・報告しております。本委員会の推進委員は経営企画部、総務部、人事部、専門職人事部及び委員長が指名するメンバーが担うものとし、事務局は経営企画部が担っております。なお、サステナビリティ委員会は、当社の内部規程「サステナビリティ委員会規程」に基づく委員会としての位置づけであり、当社及び連結対象子会社を対象範囲としております。
② 戦略
当社グループでは、経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク・機会に対処するため、持続的成長に不可欠なマテリアリティ(重要課題)を特定しております。マテリアリティ取り組みのスローガンとして、「プロフェッショナルとともに事業を創造することにより、豊かな社会を創る」を掲げ、持続的な成長と企業価値の向上に向けた、対処すべき課題と位置付けております。マテリアリティは中期経営計画における基本戦略、サステナビリティ課題を包括し、中・長期の時間軸で取り組んでおります。
③ リスク管理
当社グループでは、サステナビリティの取り組みを遂行するにあたり、サステナビリティ委員会において、気候変動や人権などを含めたサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別・評価・管理を行っております。また、必要に応じてリスクマネジメント委員会と連携し、体制の整備とモニタリングを通じた改善施策の協議、担当部門への指示を行っております。
④ 指標及び目標
当社グループは、中・長期の時間軸で取り組んでいるマテリアリティのテーマごとにサステナビリティ及び人的資本、気候変動に関するKPIを設定し、定期的に進捗を確認しマテリアリティ達成に向けた活動を実行しております。
マテリアリティ |
重要方針 |
KPIカテゴリ |
取り組み/目標 |
達成期限 |
実績・進捗状況・トピック (2024年2月期) |
対象範囲 |
|
1 |
様々なプロフェッショナルが活躍できる機会と環境を創出 |
プロフェッショナル50分野構想の進展 |
事業領域や分野の拡大 |
プロフェッショナル8領域50分野を目指し、当社グループの拡大 |
長期目標 |
子会社設立・グループ化:3社 |
当社グループ |
社会の変化に対応できる教育の提供 |
教育の提供 |
プロフェッショナルネットワークに向けたセミナー等の提供(200件/年間) |
継続 |
375件/年間 |
当社 |
||
2 |
プロフェッショナルネットワークによる新規ビジネスの創出 |
プロフェッショナルの能力を活かす新たな価値の創造 |
新規ビジネス |
グループ資産を活かした商品・サービス・プロジェクトの展開(2件/年間) |
継続 |
3件/年間 |
当社グループ |
グローバル展開 |
グローバル展開 |
海外におけるプロフェッショナルネットワークと販路の拡大 |
長期目標 |
モントリオール支社(カナダ)の開設 |
当社グループ |
||
地方創生 |
地方創生 |
地方創生に関わるプロデュース案件に取り組む |
継続 |
福島県大熊町で複合施設、FUN EAT MAKERS in Okuma 建築開始(コネクトアラウンド) |
当社グループ |
マテリアリティ |
重要方針 |
KPIカテゴリ |
取り組み/目標 |
達成期限 |
実績・進捗状況・トピック (2024年2月期) |
対象範囲 |
|
3 |
プロフェッショナルの叡智を活用した環境への取り組み |
脱炭素社会への実現 |
気候変動(CO2排出量) |
2030年、Scope1・2 40%削減(2020年度比) ※スコープ2 2020年度実績:603t-CO2 |
2030年 |
当社グループの多くが入居するオフィスにて、2023年1月より、100%再生可能エネルギー電力への切替えを実施したことにより目標達成 |
当社 |
循環型社会の実現 |
資源循環 |
廃棄物のリサイクル率の促進(全リサイクル率:80%) |
2025年 |
74% |
当社 |
||
4 |
多様な人材の育成と働く環境の整備 |
経営人材の創出 |
経営人材の創出 |
グループ会社の非常勤取締役を通じた企業運営を実地で学ぶ機会 |
継続 |
当社の職制 12名就任 |
当社 |
ダイバーシティ&インクルージョン |
ダイバーシティ&インクルージョン |
役職者に占める女性割合30%以上を目指す |
2026年 |
24.1% |
当社 |
||
障がい者雇用率:法定雇用率以上を維持 |
継続 |
2.35% |
当社 |
||||
健康経営 |
健康経営 |
従業員健康診断受診率100%達成 |
継続 |
受診率97.1% |
当社 |
||
専門職が力を発揮するための教育 |
教育 |
専門職社員向けとした研修・発表・情報共有の機会を提供 (4回/年間) |
継続 |
4回/年間 |
当社 |
マテリアリティ |
重要方針 |
KPIカテゴリ |
取り組み/目標 |
達成期限 |
実績・進捗状況・トピック (2024年2月期) |
対象範囲 |
|
5 |
責任ある企業と経営基盤の確立 |
コーポレート・ガバナンスの強化 |
中期経営計画 |
中期経営計画の達成(2026年2月期:売上605億円/営業利益56.5億円/営業利益率9.3%) |
2026年 |
2024年2月期:売上497億円、営業利益41億円、営業利益率8.2% |
当社グループ |
取締役会への参加率(100%) |
継続 |
98% |
当社 |
||||
取締役会の実効性評価(1回実施/年間) |
継続 |
1回/年間 |
当社 |
||||
法令遵守/社会的規範 |
コンプライアンス |
重大不祥事/法令違反ゼロ |
継続 |
0件 |
当社 |
||
情報セキュリティ/プライバシー保護 |
情報セキュリティ |
情報セキュリティ/個人情報保護研修(各1回/年) |
継続 |
研修各1回を 実施 |
当社 |
(2)気候変動
<環境方針>
当社グループは、グループ統括理念である「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちはその能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」に基づき、事業活動で生じる環境負荷の低減に向けた取り組みを行うとともに、持続可能な社会の実現に向けた責務を果たすための指針として、環境方針を以下のとおり定めております。
・事業活動を通じた環境問題への貢献
事業活動を通じ、地球環境問題解決への貢献に努めます。
・環境負荷低減活動の取り組み
持続可能な社会を実現するため、事業活動による環境への影響を正しく認識・評価しながら環境に配慮した活動を行うとともに、省エネルギー・省資源、廃棄物削減等についても積極的に推進し、環境負荷低減活動に取り組みます。
・環境コンプライアンス遵守
環境関連法規、条例等の規制、環境に関する国内外の法令・規制等を遵守します。また、事業活動における環境への影響を考慮し、誠意を持った行動に努めます。
・多様で豊かな生態系の保全と再生
当社グループは、事業活動における生態系に及ぼす影響に配慮し、生物多様性の保全と再生の取り組みを推進します。
・環境教育と啓発活動
当社グループは本方針を全役職員に周知徹底するとともに、環境教育や啓発活動を通じて一人ひとりが環境に対して意識的に行動するための基盤を醸成します。
・情報開示とコミュニケーション
本方針の内容、当社グループの環境保全活動について、ステークホルダーへの情報開示と積極的なコミュニケーションにより、相互理解と協力関係の強化に努めます。
<環境マネジメントシステム>
当社グループは、「環境方針」に基づき、事業活動で生じる環境負荷の低減、生態系の保全と再生の推進に向けた取り組みを効果的に実施するため、当社グループ独自の環境マネジメントシステム(EMS)を構築し、PDCAによる継続的な改善に取り組んでおります。
※当社グループでISO14001等の環境マネジメントシステムの認証を受けている事業所はありません。
<気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応>
当社グループは、気候変動問題をサステナビリティ経営上の最重要課題であると捉えるとともに、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しております。そのような状況下、当社は、2021年10月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明するとともに、同提言に賛同する企業や金融機関等からなるTCFDコンソーシアムに加入いたしました。当社はTCFD提言を気候変動対応の適切さを検証し、組織内外に開示するためのガイドラインとして活用し、TCFDによる提言(4つの開示推奨項目である「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」)に基づき、気候関連のリスクと事業機会について分析を進め、事業戦略への影響を把握し対策を検討するとともに、質と量の情報開示の充実に取り組んでまいります。
① ガバナンス
(イ)気候関連のリスクと機会に対する取締役会の監督体制
当社グループでは、気候変動問題を含めた環境方針および関連する重要事項について、取締役会で審議・決議しています。取締役会では、気候変動に関するリスクと機会について少なくとも年1回以上サステナビリティ委員会より報告を受け、課題への取り組みを確認、監督しております。
(ロ)気候関連のリスクと機会の評価と管理における経営陣の役割
サステナビリティ委員会は、代表取締役が委員長を担い、常勤取締役、執行役員によって構成されております。サステナビリティ委員会は、年に2回以上、気候変動問題を含めたサステナビリティ経営をグループ全社で横断的に協議・推進します。気候変動に関する協議、決定事項については、少なくとも年に1回取締役会への報告を行っております。
② 戦略
(イ)気候関連のリスクと機会
当社グループでは、「プロフェッショナルとともに事業を創造することにより、豊かな社会を創る」ことを目標に、経営の最重要マテリアリティである、「プロフェッショナルの叡智を活用した環境への取り組み」に向け、当社グループの事業活動について、気候変動がもたらす、リスクと機会を抽出いたしました。
a リスク項目
TCFD類型による移行リスクと物理リスクに対して、気候変動がもたらす当社グループへの大きなリスク影響は受けない旨の判断をいたしました。ただし、将来的な省エネ規制を見据えた、省エネ対応を推進すること、気候変動に対する世評の高まりに適切な対応をしていくこと、気候変動を要因とする自然災害発生時の対応計画の策定を進めてまいります。
区分 |
想定される事象 |
当社へのリスク |
対策 |
現在の規制 |
1.カーボンプライシングメカニズム 2.排出量報告義務の強化 3.既存の製品およびサービスに対す る命令および規制 |
事業形態及び現時点での法規制を勘案し、サステナビリティ委員会では、現在の規制に関する当社への影響は小さい旨の判断をいたしました。 |
─ |
新たな規制 |
1.カーボンプライシングメカニズム 2.排出量報告義務の強化 3.既存の製品およびサービスに対す る命令および規制 |
炭素税導入による税負担増と再エネシフトによる電力コストの増 |
・将来的な省エネ規制を 見据えて、省エネ対応を推進 |
法的リスク |
訴訟リスク |
プロフェッショナル・エージェンシーが当社の中心事業であり、気候変動に影響を及ぼす製品等の開発、製造、販売を行っていないことから、サステナビリティ委員会では訴訟リスクは少ないと判断いたしました。 |
─ |
区分 |
想定される事象 |
当社へのリスク |
対策 |
技術リスク |
1.既存の製品・サービスを排出量の 少ないものに置換 2.新技術への投資失敗 3.低排出技術への移行 |
プロフェッショナル・エージェンシーが当社の中心事業であり、気候変動に影響を及ぼす製品等の開発、製造、販売を行っていないことから、サステナビリティ委員会では低炭素やエネルギー効率に関わる技術リスクは少ないと判断いたしました。 |
─ |
市場リスク |
1.変化する顧客行動 2.市場動向の不確実性 3.原材料のコスト増 |
1.2.プロフェッショナル、クライアントの環境志向が高まってきており、環境に優しいものを選択するというリスク 3.電力市場の価格に関してのリスク |
・気候変動に対する世評 の高まりに適切な対応 |
評判リスク |
1.消費者の嗜好の移り変わり 2.セクターの非難 3.ステークホルダーの懸念または否 定的なステークホルダーからの フィードバック |
世の中全体がサステナビリティ(気候変動)に対して意識が向く中、対応が進んでいない企業と認識をされた場合、求人側募集のリスク |
・気候変動に対する世評 の高まりに適切な対応 |
緊急性の物理リスク |
1.台風や洪水などの異常気象の重大 性と頻度の上昇 2.山火事の可能性と重大性の上昇 |
1.当社の事業所立地場所の状況等から、事業所の浸水等のリスクは低いと考えられますが、一方で、台風や洪水により事業所・公共機関・従業員が影響を受け業務遂行に支障をきたした場合は、中~大規模のリスクが考えられます。また保険料の上昇による当社へコスト増加の影響が考えられます。 2.当社のオフィス立地場所から、関連するリスクへの影響はない旨の判断をいたしました。 |
・災害発生時の対応計画 の策定 |
慢性の物理リスク |
1.降水パターンの変化や気象パター ンの極端な変動 2.平均気温上昇 3.海面上昇 |
平均気温の上昇、酷暑日の増加による電力需要のひっ迫に伴う空調費用の上昇リスクが考えられます。また、地球温暖化が原因となる異常気象に伴う災害リスクは中~大規模リスクが考えられます。 |
・省エネ施策の実施 ・災害発生時の対応計画 策定、浸水対策 ・災害発生時のBCP対応計 画策定 |
b 機会項目
気候変動の解決を目指す新たな市場が創出され、政府・自治体、企業などの団体が今までの枠組みを超える協業プロジェクトが増えると考えられます。『プロフェッショナルを軸とした事業活動を通じて、多くの社会課題や環境課題を解決していく』当社グループが目指す事業活動に基づき、戦略を抽出しております。
区分 |
想定される事象 |
機会を取り込む戦略 |
資源の効率性/エネルギー源 |
省エネ・再生可能エネルギー技術の普及 |
・省エネ・再生可能エネルギー産業のマー ケット拡大に伴い、携わる研究職を中心 としたプロフェッショナル人材の活躍 |
市場/サービス |
・気候変動の解決を目的とする新たな 分野の創出 ・脱炭素社会に向けた政府、地方自治 体、民間企業との共創機会の増加 |
・医療、建築、Quality of Lifeなど、サ ステナビリティに関連する分野の人材市 場のマーケット拡大 ・気候変動に関わる新たな事業分野に参入 することによる収益の増加 ・自治体・企業との協業を通じた収益機会 の獲得 ・当社グループが出資する環境課題解決を テーマに掲げるスタートアップ企業の価 値向上 |
(ロ)気候変動に関するシナリオの策定
当社グループの事業活動に甚大な影響を及ぼす可能性がある主要リスクについて、「2℃以下シナリオを含む、様々な気候変動関連シナリオに基づく検討」を行うため、IPCCやIEA等のシナリオを参考に、TCFDが推奨する典型的な気候関連リスクと機会を参考に分析いたしました。 今後、サステナビリティ委員会が中心となり、より定量的な財務影響と目標、進捗管理を行い、全社的な活動を構築、推進してまいります。
シナリオ分析範囲:売上比率、気候変動への関係性等を軸に選定
項目 |
シナリオ分析対象範囲 |
地域 |
海外を含む全エリア |
事業範囲 |
全事業 |
企業範囲 |
連結子会社 |
想定シナリオ:パリ協定の目標である「1.5℃」とCO2排出量削減が不十分な「4℃」のシナリオを想定
1.5℃シナリオ |
・気候変動対応の厳しい法規制施行による事業運営コストの増加 ・エネルギーコストの高騰に伴う、事業運営コストの増加 ・社会の環境意識の高まりによる新たなマーケットの獲得 ・脱炭素DX支援、CSV経営、CSVプロモーション需要の拡大 |
4℃シナリオ |
・気候変動を理由とした従業員、プロフェッショナルの健康リスクの上昇 ・自然災害の多発による事業所の被災と災害からの復旧コストの増大 ・急激なエネルギーコストの高騰に伴う、事業運営コストの増加 ・気候変動に伴う新たなニーズ、マーケットの拡大とビジネスの獲得 |
参照した主な気候変動に関するシナリオ群
・IEA, NZE2050
IEAによる「World Energy Outlook 2020」にて示されたシナリオの1つ。パリ協定の目標を上回る1.5℃シナ
リオにあたり、2050年以前に排出量ゼロを目指すシナリオ。
・IPCC, RCP8.5
IPCCによる「第5次評価報告書」にて示されたシナリオの1つ。高位参照シナリオで、2100年における温室
効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオ。
・公益財団法人地球環境産業技術研究機構、2050年カーボンニュートラルのシナリオ分析(中間報告)
2050年カーボンニュートラル実現のためのエネルギー供給目標などが記載されている政府資料。
③ リスク管理
(イ)気候変動のリスクと機会を特定し評価する仕組み
サステナビリティ委員会では気候関連に係るリスクについて、社内の関係部署とグループ会社の情報をもとにリスクと機会を特定し、評価を行っております。評価を行った上、影響度が大きい事項に関しては取り組みを実行計画に落とし込み、議論しながら実行計画の進捗確認、管理を行い、最終的に取締役会へ報告いたします。
(ロ)気候変動のリスクを管理する仕組み
サステナビリティ委員会で特定した気候変動リスクについては、取締役会へ報告・提言を行っております。取締役会は、気候変動に関するリスク管理の状況と対応について報告を受け、監督を行っております。
(ハ)総合的リスク管理の仕組み
サステナビリティ委員会で特定した、影響度が大きい気候変動リスクについては、リスクマネジメント委員会、執行役員会と連携をはかり、全社リスクに統合しております。必要に応じ、リスクマネジメント委員会で全社対応するリスク項目として、リスク対策を議論・策定し、リスク管理を実行いたします。
④ 指標と目標
(イ)気候関連のリスクと機会の管理に用いる指標
当社グループでは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、温室効果ガス排出量を指標として定めております。また、当社グループの事業形態は、製品等の開発、製造などを行う自社設備を保有していないため、自社で再生可能エネルギー導入を進めることは容易ではありませんが、あらゆる角度から検討し、Scope2の排出量の削減目標を立ててまいります。
(ロ)温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)
2020年度から、当社の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでおります。当社の2020年2月期のScope2の排出量は、603t-CO2となり、2020年を基点に2030年までにScope1+Scope2を40%削減とすることを目指しております。今後、温室効果ガスの排出量算定の範囲を連結対象の当社グループに広げ、順次Scope3の排出量を含む削減目標の設定を検討してまいります。
(ハ)気候関連リスク・機会の管理に用いる目標および実績
気候変動をはじめとする環境問題は世界で大きな共通のテーマとして掲げられており、当社グループはこのテーマの課題解決を行うことが、大きな変革とチャンスにつながると考えております。当社グループでは、2021年に持続可能な社会の実現に向けた活動指針として、「サステナビリティ基本方針」を新たに策定するとともに、重点的に取り組むべき「マテリアリティ(重要課題)」を特定いたしました。特定した5項目のマテアリティ(重要課題)のうち、「プロフェッショナルの叡智を活用した環境への取り組み」では、重要方針として、「脱炭素社会への実現」、「循環型社会の実現」、「自然共生社会の実現」を目指しております。当社グループの事業運営に伴う温室効果ガスの削減目標の設定とともに、同グループがネットワークするプロフェッショナルの知見を活かした気候関連リスクに対処するための目標設定を検討してまいります。
(3)人的資本・多様性
<当社グループ人的資本経営の考え方>
当社グループは、人材こそが最大の資産との考え方のもと、多様な人材が自らの可能性を最大限に引き出せるよう、人材育成投資をはじめとした、社内環境整備を推進しております。「経営資産は人」「戦略は人」すべての原資は人と考え、その能力を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげてまいります。また、当社グループがネットワークしている各産業界のプロフェッショナル人材についても、能力を最大限に発揮できるための機会の提供や環境整備を行い、産業界の発展に貢献してまいります。
<人的資本経営推進方針>
・企業理念の理解と浸透度の高い組織の構築
・様々なプロフェッショナルが活躍できる機会と環境の創出
・プロフェッショナルネットワークによる新規ビジネスの創出
<解決すべき課題(目指すべき姿)>
・企業理念と行動規範、カルチャーの醸成
・企業理念を具現化するためのリーダーの育成と経営人材の創出
・プロフェッショナルの育成による、産業界への優秀な人材の輩出
・プロフェッショナルの融合による、新サービスや商品、仕組みの提案
・C&Rクリエイティブスタジオのメタバース化やグローバル展開
① 人的資本経営の取り組み(戦略)
(イ)企業文化の定着
企業理念、企業の存在意義や持続的な企業価値の向上につながる当社グループのカルチャー醸成のために、経営者、経営幹部が参加する会議だけでなく、社員が集まる全社ミーティング等でも経営目標や実績を共有しています。このような理念に基づいた教育や研修方針で、プロフェッショナルの真のパートナーとなるべく、カルチャーと共に社員の経営マインドや事業創成マインドを醸成しております。
(ロ)経営戦略と人材戦略の連動
経営人材の育成として、当社グループ会社の非常勤取締役に当社の本部長、部長クラスから選抜したメンバーを任命しています。企業経営を実地で学ぶ機会の創出によって経営視点での経験を積み、社員の自己成長を企業の成長へとつなげております。
(ハ)リスキル・学び直し
a プロフェッショナルである専門職の先輩社員が後輩に対し、業務に必要な知識やスキルを実践しながら
伝承する「OJT(On The Job Training)」の充実や研修機会を提供することで、一人ひとりに合わせたきめ
細かな成長を促進しております。
b 当社グループがネットワークしているプロフェッショナルが自分の能力を研鑽して高められるように、
登録者であれば無償で受講できるセミナーを年間100回以上開催しております。また、業界未経験者が実践
的な講義を経てクリエイターとして就職できる無償の講座(C&Rクリエイティブアカデミー)を開講するな
ど、様々な分野で潜在能力を活かすための人材育成や環境整備の支援を行い、産業界の発展に貢献しており
ます。
(ニ)知と経験のダイバーシティ&インクルージョン
a 多様な個人の掛け合わせで、クリエイティブ領域での新しい価値を創造することを目的とした「C&Rクリ
エイティブスタジオ」では、国籍や人種、性別に関わらず、経験者が経験の浅い人材を育成しながら高品質
のコンテンツを制作しています。ゲーム、映像、Web、XR、建築など様々な分野のクリエイティブを有機的
に融合しながら、個人のクリエイティブ能力を高める手助けとなっております。
b プロフェッショナルである専門職が自分の経験や知識を定期的に別のプロフェッショナルや社員に教示
するミーティングやリーダー研修を定期的に開催し、アイデアの共有とネットワークの強化、それらの掛
け合わせによってイノベーションや個人の成長と共に組織の成長へと結び付けております。
(ホ)従業員エンゲージメント
a 社員の仕事に対するモチベーションや状態を把握するために、パルスサーベイを行っております。現在は
社員の4割程度の試験的運用ですが、PDCAを繰り返した上で調査項目の精査や運用方法の確立などを行
い、全社員への運用に向けた準備を進めております。
b 業績の成果だけでなく当社グループの理念に沿った行動をしている優秀な社員を評価・表彰する仕組みを
構築しております。毎期の人事評価項目で、理念やコンプライアンス順守の状況と成長指標であるコンピテ
ンシーを重視し、評価会議で確認を行っているほか、年2回、業績以外を重要指標とした社長賞特別表彰を
行っております。
② 人権方針
当社グループは、グループ統括理念である「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちは、その能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」に基づき、事業活動に関わるすべての人々の人権・個人の尊厳を尊重します。また、「世界人権宣言」「国連ビジネスと人権に関する指導原則」といった国際原則に従った人権尊重の取り組みを推進し、個々の個性や能力を最大限発揮できる労働環境を整える積極的な取り組みを行っております。
・人権尊重
当社グループの全役職員は、企業活動において個人の多様な価値観を認め、人権を尊重し多様性を積極的に活かすことを心掛け、持続可能な社会の発展に貢献します。
・対象範囲
本方針は、当社グループのすべての役職員を対象としています。またグループの事業活動に関わる全てのステークホルダーにおいて、本方針を理解いただき、人権侵害されないことを目指します。
・ハラスメント防止
性別、年齢、社会的地位、障がいの有無、思想、信条、宗教、人種・民族・出身・性自認、性的指向・疾病などによるあらゆる差別及びハラスメントを許容しません。
・強制労働・児童労働の禁止
あらゆる形態の強制労働や人身取引、児童労働を禁じ、人権を侵害する労働慣行の是正や根絶に取り組みます。
・福利厚生
賃金、労働時間、超過勤務時間及び福利厚生に関する適用法の遵守に取り組みます。また、法令遵守に留まらない過剰な労働時間の削減に取り組みます。
・従業員の健康の維持
健全な職場環境を提供すると共に、安全・衛生に関する法令、規制、規定を遵守し、健康リスクへの適切な対応の維持に取り組みます。
・個人情報の取り扱い
個人情報保護法など、関連法令及び個人情報保護基本方針「プライバシーポリシー」に従い、個人のプライバシー侵害をいたしません。また、顧客企業、ユーザー、ビジネスパートナー、従業員をはじめとした、事業に関わる全ての皆さまの個人情報の管理に十分注意し、業務上必要な目的以外に利用しません。
・人権尊重に向けた取り組み・体制
人権侵害の発生を防ぐための適切な対応窓口を設けることで、実効性のある対策の仕組みづくりを行います。当社グループの全役職員は、内部通報制度を利用し人権に関する相談や通報ができます。また、一般に公開されたコーポレートサイトの問い合わせ窓口には、あらゆるステークホルダーから人権に関する相談ができます。人権方針の推進は、最高経営責任者を含むサステナビリティ委員会によって所管され、全役職員や外部ステークホルダーに対し浸透を進め、人権啓発活動の積極的な推進をはかります。
③ 人材育成
当社グループは、グループ統括理念である「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちは、その能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」に基づき、この理念を具現化できる人材を育成することを基本方針としています。当社グループでは、人材こそが最大の資産という考え方のもと、多様な働き方の多様な人材が数多く活躍しており、多様な人材が、自らの無限の可能性を、自律的に最大限引き出せるよう、人材育成投資をはじめとした、社内環境整備を推進してまいります。
・人材育成体系
人材育成体制は、組織開発と人材開発の両軸で体系化しています。
・組織開発
理念の浸透、多様な働き方におけるエンゲージメントの向上、ハラスメント研修による多様性の確保に向けた
社内環境の整備、多様な人材の多様な働き方におけるキャリア開発に取り組んでいます。
・人材開発
集合研修(Off-JT)、OJT、自己啓発により、総合職、専門職それぞれに多様な人材育成に取り組んでおりま
す。
・集合研修(Off-JT)
階層別研修として、総合職、専門職の階層別に「役割軸」の研修プログラムを展開しています。
職能別研修として、専門職ナレッジシェアミーティングと専門技術研修を開催しています。
職能別研修として、労働関連法規に関する知識研修を展開しています。
課題別研修として、事業組織単位で、ワークプレイスラーニングを展開しています。
・OJT
多様なキャリア開発支援を目的とした、経験学習モデル理論に基づく1on1ミーティングリーダー研修を展開
しています。
多様なキャリア開発支援を目的として、専門職キャリアマップを作成し、専門職のキャリアパスの見える化を
はかっています。
・自己啓発
自己啓発支援制度により、多様なキャリア開発につながる学習支援をしています。
④ 健康経営の推進
<当社グループ健康宣言>
可能性を最大化する健康づくり
当社グループの統括理念である「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちは、その能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」を達成するために、私たちは、社員一人ひとりの健康に配慮することで、大きな成果が生み出されると考えております。
独自の健康保険組合を設立運営するほか、社員の健康支援のための専門部署を設置し、随時連絡可能な健康相談を行うことをベースに、併せて社員が自由に参加できるスポーツなどの部活動の促進、強力な感染症の流行に対応するための対策本部の設置など、社員の健康をはかってまいります。
私たちは、健康基盤を強固にし、一人ひとりの可能性を育てることで人と社会の幸せのために貢献してまいります。
<当社グループの目指す健康経営基本方針>
・社員自らが自身の健康状態を把握し必要なアクションを選択、自ら実行していくことを目指します。
・自ら実行していくために、必要な知識の習得・アクションの機会を提供していきます。
<健康経営の推進体制>
代表取締役を最高責任者に位置付け、産業医や健康保険組合と連携しながら、全社で健康経営を推進してまいり
ます。
〇健康経営戦略マップ
健康経営が目指すもの、「基盤」「施策」「課題」「目指す姿」の相関を健康経営戦略マップとしてまとめ、心
身ともに健康で元気に働くことができる職場環境の実現に向けての活動を可視化しております。
<健康経営優良法人2024に認定>
当社は、2024年3月11日、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に2年連続で認定されました。
また、当社グループでは、医療分野の株式会社メディカル・プリンシプル社及び株式会社コミュニティ・メディカル・イノベーションが「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に、障がい者雇用特例子会社である株式会社One Leaf Cloverが「健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)」に認定されました。
当社グループは現在、「可能性を最大化する健康づくり」の健康宣言のもと、独自の健康保険組合の設立運営や健康施策の推進、教育・コミュニケーションの活性化など、様々な取り組みを実施しております。今後も、社員の健康の維持・増進に対する取り組みと組織的な健康づくり、また、社員自らが実行していくために必要な知識の習得やアクションの機会を提供することなどを通じて、健康経営の取り組みを積極的に推進してまいります。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、重要項目ごとに以下のようなものがあります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するための様々な対応を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
リスク要因 |
背景、具体的な内容 |
主要な対応策 |
法的規制 |
・当社グループが提供するサービスのうち、人材サービスは労働者派遣法、職業安定法、労働基準法等の労働関連法令等により規制を受けており、法令の変更、新法令の制定、又は解釈の変更等が生じた場合に、事業が制約を受ける可能性。 |
・関連法令の動向を注視しながら事業を運営し、変更や制定に対し適切に対応。 |
情報管理 |
・当社グループでは、サービス提供にあたりプロフェッショナルの方々の個人情報を管理しており、外部からの不正アクセス又は、人的ミス等による個人情報等の流出の可能性が存在。 |
・当社及び主要子会社において、プライバシーマークを取得し、「個人情報保護マネジメントシステム(JISQ15,001:2,017)」に準拠し、個人情報に関する管理責任者の任命、全社員に対する教育等を通じて、管理体制を維持・強化。 |
システム |
・当社グループの事業は、インターネット等の通信ネットワークによる業務処理が増大しており、コンピュータウイルスの侵入・停電・自然災害・各種システムトラブル等の発生により、システムダウンが発生した場合及び当該システムの復旧に時間を要する事態が発生した場合には、接続中断や情報データの消失等により、一時的に業務が滞る可能性。 |
・情報管理規程に基づき、社内システムの定期的な点検の実施及びセキュリティ体制を継続的に強化。 ・当社グループ本社ビルにおいて、非常用発電設備共同利用契約を締結し、不測の停電発生時に非常用発電設備の稼働により電力の提供を受け、被害を最小限に留めるよう対応。 |
災害 |
・地震等の自然災害や事故、テロをはじめとした当社グループによるコントロールが不可能な事由によって、当社グループの事業所等が壊滅的な損害を被り、大規模なシステム障害や通信ネットワーク障害が発生した場合、事業活動の中断等を余儀なくされる可能性。 |
・危機管理規程及び災害対策マニュアルを定め、具体的な対応策を制定。 ・安否確認システムの導入や、サーバー等システムのバックアップ体制を確保することで、事業継続性を担保。 |
感染症 |
・ウイルス等の病原体による感染拡大に伴い、クライアントの事業活動に影響が生じ、採用選考における遅延や、採用計画の見直し等が一部発生。また、各種イベントの開催中止等により、当社グループの業績に影響。今後同様の感染症の拡大により、業績に影響を与える可能性。 ・渡航制限、移動制限等に伴い、事業の進捗に遅れが生じ、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性。 |
・社員の健康を守り、事業を継続させるために対策本部を設置し、感染予防対策の徹底、リモートワークの推進、オンラインを活用した各種施策を積極的に実施し、影響を最小化する取り組みを実施。 ・クライアントのニーズに対し複合的なサービスにより木目細かく対応し、クライアント毎の取引戦略を明確にすることで、業績への影響を軽減。 ・オンラインでのイベント開催を可能とするプラットフォームの構築や、リモートワークを活用した制作スタジオ機能を構築する等、変化を機会と捉えた取り組みを推進。 |
(重要なリスク)
リスク要因 |
背景、具体的な内容 |
主要な対応策 |
市場環境 |
・社会の多様化により、専門的な知識・技術を有するプロフェッショナルへのニーズは比較的高く、当社グループが対象とする分野において人材サービスを提供する企業は増加傾向。 ・当社グループが事業展開する様々な分野の業界動向・市場動向によっては、各社の事業活動に影響。 |
・当社グループは、プロフェッショナル分野に特化したエージェンシー事業を日本で先駆けて展開。人材のみならず開発・請負、知的財産の収益化等複合的なサービス提供により、独自のノウハウを蓄積。 ・多様な分野で事業を展開することによりリスクを分散し、グループとしての抵抗力を向上。 |
人材確保・育成 |
・事業の拡大に伴い、継続的に人材の採用・育成を実施。今後採用の不振や退職者の増加等により、優秀な人材を確保することができない場合、事業展開に影響を与える可能性。 |
・人事評価制度やストック・オプション制度、株式給付信託型ESOP等の導入により、優秀な人材の獲得に資する各種制度を構築。 ・教育制度・体制の充実により、人材育成を強化。 |
プロフェッショナルネットワークの拡大 |
・競合環境の激化に伴い、予定通りにプロフェッショナルネットワークの拡大が進まない可能性。 ・関連する費用の増加や、クライアントからの受注に応えられない機会損失が発生する可能性。 |
・当社グループのサービス向上により、競争優位性を確保。 ・パートナーであるプロフェッショナルからの積極的なリファーラル。 ・各種Webサイトを通じたデジタルマーケティングの強化に加え、オンライン開催を含めたイベント・セミナー等を積極的に開催。 |
派遣・請負スタッフに関する業務上のトラブル |
・派遣・請負契約のスタッフによる業務遂行に際し、過誤による事故や不法行為による訴訟の提起又はその他の請求を受ける可能性。 |
・業務に応じて適切な人材のアサインと、当社グループ社員による業務・プロジェクト管理を適切に実施。 |
請負事業者 の責任 |
・当社グループにおける請負役務提供において、請負作業の完了に関しクライアントに対して責任を負っており、業務の進捗及び完了に関する認識に齟齬が生じた場合、代金回収が困難又は不能となる場合がある他、賠償金の請求、提訴その他の責任追及がなされる可能性。 |
・役務の提供に先立ち、クライアントとの間で請負業務の範囲及び内容について確認を実施。 ・専門性の高いプロジェクトマネージャーによる請負作業の進捗管理、品質管理を実施。 |
社会保険負担 |
・当社グループの展開する人材派遣事業において、加入資格を有する全ての社員を厚生年金、健康保険、雇用保険等各種保険に加入を義務付けており、今後保険料率等の見直しが行われる場合、負担が増加する可能性。 |
・2017年4月に、当社グループ独自の健康保険組合である当社グループ健康保険組合を発足。医療費等の適正化による健全財政の維持、当社グループの特性に合った保険事業に取り組み、効率的な健保事務運営を行うことで、保険料の大幅な引き上げリスクを低減。 |
知的財産権 |
・当社の展開するコンテンツの企画・制作・管理・流通・販売及びコンテンツの権利に関わる業務において、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合、損害賠償請求及び使用差止請求等を提訴される可能性並びに当該知的財産権に関する対価の支払い等が発生する可能性。 ・当社が有する知的財産権についても、第三者に侵害される可能性。 |
・著作権等の知的財産を利用する際には、社内法務部門をはじめ、必要に応じて外部専門機関を活用の上調査を実施。 ・当社が有する知的財産権に関しても、権利侵害に関する定期的な管理を実施。 |
リスク要因 |
背景、具体的な内容 |
主要な対応策 |
新規事業 |
・当社が積極的に推進する新規事業において、予期せぬ事態の発生や様々な外部要因の変化により、計画の大幅な変更、遅延、中止等の可能性。 ・加速的な事業展開を狙いとして、企業買収等を行った場合、多額の資金需要やのれんの償却負担等が発生する可能性。 |
・クリエイティブ分野で蓄積したノウハウを積極的に活用し、他の専門分野へ展開。 ・企業買収にあたっては、外部の専門機関と連携し、財務及び法務に関するデューデリジェンスを適切に実施。 |
海外事業 |
・海外子会社は、事業展開をする国の法的規制を受け、今後法令の変更、新法令の制定又は解釈の変更等が生じた場合、海外子会社の事業が制限される可能性。 ・連結決算にあたり、海外子会社における収益及び資産等を円換算する際に、為替の状況によっては、円換算後の価値が影響を受ける可能性。 |
・海外子会社と連携し情報収集を的確に行い、法令の変更や制定等に対し適切に対応。 |
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症との共生が進み、個人消費の回復やインバウンド需要の増加など社会経済活動は緩やかに回復しているものの、為替相場の円安進行や長期化するロシア・ウクライナ情勢等の影響による資源価格やエネルギー価格の高騰が続いており、依然として社会や経済環境は先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループは「プロフェッショナルの能力により豊かな社会を創出し、持続可能な世界を実現する」ことを理念として掲げ、事業を運営してまいりました。当社グループがネットワークするクリエイター、医師、ITエンジニア、弁護士、会計士、建築士、ファッションデザイナー、シェフ、研究者等の専門的な能力を有するプロフェッショナルへのニーズは底堅く、クリエイティブ分野(日本)を中心とした新卒等の人員採用強化、医療分野における新型コロナウイルスに関するワクチン接種のスポット案件の減少、また新規事業への積極的な投資等を吸収し、売上高、営業利益、経常利益において過去最高の業績となりました。
(イ)経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高49,799百万円(前期比112.9%)、営業利益4,103百万円(前期比103.7%)、経常利益4,137百万円(前期比103.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益2,658百万円(前期比91.7%)となりました。
(ロ)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,665百万円増加し25,418百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,164百万円増加し9,672百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末より1,501百万円増加し15,745百万円となりました。
(ハ)セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(クリエイティブ分野(日本))
クリエイティブ分野(日本)は、グループの中核となる当社が映像、ゲーム、Web、広告・出版等のクリエイティブ領域で活躍するクリエイターを対象としたプロデュース、ライツマネジメント、エージェンシー事業を展開する他、連結子会社 株式会社クレイテックワークスがゲーム分野でのプロデュース事業を、連結子会社 株式会社ウイングがTV・映像分野でのエージェンシー事業を、連結子会社株式会社シオングループ、連結子会社株式会社シオン及び連結子会社 株式会社シオンステージがTV・映像分野でのプロデュース事業及びエージェンシー事業を展開しております。
映像・TV・映像技術関連分野は、TV局各局の番組制作需要を的確に捉え成長いたしました。当社が企画制作するTV番組『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系列)は、番組公式Instagramのフォロワー数が国内のテレビ番組公式アカウントとしてトップを維持し、好評を得ております。また、NHK出身者により設立されたウイングは、NHK及び関連会社の番組制作・編集部門へのスタッフ派遣等を展開しており、新規開拓が進み業容を拡大しております。さらに、TV番組の企画・制作を行うシオンは、特にバラエティ番組の企画・制作プロデュース力に強みを持ち、当社のエージェンシー事業やプロデュース事業、グループ各社とのシナジーの創出を推進しております。
動画配信サービスへの取り組みに関しては、YouTubeクリエイターをサポートするMCN「The Online Creators(OC)」が、500チャンネル(2024年2月時点)をネットワークしており、企業からのYouTubeチャンネルの企画・開発・運用やYouTubeクリエイターを活用した商品プロモーションの受託が増加しております。業容拡大を目指し、ゲームやライフスタイル等のクリエイターを中心に営業窓口を拡大し、新規開拓に注力しております。
ゲーム分野においては、当社及びクレイテックワークスにおいて、開発スタジオでの制作受託や、IP(知的財産)を活用した自社開発を推進しております。また、開発スタジオと連動した業界未経験者の育成機関「C&Rクリエイティブアカデミー」や外国籍人材の積極的な登用を通じて、優秀な開発者不足と言われるゲーム業界のニーズに着実に対応しております。
XR(VR/AR/MR)への取り組みに関しては、顧客自身がVR教材を短時間で制作・研修できる当社開発の「ファストVR」の販売や、企業と共同開発する危険体感教育ツール、メタバースの開発力を活かしたXR導入支援や施策に関するコンサルティング等を行い、ハードからコンテンツまで一貫したソリューションの開発・販売実績を積み重ねております。
Web分野においては、Webコンテンツやデジタルマーケティング、さらにDXにおけるプロフェッショナルのネットワーク拡充をはかっております。デジタルマーケティングやデジタル化による業務改革の需要を的確に捉え、企業や官公庁のWeb開発やプロモーション案件の受託が拡大した他、全国の拠点で新規開拓が進み業容を拡大させております。
出版分野では、Amazon Kindle等の電子書店に取次を行う電子書籍取次が新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行による巣ごもり需要低下により成長が鈍化したものの、スポンサー広告運用事業が拡大した他、Webtoonの配信を開始する等新たな取り組みを開始いたしました。
コンテンツの新規開拓や発掘した漫画家や作家の作品を企画開発・収益化する「漫画LABO」は、累計275タイトル(2024年2月時点)を配信しております。2022年9月に配信を開始したオリジナル電子コミック『天才服飾師の過度な執着は全身にまとわりつく!』(作画:今波マナ、原作:天晴にこ)が、引き続き各電子書店で好評を得る等、オリジナル作品の収益化が進んでおります。また、出版分野全体において海外での出版化や映像化の版権販売等を積極的に推進しております。
建築分野では、一級建築士やBIMエンジニアの紹介等のエージェンシー事業や設計・建築の受託案件をベース事業として、特徴的な賃貸物件プロデュースの「CREATIVE RESIDENCE® SERIES」やメタバース空間での住宅展示場プラットフォーム「超建築メタバース」、業界未経験者を建築BIMモデラーへ育成するアカデミー「C&R Architect Academy」を提供しており更なる業容拡大に取り組んでおります。
その他、AI等コンピュータサイエンスの技術者や博士号取得者、ライフサイエンスの研究開発者や研究開発補助者、企業における業務や機能の最高責任者であるCXOのエージェンシー事業等を展開しており、業容拡大に向けた取り組みを積極的に行っております。
また、映像やゲーム、Webコンテンツ開発など、年々分野と規模を拡大してきたスタジオを包括し、日本最大級のクリエイティブ開発スタジオとなった「C&Rクリエイティブスタジオ」では、企画開発や受託開発の他、日本初となるクリエイター専用の仕事・交流特化型メタバースを独自開発し、作品展示や交流、クライアントとのプロジェクトを通じて世界を革新するサービスの創出を目指しております。なお、2024年2月に「C&Rクリエイティブスタジオ」から独立する形で企業のDXに関する課題に対して業務支援を行う「C&R AI/DXスタジオ」を開設いたしました。これまで以上にDXサービスを強化するとともに、新たなDXサービスの開発を行ってまいります。「C&Rクリエイティブスタジオ」及び、「C&R AI/DXスタジオ」は、今後も日本から世界を席巻するようなコンテンツ開発や新サービスの提供を行い、世界中の優秀なプロフェッショナルのネットワークを構築し、多くの企業の価値向上を実現させてまいります。
これらの結果、クリエイティブ分野(日本)は、売上高34,977百万円(前年同期比115.2%)、セグメント利益(営業利益)2,878百万円(前年同期比104.7%)となりました。
(クリエイティブ分野(韓国))
クリエイティブ分野(韓国)は、連結子会社 CREEK & RIVER ENTERTAINMENT Co., Ltd.及び連結子会社CREEK & RIVER KOREA Co., Ltd.が、クリエイティブ分野(日本)と同様のビジネスモデルを韓国にて展開しております。
韓国のTV業界で多くの映像プロフェッショナルの派遣実績を積み重ねておりますが、韓国TV各局の業績不振が続き、派遣稼働者数が減少傾向にあるため、業績回復を目指し新規開拓や事業の再構築を進めております。コンテンツ事業では、デジタルコミック(Webtoon)や動画の独自開発を行っており、韓国国内のみならず海外でも配信することで収益向上に取り組んでおります。今後もオリジナル作品を輩出し、グッズ販売や映像化等の二次利用、グローバル配信など多岐にわたる展開を行い、ビジネスモデルを確立してまいります。
これらの結果、クリエイティブ分野(韓国)は売上高3,553百万円(前年同期比102.7%)、セグメント損失(営業損失)41百万円(前年同期はセグメント損失16百万円)となりました。
(医療分野)
医療周辺サービス事業を展開しております。連結子会社 株式会社メディカル・プリンシプル社は、医療機関や自治体、医師の多様なニーズに応えるべく、医師の紹介事業を中心に、研修医・医学生を対象として全国各地で開催する研修病院合同説明会「レジナビFair」やオンライン開催の「レジナビFairオンライン」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、若手医師向け情報収集サイト「民間医局コネクト」等のサービスを展開しております。主軸の医師紹介事業は、前年同時期に受注した新型コロナウイルスに関するワクチン接種のスポット案件減少による収益面での影響を受けましたが、全国各地での慢性的な人材不足や地域的偏在を背景に医師へのニーズは高く、全国17拠点を通じて医療機関、自治体、企業への医師紹介を行う他、スポット及び定期非常勤医師のマッチングシステム「民間医局ポータル」の開発と提供により業務の効率化を進める等、長年培った医療業界での経験と信頼を活かし、順調に事業を成長させております。なお「レジナビFair」は、大規模会場でのリアル開催がコロナ禍以前の状況に回復しつつあり、オンライン開催と合わせて順調に推移しております。更なる業容拡大に向けて基盤づくりに取り組んでおります。
連結子会社 株式会社コミュニティ・メディカル・イノベーションは、最新のITやAIのテクノロジーを活用し、介護事業を含む効果的な地域医療周辺サービス事業の提供により、地域医療における高齢化、医師の偏在といった課題の解決に取り組んでまいります。
これらの結果、医療分野は売上高5,417百万円(前年同期比103.6%)、セグメント利益(営業利益)1,293百万円(前年同期比96.6%)となりました。
(会計・法曹分野)
会計・法曹分野は、連結子会社 ジャスネットコミュニケーションズ株式会社及び連結子会社 株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社が、会計士や弁護士を対象としたエージェンシー事業を中心に展開しております。
各種関連団体との関係強化や自社主催セミナーに加え、クライアント企業・事務所との共同セミナーの開催や自社コンテンツのブランド力等を通じ、業界内における認知度向上をはかっております。また、細分化されたニーズに応えるため、より専門性の高い体制変更を行う等、エージェンシー事業の更なる拡大に努めております。さらに、これまで培ってきたネットワークを活かし、会計事務所・法律事務所やその顧問先の事業承継ニーズに対応すべく、「事業承継・M&A支援サービス」を展開している他、在宅で活躍する経理・法務人材の紹介事業等、サービスの拡充をはかっております。
当連結会計年度における業績は、人材紹介及び派遣事業において登録者及びクライアント双方に対するきめ細やかな対応を徹底することで、前年同期を上回って推移いたしました。
これらの結果、会計・法曹分野は売上高2,488百万円(前年同期比107.9%)、セグメント利益(営業利益)171百万円(前年同期比107.2%)となりました。
(その他の事業)
IT分野のエージェンシー事業を展開する連結子会社 株式会社リーディング・エッジ社では、ロボット・AI等、市場ニーズに合わせたエンジニア等のネットワークを構築しております。エンジニアに対する旺盛なニーズに対応するため、営業戦略の見直しや新規事業への取り組みを積極的に進めております。育成したITエンジニアの就業が進んだことから、前第3四半期以降黒字転換し、業績は順調に推移しております。
ファッション分野のエージェンシー事業を展開する連結子会社 株式会社インター・ベルは、販売職の派遣及び店舗の運営代行業務等を展開しております。百貨店や商業施設ではインバウンド需要が増加し、積極的な若手社員の登用や独自ノウハウを活かした販売代行事業が好調で全国規模へと拡大しております。また、オンラインを活用した接客やライブコマース等、新たな収益機会を捉えた取り組みも進展しております。
人材メディア事業を展開する連結子会社 株式会社プロフェッショナルメディアは、Web・IT・クリエイティブ業界の総合求人サイト「DXキャリア」を通じてフリーランスに活躍の場を提供しております。サービスの強化や新規開拓を推進し、業容拡大に取り組んでおります。
VRゴーグルの日本国内での販売・運用・保守を行う連結子会社 株式会社VR Japanは、中国SKYWORTH社、英国PICO社に加え米国Meta社の機器を取り扱っており、販路拡大に取り組んでおります。また、医療機関との「AR胸腔ドレナージ」の共同研究開発を推進する他、教育研修に関するハードの販売や保守運用サービスの提供、当社のXR事業や当社グループ各社との連携強化をはかっております。
AIを用いたシステムの企画・開発・販売・運用・保守事業を行う連結子会社 株式会社Idrasysは、生成AIのChatGPTと連携したドキュメント検索システム「ChatGPT+SmartKMS」及びチャットボット「ChatGPT+SmartRobot」、需要予測やスコアリング等を可能にする独自のAIクラウドプラットフォーム「Forecasting Experience」を提供しており、企業のAI活用やデータ活用を支援しております。
米国にて法曹分野のSNSプラットフォーム「JURISTERRA(ジュリステラ)」の開発・運営を行う連結子会社CREEK & RIVER Global, Inc.は、米国と日本を結んだ法務コンサルティングサービスを展開しております。
連結子会社 きづきアーキテクト株式会社は、当社や当社グループとの連携を強化し、新規事業の創出に貢献するとともに、多種多様な企業の価値を高める事業体制を整え、業容拡大をはかっております。
ブランドマーケティング事業を展開する連結子会社 株式会社forGIFTは、アパレル業界を中心としたプロモーションの企画開発やイベント運営協力等の受託案件が増加している他、当社の開発スタジオ「C&Rクリエイティブスタジオ」でのゲーム3DCG制作技術とファッション分野での知見を活かしたアパレル3DCGサンプル制作サービス「sture(ストゥーラ)」事業を展開しており、当社グループと連携した事業やサービスを積極的に進めております。
連結子会社 株式会社コネクトアラウンドは、農業分野でのテクノロジーを活用したダイバーシティ&インクルージョン及び農業を基軸とした地域雇用の促進等を目指しております。栽培から2次加工品の製造・販売を行う6次化農業ビジネス「FUN EAT MAKERS」事業を神奈川県川崎市の施設で運営する他、福島県大熊町での同施設開設に向けた準備を進めております。また、障がい者雇用の潜在能力を可視化して誰もが働きやすく成長を感じられるユニバーサルワークフローを構築し就労を開始いたしました。このワークフローを通じて、障がい者の戦力化とキャリア形成、ステップアップの支援が可能となりました。当社グループの特例子会社であるOne Leaf Cloverと連携する等、本ワークフローを通じた障がい者の雇用促進を進めてまいります。
連結子会社 株式会社One Leaf Cloverは「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく特例子会社の認定を取得し、障がい者が能力を最大限に発揮できる安定的な職場環境の確保及び社会への主体的な参画を目指しております。2023年9月に独自の雇用創出を目的に開設した就労継続支援B型事業所の業容拡大を推進している他、障がい者のスキルアップ支援と就業先の開拓に注力し、事業基盤の構築を進めております。
ブロックチェーン技術を使ったプラットフォームの企画、開発、運営等を行う連結子会社 株式会社ANIFTYは、アニメ作家や漫画家、イラストレーター、動画制作者等の優れたコンテンツをNFT(非代替性トークン)として流通させ、グローバル市場での収益化をはかっております。当社との連携を強化し、才能の発掘や新しいビジネスモデルの構築を進めております。
連結子会社 株式会社Chef’s valueは、人材紹介事業と料理人の生涯価値を高める新しい仕組みづくりを目的とした事業を展開しております。2022年11月に本社がある新虎通りCOREビル2階に開店した料理人(シェフ)の独立開業を支援する直営スタートアップ1号店であるイタリアンレストラン「Cassolo(カッソーロ)」では、人気ゲーム・アニメとのコラボカフェを継続的に実施し、これまでにない客層の開拓を行う等、様々な取り組みを進めております。また、料理人の人材紹介や他店舗の運営受託を行う他、2023年11月に開講した未経験者を料理人に育成する「シェフアカデミー」を通じて料理人の育成から就業先・独立支援までを一貫することで事業拡大を加速させてまいります。
連結子会社 株式会社Nextrekは、日本が世界に誇るコンテンツである漫画を海賊版の脅威から守りながら、作家や出版社のグローバルにおける収益拡大、映像や音楽クリエイターの新たな創作機会の提供をはかるため、漫画を音楽とともに楽しむ動画作品としたモーションコミックを集めたYouTubeチャンネルとアプリ「モブコミ」を提供しており、有名タイトルを多数配信する他、当社の出版事業等とも連携し、業容拡大を進めております。
連結子会社 株式会社C&Rインキュベーション・ラボは、当社グループと事業シナジーが見込める企業に対する積極的な資本参加を行うCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として、既存事業とのシナジーの創造及び新規事業立ち上げに関わるシーズの獲得を行い、プロフェッショナルの叡智を組み合わせた新サービス創出に繋がる事業の加速化をはかってまいります。
連結子会社 株式会社ALFA PMCは、施設建築領域全般におけるマネジメント・セミナー事業等を展開しております。当社の建築事業との連携を強化し、建築分野のプロフェッショナルの生涯価値向上とともに、当社グループの企業価値向上を目指してまいります。
2024年2月に連結子会社化した株式会社Shiftallは、高い開発力を活かした独自ブランドによるVRやメタバース、IoT製品の企画・開発・販売・サポート事業を展開しております。当社の持つVRやメタバースに関するビジネスとのシナジーの発揮をはかっていくとともに、豊富なプロフェッショナルネットワークとの融合により新たな価値を創造し、社会に貢献していくことを目指してまいります。
当連結会計年度における売上高は前年同期を上回って推移し、セグメント利益においても事業拡大に向けた積極的な投資を行いながら、前年同期を上回って推移いたしました。
これらの結果、その他の事業は売上高3,363百万円(前年同期比121.4%)、セグメント損失(営業損失)200百万円(前年同期はセグメント損失275百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、営業活動によるキャッシュ・フロー3,251百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フロー3,514百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フロー599百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べて853百万円減少し8,180百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,077百万円及び法人税等の支払額1,352百万円等により、3,251百万円の収入(前連結会計年度は2,261百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出5,680百万円及び定期預金の払戻による収入2,610百万円等により、3,514百万円の支出(前連結会計年度は950百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加1,100百万円、自己株式の取得による支出999百万円及び配当金の支払額605百万円等により、599百万円の支出(前連結会計年度は605百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
販売実績
セグメントの名称 |
第34期 2024年2月期 |
||
金額(百万円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
クリエイティブ分野(日本) |
34,977 |
70.24 |
115.2 |
クリエイティブ分野(韓国) |
3,553 |
7.13 |
102.7 |
医療分野 |
5,417 |
10.88 |
103.6 |
会計・法曹分野 |
2,488 |
5.00 |
107.9 |
その他の事業 |
3,363 |
6.75 |
121.4 |
合計 |
49,799 |
100.00 |
112.9 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主要顧客(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものはありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積り及び仮定に関しては、過去の実績等を勘案し合理的と判断される基準に基づき行っておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて2,665百万円増加し25,418百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて1,164百万円増加し9,672百万円となりました。これは主として、短期借入金の増加によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より1,501百万円増加し15,745百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
それぞれの内容については、次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、19,720百万円(前連結会計年度末比2,954百万円の増加)となりました。これは主として、現金及び預金の増加等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、5,698百万円(前連結会計年度末比288百万円の減少)となりました。これは主として、投資有価証券の減少等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、9,160百万円(前連結会計年度末比1,243百万円の増加)となりました。これは主として、短期借入金の増加等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、512百万円(前連結会計年度末比79百万円の減少)となりました。これは主として、長期未払金を未払金へ振替えたことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の残高は、15,745百万円(前連結会計年度末比1,501百万円の増加)となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
③ 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績に関しては、クリエイティブ分野(日本)を中心とした新卒等の人員採用強化、医療分野における新型コロナウイルスに関するワクチン接種のスポット案件の減少、また新規事業への積極的な投資等を吸収し、売上高、営業利益、経常利益において過去最高の業績となりました。
指標 |
33期(実績) |
34期(実績) |
前期比 |
売上高 |
44,121百万円 |
49,799百万円 |
+5,678百万円 |
営業利益 |
3,956百万円 |
4,103百万円 |
+147百万円 |
売上高営業利益率 |
9.0% |
8.2% |
△0.8ポイント |
指標 |
34期(計画) |
34期(実績) |
計画比 |
売上高 |
50,000百万円 |
49,799百万円 |
△200百万円 |
営業利益 |
4,500百万円 |
4,103百万円 |
△396百万円 |
売上高営業利益率 |
9.0% |
8.2% |
△0.8ポイント |
(注)34期計画数値は、期初発表の計画数値を記載しております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、49,799百万円(前期比112.9%)となり、すべてのセグメントにおいて着実に業容を拡大し、概ね計画通りに推移いたしました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、18,617百万円(前期比109.4%)となりました。前年に引き続きクリエイティブ分野(日本)を中心に採算管理を徹底したことに加え、相対的に利益率の高いプロデュース事業が伸長した一方で、医療分野において利益率の高いワクチン接種のスポット案件が減少したことにより、売上高に対する比率は37.4%となり、前期比で1.2ポイント減少いたしました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、14,513百万円(前期比111.1%)となり、この結果営業利益は4,103百万円(前期比103.7%)となりました。クリエイティブ分野(日本)を中心とした新卒等の人員採用強化や、新規事業への投資は概ね計画通りに推移いたしました。一方で、医療分野におけるワクチン接種のスポット案件の減少等により、売上総利益が計画を下回ったため、営業利益は過去最高を更新したものの、計画を下回る結果となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、4,137百万円(前期比103.4%)となり、その要因は営業利益と同様であります。
(特別損益)
当連結会計年度における特別損益は、60百万円の損失となりました。これは、主に減損損失によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、4,077百万円となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は1,429百万円となりました。この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、2,658百万円(前期比91.7%)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、法的規制、情報管理、市場環境等の様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があるものと認識しております。
そのため、当社グループは、リスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及びリスクの低減に努めてまいります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ853百万円減少し8,180百万円となりました。これは、定期預金の預入による支出を中心とした投資活動によるキャッシュ・フローの支出によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、現時点においては、十分な流動性を確保しているものと認識しております。
なお、安定的な事業成長をはかりつつ、中長期の成長を見据え、今後も積極的な人材の採用や新規事業への投資を行っていく方針です。原則として、自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを充当していく方針であり、現時点において重要な資本的支出は予定しておりませんが、M&A等の資金需要が発生した場合には、金融機関からの調達も含め、適時適切に対応を行ってまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。