当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「クリーン&セイフティ」を合言葉に、自然環境や労働環境に配慮した製品、技術の開発、素材の改良など、社会が必要とするものづくりに努め、常に顧客に満足いただけるものを供給し続けてまいります。
そして、当社グループが引き続き成長していくためには、①主力部門である食品関連における自社開発品の販売強化と顧客ニーズへの迅速な対応、②IT・工業材関連における技術力と開発力の強化、③食品関連、建材関連、生活資材関連における連結子会社との連携による同業他社に負けない競争力の強化が重要であります。また、当社グループ事業の基盤となる従業員の成長を促す教育制度の継続とコンプライアンス遵守の体制を築き、社会に信用される企業にしてまいります。
当社グループでは目指す企業像として、「全天候型グローバル企業」を掲げ、その実現に向け対応しております。これは単に経済的な企業価値を追求するだけでなく、「人にやさしい、地球にやさしい」という社会的な企業価値を高めて、あらゆるステークホルダーから信頼される企業像を実現していこうというものです。
当社グループとしては継続的に事業ポートフォリオを見直すことで、収益構造を改善するとともに、従来とは異なる成長領域を生み出し、多彩な領域と新陳代謝のあるバランスのとれた事業構造を目指しております。
そのために、常に新しい技術に取り組み、顧客に密着したマーケティング活動を行い、グローバル規模で顧客や社会のニーズを先取りしていくことを強力に推進してまいります。
(2)経営戦略等
2025年2月期におけるわが国経済は、物価高による個人消費の低迷がみられるものの、賃上げによって実質賃金の改善が進むことによる内需の持ち直しやインバウンド需要増加、企業の設備投資意欲の高まりなどから緩やかに回復すると思われます。一方で、人手不足による供給制約、金融引き締めによる海外経済の減速や国際情勢の緊張の高まりといったリスクも考えられ、依然として先行きは不透明な状況にあります。
当社グループは、2025年2月期の経営課題を「環境経営と改善活動の推進、原点回帰でお客様満足度を最大化する」といたしました。環境対応製品の開発と拡販、環境対応インキ・接着剤への切り替えをはじめとした環境経営を進めるとともに、材料使用量削減や生産効率向上など改善活動による原価低減を推進いたします。また、顧客のニーズ・環境対応・省力化に貢献できる製品の提供と、品質管理に注力して顧客満足度の向上に努めると共に、企業としての社会的責任を果たし、ステークホルダーとの信頼関係を築き、持続的な企業価値の向上に努めていく所存であります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、収益性の改善、資本効率の向上に取り組んでまいります。具体的には、経営指標として連結ROE(自己資本当期純利益率)13.0%以上を中期経営計画における経営目標としております。
(4)経営環境及び対処すべき課題
① 全天候型経営
当社グループを取り巻く状況は刻々と変化しており、現在のような経済環境の激変期には、企業の永続的な発展を重要課題として認識しております。国際情勢の変化、金融不安、IT・半導体不況や資源・食料価格の高騰等による経済悪化の影響を最小限にとどめるためにも、特定分野に偏らない事業ポートフォリオの構築が課題であると考えております。また、少子高齢化が進む日本においては、長期的には食品関連や生活資材関連等の需要減少が見込まれます。
このような課題に対処するために、創業以来積み上げた印刷、ラミネート及びコーティング技術を活用して、食品包装材を主力に、IT・工業材、医療・医薬、日用雑貨、自動車、建材分野に製品を展開するほか、日本だけでなくグローバルに事業を展開する全天候型経営を行っております。各分野にバランス良く投資をすることで、顧客、取引先、社会、従業員、株主に安心していただける強固な基盤を作ってまいります。
② 技術及び製品開発
自社開発品(NAK-A-PET、NC-PET、NS-PET)は、薄肉化、高剛性による省資源、耐熱、耐寒性付与によるスペックアップ、安全性、環境負荷低減(CO2排出量の低減)、リサイクルを可能にする単一素材化を実現した素材であるため、海洋プラスチックの問題による環境意識の高まりなど潜在的な需要は大きく、更なる販売強化を行う必要があると考えております。
このような課題に対処するために、最新鋭の生産設備の導入、技術部門の拡充、生産拠点への開発部門付設等により総合的な技術革新を推し進め、お客様のニーズに対応した製品開発のスピードを速めてまいります。
③ 課題解決型企業の実現
単身世帯、高齢者及び働く女性の増加やライフスタイルの変化による外食からのシフトにより、総菜を中心とした中食市場やデリバリーの需要が底堅い食品関連市場、AI時代の到来や、クルマの電装化等により新たなニーズが見込まれるIT・工業材関連市場など、時代や環境の変化に伴う課題の解決が必要であると認識しております。
このような課題に対処するために、潜在する市場ニーズ(環境・安全・個食化等)を的確につかみ、これまで培ってきた技術を駆使するほか、顧客ニーズに応じて設備改良を行うことで新製品及び新素材の開発につなげ新たな価値を提供し、社会や顧客の課題を解決してまいります。
④ 環境経営
循環型社会の実現による持続可能な社会の構築を目指し、紙への印刷や紙容器、当社独自の開発品であるNAK-A-PET、NC-PET、NS-PETや、石化由来材料の削減や食品の賞味期限延長によるフードロス削減が可能な機能性包材の販売を強化しております。また、リサイクル原料使用による省資源化とCO2削減、水性インキや植物由来成分等を含有したバイオマスインキを使用した印刷、水性接着剤を使用したラミネート、紙への生分解性樹脂ラミネート等の環境対応製品により環境負荷低減に取り組んでまいります。
加えて工場のLED化、省エネ設備の導入、太陽光発電設備の導入によるCO2削減、材料の再資源化を行うリペレット事業の拡大により、生産活動に伴う廃棄物の発生抑制及び再資源化の取組みなど、各種施策を実施してまいります。
⑤ グローバル戦略
海外連結子会社(中国5社、米国1社、ベトナム1社)における事業は、各国の通商政策、人件費の高騰、環境基準の変化、地政学リスク、販売価格競争の激化や為替変動により不透明な環境にあります。
このような課題に対処するために、当社グループは引き続き圧縮袋や生活資材製造の合理化を図るとともに、当社グループが得意とするシートグラビア印刷、クリーンコーティング、熱ラミネート等の付加価値の高い製品の販売増加を目指し、新規顧客の開拓を推進いたします。また、複数国に生産拠点を持つことで、チャイナリスクへの対策、グローバルなサプライチェーンの構築と顧客ニーズへの対応を進めてまいります。
⑥ 社会的責任を重視した経営
地域社会からの信頼を得ることも企業価値の向上を目指した経営の一つと考え、事業活動や雇用を通して地域の社会経済活動に貢献しております。また、環境負荷の低減、障がい者雇用をはじめとしたダイバーシティの推進、取引先の事業活動の継続に寄与するため、全国主要都市周辺に16工場を配置し、BCP対応、供給責任を果たしております。この他、顧客、取引先、社会、従業員、株主など各ステークホルダーとの対話や協働が持続的成長に不可欠と考えており、コミュニケーションの機会を大切にし、企業経営に生かしております。
⑦ 内部管理体制の強化
当社グループは、金融商品取引法における内部統制に係る報告を実施するため内部管理体制の強化に努め、コンプライアンス機能の強化、業務マニュアルの整備等を行ってまいりました。
今後もこの内部管理体制を有効に機能させることが、企業価値を高め、効率的かつ健全な企業経営を実現するものと認識し、より一層透明性の高い経営を目指し、相互牽制の効いた内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)気候変動への取組
① ガバナンス
当社取締役会は、省エネ委員会から、気候変動の問題を含む環境課題に関する戦略、方針、課題とそれに対する目標と進捗状況について定期的に報告を受け、監視監督を行っております。
・気候関連のリスク及び気候への対応について年4回の省エネ委員会で進捗を議論しております。
・気候関連の戦略・取り組みについて取締役会にて方針を決め、省エネ委員会にて活動内容を協議しております。
② 戦略
気候関連のリスクと機会について当社への事業影響を確認するために、脱炭素への移行が加速する「2℃シナリオ」および物理面での影響が顕在化する「4℃シナリオ」を用いて食品事業およびIT・工業材事業を対象に、主に2030年を想定してシナリオ分析を実施いたしました。シナリオ分析の総括といたしまして、2℃の世界では、世界的なサステナビリティ意識の高まりによりGHG排出量や環境規制が強化され、業界全体として脱プラスチックの流れが加速すると思われますが、当社開発品によるプラスチック使用量の削減や代替原材料(バイオマス原料等)を使用した環境対応製品を拡販していくことで、事業機会を創出していく必要があることを認識いたしました。環境対応製品の拡販にあたっては、他社との連携(協業)を通じた新商品開発に注力してまいります。4℃の世界では、災害の激甚化リスクがあるため、原材料調達が困難化しないようにサプライチェーンの強化に取り組んでいくとともに、自社工場の災害に対する被害に備えて、他工場・協力会社を含め代替生産できるBCP体制を整えより強化にしていく必要があると認識いたしました。
③ リスク管理
全社的なリスク管理については気候関連リスク・機会の特定・評価は省エネ委員会で、他の事業リスクの特定・評価はリスク・コンプライアンス委員会にて、それぞれ年に1回行っております。リスク評価については、「影響度」と「発生可能性」の評価点を記載した、全社横断的な統一のリスクシートを用いて行っており、「影響度」は、営業利益への影響を基準に4段階で評価、「発生可能性」は、発生頻度に応じて4段階で評価し、最終的にリスク重要度として「影響度」と「発生可能性」のマトリックス図を用いて、16段階で評価いたしました。時間軸については短期を2年以内、中期を2年以降から10年以内、長期を10年以降から30年に設定しております。 重要リスクは省エネ委員会、リスク・コンプライアンス委員会にて特定し、その内容を取締役会で承認し、その上で、責任部署は活動計画を策定し実行しております。
④ 指標及び目標
連結でのスコープ1、2でのCO2排出量を、2021年基準で、2030年度で20%削減、2050年度で100%削減を目指します。
(2)人的資本、多様性への取組
① ガバナンス
当社グループは、「事業は人なり」の社是のもと各部門責任者で構成される採用プロジェクトにおいて雇用、育成などの現状把握、課題抽出を行い、リスク・コンプライアンス委員会、総務・経営企画部で戦略、方針について審議・検討し取締役会へ報告しております。
② 戦略
当社グループでは、人材を重要な経営資源と捉えております。多様な個性を持つ従業員の成長をサポートし、社内外で活躍・自己実現できる環境を整えることで、当社グループ全体の存続・発展につながると考えております。また、性別、人種、国籍、信条等に関係なく、多様な個性を認め合うことでそれぞれの活躍が新たな価値を生み出し、組織の成長を促進するものと認識し、従業員が安心して働ける環境及び仕事と私生活の充実を図ることができる制度整備を進めております。
③ リスク管理
人的資本及び多様性についてはリスク・コンプライアンス委員会、総務・経営企画部が連携しリスクの識別、それぞれの対応を行っております。その中で重要度の高いものについては取締役会へ報告しております。
④ 指標及び目標
当グループでは、上記②に記載した人的資本における人材育成について具体的な目標は定めておりませんが、階層別研修、スキルマップを作成し推進しております。多様性については2020年4月1日から2025年3月31日を計画期間とした女性活躍に対する取り組みとして、新卒女性採用累計20名、従業員に占める女性の比率20%を目標として公表し活動を行っております。今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標の設定を検討してまいります。
当社(単体)における状況
|
項目 |
前事業年度実績 |
当事業年度実績 |
2025年3月31日目標 |
人材育成 |
従業員への 教育投資額 |
5,155千円/年 |
4,650千円/年 |
- |
管理職登用人材の外部研修 受講者数 |
11名 |
11名 |
- |
|
女性活躍 |
女性従業員比率 |
17.7% |
18.4% |
20% |
女性管理職者数 |
20名 |
20名 |
- |
|
管理職比率 |
8.8% |
9.1% |
- |
|
人材採用 |
新卒採用 |
男性 1名、女性 1名 |
男性 5名、女性 6名 |
累計20名 (当事業年度末時点15名) |
中途採用 |
男性32名、女性 3名 |
男性18名、女性 5名 |
- |
|
外国籍採用 |
男性 4名、女性-名 |
男性 3名、女性-名 |
- |
|
出産・育児 |
女性出産・育児休業取得者数 |
4名 |
4名 |
- |
男性育児休業 取得者数 |
-名 |
1名 |
- |
(注)当社グループに属するすべての会社で指標及び目標の設定が行われているものではないため、当社グループにおける記載が困難です。このため、指標に関する目標及び実績は当社単体で記載しております。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)国内景気と消費動向に関するリスク
当社グループは、幅広い業種の顧客企業と取引を行っており、主として日本国内市場向けに、特定業種に偏らない活動を展開しております。
しかしながら、国内需要の減退や物価高・感染症拡大の影響による国内個人消費の低迷が顕在化した場合や主要顧客における市場シェアの縮小等が生じた場合には、当社グループの受注量の減少や受注単価の下落により、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(2)資源・原材料の市況に関するリスク
当社グループは、包装材や各種加工フィルムの主要原材料として、樹脂、フィルムといった各種のプラスチック素材を使用しております。これらの原材料の価格は原油、ナフサなどの国際商品市況及び為替変動の影響を受けます。例えば、原油価格、電気代や燃料費が大きく変動した場合や、サプライチェーンの混乱等が生じ、樹脂やインキ等の原材料となる資源の調達困難により価格が高騰した場合には、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(3)為替の変動に関するリスク
当社グループは、生活資材、IT・工業材、自動車内装材を中心に海外販売の拡大を計画しており、今後、為替変動の影響は次第に比重が増してくると予想されます。急激な為替変動が生じた場合には、原材料輸入価格の高騰または製品輸出価格の低下、並びに債権債務の決済時に多額の為替差損が生じることにより、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(4)研究開発活動に関するリスク
当社グループは、将来の成長性を確保するという観点から、研究開発投資を行っております。
しかしながら、計画どおりに研究開発が進捗しない場合、新製品や新技術に関して多額の研究開発投資を行ったとしても必ずしも十分な成果を上げることができない場合、また、想定し得ないような急激な技術革新が起きた場合には、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(5)製品の品質に関するリスク
当社グループは、ISO9001及び14001を取得する等により、常に品質の高い製品を顧客に提供できるような品質管理体制の構築を図っております。
しかしながら、予想し得ない品質上の欠陥に基づく製造物責任の追及がなされた場合には、補償費用の負担や、再生産に係る費用の追加負担により、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(6)環境規制等の影響に関するリスク
当社グループは、環境保全を経営の重要課題であると認識し、厳格な管理を徹底しつつ事業活動を行っております。
しかしながら、今後、環境等に関する様々な法的規制の強化または社会的責任の要請等に起因して事業活動に制約を受けるような事象が顕在化した場合には、計画外の設備投資や環境対策費用等の追加負担が生じることとなり、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(7)海外事業に関するリスク
当社グループは、中国に5社、米国に1社、ベトナムに1社の連結子会社を有しており、わが国と相手国の間の政治問題、国際的な経済情勢の変化、また、雇用環境、税制、法的規制の違い等に起因する様々な問題が生じるリスクを回避または低減させるために、海外ビジネスに精通した国内取引先(インキメーカー、商社等)、監査法人、顧問税理士または顧問弁護士等より、随時アドバイスを得て、海外展開を慎重に進めております。
しかしながら、現時点における想定を遥かに上回る政治的(貿易摩擦、紛争やテロ等)、経済的(為替変動等)、社会的(労務問題等)な問題、または商慣習の違いに起因する取引先との関係構築に係る問題が顕在化した場合には、生産活動の縮小や停滞、サプライチェーンの混乱、販売活動の停滞等により、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(8)自然災害・事故災害に関するリスク
当社グループは、国内外に製造拠点を複数設けることにより自然災害や感染症の拡大に伴う操業停止または操業度低下リスクを分散させるとともに、事業所における耐震対策や点検、防火訓練等に取り組むことにより事故災害リスクを低下させるよう努めております。
しかしながら、想定を超えるような地震、台風等の自然災害や感染症の拡大、また、火災等の事故災害が発生することに起因して、十分な原材料調達ができない場合や、設備や従業員が大きな被害を受け、工場の操業停止または操業度が低下した場合には、生産及び出荷の停止または遅延に伴う販売数量の減少や多額の修繕費用の発生により、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(9)販売価格やシェアに関するリスク
当社グループは、主力製品である厚物シート印刷及びラミネート等に関する独自のノウハウを有しており、今後も販売価格や一定のシェアを維持することができるものと考えております。
しかしながら、そのような当社グループの独自性、優位性が発揮できない分野において、競合他社の低価格戦略や模倣等が顕在化した場合には、販売価格やシェアが低下することにより、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(10)業務提携・企業買収に関するリスク
当社グループは、他社との業務提携や企業買収が、将来の成長性、収益性等を確保するために必要不可欠な要素であると認識しており、過去においても積極的に業務提携や企業買収を行っております。
しかしながら、当初想定した業務提携または買収によるシナジー効果を得ることができなかった場合には、利益率を圧迫する等により、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(11)人材の採用・育成に関するリスク
当社グループは、高度な技術力や企画力等を有する優秀な人材の採用・育成が、将来の成長性、収益性等を確保するために必要不可欠な要素であると認識しており、新卒採用のほかにも多様な専門性を有する人材を確保すべく中途採用の実施等、幅広く優秀な人材を求めております。
しかしながら、そのような人材の採用や育成ができなかった場合には、競争力が低下し、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,905百万円増加し、38,483百万円となりました。
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ1,877百万円増加し、19,987百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,027百万円増加し、18,496百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和や海外からの入国制限が解除されたことにより、人の移動量が大幅に増加し、経済活動の正常化が進み回復基調にあります。しかしながら、不安定な国際情勢や円安が常態化し、原材料や資源価格の高騰を背景にした小売価格の上昇が家計に影響を及ぼし、国内景気の先行きは依然不透明な状況が続くと見込まれます。当社グループの事業活動も、エネルギー価格高騰による製造コストの上昇やサプライチェーンの混乱による影響を受けており、厳しい状況で推移しております。
このような状況の下、「環境経営と改善活動の推進、原点回帰でお客様満足度を最大化する」をスローガンに、環境への負荷を低減できる開発製品の販売、原価低減、生産効率・品質の向上に注力いたしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は44,362百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は1,815百万円(同4.1%減)、経常利益は2,341百万円(同6.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,057百万円(同17.7%減)となりました。
製品用途別の経営成績は次のとおりであります。
(食品関連)
農産物などのフードパック・冷凍食品が好調に推移し、弁当トレーや会席トレー、環境対応包材であるラベルレスサーマルトップシールの受注が増加しました。また、昨年事業譲受をした中本Fine Pack株式会社の山梨工場の売上貢献があり、売上高は28,659百万円(前年同期比5.0%増)、売上総利益は2,862百万円(同3.8%増)となりました。
(IT・工業材関連)
自動車内装材が回復傾向にあり、売上高は6,757百万円(前年同期比0.7%増)となりました。利益については新規獲得に向けて継続して営業活動を行うも、電子部品用途を中心とした市況の低迷と顧客側での在庫調整の影響を受け、生産量が大幅に減少したことにより、売上総利益は1,492百万円(同11.6%減)となりました。
(生活資材関連)
圧縮袋などの収納商材がテレビ・ネットショッピングの好調で増加したこと、エアコンの遮熱カバーや断熱シートなどの季節商材が政府からの節電要請により好調に推移したことで、売上高は4,697百万円(前年同期比3.1%増)、売上総利益は1,669百万円(同27.4%増)となりました。
(建材関連)
戸建て・集合住宅向け表面機能コーティング加工の不調や住宅内装材向け印刷の生産調整により、売上高は2,048百万円(前年同期比3.1%減)、売上総利益は294百万円(同15.8%減)となりました。
(医療・医薬関連)
病院関連は輸液関係包材が堅調に推移したほか、貼付剤関連は海外向けが増加したことにより、売上高は1,403百万円(前年同期比7.0%増)、売上総利益は257百万円(同1.9%増)となりました。
(その他)
前年同期にあった機械販売の反動減があったことにより、売上高は794百万円(前年同期比31.1%減)、売上総利益は72百万円(同40.4%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ2,427百万円増加し、7,446百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、3,458百万円(前連結会計年度は、1,547百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,653百万円、減価償却費1,293百万円、減損損失628百万円、段階取得に係る差損200百万円、関係会社整理損失引当金の増加額187百万円、棚卸資産の減少額560百万円及び仕入債務の増加額573百万円等による増加要因が、負ののれん発生益469百万円、持分法による投資利益347百万円、売上債権の増加額213百万円及び法人税等の支払額699百万円等による減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、2,533百万円(前連結会計年度は、775百万円の減少)となりました。これは、固定資産の売却による収入3百万円等による増加要因が、生産加工設備等の固定資産の取得による支出1,085百万円、投資有価証券の取得による支出1,282百万円及びその他151百万円等による減少要因を下回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、32百万円(前連結会計年度は、683百万円の減少)となりました。これは、長期借入れによる収入1,862百万円による増加要因が、短期借入金の純減額425百万円、長期借入金の返済による支出773百万円及び配当金の支払額506百万円等による減少要因を下回ったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、印刷関連事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
|
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
印刷関連事業 |
31,328,301 |
102.7 |
合計 |
31,328,301 |
102.7 |
(注)金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
当社グループは、印刷関連事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
なお、連結子会社においては、受注から販売までの期間が短く、受注管理を行う必要性が乏しいため、提出会社個別の受注高及び受注残高を記載しております。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
|||
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
印刷関連事業 |
31,914,591 |
101.4 |
1,487,821 |
101.1 |
合計 |
31,914,591 |
101.4 |
1,487,821 |
101.1 |
(注)金額は、販売価格によっております。
c.販売実績
当社グループは、印刷関連事業の単一セグメントであるため、当連結会計年度の販売実績を用途ごとに示すと、次のとおりであります。
用途 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
|
金額 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
食品関連 |
28,659,863 |
105.0 |
IT・工業材関連 |
6,757,607 |
100.7 |
医療・医薬関連 |
1,403,914 |
107.0 |
建材関連 |
2,048,553 |
96.9 |
生活資材関連 |
4,697,596 |
103.1 |
その他 |
794,748 |
68.9 |
合計 |
44,362,283 |
102.9 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年3月1日 至 2023年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
||
金額 (千円) |
割合 (%) |
金額 (千円) |
割合 (%) |
|
㈱エフピコ |
5,087,451 |
11.8 |
6,095,119 |
13.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,905百万円増加し、38,483百万円となりました。
流動資産につきましては、棚卸資産が263百万円減少したものの、MICS化学株式会社を連結子会社としたこと等により現金及び預金が2,429百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が586百万円、電子記録債権が358百万円、その他が146百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ3,259百万円増加し、23,139百万円となりました。
固定資産につきましては、固定資産の減損損失を計上したものの、MICS化学株式会社を連結子会社としたこと等により有形固定資産が157百万円、無形固定資産が118百万円、投資その他の資産が369百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ645百万円増加し、15,343百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ1,877百万円増加し、19,987百万円となりました。
流動負債につきましては、短期借入金が399百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が645百万円、電子記録債務が343百万円、1年内返済予定の長期借入金が176百万円、リース債務が144百万円、関係会社整理損失引当金が187百万円、その他が165百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,238百万円増加し、16,854百万円となりました。
固定負債につきましては、リース債務が216百万円減少したものの、長期借入金が913百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ639百万円増加し、3,132百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,027百万円増加し、18,496百万円となりました。これは、株式交換等により資本剰余金が1,321百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が550百万円それぞれ増加したことや、その他有価証券評価差額金が125百万円増加したこと等によるものであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、食品関連において農産物などのフードパック・冷凍食品用包材などが好調に推移、弁当トレーや会席トレー、環境対応包材であるラベルレスサーマルトップシールの受注が増加しました。IT・工業材関連においては電子部品用途を中心とした市況の低迷と顧客側の在庫調整の影響を受けましたが、自動車内装材は回復傾向にあります。また、圧縮袋などの収納商材がテレビショッピングで好調に推移した結果、前連結会計年度に比べて1,233百万円(2.9%)増加し、44,362百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、インキ・溶剤・電力・燃料・副資材の高騰によるコスト上昇、MICS化学株式会社の完全子会社化の費用及び広告宣伝費など、販売費及び一般管理費が前連結会計年度に比べて5.3%増加した結果、前連結会計年度に比べて77百万円(4.1%)減少し、1,815百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、営業利益が減少したものの、MICS化学株式会社株式の公開買付によって発生した持分法による投資利益395百万円等により、前連結会計年度に比べて135百万円(6.1%)増加し、2,341百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益1百万円、負ののれん発生益469百万円、固定資産売却損1百万円、固定資産除却損90百万円、投資有価証券評価損50百万円、連結子会社であるエヌ・ピー・ジー・ジャパン株式会社の株式を売却することを決議したことなどによる減損損失628百万円及び関係会社整理損失引当金繰入額187百万円、MICS化学株式会社を完全子会社化する際に発生した段階取得に係る差損200百万円、法人税等630百万円(前年同期比89百万円減)及び非支配株主に帰属する当期純損失34百万円を計上したことにより、前連結会計年度に比べて227百万円(17.7%)減少し、1,057百万円となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におきましては、製造にかかわるすべてのコストが上昇したほか、IT関連財市況の低迷により比較的利益率の良いIT・工業材関連分野の受注が減少しましたが、生産効率改善による原価低減や価格転嫁をすすめたほか、MICS化学株式会社株式の公開買付によって発生した持分法による投資利益395百万円等を計上したことにより連結売上高経常利益率は前連結会計年度より良化し5.3%となりました。
なお、連結ROEは6.4%となりました。中期経営計画目標の13.0%以上を目指し、効率的な事業経営によりROEの継続的な向上に取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第一部 企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資等の長期資金につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入れを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は8,808百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,446百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。経営成績または財政状態に重要な影響を及ぼす見積り・判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる要因を考慮して行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在することから、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、2023年10月17日開催の取締役会において、当社を株式交換完全親会社とし、MICS化学株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議するとともに、同日付で株式交換契約を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
当社グループは、地球環境保全を経営の重要課題と位置付けており、資源の再利用化(リサイクル)及びプラスチック使用量の削減により、環境意識が高まる顧客ニーズに対応した研究開発を積極的に進めております。
当連結会計年度の研究開発は当社の技術開発事業部を中心に環境対応製品の開発を行っており、研究開発スタッフは19名です。
当連結会計年度における研究開発費は、
なお、当社グループは、印刷関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
(1)紙への機能性コーティングRESC™の開発、販売
循環型社会の実現による持続可能な社会の構築を目指し、紙とプラスチックの複合品に対し素材間の分離を容易にすることでリサイクル率の向上を目指した製品として、紙への機能性コーティングの開発を行っております。
(2)環境対応セパレーターの開発
海洋プラ問題を皮切りに世界的に環境志向が強くなっており、低CO2製品へと顧客ニーズが移行する中、トルエンフリー、低VOC、CO2削減を可能とする環境対応セパレーターの開発を行っております。
また、この製品にはリサイクルPETフィルムが使用されております。
(3)断熱材の開発
自動車内装材の製造工程で発生する廃材は元々の機能として断熱や遮音の効果があり、これを粉砕し固めることで建材用途などに向けた遮音効果を持った断熱材として再利用する検討を行っております。
(4)ラベルレスサーマルの開発、販売
株式会社リコーとの合弁会社である「RNスマートパッケージング株式会社」にてラベルレスサーマルの開発、販売を行っております。ラベルレスサーマルは、熱を加えることで、紙のシールなどを用いずに食品パッケージに直接印字でき、間接資材を使用しないことによる環境負荷の低減、間接資材の付け替え不要による生産性向上、商品名自体の印字を行うことによる包材のSKU削減を実現しております。
(5)剥がせるラミネートの開発
段ボール容器製造メーカーと共同で食品容器用等に使用後に当社による加工のラミネートフィルムを剥がし、食品残渣を完全に取り除く事で、再び段ボール原料としてリサイクルできる、環境に優しい容器の開発を行っております。こちらの製品は、当社開発品である剥がせるNS-PETにラミネート加工技術を加える事により、化成品からの切り替えによるプラスチックごみの削減や、紙のリサイクル率向上が期待できます。
(6)特殊樹脂を使用したポリラミ紙マイエコロ(R)の開発、販売
特殊な樹脂を使用したポリラミ紙の開発、販売を行っております。従来のポリラミ紙と同等の性能を維持しつつ、ラミネートフィルムの減容化によるリサイクル適性向上を実現しております。
(7)紙化推進製品の開発、販売
プラスチック単一の容器から、紙/プラスチックの容器へシフトする事により、プラスチック使用量の削減、及び資源の再利用化の推進を目指した製品の開発、販売を行っております。分類としては、紙マーク製品となります。
(8)その他
環境に配慮したパッケージの需要が高まる中、バイオマス材料の使用、リサイクル適性向上を目指したモノマテリアル化など各種開発を行っております。