当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、新たに「MISSION STATEMENT:心に紡いで」、「OUR Pride:私たちは、最高の思いやりをつくして、最高の商品を、最高の舞台でご提供します。私たちにとって、買って頂いたお客様のご満足の笑顔が最高の宝物です。」 を策定し、創業以来、バッグ、ジュエリー及びアパレルの企画・製造・販売を主な事業として行っており、デザイン・品質にこだわった商品をお客様に提供し続けることを基本方針としております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループが重要と考えております経営指標は、売上高営業利益率であり事業規模の拡大とともに利益率の向上を目標としております。
(3)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が5類感染症へ移行し、人々はかつての日常を徐々に取り戻す一方、資源・エネルギーを含む仕入価格の高止まり、深刻な人手不足による人件費の高騰、政策の後押しも受けた賃金上昇期待の高まりなど、これまで体感することができなかった新たな局面への転換・移行も余儀なくされる中で、当連結会計年度末を迎えました。
当社グループが属するファッション・アパレル業界においては、社会経済活動の正常化が進んだことによる外出機械の増加が個人消費を拡大させる後押しとなりました。また円安によるインバウンド需要の回帰も見られるなどコロナ過以前の消費水準にはまだ届かないものの消費の伸びが見られました。一方で、コロナ過によって変容した人々のライフスタイルにより消費行動や消費構成が変化しており、販売チャネルの多様性が求められるなど、より一層の対応と工夫が求められる市場になりつつあります。
(4)経営戦略
当社の経営戦略の根幹に、新たに「Our Mission(行動規範)」として、「心を一つに!ひと手間かけた思いやり」すなわち
・お客様へのひと手間かけた思いやり
・地域社会へのひと手間かけた思いやり
・人と人へのひと手間かけた思いやり
を策定致しました。
そしてこれら一つひとつが「目指す3つの社会的企業価値」と連動し、3つの「価値」すなわち
・信頼される価値 ⇒お客様へのひと手間かけた思いやり
・尊敬される価値 ⇒地域社会へのひと手間かけた思いやり
・働きがいのある価値 ⇒人と人へのひと手間かけた思いやり
とつながり、日々の事業活動の中で、社員一人ひとりの行動規範から付加価値を創出し続ける企業を目指し、従業員に対する充実した研修制度、ブランド価値を高める場所への出店、魅力的なデザインと確かな品質の商品の提供、話題性のあるプロモーション活動などの経営戦略をベースに高い成長性を維持し、企業価値を継続的に拡大していくことを目指しております。
(5)優先的に対処すべき課題及び財務上の課題
(優先的に対処すべき課題)
上記のような環境認識に基づき、当社グループでは、外部環境に様々な不確実性が存在するなど、予断を許さない状況である事の認識のもと、当社は2024年4月10日付公表「株式会社コナカと株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの株式交換による経営統合に関する最終合意について」のとおり、2024年4月10日開催の取締役会において、株式会社コナカ(以下「コナカ」といいます。)を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本件株式交換」といいます。)による経営統合を行うことを決議いたしました。なお、本件株式交換は、2024年5月29日開催予定の当社定時株主総会及び普通株主による種類株主総会での承認を前提としております。また、本件株式交換の効力発生日(2024年7月1日予定)に先立ち、当社の普通株式は、東京証券取引所グロース市場において、2024年6月27日付で上場廃止(最終売買日は2024年6月26日)となる予定です。
コナカと当社は、経営統合を通じて、柔軟かつ迅速な意思決定をはじめとした効率的な経営体制を構築し、グループとしての総合力を一段と発揮し、顧客の求める付加価値をスピーディーに提供することによって、グループ全体の企業価値の向上を目指してまいります。
(経営統合により見込まれる相乗効果)
経営統合することにより、これまでにも増して迅速かつ効率的な意思決定のもと、コナカのリソースを活用することによる当社本部系の業務効率化の促進と、全方位的かつ抜本的な構造改革施策を速やかに実行し、最速で収益力の改善を達成いたします。
当社グループが展開する主要販路である百貨店、都市型商業施設、モール型商業施設及びEC販路に対しこれまで培ってきた事業ノウハウを、コナカグループ内で有効活用することで、グループにおける事業ポートフォリオの最適化に寄与します。
コナカの事業領域において、コナカの事業ノウハウを活かした新商品を開発し、新規顧客の獲得と当社事業の販路を拡大いたします。
当社グループの保有するレディースファッション領域の事業ノウハウを活かして、コナカは今後より幅広く市場を捉え、コナカグループ全体としての更なる事業成長を促進いたします。
コナカとの経営統合により見込まれる相乗効果を中心に様々な施策を全社一丸となって実行し、収益性の高い事業構造へとリカバリーしていくことを成し遂げてまいります。
(財務上の課題)
当社グループの流動比率(=流動資産/流動負債)は前連結会計年度に61%まで低下したものの、当連結会計年度に流動比率が76%まで改善しました。しかしながら、5期連続にて営業損失、経常損失を計上、8期連続にて親会社株主に帰属する当期純損失を計上するなど、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在します。
対応策については「第2 事業の状況 3 事業のリスク(8)及び 5 経営上の重要な契約等」に記載しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視、または管理するための過程、統制及び手続等の体制をコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりませんが、当社グループが置かれている経営環境を踏まえ、サステナビリティに関連するリスク及び機会について、重要性に応じて、取締役に加え執行役員と監査役で構成した経営会議で識別・監視し、取締役会に報告を行う体制としております。
詳細は、「
(2)戦略
当社は2024年4月10日付公表「株式会社コナカと株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの株式交換による経営統合に関する最終合意について」のとおり、2024年4月10日開催の取締役会において、株式会社コナカ(以下「コナカ」といいます。)を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換による経営統合を行うことを決議いたしました。
今後は経営統合を通じて、柔軟かつ迅速な意思決定をはじめとした効率的な経営体制を構築し、グループとしての総合力を一段と発揮し、顧客の求める付加価値をスピーディーに提供することによって、グループ全体の企業価値の向上を目指してまいります。
短期、中期及び長期にわたり経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組、
(3)リスク管理
当社は、事業の推進に伴って生ずるリスク管理については、重要なものであると認識し、社内諸規程で定めるとともに、コンプライアンス経営と合わせた体制を構築しております。
詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を行うことは持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものであると認識し、事業を通じた課題の解決や社会貢献に向けた活動を推進しておりますが、現段階では各取り組みに関しての指標及び目標を設定しておりません。今後は、親会社である株式会社コナカの方針に沿って、具体的な指標及び目標の検討をしてまいります。
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針についても、今後は、親会社である株式会社コナカの方針に沿って検討してまいります。
当期実績についての詳細は、「
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
本書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項には以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。なお文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)パンデミック発生等に関するリスクについて
新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックが発生した場合、世界各国で渡航制限や外出制限などの措置が行われ、経済活動に大きな影響が及ぶ可能性があります。当社グループにおきましても、政府や自治体の外出自粛要請に基づく店舗の休業や営業時間の短縮、個人消費の大幅な縮小等による売上高の減少、国内外での商品調達網の寸断等の懸念があり、このような事態が長期化した場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)ブランド展開について
① ブランド力の維持について
当社グループは、商品ブランド力の維持のため、主要な顧客層である20代の女性はもとより、より幅広い年齢層に支持されることを念頭に、SNSや顧客層別の雑誌や書籍に取り上げられることにより積極的な広告宣伝・販売促進活動を行っていく方針を採っております。しかしながら、各顧客層の嗜好やライフスタイルの変化等により当社グループのブランド戦略が受け入れられなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 今後のブランド展開について
当社は、主力商品ブランドである『サマンサタバサ』を中心にコーポレートブランドの強化、育成を行い、更に連結子会社である株式会社バーンデストローズジャパンリミテッドのアパレルブランドにつき、当社が持つ総合力によって尚一層の向上を図る方針であります。しかし、今後顧客の嗜好やライフスタイルの変化があった場合、あるいは既存主力ブランドに続く当社グループの今後のブランド戦略が遅れ、顧客の支持を得られない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 商品戦略について
当社グループの商品戦略は、主に各ブランドの担当デザイナーが中心となり立案及び実施しております。当社グループの商品は、いずれも流行等に左右されやすい性質を有していることから、女性向け雑誌や書籍等の出版社等との情報交換を通じて早い段階から商品企画を進めております。このように最新の情報に基づいて顧客の嗜好や流行を捉えた商品企画に努めておりますが、顧客の嗜好やライフスタイルの変化があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)店舗展開について
出店政策について
当社グループは原則としてブランド別の出店戦略を実施しております。
海外店舗を含む当社グループの部門別店舗数の推移は以下のとおりであります。
|
部門 |
2021年2月期 (店) |
2022年2月期 (店) |
2023年2月期 (店) |
2024年2月期 (店) |
|
バッグ |
184 |
169 |
157 |
131 |
|
ジュエリー |
32 |
32 |
29 |
19 |
|
アパレル |
51 |
46 |
44 |
45 |
|
その他 |
42 |
41 |
40 |
30 |
|
合計 |
309 |
288 |
270 |
225 |
(注)1.バッグ部門には、サマンサタバサ事業におけるリボーン計画店舗、「サマンサタバサ」、「サマンサベガ」、「サマンサタバサプチチョイス」、「キングズ」、「&シュエット」等の店舗が含まれております。
2.ジュエリー部門には、「サマンサティアラ」、「サマンサシルヴァ」の店舗が含まれております。
3.アパレル部門には、「ウィルセレクション」、「スウィングル」、「レディアゼル」、「アンド クチュール」等の店舗が含まれております。
4.その他は、「フィットハウス」、「サマンサタバサNEXT PAGE」、「サマンサタバサ ゴルフ」の店舗であります。
5.店舗増減要因は、新規出店及び退店、ブランド変更、店舗統廃合によるものであります。
当社グループは、新たな店舗業態による事業をベースとしたビジネスモデルへの転換を念頭に、先ずは新業態開発の計画設計に着手し、「Reborn計画」として構想を進めてまいりました。3年後のありたい姿へのマイルストーンとして、2024年2月期を「リカバリー期」と位置づけ、サマンサタバサ事業本部においては、従来ブランド単独での出店を基本としておりましたが、複数ブランドによる結合型店舗、複合型店舗、そして旗艦店の位置付けとしての総合型店舗にて、お客様の「ワンストップ・ショッピングニーズ」に対応し、店舗環境面からは新店装の開発により全店舗統一環境を実現し、ブランドイメージの再構築を目的とした新たなビジネスモデルを開発し、市場に順次投入してまいりました。
また当該ビジネスモデルは、販売費及び一般管理費の節減にも大きく寄与するモデルとして実現を推進してまいります。
フィットハウス事業本部におきましても店舗総点検を実施し、これまでロードサイドの単独大型店舗中心のビジネスモデルでしたが、郊外モール型商業施設への新型モデル店舗での出店、及び展開MDについても出店先の商業施設ごとに商品動向を分析し、最適な商品MDミックスを開発することで収益性の高いビジネスモデルとして再構築を図ってまいりました。
出店政策として、当社グループでは顧客層の動向や流行を勘案しながら総合的に判断し、計画を立案しております。しかし、今後、当社グループの出店計画が順調に進まない場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、出店形態は主要都市にある百貨店等へのインショップが中心となっているため、今後出店交渉が難航した場合には出店の遅れ等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)社内体制について
人材の確保及び育成について
当社グループは、店舗従業員の確保・育成が重要な経営課題の一つであると認識しております。このため、当社グループにおいては店舗計画に合わせた新卒採用、中途採用を展開しています。さらに、本社研修及びセミナー等の研修制度の充実化に努める等、人材の確保・育成に注力しております。しかしながら、店舗計画に見合った人材の確保・育成がなされなかった場合、顧客に対するサービスの低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報の管理について
当社グループの商品は、店舗、インターネット及び雑誌媒体において、一般消費者に販売されております。店舗における販売では、販売促進活動の一環として、お客様の個人情報を取得し利用しております。現在、当社ではお客様の情報を各店舗において管理し、本社ではお得意様である会員に関する情報を管理しております。お客様の情報は販売促進を目的とする場合等、内部で利用することがありますが、外部に公開することは一切ありません。さらに、個人情報については社内管理体制を整備し、情報管理への意識を高めるとともに、情報アクセス権を制限する等、安易に個人情報が漏洩することのないように取扱いには十分留意しております。インターネット及び雑誌媒体における販売では、信頼できる外部業者に業務委託し、徹底した管理を行っております。しかしながら、外部からの不正侵入等、不測の事態により万が一個人情報が外部に漏洩するような重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)大規模な自然災害等について
当社グループは、店舗による事業展開を行っており、大規模地震・自然災害や火災等の事故災害、その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)借入金の財務制限条項について
当社グループは、機動的かつ安定的な資金調達を行うため取引金融機関とシンジケートローン契約を締結しており、以下の財務制限条項が付されております。
① 2022年2月期末日及びそれ以降の各事業年度末日において、連結及び単体の貸借対照表に記載される純資産金額を、2021年2月期末日における連結及び単体の貸借対照表に記載される純資産金額の75%に相当する金額、又は直近の事業年度末日における連結及び単体の貸借対照表に記載される純資産金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。
② 2021年2月期末日及びそれ以降の各事業年度末日におる連結及び単体の損益計算書に記載される経常損益を2期連続して損失としないこと。
③ 株式会社コナカの連結子会社であることを維持すること。
④ 全貸付人及びエージェントの事前承諾なく、株式会社コナカを債権者とする2020年10月15日付の8億円の借入金の弁済を行わないこと。
当連結会計年度において、当社は上記の財務制限条項に抵触しておりますが、主要取引銀行と緊密な関係を維持し、定期的に建設的な協議を継続していることから、今後も主要取引銀行より継続的な支援が得られるものと考えております。
また、当連結会計年度において、上記のシンジケートローンの変更契約を締結しており、下記の⑤⑥の財務制限条項が追加されております。
⑤ 2023年11月末日時点及びそれ以降の毎月末日時点における連結貸借対照表に記載される現金及び預金の合計金額を、3億円以上に維持すること。
⑥ 2023年11月及びそれ以降の毎月末日における単月の連結の営業損益の実績が貸付人に提出した計画を下回らないこと。
なお、新たにシンジケートローン契約を締結し、2024年5月15日にリファイナンスを実行しております。
このリファイナンスの詳細につきましては、連結財務諸表「注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
(8)継続企業の前提に関する注記について
当社グループは、前連結会計年度において、当社グループの流動比率(=流動資産/流動負債)が61%となったことに加え、営業損失17億17百万円、経常損失15億48百万円、親会社株主に帰属する当期純損失19億96百万円を計上しました。また、当連結会計年度においては、流動比率が76%まで改善したものの、営業損失10億27百万円、経常損失12億16百万円、親会社株主に帰属する当期純損失16億円を計上し、5期連続で営業損失、経常損失、8期連続で通期の親会社株主に帰属する当期純損失を計上する状況となっております。これらのように当社グループには、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しております。
このような事象又は状況を解消するために、当社グループでは2022年下期以降、「Reborn計画」における全方位的な構造改革の下で収益構造の改善及び資本の増強を喫緊の経営課題と捉えて取り組んでおります。
まず収益構造の改善におきましては、店舗別の収益構造から強化店舗、撤退店舗を区分けし、経営資源の効率的な投下に向けて構造的体質改善を行います。さらに既存ブランド事業の進化形態として多様なニーズに対応した新業態事業モデルであるReborn計画店舗の出店を拡大しております。サマンサタバサ事業においては、新業態店舗であるReborn計画店舗の拡大を進めるとともに、ブランド&デザインの一元化を行うことで、販売面での世代別マーケティングを強化いたしました。加えて、高級素材を用いた本革製品の構成比を従来の15%前後から30%超に押上げ客単価の向上に奏功し、さらに戦略的ブランドパートナー企業との協業を加速し実店舗並びにECでの販売を拡大するなど、新たなる市場領域を通じて売上高向上に向けた諸施策を推進しております。また、製造原価低減への取り組みとともに品質向上のために、点在していた中国の製造拠点をブランド別に2拠点に集約し、専用化ラインの契約と生産開始を行うとともに、ASEAN地域での生産拠点化にも取り組む一方、本革製品の構成比が急速に向上されたことに対応して子会社工場を中心に国内での生産力の向上に努めております。さらには高コスト化が大きな課題であった従来の配送管理と店着物流において、ロジスティクス総合化計画に取り組んでおり、従来の関東エリアの5拠点に点在していた物流倉庫を、新物流センター(名称:「サマンサタバサグループロジテックセンター」)に移転統合を行い、IT化で支援した保管と配送の効率化により大きく改善するとともに、「店着物流」の合理化と効率化を行い、2024年度問題も視野に入れて物流構成比の削減に取り組んでおります。
フィットハウス事業におきましては、これまでの郊外ロードサイド単店舗型の事業構造から、ショッピングモール内での新たなReborn計画店舗業態を開発し、今下期よりテスト店舗でのゾーニング化とMDプランの実証実験を行いながら、業態開発店舗の出店を開始しております。
以上の取り組みにより、業績を改善してまいります。
一方で、当社の資産効率の向上と手元資金の確保を目途として、当社保有の有形固定資産の売却に関しまして、今後も適時に進めてまいります。
これら事業構造改革を着実に実行するために、各本部の責任者に執行役員を配置することにより、業務推進の責任体制、更には組織・人事改革を推し進めております。
全社員が高いモチベーションを維持し、日々の業務に取り組める就労環境の改善整備を進めるとともに、行動指針である「3つの一手間かけた思いやり」を実行実現することで、お一人お一人のお客様をお迎えする環境をつくっております。
財務面におきましては、2023年5月30日開催の当社定時株主総会にて株主の皆様からのご承認を受けまして、株式会社コナカ(当社親会社)を引受先とする18億円のA種種類株式の発行と減資等の実施、並びに有形固定資産の譲渡の実施により、資本増強と資本構成の最適化を図り、株式会社コナカからの新規の借入も受け、「Reborn計画」の確実な実行のための資金調達を行っております。今後も引続き、保有不動産の売却により借入金の返済を進めるとともに、ご支援頂いております取引金融機関や親会社に対しましては、既存の借入金の返済期限の延長など、引き続きご支援を頂くことにより、さらなる財務体質の改善に取り組んでまいります。これらの対応策に加え、当社は(重要な後発事象)に記載のとおり、2024年4月10日開催の取締役会において、2024年5月29日開催予定の当社定時株主総会での承認可決を条件として、当社は株式会社コナカ(当社親会社)との株式交換による経営統合について決議いたしました。またそれに先立ち、当社普通株式は2024年6月27日付で上場廃止になる見込みであります。当社グループでは、コナカ社との経営統合を前提とし、見込まれる相乗効果からなる収支改善に加え、管理部門や上場維持コストの削減を図るとともに、事業戦略へ経営資源を集中させることにより、収益力の改善に努めてまいります。
しかしながら、これらの対応策は実施途上であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、当連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を当連結財務諸表に反映しておりません。
(9)実質的存続性審査について
当社は2020年7月20日に「「合併等による実質的存続性の喪失」に係る猶予期間入りに関するお知らせ」を公表し、株式会社東京証券取引所より、当社が実質的な存続会社ではないと認められるとの指摘から、有価証券上場規程第601条第1項第9号aの規定により、同日付で、合併等による実質的存続性の喪失に係る猶予期間入り(猶予期間は2020年7月21日から2024年2月29日まで)を公表いたしました。当期(2024年2月期)末に期限を迎えるにあたり、当社は審査に向けて社外ファイナンシャル・アドバイザーを採用し、市場への上場基準に照らし、実質基準の充足に向け準備を進めてまいりましたが、猶予期間終了日である2024年2月29日までに適合審査の申請を行う事は現実的に困難であるとの判断に至りました。
このような状況を踏まえ、2024年4月10日に「株式会社コナカと株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの株式交換による経営統合に関する最終合意について」を公表し、本件株式交換の効力発生日(2024年7月1日予定)に先立ち、当社の普通株式は、株式会社東京証券取引所グロース市場において、2024年6月27日付で上場廃止(最終売買日は2024年6月26日)となる予定です。
(10)流通株式比率について
当社は、株式会社東京証券取引所の市場区分の見直しに関して、2021年12月24日付にてグロース市場を選択する申請書を提出し、同日、移行基準日時点(2021年6月30日)において、「株式流通比率流通株式比率」については当該市場の上場維持基準を充たしていないことから、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成し2024年2月末を計画期間と定め、上場維持基準を充たすために各種取組を進める旨を公表いたしており、2023年5月31日に「上場維持基準への適合に向けた計画に基づく進捗及び計画期間の変更」を公表しております。
当社の2024年2月29日時点におけるグロース市場の上場維持基準への適合状況は、流通株式比率について基準に適合しておりません。
このような状況を踏まえ、2024年4月10日に「株式会社コナカと株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの株式交換による経営統合に関する最終合意について」を公表し、本件株式交換の効力発生日(2024年7月1日予定)に先立ち、当社の普通株式は、株式会社東京証券取引所グロース市場において、2024年6月27日付で上場廃止(最終売買日は2024年6月26日)となる予定です。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、第1四半期連結会計期間中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が5類感染症へ移行し、人々はかつての日常を徐々に取り戻す一方、資源・エネルギーを含む仕入価格の高止まり、深刻な人手不足による人件費の高騰、政策の後押しも受けた賃金上昇期待の高まりなど、これまで体感することができなかった新たな局面への転換・移行も余儀なくされる中で、当連結会計年度末を迎えました。
当社グループが属するファッション・アパレル業界においては、社会経済活動の正常化が進んだことによる外出機会の増加が個人消費を拡大させる後押しとなりました。また円安によるインバウンド需要の回帰も見られるなどコロナ禍以前の消費水準にはまだ届かないものの消費の伸びが見られました。一方で、コロナ禍によって変容した人々のライフスタイルにより消費行動や消費構成が変化しており、販売チャネルの多様性が求められるなど、より一層の対応と工夫が求められる市場になりつつあります。
このような状況のもと、当社グループは「心を一つに!一手間かけた思いやり」を行動規範として、全方位的な構造改革(Reborn計画)を推進しております。サマンサタバサ事業においては、新業態店舗であるReborn計画店舗の拡大を進めるとともに、ブランド&デザインの一元化を行うことで、販売面での世代別マーケティングを強化いたしました。加えて、高級素材を用いた本革製品の構成比を従来の15%前後から30%超に押上げ客単価の向上に奏功し、さらに戦略的ブランドパートナー企業との協業を加速し実店舗並びにECでの販売を拡大するなど、新たなる市場領域を通じて売上高向上に向けた諸施策を推進しております。また、製造原価低減への取り組みとともに品質向上のために、点在していた中国の製造拠点をブランド別に2拠点に集約し、専用化ラインの契約と生産開始を行うとともに、ASEAN地域での生産拠点化にも取り組む一方、本革製品の構成比が急速に向上されたことに対応して子会社工場を中心に国内での生産力の向上に努めております。さらには高コスト化が大きな課題であった従来の配送管理と店着物流において、ロジスティクス総合化計画に取り組んでおり、従来の関東エリアの5拠点に点在していた物流倉庫を、新物流センター(名称:「サマンサタバサグループロジテックセンター」)に移転統合を行い、IT化で支援した保管と配送の効率化により大きく改善するとともに、「店着物流」の合理化と効率化を行い、2024年度問題も視野に入れて物流構成比の削減に取り組んでおります。
フィットハウス事業におきましては、これまでの郊外ロードサイド単店舗型の事業構造から、ショッピングモール内での新たなReborn計画店舗業態を開発し、今下期よりテスト店舗でのゾーニング化とMDプランの実証実験を行いながら、業態開発店舗の出店を開始しております。
以上の取り組みにより、業績を改善してまいります。
当連結会計年度の店舗展開につきまして、店舗数は下記のとおりであります。
ブランド事業別店舗数 (単位:店舗)
|
|
合計 |
内訳 |
|||||
|
(Reborn) |
(バッグ) |
(ジュエリー) |
(アパレル) |
(その他) |
(海外) |
||
|
前連結会計年度末 |
270 |
― |
131 |
29 |
44 |
40 |
26 |
|
(出店) |
19 |
13 |
― |
― |
2 |
1 |
3 |
|
(退店) |
64 |
― |
41 |
10 |
1 |
11 |
1 |
|
(増減) |
△45 |
13 |
△41 |
△10 |
1 |
△10 |
2 |
|
当連結会計年度年度末 |
225 |
13 |
90 |
19 |
45 |
30 |
28 |
当連結会計年度の店舗数は、国内バッグ事業で103店舗(内Reborn計画店舗13店舗)、海外バック事業で28店舗、ジュエリー事業で19店舗、アパレル事業で45店舗、その他事業で30店舗となります。期首270店舗から45店舗純減(内Reborn計画店舗への移行に伴う閉店は22店舗)し、総店舗数は225店舗となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は227億24百万円(前年度比10.0%減)、営業損失は10億27百万円(前年度は17億17百万円の損失)となりました。売上高につきましては、不採算店舗からの撤退並びに全体的なお客様来店数の減少傾向の中、インバウンド需要の取り込み、季節対応型商品企画の本格投入などの巻き返しを図りました。一方、「Reborn計画」に基づく全方位的な構造改革の結果、売上原価は対前年度実績比11.9%減、販売費及び一般管理費合計は対前年度実績比11.8%減など固定費の低減に成功し、営業損失の縮小に努めました。
経常損失は12億16百万円(前年度は15億48百万円の損失)となりました。営業外収益に不動産賃貸料94百万円、為替差益68百万円、受取保険金39百万円、受取利息23百万円などを、営業外費用に支払利息133百万円、2023年5月31日付A種種類株式の発行諸費用である株式交付費214百万円、浸水被害に伴う災害による損失33百万円などを計上したことによるものであります。
これらの結果、税金等調整前当期純損失は15億84百万円(前年度は21億17百万円の損失)となりました。Reborn計画に基づき、資産効率の向上策として固定資産の売却、収益構造の改善策として店舗業態の転換や不採算店舗からの撤退などを行った結果、特別利益に固定資産売却益4億92百万円、関係会社清算益41百万円、特別損失に固定資産除却損13百万円、店舗閉鎖損失35百万円、そして既存店舗や全社資産において減損の兆候が見られることから固定資産減損損失8億54百万円を計上したことによるものであります。
親会社株主に帰属する当期純損失は16億円(前年度は19億96百万円の損失)となりました。法人税、住民税及び事業税26百万円、法人税等調整額△82百万円並びに非支配株主に帰属する当期純利益71百万円を計上したことによるものであります。
なお、当社グループは「ファッションブランドビジネス」の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を行っておりません。
また、当社は2024年4月10日付公表「株式会社コナカと株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの株式交換による経営統合に関する最終合意について」のとおり、2024年5月29日開催予定の定時株主総会での承認可決及びその他必要要件が充足されることを条件に、2024年7月1日より株式会社コナカの完全子会社に、またそれに先立ち、当社普通株式は2024年6月27日付で上場廃止になる見込みであります。
② 財政状態の状況
(資産)
総資産は137億23百万円であり、前連結会計年度末と比較して26億30百万円減少しております。主な要因は、商品及び製品が10億20百万円、建物(純額)が3億84百万円、土地が8億5百万円、ソフトウェアを含む無形固定資産が2億99百万円、差入保証金が3億21百万円減少したことなどによるものであります。
(負債)
総負債は129億71百万円であり、前連結会計年度末と比較して29億3百万円減少しております。主な要因は、1年内返済予定長期借入金が26億65百万円、短期借入金が5億83百万円、未払費用が4億77百万円、支払手形及び買掛金が1億21百万円、賞与引当金が88百万円減少した一方、長期借入金が13億円、その他固定負債が83百万円増加したことなどによるものであります。
(純資産)
純資産は7億51百万円であり、前連結会計年度末と比較して2億72百万円増加しました。主な要因は、2023年5月31日付A種種類株式発行等により18億円の資本増強の一方、親会社株主に帰属する当期純損失16億円の計上によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、1億82百万円減少し、18億6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、6億37百万円となりました。主な減少要因は、税金等調整前当期純損失15億84百万円、賞与引当金の減少額88百万円、未払費用の減少額5億82百万円、仕入債務の減少額2億21百万円、固定資産売却益4億92百万円、その他63百万円などによるものであり、主な増加要因は、減価償却費3億31百万円、減損損失8億54百万円、固定資産除却損48百万円、棚卸資産の減少額10億64百万円、売上債権の減少額1億88百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、8億8百万円となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出6億52百万円、無形固定資産の取得による支出3億3百万円、定期預金の純増額1億8百万円、敷金及び保証金の差入による支出1億67百万円、主な増加要因は、有形固定資産の売却による収入18億54百万円、敷金及び保証金の回収による収入1億83百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3億74百万円となりました。主な減少要因は、短期借入金の純減額5億83百万円、長期借入金の返済による支出13億64百万円、主な増加要因は、株式の発行による収入15億85百万円よるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
バッグ |
5,834 |
△4.8 |
|
ジュエリー |
526 |
△61.6 |
|
アパレル |
2,046 |
△9.5 |
|
その他 |
1,055 |
△13.1 |
|
合計 |
9,464 |
△13.8 |
(注)1 金額は、仕入価格の金額によっております。
(b)受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
バッグ |
13,610 |
△10.1 |
|
ジュエリー |
1,659 |
△26.6 |
|
アパレル |
5,140 |
△6.3 |
|
その他 |
2,313 |
△1.7 |
|
合計 |
22,724 |
△10.0 |
(注)1 その他には、「サマンサタバサNEXT PAGE」「サマンサゴルフ」などの販売が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準により作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして経営者による会計方針の採用、資産・負債及び収益・費用の計上については会計基準及び実務指針等により見積りを行っております。この見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
(売上高及び売上総利益)
売上高は、不採算店舗からの撤退並びに全体的なお客様来店数の減少傾向の中、インバウンド需要の取り込み、季節対応型商品企画の投入を実施し、227億24百万円(前年度比10.0%減)となりました。
売上総利益は、前連結会計年度に比べて10億93百万円減少し122億67百万円(前年度比8.2%減)となり、売上高に対する比率は52.9%から53.9%と1.0ポイントの増加となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて17億83百万円減少し132億94百万円(前年度比11.8%減)となり、売上高に対する比率は59.7%から58.5%と1.2ポイントの減少となりました。主な要因は、不採算店舗からの撤退における、店舗経費(人件費・賃料等)の減少などであります。
この結果、営業損失は10億27百万円(前年度は17億17百万円の損失)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べて1億32百万円減少し2億45百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度に比べ2億25百万円増加し4億34百万円となりました。
この結果、経常損失は12億16百万円(前年度は15億48百万円の損失)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、固定資産売却益の計上により534百万円となりました。
特別損失は、店舗等の固定資産の減損損失8億54百万円など合計9億3百万円を計上しました。
その結果、税金等調整前当期純損失15億84百万円(前年度は21億17百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失16億円(前年度は19億96百万円の損失)となりました。
(b)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は86億32百万円で、前連結会計年度末に比べ9億33百万円減少しております。主な要因は、商品及び製品が10億20百万円減少したことなどによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は50億91百万円で、前連結会計年度末に比べ16億96百万円減少しております。主な要因は、減損等により有形固定資産が10億81百万円、無形固定資産が2億99百万円、投資有価証券の売却等により投資その他の資産が3億14百万円減少したことなどによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は113億7百万円で、前連結会計年度末に比べ42億85百万円減少しております。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が26億65百万円、短期借入金が5億83百万円、未払費用が4億76百万円減少したことなどによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は16億64百万円で、前連結会計年度末に比べ13億82百万円増加しております。主な要因は、長期借入金が13億円増加したことなどによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は7億51百万円で、前連結会計年度末に比べ2億72百万円増加しております。主な要因は、株主資本が1億99百万円、非支配株主持分が1億7百万円増加したことなどによるものであります。
(c)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(d)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(e)経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(f)資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、出店等の設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
シンジケートローン契約締結に伴う借入金の財務制限条項については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は107億30百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、18億6百万円となっております。
(g)経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重要と考えております経営指標(KPI)は、売上高営業利益率であります。当該KPIを採用した理由は、当社は事業規模の拡大とともに利益率の向上を目標としており、その推進をする上で重要な指標と考えているためです。当連結会計年度は営業損失10億27百万円となりましたが、企業価値を継続的に拡大し、利益率の向上を目指してまいります。
(1)A種種類株式の引受契約の締結
当社は、2023年5月30日付定時株主総会決議により、株式会社コナカ(当社親会社)を引受先とする18億円の優先株式の引受契約を締結し、2023年5月31日付で同社に対してA種種類株式18株を発行しております。
(2)親会社からの借入
①当社は、2023年10月26日開催の取締役会決議により、2021年11月30日付金銭消費貸借契約及び2022年7月29日付変更覚書について、主に以下の内容変更に関する覚書を締結しております。
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借入残高 |
1,300百万円 |
|
返済期限 |
2025年10月31日へ変更 |
②当社は、2023年11月14日開催の取締役会決議により3億円を、2023年12月14日開催の取締役会決議により2億円並びに4億円を、親会社から資金の借入をしております。
・借入の理由
運転資金確保のため
・借入の概要
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借入先 |
株式会社コナカ |
||
|
借入金額 |
300百万円 |
200百万円 |
400百万円 |
|
返済方法 |
期限一括 |
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|
借入実施日 |
2023年11月14日 |
2023年12月14日 |
2023年12月14日 |
|
返済期限 |
2024年6月27日(注) |
2024年6月27日(注) |
2024年6月27日 |
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借入金利 |
変動金利(短期プライムレート) |
||
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担保の有無 |
無 |
||
(注)2024年3月19日開催の取締役決議をもとに、返済期限を2024年3月19日から2024年6月27日へ延長する旨の変更契約を締結しております。
(3)シンジケートローン契約並びに保証契約の締結
①当社は、2020年10月27日付の株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約について変更契約を締結しております。2024年3月26日付第八変更契約の主な内容は、以下のとおりであります。
トランシェA
|
借入残高 |
5,014百万円 |
|
返済期限 |
返済期限を2024年4月30日に変更 |
トランシェB
|
借入残高 |
2,509百万円 |
|
返済期限 |
返済期限を2024年4月30日に変更 |
トランシェC
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借入残高 |
1,585百万円 |
|
返済期限 |
返済期限を2024年4月30日に変更 |
(注)借入金の責務に関し財務制限条項が追加されております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(追加情報)(財務制限条項)をご参照下さい。
②当社は、2024年3月29日開催の取締役会決議により、シンジケートローン契約の2024年4月30日までの期限延長等に関する第八変更契約の締結に伴う銀行からの融資継続の条件となる株式会社コナカからの債務保証について、下記の銀行借入に対する保証契約を締結しております。
記
債務者 :株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド
保証債務 :2020年10月27日付の株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約に基づく借入債務
保証限度額:4,100 百万円
保証期間 :2024年3月29日から2024年4月30日
保証先 :株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社りそな銀行、株式会社横浜銀行
③当社は、2024年5月13日付で株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結いたしました。
・シンジケートローン契約締結の理由
事業展開における資金需要に対して、安定的かつ機動的な資金調達体制の構築、既存借入金のリファイナンスを目的として契約を締結するものであります。
・シンジケートローン契約の概要
|
アレンジャー |
株式会社三井住友銀行 |
|
コ・アレンジャー |
株式会社みずほ銀行 |
|
参加金融機関 |
株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行 株式会社りそな銀行、株式会社横浜銀行 |
|
契約締結日 |
2024年5月13日 |
トランシェÅ
|
組成金額 |
2,048百万円 |
|
適用利率 |
TIBOR+1.0% |
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実行日 |
2024年5月15日 |
|
最終弁済期日 |
2026年5月29日 |
|
保証内容 |
株式会社コナカによる保証 |
トランシェB
|
組成金額 |
2,309百万円 |
|
適用利率 |
TIBOR+1.0% |
|
実行日 |
2024年5月15日 |
|
最終弁済期日 |
2026年5月29日 |
|
保証内容 |
株式会社コナカによる保証 |
トランシェC
|
組成金額 |
2,957百万円 |
|
適用利率 |
TIBOR+1.0% |
|
実行日 |
2024年5月15日 |
|
最終弁済日 |
2026年5月29日 |
|
保証内容 |
不動産(土地・建物)、商品 |
・財務制限条項
上記の契約については、財務制限条項が付されており、下記の条項に抵触した場合、本契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。
・各四半期累計期間における連結の経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を計画値の90%以上に維持すること
(4)固定資産の譲渡
当社は、取締役会決議により、経営資源の有効活用のため、当社所有の固定資産の譲渡を決議し、譲渡契約書を締結しております。
・譲渡の理由
運転資金確保のため
・譲渡資産の内容
|
所在地 |
静岡市清水区長崎南町 |
静岡県沼津市沢田 |
東京都八王子市鑓水 |
|
資産の概要 |
土地(宅地) 建物(鉄骨造合金メッキ鋼板葺3階建・2階建) |
||
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譲渡価額 |
(譲渡先の意向により開示を控えさせていただきます) |
||
|
帳簿価額 |
(譲渡先の意向により開示を控えさせていただきます) |
||
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譲渡益 |
391百万円 |
82百万円 |
452百万円 |
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決済方法 |
銀行振込 |
銀行振込 |
銀行振込 |
・相手先の概要
譲渡先は、国内法人ではありますが、譲渡先の意向により開示を控えさせていただきます。その他、当社と譲渡先の間に資本関係、人的関係、取引関係及び関連当事者として特記すべき事項はありません。
・譲渡日程
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取締役会決議日 |
2023年10月13日 |
2023年12月12日 |
2024年5月17日 |
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契約締結日 |
2023年10月13日 |
2023年12月15日 |
2024年5月21日 |
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物件引渡期日 |
2024年2月29日 |
2024年2月21日 |
2024年8月26日 |
(5)株式交換による経営統合
2024年4月10日開催の取締役会において、2024年5月29日開催の当社定時株主総会での承認可決を条件として、当社は株式会社コナカ(当社親会社)との株式交換による経営統合(下記)を決議いたしました。
①株式会社コナカ(当社親会社)を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換をすること
②事業年度の変更にかかる定款の一部変更を行うこと(以下「本定款変更」といいます。)
③2024年5月29日開催予定の当社定時株主総会に、株式交換および本定款変更に係る各議案を付議すること
なお、2024年5月29日開催の当社定時株主総会において上記経営統合は承認可決されております。
該当事項はありません。