文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「びっくりするほど良い商品で、世界のQOLを1%上げる」というミッションを掲げ、それを実現するために、「日本を代表する次世代のグローバルメーカーになる」というビジョンを定めております。
特に、自社オリジナルブランドの健康美容商品等の開発及び販売においては、以下3つの強みを活かし、高い収益性を維持しながら、お客様の立場に立ち、お客様のお悩みを解決する「一生使い続けるモノづくり」を実践し続けることで、長期的な成長・発展を目指しております。
①ブームに左右されない確かな商品品質
②品質に裏付けられた「必ずリピートしたくなる」定期購入制度
③徹底的なテストマーケティング
今後も創造性や独創性を大切にする人間成長企業として、お客様、株主、取引先、従業員等あらゆるステークホルダーとの共存共栄を目指すとともに、法令を遵守し、公正かつ透明で堅実な経営を行ってまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業の安定性を重視し、自己資本比率を重要な経営指標としながら、自己資本当期純利益率(ROE)についても極めて重要な指標であると考えております。また、現在は成長段階であり、株主の成長期待に応えるべく、売上高成長率、売上高営業利益率をも意識した経営に取り組んでまいります。
(3)経営環境
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが5類感染症へと移行されたことでコロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む一方、不安定な世界情勢の長期化や物価上昇等により、景気の先行きは未だ不透明な状況が続いております。
主要事業を展開するEC市場につきましては、2023年8月31日に経済産業省が公表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、2022年の日本国内における物販系分野のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は13.9兆円(前年比5.4%増)まで拡大し、引き続き大きな成長を示しております。これまで当社グループは、BtoC-EC市場の拡大とともに、一般消費者向けに自社オリジナルブランドの商品を、徹底した利益管理とデジタルマーケティングにより販売し、成長を遂げてまいりました。今後も拡大が見込まれるBtoC-EC市場は、一層の競争激化を予想させると同時に、当社グループのさらなる成長の機会であり、より一層の業容拡大を推進するため、今後も高品質・高付加価値な商品を継続的に開発し、市場に投入できる体制を強化していくことが必要であると認識しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は「びっくりするほど良い商品で、世界のQOLを1%上げる」ことを果たすべき使命(Mission)として掲げており、「日本を代表する次世代のグローバルメーカーになる」ことを企業の目指す姿(Vision)として位置付けております。
上記の実現を通じて中長期的に企業価値を向上させていくにあたり、当社が優先的に対処すべき課題(①~⑥)を重要課題(マテリアリティ)として設定し、この解決を通じて事業の拡大と持続可能な企業活動を目指します。
① お客様のQOL(Quality Of Life)向上
当社グループの主要な事業であるヘルス&ビューティーケア関連事業は、定期顧客からの売上が全体の売上の多くを占めており、今後の安定的な収益確保のためには、顧客満足度の追求を通じた「お客様のQOL向上」が必要不可欠と考えております。具体的には、商品の魅力をより理解していただくことを目的とした販売サイト及び商品同封物等の改良や、アフターサポートサービスの向上を通じて、さらなる顧客満足度の向上を推進し、継続的な関係構築を目指してまいります。
② 組織の持続的成長
当社グループの競争優位性を構成する重要な要素として、人的資本の戦略的活用を位置付けており、組織の持続的成長のため優秀な人材の確保及び育成に注力しております。具体的には即戦力となる経験者採用を強化するとともに、能力の向上を目的とした社内研修や外部から講師を招いた研修を行う等、全従業員が一層スキルアップできるよう取り組んでおります。
また、組織の拡大に向けては実務担当者を指揮する中間マネジメント層の人員強化が必要不可欠であると考えております。今後も、マネジメント職としての経験を有した人材の中途採用や、社長及び取締役の直接指導による中間マネジメント層の育成を図るとともに、連結子会社も含めた組織体制の強化に取り組んでまいります。
③ お客様を守るための情報セキュリティ管理
当社グループは、個人情報を含む多くの機密情報を保有しており、お客様が安心して利用できるようにサイトの安全性や信頼性を継続的に強化していくことが必要であると考えております。今後もシステムを安定的に稼働させ、問題が発生した場合には適時に解決できるよう、引き続きシステムの安定性確保及び効率化、情報管理体制の強化に取り組んでまいります。
④ サステナブルな商品開発
ヘルス&ビューティーケア関連事業の商品開発においては、価値観の多様化による消費者ニーズの変化や商品ライフサイクルの短縮化、急速な技術革新や購買行動・流通構造の変化による経営環境の変化、競合商品との競争激化等が業績に大きな影響を与えることを認識しております。これらに対応した商品を開発するため、お客様との接触で得る情報を最大限に活かすとともに、開発商品ジャンルの拡大、商品開発スピードの向上、商品開発の判断基準となる市場調査方法のブラッシュアップ等に努めてまいります。
また、こうした商品開発の過程における環境に配慮した原料の使用や製品設計、廃棄物の削減等についても重要な経営課題と認識し、持続可能な社会の実現に資する商品開発に取り組んでまいります。
⑤ サプライチェーン全体での環境負荷軽減
製品製造からお客様の消費に至るまでの全工程で、廃棄物削減や持続可能な資源の確保、環境へ配慮した商品開発等の取り組みを行ってまいります。こうした取り組みを通じてサプライチェーン全体での環境負荷軽減を目指し、その結果として関連する非財務情報の開示の充実にも努めてまいります。
⑥ 持続可能な事業活動基盤の構築
当社グループは、内部統制、リスク管理、コンプライアンス、開示情報統制が充分に機能したコーポレート・ガバナンス体制を構築することが経営上の重要な課題と認識しております。今後も公正性・効率性を追求しながら、健全で透明性のある経営に努めるとともにアカウンタビリティー(説明責任)を果たしてまいります。
こうした体制の構築に加え、当社グループのさらなる成長に向けた収益機会の創出、具体的には既存事業の成長に加えシナジー効果の期待できる企業のM&A等を通じた事業領域の拡大が必要と考えております。引き続き当社グループの個々の強みを活かし連携を強めていくとともに、M&A等を通じた成長の加速及び収益基盤の多角化に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(サステナビリティに関する基本方針)
当社グループは、「びっくりするほど良い商品」で美容と健康の観点から世界のQOL向上を目指します。
その過程でステークホルダーと共に、環境課題・社会課題に対して責任を持って企業活動を行い、サプライチェーン全体で持続可能な社会を実現します。
(1)ガバナンス
当社は、常務取締役管理部管掌兼人事総務部長を中心とした全社横断メンバーから構成されるプロジェクトを立ち上げ、持続可能な社会の実現への貢献と当社の持続的成長の実現を目指し、サステナビリティに関する活動を推進・強化しております。
また、当社の取締役会は、定例取締役会を毎月1回、また必要に応じて臨時取締役会を開催しており、当社グループの経営の基本方針、経営上の重要事項の審議並びに決定、業務施策の進捗状況の確認等、重要な意思決定機関として機動的な運営を行っております。同プロジェクトで推進するサステナビリティに関する重要事項についても、取締役会で審議・決議しており、取締役会が適切に管理・監督を行う体制を整えております。
(2)戦略
①人的資本
当社は、組織の持続的成長のため人材の多様性の確保及び育成に注力しております。
性別や年齢、国籍等にかかわらず、多様な従業員一人ひとりの活躍を支援し、働きがいをもって能力を最大限に発揮できる環境づくりを目指しており、多様な人材の登用を進めております。当社ではキャリア採用を積極的に行っており、管理職の多くが中途採用者であります。さらに、障がいを有する方・外国籍の方の雇用も適材適所で行っております。なお、当社の人事評価制度は、経歴や国籍等の属性によらない評価基準に基づき適切に行っているほか、休暇制度や福利厚生の拡充等、従業員にとって働きやすい環境の整備にも努めております。
加えて、能力の向上を目的とした社内研修や外部から講師を招いた研修を行う等、全従業員が一層スキルアップできるよう育成環境の整備にも取り組んでおります。
今後も、多様な人材の採用、様々な教育機会の提供を通じた従業員の育成、社会環境の変化に適応した社内制度や労働環境の整備等を通じ、多様性の確保に努めてまいります。
②環境への配慮
当社は通信販売によって顧客に商品をお届けしており、環境配慮に努めております。
商品のパッケージや包装資材、配達時の梱包資材等において環境配慮型の素材を採用するようにしているほか、お客様にお送りする全ての商品のパッケージや配送箱等について持続可能な資源を利用することを基本として、FSC®認証紙の採用を進めております。
また、廃棄物削減のため自社開発の在庫予測システムを導入し、最適な生産量と在庫量を算出することで在庫過多にならず、商品の売れ残りとその廃棄を削減しております。さらに、ポストに投函可能な商品設計によって再配達防止にも取り組んでおり、顧客の負荷軽減に加えて地球環境の負荷低減も可能な取り組みを推進しております。
(3)リスク管理
当社は、「リスク管理規程」に基づき、毎月開催される経営会議において、サステナビリティに関するリスクを含む事業運営全般に内在するリスクの把握、分析、評価を定期的に行い、リスク回避策及び損失を最小限に留めるための対策の実施方針を決定しております。高度に専門的な検討を要すると考えられるリスクについては外部専門家等から意見を求めることとしており、重要なリスクについては適宜取締役会に報告し、リスクに対する管理・監督機能の強化を図っております。
(4)指標及び目標
当社では、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
なお、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
管理職に占める女性労働者の割合 |
2027年2月までに30.0% |
33.3% |
男性労働者の育児休業取得率 |
2027年2月までに70.0% |
66.7% |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。これらの事業等のリスクに対して、当社グループでは法令遵守及びリスク管理を目的として「コンプライアンス規程」や「リスク管理規程」を制定するとともに、原則月1回開催される経営会議において、内在するリスクの把握・分析・評価を行い、リスク回避策及びその影響を最小限にするための具体的な施策を検討しております。
なお、文中の将来に関する事項は、特に断りが無い限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)特に重要なリスク
① 法的規制について
当社グループの事業領域においては、「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」、「食品安全基本法」、「食品衛生法」、「日本農林規格等に関する法律(JAS法)」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「製造物責任法(PL法)」、「健康増進法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」、「放送法」等の法的規制の適用を受けております。こうした法令に違反する行為があった場合、若しくは将来的に法令の変更や新たな法令の施行等があった場合、計画どおりの事業活動を行うことができず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後、インターネット等の利用者及び関連業者を対象とした法的規制が新たに制定され、これにより当社グループの主要事業であるヘルス&ビューティーケア関連事業の業務の一部が制約を受けるような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、経営会議においてコンプライアンス及びリスク管理について把握・統制し役職員に対するコンプライアンスの周知徹底や教育の実施、法的規制や制度改正等の情報収集の徹底、必要に応じた外部専門家の活用等を通じてリスクの低減に努めております。
② システムリスクについて
当社グループの事業はコンピュータシステム及びインターネットを活用しており、何らかの原因によるサーバ等への一時的な過負荷や外部からの不正な手段によるサーバへの侵入、役職員の過誤によるシステム障害が発生する可能性があります。これらの障害が発生した場合、一時的な受注業務及び配送業務の停止等により事業活動を行うことができず、さらに当社グループのシステムに対する信頼が損なわれることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、セキュリティ対策の強化を図るとともに、重要データのバックアップ体制を構築する等、リスクの低減に努めております。
③ 個人情報管理について
当社グループは、個人情報を取得し保有しております。何らかの原因により個人情報が外部に漏洩するような事態が発生した場合には、当社グループに対する信用力の低下に直結し、既存顧客の解約や新規顧客獲得の低下に繋がる可能性があります。また、個人情報の漏洩による損害に対する賠償を請求されることも考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、個人情報の保護に関する法律等の関連諸法令を遵守し、当社はプライバシーマークを取得しております。また、個人情報保護規程等を整備し、個人情報管理に関するシステムのセキュリティ対策を講ずるとともに、全役職員を対象とした教育研修を実施して、個人情報保護及び適正管理に努めております。
④ 食品及び美容商品の安全性について
当社グループは食及び美容に携わる企業として、食品及び美容商品の衛生管理、品質管理には、十分な注意を払っておりますが、万一食品及び美容商品の安全性等でトラブルが発生した場合、また、その対応に不備があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、関連する法令を遵守するとともに、約800項目にもわたる独自の品質チェック基準の設定等を通じてリスクの低減に努めております。
⑤ 物流業務の外部委託について
当社グループのヘルス&ビューティーケア関連事業は、商品の保管、入出庫、配送等に係る業務の全部又は一部を外部業者へ委託しております。しかしながら、地震やその他不可抗力等、仮に何らかの理由により委託先からのサービスの提供の中断・停止が生じた場合、また委託先との契約内容の変更や値上げ要求等により、当社グループの業務運営上何らかの影響が生じ、かつ当社グループがこれに対し適切な対応ができない場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、地震等が発生した際の対応体制整備のため各拠点の分散化や、外部業者との良好な取引関係の構築等を通じてリスクの低減に努めております。
⑥ 人材の確保及び育成について
当社グループは、人材が当社グループの成長を支えている最大の要因であると認識しており、年々激しくなる競争の中でさらなる成長を継続的に実現するためには、ポテンシャルの高い優秀な人材の確保及び育成が重要であります。今後も高い専門性及びポテンシャルを持ったプロ人材の計画的な確保や育成に努めてまいりますが、適切な人材を確保・育成できない場合、計画どおりの事業活動を行うことができず、当社グループの事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、十分な採用予算の確保、採用方法の拡充、組織体制の見直し、社内研修や外部講師研修を通じた教育体制の強化等を通じてリスクの低減に努めております。
⑦ 新規商品開発について
当社グループのヘルス&ビューティーケア関連事業では、新たな需要を喚起し今後の業績拡大に大きな影響を与える新規商品の開発に注力する方針であります。それに従い、継続的に開発投資を行うとともに、計画に基づき効果的かつ効率的な開発活動を行っておりますが、開発期間が長期にわたる場合、商品化基準を満たせず商品化できない場合、商品化の後も不確実な要因によりお客様に受け入れられない場合等、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、商品開発体制の強化、開発商品ジャンルの拡大、海外を含めたOEM先の選定、商品発売時における販売方法の見直し等を通じてリスクの低減に努めております。
(2)重要なリスク
① 競合の激化による業績変動について
当社グループのヘルス&ビューティーケア関連事業はECでの商品販売を行っておりますが、参入障壁が低いために競合がますます激しくなることが予想されます。また、消費者による購買行動が従来の実店舗からECへと切り替わってきたことで、EC分野への新規参入も相次いでおり、今後競争が一層激化した場合には、商品が価格競争に陥ることとなり収益力が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、他社との競合を避けるため自社オリジナルブランド商品の販売、品質最重要視主義に基づく圧倒的な商品力、開発者としての専門知識をベースとした社内専門スタッフによる顧客サポートを通じた顧客満足度の向上を図り、リスクの低減に努めております。
② 生産体制について
当社グループのヘルス&ビューティーケア関連事業では、商品の企画・開発・販売に特化するため、生産についてはすべてを外部に委託するファブレス型のビジネスモデルを採用しております。そのため、委託先の工場において、技術的若しくは規制上の問題、経営悪化、重大事故の発生又は自然災害や国内情勢等の影響により生産ラインに支障が生じた場合には、充分な製品生産能力を確保することができなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクの対応策として、製品ごとに最適な委託先を選定しているほか、委託先の生産能力や生産管理体制に関する事前調査、継続的な情報交換や工場監査、さらに委託先における第二工場の確保等を通じ、リスクの低減に努めております。
③ 知的財産権について
現時点において当社グループは、第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しておりますが、今後も知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
こうしたリスクの対応策として、当社グループが第三者の知的財産権を侵害する可能性について可能な範囲で調査を行っており、必要に応じた外部専門家の活用等を通じ、リスクの低減に努めております。
④ 自然災害等について
当社グループ及び取引先において、想定を超える規模の災害等が発生した場合には、受注処理や出荷業務等の営業活動が停止され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、事業拠点及び物流拠点の分散化により事業の継続性を高めているほか緊急時対応マニュアルの整備等、リスクの低減に努めております。
⑤ 重要な訴訟について
有価証券報告書提出日現在において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、役職員に対するコンプライアンスの周知徹底や教育の実施により、事業運営における各種リスクの低減に努めております。
⑥ M&Aについて
当社グループは、成長の加速及び収益基盤の多様化を進めるにあたり、M&Aを重要な戦略であると認識しており積極的に活用していく方針でありますが、当該M&A後に想定外のリスクが顕在化した場合や、予期し得ない環境変化等により当初期待した効果が得られない場合には、固定資産やのれんの減損損失の計上等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対応策として、対象会社に関するデューデリジェンス及び企業価値や株式価値算出に際しては、外部の専門家を活用し、精度向上に努め、適切な買収プロセス及び適正な企業価値評価に努めてまいります。
⑦ 為替変動について
当社グループのヘルス&ビューティーケア関連事業では、海外への製造委託等の外貨建取引を行っており、急激な為替レートの変動により売上原価等が変動し、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクの対応策として、為替動向に応じた取引数の調整や適切な情報収集、取引先の分散化の検討等により、リスクの低減に努めております。
1.経営成績等の状況の概要
(1)経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが5類感染症へと移行されたことでコロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む一方、不安定な世界情勢の長期化や物価上昇等により、景気の先行きは未だ不透明な状況が続いております。
当社グループの主要市場であるEC市場におきましては、2023年8月31日に経済産業省が公表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、2022年の日本国内における物販系分野のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は13.9兆円(前年比5.4%増)まで拡大し、引き続き大きな成長を示しております。
このような経済状況のもと、当社グループは、ミッションとして掲げる「びっくりするほど良い商品で、世界のQOLを1%上げる」の実現に向け、自社オリジナルブランドの健康美容商品や美容家電等を販売する主要事業「ヘルス&ビューティーケア関連事業」において、人員の増員、組織力強化及び複数の販促施策を展開し、特に主要ブランドである「北の快適工房」での新規顧客獲得人数の増加を図りました。さらに、連結子会社である株式会社SALONMOONのオリジナルヘアケアブランド「SALONMOON」では新商品の複数リリースや大手バラエティショップへの出品等を通じ業績拡大に取り組んでおります。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高14,665,867千円(前年同期比49.2%増)、営業利益1,449,145千円(同184.1%増)、経常利益1,480,475千円(同173.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益994,660千円(同189.4%増)となりました。
セグメント別及びブランド別の売上高、四半期連結会計期間ごとの営業利益は下記のとおりでありますが、当社グループは、ヘルス&ビューティーケア関連事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
(千円)
セグメント |
ブランド |
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
合計 |
ヘルス& ビューティーケア 関連事業 |
北の快適工房 |
3,558,776 |
3,431,152 |
3,041,472 |
2,988,184 |
13,019,585 |
SALONMOON |
226,871 |
195,752 |
199,256 |
179,803 |
801,683 |
|
その他ブランド |
37,506 |
158,209 |
94,233 |
59,499 |
349,449 |
|
その他事業 |
- |
108,159 |
116,953 |
131,507 |
138,527 |
495,148 |
売上高合計 |
3,931,313 |
3,902,068 |
3,466,470 |
3,366,014 |
14,665,867 |
|
営業利益 |
△26,725 |
469,701 |
632,980 |
373,189 |
1,449,145 |
なお、当事業年度におけるブランド「北の快適工房」及び「その他ブランド」から構成される個別業績に関しましては、売上高13,369,099千円(前年同期比53.2%増)、営業利益1,397,102千円(同168.3%増)、経常利益1,435,280千円(同146.7%増)、当期純利益1,005,205千円(同151.8%増)となりました。当社の連結業績は個別業績が占める割合が大きいため、以下では個別業績の詳細な経営成績の説明を行います。また、当事業年度においてセグメント間取引等が発生しておりますが、その金額は軽微であるため、以下の各ブランドの数値はセグメント間取引消去等の調整を行わず実額にて記載しております。
個別業績を構成するブランド
当社の個別業績は「北の快適工房」と「その他ブランド」から構成されます。なお、「SALONMOON」は連結子会社である株式会社SALONMOONのブランドであり、連結業績を構成しているものの個別業績には含まれません。
オリジナルブランドである「北の快適工房」では、顧客ニーズに対して具体的に効果を体感しやすい化粧品や健康食品等を、主にインターネット上で一般消費者向けに販売しております。「びっくりするほど良い商品ができた時にしか発売しない」という方針のもと、学術的データだけではなく、モニター検証による実感度を重要視した厳しい開発基準を設け、高品質な商品を取り扱っております。40代以降の男女が主な顧客層であり、基本的には商品が一箇月で使い切る設計で開発されております。売上の約7割が定期顧客によって支えられており、継続的に購入していただけることで安定成長する収益構造を実現しております。
また、「北の快適工房」に続く主力ブランドの創出のため、新規事業企画室を設置し、同室発のブランドを「その他ブランド」として計上しております。優れた事業プランを有し、かつ起業への熱い思いを持った人材を複数名採用し、新たなブランドやD2C事業を立ち上げていくためのプログラムであります。なかでも、2021年10月に立ち上げたニコチン・タールが一切含まれず、副流煙も発生させない電子タバコを取り扱う『SPADE』が同ブランドを牽引しております。『SPADE』はインターネット上でのみ販売しており、同じく定期購入型のビジネスモデルであります。
業績予想との比較
当事業年度における個別業績の業績予想との比較は、下記のとおりであります。
(千円)
|
業績予想 |
実績 |
業績予想比 |
売上高 |
14,617,606 |
13,369,099 |
△1,248,506 |
売上総利益 |
11,229,966 |
10,260,941 |
△969,025 |
販売促進費等 |
7,080,341 |
6,151,092 |
△929,248 |
販売利益 |
4,149,625 |
4,109,848 |
△39,776 |
営業利益 |
1,406,460 |
1,397,102 |
△9,357 |
当社では、広告の投資効率を一目で可視化できるようにするため、独自の管理会計を行っております。上記の表では、当社の事業の状況をより正確に説明するため、管理会計上の利益管理数値である「販売利益」を使用しております。
販売利益は、売上総利益から販売促進費等を差し引いた金額となります。販売促進費等とは、注文連動費(カード決済手数料、送料、梱包資材費、同封物及び付属品等、注文に応じて必ず発生するコスト)及び新規獲得費(当社の場合、ほとんどが広告宣伝費)から構成されます。注文連動費は全体売上高に対して基本的に一定の割合で推移しますが、新規獲得費は新規集客の増減により割合が変動するため、販売利益は新規獲得状況の影響を大きく受け、直近の事業状況がダイレクトに反映される指標となります。また、販売利益から人件費や家賃等の総運営費を差し引いたものが財務会計上の「営業利益」となり、直近の事業状況に加え将来の事業拡大に向けた投資状況等の影響も受けます。
当事業年度においては、売上高は13,369,099千円(業績予想比8.5%減)と業績予想を1,248,506千円下回った一方で、営業利益は1,397,102千円(同0.7%減)とほぼ業績予想通りに着地いたしました。販売利益は、4,109,848千円(同1.0%減)とこちらも業績予想通りに着地しており、総運営費もほぼ想定通りに推移しております。
換言すると、当事業年度は売上高が業績予想を下回ったにも関わらず販売利益は同予想通りに推移している状況であります。それぞれの要因について、下記のとおり「北の快適工房」及び「その他ブランド」に分解したうえ、説明を行います。
(千円)
|
北の快適工房 |
その他ブランド |
||||
業績予想 |
実績 |
業績予想比 |
業績予想 |
実績 |
業績予想比 |
|
売上高 |
14,322,140 |
13,019,590 |
△1,302,550 |
295,466 |
349,509 |
+54,043 |
売上総利益 |
11,027,191 |
10,049,581 |
△977,610 |
202,774 |
211,359 |
+8,585 |
販売促進費等 |
6,887,257 |
5,878,914 |
△1,008,342 |
193,083 |
272,177 |
+79,094 |
販売利益 |
4,139,934 |
4,170,667 |
+30,732 |
9,690 |
△60,818 |
△70,508 |
「北の快適工房」における業績予想と実績の差異要因
(千円)
|
業績予想 |
実績 |
業績予想比 |
|
売上高 |
14,322,140 |
13,019,590 |
△1,302,550 |
|
|
①発送遅延分の過大計上 |
|
||
|
売上高 |
320,731 |
188,084 |
△132,647 |
|
売上総利益 |
246,886 |
144,386 |
△102,499 |
|
販売促進費等 |
19,209 |
18,386 |
△822 |
|
販売利益 |
227,676 |
125,999 |
△101,676 |
|
②定期及びその他 |
|
||
|
売上高 |
9,560,251 |
8,638,451 |
△921,799 |
|
売上総利益 |
7,501,368 |
6,720,915 |
△780,453 |
|
販売促進費等 |
468,823 |
456,147 |
△12,675 |
|
販売利益 |
7,032,545 |
6,264,767 |
△767,778 |
|
③新規獲得 |
|
||
|
売上高 |
2,990,240 |
2,627,946 |
△362,293 |
|
売上総利益 |
2,073,006 |
1,871,225 |
△201,780 |
|
販売促進費等 |
6,036,397 |
4,980,365 |
△1,056,031 |
|
販売利益 |
△3,963,390 |
△3,109,139 |
+854,251 |
|
ROAS(注1) |
50.8% |
55.7% |
- |
|
④ECモール |
|||
|
売上高 |
1,450,917 |
1,565,107 |
+114,190 |
|
売上総利益 |
1,205,930 |
1,313,053 |
+107,123 |
|
販売促進費等 |
362,827 |
424,013 |
+61,186 |
|
販売利益 |
843,103 |
889,039 |
+45,936 |
販売利益 |
4,139,934 |
4,170,667 |
+30,732 |
①発送遅延分の過大計上
前事業年度において、一部商品における販促活動が好調だったことで注文が殺到したため、受注済みであるものの製造が追いつかず発送までに数箇月待ちとなっておりましたが、第1四半期会計期間に遅延が完全に解消し、お待たせしていた全てのお客様に商品の発送を完了しております。前事業年度の発送遅延により当事業年度に計上される売上高は188,084千円となった一方で、業績予想において誤って過大に織り込んだため、予想を132,647千円下回りました。また、販売利益は125,999千円であり、予想を101,676千円下回りました。
なお、当該発送遅延分の発生及び業績予想への過大計上による影響は、いずれも第1四半期会計期間に発生したものであり、第2四半期会計期間以降は発生しておりません。
②定期及びその他
定期及びその他とは、既存のお客様によるリピート購入、定期購入、その他の調整項目等となっており、当事業年度の売上高は、業績予想を921,799千円下回りました。
1点目の要因といたしまして、下記③「新規獲得」に記載のとおり、当事業年度における新規売上高が業績予想を下回ったことで、定期売上高が想定通りに積み上がりませんでした。当社は新規獲得において厳格な広告投資基準を設けており、基準内での新規獲得ひいては新規売上が拡大した際は定期売上が着実に積み上がる一方、新規売上が減少した際は定期売上も縮小いたします。
第1四半期会計期間(2023年3月1日~2023年5月31日)の新規売上高が業績予想を上回った結果、「第1四半期会計期間において獲得したお客様による当事業年度の定期売上」は業績予想を上回りました。その一方で、第2四半期会計期間以降(2023年6月1日~2024年2月29日)の新規売上高は業績予想を下回り、「第2四半期会計期間以降に獲得したお客様による当事業年度の定期売上」は業績予想を下回りました。後者の影響の方が大きいため、当事業年度の定期売上全体も予想を下回りました。
2点目の要因といたしまして、当事業年度では商品発送後の返品が想定以上に発生しました。この経緯として、前事業年度に実現したクリエイティブ部門のスキルアップにより、より訴求力の強い広告を制作する体制が構築されました。一方で、生み出す広告の訴求力が増したことの反動で、新規顧客の「衝動買い」や「誤注文」が増え、返品、キャンセルが当初の想定より増加しました。
これらの要因により、当事業年度の定期及びその他売上高は業績予想を921,799千円下回りました。なお、広告クリエイティブに関しましては、外部コンサルタントによるレビューも参考にしつつ改めて結果を分析のうえ、「衝動買い」「誤注文」を招かぬよう、より一層表現の最適化を図っております。
この売上高の減少を主因として販売利益は、予想を767,778千円下回りました。
③新規獲得
当事業年度において、新規顧客獲得人数が減少しております。ROASは想定より4.9pt改善いたしましたが、新規獲得費の投資が業績予想通りに進まなかったことで、新規獲得による売上高が同予想を362,293千円下回りました。売上高の減少等により売上総利益が201,780千円減少しましたが、主に新規獲得費が抑制されたことで販売促進費等は1,056,031千円減少しており、販売利益はこれらの差額である854,251千円業績予想を上回っております。
なお、販売利益が業績予想を上回っておりますが、将来の定期売上につながる新規顧客獲得のための先行投資が減少した結果であり、ポジティブな増益要因ではありません。
④ECモール
当事業年度において、従来からの継続的な取り組みに加え、新商品の取扱い開始、受注過多により販売を停止していた商品の販売再開、モール型フルフィルメントサービス(注2)の活用等により、ECモールの売上高は業績予想を114,190千円上回りました。
これにより、販売利益は業績予想を45,936千円上回ることとなりました。
以上、4点により「北の快適工房」における売上高は13,019,590千円となり、業績予想を1,302,550千円下回りました。一方で、販売利益は4,170,667千円となり、業績予想を30,732千円上回りました。
「その他ブランド」における業績予想と実績の差異要因
「その他ブランド」における主力ブランドの『SPADE』は、当事業年度においては、大手電子タバコメーカーのデバイス製造を担っている企業との共同開発でデバイスのリニューアルを実施し、これにより製造にかかるリードタイムの大幅な短縮や原価率改善等が実現しました。さらに、電子タバコ関連商材の出稿がNGだった大型の広告媒体での出稿解禁、かねてから出稿していた広告媒体にてノウハウの蓄積により広告投資効率が改善したことで新規の獲得が拡大いたしました。
その結果、新規獲得費が想定を上回り、販売利益は業績予想を下回りました。なお、新規獲得費が増えておりますが、ROASは当初の想定を上回っており、広告投資効率を維持したまま先行投資の拡大を実現できております。
以上の結果、当事業年度における『SPADE』をはじめとする「その他ブランド」の売上高は349,509千円となり、業績予想を54,043千円上回りました。一方で、販売利益は、業績予想を70,508千円下回る△60,818千円となりました。
以上、「北の快適工房」においては売上高が業績予想を1,302,550千円下回り、「その他ブランド」においては54,043千円上回ったことで、個別業績における売上高は業績予想14,617,606千円に対し実績は13,369,099千円(業績予想比8.5%減)と予想を下回って着地いたしました。
その一方、「北の快適工房」における販売利益が業績予想を30,732千円上回り、「その他ブランド」では70,508千円下回ったことで、個別業績における販売利益は業績予想4,149,625千円に対し実績は4,109,848千円(同1.0%減)とほぼ予想通りに着地いたしました。
ヘルス&ビューティーケア関連事業における主要ブランド別の詳細な事業の状況は以下のとおりであります。
(北の快適工房)
広告宣伝費の投資額の推移
当連結会計年度における広告宣伝費の投資額の推移は、下記のとおりであります。なお、広告宣伝費のほとんどが「自社広告による獲得」によるものです。
月次 |
22年 3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
23年 1月 |
2月 |
広告宣伝費 (百万円) |
120 |
133 |
158 |
198 |
221 |
242 |
236 |
328 |
325 |
410 |
553 |
485 |
|
23年 3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
24年 1月 |
2月 |
|
544 |
617 |
601 |
478 |
405 |
386 |
334 |
284 |
227 |
267 |
372 |
332 |
各指標の開示方法及び開示区分について
「北の快適工房」における主な獲得チャネルは、当社が独自に運営するECサイト経由の「自社サイト等(注3)」とAmazonや楽天市場等の「ECモール」となります。当連結会計年度における売上高のうち、約90%が自社サイト等によるものです。自社サイト等は、先行する広告投資により、初回収支はマイナスになりますが、継続的に購入されることで収支がプラスになる定期購入型のビジネスモデルであり、将来の定期売上の源泉となる「新規顧客獲得人数」が重要な指標となります。一方、ECモールは、一度の購入で収支をプラスとする単品買い切り型のビジネスモデルであり、同指標の重要性は高くありません。収益化の仕組みが根本的に異なるモデルであるため、当連結会計年度より別掲のうえ記載しております。
また、「自社サイト等」は、「自社広告による獲得」と、アフィリエイト経由等の獲得である「その他」から構成されますが、自社広告による獲得構成比が高くなってきたこと及び当社における投資効率を正確に計るため、広告投資効率指標においては自社広告による獲得のみの数値を記載しております。
なお、前連結会計年度以前における各指標は、遡及して新たな基準で計測したものを記載しております。
自社サイト等の新規顧客獲得人数推移
当連結会計年度における自社サイト等の新規顧客獲得人数の推移は、下記のとおりであります。
当連結会計年度における新規顧客獲得人数は、クリエイティブ部門及び広告運用部門のスキルアップによる集客部門全体の底上げ、新たに開始した施策等が好調だったこと、足元では動画広告やAIを活用したクリエイティブ制作等の新たな手法により、自社広告での獲得が拡大しております。特に、2023年4月の月間新規顧客獲得人数においては当社創業以来の過去最高を更新する等、当連結会計年度における新規顧客獲得人数は、前年同期比77%増に拡大しております。
従来の当社は、クリック率の高い広告や購入率が高い販売ページ等の「良いクリエイティブを作ること」を課題として抱えておりましたが、連結会計年度ごとに新規顧客獲得人数が拡大していることからも、当社クリエイティブの作成スキルは従来のレベルからは着実に引き上がっていると認識しております。
しかしながら、クリエイティブは一定期間を経過すると「疲弊(見飽きられる)現象」が生じユーザーの反応が悪化していくため、視点や切り口を変えた新鮮なクリエイティブを次々と作成する必要があり、さらには獲得規模が拡大すればするほど、それらの維持・拡大にはより高いスキルが必要となります。今後は、「より高いレベルのクリエイティブを継続的に作り続けること」が求められますので、引き続き経験者の採用や社内教育、組織基盤の構築等を通じたクリエイティブ部門の底上げに注力し、新規顧客獲得人数の安定的な拡大を図ってまいります。
自社広告による獲得の投資効率
採算性を度外視し広告投資を拡大すれば必ず新規顧客獲得人数は増加するため、広告投資効率の指標である1年ROAS(注4)を注視することが必要となります。一方で、1年ROASは広告同士や同じ広告の時期別レスポンスを比較するためのものであり単純比較はできず最適値は存在しません。そのため、広告の機会ロス及び採算割れチェックを行う指標である広告投資バランス(注5)にも注視する必要があります。広告投資バランスが1.00を下回っている場合は、実績CPOが上限CPO(注6)を下回っており広告投資における機会損失が生じている状態、逆に1.00を超過した場合は、実績CPOが上限CPOを上回っており過剰に投資している状態です。
当連結会計年度の自社広告による獲得の投資効率は下記のとおりであります。
2022年2月期においては、イレギュラーな事象による一時的な変動(注7)があったものの、2023年2月期以降は一定の水準で推移しております。
当連結会計年度においても、基本的には最適値である広告投資バランス1.00を超過することなく推移しております。一部、広告投資バランスが1.00を超過している月もございますが、クリエイティブ部門によって新しい切り口の販売ページを新規作成し、多数の検証テストを行ったため、採算の合わない広告宣伝費の割合が一時的に増加したことによる計画的なものです。また、広告投資バランスが1.00を下回る月に関しては、良いクリエイティブが生まれた際に見られる「新規獲得単価が下がりながらも新規獲得は増加する現象」であり、こちらも一時的なものであります。
今後も、最適な広告投資バランスである1.00を維持したまま新規顧客獲得人数の拡大を行ってまいります。
ECモールの売上高推移
当連結会計年度におけるECモールの売上高推移は、下記のとおりであります。
当社では、成長市場であるECモール商圏を積極的に取り込むべく、専任者を複数名配置しECモールの拡大に取り組んでおります。当連結会計年度においても、引き続きECモールに特化した販促活動やクリエイティブの制作及び広告最適化、各ECモールにおけるセールへの参加、新商品の取扱い開始、受注過多により販売を停止していた商品の販売再開、モール型フルフィルメントサービスの活用にも努めております。
今後も様々な施策を展開し、さらなる売上拡大に取り組んでまいります。
(SALONMOON)
当連結会計年度におけるSALONMOONの売上高推移は、下記のとおりであります。
当社の連結子会社である株式会社SALONMOONのオリジナルヘアケアブランド「SALONMOON」では、機能性に優れたヘアアイロン等をお手頃な価格で提供しております。20代から40代の女性が主な顧客層であり、ECモールを中心に展開しているほか、全国の家電量販店での店頭販売も行っております。
当連結会計年度においては、Amazon、楽天市場やQoo10等の主力ECモール拡大のための販促施策を行ったほか、新商品のリリースにも注力いたしました。
各ECモールにおいて、検索エンジン最適化のための緻密な広告運用施策を行ったほか、特性やユーザー層を改めて分析のうえ最適なクリエイティブをECモールごとに作成、キャッシュバック施策等の独自キャンペーンも実施いたしました。また、商品ラインナップの拡充により新たな顧客層を取り込むべく、新商品やシリーズ品のリリースも精力的に行っております。さらに、2023年6月より大手バラエティショップ「ロフト」での一部の店頭での販売を開始し、2023年8月には全国の店舗に拡大したほか、2023年10月には総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」でも取扱いを開始する等、より一層のブランド価値及びブランド認知度の向上を図っております。これにより、「SALONMOON」ヘアアイロンシリーズの累計出荷台数は94万台を突破する等、順調に拡大しております。
以上の結果、当連結会計年度における「SALONMOON」の売上高は801,683千円(前年同期比24.9%増)となりました。
なお、前連結会計年度においては、記録的な円安の進行や原材料及び輸送費等の相次ぐ値上げによる仕入れ価格の高騰等により営業損失を計上する期間も発生しましたが、販売価格の改定、輸入効率や在庫保管効率の改善を通じたコスト削減等を実施したことで、当連結会計年度は従来の営業利益率の水準を維持しております。
2023年7月及び8月の営業利益率が低下しておりますが、施策による一時的な費用増加、販路拡大に伴う初期費用の発生、売上高に占める販売チャネル構成比の変動によるものであります。
(注1)ROAS
Return On Advertising Spendの略。広告出稿に対してどれだけ売上があったか成果を計る広告投資効率の指標で、ここでは「新規獲得による売上高」と販売促進費等のうち「新規獲得費」を用いて算定。100万円を新規獲得に使用し、90万円の売上が発生した場合のROASは0.90(90.0%)。1.00以下の場合、初回購入時の収支はマイナスだが、定期購入の場合は、継続的に購入されることで収支がプラスになる。
(注2)モール型フルフィルメントサービス
各ECモールが展開する、商品の保管、注文処理、梱包、出荷等の一連の業務を代行するサービス。
(注3)自社サイト等
当社が独自に運営するECサイトからの新規獲得(一部電話注文等を含む)。ECモール以外は全て自社サイト等に含まれる。
(注4)1年ROAS
広告出稿に対して1年間でどれだけの売上を見込んでいるかの予測として使用。100万円を広告出稿に使用し、150万円の売上を見込んでいる場合の1年ROASは1.50。
(注5)広告投資バランス
広告の機会ロス、採算割れを計る独自の指標。上限CPOに対してどの程度のCPOで獲得ができたのかを表す。広告投資が1.00を下回れば機会ロス、1.00を上回れば過剰投資、1.00が最適値となる。上限CPOの設定が10,000円、CPOの実績が9,000円だった場合の広告投資バランスは0.90。
(注6)上限CPO
新規顧客獲得1人当たりに要する広告宣伝費の金額である「CPO(Cost Per Order)」と、顧客が将来もたらす「LTV」(注8)の予測額との関連性を用いた、必要利益から逆算した新規顧客獲得1人当たりに使用可能な広告宣伝費の上限額。
(注7)広告投資効率の一時的な変動
2022年2月期において、アフィリエイト等での新規獲得が好調だったことで商品の認知度が向上し、これにより自社広告による獲得の効率性の向上へと繋がり、1年後ROASが一時的に引き上がった。また、新商品を同時期に複数リリースしたことで検証のために採算の合わない広告宣伝費が増加し、広告投資バランスが最適値である1.00を大きく上回る期間が発生。ただし、これらは一時的かつイレギュラーな事象であった。
(注8)LTV
Life Time Valueの略で、顧客がもたらす生涯売上高の金額。1年LTVは、顧客が1年間でもたらす売上高の金額。
(2)財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して869,979千円増加し、8,649,454千円となりました。この主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が108,784千円、棚卸資産が853,947千円、差入保証金が124,190千円増加した一方で、のれんが65,936千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して60,530千円増加し、1,652,713千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が476,716千円増加した一方で、買掛金が328,322千円、未払金が128,903千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して809,449千円増加し、6,996,741千円となりました。この主な要因は、利益剰余金が786,008千円増加したこと等によるものであります。利益剰余金の増加額の内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加が994,660千円、剰余金の配当による減少が208,651千円となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ44,987千円減少し、4,783,053千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、453,692千円(前連結会計年度は113,637千円の増加)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益1,498,715千円が生じた一方で、棚卸資産の増加額853,947千円、仕入債務の減少額328,322千円が生じたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、277,774千円(前連結会計年度は141,009千円の減少)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出80,297千円、差入保証金の差入による支出129,353千円が生じたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、223,533千円(前連結会計年度は363,127千円の減少)となりました。この主な要因は、配当金の支払額208,295千円が生じたこと等によるものであります。
2.生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
前年同期比(%) |
ヘルス&ビューティーケア関連事業(千円) |
4,346,611 |
185.5 |
合計(千円) |
4,346,611 |
185.5 |
(注)金額は製造原価によっております。
(2)商品仕入実績
当社グループの商品仕入実績の重要性は乏しいため、記載を省略しております。
(3)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
その他 |
560,931 |
116.5 |
100,647 |
288.7 |
合計 |
560,931 |
116.5 |
100,647 |
288.7 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.ヘルス&ビューティーケア関連事業については、受注に該当する事項がありませんので、上表には含めておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
前年同期比(%) |
ヘルス&ビューティーケア関連事業(千円) |
14,170,718 |
151.3 |
その他(千円) |
495,148 |
106.8 |
合計(千円) |
14,665,867 |
149.2 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要(2)財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要(1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要につきましては、さらなる事業拡大に向けて、必要な投資を行っていく想定です。これらの資金需要は内部留保で賄うことを原則としながら、中長期における資金需要並びに金利動向等を注視した上で必要に応じて機動的に資金調達を行い、財務の健全性を維持する方針であります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。