1 【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   ARTS-1株式会社

所在地  東京都港区港南一丁目2番70号品川シーズンテラス

 

2 【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1) 本公開買付けに関する意見の内容

当社は、2023年11月10日開催の取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。

また、当社は、公開買付者より、本買付価格変更(以下に定義します。以下同じです。)を行う旨の意向を示されたことを受けて、本買付価格変更に関して慎重に協議及び検討を行い、2023年12月25日開催の取締役会において、本買付価格変更後の本公開買付けについても、引き続き、当社の2023年11月13日付意見表明報告書(以下「当社意見表明報告書」といいます。)において既に公表されている意見、すなわち、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を維持することを決議いたしました。

なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。

 

(2) 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由

本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載は、公開買付者から受けた説明に基づいて記載しております。

① 本公開買付けの概要

公開買付者は、スパークス・グループ株式会社(以下「スパークス」といい、関係会社及びその他の関連事業体と併せて、以下「スパークスグループ」と総称します。)が無限責任組合員をつとめる日本モノづくり未来投資事業有限責任組合(以下「日本モノづくり未来ファンド」といいます。)が発行済株式の全てを所有する2023年4月10日に設立された株式会社とのことであり、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を取得、所有し、当社の事業活動を支配及び管理することを主たる目的としているとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者、スパークス及び日本モノづくり未来ファンドは当社株式を所有していないとのことです。

スパークスは、資産運用業(投資顧問業・投資信託委託業)を中核業務としているとのことです。1989年7月の会社創業以来、「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニー」を目指し、現在では株式投資に留まらず、再生可能エネルギー発電所等の実物資産投資、未来創生ファンドに代表されるベンチャーキャピタル投資等、投資領域を広げてきたとのことです。現在では、コーポレート・ミッションとして投資を通じて「世界を豊かに、健やかに、そして幸せにする」ことを掲げているとのことです。

公開買付者は、2023年11月10日付で、当社株式の全て(但し、当社の親会社であるいすゞ自動車株式会社(以下「いすゞ自動車」といいます。)が所有する当社株式(所有株式数20,261,828株、所有割合(注1):43.19%、以下「本不応募株式」といいます。)及び当社が所有する自己株式(以下「本自己株式」といいます。)を除きます。)を取得することにより、当社株式を非公開化することを目的とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを、2023年11月13日から開始することを決定したとのことです。

(注1) 「所有割合」とは、当社が2023年11月10日付けで公表した「2024年3月期第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2023年9月30日現在の発行済株式総数(49,154,282株)から、本自己株式数(2,240,945株)を控除した株式数(46,913,337株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。以下、所有割合の記載において同じです。

 

 

また、公開買付者は、本公開買付けの開始時において、本公開買付価格を812円、公開買付期間を2023年11月13日(月曜日)から2023年12月25日(月曜日)まで(30営業日)とそれぞれ定めておりましたが、その後、当社の株主の皆様による本公開買付けへの応募状況及び今後の応募の見通しを総合的に考慮し、当社の株主の皆様に本買付価格変更前の本公開買付価格より高い金額での売却機会を提供し、本公開買付けの成立の確度を高めるため、2023年12月25日に当社に対して本買付価格変更を行う旨の意向を示し、同日、本公開買付価格を812円から850円に変更すること(以下「本買付価格変更」といいます。)を決定したとのことです。なお、公開買付者は、本買付価格変更後の本公開買付価格を最終的なものとし、今後、本公開買付価格を変更しないことの決定をしているとのことです。また、これに伴い、法令に基づき、公開買付期間を公開買付届出書の訂正届出書の提出日である2023年12月25日から起算して10営業日を経過した日に当たる2024年1月15日まで延長することとしたとのことです。

 

本取引は、①本公開買付け、②本公開買付けが成立した場合であって、公開買付者が本公開買付けにおいて、当社株式の全て(但し、本不応募株式及び本自己株式を除きます。)を取得できなかった場合に当社が行う株式併合(以下「本株式併合」といいます。)を通じて、当社の株主をいすゞ自動車及び公開買付者のみとすること、③本公開買付けの成立及び本株式併合の効力発生を条件として当社によって実施される自己株式取得(以下「当社自己株式取得」といいます。)を実行するための資金を確保することを目的として、公開買付者が当社に対して、当社自己株式取得に係る対価に充てる資金を提供すること(以下「本資金提供」といいます。)、④いすゞ自動車が、本不応募株式を、当社自己株式取得によって売却すること、並びに、⑤当社自己株式取得後に実施される、公開買付者に対するいすゞ自動車からの出資(以下「本再出資」といいます。)にて構成され、最終的に、日本モノづくり未来ファンド及びいすゞ自動車が株主となった公開買付者による当社の完全子会社化を企図しているとのことです。なお、本株式併合の詳細につきましては下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。また、公開買付者は、本取引の完了後に、当社との間で吸収合併を実施することを予定しているとのことです(以下「本合併」といいます。なお、本書提出日現在、本合併の実施時期及び公開買付者と当社のいずれを吸収合併存続会社とするか等の詳細については未定であり、本公開買付け成立後に検討を行い、当社と協議の上で決定する予定です。)。

 

なお、当社自己株式取得においては、いすゞ自動車に法人税法(昭和40年法律第34号。その後の改正を含みます。以下同じです。)に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、仮にいすゞ自動車が本公開買付けに応募した場合の税引後手取り額と当社自己株式取得に応じた場合に得られる税引後手取り額が同額となる金額を基準として当社自己株式取得の対価を設定することを想定しているとのことです。当社自己株式取得と本公開買付けは独立の取引であることに加え、当社自己株式取得における当社株式の1株(本株式併合の実施前ベース)当たりの取得対価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)よりも有利な条件が設定されているわけではないことから、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反するものではないと考えているとのことです。また、本公開買付価格を当社自己株式取得における当社株式の1株(本株式併合の実施前ベース)当たりの取得対価よりも高く設定することで、当社株式の全ての取得に要する資金を当社の一般株主の皆様に対してより多く割り当て、当社の一般株主の皆様の利益を最大化させることを目的としているとのことです。

 

また、公開買付者は、当社自己株式取得後に、いすゞ自動車からの本再出資を受けることを予定しており、本再出資後は、日本モノづくり未来ファンド及びいすゞ自動車が公開買付者の株式の全てを所有する予定とのことであり、それぞれの出資割合は、日本モノづくり未来ファンドが66.7%、いすゞ自動車が33.3%となる予定とのことです(注2)。詳細は、下記「(iii)本公開買付けの実施後」の「(D)本再出資(2024年3月頃(予定))」をご参照ください。

 

(注2) 本再出資における公開買付者の普通株式1株当たりの払込価額を決定する前提となる当社株式の評価は、本公開買付価格と同一の価格である850円(但し、本株式併合を実施することにより当社の発行済株式総数が減少することを踏まえ、本株式併合における当社株式の併合の割合に基づき形式的な調整を行う予定とのことです。)にする予定とのことであり、当該評価額から割引された価額を前提として、本再出資における公開買付者の普通株式1株当たりの払込価額が決定されることはないことから、本再出資におけるいすゞ自動車による公開買付者の普通株式1株当たりの払込価額は、本公開買付価格よりも有利な条件が設定されているわけではないと考えられること、本再出資は当社の主要株主であり筆頭株主であるいすゞ自動車が当社株式の非公開化後も公開買付者への出資を通じて当社の運営に関与することを目的として実施されるものであり、いすゞ自動車による本公開買付けへの応募可否とは独立して検討されたものであることから、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反するものではないと考えているとのことです。

 

本公開買付けに際し、公開買付者は、2023年11月10日付で、いすゞ自動車との間で、いすゞ自動車が本不応募株式の全てについて本公開買付けに応募しないことを含む、本取引に関する事項について定めた二者間契約書(以下「本二者間契約書」といいます。)を締結しているとのことです。また、当社は、2023年11月10日付で、公開買付者及びいすゞ自動車との間で、①本公開買付けが成立したことを条件に、当社が、本株式併合等の実施のために必要な事項を議案とする株主総会を開催し、公開買付者及びいすゞ自動車は当該議案に賛成の議決権を行使すること、及び、②いすゞ自動車が、当社自己株式取得に応じて、本不応募株式の全てを当社に売り渡すこと、及び当社自己株式取得後に本再出資を行うことを含む、本取引に係る諸条件について定めた三者間契約書(以下「本三者間契約書」といいます。)を締結して、その後、本買付価格変更に伴い、2023年12月25日付で「本三者間契約変更合意書」(以下「本変更合意書」といいます。)を締結しております。さらに、公開買付者の株主である日本モノづくり未来ファンドは2023年11月10日付で、いすゞ自動車との間で、本再出資後の公開買付者及び当社の運営に関して定めた株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を締結しているとのことです。

本二者間契約書、本三者間契約書及び本株主間契約の詳細については、下記「(7)本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」をご参照ください。

 

本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限(注3)を11,013,772株(所有割合:23.48%)と設定しており、本公開買付けに応募された当社株式(以下「応募株券等」といいます。)の合計が買付予定数の下限(11,013,772株)に満たない場合は、応募株券等の全ての買付け等を行わないとのことです。一方、上記のとおり、本公開買付けにおいて、公開買付者は、当社株式の全て(但し、本不応募株式及び本自己株式を除きます。)を取得することを企図しているため、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(11,013,772株)以上の場合は、応募株券等の全ての買付け等を行うとのことです。

(注3) 本公開買付けにおける買付予定数の下限(11,013,772株、所有割合23.48%)は、当社決算短信に記載された2023年9月30日現在の発行済株式総数(49,154,282株)から、本自己株式数(2,240,945株)を控除した株式数(46,913,337株)に係る議決権の数(469,133個)の3分の2(312,756個)(小数点以下を切上げ)に、当社の単元株式数である100株を乗じた数(31,275,600株)から、本不応募株式の数(20,261,828株)を控除した株式数に設定しているとのことです。これは、本取引においては当社株式を非公開化することを目的としているところ、本株式併合の手続を実施する際に、会社法(平成17年法律第86号、その後の改正を含みます。以下同じです。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされているため、本取引を確実に実施すべく、公開買付者及びいすゞ自動車が当社の総株主の総議決権数の3分の2以上を所有することとなるよう設定したものとのことです。

 

公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けの決済の開始日の2営業日前までに日本モノづくり未来ファンドより6,670,000,000円を上限として出資を受けるとともに、本公開買付けの決済の開始日の前営業日までに株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)から28,600,000,000円を限度として借入れを行うことを予定しており、これらの資金をもって、本公開買付けの決済資金等に充当する予定とのことです。

 

公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより公開買付者が当社株式の全て(但し、本不応募株式及び本自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、当社の株主を公開買付者及びいすゞ自動車のみとするために、当社の株主を公開買付者及びいすゞ自動車のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の実施を要請することを予定しているとのことです。

 

なお、本取引を図で表示すると大要以下のとおりとなるとのことです。

 

(ⅰ)本公開買付けの実施前

本書提出日現在において、いすゞ自動車が20,261,828株(所有割合:43.19%)、少数株主が残りの26,651,509株(所有割合:56.81%)を所有しております。

 


 

(ⅱ)本公開買付け(2023年11月13日~2024年1月15日(予定))

公開買付者は当社株式の全て(但し、本不応募株式及び本自己株式を除きます。)を対象に本公開買付けを実施します。

 


 

 

(ⅲ)本公開買付けの実施後

(A)本株式併合(2024年3月頃(予定))

公開買付者は、本公開買付けにおいて、当社株式の全て(但し、本不応募株式及び本自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、当社に対して本株式併合の手続の実行を要請し、本スクイーズアウト手続を実施します。

 


 

(B)本資金提供(2024年3月頃(予定))

当社株式の上場廃止及び本株式併合の効力発生後に、当社が当社自己株式取得に必要となる資金を確保するために、公開買付者は、みずほ銀行から借り入れた資金を原資とする当社に対する貸付けにより本資金提供を実施します。

 


 

 

(C)当社自己株式取得(2024年3月頃(予定))

当社は、本資金提供により確保された資金及び既存の分配可能額を活用して、本不応募株式を取得する当社自己株式取得を実施します。なお、当社自己株式取得における自己株式取得の対価は、みなし配当の益金不算入規定が適用されることを考慮して、公開買付価格の最大化と株主間の公平性を両立させることができるとの検討結果を踏まえて、仮にいすゞ自動車が本公開買付けに応募した場合の税引後手取り額と当社自己株式取得に応じた場合に得られる税引後手取り額が同額となる金額を基準として、当社株式1株当たり704円(以下「当社自己株式取得価格」といいます。)を予定しているとのことです。

 


 

(D)本再出資(2024年3月頃(予定))

いすゞ自動車は、当社自己株式取得後に、公開買付者に対して、日本モノづくり未来ファンド及びいすゞ自動車の出資割合が66.7%及び33.3%となるよう本再出資を実施します。なお、本再出資におけるいすゞ自動車による公開買付者の普通株式1株当たりの払込価額を決定する前提となる当社株式の評価は、本公開買付価格と同一の価格である850円(但し、本株式併合における当社株式の併合の割合に基づき形式的な調整を行う予定とのことです。)にする予定とのことです。

 


 

 

(ⅳ)本合併(実施時期未定)

本取引の完了後、公開買付者及び当社は、本合併を行う予定とのことです。

 


 

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本取引後の経営方針

公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本取引後の経営方針は、以下のとおりです。なお、以下の記載のうち、公開買付者に関する記載は、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 

(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

(A)当社を取り巻く経営環境等

当社は、2013年10月1日に、株式会社アイメタルテクノロジー(以下「アイメタルテクノロジー」といいます。)、テーデーエフ株式会社(以下「テーデーエフ」といいます。)及び自動車部品工業株式会社(以下「自動車部品工業」といいます。)により株式移転の方法により共同持株会社であるIJTテクノロジーホールディングス株式会社として設立され、東京証券取引所市場第二部に株式上場しました。その後、意思決定を迅速にし、当社並びにその子会社及び持分法適用会社の経営資源の有効活用と経営の効率化を図り、経営基盤をより強固にするため、当社は、2019年4月1日に、当社を吸収合併存続会社として、当社の完全子会社であるアイメタルテクノロジー(2015年6月に株式会社いすゞテクノサンドを、2016年12月に株式会社三栄製作所を、2018年8月に東北三和金属株式会社をそれぞれ吸収合併)、テーデーエフ及び自動車部品工業を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行い、事業会社へと移行し、商号を「株式会社IJTT」に変更するとともに(以下、当社、その全ての子会社及び関連会社を併せて「当社グループ」といいます。)、本社を神奈川県横浜市神奈川区金港町1番地7に移転いたしました。そして、2019年6月、本店所在地を神奈川県横浜市へと変更後、2022年4月3日の東京証券取引所における新市場区分への移行を経て、現在は東京証券取引所スタンダード市場へ上場しております。

 

【事業の内容】

当社グループは、本書提出日現在、当社、連結子会社4社、非連結子会社1社及び関連会社2社で構成されており、自動車、建設機械並びに産業車輛・機械業界等を需要先とした鍛造品、鋳造品及び機械加工・組立品の製造、販売を主な事業としております。各事業の概要は以下のとおりです。

(a)鋳造事業

国内外4拠点(茨城県土浦市、茨城県北茨城市、岩手県北上市及びインドネシア共和国西ジャワ州)にて、主に商用車・SUV車(注1)向けエンジン部品・シャシー部品、建設機械向けエンジン部品・油圧機器部品及び産業ロボット向け減速機部品・躯体部品を製造、販売しております。

 

(b)鍛造事業

国内外4拠点(宮城県柴田郡村田町、岐阜県関市、インドネシア共和国西ジャワ州及びタイ国ラヨーン県)にて、主に乗用車・商用車向けエンジン部品・シャシー部品及び産業ロボット向け減速機部品を製造、販売しております。

(c)機械加工・組立事業

国内外4拠点(神奈川県海老名市、栃木県真岡市、インドネシア共和国西ジャワ州及びタイ国チョンブリ県)にて、主に商用車・SUV車(注1)向け駆動部品・エンジン部品及び建設機械向けエンジンを製造、販売しております。

(注1) 「SUV」とは、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(Sport Utility Vehicle)の略称で、スポーツ用多目的車を意味します。

 

以上に述べた事項の概要図は次のとおりです。

 


 

【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(a)基本的な経営方針

当社グループは、以下の経営理念を念頭に行動指針に則して、経営戦略及び諸施策を推進し、企業価値の向上に努めて参ります。

(ア)経営理念

私たちは、“うごくモノ”を力強く支え、輝かしい未来の実現に貢献します。

-“革新的な技術”で世界中のモノづくりの最先端を走ります

-“最高の品質”で世界中の人々に安心・安全を提供します

-“最強のチームワーク”で英知を集め、新しい価値を創出し続けます

-“継続的な成長・変化”を通じ、創造・革新への挑戦を重ねます

 

(イ)行動指針

- 挑戦 Challenge       私は、自ら挑戦し、挑戦する人を尊重します

- 責任 Commitment      私は、目標の達成に向けて、責任を持って行動します

- 協働  Cooperation     私は、多様な考え方や意見を尊重し、前向きにコミュニケーションを取ります

- 継続  Continuity      私は、やるべきことに正しく、真面目に取り組み続けます

 

(b)経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、国内では新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の減少、段階的な経済・社会活動の回復が進んだものの、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化等の地政学リスクに加え、中国経済の減速、資源価格・原材料高騰や物流費等のコスト上昇の影響による経済下振れリスクや金融資本市場の動向に注視する必要があり、依然として予断を許さない状況が続いております。一方、自動車業界においては100年に1度の大変革と言われているCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)の動きがますます加速されております。

当社が部品提供しているディーゼル・トラック市場におきましては、国外需要は、人口増加の著しいインドやインドネシア等ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心に引き続き堅調な新興国需要に支えられ、増加していくものと捉えております。一方で、建設機械市場におきましては中国市場の不透明感が依然として継続するものと見込んでおります。

このような状況下、当社グループではお客様のニーズや期待に沿えるよう、SQCD(注1)のさらなる改善による競争力強化を通じ拡販に努めて参ります。また、新たな材料開発や電動化商品開発に積極的に取り組んで参ります。さらには将来にわたって勝ち残るための事業構造の変革や経営の効率化に取り組み、事業拡大を通じ企業価値向上を果たしていく所存です。同時に、鋳鍛品を製造する当社にとって喫緊の課題である環境問題については、環境配慮型の新工場建設等持続可能な社会の実現に向け、全社一丸となって取り組んで参ります。

しかしながら、足下の業績につきましては、エネルギー・資材費用の高騰に加え、世界的な半導体不足に起因する得意先計画ボリュームの急激な変動、生産要員の確保に伴う労務費負担増により、十分な収益性を確保することが困難な状況となりました。

(注) 「SQCD」とは、S(Safety、安全)、Q(Quality、品質)、C(Cost、コスト)、D(Delivery、納期)という、当社グループのものづくりにおける最も基本的かつ重要な要素を指します。

つきましては、電動化の進展に伴う内燃機関の減少といった事業環境の変化に対応し、上記の経営課題を解決するためには、当社の素材加工一貫体制の強みを活かした鋳鍛造コストリーダーシップの確立による既存製品の圧倒的競争力の維持・向上、海外拠点を活用した商用車部品事業の海外展開に加え、産業用ロボット向け鋳造品の拡販に向けた大規模先行投資を通じて競争優位性を確立し、鋳造事業ポートフォリオの再構築を行っていくことが必要と認識しております。そのためには、新工場建設等環境配慮型事業への転換のための生産設備の拡大に向けた大規模な設備投資及び研究開発に加え、DX(注2)領域への投資や将来を見据えた人材への投資に係る機動的な資金調達が必要であるとともに、適宜機動的なM&A取引の実施等による、複数の事業を有機的に展開する上でのリソース不足を補う外部知見の導入等を通じた抜本的な経営改革が必要であり、そのために迅速な意思決定を可能とする体制整備が不可欠と認識しております。他方で、これらの施策を実施することにより、先行費用や大規模な設備投資等、相応の時間及び資金を要するものと考えられるとともに、期待する効果の発現にも相応に時間を要する可能性もあり、短期的には当社の利益水準やキャッシュ・フローの悪化を招く可能性が考えられ、上場を維持したままで同様の施策を実施すれば、一時的に当社株式の価値に悪影響を及ぼすこと等も想定されます。そのため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実施することは、株主の皆様の負担するリスクが増大することも懸念されるため、相応の困難が伴うと考えております。

(注) 「DX」とは、デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称で、データとデジタル技術を融合して、製品・サービス・ビジネスモデルをはじめとしたあらゆるものを変革し、競争優位性を確立することを意味します。以下同じです。

 

以上を踏まえて、株主の皆様が短期的な悪影響を被ることなく株式を売却できる機会を提供するとともに、当社が短期的な業績にとらわれず中長期的な視点に立脚した成長戦略を実現するためには、当社株式を非公開化して当社の経営の改革を進めていくことが最適と判断いたしました。

 

(B)スパークス及び公開買付者、当社並びにいすゞ自動車との協議、公開買付者による意思決定の過程

スパークスが無限責任組合員をつとめる日本モノづくり未来ファンドは、日本における高い技術・技能を維持し、モノづくりの力を今後も発展させていくために、優れた技術・人財・サービスを有する国内のモノづくり企業に投資し、企業の持続的な成長を通じて、日本のモノづくりの発展に寄与することを目的として設立されたとのことです。一方で、当社の親会社であるいすゞ自動車は、上記「(A)当社を取り巻く経営環境等」の下、親子上場に該当する当社との資本関係の在り方について、中長期的な事業戦略及びガバナンス体制の強化の観点からあるべき姿を継続的に見直してきたとのことです。日本モノづくり未来ファンドは、ファンドの理念に合致する投資候補先企業を探索する中、当社はファンド活用による企業価値向上の余地がある企業の1つであると判断し、2021年4月中旬に、従前から日本モノづくり未来ファンドの潜在的な投資候補先について継続的に議論を行っていた三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に対して当社の親会社であるいすゞ自動車への紹介を依頼したとのことです。その後、いすゞ自動車は三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社から2022年1月下旬にスパークスを紹介され、当社に対する思いが合致していたことを背景として、スパークスといすゞ自動車の間で当社についての協議を開始したとのことです。

かかる協議を通じ、スパークスは、当社が電動化進展に伴う内燃機関の減少といった事業環境の変化に対応するためには、素材加工一貫体制の強みを活かした既存製品の競争力の維持・向上、海外拠点を活用した商用車部品事業の海外展開に加え、産業機械・産業用ロボット向け鋳造品の拡販に向けた大規模先行投資を通じて競争優位性を確立し、鋳造事業ポートフォリオの再構築を行っていく必要性があると認識し、当該方針の達成のためには、生産設備等の拡大に向けた大規模な設備投資及び研究開発、DX領域への投資や将来を見据えた人材への投資、機動的なM&Aの実施等が必要であると考えるに至ったとのことです。他方で、これらの施策の実施は、先行費用や設備投資等、相応の時間及び資金を要するものと考えられるとともに、期待する効果の発現にも相応に時間を要する可能性もあり、当社が上場を維持したままこれらの施策を実施することは、株価や配当の観点から既存株主にとって負担になる可能性も想定され、また、当社は2013年10月の東京証券取引所市場第二部への上場以来、知名度のさらなる向上による優れた人材の確保、社会的な信用力向上による取引先の拡大等、上場会社として様々なメリットを享受してきた一方、当社のブランド力や信用力は事業活動を通じて維持・獲得される部分が大きいと考えられ、上場を維持するための相応の負担と比較して、継続して株式の上場を維持することのメリットは大きくないものと考えるに至ったとのことです。

上記検討を踏まえ、スパークスは、2022年2月10日に、いすゞ自動車に対して、本取引の実施による、当社株式の非公開化の意義に関する初期的な提案を行ったとのことであり、その後、いすゞ自動車内での検討が進められたとのことです。当社においては、いすゞ自動車から当該初期的提案についての情報共有を受け、2022年7月中旬以降、同提案に対する当社の対応方針を継続検討して参りました。その後、2022年8月22日にいすゞ自動車も同席の下で、スパークスから当社に対して直接、非公開化に係る初期的な提案が実施されました。これを受け、当社は、スパークスとの協働の可能性をより具体的に検討するため、2022年9月21日に、スパークス及びいすゞ自動車との間で機密保持契約を締結しました。また、スパークスは、2022年9月中旬、スパークスグループ、公開買付者、当社及びいすゞ自動車(以下「公開買付関連当事者」といいます。)のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所(現・西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)を、2022年11月上旬、公開買付関連当事者のいずれからも独立したフィナンシャル・アドバイザーとして野村證券株式会社を、それぞれ選任の上、本取引に関する具体的な検討を開始したとのことです。その後、2022年11月10日に、スパークスから当社及びいすゞ自動車に対して、当社の経営計画の内容等をもとに、2022年8月22日に行った提案をさらに具体化した内容の再提案がされました。

そして、2022年12月28日に、当社、いすゞ自動車及びスパークス間にて協議を行い、当社は、スパークスに対し、本取引の実施の可能性につき、検討する旨の回答をいたしました。これを受け、スパークスは、2023年1月31日付で、当社に対して、スパークスが当社株式の取得について関心を有している旨の初期的な提案書(以下「本初期的提案書」といいます。)を提出いたしました。

 

スパークスは、本初期的提案書において、①日本モノづくり未来ファンドが出資する買収目的会社による当社株式に対する公開買付け及びその後の本スクイーズアウト手続を通じた当社株式の全て(但し、本不応募株式及び本自己株式を除きます。)の取得、②本不応募株式の当社による自己株式としての取得、並びに③いすゞ自動車から公開買付者に対する再出資により、日本モノづくり未来ファンドが当該買収目的会社を通じて当社株式の3分の2以上を所有することとなる取引スキームを提案いたしました。

その後、スパークスは、2023年2月上旬から2023年4月下旬までの間、本取引の実現可能性の精査のため、当社に対するデュー・ディリジェンス(以下「本デュー・ディリジェンス」といいます。)や当社の経営陣との面談等を実施いたしました。本デュー・ディリジェンス及び各種分析を通じて、スパークスは、当社及びいすゞ自動車と議論していた、当社の課題や将来の成長戦略について確認するとともに、当社株式を非公開化した上で経営管理や生産管理の体制強化を起点とした事業変革を実施することが当社の経営課題の克服と中長期的な成長、さらなる企業価値向上に資すると判断するに至ったとのことです。

 

このような検討の結果等を踏まえ、スパークスは、2023年2月中旬から2023年4月中旬までの間、当社及びいすゞ自動車と本取引の実施及び取引ストラクチャーの詳細を含めた取引条件について協議・交渉を重ね、2023年4月7日、当社に対して、本デュー・ディリジェンス、当社の事業計画、市場株価の動向並びにスパークスにおける当社株式の試算結果及びスパークスの投資リターンに対する責任の観点から、当社株式の株式価値総額を約263億円とし、株式価値総額を前提に本公開買付価格の最大化及び株主間の公平性の観点から、当社自己株式取得においていすゞ自動車にて適用が見込まれる法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定を踏まえ、仮にいすゞ自動車が本公開買付けに応募した場合に得られる税引後手取り額と、いすゞ自動車が当社自己株式取得に応じた場合に得られる税引後手取り額が同額となる金額を基準として、本公開買付価格及び当社自己株式取得価格を設定することを想定しており、具体的な本公開買付価格及び当社自己株式取得価格については当社及びいすゞ自動車から提供された資料等に基づき、別途提示する旨を提案いたしました。また、本公開買付けの開始は2023年5月中旬の予定とする旨も併せて提案いたしました。その後、当該提案を受けて2023年4月10日に開催された旧特別委員会(下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)公開買付者からの提案、検討体制の構築及び検討・交渉の経緯」において定義します。以下同じです。)において、スパークスからの提案内容を検討した結果、旧特別委員会としては、株式価値総額での提示ではなく、本公開買付価格と当社自己株式取得価格が区別された上で、本公開買付価格そのものの提案(以下「本公開買付価格提案」といいます。)を受けてから改めて検討したい旨、及び、株式価値総額の評価としても十分な水準にあると評価できない旨の意見が示されたため、当社からスパークスに対し、旧特別委員会の当該意見を踏まえ、本公開買付価格提案を要請する旨の連絡をしました。これに対し、スパークスは、本公開買付価格提案にあたっては、さらなる検討期間を確保する必要があると考えたとのことです。そして、2023年4月下旬、当社及びいすゞ自動車は、スパークスより、当初2023年5月中旬に予定していた本公開買付けの開始を2023年8月に予定されている当社の四半期決算公表時に延期することについての伝達を受け、これに同意する旨の連絡をしました。

その後も、スパークスにおいて取引ストラクチャーを含む取引条件について検討を進めていたとのことですが、スパークスから当社に対して、延期後の想定スケジュールどおりに本公開買付価格提案がなされず、本取引の検討が延期後の想定より長期化していました。当社としては、今後、当社の成長戦略を確実に実行するにあたり当社が果たすべき経営課題、経営施策等を遂行する上で、スパークスグループの有するネットワークを活かした専門人材の派遣/活用・スタートアップ等の企業との提携/協業を通じて、既存内燃機関部品製造における生産管理の強化・体質の改善、商用車用電動化領域での研究開発支援、電動化に伴う事業ポートフォリオの再構築に多くの貢献が得られる可能性があると考えられたため、本取引を前向きに検討する意向がありました。一方で、スパークスから本公開買付価格提案がなされないまま本取引の検討が長期化していたことに伴い、当社の情報管理の観点から、さらに本取引の検討を延長することは難しかったため、本取引の検討を終了せざるを得ないと判断し、2023年8月9日に開催された定例取締役会において、本取引の検討を終了する旨を決定し、2023年8月10日、スパークスに対し、本取引の検討を終了した旨の連絡をしました。

 

当社は、2023年8月21日、スパークスから、取引のストラクチャー及びスケジュールについての検討状況の共有を受け、検討の再開を依頼されました。これを受け、当社は、本取引の検討再開を行うためには、少なくとも、スパークスが当社株式の取得について関心を有している旨の初期的な提案書の再提出を受け、改めて当社の検討体制を整備する必要があるという考えの下、2023年9月5日、スパークスに対し、かかる初期的な提案書の再提出を要請いたしました。その後、2023年9月14日、スパークスから、初期的な提案書(以下「本初期的再提案書」といいます。)を再度受領いたしました。本初期的再提案書においては、本公開買付価格に関する提案はされず、取引条件については追って提示するとの説明がされておりましたが、当社は、本初期的再提案書の内容を精査し、スパークスが提案する本取引のスキームに相応の合理性と実現可能性があると判断し、また、上記のとおり、今後、当社の成長戦略を確実に実行するにあたり当社が果たすべき経営課題、経営施策等を遂行する上で、スパークスグループのネットワークを活用することが有益である可能性があったことから、2023年9月28日に開催された定例取締役会において、本取引の検討再開を決定しました。

その後、当社は、スパークスに対し、2023年9月28日、本取引の再検討を行う旨の連絡をし、スパークス及びいすゞ自動車との協議・交渉を重ねておりましたところ、2023年10月16日、スパークスより、本公開買付価格を730円とする初回の提案を受けました。初回の提案価格は提案の前営業日である2023年10月13日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値669円に対して9.12%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値について同じです。)のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値666円に対して9.61%(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)、直近3ヶ月間の終値単純平均値615円に対して18.70%、直近6ヶ月間の終値単純平均値577円に対して26.52%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。なお、2023年10月16日、スパークスは、本公開買付価格の最大化の観点から、当社の借入余力について検討し、今後の設備投資計画及び資金調達も鑑み、当社の借入余力が最大限に活用される、融資を活用した本取引の取引ストラクチャーが最良であると判断したとのことです。スパークスは、当該ストラクチャーを採用することで投資ファンドとしてのスパークスの投資リターンに対する責任を確保しつつ、本公開買付価格の最大化に繋げることが可能となると考えているとのことです。その後、初回の提案について、2023年10月20日、当社及び本特別委員会(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に定義します。以下同じです。)は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、みずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)による、2023年10月20日時点における、当社株式価値の試算結果や、類似事例におけるプレミアム水準等に照らすと、本特別委員会でのさらなる検討に値する十分な価格に至っていないとして、公開買付価格の再提案の要請をいたしました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年10月20日、当社に対して、本公開買付価格を760円とする2回目の提案を実施いたしました。2回目の提案価格は提案の前営業日である2023年10月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値638円に対して19.12%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値663円に対して14.63%、直近3ヶ月間の終値単純平均値618円に対して22.98%、直近6ヶ月間の終値単純平均値580円に対して31.03%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。2回目の提案について、2023年10月25日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、みずほ証券が実施した、2023年10月25日時点における、当社株式価値の試算結果のうち、当社が重視するディスカウンティッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)のレンジの相当程度上方の価格とする必要性、本取引に類似する他社事例におけるプレミアム水準である30%~40%を超える水準を確保する必要性及び可能な限り当社の少数株主の利益に配慮する必要性があるとして、公開買付価格の再提案を要請いたしました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年10月27日、当社に対して、本公開買付価格を785円とする3回目の提案を実施いたしました。3回目の提案価格は提案の前営業日である2023年10月26日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値622円に対して26.21%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値653円に対して20.21%、直近3ヶ月間の終値単純平均値620円に対して26.61%、直近6ヶ月間の終値単純平均値584円に対して34.42%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

3回目の提案について、2023年10月31日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、みずほ証券が実施した、2023年10月31日時点における、当社株式価値の試算結果のうち、当社が重視するDCF法のレンジの中央値より相当程度は上方の価格とする必要性、提案の前営業日、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値、直近6ヶ月間の終値単純平均値の全ての期間において、それぞれの参照期間に対して30%程度のプレミアム水準を確保し、本取引に類似する他社事例におけるプレミアム水準に比して遜色ない水準とする必要性があるとして、公開買付価格として835円とするべきという要請を行いました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年11月2日、当社に対して、本公開買付価格を805円とする4回目の提案を実施いたしました。4回目の提案価格は提案の前営業日である2023年11月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値679円に対して18.56%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値649円に対して24.04%、直近3ヶ月間の終値単純平均値623円に対して29.21%、直近6ヶ月間の終値単純平均値588円に対して36.90%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。4回目の提案について、2023年11月6日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、少数株主の利益へのさらなる配慮の観点、当該時点の株式市場全体及び当社株価推移の状況も鑑み、公開買付価格として825円以上とするべきという要請を行いました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年11月7日、当社に対して、本公開買付価格を808円とする5回目の提案を実施いたしました。5回目の提案価格は提案の前営業日である2023年11月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値691円に対して16.93%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値653円に対して23.74%、直近3ヶ月間の終値単純平均値627円に対して28.87%、直近6ヶ月間の終値単純平均値590円に対して36.95%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。5回目の提案について、2023年11月8日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、少数株主の利益へのさらなる配慮の観点、当該時点の株式市場全体及び当社株価推移の状況も鑑み、公開買付価格として815円以上とするべきという要請を行いました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年11月8日、当社に対して、本公開買付価格を812円とする6回目の提案を実施いたしました。6回目の提案価格は提案の前営業日である2023年11月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値693円に対して17.17%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値655円に対して23.97%、直近3ヶ月間の終値単純平均値629円に対して29.09%、直近6ヶ月間の終値単純平均値591円に対して37.39%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

これらの協議・交渉の結果、2023年11月8日、当社が6回目の提案を受諾したことを受けて、2023年11月10日付で、公開買付者はいすゞ自動車との間で本二者間契約書を締結し、本買付価格変更前の本公開買付価格を812円、本買付価格変更前の当社自己株式取得価格を677円とすることで合意に至ったとのことです。

その後、公開買付者は、2023年11月13日から本公開買付けを開始しましたが、当社の株主の皆様による本公開買付けへの応募状況及び今後の応募の見通しを総合的に考慮し、当社の株主の皆様に本買付価格変更前の本公開買付価格より高い金額での売却機会を提供し、本公開買付けの成立の確度を高めるため、2023年12月25日に当社に対して本買付価格変更を行う旨の意向を示し、同日、本公開買付けの開始以降の当社株式の市場株価水準を考慮し、本公開買付価格を812円から850円に変更する本買付価格変更を決定したとのことです。なお、公開買付者は、本買付価格変更後の本公開買付価格を最終的なものとし、今後、本公開買付価格を変更しないことの決定をしたとのことです。また、これに伴い、法令に基づき、公開買付期間を公開買付届出書の訂正届出書の提出日である2023年12月25日から起算して10営業日を経過した日に当たる2024年1月15日まで延長することとしたとのことです。

なお、本買付価格変更後の本公開買付価格(850円)は、本公開買付けの公表日の前営業日である2023年11月9日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値685円に対して24.09%、同日までの直近1か月間の終値単純平均値657円に対して29.38%、直近3か月間の終値単純平均値631円に対して34.71%、直近6か月間の終値単純平均値593円に対して43.34%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、また、公開買付者が本買付価格変更を決定した2023年12月25日の前営業日である2023年12月22日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値841円に対して1.07%、更に、本公開買付けの公表日である2023年11月10日から公開買付者が本買付価格変更を決定した2023年12月25日の前営業日である2023年12月22日までの間の終値単純平均値828円に対して2.66%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

 

なお、公開買付者は、本買付価格変更後の本公開買付価格を決定するにあたり、第三者算定機関からの株式価値算定書を取得していないとのことです。

 

(ⅱ)本取引後の経営方針

スパークスは、本取引の完了後においては、国内外の企業等への投資経験を基に、当社グループの経営リソースが不足している領域を中心に、スパークスグループ及びその投資先ネットワークの投資実績に基づく知見を最大限活用し、当社のさらなる企業価値向上に資する支援を実施する予定とのことです。

具体的には当社の各事業において、以下の施策を計画しているとのことです。

(A)鋳造事業

公開買付者は、鋳造事業においては、EV化(注1)による商用車向けビジネスの縮小が予想されると考えており、カーボンニュートラル対応や、生産ラインの自動化及び省力化への対応が可能な事業者による市場の寡占化が進むものと考えているとのことです。そのような事業環境において、公開買付者は、当社グループが有する研究開発から製造まで一貫した鋳造技術及び日本の鋳造業界におけるトップクラスの規模の生産能力を背景としたコスト競争力を活かし、寡占市場における占有率を高めて規模を維持することにより、いわゆる「残存者利益」の確保を目指すとのことです。また、公開買付者は、成長産業である産業機械・産業用ロボット市場を新たな収益の柱とするとともに、選択と集中を進め、事業ポートフォリオの再構築に取り組む方針であり、当社の北上工場において、産業機械・産業用ロボット製品専用の新工場・大型造型ライン新設も予定しており、EV化による商用車向けビジネスの縮小・カーボンニュートラル等の環境問題への対応を見据えた将来の成長のための生産体制・拡販活動を目指すとのことです。公開買付者は、当社の北上工場の立上げに際しては、スパークスグループの有するネットワークを活かした、専門家の紹介やスタートアップとの協業も検討するとのことです。具体的には、公開買付者は、北上工場の生産ラインの自動化及び省力化を企図した製造設備レイアウトの検討や、カーボンニュートラル達成に向けた計画策定・実行についての外部アドバイザーの知見活用、温室効果ガス排出削減に有効な技術の探索等の支援を想定しているとのことです。

(注1) 「EV」とは、エレクトリックビークル(Electric Vehicle)の略称で、自宅や充電スタンド等で車載バッテリーに充電を行い、モーターを動力として走行する電気自動車を意味するとのことです。

 

(B)鍛造事業

公開買付者は、当社グループは、乗用車用の小型部品から商用車用の大型部品まで幅広くカバーすることが可能な多種多様な設備を有していると考えており、商用車用の大型部品においては大型プレス機活用による効率生産を追求することでコスト競争力を強化し、また顧客の電動化対応に追随し、HV(注2)及びEV向けの電動化商品の受注拡大を目指すとのことです。さらに、公開買付者は、自動車産業向け製品開発で培った競争力を活かした他分野への参入を目指しており、産業用ロボット向け部品の受注拡大にも取り組む方針とのことです。

(注2) 「HV」とは、ハイブリッドビークル(Hybrid Vehicle)の略称で、エンジンとモーター、2つの動力を搭載し走行するハイブリッド自動車を意味するとのことです。

 

(C)機械加工・組立事業

公開買付者は、当社グループによる、駆動系を中心とした自社開発ユニット製品の拡販を推し進めるとともに、商用車向けe-Axle(注3)及びe-PTO(注4)の開発を加速させ、高効率化・モジュール化による高付加価値商品でEV関連事業の創出及び環境規制対応の推進を目指すとのことです。公開買付者は、より効果的かつ早期の推進のため、スパークスグループの有するネットワークを活かした、専門家の紹介や、スパークスの投資先を含めた有力企業との事業提携、その他、当社を主体とした業界内での協業やM&Aの活用も検討するとのことです。また、公開買付者は、人材面においてはモーター・インバータ開発に係る人材獲得が注力課題となると考えているとのことであり、人材派遣を受けることも検討するとのことです。また、公開買付者は、素材開発においてはパワー半導体や高性能モーターを手掛けるスタートアップとの協業を想定しているとのことです。

(注3) 「e-Axle」とは、EV等モーターを主動力とする自動車向けのモーター、インバータ、ギア、冷却機構等を組み合わせたシステムとして、パッケージ化した電動駆動モジュールを意味するとのことです。

 

(注4) 「e-PTO」とは、エレクトリックパワーテイクオフ(Electric Power Take Off)の略称で、エンジンやモーターからの動力取り出し装置を意味するとのことです。

 

また、公開買付者は、いすゞ自動車向けの既存事業の深化を通じて培われる電動化ユニットの競争力やモジュール提案力を梃とした商圏の拡大や、国内商用車サプライヤー再編や協業の中核としてM&Aを積極的に実施していくことで、グローバルに競争力のある商用車サプライヤーとしての地位拡大を目指すとのことです。なお、公開買付者は、ロボットプログラミング、ソフトウェア活用、データ分析、AI技術活用等のデジタルトレーニングをはじめとした人材への投資を必要に応じて検討するとのことであり、従業員のモチベーションの維持・向上や優秀な人材の採用に繋げていくことが、事業変革を推進する上で重要であると想定しているとのことです。

 

また、現時点で、スパークスとしては、本取引の完了後において、日本モノづくり未来ファンドが指名する者6名を当社の取締役として選任すること、日本モノづくり未来ファンドが指名する者1名を当社の代表取締役として選定すること、及び、日本モノづくり未来ファンドが指名する者1名を当社の監査役として選任することを予定しておりますが、その具体的な候補者等については未定とのことです。また、公開買付者は、本株主間契約に基づいて、本取引の完了後に、いすゞ自動車が指名する者3名を当社の取締役として選任することを予定しておりますが、その具体的な候補者等については未定とのことです。本株主間契約の詳細については、下記「(7)本公開買付けに関する重要な合意」をご参照ください。なお、本取引の完了後における当社の従業員の雇用は原則として維持する方針とのことですが、現時点で決定している事項はなく、本取引の完了後、当社との間で協議・検討の上、方針を決定する予定とのことです。

 

 

③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ)公開買付者からの提案、検討体制の構築及び検討・交渉の経緯

上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本取引後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」の「(B)スパークス及び公開買付者、当社並びにいすゞ自動車との協議、公開買付者による意思決定の過程」に記載のとおり、2022年2月10日に、スパークスからいすゞ自動車に対して、本取引の実施による、当社株式の非公開化の意義に関する初期的な提案を行ったとのことであり、その後、いすゞ自動車内での検討が進められたとのことです。当社においては、いすゞ自動車から当該初期的提案についての情報共有を受け、2022年7月中旬以降、同提案に対する当社の対応方針を継続検討して参りました。そして、2022年8月22日にいすゞ自動車も同席の下で、スパークスから当社に対して直接、非公開化に係る初期的な提案が実施されました。これを受け、当社は、スパークスとの協働の可能性をより具体的に検討するため、2022年9月21日に、スパークス及びいすゞ自動車との間で機密保持契約を締結しました。その後、2022年11月10日に、スパークスから当社及びいすゞ自動車に対して、当社の経営計画の内容等をもとに、2022年8月22日に実施した提案をさらに具体化した内容の再提案がされました。

そして、2022年12月28日に、当社、いすゞ自動車及びスパークス間にて協議を行い、スパークスグループによる本取引後の経営方針等について説明を受け、今後、当社の成長戦略を確実に実行するにあたり当社が果たすべき経営課題、経営施策等を遂行する上で、スパークスグループのネットワークを活用することが有益である可能性があったことから、当社からスパークスに対して、当社としても本取引の実施の可能性につき、検討する旨を回答しました。これを受け、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本取引後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」の「(B)スパークス及び公開買付者、当社並びにいすゞ自動車との協議、公開買付者による意思決定の過程」に記載のとおり、スパークスは、2023年1月31日付で、当社に対して、スパークスが当社株式の取得について関心を有している旨の本初期的提案書を提出いたしました。本初期的提案書においては、本公開買付価格に関する提案はされず、取引条件については追って提示するとの説明がされておりましたが、当社は、本初期的提案書の内容を精査し、今後、当社の成長戦略を確実に実行するにあたり当社が果たすべき経営課題、経営施策等を遂行する上で、スパークスグループのネットワークを活用することが有益である可能性があったことから、2023年1月31日より、本取引の検討を開始しました。

その後、当社は、2023年2月10日に開催された定例取締役会において、(a)公開買付者との取引条件の協議や各種手続等について助言を受けること及び当社の株式価値の検討・算定を依頼することを目的として、みずほ証券を公開買付関連当事者から独立したフィナンシャル・アドバイザーとして(注1)、(b)本取引の検討に際し必要な法的助言を受けること等を目的として、T&K法律事務所を公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして選任するとともに(注2)、(c)本取引の公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保するために、特別委員会(以下「旧特別委員会」といいます。)を設置し、本取引に関する提案を検討するための体制を整備しました。旧特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。

 

(注1) みずほ証券は公開買付関連当事者の関連当事者には該当しておりません。なお、みずほ証券のグループ企業であるみずほ銀行は公開買付者に対して買付融資等を行うことを予定している他、日本モノづくり未来ファンドの有限責任組合員及び当社の株主たる地位を有しており、また、当社、いすゞ自動車及びスパークスに対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を実施しております。みずほ証券のグループ会社であるみずほ信託銀行株式会社(以下「みずほ信託銀行」といいます。)は、いすゞ自動車に対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を実施しております。もっとも、みずほ証券によれば、みずほ証券は法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号、その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券と、みずほ銀行及びみずほ信託銀行との間の情報隔離措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の株主並びにみずほ銀行及びみずほ信託銀行の貸付人としての地位とは独立した立場で当社の株式価値算定を行っているとのことです。当社は、みずほ証券の算定機関としての実績に加え、みずほ証券と、みずほ銀行及びみずほ信託銀行との間において適切な弊害防止措置が講じられていること等を鑑み、本取引におけるフィナンシャル・アドバイザーとして職務を行うにあたり十分な独立性が確保されており、当社がみずほ証券に対して当社株式の株式価値算定を依頼することに関し、特段の問題はないと判断しております。なお、本取引に係るみずほ証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりみずほ証券を当社のフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

(注2) 本取引に係るアドバイザーを正式に選任するにあたっては一定の費用が発生することから、当社は、スパークスから本初期的提案書の提出を受けたことをもって、2023年2月10日に開催された当社の定例取締役会においてフィナンシャル・アドバイザーとしてみずほ証券を、リーガル・アドバイザーとしてT&K法律事務所を選任することを決議いたしましたが、2022年7月中旬にスパークスからの初期的な提案に対する当社の対応方針の検討を開始して以降、本取引に係るアドバイザーが正式に選任されるまでの間も、みずほ証券及びT&K法律事務所に対して、必要に応じて本取引に関する相談を行っておりました。

 

当社は、みずほ証券及びT&K法律事務所の助言を受けながら、本デュー・ディリジェンスにおける質問事項に対する回答等の対応を行いながら、2023年2月中旬から2023年4月中旬までの間、スパークス及びいすゞ自動車と本取引の実施及び取引ストラクチャーの詳細を含めた取引条件について協議・交渉を重ねるとともに、旧特別委員会における検討を行っておりました。そして、2023年4月7日、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本取引後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」の「(B)スパークス及び公開買付者、当社並びにいすゞ自動車との協議、公開買付者による意思決定の過程」に記載のとおり、スパークスから、本デュー・ディリジェンス、当社の事業計画及び市場株価を踏まえ、当社株式の株式価値総額を約263億円とし、具体的な本公開買付価格及び当社自己株式取得価格については当社及びいすゞ自動車から提供された資料等に基づき、別途提示する旨を提案されました。また、本公開買付けの開始は2023年5月中旬の予定とする旨も併せて提案されました。当該提案を受けて2023年4月10日に開催された旧特別委員会において、スパークスからの提案内容を検討した結果、旧特別委員会としては、株式価値総額での提示ではなく、本公開買付価格と当社自己株式取得価格が区別された上で、本公開買付価格提案を受けてから改めて検討したい旨、及び、株式価値総額の評価としても十分な水準にあると評価できない旨の意見が示されたため、当社からスパークスに対し、旧特別委員会の当該意見を踏まえ、本公開買付価格提案を要請する旨の連絡をしました。これに対し、スパークスは、本公開買付価格提案にあたっては、さらなる検討期間を確保する必要があると考えたとのことです。そして、2023年4月下旬、当社及びいすゞ自動車は、スパークスより、当初2023年5月中旬に予定していた本公開買付けの開始を2023年8月に予定されている当社の四半期決算公表時に延期することについての伝達を受け、これに同意する旨の連絡をしました。

 

その後も、スパークスにおいて取引ストラクチャーを含む取引条件について検討を進めていたとのことですが、スパークスから当社に対して、延期後の想定スケジュールどおりに本公開買付価格提案がなされず、本取引の検討が延期後の想定より長期化していました。当社としては、今後、当社の成長戦略を確実に実行するにあたり当社が果たすべき経営課題、経営施策等を遂行する上で、スパークスグループの有するネットワークを活かした専門人材の派遣/活用・スタートアップ等の企業との提携/協業を通じて、既存内燃機関部品製造における生産管理の強化・体質の改善、商用車用電動化領域での研究開発支援、電動化に伴う事業ポートフォリオの再構築に多くの貢献が得られる可能性があると考えられたため、本取引を前向きに検討する意向がありました。一方で、スパークスから本公開買付価格提案がなされないまま本取引の検討が長期化していたことに伴い、当社の情報管理の観点から、さらに本取引の検討を延長することは難しかったため、本取引の検討を終了せざるを得ないと判断し、当社は、2023年8月9日に開催された定例取締役会において本取引の検討を終了する旨を決定し、2023年8月10日、スパークスに対し、本取引の検討を終了した旨の連絡をしました。

その後、当社は、2023年8月21日にスパークスから取引のストラクチャー及びスケジュールについての検討状況の共有を受け、検討の再開を依頼されました。これを受け、当社は、本取引の検討再開を行うためには、少なくとも、スパークスが当社株式の取得について関心を有している旨の初期的な提案書の再提出を受け、改めて当社の検討体制を整備する必要があるという考えの下、2023年9月5日、スパークスに対し、かかる初期的な提案書の再提出を要請いたしました。その後、2023年9月14日、スパークスから、本初期的再提案書を再度受領いたしました。本初期的再提案書においては、本公開買付価格に関する提案はされず、取引条件については追って提示するとの説明がされておりましたが、当社は、本初期的再提案書の内容を精査し、スパークスが提案する本取引のスキームに相応の合理性と実現可能性があると判断し、また、上記のとおり、今後、当社の成長戦略を確実に実行するにあたり当社が果たすべき経営課題、経営施策等を遂行する上で、スパークスグループのネットワークを活用することが有益である可能性があったことから、2023年9月28日に開催された定例取締役会において、本取引の検討再開を決定するとともに、(a)公開買付者との取引条件の協議や各種手続等について助言を受けること及び当社の株式価値の検討・算定を依頼することを目的として、みずほ証券を公開買付関連当事者から独立したフィナンシャル・アドバイザーとして、(b)本取引の検討に際し必要な法的助言を受けること等を目的として、T&K法律事務所を公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとして選任し(注3)、また、(c)本取引の公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保するために、本特別委員会を設置し、本取引に関する提案を検討するための体制を整備しました。本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。

(注3) 本取引に係るアドバイザーを正式に選任するにあたっては一定の費用が発生することから、当社は、スパークスから本初期的再提案書の提出を受けたことをもって、2023年9月28日に開催された定例取締役会においてフィナンシャル・アドバイザーとしてみずほ証券を、リーガル・アドバイザーとしてT&K法律事務所を選任することを決議いたしましたが、2023年8月9日に開催された定例取締役会において本取引の検討を終了する旨の決定がされて以降も、2023年8月21日にスパークスから取引のストラクチャー及びスケジュールについての検討状況の共有を受け、検討の再開を依頼されたことを受け、2023年9月28日までの間、必要に応じて本取引に関する相談を行っておりました。

 

 

その後、当社は、スパークスに対し、2023年9月28日、本取引の再検討を行う旨の連絡をし、スパークス及びいすゞ自動車との協議・交渉を重ねておりましたところ、2023年10月16日、スパークスより、本公開買付価格を730円とする初回の提案を受けました。初回の提案価格は提案の前営業日である2023年10月13日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値669円に対して9.12%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値666円に対して9.61%、直近3ヶ月間の終値単純平均値615円に対して18.70%、直近6ヶ月間の終値単純平均値577円に対して26.52%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。なお、2023年10月16日、スパークスは、本公開買付価格の最大化の観点から、当社の借入余力について検討し、今後の設備投資計画及び資金調達も鑑み、当社の借入余力が最大限に活用される、融資を活用した本取引の取引ストラクチャーが最良であると判断したとのことです。スパークスは、当該ストラクチャーを採用することで投資ファンドとしてのスパークスの投資リターンに対する責任を確保しつつ、本公開買付価格の最大化に繋げることが可能となると考えているとのことです。その後、初回の提案について、2023年10月20日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、みずほ証券による、2023年10月20日時点における、当社株式価値の試算結果や、類似事例におけるプレミアム水準等に照らすと、本特別委員会でのさらなる検討に値する十分な価格に至っていないとして、公開買付価格の再提案の要請をいたしました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年10月20日、当社に対して、本公開買付価格を760円とする2回目の提案を実施いたしました。2回目の提案価格は提案の前営業日である2023年10月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値638円に対して19.12%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値663円に対して14.63%、直近3ヶ月間の終値単純平均値618円に対して22.98%、直近6ヶ月間の終値単純平均値580円に対して31.03%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。2回目の提案について、2023年10月25日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、みずほ証券が実施した、2023年10月25日時点における、当社株式価値の試算結果のうち、当社が重視するDCF法のレンジの相当程度上方の価格とする必要性、本取引に類似する他社事例におけるプレミアム水準である30%~40%を超える水準を確保する必要性及び可能な限り当社の少数株主の利益に配慮する必要性があるとして、公開買付価格の再提案を要請いたしました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年10月27日、当社に対して、本公開買付価格を785円とする3回目の提案を実施いたしました。3回目の提案価格は提案の前営業日である2023年10月26日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値622円に対して26.21%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値653円に対して20.21%、直近3ヶ月間の終値単純平均値620円に対して26.61%、直近6ヶ月間の終値単純平均値584円に対して34.42%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。3回目の提案について、2023年10月31日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、みずほ証券が実施した、2023年10月31日時点における当社株式価値の試算結果のうち、当社が重視するDCF法のレンジの中央値より相当程度は上方の価格とする必要性、提案の前営業日、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値、直近6ヶ月間の終値単純平均値の全ての期間において、それぞれの参照期間に対して30%程度のプレミアム水準を確保し、本取引に類似する他社事例におけるプレミアム水準に比して遜色ない水準とする必要性があるとして、公開買付価格として835円とするべきという要請を行いました。

当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年11月2日、当社に対して、本公開買付価格を805円とする4回目の提案を実施いたしました。4回目の提案価格は提案の前営業日である2023年11月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値679円に対して18.56%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値649円に対して24.04%、直近3ヶ月間の終値単純平均値623円に対して29.21%、直近6ヶ月間の終値単純平均値588円に対して36.90%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。4回目の提案について、2023年11月6日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、少数株主の利益へのさらなる配慮の観点、当該時点の株式市場全体及び当社株価推移の状況も鑑み、公開買付価格として825円以上とするべきという要請を行いました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年11月7日、当社に対して、本公開買付価格を808円とする5回目の提案を実施いたしました。5回目の提案価格は提案の前営業日である2023年11月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値691円に対して16.93%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値653円に対して23.74%、直近3ヶ月間の終値単純平均値627円に対して28.87%、直近6ヶ月間の終値単純平均値590円に対して36.95%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。5回目の提案について、2023年11月8日、当社及び本特別委員会は、スパークスに対し、本特別委員会における協議を踏まえ、少数株主の利益へのさらなる配慮の観点、当該時点の株式市場全体及び当社株価推移の状況も鑑み、公開買付価格として815円以上とするべきという要請を行いました。当社からのかかる要請を受け、スパークスは本公開買付価格の引き上げについて検討を行ったとのことであり、2023年11月8日、当社に対して、本公開買付価格を812円とする6回目の提案を実施いたしました。6回目の提案価格は提案の前営業日である2023年11月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値693円に対して17.17%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値655円に対して23.97%、直近3ヶ月間の終値単純平均値629円に対して29.09%、直近6ヶ月間の終値単純平均値591円に対して37.39%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

これらの協議・交渉の結果、2023年11月8日、当社が6回目の提案を受諾したことを受けて、2023年11月10日付で、公開買付者はいすゞ自動車との間で本二者間契約書を締結し、本買付価格変更前の本公開買付価格を812円、本買付価格変更前の当社自己株式取得価格を677円とすることで合意に至ったとのことです。

以上の検討・交渉過程において、本特別委員会は、当社や当社のフィナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーから都度報告を受け、本公開買付けの条件について意見を述べることにより交渉過程に実質的に関与しました。また、スパークスから提示された本公開買付価格の確認及び当該価格に対する意見の申述等を行った他、当社が作成した当社の2024年3月期から2028年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」という。)の内容及び作成経緯等について確認を行い、その合理性について確認しました。また、当社のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券は、スパークスとの交渉にあたっては、本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っており、また、スパークスから提案・要請に対する回答を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その指示に従って対応を行いました。

当社は、このような協議・検討の過程において、下記「(3)算定に関する事項」の「① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係」に記載のとおり、みずほ証券に対し、当社株式の価値算定を依頼し、2023年11月9日付でみずほ証券から株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)を取得しました。当社株式価値算定書の詳細は、下記「(3)算定に関する事項」の「② 算定の概要」をご参照ください。また、当社は、T&K法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2023年11月9日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)。

 

(ⅱ)当社の意思決定の内容

以上の経緯の下で、当社は、2023年11月10日開催の当社取締役会において、T&K法律事務所から受けた法的助言、みずほ証券から受けた財務的見地からの助言及び当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会における検討及び本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る諸条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、今後、成長戦略を確実に実行するにあたり当社が果たすべき経営課題、経営施策等を慎重に検討した結果、本公開買付けを含む本取引により、スパークスグループの有するネットワークを活かした専門人材の派遣/活用・スタートアップ等の企業との提携/協業を通じて、既存内燃機関部品製造における生産管理の強化・体質の改善、商用車用電動化領域での研究開発支援、電動化に伴う事業ポートフォリオの再構築に多くの貢献が得られるものと判断しました。特に、鋳鍛品を製造する当社にとって喫緊の課題である環境問題については、産業機械・産業用ロボット等向け鋳造品の環境配慮型新工場の建設をはじめ多くの関連領域でのあらたな知見の獲得の支援をスパークスから得られると判断しました。当社といたしましては、上記を背景に産業機械・産業用ロボット等向けの鋳造事業を成長戦略の柱として注力して参ります。当社は、以上の点を踏まえ、本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。さらに、本取引に伴い、親会社であるいすゞ自動車が当社自己株式取得の実施後一時的に当社の直接の株主でなくなることが予定されておりますが、当社としては、いすゞ自動車は、本再出資により、当社の完全親会社となる予定の公開買付者の普通株式を保有することを通じて実質的に当社の株主として残存し、公開買付者及び当社が本合併を行うことで当社の株式を直接に保有することになる想定であることを踏まえ、資本関係を含むいすゞ自動車との従前の取引関係を維持しつつ、いすゞ自動車の連結子会社ではなくなり、他の自動車製造事業者向けにも開けた会社となることによる当社の企業価値の向上がいすゞ自動車の利益にも繋がることから、本取引後においても、いすゞ自動車から当社の経営に対する協力・協働を期待することができると考えており、いすゞ自動車が一時的に当社の直接の株主ではなくなることが当社の企業価値向上にとってデメリットになるものではないと考えております。

 

また、本買付価格変更前の本公開買付価格(812円)は、(a)下記「(3)算定に関する事項」の「② 算定の概要」に記載されているみずほ証券による当社株式の株式価値算定結果において、市場株価基準法に基づく算定結果の下限を上回るものであり、かつ、DCF法の算定結果の中央値の数値を上回るものであること、(b)本買付価格変更前の本公開買付価格が、本公開買付けの公表日である2023年11月10日の前営業日である同月9日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値685円に対して18.54%のプレミアムを加えた価格、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値657円に対して23.59%、直近3ヶ月間の終値単純平均値631円に対して28.68%、直近6ヶ月間の終値単純平均値593円に対して36.93%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となっており、過去に行われた完全子会社化を目的とした発行者以外の者による公開買付けの事例との比較においても相応のプレミアムが付されていると考えられること、(c)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置等の公正性を担保するための措置が取られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記措置がとられた上で、スパークスと当社との間で、協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、(e)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、当社が本特別委員会から取得した本答申書においても、本買付価格変更前の本公開買付価格は合理的な水準にあると評価できると判断されていること等を踏まえ、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断しました。なお、本買付価格変更前の本公開買付価格は、当社の2023年9月30日現在の簿価純資産から算出した1株当たり簿価純資産額(1,767円)を下回っておりますが、資産売却等の困難性や清算に伴う相応な追加コストの発生等を考慮すると、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、相当程度棄損することが見込まれます(具体的には当社の貸借対照表(2023年9月30日現在)上、建物及び構築物15,194百万円、機械装置及び運搬具26,025百万円等(総資産152,966百万円の内、26.9%相当)に相当程度の毀損が見込まれます。なお、当社においては、実際に清算を予定しているわけではないため、清算を前提とする見積書の取得や具体的な試算等は行っておりません。)。また、上記のとおり、当社は少数株主の利益に最大限配慮する観点より交渉を行いましたが(その結果、当初の提案価格730円に基づく株価純資産倍率(PBR)が0.41倍であったところ、本買付価格変更前の本公開買付価格に基づく株価純資産倍率(PBR)は0.46倍となっております。)、純資産額は会社の清算価値を示すものであり、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の価値算定において重視することは合理的でないと考えております。

以上のとおり、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断し、2023年11月10日開催の当社取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。

なお、上記当社取締役会における決議の方法については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

 

その後、当社は、2023年12月25日に公開買付者より本買付価格変更を行う旨の意向を示されたことを受け、本買付価格変更に関して慎重に協議及び検討を行いました。そして、当社は、公開買付者が本買付価格変更を決定したことを受けて、本買付価格変更及び本特別委員会の2023年12月25日付答申書(以下に定義します。以下同じです。)を踏まえ、2023年12月25日開催の取締役会において、(i) 本買付価格変更前の本公開買付価格を検討するにあたり前提とした本事業計画における収益や投資計画等の情報に重大な変更がなく、その他当社の株式価値の変更を生じさせ得る事情は発生していないこと、(ii)本公開買付けによりその公表前に比べて相応のプレミアムが付された価格で全株主が当社株式の売却が可能となること等から、本買付価格変更後の本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断するに至ったことから、本買付価格変更後の本公開買付けにおいても、引き続き、当社意見表明報告書において既に公表されている意見、すなわち、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を維持することを決議しました。

 

(3) 算定に関する事項

① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、スパークスから提示された本公開買付価格に関する当社における意思決定過程の恣意性を排除し、本公開買付価格の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるみずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、みずほ証券から、2023年11月9日付で当社株式価値算定書を取得しました。

当社は、本公開買付けに係る買付条件等の変更に関する意見表明を検討するにあたり、当社株式価値算定書において前提とした本事業計画における収益や投資計画等の情報に重大な変更がないことから、新たに当社株式の株式価値に関する株式価値算定書は取得しておりません。

なお、みずほ証券は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が講じられており、本取引における公正性が十分に担保されていると判断したことから、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

 

② 算定の概要

みずほ証券は、本公開買付けにおける当社株式の価値算定にあたり必要となる情報を収集・検討するため、当社の経営陣から事業の現状及び将来の見通し等の情報を取得して説明を受け、それらの情報を踏まえて、当社株式の価値算定を行いました。みずほ証券は、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、市場株価基準法、類似企業比較法及びDCF法を採用して、当社株式の価値を算定しております。みずほ証券が上記各手法に基づき算定した当社株式の1株当たりの価値はそれぞれ以下のとおりです。

市場株価基準法       593円から685円

類似企業比較法       217円から565円

DCF法                556円から839円

市場株価基準法では、2023年11月9日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の普通取引の基準日における終値685円、直近1ヶ月間の終値単純平均値657円、直近3ヶ月間の終値単純平均値631円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値593円をもとに、当社株式の1株当たりの価値の範囲を593円から685円までと算定しております。

類似企業比較法では、当社と比較的類似性があると判断される事業を営む上場企業の市場株価及び収益性等を示す財務指標との比較を通じて、当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を217円から565円までと算定しております。

DCF法では、本事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として2024年3月期第二四半期以降に当社が将来創出されると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、第二四半期以降に一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を556円から839円と算定しております。

なお、本事業計画については、本特別委員会が当社との間で質疑応答を行うとともに、本特別委員会がその内容や前提条件等の合理性を確認しました。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、上場維持コストの削減効果を除き、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味しておりません。

 

(4) 上場廃止となる見込み及びその事由

当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しておりますので、その場合、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。

 

(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(但し、本不応募株式及び本自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。

具体的には、公開買付者は、会社法第180条に基づき当社株式に係る本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2024年3月頃に開催することを、本公開買付けの決済完了後速やかに当社に要請する予定であるとのことです。当社は、当該要請に応じる予定です。公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会をできるだけ早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日後の近接する日(本書提出日現在では、2024年1月下旬を予定しているとのことです。)が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定とのことです。なお、公開買付者及びいすゞ自動車は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定であるとのことです。

本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令に定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。公開買付者は、当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主の皆様(公開買付者、当社及びいすゞ自動車を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社に対して、公開買付者及びいすゞ自動車のみが当社株式の全て(但し、本自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、当社及びいすゞ自動車を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。

株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、当該株式併合に反対する当社の株主は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、当社及びいすゞ自動車を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

本株式併合に係る各手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、当社及びいすゞ自動車を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です(仮に公開買付者の所有する当社株式数を上回る株式を所有する株主が出現した場合には、公開買付者は、いすゞ自動車等と協議の上、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」「① 本公開買付けの概要」の「(iii)本公開買付けの実施後」に記載した本取引後の資本関係を実現すべく、対応する予定であるとのことです。)。

本株式併合が2024年6月30日までに効力発生することが見込まれる場合には、公開買付者は、当社に対し、本株式併合の効力が発生していることを条件として2024年3月期に係る当社の定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)で権利を行使することができる株主を、本株式併合の効力発生後の本定時株主総会の時点における株主とするため、定時株主総会の基準日の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを要請する予定とのことです。そのため、当社の2024年3月31日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても、本定時株主総会において権利を行使することができない可能性があるとのことです。

本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ないとのことです。また、本公開買付けへの応募又は上記の手続における税務上の取扱いについては、株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

なお、公開買付者は、本取引の完了後に、本合併を実施することを予定しているとのことです。なお、本合併の具体的な日程等の詳細については未定とのことです。

 

(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

当社及び公開買付者は、公開買付者と当社の支配株主(親会社)であるいすゞ自動車との間で、いすゞ自動車が本不応募株式について本公開買付けに応募しないことを含む本二者間契約書が締結されていること、及び、当社において本不応募株式を取得する当社自己株式取得を実施すること等が想定されていること等から、いすゞ自動車と当社の一般株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを踏まえ、本公開買付けの公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避すべく、公開買付者及び当社は以下の措置を講じております。なお、公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由 ①本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社の親会社であるいすゞ自動車が当社株式20,261,828株(所有割合:43.19%)を所有しているところ、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると本公開買付けの成立が不安定なものとなり、かえって本公開買付けへの応募を希望する当社の少数株主の皆様の利益に資さない可能性があると考え、本公開買付けにおいて、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定しないことといたしました。もっとも、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置として、以下の措置を実施していることから、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えております。

また、以下の記載のうち、公開買付者に関する記載は、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

上記「(3)算定に関する事項」の「① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係」に記載のとおり、当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、スパークスから提示された本公開買付価格に関する当社における意思決定過程の恣意性を排除し、本公開買付価格の公正性を担保するために、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるみずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、みずほ証券から、2023年11月9日付で当社株式価値算定書を取得しております。

当社は、本公開買付けに係る買付条件等の変更に関する意見表明を検討するにあたり、当社株式価値算定書において前提とした本事業計画における収益や投資計画等の情報に重大な変更がないことから、新たに当社株式の株式価値に関する株式価値算定書は取得しておりません。

当社株式価値算定書の概要については、上記「(3)算定に関する事項」の「② 算定の概要」をご参照ください。

 

② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得

当社取締役会は、本取引の公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避するために、2023年9月28日に開催された当社定例取締役会決議により、東京証券取引所に独立役員として届け出ている当社の社外取締役であり、本取引を検討する専門性・適格性を有すると判断される織田秀明氏、土屋市郎氏及び川本英利氏、並びに公開買付関連当事者から独立性を有し、本取引を検討する専門性・適格性を有すると判断される鈴木健太郎氏(弁護士、柴田・鈴木・中田法律事務所)及び松本久幸氏(公認会計士、株式会社Stand by C)の5名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置しました。なお、本特別委員会の委員は、設置当初から変更しておらず、また、互選により、本特別委員会の委員長として鈴木健太郎氏を選定しております。本特別委員会の委員の報酬は、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定額により又は時間単位の報酬を支払うものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は採用しておりません。

そして、当社は、同取締役会において、本特別委員会に対し、本公開買付けに対して当社が表明すべき意見の内容を検討する前提として、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含みます。以下同じです。)、(ⅱ)本取引の取引条件(本取引により当社の株主に交付される対価を含みます。以下同じです。)の妥当性、(ⅲ)本取引に係る交渉過程等の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含みます。以下同じです。)、(ⅳ)(ⅰ)乃至(ⅲ)を踏まえ、本取引の実施(本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含みます。以下同じです。)が当社の少数株主にとって不利益なものでないか否か(以下「本諮問事項」と総称します。)について諮問し、これらの点に対する本答申書を当社取締役会に提出することを嘱託するとともに、当社取締役会は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うものとし、本特別委員会が本取引の目的又は取引条件が妥当でないと判断した場合には、本取引に賛同しないことを決議しました。

また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会に対し、(ⅰ)本諮問事項についての判断及び検討に必要な情報を収集・受領する権限、(ⅱ)本特別委員会が必要と判断する場合には自ら財務若しくは法務等のアドバイザーを選任し又は当社の財務若しくは法務等のアドバイザーを承認する権限、(ⅲ)本取引の取引条件等に関する当社による交渉について、事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと、並びに、当社及び当社の一般株主の利益を図る観点から、本特別委員会が必要と認める場合に、当該交渉を直接行うこと等により、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与する権限(以下「本権限」と総称します。)を付与することを決議しました。

本特別委員会は、2023年10月10日から2023年11月8日まで合計6回開催され、本諮問事項に関して、慎重に協議及び検討を行いました(注)。

(注) なお、当社は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本取引後の経営方針 (ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程 (B)スパークス及び公開買付者、当社並びにいすゞ自動車との協議、公開買付者による意思決定の過程」のとおり、2023年8月9日に開催された定例取締役会において、本取引の検討を終了する旨を決定しましたが、2023年2月10日に開催された定例取締役会において、本特別委員会と同様の委員から構成され、本権限を有する旧特別委員会を設置し、本諮問事項を諮問する旨を決議しており、旧特別委員会は、2023年2月10日から2023年7月12日まで合計8回開催され、当社及びスパークスの事業内容、本取引後の当社の経営方針、本事業計画の内容等について慎重に協議及び検討を行っており、本特別委員会は、旧特別委員会における検討状況を踏まえて、本諮問事項に関する協議及び検討を行っております。

 

具体的には、本特別委員会は、まず初回の本特別委員会において、当社が選任したフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、みずほ証券のフィナンシャル・アドバイザー業務を担当する部署と、みずほ銀行及びみずほ信託銀行との間で本取引に関する情報隔離措置等の適切な利益相反管理体制を構築しており、独立性及び専門性に問題がなく、リーガル・アドバイザーであるT&K法律事務所についても、独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ当社のフィナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーとして承認しました。その上で、本特別委員会は、当社から提出を受けた資料等の検討を行うとともに、当社から、当社の事業内容、業績及び財務状況、経営課題、本事業計画の策定過程及び内容、本取引の意義、目的及び背景、並びに本取引による当社事業への影響等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、スパークスから、本取引の検討・実施に至った経緯及び背景、本取引の目的及び意義、当社の完全子会社化が必要であると考える理由、本取引の実施により期待できる当社の企業価値の向上の内容、並びに本取引後に予定している経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、当社から、スパークスと当社との間における本取引に係る交渉の経緯及び内容等の状況につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会において協議し、本公開買付価格につき、スパークスから812円という最終的な提案を受けるに至るまで、スパークスとの交渉過程に実質的に関与しております。また、本特別委員会は、みずほ証券による当社株式の価値評価の基礎ともなる本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について、当社から説明を受け、質疑応答を行った上で、これらの合理性を確認し、承認しております。また、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーであるT&K法律事務所から当社が得た、当社における本公開買付けを含む本取引の手続面における公正性を担保するための措置並びに本取引に係る当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の利益相反を回避するための措置の内容についての法的助言についても説明を受け、検討をしております。

本特別委員会は、以上の経緯の下、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2023年11月9日に、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。

(ⅰ)本諮問事項に対する本特別委員会の答申(結論)

(a)本取引の目的には正当性・合理性が認められる(諮問事項(ⅰ)に対する意見)。

(b)本取引に係る交渉過程等の手続には公正性が認められる(諮問事項(ⅲ)に対する意見)。

(c)本取引の取引条件の妥当性が認められる(諮問事項(ⅱ)に対する意見)。

(d)本取引の実施が当社の少数株主にとって不利益なものでないと考えられる(諮問事項(ⅳ)に対する意見)。

 

(ⅱ)意見の理由及び検討内容について

(a)本取引の目的の合理性

(ア)本取引の理由及び背景

当社が本取引を実施する理由及び背景の概要は以下のとおりである。

当社は、2023年11月9日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、連結子会社4社、非連結子会社1社及び関連会社2社で構成され、自動車、建設機械並びに産業車輛・機械業界等を需要先とした鍛造品、鋳造品及び機械加工・組立品の製造、販売を主な事業としている。

・当社グループを取り巻く経営環境は、国内では新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の減少、段階的な経済・社会活動の回復が進んだものの、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化等の地政学リスクに加え、中国経済の減速、資源価格・原材料高騰や物流費等のコスト上昇の影響による経済下振れリスクや金融資本市場の動向に注視する必要があり、依然として予断を許さない状況が続いている。一方、自動車業界においては100年に1度の大変革と言われているCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)の動きが加速している。足下の業績については、エネルギー・資材費用の高騰に加え、世界的な半導体不足に起因する得意先計画ボリュームの急激な変動、生産要員の確保に伴う労務費負担増により、十分な収益性を確保することが困難な状況である。これらの経営課題を解決するためには、機動的な資金調達、外部知見の導入等を通じた抜本的な経営改革が必要であり、そのために迅速な意思決定を可能とする体制整備が不可欠と認識している。他方で、これらの施策を実施することにより、先行費用や大規模な設備投資等、相応の時間及び資金を要するものと考えられるとともに、期待する効果の発現にも相応に時間を要する可能性もあり、短期的には当社の利益水準やキャッシュ・フローの悪化を招く可能性が考えられ、上場を維持したままで同様の施策を実施すれば、一時的に当社株式の価値に悪影響を及ぼすこと等も想定される。そのため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実施することは当社株主が負担するリスクが増大することも懸念されるため、相応の困難が伴うと考えている。

・以上を踏まえて、当社株主が短期的な悪影響を被ることなく当社株式を売却できる機会を提供するとともに、当社が短期的な業績にとらわれず中長期的な視点に立脚した成長戦略を実現するためには、当社は、非公開化し経営の改革を進めていくことが最適と認識している。

スパークスは、上記のような当社を取り巻く現在の事業環境を踏まえた検討の結果、素材加工一貫体制の強みを活かした既存製品の競争力の維持・向上、海外拠点を活用した商用車部品事業の海外展開に加え、産業機械・産業用ロボット向け鋳造品の拡販に向けた大規模先行投資を通じて競争優位性を確立し、鋳造事業ポートフォリオの再構築を行っていく必要性があるとの認識に基づき、生産設備等の拡大に向けた大規模な設備投資及び研究開発、DX領域への投資や将来を見据えた人材への投資、機動的なM&Aの実施等が必要であると考えている。スパークスは、これらの施策の実施には先行費用や設備投資等相応の時間及び資金を要し、当社が上場を維持したままでは株価や配当の観点から既存株主に負担となる可能性があることも認識している。

当社は、上記のようなスパークスの説明及びスパークスとの度重なる協議を踏まえて、今後、成長戦略を確実に実行するにあたり当社が果たすべき経営課題、経営施策等を慎重に検討した結果、本公開買付けを含む本取引により、スパークスグループの有するネットワークを活かした専門人材の派遣/活用・スタートアップ等の企業との提携/協業を通じて、既存内燃機関部品製造における生産管理の強化・体質の改善、商用車用電動化領域での研究開発支援、電動化に伴う事業ポートフォリオの再構築に多くの貢献が得られることが期待できると判断した。特に、鋳鍛品を製造する当社にとって喫緊の課題である環境問題については、産業機械・産業用ロボット等向け鋳造品の環境配慮型新工場の建設をはじめ多くの関連領域でのあらたな知見の獲得の支援をスパークスから得られると判断した。さらに、本取引に伴い、本自己株式取得の実施後、一時的に、いすゞ自動車は当社の直接の株主でなくなるが、本取引後においてもいすゞ自動車から当社の経営に対する協力・協働を期待できると考えている。

 

(イ)検討

本公開買付けを含む本取引の意義及び目的に係る当社担当者による説明には、いずれも不合理な点はなく、合理的な検討の結果と認められる。とりわけ、当社の経営課題を解決するためには機動的な資金調達、外部知見の導入等を通じた抜本的な経営改革が必要であり、そのために迅速な意思決定を可能とする体制整備が不可欠との前提で、当社及びスパークスが当社の課題及び今後の事業運営の方向性について共通認識を有していることを踏まえると、本取引が当社の企業価値向上に資するとの当社の判断は合理的であると考えられる。

なお、旧特別委員会は第3回特別委員会(2023年3月17日開催)において、また、本特別委員会は第2回特別委員会(2023年10月17日開催)において、それぞれ、スパークスの担当者に対するインタビューを実施し、大要、①スパークスの概要、②本取引の概要・背景、③当社に対する評価、④本取引後の経営戦略、⑤公開買付価格に関する方針、⑥資金調達、⑦本デュー・ディリジェンスを踏まえた当社の経営面に対する評価、⑧全社共通の具体的な施策と戦略の方向性及び⑨事業毎の環境認識と想定する戦略の方向性について説明を受けた。これらの説明中、本取引の実施にあたり指摘すべき問題点や懸念は特に見当たらなかった。

 

(ウ)小括

以上より、本取引の目的には合理性が認められると考える。

 

(b)諮問事項(ⅲ)本取引に係る交渉過程等の手続の公正性

本取引の取引条件の妥当性の前提として、まず本取引に係る交渉過程等の手続の公正性について検討する。

(ア)独立した特別委員会の設置・運用

本公開買付けは、支配株主による公開買付けには該当せず、かつ、いわゆるマネジメント・バイアウト取引にも該当しない。しかし、当社株式の非公開化後にいすゞ自動車が公開買付者に再出資することが予定されており、いすゞ自動車と当社の少数株主との利害が必ずしも一致しない可能性があることも踏まえ、当社では、本公開買付けの公正性を担保し、利益相反を回避するための措置として特別委員会である本特別委員会を設置したものである。当社の取締役会は、本特別委員会を設置するにあたり、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うものとし、本特別委員会が本取引の目的又は取引条件が妥当でないと判断した場合には、本取引に賛同しないことを決議している。

また、本特別委員会は、公開買付者又はスパークスとの間の協議及び交渉の方針について、当社及び当社のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券から適時に説明を受けた。本特別委員会は、本特別委員会において確認された方針に沿って当社と公開買付者及びスパークスとの間の交渉が行われたものと判断した。

その他、本公開買付価格に至る交渉過程への本特別委員会の関与の形態及び実質について指摘すべき事項や懸念は特に見当たらない。

 

(イ)当社担当者による協議、検討及び交渉に対する本特別委員会の評価

以下のとおり、当社担当者は、公開買付者、スパークス、当社並びにいすゞ自動車からの独立性が認められるフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券及びリーガル・アドバイザーであるT&K法律事務所から助言等を受けながら、当社の立場から当社の少数株主にも配慮しつつ、当社の企業価値向上ひいては株主共同の利益の観点から、当社の事業計画の策定及びこれに基づく企業価値の算定並びに本取引の目的の整理、本取引における各種手続を公正に進めるために必要な事項等に加え、本取引の一連の手続の公正性といった点についても慎重に検討しているものと認められる。

当社担当者は、スパークスとの間で、2022年9月以降、多数回にわたって本取引についての協議及び検討を重ねてきたところ、2023年4月7日付で、スパークスから、当社担当者に対して、当社株式の株式価値総額が約263億円であること、具体的な本公開買付価格については改めて提示する旨の提案(以下「旧提案」という。)がなされた(2023年4月7日付「貴社株式の取得条件等に関するご提案」)。

旧特別委員会は、当社担当者より、第5回特別委員会(2023年4月10日開催)において、旧提案について意見を求められた。その際旧特別委員会は、株式価値総額での提示ではなく、本公開買付価格提案を受けてから改めて検討したい旨、及び、株式価値総額の評価としても十分な水準にあると評価できない旨、当社担当者に全会一致の意見を述べた。しかしながら、スパークスからは本公開買付価格提案はなされず、2023年8月9日に開催された定例取締役会において、本取引の検討を終了する旨を決定した。

2023年9月28日に開催された定例取締役会において、本取引の検討再開が決定された後、2023年10月16日付で、スパークスから、当社担当者に対して、本公開買付価格を730円とする提案書(以下「第1回提案」という。)が示された(2023年10月16日付「貴社株式の取得条件等に関するご提案」)。

本特別委員会は、当社担当者より、2023年10月17日に開催された第2回特別委員会において、第1回提案に係る価格の妥当性について意見を求められた。これに対して、本特別委員会は、第1回提案に係る価格は、当社の第三者算定機関であるみずほ証券による当社株式価値の試算結果や、類似事例におけるプレミアム水準等に照らすと、本特別委員会でのさらなる検討に値する十分な価格に至っていないため、類似事例におけるプレミアム水準を十分に意識した公開買付価格の再提示を求めることが相当である旨、当社担当者に全会一致の意見を述べた。

 当社は、これを受けて、2023年10月20日付で、スパークスに対して、本公開買付価格の再提示を求めるよう申し入れた(2023年10月20日付「公開買付価格に関するご提案に対する回答書」)。

上記の当社からの申し入れを受けて、2023年10月20日付で、スパークスから、当社担当者に対して、本公開買付価格を760円とする提案書(以下「第2回提案」という。)が示された(2023年10月20日付「貴社株式の取得条件等に関するご提案」)。

本特別委員会は、当社担当者より、2023年10月25日に開催された第3回特別委員会において、第2回提案に係る価格の妥当性について意見を求められた。これに対して、本特別委員会は、①みずほ証券による当社株式価値の試算結果のうち、当社が重視するDCF法のレンジの相当程度上方の価格とする必要性及び②市場株価基準法に係る算定基準日、当該算定基準日からの1ヶ月平均、同3ヶ月平均及び同6ヶ月平均の4つの期間のそれぞれに対しても類似事例におけるプレミアム水準である30%~40%を超える水準を確保する必要性があり、これらを満たす水準の公開買付価格の再提示を求めるべきである旨、当社担当者に全会一致の意見を述べた

当社は、これを受けて、2023年10月25日付で、スパークスに対して、本公開買付価格の再提示を求めるよう申し入れた(2023年10月25日付「公開買付価格に関するご提案に対する回答書」)。

上記の当社からの申入れを受けて、2023年10月27日付で、スパークスから、当社担当者に対して、本公開買付価格を785円とする提案書(以下「第3回提案」という。)が示された(2023年10月27日付「貴社株式の取得条件等に関するご提案」)

本特別委員会は、当社担当者より、2023年10月30日に開催された第4回特別委員会において、第3回提案に係る価格の妥当性について意見を求められた。これに対して、本特別委員会は、①みずほ証券による当社株式価値の試算結果のうち、当社が重視するDCF法のレンジの中央値より相当程度は上方の価格とする必要性及び②市場株価基準法に係る算定基準日、当該算定基準日からの1ヶ月平均、同3ヶ月平均及び同6ヶ月平均の4つの全ての期間において、30%程度のプレミアム水準を確保し、類似事例におけるプレミアムに比して遜色ない水準とする必要性に鑑み、本公開買付価格を835円とする提案をすべき旨、当社担当者に全会一致の意見を述べた。 

 当社は、これを受けて、2023年10月31日付で、スパークスに対して、本公開買付価格を835円とするよう申し入れた(2023年10月31日付「公開買付価格に関するご提案に対する回答書」)。

・上記の当社からの申し入れを受けて、2023年11月2日付で、スパークスから、当社担当者に対して、本公開買付価格を805円とする提案書(以下「第4回提案」という。)が示された(2023年11月2日付「貴社株式の取得条件等に関するご提案」)。

・本特別委員会は、当社担当者より、2023年11月6日に開催された第5回特別委員会において、第4回提案に係る価格の妥当性について意見を求められた。これに対して、本特別委員会は、本公開買付けの公表日を間近に控えていることも踏まえ、足元の株式市場全体及び当社株価推移のトレンドも鑑み、本公開買付価格を825円以上とする旨の最終提案をすべき旨、当社担当者に全会一致の意見を述べた。

 当社は、これを受けて、2023年11月6日付で、スパークスに対して、本公開買付価格を825円以上とするよう申し入れた(2023年11月6日付「公開買付価格に関するご提案に対する回答書」)。

・上記の当社からの申し入れを受けて、2023年11月7日付で、スパークスから、当社担当者に対して、本公開買付価格を808円とする提案書(以下「第5回提案」という。)が示された(2023年11月7日付「貴社株式の取得条件等に関するご提案」)。

・本特別委員会は、当社担当者より、2023年11月8日に開催された第6回特別委員会において、第5回提案に係る価格の妥当性について意見を求められた。これに対して、本特別委員会は、足元の株式市場全体及び当社株価推移のトレンドも鑑み、本公開買付価格を815円以上とする旨の最終提案をすべき旨、当社担当者に全会一致の意見を述べた。

・上記の当社からの申し入れを受けて、2023年11月8日付で、スパークスから、当社担当者に対して、本公開買付価格を812円とする提案書(以下「最終提案」という。)が示された(2023年11月8日付「貴社株式の取得条件等に関するご提案」)。

・本特別委員会は、当社担当者より、最終提案に係る価格の妥当性について意見を求められた。これに対して、本特別委員会は、最終提案に係る価格が、みずほ証券による当社株式価値の試算結果のうち、DCF法に基づく株式価値のレンジの上位25%にあり、かつ、市場株価基準法に係る算定基準日からの3ヶ月平均、同6ヶ月平均に対して、概ね30%程度のプレミアムを加えた価格となっていることから、少数株主の利益保護の観点から妥当であると評価可能な水準を超えていると思料される旨、当社担当者に全会一致の意見を述べた。

以上の経過により、本買付価格変更前の本公開買付価格を最終提案に係る価格である812円とするとの結論に至った。かかる結論に至るまでの当社担当者による公開買付者及びスパークスとの協議、検討及び交渉について指摘すべき問題点や懸念は特に見当たらない。

 

なお、公開買付者から本取引に関する提案書を受領してから、本買付価格変更前の本公開買付価格を検討するまでの間に、当社は、本取引の検討を終了し、その後、検討が再開されているが、本特別委員会はこれは、もっぱらスパークス側の事情で当初の想定スケジュールとおりに本買付価格変更前の本公開買付価格の提案がなされなかったことが原因と理解しており、当社が殊更に手続を遅延させた事情は関知していない。

 

(ウ)当社による独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

当社担当者は、公開買付者、スパークス、当社及びいすゞ自動車から独立した第三者算定機関であるみずほ証券に価値算定を依頼した。みずほ証券は、当社の事業の現状を反映した最新の事業計画等の資料の提供を受け、それらの情報を踏まえた一定の前提条件の下で、市場株価基準法、類似会社比較法及びDCF法の各手法を用いて当社株式の1株当たりの株式価値の分析を行った。その結果は、当社株式価値算定書にまとめられている。当社は、みずほ証券から本買付価格変更前の本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得していない。

当社株式価値算定書の作成過程、提出に至るまでの当社担当者によるみずほ証券との協議及び検討、みずほ証券の稼働状況等について指摘すべき点は認められない。

 

(エ)当社による独立した法律事務所からの助言の取得

当社担当者は、本取引に関する意思決定過程等における透明性及び合理性を確保するため、公開買付者、スパークス、当社及びいすゞ自動車から独立したリーガル・アドバイザーであるT&K法律事務所を選任した。当社は、T&K法律事務所から、本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本取引に関する意思決定の留意点について、日本法の観点から法的助言(いわゆる公正性担保措置及び利益相反回避措置に係る助言を含む。)を得ている。

2023年11月9日に至るまでの当社担当者によるT&K法律事務所との協議及び検討、T&K法律事務所の稼働状況等について指摘すべき点は認められない。

 

(オ)本取引の交渉過程における特別利害関係人の不関与、当社担当者の検討過程における不当な影響及び干渉の不存在

本特別委員会は、当社が開催を予定している本取引を承認する取締役会について、当社の取締役7名のうち、過去にいすゞ自動車の役職員の地位を有していた瀬戸貢一氏及び長谷川修二氏の2名を除く5名の取締役が審議し、その全員の賛成により決議を行うものと理解している。

なお、当社の取締役のうち、瀬戸貢一氏及び長谷川修二氏が本取引の交渉過程に関与し、又は当社担当者の検討過程に対して不当な影響又は干渉を与えたとの事実は認められない。

 

(カ)他の買付者からの買付機会を確保するための措置

公開買付者は、本公開買付けの期間を2023年11月13日(月曜日)から2023年12月25日(月曜日)までの30営業日に設定している。これは法に定められた公開買付期間の最短期間(20営業日)よりも長い期間であるが、その趣旨は、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付価格の適正性を担保することを企図したものと考えられ、上記公開買付期間は妥当であると考えられる。

また、当社と公開買付者の間には、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」という。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は存在しないものと認められる。

 

(キ)二段階買収に係る強圧性の排除

本取引では、本公開買付けの決済完了後速やかに、当社株式の非公開化を目的に、当社の全部の株式(但し、本不応募株式及び本自己株式を除く。)の取得を目的として、公開買付者は、本臨時株主総会の開催を当社に要請することが予定されている。その際、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者、当社及びいすゞ自動車を除く。)に対しては、最終的に金銭を交付することが予定されており、かつ、当該株主に交付される金額は、本公開買付価格に当該株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定することが予定されている。また、株式併合に反対する株主には、会社法上、株式買取請求権や価格決定申立ての権利が認められている。以上より、いわゆる二段階買収に係る強圧性が排除又は軽減されていると評価することが可能である。

その他、本取引において二段階買収に係る強圧性をうかがわせる事情は特に見当たらない。

 

(ク)小括

以上のとおり、本取引における当社取締役会の意思決定の公正性を担保し、利益相反を回避するための措置が採られていることが認められる他、本取引の諸条件について、当社の少数株主の利益保護の観点から慎重に協議及び交渉が行われたことが認められる。また、二段階買収に係る強圧性の懸念は特に見当たらない。したがって、本取引に係る交渉過程の手続には公正性が認められると考える。

 

(c)本取引の取引条件の妥当性

(ア)当社株式価値算定書との整合性

当社株式価値算定書によれば、当社株式1株当たりの株式価値は、市場株価基準法(算定基準日:2023年11月9日)で593円~685円、類似会社比較法で217円~565円、DCF法で556円~839円とされている。本買付価格変更前の本公開買付価格である812円は、上記算定方式のうち最も高いレンジを示しているDCF法に基づく株式価値のレンジの上位25%に収まっている(第3四分位数を超過している)こと、及び類似会社比較法に基づく株式価値の上限よりも相当高い価格であることが確認できる。

 

本特別委員会は、みずほ証券及び当社の各担当者から、前提となる当社の事業計画の内容、株式価値評価に用いられた算定方法の他、株式の株式価値の算定に関する評価手法、前提条件及び算定経緯等についての説明を受け議論及び検討したが、特に不合理な点は認められなかった。

 

なお、みずほ証券のグループ会社であるみずほ銀行は、公開買付者に対して買付資金等に係る融資の実施を予定している他、日本モノづくり未来ファンドの有限責任組合員及び当社株主であり、また、当社、いすゞ自動車及びスパークスに対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を実施しているとのことである。さらに、みずほ証券のグループ会社であるみずほ信託銀行は、いすゞ自動車に対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を実施しているとのことである。本特別委員会は、これらの点について、みずほ証券から法令等に基づき情報隔離措置等の適切な利益相反管理体制を構築していることの説明を受けた。その他、みずほ証券と公開買付者、スパークス、当社及びいすゞ自動車の間に、本取引に関する特別の利害関係は見当たらない。

 

(イ)本公開買付価格のプレミアム

本買付価格変更前の本公開買付価格は、独立した第三者算定機関であるみずほ証券の当社株式の株式価値の算定結果において最も高いレンジを示しているDCF法に基づく株式価値のレンジの上位25%にあり、かつ、上記(ア)のとおり、当該算定結果と整合している。

 

また、本買付価格変更前の本公開買付価格は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2023年11月9日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値685円に対して、18.54%のプレミアム(小数点以下第三位を四捨五入。以下、本(イ)において株価に対するプレミアムの数値について同じ。)を加えた価格であり、直近1ヶ月間の終値単純平均値657円(小数点以下を四捨五入。以下、本(イ)において終値単純平均値の計算において同じ。)に対して23.59%のプレミアムを加えた価格、直近3ヶ月間の終値単純平均値631円に対して、28.68%のプレミアムを加えた価格、直近6ヶ月間の終値単純平均値593円に対して36.93%のプレミアムを加えた価格であり、このうち、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日における当社株式の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム率を取り上げると、他の類似事案におけるプレミアム水準に照らして、必ずしも高い水準であるとは言い難いものの、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムは概ね30%程度であることから、本買付価格変更前の本公開買付価格は相応のプレミアムが付された価格であると評価できる。

 

以上より、当社の株主が享受すべき企業価値やシナジーが本買付価格変更前の本公開買付価格に適切に反映されていると評価して差し支えないと考えられる。

 

(ウ)交渉による本公開買付価格の引上げ及び交渉過程の手続の公正性

当社は、本特別委員会において確認された交渉方針に沿って公開買付者又はスパークスとの間で交渉を行い、その結果、第1回提案に係る価格(730円)から最終提案に係る価格(812円)に至るまで、82円(第1回提案に係る価格の11.23%(小数点以下第三位を四捨五入))の引上げを実現した。

上記(b)のとおり、本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本買付価格変更前の本公開買付価格は、利益相反を回避するための各措置を講じた上で、当社担当者と公開買付者又はスパークスとの間の真摯な交渉を経て決定されたものと評価できると考えられる。

 

(エ)その他の取引条件

上記(b)(キ)のとおり、本株式併合で本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者、当社及びいすゞ自動車を除く。)に対して交付される金銭の額は、本買付価格変更前の本公開買付価格に当該株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定することが予定されており、相当と評価できる。

また、本買付価格変更前の本自己株式取得価格は、法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用される法人であるいすゞ自動車について、(i)本自己株式取得価格にて本自己株式取得を行った場合の税引後手取り額として計算される金額が、(ii)仮にいすゞ自動車が本買付価格変更前の本公開買付価格で本公開買付けに応じた場合に得られる税引後手取り金額となる金額を基準として設定されている。この点、本特別委員会は、いすゞ自動車が本自己株式取得により、少数株主が受領する対価を上回る経済的利益を得るものではないという意味において本自己株式取得価格は妥当な価格と評価できると考える。なお、本自己株式取得資金を公開買付者が当社に対して提供することは、実質的には公開買付者からいすゞ自動車への資金移動であるが、本自己株式取得価格を前提とする限り、また、少数株主をスクイーズアウトした後の企業間取引であることから、本特別委員会から特に付言することはない。

 

(オ)小括

以上のとおり、(I)当社の株主が享受すべき企業価値やシナジーが本買付価格変更前の本公開買付価格に適切に反映されていること、(II)当社は、利益相反を回避するための各措置を講じた上で、公開買付者又はスパークスとの真摯な交渉を行い、その結果本公開買付価格の引上げを実現したこと、並びに(Ⅲ)(i)本株式併合において株主に交付される金銭の額が相当であること、及び(ⅱ)本自己株式取得について特に指摘すべき点がないことを踏まえると、結論として本取引の取引条件の妥当性が認められると考える。

 

(d)当社の取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否か

上記(a)乃至(c)までにおいて検討した諸事項以外の点に関して、本特別委員会において、本公開買付けを含む本取引が当社の少数株主にとって不利益なものであると考える事情として指摘すべき問題点や懸念は特に見当たらない。

本公開買付けではいわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限設定はなされていない。これは、いすゞ自動車の当社株式所有割合が43.19%(2023年3月末日時点)であることから、本公開買付けにおけるかかる下限設定が公開買付の成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けへの応募を希望する少数株主の利益に資さない可能性があると当社が考えたことによるとのことである。この点、(i)当社は、本公開買付けの公正性を担保し、利益相反を回避するための措置として、上記(b)記載の各手段を採用しており、少数株主の利益への十分な配慮がなされていると評価し得ること、(ⅱ)上記(c)のとおり、本買付価格変更前の最終の本公開買付価格が妥当な水準にあると考えられること等を踏まえると、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限設定をしないことが不合理とはいえない。

結論として、本取引の実施を決定することは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考える。

 

その後、当社は、本公開買付けの開始以降、当社株式の市場株価が本買付価格変更前の本公開買付価格を上回って推移しており、公開買付者から本公開買付けに係る諸条件の変更についての提案がなされる場合を想定し、本特別委員会に対して、公開買付者から本公開買付けに係る諸条件の変更についての提案がなされた場合でも、本取引の実施の決定が当社の少数株主にとって不利益なものでないか否かにつき諮問を行う予定である旨を伝えたところ、本特別委員会は、2023年12月14日及び同月21日に特別委員会を開催し、本公開買付けに係る諸条件の変更についての提案がなされた場合を想定した検討を実施いたしました。その後、公開買付者が、2023年12月25日に当社に対して本買付価格変更を行う旨の意向を示し、本買付価格変更の提案をしたことを受け、当社は、本特別委員会に対して、本買付価格変更を前提とした場合でも、本取引の実施の決定が当社の少数株主にとって不利益なものでないか否かどうかにつき正式に諮問を行ったところ、本特別委員会は、同日、特別委員会を開催して検討を行い、委員全員の一致により、本買付価格変更を踏まえても、本答申書の内容に関して特段の変更の必要はない旨の意見に至り、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の答申書(以下「2023年12月25日付答申書」といいます。)を提出しております。

 

(i)諮問事項に対する本特別委員会の答申(結論)

本買付価格変更を前提としても、本取引の実施の決定は当社の少数株主にとって不利益なものでない。

 

(ii)意見の理由及び検討内容について

本答申書に記載のとおり、本取引の目的の正当性・合理性及び本取引に係る交渉過程の手続の公正性が認められるが、本答申書の提出以降、今般の2023年12月25日付答申書提出までの間に、これらの点に反する事情は特段生じていない。

 

また、(i)本答申書の提出以降、当社が作成した当社の2024年3月期から2028年3月期までの事業計画における収益や投資計画等の情報に重大な変更はない他、当社の株式価値の変更を生じさせ得る事情は発生していないこと、(ii)本公開買付けによりその公表前に比べて相応のプレミアムが付された価格で全株主が当社株式の売却が可能となることを踏まえると、引き続き、本取引の取引条件の妥当性が認められると考える。

 

上記の他、本取引が当社の少数株主にとって不利益なものであると考える事情として指摘すべき問題点や懸念は特に見当たらない。

 

③ 当社における独立した法律事務所からの助言

当社は、本取引の公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定の過程の公正性、透明性及び客観性を確保するために、2023年9月28日に開催された定例取締役会において、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとしてT&K法律事務所を選任し、本公開買付けに関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程等について法的助言を受けております。

なお、T&K法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。T&K法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。

 

④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見

当社取締役会は、T&K法律事務所から受けた法的助言及びみずほ証券から受けた財務的見地からの助言並びにみずほ証券から取得した当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会における検討及び本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の一連の手続及び本公開買付けの諸条件を慎重に協議・検討しました。その結果、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、当社は2023年11月10日開催の取締役会において、当社の取締役7名のうち、下記の瀬戸貢一氏及び長谷川修二氏を除く審議及び決議に参加した当社の取締役5名の全員一致により、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。

その後、当社は、公開買付者より、本買付価格変更を行う旨の意向を示されたことを受けて、本特別委員会の2023年12月25日付答申書を踏まえ、本買付価格変更に関して慎重に協議及び検討を行いました。その結果、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、2023年12月25日開催の取締役会において、当社の取締役7名のうち、下記の瀬戸貢一氏及び長谷川修二氏を除く審議及び決議に参加した当社の取締役5名の全員一致により、本買付価格変更後の本公開買付けにおいても、引き続き、当社意見表明報告書において既に公表されている意見、すなわち、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を維持することを決議しました。

また、上記各取締役会において、出席した監査役(監査役4名中、2023年11月10日開催の取締役会では出席監査役4名(うち社外監査役2名)、2023年12月25日開催の取締役会では出席監査役3名(うち社外監査役1名))のうち浅原健一氏以外の監査役はいずれも、上記決議に異議がない旨の意見を述べております。なお、当社の取締役である瀬戸貢一氏及び長谷川修二氏は、いすゞ自動車の出身者であることから、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、上記各取締役会に出席したものの、審議及び決議には参加しておりません。また、当社の監査役である浅原健一氏は、いすゞ自動車の執行役員としての地位を有しているため、本取引における利益相反の問題による影響を受ける可能性を排除する観点から、上記各取締役会の審議には一切参加しておらず、上記各取締役会の決議に際して意見を述べることを差し控えております。また、2023年11月10日時点及び同年12月25日時点において、当社の監査役である浅原健一氏以外には当社といすゞ自動車を兼務する役員はおらず、当社といすゞ自動車を兼務する役員は当社の立場においてスパークスとの協議及び交渉に参加しておりません。

 

⑤ 当社の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置

公開買付者は、上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者、いすゞ自動車及び当社を除きます。)が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。

 

⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置

公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、40営業日に設定しているとのことです。このように、公開買付期間を法令に定められた最短期間より長期に設定することにより、当社の株主の皆様が本取引の是非や本公開買付価格の妥当性について熟慮し、本公開買付けに対する応募の是非について適切な判断を行うための期間を提供しつつ、対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付価格の公正性を担保することも企図しているとのことです。また、公開買付者及び当社は、当社が第三者から当社の株式、事業若しくは資産の買収に係る提案を受けた場合において、かかる提案を行った第三者と協議・交渉すること又は本公開買付けに対する賛同意見の変更若しくは撤回をすることを制限するような内容の合意や、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、公開買付者は、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性を担保しているとのことです。

 

(7) 本公開買付けに関する重要な合意に関する事項

① 本二者間契約書

公開買付者は、いすゞ自動車との間で2023年11月10日付で本二者間契約書を締結し、本不応募株式(20,261,828株、所有割合:43.19%)について本公開買付けに応募しないことを合意しているとのことです。

但し、本二者間契約書においては、公開買付期間末日までに、公開買付者以外の第三者から、本公開買付価格を超える金額に相当する取得対価により当社株式を取得する旨の申出(以下「対抗提案」といいます。)がなされた場合には、いすゞ自動車は、公開買付者に対して、本公開買付価格の変更について協議を申し入れることができ、公開買付者が当該申入れの日から起算して10営業日を経過する日又は公開買付期間満了日の前日のうちいずれか早い方の日までに、公開買付者が、(a)本公開買付価格を対抗提案に係る取得対価を超える金額に変更し、かつ(b)本三者間契約書に定める本自己株式取得価格を対抗提案に係る取得対価及びそれぞれの税効果を考慮して実質的に同額以上の金額に変更しないときには(但し、いすゞ自動車が対抗提案を受けた場合の公開買付者への通知義務に違反しない場合に限ります。)、いすゞ自動車は、本不応募株式の不応募義務を負わないことも合意しているとのことです。

なお、本二者間契約書においては、本公開買付けの条件に係る事項、本公開買付けの前提条件、いすゞ自動車による本公開買付けを開始しないことの請求権に関する事項、いすゞ自動車が対抗提案を受けた場合の公開買付者への通知義務、公開買付者及びいすゞ自動車の表明保証事項、公開買付者及びいすゞ自動車が本二者間契約書又は本三者間契約書に基づく自らの義務の不履行又は表明保証事項に違反した場合の補償義務、解除に係る条項、秘密保持義務、契約上の権利義務の譲渡禁止義務等を合意しているとのことです。

 

② 本三者間契約書

公開買付者は、当社及びいすゞ自動車との間で2023年11月10日付で、本三者間契約書を締結し、(ⅰ)本公開買付けが成立したことを条件に、当社が、本株式併合等の実施のために必要な事項を議案とする株主総会を開催し、公開買付者及びいすゞ自動車は当該議案に賛成の議決権を行使すること、(ⅱ)本スクイーズアウト手続が完了した日以降に、当社が、当社自己株式取得の実施のために必要な事項を議案とする株主総会を開催し、公開買付者及びいすゞ自動車は当該議案に賛成の議決権を行使すること、(ⅲ)いすゞ自動車が、当社自己株式取得に応じて、本不応募株式の全てを当社に売り渡すこと、及び公開買付者が本資金提供を行うこと又は当社をして当社自己株式取得に必要な資金を調達させること、並びに(ⅳ)いすゞ自動車が当社自己株式取得後に本再出資を行うことを合意しております。

また、本三者間契約書においては、公開買付者、いすゞ自動車及び当社の表明保証事項、公開買付者、いすゞ自動車及び当社が本三者間契約書に基づく自らの義務の不履行又は表明保証事項に違反した場合の補償義務(但し、公開買付者及びいすゞ自動車の間におけるものを除きます。)、解除に係る条項、秘密保持義務、契約上の権利義務の譲渡禁止義務等を合意しております。

さらに、その後、公開買付者は、本買付価格変更に伴い、当社及びいすゞ自動車との間で2023年12月25日付で、本買付価格変更に伴う本自己株式取得価格の変更について合意することを内容とする本変更合意書を締結しております。

 

③ 本株主間契約

公開買付者の株主である日本モノづくり未来ファンドは、いすゞ自動車との間で2023年11月10日付で本再出資後の公開買付者及び当社の運営に関する本株主間契約を締結しているとのことです。

本株主間契約においては、公開買付者及び当社の取締役の指名権(注1)、いすゞ自動車による一定の範囲の事前承諾事項(注2)及び事前協議事項(注3)、本合併後の存続会社(本合併前においては公開買付者。以下本「③本株主間契約」について同じです。)の株式の3年間の譲渡制限、譲渡制限期間経過後の自己の保有する本合併後の存続会社の株式の譲渡時における相手方の優先交渉権(日本モノづくり未来ファンド又はいすゞ自動車が当該譲渡をする際に、第三者との交渉前に相手方が優先的に交渉できる権利)、日本モノづくり未来ファンドによる本合併後の存続会社の株式の第三者への譲渡時における日本モノづくり未来ファンドの強制売却請求権(日本モノづくり未来ファンドが、いすゞ自動車の保有する本合併後の存続会社の株式も併せて譲渡予定先に譲渡するよう請求する権利)及びいすゞ自動車の売却参加請求権(いすゞ自動車が、自らの保有する本合併後の存続会社株式も併せて譲渡予定先に譲渡するよう請求する権利)、デッドロック(注4)の場合の誠実協議義務について合意しているとのことです。

(注1) 公開買付者については、日本モノづくり未来ファンドが2名、いすゞ自動車が1名の取締役指名権を、当社及び本合併後の存続会社については、日本モノづくり未来ファンドが6名、いすゞ自動車が3名の取締役指名権を有するとのことです。

(注2) 事前承諾事項としては、本取引において企図されたものを除く、当社又は公開買付者における(a)定款又は取締役会規程の改廃(いすゞ自動車の権利に悪影響を及ぼさないもの及び法令等の変更に伴い必要となるものを除きます。)、(b)株式等の発行、(c)いすゞ自動車の議決権保有割合に変動が生じる株式の併合、(d)持分会社への組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転又は株式交付、(e)重要な事業の全部又は一部の譲渡(但し、譲渡する事業に含まれる資産の帳簿価額の合計が10億円以上の場合に限ります。)、(f)子会社の異動を伴う株式又は持分の処分、(g)解散、清算、破産手続開始、会社更生手続開始、民事再生手続開始その他これらに類する法的倒産手続又は私的整理手続の申立て、(h)日本モノづくり未来ファンド又はその関係者を一方当事者とし、当社又は公開買付者を他方当事者とする契約の締結、変更又は解除、(i)中期経営計画の策定又は変更、(j)重要な財産の処分(但し、処分する資産の帳簿価額が10億円以上の場合に限ります。)が規定されているとのことです。

(注3) 事前協議事項としては、本取引において企図されたものを除く、当社又は公開買付者における(a)発行する株式に係るIPOの申請、(b)重要な業務上の提携若しくは資本提携又はその変更若しくは解消、(c)新規事業の開始又は既存事業の廃止、(d)事業計画又は年間予算の策定又は変更が規定されているとのことです。

(注4) デッドロックとは、上記事前承諾事項について、いすゞ自動車が書面による承諾を行わない場合をいうとのことです。

 

なお、本株主間契約においては、日本モノづくり未来ファンド及びいすゞ自動車による義務の不履行の場合の補償義務、解除に係る条項、秘密保持義務、契約上の権利義務の譲渡禁止義務等についても合意しているとのことです。

 

4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

 

氏名

役名

職名

所有株式数(株)

議決権数(個)

瀬戸 貢一

代表取締役社長

5,963

59

長谷川 修二

取締役

常務執行役員

経営企画部門統括 兼

品質保証部門統括

6,547

65

鈴木 達也

取締役

常務執行役員

営業部門統括 兼

経営企画部門統括代理

24,023

240

藤田 伸一郎

取締役

常務執行役員

生産部門統括

49,483

494

織田 秀明

取締役

10,847

108

土屋 市郎

取締役

10,609

106

川本 英利

取締役

18,137

181

金子 孝之

監査役(常勤)

 

27,954

279

浦部 明子

監査役

浅原 健一

監査役

森内 延光

監査役

2,985

29

 

156,552

1,561

 

(注1) 所有株式数及び議決権数は本書提出日現在のものです。

(注2) 所有株式数及び議決権の数には、それぞれ当社役員持株会を通じた所有株式数(小数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めております。

(注3) 取締役織田秀明、土屋市郎、及び川本英利の各氏は、社外取締役です。

(注4) 監査役浦部明子及び森内延光の各氏は、社外監査役です。

 

5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

該当事項はありません。

 

6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

該当事項はありません。

 

7 【公開買付者に対する質問】

該当事項はありません。

 

8 【公開買付期間の延長請求】

該当事項はありません。