本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社は、事業環境や社会環境の変化、デジタルトランスフォーメーションやサステナビリティ経営といった時代の要請に応えるため、2021年10月1日付で経営理念を改定し、「モノを動かし、心を動かす。」としました。当社グループの競争力の源泉であり、これまで培ってきた「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」、すなわち「モノを動かす技術」(マテリアルハンドリング)でお客さまへの提供価値を変革し、健全で心豊かに生きられる社会の実現を目指します。
当社は、2021年4月からスタートした3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」(以下、中計)で、ニューノーマル(新常態)や、グローバルでの自動化ニーズの拡大といった当社グループを取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、DX2(DXスクエア)※を推進しています。
※DX2(DXスクエア)=Digital Transformation × Daifuku Transformation
通常のデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation=DX)の推進だけでなく、ダイフク自身も変革し(Daifuku Transformation)、お客さまをはじめとするステークホルダーへの提供価値を変革していきます。
中計の最終年度にあたる2024年3月期の経営目標は以下のとおりです。連結売上高については、前期末受注残高が積み上がっているものの納入までのリードタイムの長期化に伴い、翌期に売上計上する比率が低下しているため、微増に止まる見通しです。営業利益率についても、インフレ・人件費高騰の影響による減益を見込んでいます。なお、()内は2023年3月期の実績です。
・連結売上高6,050億円(6,019億円)
・営業利益率9.0%(9.8%)
・ROE(自己資本当期純利益率)10%以上(13.2%)
・連結配当性向:2022年3月期~2024年3月期の3カ年の平均で30%以上(33.6%)
また、当社グループでは、中計と「サステナビリティアクションプラン」を経営戦略の両輪と位置づけ、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。環境面では、2023年5月に改訂した「ダイフク環境ビジョン2050」において、2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を実現します」と掲げ、3つの重点領域と2030年の環境目標を設定し、取り組んでいます。
中計の詳細は、当社ウェブサイトの『新3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」策定 他のお知らせ』(2021年2月5日公表)及び『中期経営計画「Value Transformation 2023」経営目標の修正に関するお知らせ』(2022年5月13日公表)を、ダイフク環境ビジョン2050は『「ダイフク環境ビジョン2050」の改定について』(2023年5月12日公表)を、サステナビリティアクションプランは『「サステナビリティアクションプラン」の策定について』(2021年4月1日公表)をご覧ください。
https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/0205_2.pdf
https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/20220513_01.pdf
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/assets/20230512_1.pdf
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/news/2021/0401_01/
〔図〕中期経営計画「Value Transformation 2023」の概念図

〔図〕「Value Transformation 2023」最終年度の目標

(2) 経営環境
① 事業環境
世界的なインフレや人件費の上昇、欧米における経済の減速懸念など、産業界全般の先行きは見通し難い状況にあります。そのような中、当社グループのお客さまは、「eコマースの拡大」「デジタル化の進展」「EV車へのシフト」「空港のスマート化」をはじめとする事業環境の大きな変化や、人手不足という社会問題にも直面しています。このため、当社グループが提供する「スマート・ロジスティクス」への期待はますます高まっていくものと確信しています。
② 競争環境
マテリアルハンドリング市場の拡大に伴い、従来の欧米メーカーに加え、中国などの新興メーカーが参入・成長してきており、今後さらなる競争の激化が見込まれます。コンサルティングから、ものづくり・据付・アフターサービスまでの一貫体制、及びハードウエア・ソフトウエアの豊富なラインアップを通じて、グローバルに最適・最良のシステムを提供するという当社グループの強みに磨きをかけ、厳しい競争に打ち勝ってまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中計の根幹となる事業ポートフォリオについては、従来どおり、①一般製造業・流通業向けシステム、②半導体・液晶生産ライン向けシステム、③自動車生産ライン向けシステム、④空港向けシステムの4つをコア事業とし、グローバル市場で継続的な発展を目指します。
2023年3月期は、グループ全体の収益性向上と成長と図るため、
・事業構造の再点検と改革による収益性向上
・先端技術・新規事業開発による成長戦略の構築
・DX推進の加速によるさらなる生産性向上
などに取り組みました。
すでに実績のある一般製造業・流通業向けシステムの生産改革手法を参考に、2022年3月からコストダウンに取り組んでいる半導体・液晶生産ライン向けシステムで順調に成果が出てきているほか、空港向けシステムも欧州現地法人の体制変更等を断行し、収益性が改善しました。2024年3月期は、特に海外現地法人の収益性向上を加速するための構造改革に取り組んでまいります。
担当役員を新設して取り組んでいる先端技術及び新規事業開発については、先端技術ではAIをテーマとした人材の育成に注力していきます。新規事業はテーマや主幹事業部門を絞り込んでいくステージに入ります。
また、DXについては、エンジニアリング・設計の効率化や安全対策などにAIを活用し、具体的な成果が出てきています。DX本部の主導で、引き続き、情報システムや業務改革でも活用を推進していきます。
当社グループの2023年3月期の海外売上高比率は約67%となりました。さらなる売上拡大や持続的成長に向けた「生産能力の増強」と「生産の現地化」については、2023年3月期は、北米(Jervis B. Webb Company)の新工場が稼働を開始したほか、中国(大福自動搬送設備(蘇州)有限公司)、インド(Daifuku Intralogistics India Private Limited)、韓国(Clean Factomation, Inc.)の生産能力増強を進めました。今後は国内(滋賀事業所)でも、生産能力増強を含めた再開発等を進めていきます。
また、「サステナビリティ」「コンプライアンス」「ガバナンス」「安全」についても引き続き重要な課題であると捉えています。
① サステナビリティ経営
当社グループでは、中計と「サステナビリティアクションプラン」を経営戦略の両輪と位置付けています。サステナビリティ経営の推進組織としては、CEO(代表取締役社長)を委員長とする「サステナビリティ委員会」を2020年4月に設置し、その取り組みについては適宜、取締役会に報告しています。
「サステナビリティアクションプラン」は、SDGsに沿って「スマート社会への貢献」「製品・サービス品質の維持向上」「経営基盤の強化」「人間尊重」「事業を通じた環境貢献」の5つのテーマを設定し、それぞれのテーマに関連する18のマテリアリティを特定するとともに、3カ年の行動計画をまとめたものです。
これに先立ち、2020年に「TCFD提言」に基づく気候変動のリスクと機会の分析結果を公表しました。2021年10月には、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則って「ダイフクグループ人権方針」を策定・公表しました。
2022年11月より、当社グループ最大の工場「滋賀事業所」では、敷地内に設置しているメガソーラーの活用を中心に事業所内で使用する電力をすべて再生可能エネルギー由来へと切り替えました。これにより国内CO2排出量のスコープ1、2の約60%(海外を含めると約16%)を削減できます。
なお、2023年5月12日付で改定した「ダイフク環境ビジョン2050」の主なポイントは、①パリ協定が求める1.5℃目標の水準を充足するため、2030年の自社CO2(スコープ1、2)排出量削減目標(2018年度比)を「25%以上」から「50.4%」に引き上げたこと、②水資源、及び生物多様性保全、啓発活動についても新たに目標を設定したこと、などです。
人的資本への投資では、多様な人材マネジメント制度を採用し、グローバルかつダイバーシティの観点で人材の育成・登用に努めています。
② コンプライアンスの徹底・グループガバナンスの強化
コンプライアンスは、事業活動すべての前提になるものです。単に法律を遵守すればいいということに止まらず、当社グループの今と未来を支えているのは、一人ひとりの高い倫理観と責任ある行動であることを、教育・研修などを通じグローバルベースで徹底していくとともに、不正が起こりえない事業の構造に改革していきます。
コーポレートガバナンスについては、2022年3月期は取締役9名中4名の社外取締役を選任しており、企業経営経験者、財務・会計や法律の専門家、海外経験者、女性の登用など取締役会の多様性を確保しています。
また、2021年4月に「リスク・ガバナンス室」(現「ガバナンス推進室」)、2022年4月に「リスクマネジメント委員会」(委員長:CEO)を新たに設置しました。さらに、2023年4月より新たにグループチーフオフィサー(CxO)を設置し、ガバナンスの強化・意思決定のスピード化を図りました。
各グループオフィサーとその役割については次のとおりです。
・CFO(Chief Financial Officer):最高財務責任者
・CHRO(Chief Human Resource Officer):最高人事責任者
・CIO(Chief Information Officer):最高情報責任者
・CPO(Chief Production Officer):最高生産責任者(生産担当役員を改称)
・CTO(Chief Technology Officer):最高技術・R&D責任者(先端技術・新規事業開発担当役員を改称)
③ 「安全専一※」の徹底
一人ひとりの社員が最大のパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりに努めていくうえで、社員やその家族、お客さま、お取引先の生命・健康・安全を確保することが何よりも優先されます。「安全は、『第一』『第二』と相対的な順位を付けるものではなく、絶対的なもの、『専一』なものである」という意識をグローバルに浸透させ、引き続き、グループ一体となって災害や不安全行為の撲滅に取り組んでいきます。
※「安全専一」は、古川機械金属(株)の登録商標です。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、2023年3月期末現在において当社グループが判断したもので、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1) サステナビリティ全般に関する開示
社是「日新(ひにあらた)」、経営理念「モノを動かし、心を動かす。」のもと、グループ行動規範に従い、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指しています。サステナビリティ経営の実践に際しては、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野10原則からなる「国連グローバル・コンパクト」に賛同・署名するとともに、「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けて取り組んでいます。また、当社グループは中計と「サステナビリティアクションプラン」を経営戦略の両輪と位置付け、あらゆる事業活動を通じて社会価値と経済価値の両立に努めています。
当社グループは、社外機関からの環境・社会・ガバナンス(ESG)、サステナビリティに関する評価を重視するとともに、投資家との直接対話にも注力しています。社外からの評価を活用してPDCAのサイクルを回すことで取り組み内容の充実とたゆみない改善を図っています。
社外機関の評価の詳細については、以下のURLをご参照ください。
社外からの評価
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/external-evaluation/
① ガバナンス
当社は「サステナビリティ経営」に関する審議項目の取締役会への上程、報告、情報提供を適宜行う「サステナビリティ委員会」を設置しています。同委員会はCEOを委員長、事業部門長及び事業部長、関係執行役員等を委員としており、2023年3月期は5回開催しました。同委員会では環境や人権などに関するさまざまなESG課題への対策について、CEOが活動方針や計画実行の指示を行います。取締役会は、同委員会から報告を受け、必要な施策を決議します。同委員会の傘下には「環境経営分科会」及び「人権・サプライチェーン分科会」を置き、テーマごとに取り組みの具体化を図っています。
また、当社グループの経営目標の達成に影響を与える重要なリスクを組織横断で管理する目的で、2022年4月にリスクマネジメント委員会を新設しました。同委員会はCEOを委員長、事業部門長及び事業部長、関係執行役員等を委員としており、2023年3月期は3回開催しました。当社グループを取り巻く事業環境が急速に変化する中、迅速な意思決定と健全なリスクテイクの裏付けとなる管理体制の増強を目指して、グループ全体のリスクマネジメント活動を統括する独立の委員会を設置したものです。同委員会はリスクに関する重要な課題を取締役会へ適宜報告します。
② リスク管理
当社は、サステナビリティに関連するリスク及び機会を踏まえたマテリアリティ(重要課題)を特定しています。マテリアリティはグループの中期経営計画の策定時期に合わせて、事業環境の変化や社会動向を踏まえ、見直しを図ります。2021年に特定した18のマテリアリティは、3カ年(2022年3月期~2024年3月期)の行動計画である「サステナビリティアクションプラン」に落とし込み、グループ全体で各課題に取り組んでいます。その取り組みの進捗は、サステナビリティ委員会が監督しています。
また、当社はグループ全体を対象とした定期的なリスクアセスメントを実施しています。当社グループの経営目標の達成に影響を与えるリスクを対象とし、特定した重要なリスクについては、リスクマネジメント委員会で必要な対策を検討・実施し、リスクが顕在化する前にその可能性や被害の極小化に努めます。さらに非常時は、リスクが顕在化した後の危機対応を行うBCP推進体制を整備しています。BCP推進体制は、リスクマネジメント委員会と連携して平常時より危機に対する備えを検討・準備しています。大規模災害など危機に直面した際には、迅速に体制を確立し初動対応を行うことで、人命を最優先として二次災害の防止を図ります。詳細は以下のURLをご参照ください。
リスクマネジメント
③ 戦略
1) サステナビリティアクションプラン
「サステナビリティアクションプラン」は、「スマート社会への貢献」「製品・サービス品質の維持向上」「経営基盤の強化」「人間尊重」「事業を通じた環境貢献」の5つのテーマを設定し、それぞれに関連するマテリアリティについて3カ年の目標と行動計画を策定したものです。すべての社員があらゆる事業活動を通じてマテリアリティに取り組むことでSDGsの達成に貢献し、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指します。
サステナビリティ概念図

〔表〕サステナビリティアクションプランの概要
(注) 1 研究開発費+DX(Digital Transformation)投資額
2 当社の製品・システムの不具合を原因とした稼働中における死亡事故及び重傷病(治療に要する期間が30日以上の負傷・疾病)事故
3 同一の認証機関による同一基準・スケジュールでの審査を実施し、認証を取得・維持すること
4 主に設計者を対象とした国際安全規格に基づく安全の知識、能力を有することを認証する資格
5 2023年3月期から目標を「対話社数」に変更
6 自社の業務中における死亡事故(労働災害)
7 「事業を通じた環境貢献」のKPIは、2024年3月期より「ダイフク環境ビジョン2050」のKPIと同一とします。詳細は、以下の「④ 指標と目標」をご参照ください。
8 調達先におけるCO2排出削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社独自の枠組み
9 お客さまに納入した製品・サービスから排出されるCO2排出量を、基準年度である2012年3月期時点の製品・サービスによるCO2排出量から差し引いたもの
10 ダイフクエコプロダクツ認定製品などを通じて、お客さまに環境配慮の面で貢献した物件(プロジェクト)
2) ダイフク環境ビジョン2050
「モノを動かし、心を動かす。」という経営理念のもと、世界中の人々が心豊かに生きられる社会を創造するためには、健全な地球環境を守ることが前提であり、気候変動をはじめとする環境課題への対応は、極めて重要な経営課題です。当社グループは、2021年2月に2050年を展望した新たな環境ビジョン「ダイフク環境ビジョン2050」を策定しました。そして2023年5月、より高い水準で社会の要請に応えていくため、本ビジョンを改定し、目指す姿をより明確化しました。2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を実現します。」と掲げ、重点領域を「気候変動への対応」「資源循環の促進」「自然との共生」とし、それぞれの目標を設定しています。当社グループは、サプライチェーン全体で企業としての責任を果たすとともに、私たちが創造したい未来の社会を見据え、本ビジョンの実現を目指します。詳細は、以下〔図〕〔表〕をご覧ください。
今後、目標達成に向けた具体的なロードマップを策定する予定としており、取り組みの進捗状況はCEOを委員長とするサステナビリティ委員会が管理し、重要な事項は取締役会へ報告します。
〔図〕ダイフク環境ビジョン2050(2023年5月改定)

〔表〕ダイフクグループが取り組む重点領域(2023年5月改定)
3) 人権デュー・ディリジェンス(DD)への取り組み
2021年10月、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、「ダイフクグループ人権方針」を策定しました。2023年3月期より、当社のサプライチェーンを含め事業活動全般に関係する人権への負の影響を特定・分析・評価し、是正・緩和・予防する仕組みの構築と運用及び人権DDを継続的に実施するためのリスク評価に取り組んでいます。2023年3月期は人権DDの最初の取り組みとして、人権への負の影響評価及び人権課題を特定するための「人権リスクアセスメント(潜在的リスク評価)」を実施しました。その結果、当社グループが優先的に取り組むべき人権課題として「委託先を含むサプライチェーン上の国内の外国人労働者」と「原材料調達先の労働者」を特定しました。サプライチェーンへのヒアリング等を実施し、人権の負の影響や助長が明らかとなった場合には、適切かつ効果的な救済措置を講じていきます。
〔図〕人権デュー・ディリジェンスのプロセス

詳細は以下のURLをご参照ください。
人権
④ 指標と目標
1) サステナビリティアクションプラン
サステナビリティアクションプランにて、それぞれのマテリアリティについてKPIを設定し2022年3月期~2024年3月期の目標を設定しています。なお、テーマ「事業を通じた環境貢献」に関連するKPIについては、2024年3月期より変更し、改定後の「ダイフク環境ビジョン2050」のKPIと同一とします。詳細は、以下の「2) ダイフク環境ビジョン2050」をご覧ください。2023年3月期の実績は、当社ウェブサイトにて2023年8月に開示予定です。詳細は以下のURLをご参照ください。
サステナビリティアクションプラン
サステナビリティアクションプラン 2022年3月期実績
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/assets/pdf/management/plan/actionplan_results_2021.pdf
〔表〕サステナビリティアクションプランのKPI及び目標
(注)1 研究開発費+DX(Digital Transformation)投資額
2 当社の製品・システムの不具合を原因とした稼働中における死亡事故及び重傷病(治療に要する期間が30日以上の負傷・疾病)事故
3 同一の認証機関による同一基準・スケジュールでの審査を実施し、認証を取得・維持すること
4 主に設計者を対象とした国際安全規格に基づく安全の知識、能力を有することを認証する資格
5 2023年3月期から目標を「対話社数」に変更
6 自社の業務中における死亡事故(労働災害)
7 ()内は改正育児介護休業法に基づいた数値を記載
8 調達先におけるCO2排出削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社独自の枠組み
9 北米拠点を除く
10 お客さまに納入した製品・サービスから排出されるCO2排出量を、基準年度である2012年3月期時点の製品・サービスによるCO2排出量から差し引いたもの
11 ダイフクエコプロダクツ認定製品などを通じて、お客さまに環境配慮の面で貢献した物件(プロジェクト)
2) ダイフク環境ビジョン2050
「ダイフク環境ビジョン2050」の改定にあたっては、2030年の目標も合わせて見直し、CO2排出量削減目標をパリ協定が求める1.5℃目標の水準に設定したほか、水資源及び生物多様性保全についても新たに目標を設定しました。刻々と変化する社会動向や事業環境に対応できるよう、目標は定期的に見直し、必要に応じて再設定します。また、今回設定した「気候変動への対応」に係る2030年 環境目標については、企業に対し科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出量削減目標の設定を求める「SBT(Science Based Targets)イニシアティブ」に目標を申請中です。2024年3月期中のSBT認定取得を目指します。
〔表〕2030年 環境目標
(注)1 サステナビリティアクションプランの2024年3月期の目標
2 調達先におけるCO2排出量削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社独自の枠組み
3 スコープ3のカテゴリ1及びカテゴリ11合わせての目標
4 水使用量(千㎥)/売上高(億円)
5 従業員数100人以上の拠点
6 サステナビリティに関する啓発・教育のための当社独自の社員参加型プログラム
その他のESGに関するデータの詳細は以下のURLをご参照ください。
ESGデータ
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/esg-data/
(2) 気候変動に関する開示
当社グループは、2020年にTCFD提言に基づく気候関連のリスク及び機会の分析結果について公表しました。その後、2023年5月の「ダイフク環境ビジョン2050」の改定に伴い、気候関連の指標及び目標を変更しています。今後、気候変動へのより具体的な取り組みを加速し、TCFD提言へのさらなる対応を進めていきます。TCFDに基づく開示(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)及び気候関連のデータの詳細は以下のURLをご参照ください。2023年3月期のCO2排出量は、2023年8月に開示予定です。
気候変動
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/environment/climate-change/
シナリオ分析
気候変動関連のリスクと機会について、21世紀中の気温上昇が①4℃となる場合(現状のまま世界が温室効果ガスを排出)、②1.5℃未満となる場合(温室効果ガスの排出規制が急速に強化される)の2つのシナリオに基づいて分析しました。その結果、①では台風や水害など、②では炭素税課税により利益ベースで5.6億円(2020年6月時点)が減少する可能性などがあり、事業コスト増加の影響が見込まれますが、いずれのシナリオにおいても自動化投資の促進や環境配慮製品のニーズの高まりが見込まれ、コストを上回る製品・サービス需要が拡大する見通しであることが示されました。
〔表〕気候変動関連のリスクと機会(2020年6月時点)
① 移行リスク対策
顧客による物流、生産における環境負荷低減ニーズのさらなる高まりを織り込んで、環境配慮製品(83製品:2023年5月時点)の開発・販売に注力します。また、事業運営における脱炭素化を進めるべく、グローバルの主要生産拠点の再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査や同エネルギー導入計画の立案を行っています。
② 物理的リスク対策
当社グループ全体で実施しているリスクアセスメントの中で、台風や洪水を含む自然災害を重要な影響を与えるリスクとして特定しています。サプライチェーンも含めた事業継続計画の実効性向上のため、事業影響度の分析や各事業部門における体制表の見直しを実施するとともに、生産拠点の多様化や重要部品における2社購買の実施など供給停止のリスクを低減しています。さらに生産及び工事・サービス現場においては、高温化に対する作業環境の継続的な改善や安全衛生管理の徹底に努めています。
(3) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
① 戦略
当社は、経営理念に基づいた多様な人材の雇用と、従業員の一人ひとりが「働きがい」と「働きやすさ」を感じ、いきいきと仕事ができる環境の整備を推進しています。中計では、多様な人財マネジメント制度の採用やグローバルベースでの企業カルチャー醸成をテーマとして掲げ、人財育成・登用や従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。
〔表〕人材育成の重点施策
② 指標と目標
人的資本に関する戦略に基づき、体系的かつ重点的に施策を展開しています。指標及び目標については、サステナビリティアクションプランとも連動させ、従業員エンゲージメント、ダイバーシティ&インクルージョン、職場環境整備等の観点から以下のとおり設定しています。
〔表〕指標及び目標
③ 目標に対する取り組み
1) 従業員エンゲージメント
当社グループでは、従業員エンゲージメントを、従業員の「働きがい」、「働きやすさ」、そして「従業員と会社が相互に成長できるキャリアの実現」と定義し、各要素の向上を目指しています。2022年3月期は国内グループでエンゲージメントサーベイを実施し、お客さま志向や経営層への信頼といった強みの部分が見られた一方、組織間の連携や従業員個人のキャリア形成支援については課題として認識されました。全社横断的な施策と個々の職場での改善活動を組み合わせ、従業員エンゲージメント向上に取り組んでいきます。加えて、当社グループがグローバルで成長を続けるためには、これまで築き上げてきた企業風土や、大切にしてきた価値観をいかに共有し、発展させていくかが重要な課題です。2024年3月期には海外グループエンゲージメントサーベイの実施を予定しており、グループ全体で企業カルチャーの醸成に取り組んでいます。
2) 女性管理職数
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画にて設定していた女性管理職者数の目標を2021年12月に上方修正し、女性管理職の登用への取り組みを一層強化しています。毎年、新任マネージャー職研修において、「ダイバーシティ及びワークライフ・マネジメントの推進プログラム」と「女性部下育成セッション」を実施しているほか、幹部候補養成を目的とした「リーダー養成研修」に女性特別推薦枠を設定するなど、管理職を育成する環境を整備しています。こうした取り組みにより、女性社員に管理職へのキャリアパスを意識付けるとともに、スキルアップに取り組む機会を提供し、管理職候補の裾野拡大を図ります。
3) 障がいのある従業員の活躍
滋賀事業所に所属の「業務サービスグループ」では、公共職業安定所、就労アドバイザーならびに学校関係者等と連携しながら障がい者の定期採用を継続的に行っており、一人ひとりが能力を発揮し、やりがいを持って働き続けられるよう、独自の教育プログラムを組んで人材を育成しています。入社後5年程度を目安に実習を重ねながら適性を見極め、職務能力を段階的に高めることで、各事業部の製造部門をはじめとする現場で活躍できる人材を輩出しています。
4) 健康経営の実践
当社では、健康課題を特定し、それらを解決するための手段や具体的取り組みを見える化した上で、さまざまな施策に取り組んでいます。生活習慣の改善・疾病予防については、KPIを設定し、目標の達成を目指しています。
〔図〕健康経営の戦略マップ

当社における人材の多様性の確保を含む社内環境整備に関する方針、人材の育成に関する方針等は以下のURLをご参照ください。
コーポレートガバナンス・コードの各原則に係る当社の取り組み状況
https://www.daifuku.com/jp/ir/assets/governance_policy_initiative.pdf
本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) リスクの管理体制
当社グループは、CEOを最高責任者として、以下のとおり3線モデルを基本とするリスクマネジメント体制を構築しています(図1)。リスク対応の実行主体である事業部門(第1線)が行うリスク管理を、コーポレート部門をはじめとするリスク所管部署(第2線)が支援、指導、監督します。また、監査部門(第3線)が第1線及び第2線のリスク管理の取組みについて監査します。
〔図1〕リスクマネジメント体制

当社グループは、これらの取組みを全社的な観点でモニタリング、対応指示及び進捗管理を行うために、CEOが委員長、事業部門長及び事業部長、安全衛生管理本部、コーポレート部門等の責任者を委員とするリスクマネジメント委員会を設置しており、同委員会は以下の事項を所管しています。同委員会は年数回程度の開催を予定しており、2023年3月期は3回開催しました。委員会の取組み状況等について必要に応じ取締役会へ報告を行います。
① リスクマネジメント委員会の所管事項
1) リスク管理体制の企画及び立案ならびに関連規程の整備
2) リスクアセスメント結果を踏まえたシビアリスク(経営層が中心となって組織横断的に優先管理すべきリスク)の選定
3) シビアリスク対応方針の決定、指示、進捗管理及びモニタリング
4) 年次レビューの実施及び結果のフィードバック
5) リスク意識向上のための各種情報共有、その他リスクマネジメントの重要性、考え方及び手法等に関する教育・訓練・研修等の実施方針の決定、指示
② 平常時及び非常時の体制
当社グループのリスクマネジメント体制は、平常時はリスクマネジメント委員会が上記①の活動を行い、リスクが顕在化する前に、その可能性や被害の極小化に努めています。
リスクが顕在化し、危機対応を行うべき事態が発生した際は速やかにBCP推進体制へ移行します。
発見・連絡・対応からなる初期対応を行い、その後は業務継続の可否を見極めながら、被害管理、復旧対応にあたります。同体制は業務推進部BCPグループを事務局として、リスク顕在化後の対応に当たるだけでなく、平常時から事前準備に努めています。
(2) リスクの抽出と主要なリスクへの対応
① リスクアセスメント
当社グループは、「リスクマネジメント規程」に則り、定期的に経営層、事業部及び国内外の子会社を対象としたリスクアセスメントを行っており、次回は2024年3月期に実施予定です。
当社グループの事業活動に大きく影響を与える重要なリスク項目を抽出し、「発生頻度」、「影響度」の2つの評価軸で評価します。その結果を基に、当社グループへのヒアリングを踏まえた外部機関の専門的な知見を加えリスクをマトリクス化(図2)し、優先して対応すべきリスク(シビアリスク)を委員会にて取り決めています。
〔図2〕リスクマトリクス

② 主要なリスクの内容と対応策
リスクアセスメントの結果等を踏まえ、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している現在のリスクは次のとおりです。ただし、これらは当社グループのすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。なお、本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
1) 事業環境の変化に関するリスク
2) 関連会社ガバナンスに関するリスク
3) 人材に関するリスク
4) レピュテーションリスク
5) 自然災害リスク
6) サイバー攻撃・情報漏洩のリスク
当連結会計年度(2023年3月期)における当社グループを取り巻く事業環境は、物流・半導体関連で高水準の投資が継続しました。また、EVシフトの加速や、空港利用の回復に伴う需要も顕在化しました。一方、インフレやサプライチェーンの混乱、欧米経済の減速懸念等、経済環境全般では不透明な状況が続きました。
このような経済・事業環境において、当社グループの受注は、各システム向けとも伸長し、特に半導体・液晶生産ライン、空港向けシステムは好調に推移しました。売上は、部材調達期間が長期化している影響を受けたものの、豊富な前期末受注残高をベースに半導体・液晶生産ライン、空港向けシステムがけん引し、全体としては好調に推移しました。
この結果、受注高は7,374億75百万円(前年同期比25.2%増)、売上高は6,019億22百万円(同17.5%増)となりました。
利益面では、原材料費・人件費等が高騰した影響を受けたものの、売上高の増加により営業利益は588億54百万円(同17.1%増)、経常利益は597億59百万円(同16.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は412億48百万円(同15.0%増)となりました。
受注高、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも過去最高となりました。
なお、当期の当社グループの平均為替レートは、米ドルで132.09円(前期110.39円)、中国元で19.50円(同17.13円)、韓国ウォンで0.1020円(同0.0963円)等となりました。為替の変動により、前期比で受注高は約713億円、売上高は約415億円、営業利益は約22億円、それぞれ増加しました。
2024年3月期の業績予想は、半導体関連の一時的な投資抑制による受注の減少、及びインフレ・人件費高騰の影響による減益を見込んでおり、受注高6,300億円、売上高6,050億円、営業利益545億円、経常利益555億円、親会社株主に帰属する当期純利益405億円、売上高営業利益率9.0%としています。
このような経済・事業環境のもと、当社グループは、特に人手不足によって一層加速している自動化の流れを着実に受注につなげて売上を伸ばすとともに、DXの推進等により引き続き収益性・生産性の向上を図ってまいります。また、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上を目指してまいります。
2024年3月期の為替レートは対米ドル133.45円(2023年3月期実績レート132.09円)、対中国元19.43円(同19.50円)、対韓国ウォン0.1041円(同0.1020円)などで計画を立てており、為替による大きな影響は見込んでいません。
上記の業績予想は、主に受注済の案件の進捗見込みや今後受注が見込まれる案件の確度や時期、期中の進捗度合いを想定し算出していますが、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、国内外の顧客の動向・競合状況、「3 事業等のリスク」に記載している各種リスク要因などのさまざまな不確定要素により、実際の業績は記載の見通しと異なる可能性があります。
2023年3月期 実績
セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高を、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しています。
なお、当社グループのうち、株式会社ダイフク、株式会社コンテックをはじめとする国内の会社が3月末決算であるのに対し、海外子会社については、そのほとんどが12月決算のため2022年1月から2022年12月末までの期間の状況を記載しています。
〔図〕報告セグメントの業績
※1 DNAHC = Daifuku North America Holding Company
※2 CFI = Clean Factomation, Inc.
受注・売上ともに全領域で順調に推移しました。
セグメント利益は、原材料費等が高騰している影響を受けたものの、売上増等に伴い増加しました。
この結果、受注高は2,931億25百万円(前年同期比11.7%増)、売上高は2,388億55百万円(同6.1%増)、セグメント利益は340億53百万円(同18.8%増)となりました。
日本市場では企業の設備投資が回復傾向にあり、産業用コンピュータ製品、計測制御用ボードをはじめとしたIoT機器製品の販売が増加しました。一方、セグメント利益は、部材価格高騰の影響を受け、減益となりました。
この結果、受注高は192億92百万円(前年同期比1.6%減)、売上高は186億4百万円(同17.8%増)、セグメント利益は9億88百万円(同19.6%減)となりました。
受注は、全領域で伸長しましたが、特に自動車生産ライン、空港向けシステムが好調に推移しました。売上は、前期末受注残高をベースに順調に推移しました。
セグメント利益は、労務費・人件費の高騰の影響を受け、減益となりました。
この結果、受注高は2,110億47百万円(前年同期比56.1%増)、売上高は1,587億69百万円(同13.0%増)、セグメント利益は61億84百万円(同17.6%減)となりました。
④ Clean Factomation, Inc.(CFI)
韓国半導体メーカーの旺盛な設備投資により、受注、売上、セグメント利益とも増加しました。
この結果、受注高は481億77百万円(前年同期比31.0%増)、売上高は426億94百万円(同48.9%増)、セグメント利益は29億61百万円(同41.2%増)となりました。
⑤ その他
「その他」は、当社グループを構成する連結子会社68社のうち、上記②③④以外の国内外の子会社です。これらの各社は、マテリアルハンドリングシステム・洗車機等の製造・販売・工事・サービスを行っています。主な子会社の状況は、次のとおりです。
国内子会社:
株式会社ダイフクプラスモアは、各種洗車機の販売等を行っています。販売台数は、顧客への政府補助金政策により好調に推移し、年間としては過去最高となりました。
海外子会社:
中国、台湾、韓国、タイ、インドなどにマテリアルハンドリングシステムの生産拠点があり、最適地生産・調達体制の一翼を担いつつ、販売・工事・サービスも行っています。
また、北中米、アジア、欧州、オセアニアには販売・工事・サービスを行う子会社を幅広く配置しています。
受注・売上とも、アジアにおける半導体・液晶生産ライン向けシステムがけん引して好調に推移し、セグメント利益も前期から大きく伸長しました。
この結果、受注高は1,658億32百万円(前年同期比22.8%増)、売上高は1,409億14百万円(同34.4%増)、セグメント利益は56億35百万円(同51.0%増)となりました。
業種別や仕向け地別の詳細については、[図]業種別受注高・売上高及び[図]仕向け地別受注高・売上高をご参照ください。
[図]業種別受注高・売上高
[図]仕向け地別受注高・売上高
資産は、前連結会計年度末に比べ682億29百万円増加し、5,515億52百万円となりました。これは主に、受取手形・完成工事未収入金等及び契約資産が411億61百万円、原材料及び貯蔵品が153億93百万円それぞれ増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ279億65百万円増加し、2,192億28百万円となりました。これは主に、契約負債が232億19百万円増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ402億64百万円増加し、3,323億23百万円となりました。これは主に、利益剰余金が292億66百万円、為替換算調整勘定が116億77百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ162億82百万円減少し、1,023億89百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、200億34百万円となりました(前年同期は566億91百万円の増加)。これは主に、税金等調整前当期純利益が550億52百万円あったものの、売上債権及び契約資産の増加が316億93百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、118億74百万円となりました(前年同期は98億28百万円の減少)。これは主に、固定資産の取得による支出が137億16百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、301億87百万円となりました(前年同期は275億50百万円の減少)。これは主に、配当金の支払額が119億82百万円、長期借入金の返済による支出が159億円あったことによるものです。
連結キャッシュ・フローの指標は次のとおりです。
自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金を対象としています。
5 利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
6 2023年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っています。このため、2022年3月期連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、時価ベースの自己資本比率を算定しています。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
① 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としています。
強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%以上に保ち、「A(シングルAフラット)」以上の発行体格付(株式会社格付投資情報センター(R&I)による格付)の維持向上を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで金融機関からの借入や社債の発行などの活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めてまいります。
② 経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について、売上高の約1.5~2.0カ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。また、株主の皆さまに対する利益還元を最重要事項と位置づけ、剰余金の配当については、株主の皆さまへのさらなる利益還元を視野に入れて、連結当期純利益をベースとする業績連動による配当政策を取り入れるとともに、残余の剰余金については内部留保金として、今後の成長に向けた投資資金に充てる方針です。
設備投資・研究開発に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。現中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期の3年間累計)では総額839億円となる予定です。
③ 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、ならびに製造間接費・販売費及び一般管理費等の固定費です。
固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、賃借料等です。
④ 資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しています。グループ内では資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を国内グループ会社で運用しています。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため信用格付を取得しており、有価証券報告書提出日現在において、株式会社格付投資情報センターによる発行体格付は「A(シングルAフラット)」となっています。一方、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は問題なく調達可能であると認識しています。なお、国内金融機関において300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」「第5経理の状況 2財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社です。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。
当連結会計年度(2023年3月期)の受注高は25.2%増と大きく伸び、売上高も豊富な前期末受注残高を背景に17.5%増となりました。また、営業利益は17.1%増、経常利益は16.6%増、親会社株主に帰属する当期純利益も15.0%増となり、いずれも過去最高となりました。
業績に大きく影響したのは、日本や北米における一般製造業・流通業向けシステムへの投資が引き続き旺盛なことに加え、アジアにおける半導体・液晶生産ライン向けシステムが伸長したことです。特に「デジタル化の進展」により半導体業界が活況となり、積極的な投資が続きました。リスク管理にも注意しながら、コストダウンによる収益性の改善に注力していきます。
空港向けシステムも、アフターコロナで空港利用の回復に伴う需要が顕在化し、受注・売上とも好調に推移しました。
自動車生産ライン向けシステムも、「EVへのシフト」の加速により北米を中心に好調に推移しました。
当社グループの経営成績の分析の詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要」、課題分析や今後の施策などの詳細は「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
2022年3月期からスタートした3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」では、最終年度である2024年3月期の連結売上高6,000億円を経営目標の一つとして掲げていましたが、4つのコア事業(一般製造業・流通業向けシステム、半導体・液晶生産ライン向けシステム、自動車生産ライン向けシステム、空港向けシステム)が好調に推移し、2023年3月期の連結売上高は6,019億円となり、目標を1年前倒しで達成しました。2024年3月期も4つのコア事業が高水準で推移することが見込まれるため、連結売上高は6,050億円を目指します。
一方、最終年度の営業利益率は10.5%を目標にしていましたが、2023年3月期の営業利益率は9.8%でした。2024年3月期は原材料費・人件費上昇に伴うコスト増もあり9.0%の予想で、残念ながら目標には届かない見込みです。
なお、「Value Transformation 2023」におけるROEの目標は10%以上ですが、2023年3月期のROEは13.2%でした。2024年3月期についてもROE10%以上を確保できる見込みです。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めています。
当社グループの収益構造は、親会社株主に帰属する当期純利益の大部分をダイフクが上げています((1) 経営成績等の状況の概要 [図]報告セグメントの業績)。ダイフクのさらなる収益性向上を図ることはもちろん、海外を中心としたダイフク以外のセグメントの収益力向上が課題です。
また、「第1企業の概況 3事業の内容」に記載のとおり、当社グループの主な事業であるマテリアルハンドリングシステムの製造・販売は、グループ各社の密接な連携の上に成り立っており、グループ全体の横断的な取り組みが重要になります。詳細については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」をご参照ください。
該当事項はありません。
当社グループでは、「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」の機能を持つ機械設備とそれを支える電子機器の新システム・新製品の開発に取り組んでいます。昨今は、企業に求められる社会的責任が、経済活動のみならず環境・社会活動を含む概念へと広がっており、環境・安全等にも配慮したシステムや製品の開発にも努めています。
当連結会計年度(2023年3月期)における当社グループが支出した研究開発費の総額は、
報告セグメントごとの内訳は次のとおりです。
報告セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
(1) 株式会社ダイフク
① 一般製造業・流通業向け製品
自動倉庫の荷捌きや工程間搬送向けに、パレット系無人搬送台車「ソーティングトランスファーロボット-L」の販売を開始しました。レールやコンベヤなどの固定設備が不要なため省資源化・工事期間の短縮が図れるほか、増車などのレイアウト変更にも柔軟に対応できます。
また、多品種少量のピッキングをより効率的に行うための「ロボットビークル」の販売も開始しました。段積・移載機能を備えたAGVが棚の間を周回し、複数のバケットを集めて定点ピッキングステーションまで搬送します。
② 半導体・液晶生産ライン向け製品
半導体生産ライン向けでは、最先端の回路線幅である2ナノ~3ナノ向けの搬送・保管システムの開発を継続しています。365日24時間止まることなく、より効率良く搬送・保管でき、消費電力も可能な限り下げ、納入した工場全体の能力を最大限に上げるべく、ハードウエアは改良を重ね、ソフトウエアではコントロールシステムにAIを導入し、信頼性と高効率の両方を生み出せるシステムの開発を進めています。
また、後工程と呼ばれるパッケージ分野でも自動化が進んでおり、数多くの搬送物に備えて、より多くのラインアップを取りそろえるべく新たな搬送・保管システムの開発も進めています。
③ 自動車生産ライン向け製品
CASE(Connected:コネクテッド、Autonomous/Automated:自動運転、Shared:シェアリング、Electric:電動化)に代表される自動車業界の大変革に柔軟に対応するため、従来のものより生産工程を容易に変更できる搬送システムを開発中です。
また、電動化に伴う自動車の重量増に対応するため、完成車検査ライン向けの搬送コンベヤを改良して許容重量を増やすなど、製品力を強化しました。さらに、より高度な自動化設備の実現に向けた要素技術の研究・開発に継続して取り組んでいます。
④ 空港向け製品
関西空港における新設の国内線用手荷物搬送ラインが2022年9月より稼働を開始しました。
受託手荷物の検査ライン用に開発したAGVは、北米の8空港で採用され計261台を納入しました。また、アメリカ運輸保安局(TSA)よりスマートセキュリティレーンの設備認証を取得しました。
⑤ 洗車機
洗車機本体とコールセンターをネットワークで繋ぎ、遠隔監視や遠隔サポートを可能にした「洗車機スマートサポート」を洗車機メーカーで初めて開発し、最新のドライブスルー洗車機「トレウス」「コーディア」に標準搭載しました。
また、フルサービスSS(サービスステーション)向けの新型機を開発中で、一層の省電力や節水に取り組んでいます。
以上に記載の①~⑤を中心に、当社が支出した研究開発費の総額は
(2)コンテックグループ
産業用コンピュータ製品では、「ボックスコンピュータ® BX-M2510」を開発し、2023年3月より販売を開始しました。高度な処理を行う際にコンピュータ内で発生する熱を放熱する新技術により使用温度範囲が拡がりました。FAにおける画像検査装置や社会インフラの安定稼働を支える情報端末のほか、医療機器やセキュリティなど幅広い分野への拡販を目指しています。
IoT機器製品では、「切れない無線LANの追求」をコンセプトとして組み込み用無線LAN製品「FXE5000」を開発し、2023年2月より受注を開始しました。2つの無線接続で通信(二重リンク)することで、一方の接続が切れても安定した通信が可能です。半導体製造、食品工場、物流センターのAGV、医療機器など高い信頼性が求められる装置への組み込みに適しています。
当グループが支出した研究開発費の金額は
(3) Daifuku North America Holding Company(DNAHC)グループ
一般製造業・流通業向けシステムでは、ピッキングやソーティングシステムの開発に力を入れています。
自動車生産ライン向けシステムでは、引き続き静音化に向けた商品の拡充、及び塗装工場でのニーズが根強いPRB(Power Roller Bed)システムの改良を進めています。
当グループが支出した研究開発費の総額は
(4)Clean Factomation, Inc.(CFI)
韓国の半導体メーカーのお客さまに密着して、より効率の高い窒素パージ保管システムや、後工程のパッケージング分野向けの搬送・保管機器の開発などを実施しています。
また、過去に納めたシステムのリニューアル開発なども行っています。
当子会社が支出した研究開発費の総額は