文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、社是に掲げた「全て社会の為に」という基本方針の実現に向けて企業風土改革を推し進めるとともに、次なる成長に向けて3つの経営方針を掲げて事業活動を進めてまいります。
・2018年3月期の水準まで入居率を回復させ、利益を創出することにより自己資本の更なる増強を実現
・株主還元の早期実現に向け、資本構成の振り替えを図る
・ノンコア・不採算事業の譲渡・撤退を進めるとともに、新たに人材戦略の推進を図る
・DXによる他社との差別化、顧客利便性の向上、業務の効率化を実現すべく、管理物件へのスマートロックの設置に引き続き注力
・2024年末までに明らかな不備の改修を終えるため、施工体制を強化し、改修のスピードを上げる
(経営環境)
日本国内における一般世帯数は、2023年をピークにして減少に転じる一方、当社のターゲットである単身者の世帯数は、少子高齢化や人口減少の影響をダイレクトに受けるファミリーの世帯数を比較するとその減少幅は小さい傾向にあり、10年レベルのスパンで考えた場合、当社が供給している単身者向けの物件には一定の需要が発生し、急速なダウントレンドは生じないと想定しております。
また、2021年度の貸家の新設着工戸数は5年ぶりの増加(前年度比9.2%増)となりましたが、わが国の賃貸住宅市場では、人口の都心部への集中などを背景に特に地方で空き家数の増加が続いており、このような環境下で事業を継続していくためには、将来的にも高い入居率が見込める三大都市圏を中心に物件を供給するほか、外国籍入居者の増加、単独世帯の増加、高齢化といった社会の変化を捉えた商品の開発、適切なメンテナンスによる物件価値の維持・向上、利便性と付加価値の高い入居者サービスの提供等による差別化戦略が重要となります。
単身者向けに家具家電を備えたワンルームを短期利用でも可能な形で大都市圏に集中して提供している当社は、賃貸住宅市場において競合他社とは異なる独自のポジションを確立していると認識しております。
(対処すべき課題)
入居率の向上
顧客の属性別に入居率向上施策を実施し、2018年3月期の水準までの回復を目指してまいります。
法人 :トップ営業の実行、営業体制の強化、個社別戦略によるシェアアップ・部屋利用残の増加
個人 :仲介業者との連携・協業、WEB集客の強化
外国籍:多言語対応店舗での対応に加え、仲介業者・留学センターとの関係を強化
コスト構造の適正化
施工不備問題の発覚以降、聖域なきコストカットを継続しておりましたが、持続的な成長に向けて必要な部分(物件メンテナンス、DX推進に向けたシステム投資、新卒採用・ベースアップ等の人的投資)には積極的に取り組み、選択と集中によるコストの最適化に注力してまいります。
自己資本の増強
収益力強化により自己資本比率を向上させるとともに、株主還元の早期実現へ向けた資本の再構成を図ってまいります。
ノンコア・不採算事業の譲渡・撤退を継続するとともに、スマートロック設置の推進、AI音声対話・チャットボットによる入居者問い合わせ24時間対応、全ての個人契約の電子化対応等により、顧客利便性向上と業務効率化を図ってまいります。
当社施工物件における施工不備の問題については、引き続き財務基盤の立て直しを図りつつ、施工体制を強化して着実に改修を進め、2024年末までに明らかな不備を解消することを目指しております。
また、2023年3月23日付で、環境省及び経済産業省より家電リサイクル法に基づく勧告を受けました件につきまして、皆様にご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
廃棄家電の処理手続きを適正な方法へ見直すとともに、再発防止とコンプライアンス体制の強化・充実を図ってまいります。
2024年3月期以降の目標とする経営指標は以下のとおりです。
(単位:百万円)
※1 EPS=親会社株主に帰属する当期純利益÷発行済株式総数(自己株式控除後)
※2 ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本
※3 ROIC=NOPAT(税引後営業利益)÷投下資本(有利子負債+株主資本)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、取締役会の傘下にサステナビリティ委員会を設置し、取締役会が諮問するサステナビリティ経営に関する取り組みを事業の一環として推進すべく、3カ月ごとに会議を開催しております。
取締役会は、サステナビリティ経営の重要な課題として位置づける8つのマテリアリティについて検討・諮問を行うことで、サステナビリティ活動全般についての監督責任を果たします。
サステナビリティ委員会は、サステナビリティ担当役員を委員長とし、各部署・各グループ会社のサステナビリティ担当者で構成され、当社のマテリアリティ解決に向けた施策の審議・検討を行っております。
当社のサステナビリティ経営における重要な課題(8つのマテリアリティ)
サステナビリティ活動に関するマテリアリティの中でも、当社グループは「不動産テックの推進」「働き方改革・人材育成」「コンプライアンス強化」「環境に対する取り組み」を特に重視しております。
■「不動産テックの推進」
当社はこれまでに、電子契約サービスやスマートロックの導入など、継続してDX化推進に取り組んでおりますが、デジタル技術の進歩や労働人口の減少等、ビジネス環境が激しく変化する中において、さらなるDX化推進によりサステナビリティ経営を実現すべく「DX戦略」を策定し、2022年8月に公表いたしました。今後もDXを積極的に取り入れ、顧客利便性の向上、業務効率化を通じた企業価値向上を目指してまいります。
「DX戦略」に関する詳細な情報については、弊社ウェブサイト(URL
/2022/pdf/0805.pdf)に公表されている「DX戦略」の策定に関するお知らせ をご参照ください。
■「働き方改革・人材育成」
(人的資本経営の取り組み)
当社グループでは、多様性の尊重を土台とした人材育成を通じて、それぞれの「個性」「らしさ」を活かして活躍できる環境を促進・整備することで将来を担う経営人材の創出に努めております。多様性を推進するための一環として、テレワーク等の柔軟な働き方の導入やライフイベントに対する制度の拡充を行っております。人事制度においては、「期待伝達」「能力開発」「公正処遇」「適材適所」の4つの目的を掲げ、特に「期待伝達」や「能力開発」に活用するためのツールとして、人材育成の要素が強く盛り込まれております。
今後、当社グループが継続的に成長するために人材育成を最重要のテーマとして捉え、2023年5月、新たに人的資本経営ビジョンを「人を活かし、会社を育て、社会を潤す」と定めました。
「リーダー育成とサクセッション」「多彩な人材の戦略的獲得」「従業員のエンゲージメント向上」「コンプライアンスと倫理観の醸成」「多様性の推進」「ウェルビーイング経営の推進」の6テーマを定め、将来のあるべき姿に向けて自ら解決すべき課題とKPIを設定し、指標の定量把握・分析に継続的に取り組みながらモニタリングしつつ、段階的に社内体制の構築を充実させてまいります。
人的資本経営ビジョン「人を活かし、会社を育て、社会を潤す」
人材戦略に関しては、代表取締役社長を委員長とする人事委員会にて、重要であり広範囲に関係する企画事項や、全社的事項である各部門間の協調または統制、人事処遇の公平性に関する審査・決定を行っております。さらには2024年3月期より、新たに経営戦略と人材戦略を連動させるための取り組みとして、経営と人事総務部による人事戦略に関する定例会議を設けております。当社グループが求める人材像の特定から、人事制度の改廃、人員に関する計画、研修と教育施策、ウェルビーイング経営推進に至るまで、進捗状況の共有、検討と決裁を行うことで一貫性を持たせた戦略を従業員へ展開し、多様な個人や組織の更なる活性化と企業文化の定着を目指してまいります。
〇 リーダー育成とサクセッション
従業員一人ひとりの会社人生における持続的な成長を促進することを目的として、「常に学びが傍らにあり、積極的にチャレンジできる環境」を目指します。
教育研修体系としては、「階層別教育」「選抜型教育」「キャリア開発」「自己啓発支援」の4つに分類し、各階層に適した研修計画を推進しております。2024年3月期より、新たに若手優秀層抜擢研修を実施することで、当社グループの発展に必要な人材を発掘・育成し、将来を担う人材として次世代リーダー候補の可視化とプール人材の確保に努めております。
サクセッションについては、「企業の未来を担う経営人材の育成」を掲げ、事業・会社・業界を牽引するリーダーとなる人材を育成する環境を整備しています。アセスメントセンター方式による幹部候補人材の可視化や、外部交流型の集合研修を通じて計画的な育成と輩出を目指しております。
〇 多彩な人材の戦略的獲得
幅広い人材を適切に選定し、多様な人材ポートフォリオを構築するとともに、人材の能力や経験、専門性等を総合的に評価し、それぞれのポジションに必要な人材を採用することで企業の成長を目指してまいります。
また、2024年3月期より新たに高度専門人材の人事制度を導入いたしました。技術力や専門知識の向上、創造性の向上、人材の多様化などを図り、既存の組織に柔軟性を持たせ、多様な視点やアプローチを取り入れることを目的としております。
〇 従業員のエンゲージメント向上
エンゲージメント向上には、ワークライフバランス支援、理念共有と価値観の浸透、コミュニケーションと参画促進が不可欠であると捉えております。
代表取締役社長を中心に直接支店を訪問して社員と意見交換を行う「Townミーティング」は、理念共有、価値観の浸透と双方向コミュニケーションの場として実施され、その内容は社内報で配信されるなど、広く周知・共有が行われております。
2024年3月期より、従業員満足度等を数値化できるサーベイを新たに実施いたします。社員意識の確認と、より良い職場の実現に向けた取り組みを行うことにより社員活力の最大化を推進いたします。
〇 コンプライアンスと倫理観の醸成
コンプライアンスファーストを掲げ、コンプライアンス推進のため役職員一人ひとりの意識向上・知識習得の強化に取り組んでおります。コンプライアンスの基本概念の理解のほか、ハラスメント防止や個人情報の取り扱いなど時代のニーズに応じたテーマで集合研修やEラーニングを実施しております。
また、役職員が法令違反や不正行為などを発見した場合に、相談や通報を受け付ける「コンプライアンスホットライン」を社内(コンプライアンス推進本部)及び社外(弁護士事務所)、監査役(監査役会)に設けております。
〇 多様性の推進(ダイバーシティ&インクルージョン)
これまでに、多様な背景を持つ社員の社内対話の機会創出として「THE DANKAI」を実施するなど、社員一人ひとりの「個性」「らしさ」を活かして活躍できる環境を目指しております。
<認定・表彰>
プラチナくるみん(2017年)/ 準なでしこ(2017年)/ イクボス企業同盟(2017年)/
テレワーク推進賞『奨励賞』、テレワーク先駆者100選(2018年)/ PRIDE指標『ブロンズ』(2020年)
〇 ウェルビーイング経営の推進
「新しい価値の創造」に絶えずチャレンジし、生産性の向上・企業の持続的な成長などを力強く進めるため、従業員の心身の健康の保持増進に加え、従業員同士での活き活きとしたつながりから創造される職場の活性化や顧客・取引先・株主等あらゆるステークホルダーとの良好な相互関係を実現する「ウェルビーイング経営」を目指しております。
ウェルビーイング経営は、代表取締役社長自らが最高責任者となり、人事総務部をウェルビーイング経営推進部門と位置づけ、各事業所や衛生委員会等での共有・報告する体制のもと、外部機関とも連携を深めながら推進いたします。また、重点課題として、「健康診断に関わる支援」「禁煙推進」「メンタルヘルス支援」の3つを掲げ、各種施策に取り組んでおります。
<認定・表彰>
健康経営優良法人(2023年)
■コンプライアンス強化
取締役会の諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置、年12回の開催により当社グループのコンプライアンス体制強化を図っております。特に、施工不備問題を発端として企業風土の抜本的改革に取り組んでおり、再発防止策については、当初計画を完了した後も風化させることなく、継続的な取り組みを実施しております。また、各部門や関係会社における自走式のコンプライアンス推進の実現に向け、コンプライアンスに係わる施策を業務執行現場で積極的に実行する体制を構築しております。それに加え、当期に第三者評価を受け、高度化のための課題を特定いたしました。今後も継続的改善に努め、コンプライアンスの高度化を図ってまいります。
全役職員向けに毎年実施している「コンプライアンス意識調査」では、2019年時点では「コンプライアンスを意識している」と回答した役職員が83%でありましたが、2023年時点では99%まで上昇しており、業務の中でコンプライアンスを意識している役職員が増えていることが確認されました。
なお、当社では、施工不備問題を風化させないため、毎年5月29日を「変革の日5.29」と定め、再び社会から信頼される企業になるためにグループ全役職員一人ひとりが自覚を高め、再発防止を誓う日としております。
コンプライアンスに関する取り組みの詳細については、弊社ウェブサイト(URL
jp/corporate/compliance.html)をご覧ください。
■「環境に対する取り組み」
〇 特定したリスク・機会及びその事業/財務影響
影響度 大:売上高に対する影響額50億円以上 / 事業運営に重大な影響を及ぼすもの
中:売上高に対する影響額5億円以上50億円未満 / 事業運営に影響を及ぼすもの
小:売上高に対する影響額5億円未満 / 事業運営に軽微な影響を及ぼすもの
〇 主な対応策
移行リスクのうち、環境対応の遅れによる法人顧客からの取引忌避については、「レオパレスグリーンエネルギー」プロジェクトを通じ、管理物件で使用する電気・LPガスを順次CO2排出量実質ゼロのものに切り替え、全国約56万戸の管理物件に供給される電気・ガスのCO2排出量実質ゼロ化を進めてまいります。これにより、当社管理物件を利用される法人顧客様のCO2排出量の削減に貢献できるほか、当社にとってもスコープ3の削減が実現する見込みです。
当社ではシナリオ分析を実施し、社内で気候変動リスク及び機会への対応策を検討した結果、1.5℃、4℃いずれのシナリオの社会が現実のものとなったとしても、レジリエンスを有していることが確認されました。また、環境問題への対応策を講じることが当社の企業価値向上に寄与するものと結論づけました。
「環境に対する取り組み」に関する詳細な情報については、弊社ウェブサイト(URL
co.jp/ir/library/annual_report.html )に公表されている統合レポートをご参照ください。
(3)リスク管理
当社グループでは、リスクを「当社に物理的、経済的または、信用上の損失、不利益を生じさせる可能性がある潜在的なもの」と定義し、6つの大分類に基づいて評価・対応を進めております。
リスク分類表
これらのリスクを全社的に把握・管理するため、取締役会の傘下にリスク管理委員会を設置し、全社的なリスクを統括的に把握・管理する仕組みを構築しております。
サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会にて特定もしくは定期的に見直したサステナビリティ関連リスクを含む事業全般のリスクは、両委員会事務局間で相互に報告し、その後、全社的なリスクとして共有を図っております。
各リスクへの対応策は、サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会を中心に、関係部署と連携して検討・立案し、実行してまいります。効果検証を含めたモニタリングも関係部署にて適宜実施し、その結果をサステナビリティ委員会及びリスク管理委員会にて報告した後、取締役会に報告されます。
不動産テックの推進
DX推進指標及び目標値は以下のとおりです。
働き方改革・人材育成
人的資本経営の指標及び目標値は以下のとおりです。
教育研修の従業員参加総時間
(注)階層別研修、選抜型研修、360度フィードバック研修における従業員参加総時間
採用(当社単体ベース)
(注)シルバー事業の介護施設(あずみ苑)採用を除く
社員エンゲージメント指標
(注)ストレスチェックによる高エンゲージメント割合
離職率(当社単体ベース)
女性管理職比率(当社単体ベース)
男性社員による育児休業等、育児目的休暇の取得率(当社単体ベース)
男女間賃金格差(当社単体ベース)
(注)男女の賃金格差は男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しており、同一労働の賃金に差はなく、等級別人員構成
の差によるものであります。
定期健診後の精密検査受診率(当社単体ベース)
喫煙率
コンプライアンス強化
コンプライアンスに関するEラーニング実施回数
コンプライアンスホットラインの認知度
(注)定量的な目標値は設定しておりません。
環境に対する取り組み
当社グループでは、2016年度より事業活動を通じて排出されるCO2排出量の集計と開示を開始しており、当社関連施設からのCO2排出量のうち、スコープ1・2に該当する排出量を「2030年度までに2016年度対比46%削減※」することを2020年に目標として掲げております。
※日本政府の目標:地球温暖化対策計画(2021年10月22日閣議決定)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/211022.html
今後は、これまで実施してきた管理物件の照明器具のLED化に加えて、再生可能エネルギーの導入及びZEHアパートの開発・販売等の取り組みも推進し、スコープ3の削減施策をより一層強化してまいります。
スコープ1・2・3の実績
※スコープ3カテゴリ13の排出量÷賃貸セグメント売上高
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 売上高
当社物件は単身者の利用が多く、法人契約の場合には出張などの短期滞在用や社員寮などとして利用頂いています。従って、景気や企業業績などを背景とした雇用状況や出張ニーズなどの変動が、当社物件の利用状況に影響を与える可能性があります。なお、当該リスクは、新型コロナウイルス感染症の流行により過年度において一部顕在化し、就職や転勤に伴う法人入居需要の落ち込みが当社グループの経営成績に大きな影響を与えました。
また、当社グループは、顧客との建物建築請負契約の締結をもって受注計上しておりますが、その遂行において顧客の金融機関借入、即ちローン利用可否は重要なファクターとなります。金融機関の貸出姿勢、土地担保評価や金利動向等の情勢が変化した場合には、売上高の変動を通して当社グループの業績に影響が及ぶ場合があります。
当社は、オーナー様との建物賃貸借契約に基づき対象物件の一括借上げを行い、当初契約時に定められた期間において、同じく定められた固定賃料をオーナー様にお支払いしています。従って、この期間中に当社が受け取る住居人からの家賃収入に変動が発生した場合には、当社の収益性に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループが保有している有形固定資産、投資有価証券及びその他の資産は、時価の下落等による減損又は評価損の計上によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
撤退の方針としているグアムのリゾート事業に係る有形固定資産については、2023年3月期において鑑定評価額に基づく正味売却可能価額まで減損損失を計上しており、今後につきましても定期的に鑑定評価を取得して減損処理の要否を確認してまいりますが、今後の不動産市況の動向等によっては、追加の損失処理が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、空室増加による損失リスクにあらかじめ備えるべく、合理的な見積可能期間内に発生が見込まれる損失の額に対して「空室損失引当金」を設定しております。空室損失引当金は、個別賃貸物件ごとの借上家賃及び将来予測入居率に基づいて算出しているため、これらの計数が悪化した場合、引当額の増加につながり、賃貸事業部門の業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、適切なメンテナンスによる物件価値の維持・向上、地域や顧客の特性にあった販売戦略の推進、電子化による利便性の高い集客・契約・入居者サービスの提供により安定した入居率を維持するとともに、管理原価の削減や一括借上家賃の適正化を図ることにより物件収支の最大化を図ってまいります。
当社は、アパートの入居契約時にお客様からお預りした退去時清掃費のほか、オーナー様からお預りした将来のアパート修繕費用を長期預り敷金保証金として計上しております。当社は、アパートの維持管理体制には万全を期しており、入居者様の退去に伴う清掃費や定期修繕費用についても綿密な長期計画に基づく予算化を行っておりますが、予想外の清掃費用や大規模修繕等が発生した場合には、当社の財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
また、リゾート事業に係るレオパレスリゾート会員権の預託金があり、1993年7月の開場以来、預託されているものであります。今後、予想外の預託金償還請求が発生した場合には、当社の財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
2018年4月に公表した小屋裏界壁施工不備のほか、2018年5月、2019年2月及び2019年5月に公表したとおり、当社施工物件において、界壁等の施工不備があることが判明いたしました。当社といたしましては、共同住宅という商品を扱う建設業者としてあるまじき問題であることを重く受けとめ、再発防止に全力で取り組んでおります。
これらに関連して、補修工事の遅れによる入居率の停滞、信用低下に伴う建物建築請負工事の受注減少などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2022年7月及び2023年1月に公表したとおり、当社の賃貸事業における廃棄家電の処理手続が家電リサイクル法違反であったことが判明し、2023年3月23日付で環境省及び経済産業省から家電リサイクル法に基づく勧告を受けており、2023年3月からの1年間における廃棄家電の引取り及び引渡しの状況並びに再発防止策の実施状況について定期報告を徴求されております。
当社は、環境省及び経済産業省並びに専門家のご指導を頂きながら是正に取り組み、家電リサイクル法及び同法に関連する廃棄物処理法に適合した新たな処理手続の運用を開始しておりますが、本件に関連して社会的信用の低下等が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
2023年6月27日に公表したとおり、当社代表取締役及び当社監査役は、2023年6月13日及び15日、過去に当社と取引関係のあった法人株主である株式会社TENZANから、当社監査役宛に当社取締役及び元取締役24名、当社代表取締役宛に当社監査役及び元監査役5名の責任追及等の訴えに関する提訴請求書を受領しました(以下「本提訴請求」といいます)。
これに対し、当社取締役会及び当社監査役は、社外弁護士の助言を受けながら本提訴請求について検討を進めた結果、本提訴請求は不適法であるとの判断に至っておりますが、本件に関連して社会的信用の低下等が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、お客様など取引先の同意や機密保持契約に基づいて入手した個人情報をはじめとして、多くの情報を保有しております。情報セキュリティ管理の実現のために必要な行動指針を定め、コンプライアンス委員会を主体として役員、社員への教育と徹底に努めておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス、役職員による情報漏洩等が発生した場合には、社会的信用の低下や損害賠償の発生等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、気候変動を経営に影響を及ぼす重要な課題の一つとして認識しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画しております。
気候変動における移行リスクとしては、炭素税等の規制強化による運用コスト増加や新築物件における建築コスト増加、環境対応への遅れによる法人顧客からの取引忌避や投資家からの低評価、物理リスクとしては、災害による管理物件の被害等が想定され、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業展開上、様々なリスクがあることを認識し、それらをできる限り防止、分散あるいは回避するように努めております。
しかしながら、当社グループが事業を遂行するにあたり、経済情勢、不動産市況、金融・株式市況、法的規制や災害及びその他の様々な影響が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況及び分析の内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(単位:百万円)
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進む一方で、エネルギーや原材料価格の高騰などの影響により、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
貸家の新設着工戸数は2年連続の増加(前年度比5.0%増)となりましたが、人口減少・少子高齢化により空き家数の増加が続く中で安定した入居率を確保するには、今後も増加が予想される単独世帯をターゲットとして、地域や顧客の特性に合った販売戦略、適切なメンテナンスによる物件価値の維持・向上、電子化の推進による利便性の高い入居者サービスの提供等を進めていくことが重要と考えております。
このような状況の中、当社グループは、2020年6月に公表した抜本的構造改革を継続し、選択と集中により中核事業である賃貸事業に経営資源を投入するとともに、あらゆるコストの見直しと削減を徹底して実行することにより、事業面及び財務面での安定化と持続的な収支の改善に取り組んでまいりました。
売上高は、前連結会計年度比8,082百万円(2.0%)増加の406,449百万円となりました。これは主に、家賃単価の上昇や入居率のベースアップにより、賃貸事業売上高が前連結会計年度比8,394百万円(2.2%)増加の391,438百万円となったことによるものであります。
売上総利益は、前連結会計年度比7,208百万円(15.6%)増加の53,285百万円、売上総利益率は13.1%(前連結会計年度比1.5ポイント上昇)となりました。これは主に、前期から取り組んできた一括借上家賃適正化による固定費削減で、賃貸事業売上原価が206百万円減少したことによるものであります。
営業利益は、前連結会計年度比8,104百万円(456.7%)増加の9,879百万円となりました。これは主に、業績連動賞与の計上等により給料及び賞与が1,776百万円増加した一方で、貸倒引当金繰入額が1,282百万円、ソフトウエアの償却終了等により減価償却費が1,114百万円それぞれ減少したこと等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度比895百万円(2.0%)減少したことによるものであります。なお、売上高営業利益率は2.4%(前連結会計年度比2.0ポイント改善)となりました。
経常利益は、6,526百万円(前連結会計年度は経常損失2,151百万円)となりました。これは主に、支払利息4,370百万円を計上したものの、売上増加とコスト抑制により営業利益が大幅に改善したことによるものであります。なお、売上高経常利益率は1.6%(前連結会計年度比2.1ポイント改善)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比7,956百万円(67.1%)増加の19,810百万円となりました。
これは主に、資材価格の高騰や2024年末までの明らかな不備解消に向けた外注工事比率の上昇等を受けて補修工事関連損失2,544百万円を計上したものの、繰延税金資産の積み増しにより法人税等調整額(益)18,538百万円を計上したこと等によるものです。
なお、1株当たり当期純利益は60.22円(前連結会計年度比24.18円増加)となりました。
(単位:百万円)
賃貸事業においては、部屋探しから契約までが非対面で完結可能なWEB契約、スマートフォンでの家電操作や施錠が可能なスマートアパート化の推進、法人顧客の深耕開拓、仲介業者の活用、顧客やエリアの特性・ニーズに合わせたきめ細やかな販売戦略の展開等により安定した入居率の確保を図るとともに、販売単価の見直し等による採算性の向上に努めております。
当連結会計年度の入居率については、新型コロナウイルス感染症の影響で、法人顧客を中心に抑制されていた入居需要の回復や各種施策の奏功により、期末入居率は88.83%(前期末比+3.73ポイント)、期中平均入居率は84.66%(前期比+3.44ポイント)となりました。なお、管理戸数は561千戸(前期末比6.0千戸減)、直営店舗数は109店(前期末比増減なし)としております。
損益面については、家賃単価の上昇や入居率のベースアップ等により、当連結会計年度の売上高は391,438百万円(前連結会計年度比2.2%増)、営業利益は、増収効果に加えて、前期から取り組んできた一括借上家賃の適正化が寄与して収益性が向上したこと等により、16,887百万円(前連結会計年度比118.8%増)となりました。
シルバー事業においては、継続的なオペレーション改善により原価抑制に努めておりますが、新型コロナウイルス感染症への感染リスクを懸念した介護サービスの利用控えが継続したこと等により、売上高13,941百万円(前連結会計年度比2.2%減)、営業損失1,208百万円(前連結会計年度比418百万円損失増加)となりました。なお、当連結会計年度末の施設数は87施設となっております。
グアムリゾート施設の運営等を行っているその他事業は、新型コロナウイルス感染症の影響によるリゾート施設の稼働率低迷が続いており、売上高は1,069百万円(円安影響により前連結会計年度比0.5%増加)、営業損失は2,706百万円(前連結会計年度比1,038百万円損失増加)となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績の著しい変動は、主に子会社であった株式会社もりぞうの売却によるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記以外の事業につきましては、受注の形態を取っておりませんので記載しておりません。
3.受注実績の著しい変動は、主に子会社であった株式会社もりぞうの売却によるものであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの相手先は不特定の法人・個人であるため、主要な販売先の記載は省略しております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末比21,117百万円増加の166,548百万円となりました。これは主に機械装置及び運搬具(純額)が937百万円、有形固定資産その他(純額)が2,209百万円それぞれ減少し、貸倒引当金が1,635百万円増加した一方、現金及び預金が8,037百万円、繰延税金資産が18,556百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比770百万円減少の133,625百万円となりました。これは主に未払金が3,550百万円、前受金及び長期前受金が1,648百万円増加した一方、未払法人税等が852百万円、保証履行引当金が1,583百万円、補修工事関連損失引当金が503百万円、空室損失引当金が2,042百万円それぞれ減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比21,888百万円増加の32,922百万円となりました。これは主に連結子会社における非支配株主への自己株式取得代金及び配当金の支払等による非支配株主持分の減少1,086百万円があった一方、円安の進行に伴う為替換算調整勘定の増加3,371百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上19,810百万円があったことによるものであります。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末比13.8ポイント上昇し14.5%となりました。
(単位:百万円)
営業活動によるキャッシュ・フローは、10,545百万円の収入(前連結会計年度は4,460百万円の支出)となりました。これは主に、空室損失引当金の減少額が2,042百万円、利息の支払額が4,371百万円、補修工事関連支払額が3,337百万円となった一方、税金等調整前当期純利益が2,847百万円、減価償却費が6,570百万円、補修工事関連損失が2,544百万円、前受金の増加額が1,680百万円となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、906百万円の収入(前連結会計年度比20百万円の収入増加)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が711百万円あった一方、貸付金の回収による収入が700百万円、定期預金の払戻による収入(純額)が800百万円あったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,819百万円の支出(前連結会計年度比3,067百万円の支出減少)となりました。これは主に、ファイナンス・リース債務の返済による支出741百万円、連結子会社における非支配株主からの自己株式取得による支出990百万円、非支配株主への配当金の支払額972百万円によるものであります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は52,860百万円となり、前連結会計年度末比8,837百万円増加いたしました。フリーキャッシュ・フローは11,452百万円のプラス(前連結会計年度末比15,026百万円改善)となり、資金の流動性は確実に向上しております。
(契約債務)
2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
(財務政策)
当社グループは、設備投資計画に照らして、平常時においては、必要な資金を主に銀行借入や社債発行等により調達する方針としております。
当連結会計年度においては、新たな資金調達をすることなく、営業キャッシュ・フローの改善により事業活動に必要な資金を確保してまいりました。翌年度以降についても、不断の構造改革による賃貸事業の収益力強化並びにキャッシュ・フローの改善に努め、資金計画に基づき想定される需要に十分対応できる資金を確保してまいります。なお、2023年3月31日現在、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の残高は30,418百万円であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。