第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、社是に掲げた「全て社会の為に」という基本方針の実現に向けて企業風土改革を推し進めるとともに、次なる成長に向けて3つの経営方針を掲げて事業活動を進めてまいります。

■ 不断の構造改革

・入居率向上施策、コスト構造の適正化の実施により更なる利益の創出に努め、自己資本を増強

■ サステナビリティの推進

・中長期的な視点で当社の企業価値を向上すべく、不動産テックの推進を中心に、ガバナンスの強化、グリーン化についても推進を図る

■ 施工不備対応

・2024年末までに明らかな不備の解消を目指す

・すでに不備が判明した戸数を含め、現在予測できる改修戸数約38,000戸の改修を着実に進める

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(2) 経営環境及び対処すべき課題

(経営環境)

日本国内における一般世帯数は、少子高齢化という人口トレンドを背景に2023年をピークにして減少に転じる一方、当社が主要なターゲットとしている単独世帯は2032年まで増加していく見通しであり、2040年には一般世帯全体の39%が単独世帯になると推計されております。

また、2021年度の貸家の新設着工戸数は5年ぶりの増加(前年度比9.2%増)となりましたが、わが国の賃貸住宅市場では、人口の都心部への集中などを背景に特に地方で空き家数の増加が続いており、このような環境下で事業を継続していくためには、将来的にも高い入居率が見込める三大都市圏を中心に物件を供給するほか、外国籍入居者の増加、単独世帯の増加、高齢化といった社会の変化を捉えた商品の開発、適切なメンテナンスによる物件価値の維持・向上、利便性と付加価値の高い入居者サービスの提供等による差別化戦略が重要となります。

単身者向けに家具家電を備えたワンルームを短期利用でも可能な形で大都市圏に集中して提供している当社は、賃貸住宅市場において競合他社とは異なる独自のポジションを確立していると認識しております。

 

(対処すべき課題)

■ 不断の構造改革

入居率の向上

顧客の属性別に入居率向上施策を実施し、計画の達成を目指してまいります。

法人  :トップ営業の実行、営業体制の強化、個社別戦略によるシェアアップ・部屋利用残の増加

個人  :仲介業者との連携・協業、WEB集客の強化

外国籍 :外国人財支援企業や特定技能支援機関との連携強化による特定技能人材の利用増加

多言語対応窓口での積極的対応や仲介業者・留学センターとの連携による留学生需要の獲得

コスト構造の適正化

前年から取り組んでいる家賃適正化の継続や業務効率化の取り組み(コールセンター外注化、契約事務の首都圏拠点への集約等)によりコストを削減する一方で、将来に向けた物件価値の維持・向上のためのメンテナンス、賞与引当金の計上、各種営業施策など業績改善に向けて必要なものには一定のコストをかけて取り組み、選択と集中によるコスト構造の適正化により、利益創出と自己資本の増強を進めてまいります。

■ サステナビリティの推進

環境・社会・経済の持続可能性に配慮した事業活動の推進により、事業自体のサステナビリティ(持続可能性)を向上させるとともに、来店せずに部屋探しから内見・契約手続きまで可能なWEB接客・WEB契約の推進、鍵の受渡が不要で紛失リスクも軽減できるスマートロックの導入、AI技術を利用した膨大な取引データの活用など最新のテクノロジーを積極的に導入し、時代のニーズに沿った商品・サービスを提供していくことで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ります。

また、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みの1つとして、当社関連施設からのCO2排出量のうち、スコープ1、2(電気・ガス・ガソリン由来)に該当する排出量を「2030年度に2016年度比で26%削減」することを目標としております。

■ 施工不備対応

当社施工物件における施工不備の問題については、財務基盤の立て直しを図りながら着実に施工不備の改修を実施し、2024年末までに明らかな不備を解消することを目指しております。

また、再発防止策を経営上の最重要課題と位置付け、「企業風土の抜本的改革」「コンプライアンス・リスク管理体制の再構築」「建築請負事業体制の見直し」を3大項目として再発防止に向けた取り組みを継続的に実施しており、その進捗状況については、補修工事の進捗状況と併せて当社ウェブサイトにて開示しております。

(https://www.leopalace21.co.jp/saihatsuboushi/)

(3) 目標とする経営指標

2023年3月期以降3ヶ年の目標とする経営指標は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

売上高

410,800

423,100

429,300

営業利益

11,700

17,500

25,200

親会社株主に帰属する当期純利益

24,900

13,400

19,400

自己資本比率

16.0%

23.0%

32.7%

1株当たり当期純利益(EPS)

75.71円

40.74円

58.99円

自己資本利益率(ROE)

93.6%

33.7%

32.0%

投下資本利益率(ROIC)

11.9%

14.8%

16.8%

※1 EPS=親会社株主に帰属する当期純利益÷発行済株式総数(自己株式控除後)

※2 ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本

※3 ROIC=NOPAT(税引後営業利益)÷投下資本(有利子負債+株主資本)

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 売上高

当社物件は単身者の利用が多く、法人契約の場合には出張などの短期滞在用や社員寮などとして利用頂いています。従って、景気や企業業績などを背景とした雇用状況や出張ニーズなどの変動が、当社物件の利用状況に影響を与える可能性があります。なお、当該リスクは、新型コロナウイルス感染症の流行により一部顕在化し、就職や転勤に伴う法人入居需要の落ち込みが前連結会計年度の経営成績に大きな影響を与えました。

また、当社グループは、顧客との建物建築請負契約の締結をもって受注計上しておりますが、その遂行において顧客の金融機関借入、即ちローン利用可否は重要なファクターとなります。金融機関の貸出姿勢、土地担保評価や金利動向等の情勢が変化した場合には、売上高の変動を通して当社グループの業績に影響が及ぶ場合があります。

(2) 売上原価

当社は、オーナー様との建物賃貸借契約に基づき対象物件の一括借上げを行い、当初契約時に定められた期間において、同じく定められた固定賃料をオーナー様にお支払いしています。従って、この期間中に当社が受け取る住居人からの家賃収入に変動が発生した場合には、当社の収益性に影響が及ぶ可能性があります。

(3) 有形固定資産及び有価証券

当社グループが保有している有形固定資産、有価証券及びその他の資産は、時価の下落等による減損又は評価損の計上によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

撤退の方針としているグアムのリゾート事業及び国際事業に係る有形固定資産については、2020年3月期において鑑定評価額に基づく正味売却可能価額まで減損損失を計上しており、今後につきましても定期的に鑑定評価を取得して減損処理の要否を確認してまいりますが、今後の不動産市況の動向等によっては、追加の損失処理が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 空室損失引当金

当社は、空室増加による損失リスクにあらかじめ備えるべく、合理的な見積可能期間内に発生が見込まれる損失の額に対して「空室損失引当金」を設定しております。空室損失引当金は、個別賃貸物件ごとの借上家賃及び将来予測入居率に基づいて算出しているため、これらの計数が悪化した場合、引当額の増加につながり、賃貸事業部門の業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、将来的にも高い入居率が見込める三大都市圏を中心とした物件供給、適切なメンテナンスによる物件価値の維持・向上、地域や顧客の特性にあった販売戦略の推進、電子化による利便性の高い集客・契約・入居者サービスの提供により安定した入居率を維持するとともに、管理原価の削減や一括借上家賃の適正化を図ることにより物件収支の最大化を図ってまいります。

(5) 長期預り敷金保証金

当社は、アパート修繕に備えるためのオーナー様からの長期預り金があります。これは主にレオパレス共済会の解散に伴う、各オーナー様からの将来の修繕費用の一部としての預り金であります。当社は、賃貸事業としてオーナー様から一括で借上げ運営管理をしているアパートの維持管理体制には万全を期しており、定期修繕費用についても綿密な長期計画に基づく予算化を行っておりますが、予想外の大規模修繕等が発生した場合には、当社の財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

また、リゾート事業に係るレオパレスリゾート会員権の預託金があり、1993年7月の開場以来、預託されているものであります。今後、予想外の預託金償還請求が発生した場合には、当社の財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(6) 当社施工物件における不備の影響について

2018年4月に公表した小屋裏界壁施工不備のほか、2018年5月、2019年2月及び2019年5月に公表したとおり、当社施工物件において、界壁等の施工不備があることが判明いたしました。当社といたしましては、共同住宅という商品を扱う建設業者としてあるまじき問題であることを重く受けとめ、再発防止に全力で取り組んでおります。

これらに関連して、補修工事の遅れによる入居率の停滞、信用低下に伴う建物建築請負工事の受注減少などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 新型コロナウイルス感染症流行に関するリスク

新型コロナウイルス感染症の収束時期は未だ見通せない状況ではありますが、感染対策と経済活動の両立が進んでいること、入国制限の緩和により外国籍入居者需要の回復が見込まれること、WEB上での接客・契約により非対面で全ての手続きが可能であること等から、当社グループの業績への影響は限定的なものになると想定しております。

これらの想定に変更が生じ、同感染症の収束に時間を要して経済活動への影響が長期間にわたるような場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、お客様など取引先の同意や機密保持契約に基づいて入手した個人情報をはじめとして、多くの情報を保有しております。情報セキュリティ管理の実現のために必要な行動指針を定め、コンプライアンス委員会を主体として役員、社員への教育と徹底に努めておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス、役職員による情報漏洩等が発生した場合には、社会的信用の低下や損害賠償の発生等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 気候変動に関するリスク

当社グループは、気候変動を経営に影響を及ぼす重要な課題の一つとして認識しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画しております。

気候変動における移行リスクとしては、炭素税導入による運用コスト増加や新築物件における建築コスト増加、低炭素社会に対応できない場合の顧客離れやレピュテーション悪化、物理リスクとしては、気象災害による管理物件の被害等が想定され、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 重要事象等について

当社グループは、前連結会計年度において、2期連続で営業損失、3期連続で親会社株主に帰属する当期純損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりました。

このような状況を解消すべく、2020年11月に第三者割当増資、新株予約権付ローンの実行並びに連結子会社である株式会社レオパレス・パワーにおける優先株式の発行により、合計57,215百万円の資金調達を実施いたしました。

また、不採算事業の譲渡・撤退、一括借上家賃の適正化・管理原価削減等の抜本的な構造改革を継続して財務面の安定化を図るとともに、仲介業者ネットワークからの客付け強化やWEB上での接客・内見・契約といった電子化の推進等により入居率を向上させて収益面の安定化を図りながら、業績及び財務状況の改善に努めてまいりました。

これらの結果、当連結会計年度において、営業利益1,774百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11,854百万円を計上し、黒字転換を実現いたしました。

資金の流動性につきましては、当連結会計年度末の現預金残高は45,523百万円となっており、継続的な事業運営に十分な資金を確保しております。

以上の状況から、当社グループは、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したものと判断しております。

(11) その他

当社グループは、事業展開上、様々なリスクがあることを認識し、それらをできる限り防止、分散あるいは回避するように努めております。

しかしながら、当社グループが事業を遂行するにあたり、経済情勢、不動産市況、金融・株式市況、法的規制や災害及びその他の様々な影響が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況及び分析の内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況及び分析

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

増減率

売上高

408,959

398,366

△10,592

△2.6%

営業利益又は営業損失(△)

△29,182

1,774

30,957

-%

経常損失(△)

△34,170

△2,151

32,018

-%

親会社株主に帰属する当期純利益又は

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△23,680

11,854

35,535

-%

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、感染対策と経済活動の両立が進み、企業収益は持ち直しの動きがみられましたが、オミクロン株による感染再拡大の懸念やウクライナ情勢等により、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。

貸家の新設着工戸数は5年ぶりの増加(前年度比9.2%増)となりましたが、賃貸住宅市場においては空き家数の増加が続いており、全国的な需要回復は難しい中で安定した入居率を確保するには、将来的にも高い入居率が見込める三大都市圏を中心とした物件供給、適切なメンテナンスによる物件価値の維持・向上、地域や顧客の特性に合った販売戦略の推進、電子化による利便性の高い集客・契約・入居者サービスの提供が重要と考えております。

このような状況の中、当社グループは、2020年6月に公表した抜本的構造改革を継続し、選択と集中により中核事業である賃貸事業に経営資源を投入するとともに、あらゆるコストの見直しと削減を徹底して実行することにより、事業面及び財務面での安定化、持続的な収支の改善に取り組んでまいりました。

① 売上高

売上高は、前連結会計年度比10,592百万円(2.6%)減少の398,366百万円となりました。これは主に、入居率が上昇した一方で、家賃単価の下落や建築請負売上の減少等があったことにより、賃貸事業売上高が前連結会計年度比8,921百万円(2.3%)減少の383,043百万円となったことによるものであります。

② 売上総利益

売上総利益は、前連結会計年度比24,990百万円(118.5%)増加の46,077百万円、売上総利益率は11.6%(前連結会計年度比6.4ポイント増加)となりました。これは主に、管理原価の削減や一括借上家賃の適正化、空室損失引当金の戻入れ等により、売上原価が前連結会計年度比35,583百万円減少したことによるものであります。

③ 営業利益

営業利益は、1,774百万円(前連結会計年度は営業損失29,182百万円)となりました。これは主に、人件費の減少やコスト管理の徹底等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度比5,966百万円(11.9%)減少したことによるものであります。なお、売上高営業利益率は0.4%(前連結会計年度比7.5ポイント改善)となりました。

④ 経常損失

経常損失は、2,151百万円(前連結会計年度比32,018百万円改善)となりました。これは主に、原価削減等により営業損益は黒字化したものの、支払利息4,474百万円を計上したことによるものであります。なお、売上高経常利益率は△0.5%(前連結会計年度比7.9ポイント改善)となりました。

⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、11,854百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失23,680百万円)となりました。

これは主に、発注努力や工事内製化、物件所有者との工法変更合意等による工事単価の低減、不備判定の見直しや解体合意による改修対象の減少等に伴う補修工事関連損失引当金戻入額11,959百万円の計上、今後の業績見通し等を踏まえた繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額△4,401百万円の計上等によるものであり、2018年3月期以来4期ぶりに最終損益の黒字化を達成いたしました。

なお、1株当たり当期純利益は36.04円(前連結会計年度は1株当たり当期純損失84.88円)となりました。

 

さらに、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度の売上高は1,544百万円減少、売上原価は1,580百万円減少、営業利益は36百万円増加、経常損失は同額減少、税金等調整前当期純利益は同額増加しております。

また、当連結会計年度の期首から収益認識基準を変更しており、当連結会計年度の売上高は2,869百万円増加、営業利益は同額増加、経常損失は同額減少、税金等調整前当期純利益は同額増加しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください

(セグメント別の経営成績の状況及び分析)

(単位:百万円)

 

 

売上高

 

 

営業利益

 

 

前期

当期

増減額

前期

当期

増減額

賃貸事業

391,964

383,043

△ 8,921

△19,385

7,719

27,105

シルバー事業

14,524

14,258

△ 266

△720

△ 789

△ 68

その他事業

2,469

1,064

△ 1,405

△1,551

△ 1,668

△ 116

調整額

△7,524

△ 3,486

4,038

合計

408,959

398,366

△ 10,592

△29,182

1,774

30,957

① 賃貸事業

賃貸事業においては、WEB上での接客・内見・契約といった電子化への対応、壁紙を自分好みに変えられる「my DIY」、スマートフォンでの家電操作や施錠が可能なスマートアパート化の推進、大手警備保障会社との提携によるセキュリティーサービスなど豊富な付加価値を提供するとともに、仲介業者との関係強化、エリアの特性に応じた販売戦略の展開等により、安定した入居率の確保を図っております。

入居率については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が徐々に緩和し、法人顧客を中心に抑制されていた入居需要が回復傾向にあること、仲介業者との関係強化等の各種施策が奏功したことにより、当連結会計年度末の入居率は85.10%(前期末比+3.38ポイント)、期中平均入居率は81.22%(前期比+2.33ポイント)となりました。なお、管理戸数は567千戸(前期末比6.3千戸減)となりました。

また、当連結会計年度末の直営店舗数は109店(前期末比30店舗減)とし、営業効率と生産性の向上に努めております。

アパート等の受注状況については、界壁等の施工不備問題を背景とした新規受注の停止等により、当連結会計年度の総受注高は2,792百万円(前連結会計年度比52.9%減)、当連結会計年度末の受注残高は6,133百万円(前連結会計年度比36.5%減)となりました。

損益面については、入居率が向上した一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による家賃単価の下落や請負工事売上の減少等があったことにより、売上高は383,043百万円(前連結会計年度比2.3%減)となりましたが、管理原価・販管費の削減、一括借上家賃の適正化、物件収支の改善に伴う空室損失引当金の戻入れ等により、営業利益は7,719百万円(前連結会計年度は営業損失19,385百万円)となりました。

② シルバー事業

シルバー事業においては、継続的なオペレーション改善により原価抑制に努めておりますが、新型コロナウイルスへの感染リスクを懸念した介護サービスの利用控えが継続したこと等により、売上高14,258百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業損失789百万円(前連結会計年度比68百万円損失増加)となりました。なお、当連結会計年度末の施設数は87施設となっております。

③ その他事業

グアムリゾート施設の運営等を行っているその他事業は、新型コロナウイルス感染症の影響でグアムリゾート施設の稼働率が大幅に低下したこと等により、売上高1,064百万円(前連結会計年度比56.9%減)、営業損失1,668百万円(前連結会計年度比116百万円損失増加)となりました

 

(生産、受注及び販売の実績)

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

賃貸事業(百万円)

3,110

△77.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.生産実績の著しい変動は、施工不備問題に伴う新規受注停止によるものであります。

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

総受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

賃貸事業

2,792

△52.9

6,133

△36.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記以外の事業につきましては、受注の形態を取っておりませんので記載しておりません。

3.受注実績の著しい変動は、施工不備問題に伴う新規受注停止によるものであります。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

賃貸事業(百万円)

383,043

△2.3

シルバー事業(百万円)

14,258

△1.8

その他事業(百万円)

1,064

△56.9

合計(百万円)

398,366

△2.6

(注)1.当社グループの相手先は不特定の法人・個人であるため、主要な販売先の記載は省略しております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.その他事業の販売実績の著しい変動は、新型コロナウイルス感染症拡大によるグアムリゾート施設の稼働率大幅低下によるものであります。

(2)財政状態の状況及び分析

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

増減率

資産

161,708

145,430

△16,278

△10.1%

負債

158,431

134,396

△24,035

△15.2%

純資産

3,277

11,034

7,757

236.7%

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末比16,278百万円減少の145,430百万円となりました。

これは主に、今後の業績動向等を踏まえ、当社において繰延税金資産を4,139百万円計上した一方、現金及び預金が9,340百万円、未収入金が1,088百万円、機械装置及び運搬具(純額)が1,055百万円、リース資産(純額)が1,529百万円、有形固定資産その他(純額)が2,272百万円、無形固定資産その他が1,030百万円それぞれ減少し、アパート退去者等に係る滞留債権増加に伴い貸倒引当金が2,336百万円増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比24,035百万円減少の134,396百万円となりました。これは主に、リース債務が2,116百万円、発注努力や工事内製化、物件所有者との工法変更合意等による工事単価の低減、不備判定の見直しや解体合意による改修対象の減少等により補修工事関連損失引当金が15,422百万円、物件収支の改善等により空室損失引当金が6,629百万円それぞれ減少したことによるものであります。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比7,757百万円増加の11,034百万円となりました。これは主に連結子会社における非支配株主への自己株式取得代金及び配当金の支払等による非支配株主持分の減少1,774百万円、収益認識会計基準及び収益認識基準変更の遡及適用による期首利益剰余金の減少4,963百万円があった一方、為替換算調整勘定の増加2,623百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11,854百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末比6.0ポイント上昇し0.7%となりました。

一括借上家賃の適正化や管理原価削減等の抜本的な構造改革を継続して財務面の安定化を図るとともに、仲介業者との関係強化、WEB上での接客・内見・契約といった電子化の推進等により入居率を向上させて収益面の安定化と財政状態の改善に努めたことにより、当連結会計年度末の純資産は大幅に改善いたしました。

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

△40,816

△4,460

36,355

投資活動によるキャッシュ・フロー

11,829

886

△10,943

財務活動によるキャッシュ・フロー

23,571

△5,886

△ 29,457

現金及び現金同等物残高

53,346

44,023

△ 9,322

営業活動によるキャッシュ・フローは、4,460百万円の支出(前連結会計年度比36,355百万円の支出減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が9,693百万円、減価償却費が9,352百万円、貸倒引当金の増加額が2,355百万円となった一方、補修工事関連損失引当金戻入額が11,959百万円、空室損失引当金の減少額が6,629百万円、前受金の減少額が2,188百万円、利息の支払額が4,455百万円、補修工事関連支払額が2,172百万円となったことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、886百万円の収入(前連結会計年度比10,943百万円の収入減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が1,180百万円あったことによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、5,886百万円の支出(前連結会計年度は23,571百万円の収入)となりました。これは主に、ファイナンス・リース債務の返済による支出が3,239百万円、連結子会社における非支配株主からの自己株式取得による支出が1,400百万円、非支配株主への配当金の支払額が1,171百万円あったことによるものであります。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高については、営業損益は黒字化を達成した一方で、借入利息の支払、子会社における非支配株主への配当、自己株式の取得等の支出があったことにより、前連結会計年度末比9,322百万円減少の44,023百万円となりましたが、継続的な事業運営に十分な資金を確保しております。

フリーキャッシュ・フローは3,574百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度末比25,412百万円改善しており、資金の流動性は確実に向上しております。

(契約債務)

2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

長期借入金

30,483

53

135

30,181

111

リース債務

2,562

1,992

543

26

(財務政策)

当社グループは、設備投資計画に照らして、平常時においては、必要な資金を主に銀行借入や社債発行等により調達する方針としております。

当連結会計年度においては、新たな資金調達をすることなく、営業キャッシュ・フローの改善により事業活動に必要な資金を確保してまいりました。翌年度以降についても、不断の構造改革による賃貸事業の収益力強化とキャッシュ・フローの改善に努め、資金計画に基づき想定される需要に十分対応できる資金を確保してまいります。

なお、2022年3月31日現在、長期借入金の残高は30,483百万円であります。

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。