第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営理念、経営の基本方針

 当社は、食品スーパーとホームセンターを併設した複合型小売店舗及び食品スーパー単独の小売店舗「SuperValue」を展開しております。

 当社は、「消費者の皆様から圧倒的なご支持を得る店舗の創造とサービスの提供」をミッションと捉え、「顧客支持№1店舗の拡大と維持」を経営理念に掲げ、お客様に安心してご利用いただけるよう「お客様第一主義の徹底」、「よい商品をより安く」、「顧客満足度の高いサービスの提供」をモットーに、地域の皆様により信頼される店舗づくりを進めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、事業の収益性を表す指標として売上高経常利益率を設定し、惣菜及び生鮮3品のウエイトアップ等により、売上高経常利益率4.0%を目標として掲げております。

 引き続き、消費者の皆様から圧倒的なご支持を得る店舗づくりを進め、効率的で収益性の高いビジネスモデルの充実に取り組み続けることにより、目標の達成に努めてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社では、経営理念であります「顧客支持№1店舗の拡大と維持」の実現と経営目標の達成に向け、以下の戦略に取り組み、さらなる業務の拡大と経営体質の強化を目指してまいります。

① 商品MD戦略

・価格・品質・鮮度・品揃えを一層重視し、「よい商品をより安く」の徹底

・地域の生活に密着し、季節や天候、地域行事に合わせた変化のある売場づくり

・部門横断型の売場づくりへの取り組み

② 出店戦略

・採算面・運用面を重視し、確実な需要が見込める市街地にドミナント出店

・売場構成・品揃え等、出店地域に合わせた柔軟な店舗フォーマット

・投資コストを抑えた居抜き物件への出店

③ 店舗運営戦略

・地域ニーズ、ライフスタイルの変化に瞬時に対応できる店舗主導主義の徹底

・店舗主導主義にチェーンストアオペレーション機能を組み合わせたローコスト経営

・スーパーバリュー会員カードの活用による新規優良顧客の囲い込み、販促強化

・スマートフォン等デジタルメディアを利用した集客強化

・従業員教育の強化によるサービスレベルの向上と作業効率改善

 

(4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社を取り巻く環境は、国内景気は緩やかなペースで回復傾向に進んでいるものの、ウクライナ情勢の長期化等に加え、世界的なインフレに伴う金融引き締め等の影響もあり円安基調は継続し、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 小売業界におきましては、外出機会の増加で、外食や旅行等の個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復が見られたものの、他業種も含めた価格競争に加え、商品メーカー等の相次ぐ値上げによる販売価格への転嫁、消費者の低価格・節約志向の高まり等から、業績に与える影響は不透明な状況となっており、これまで以上に厳しい経営環境が続いております。

 こうした中で、当社は引き続き従業員一人ひとりの意識を高め、オペレーション改革を推進し、生産性を高めることによって収益力の伸長を図るとともに、消費者から信頼される企業となるため、以下の事項を優先すべき課題として取り組んでまいります。また、親会社である株式会社OICグループ(以下、「親会社」という。)及び同社の子会社である株式会社ロピア(以下、「ロピア」という。)とのシナジー効果の早期発揮に向け取り組んでまいります。

 

・人材の確保と育成

 当社が、持続的な成長を続けるためには、新店を含めた店舗運営を確実に行い、また安定的かつ戦略的な商品供給を担う本部運営を遂行するための適切な人材の確保と育成が不可欠であると認識しております。

 その実現に向け、当社の独自性と専門性を兼ね備え、将来の幹部候補となる人材を育成すべく、新卒の定期採用を継続的に実施し店舗の活性化を図ってまいります。

 また、当社は、品質の高い商品をいつでも地域一番の安値で販売することが使命であり、地域一番店のポジションを得るには、その地域の競合環境に迅速に対応することが必須条件であると考えております。そのため、仕入数量や価格設定等の店舗運営については、各店舗が主体となり、店舗ごとの裁量が大きくなっております。従いまして、店舗運営の要である店長の育成強化が必要であると認識しております。今後は、店長のスキルアップ、マネジャークラスの管理能力の育成に努めるとともに、従業員への教育体制を一層強化してまいります。

・オペレーション改革

 当社では、2019年3月に基幹システムをはじめ、関連するシステムを刷新しました。この新しいシステムを軸とした作業の見直しにより、作業効率の改善を進め、あわせて、店舗間や部門間の標準化など様々な部分で標準化を推進し、少ない人数でも運営できる店舗オペレーションの構築に引き続き努めてまいります。

 これらを土台とし、当社の強みである各店舗の独自性が最大限発揮できるような店舗運営体制を目指してまいります。

・コスト削減と在庫管理の徹底

 当社は、これまでも可能な限り中間業者を排除し、中間物流コストを削減する等、コスト削減に努めてまいりましたが、今後は、棚卸ロス及びSDGsの一環として廃棄ロスの削減、時間帯別販売管理の徹底による値下げロスの削減、効率的な経費使用の徹底等、コスト削減への取り組みをさらに強化してまいります。

 また、在庫管理を徹底して商品回転率を高め、資金の効率化を図ってまいります。

・仕入体制について

 当社は、生鮮の精肉・鮮魚はロピアの加工センターからの商品仕入に集約し、青果は親会社の子会社(以下、「グループ子会社」という。)からロピアと共同で仕入れ、埼玉県の店舗に供給しております。また、グロッサリは、グループ子会社からのロピアのプライベート商品の直接仕入やロピアとの商品仕入先の共有等による商品仕入先等の見直しを進めておりますが、さらなる効率化、安定供給及び原価低減に取り組むとともに、地域のニーズを的確に反映した商品を提供できる体制を確立してまいります。

 また、商品の安全性を充分に考慮し、常にお客様に信頼され、ご満足いただけるよう、HACCPに基づく衛生管理や履歴管理について、今後も細心の注意を払ってまいります。

・出店政策について

 当社の店舗は、すべて直営で運営しております。店舗展開にあたっては、一店一店の収益性と効率性及び地域性を最重視した出店・店舗運営を実施しております。

 今後、業務の拡大を図っていくためには、既存店周辺でのドミナント形成を主軸とした出店を推進しつつ、出店地域の拡大を図っていく必要があると考えております。新たな出店地域へ進出する際にも、地域のお客様から圧倒的なご支持を得られるように、魅力ある店舗を開発してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

① ガバナンス

当社は、企業の社会的責任を果たし、企業理念である3つの理念を実現すべく「サステナビリティに関する基本方針」を策定し、事業活動を通じて社会・環境問題等に適切に対応するよう取り組んでおります。推進にあたっては、経営会議である「経営ミーティング」を主要機関と位置付けた上で、社長室を事務局とした「サステナビリティ推進室」を設置し、各取締役及び各部門担当の責任者等が、それぞれ担当する範囲のサステナビリティ関連の提案及び実施状況の報告を行い、代表取締役執行役員社長を中心に協議・検討を行っております。また、中長期的に企業価値に影響を与える重要な事案については、取締役会に付議し審議しております。

 

企業理念

・生活に豊かさと利便性をもたらす店舗展開による地域社会への貢献

・コンプライアンスの徹底およびCSR(企業の社会的責任)への取り組み

・ステークホルダー(顧客・株主・取引先・従業員)への利益還元

 

サステナビリティに関する基本方針

・お客様  お客様を第一に考え、よい商品をより安く提供し、買い物が楽しくわくわくする売場づくりに努めてまいります。

・株主   株主の継続的な利益を尊重し、企業価値の向上を目指してまいります。

・取引先  常に平等の関係を築き、お互いが信頼関係の下で成長できるパートナーを目指してまいります。

・従業員  性別・年齢・国籍にかからず、公平で開かれた職場環境を目指してまいります。

また、従業員の健康に留意し、お客様の満足度アップにつなげてまいります。

・社会   顧客満足度の高いサービスの提供により、地域社会から信頼される会社を目指してまいります。

 

なお、上記の基本方針に基づき、社会・環境問題等に取り組んでおりますが、当事業年度末現在、基本方針に基づくマテリアリティ(重要課題)の検討には至っておりません。マテリアリティ(重要課題)については、今後、「サステナビリティ推進室」で具体的に検討してまいります。

 

② リスク管理

当社は、サステナビリティへの取り組みは、様々なリスクの低減や収益機会の獲得につながると認識しております。

なお、当社における全般的なリスク管理は、「3 事業等のリスク」に記載しておりますが、気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響については、今後、「サステナビリティ推進室」で対応策を検討してまいります。

 

(2)人的資本

① 戦略

当社は、人的資本・多様性に関する取り組みとして、「性別・年齢・国籍にかかわらず、公平で開かれた職場環境」を基本方針として策定しております。

当社が、持続的な成長を続けるためには、店舗運営を確実に行い、また、安定的かつ戦略的な商品供給を担う本部運営を遂行するための適切な人材の確保と育成が不可欠であると認識しております。店舗運営・本部運営においては、多様な人材の確保が必要であり、正社員の定期的な中途採用、パートタイム社員・アルバイトの勤務時間の多様性、パートタイム社員から正社員への登用、女性労働者の割合の増加及び障害者雇用促進法に基づく障害者雇用率の拡大等に取り組んでおります。

また、当社は従業員が元気に働けることが売場の活力となり、お客様の満足度アップにつながると確信しております。そのため、全従業員を対象に年に1度ストレスチェックを行い、その結果を幹部が共有し、各店舗に指導する体制を整えております。なお、2023年9月に実施したストレスチェックでは、参加率が99.9%と高い水準となっております。

人材の育成に関する方針としては、当社は品質の高い商品を地域で一番の安値で販売することが使命であるため、各店舗に仕入数量及び販売価格の設定の裁量権を与えることで、店舗運営の要である店長のスキルアップやマネージャークラスの管理能力の育成に努めております。

 

② 指標及び目標

 当社では、上記「① 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

パートタイム社員から正社員への登用

5名

5名

労働者に占める女性労働者の割合

(非正規雇用労働者を含む)

80.0%

64.3%

障害者雇用率

2.50%(法定雇用率)

1.84%

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努め、事業活動に支障をきたさないよう努力してまいります。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)競合について

 当社の店舗は、近隣の食品スーパー及びホームセンター等の他社店舗と競合しております。今後、当社の店舗周辺への他社店舗の新規出店等によって競争が激化した場合、来店客数の変化やこれらに対応するためのコストの発生等により、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 対策としては、メリハリをつけ値頃感ある価格で販売し、チラシとスーパーバリュー会員カード販促を効率かつ政策的に展開し、影響が少なくなるよう努めております。

 

(2)出退店について

 当社は、賃貸借契約満了に伴い2023年9月15日に春日部武里店、2024年1月10日に見沼南中野店をそれぞれ閉店し、当事業年度末現在、埼玉県(17店舗)、東京都(12店舗)及び千葉県(3店舗)に計32店舗を出店しております。今後の新規出店については、これらの一都二県の市街地を中心に、首都圏全域を対象に検討する方針でありますが、当社の希望に合致する出店用地が確保できず、計画どおりに出店することができない場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 一方、各店舗の業績動向等を勘案して退店や店舗規模の縮小等を行うことがあり、その場合、賃借物件に係る違約金の発生等により、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 当社の現状の店舗数を勘案すると、出退店が当社の業績に与える上記の影響は、多数の店舗を運営する企業に比べて相対的に大きいものと考えております。

 

(3)差入保証金について

 当社は、出店時等の不動産賃借に関して、敷金・保証金等を差入れており、賃借物件の地主・家主の経済的破綻等により敷金・保証金等の回収が不能となった場合や、当社の都合での賃貸借契約の中途解約によって契約上の返済条件の規定に基づき敷金・保証金等を放棄せざるを得なくなった場合等には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)ショッピングモール「ValuePlaza上尾愛宕店」について

 2006年6月に出店したショッピングモール「ValuePlaza上尾愛宕店」については、1階及び2階の一部で当社店舗を運営しているほか、店舗施設の賃貸を行っております。

 同店において投資に見合った収益を挙げられるように努めてまいりますが、競合店の出店等による来店客数の低迷や、テナントの退出等により、当社が期待する投資成果を挙げられない可能性があります。

 

(5)法的規制について

 当社の事業に関連する法的規制としては、「大規模小売店舗立地法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」、「消防法」、「食品衛生法」、「酒税法」、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」、「薬機法」、「動物用医薬品等取締規則」及び「農薬取締法」等があります。当社は、これら法規制の遵守に努めており、現在、許認可等が取消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これら法規制の強化や改正がなされた場合には、当社の事業活動の制限や、法規制遵守のためのコストの発生等により、当社の業績等は影響を受ける可能性があります。

 

(6)資金調達について

 当社は、新規出店に必要な設備資金を取引金融機関等からの借入によって調達しております。当事業年度末現在、総資産額に対する長期借入金、1年内返済予定の長期借入金及び短期借入金の割合は、30.2%となっており、今後の金利動向によっては、金利負担が増大し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の新規出店等に関する所要資金が当社の想定どおりに調達できない場合には、新規出店の遅滞等により、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 

(7)固定資産の減損について

 当社は、2007年2月期より「固定資産の減損に係る会計基準」(企業会計審議会 平成14年8月9日)を適用しております。当社では、店舗に係る土地及び建物を賃借せずに自己保有する場合があり、練馬大泉店、杉並高井戸店、川口前川店、西尾久店、八王子高尾店及び川口伊刈店等については、土地及び建物の全部または一部を自己保有しております。今後の各店舗の収益や不動産市況の動向等によっては、これらの固定資産に係る減損損失を計上する可能性があります。

 なお、今後も同様に土地及び建物の全部または一部を自己保有する場合があります。

 

(8)食品の取り扱いについて

 当社では、お客様に安心して食品をお買い求めいただくために、食中毒の未然防止、食品の検査体制の充実、商品履歴の明確化に努めておりますが、当社が行う食品表示や当社が販売する商品に関して予期せぬ事件や事故等が発生した場合には、信用の低下等により、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 また、昨今では、食品偽装表示等の事件が発生し、消費者の食に対する不安感が大きくなっている状況であります。内部要因もしくは外部要因にかかわらず、これらの事態が発生した場合には、消費者の買い控えや仕入環境の変化等が当社の業績に影響を与える可能性があります。

 なお、食中毒等の事故を未然に防ぐため、食品衛生法に基づいたHACCPを取り入れたマニュアルを策定し、衛生管理を推進しております。

 

(9)自然災害や停電、紛争等について

 当社は、大規模な自然災害や長時間にわたる停電、または紛争等による地政学的なリスクにより、国内外の産地・製造メーカー及び流通に深刻な被害を被った場合、商品仕入及び販売に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、物流センター等の備蓄機能を活用し、一部の商品を備蓄できるよう努めております。

 

(10)感染症発生について

 感染症の発生及び拡大に際し、お客様、従業員の安全を最優先に営業継続するために対応を行いますが、出店店舗の地域または当社店舗において、感染者が発生し営業継続に支障をきたした場合、または取引先において感染症の影響により障害が生じ、安定的な商品供給や仕入価格の変動が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の概要

 当事業年度(2023年3月1日から2024年2月29日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類移行に伴い行動制限が緩和されたことをきっかけに、国内景気は緩やかなペースで回復傾向に進んでいるものの、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化に伴う海運への影響に加え、世界的なインフレに伴う金融引き締めの影響もあり円安基調は継続し、原材料・エネルギー価格の高止まり等が見られ、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 小売業界におきましては、外出機会の増加で、外食や旅行等の個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復が見られたものの、他業種も含めた価格競争に加え、光熱費等の上昇や商品メーカー等の相次ぐ値上げによる販売価格への転嫁、消費者の低価格・節約志向の高まり等から、業績に与える影響は不透明な状況となっており、これまで以上に厳しい経営環境が続いております。

 このような環境の中、当社では「安さ」を前面に打ち出しつつも、販売価格にメリハリをつけ、集客及び売上高の回復に取り組んでまいりました。また、2024年1月15日付で公表いたしました「中期経営計画の策定、業績予想及び配当予想の修正並びに資金使途の変更に関するお知らせ」に記載したとおり、親会社である株式会社OICグループ(以下、「親会社」という。)の子会社で食品スーパーマーケットの運営等を行う株式会社ロピア(以下、「ロピア」という。)とのシナジー効果の早期発揮に向けて様々な取り組みを進めてまいりました。

 売上高については、チラシ販促・インプロにより「安さ」を打ち出し、SM商品販売では6月以降はEDLPを展開しつつ、販売価格をコントロールすることで、集客及び売上高の回復に努めてまいりました。また、ロピアとの共同開発によるモデル店として、6店舗をリニューアルオープンいたしました。当該店舗改装の間、延べ6ヶ月超の臨時休業や春日部武里店及び見沼南中野店の閉店がありましたが、リニューアルオープン後は、SM商品販売の売上高が伸長し、HC商品販売で売場面積を縮小した上で売れ筋商品群を選定した売り場づくりをした結果、売上高は前年同期比103.3%となりました。

 利益面では、円安等による原材料価格及び仕入原価の上昇等もある中、SM販売商品の生鮮の精肉・鮮魚においては、5月中旬に当社の加工センターからロピアの加工センターへ集約が完了したことで効率化を推進し、青果においては、9月より安定供給及び原価低減のため、ロピアと共同で親会社の子会社(以下、「グループ子会社」という。)から当社の埼玉県の店舗に供給を開始いたしました。また、グロッサリにおいては、引き続きグループ子会社からのロピアのプライベート商品の直接仕入の強化やロピアとの商品仕入先の共有等による商品仕入先等の見直しを進め、ホームセンターのHC販売商品においては、販売商品の改廃や在庫の適正化、値引きロス・廃棄ロスの削減による利益改善等を進めましたが、リニューアルオープンや閉店に伴いセールを実施したこと等により、売上総利益率は前年同期比で0.5ポイント下回る19.9%となりました。なお、6月に会員カードのポイント付与を見直し、改装店舗では廃止したほか、ホームセンターを除く改装店舗では、クレジット決済も廃止したことで、収益改善に取り組みました。

 経費面では、店舗オペレーションの再度の見直しによる作業効率の改善と標準化を進め、徹底した経費節減に取り組みましたが、光熱費等の高騰やリニューアルオープンした6店舗の店舗改装経費3億79百万円の発生、また、2023年11月8日付で公表いたしました「経営及び業務の指導等に関する業務委託契約の締結に関するお知らせ」(以下、「当業務委託契約」という。)に記載したとおり、当業務委託契約に基づく対価が発生したこと等により、販売費及び一般管理費は前年同期比104.8%となりました。

 なお、店舗展開におきましては、新規出店はありませんが、上記のとおりロピアとのシナジー効果を発揮することを目的とした店舗の改装を4月22日付で杉並高井戸店、9月13日付で戸田店、大型店舗以外では7月12日付で等々力店、11月20日付で府中新町店、12月16日付で草加店、2月14日付で川口伊刈店をそれぞれ実施いたしました。また、等々力店及び府中新町店では、シナジー効果発揮の一環としてグループ子会社で青果販売に強い株式会社アキダイとコラボした青果テナントを出店いたしました。一方で、不採算店舗対策として、賃貸借契約満了に伴い9月に春日部武里店、1月に見沼南中野店をそれぞれ閉店いたしました。

 また、8月31日開催の取締役会において解散を決議した当社のテナント管理業務等を委託していた非連結子会社1社について、11月30日に清算結了し、子会社清算益及び貸倒引当金戻入額をそれぞれ特別利益に計上いたしました。

以上の結果、財政状態及び経営成績は下記のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ8億86百万円減少(△4.5%)し、189億2百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金の減少額21億46百万円及び店舗改装等による有形固定資産の増加額12億72百万円によるものであります。

当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べ13億71百万円増加(10.5%)し、144億94百万円となりました。この主な要因は、短期借入金の増加額15億21百万円によるものであります。

当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ22億57百万円減少(△33.9%)し、44億7百万円となりました。この主な要因は、当期純損失の計上額22億57百万円によるものであります。

 

b.経営成績

当事業年度の経営成績は売上高は700億1百万円(前年同期比3.3%増)、営業損失は22億26百万円(前年同期は営業損失16億24百万円)、経常損失は21億32百万円(前年同期は経常損失15億26百万円)となりました。また、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、店舗等に係る減損損失17百万円、店舗改装及び閉店に伴う固定資産除却損32百万円並びに店舗閉店に伴う店舗閉鎖損失22百万円を特別損失に計上したことにより、当期純損失は22億57百万円(前年同期は当期純損失19億37百万円)となりました。

当社の事業セグメントは、流通販売事業並びにこれらの付帯業務の単一セグメントでありますが、販売実績を販売商品別に示すと次のとおりであります。

生鮮・グロッサリのSM販売商品は、生鮮では「よい商品が安い」として鮮度・品質にこだわり、グロッサリは「安さ」にこだわった価格設定で販売を推進しました。具体的には、精肉・鮮魚は、鮮度・品質の標準化のため、当社の加工センターから、ロピアの加工センターへ集約を実施し、グロッサリはロピアの売れ筋プライベート商品の仕入拡充及び6月以降はEDLPの展開を進めました。店舗改装に伴う臨時休業がありましたが、リニューアルオープン後の売上高は伸長し、当事業年度の売上高は585億9百万円、前年同期比105.3%(29億41百万円増)と増加いたしました。

ホームセンターのHC販売商品は、商品仕入先の見直し及び販売商品の改廃により売れ筋商品の選定を行い、お値打ち価格での販売を推進しましたが、店舗改装に伴う臨時休業や売場面積の縮小等により売上高は減少し、当事業年度の売上高は114億92百万円、前年同期比94.0%(7億32百万円減)と減少いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ21億46百万円減少(前事業年度末は39億50百万円増加)し、26億81百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、12億42百万円(前事業年度に使用した資金は12億98百万円)となりました。これは主に、税引前当期純損失21億80百万円、減価償却費6億16百万円及び仕入債務の増加額5億24百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、17億64百万円(前事業年度に使用した資金は1億6百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出17億63百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、8億60百万円(前事業年度に得られた資金は53億56百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額15億15百万円及び長期借入金の返済による支出5億15百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

a.仕入実績

 当事業年度における仕入実績を部門及び品目別に示すと、次のとおりであります。

部門

品目別

当事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

SM販売商品

生鮮食品

24,026,484

110.1

グロッサリ

23,347,802

102.7

SM販売商品計

47,374,287

106.3

HC販売商品

第1グループ

1,890,368

93.7

第2グループ

2,467,582

105.3

第3グループ

1,437,481

91.0

第4グループ

3,192,206

94.4

その他

0

HC販売商品計

8,987,638

96.4

合計

56,361,926

104.6

(注)1.金額は、仕入価格によっております。

2.品目別の各構成内容は次のとおりであります。

(1)生鮮食品

(青果、精肉、鮮魚、惣菜)

(2)グロッサリ

(加工食品、米、酒、日配品)

(3)第1グループ

(日曜大工用品、園芸用品、エクステリア用品、リフォーム)

(4)第2グループ

(カー用品、レジャー用品、ペット用品)

(5)第3グループ

(家電製品、対面(注)3、インテリア用品)

(6)第4グループ

(家庭・日用雑貨、文具・玩具、ドラッグ)

(7)その他

(消化仕入(注)4)

3.対面販売形態の部門を指しております(例:時計・カメラ等)。

4.顧客から受け取る対価の総額から商品仕入先に対する支払額を差し引いた純額で収益を認識しております(例:切花等)。

 

 

b.販売実績

当事業年度における販売実績を部門及び品目別に示すと、次のとおりであります。

部門

品目別

当事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

売上高(千円)

前年同期比(%)

SM販売商品

生鮮食品

30,188,888

106.8

グロッサリ

28,320,685

103.8

SM販売商品計

58,509,573

105.3

HC販売商品

第1グループ

2,470,356

89.6

第2グループ

3,116,227

102.2

第3グループ

1,838,783

87.3

第4グループ

4,066,880

94.4

その他

144

161.5

HC販売商品計

11,492,391

94.0

合計

70,001,964

103.3

(注)1.品目別の各構成内容は次のとおりであります。

(1)生鮮食品

(青果、精肉、鮮魚、惣菜)

(2)グロッサリ

(加工食品、米、酒、日配品)

(3)第1グループ

(日曜大工用品、園芸用品、エクステリア用品、リフォーム)

(4)第2グループ

(カー用品、レジャー用品、ペット用品)

(5)第3グループ

(家電製品、対面(注)2、インテリア用品)

(6)第4グループ

(家庭・日用雑貨、文具・玩具、ドラッグ)

(7)その他

(消化仕入(注)3)

2.対面販売形態の部門を指しております(例:時計・カメラ等)。

3.顧客から受け取る対価の総額から商品仕入先に対する支払額を差し引いた純額で収益を認識しております(例:切花等)。

 

当事業年度における販売実績を地域別に示すと、次のとおりであります。

地域別

当事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

期末店舗数(店)

売上高(千円)

前年同期比(%)

当事業年度

埼玉県

30,243,771

97.0

17

東京都

33,449,457

110.1

12

千葉県

6,308,736

101.3

3

合計

70,001,964

103.3

32

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は、72億73百万円(前事業年度末92億37百万円)となり、19億64百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金の減少額21億46百万円によるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は、116億28百万円(前事業年度末105億50百万円)となり、10億78百万円増加しました。主な要因は、店舗改装等による有形固定資産の増加額12億72百万円によるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は、106億91百万円(前事業年度末87億85百万円)となり、19億6百万円増加しました。主な要因は、買掛金の増加額5億62百万円及び経営環境の変化に対応した機動的な運転資金調達等による短期借入金の増加額15億21百万円によるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は、38億2百万円(前事業年度末43億37百万円)となり、5億34百万円減少しました。主な要因は、当事業年度は長期の借入による資金調達を実施しなかったことによる長期借入金の減少額4億40百万円によるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は、44億7百万円(前事業年度末66億65百万円)となり、22億57百万円減少しました。要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の概要」に記載のとおり、業績が軟調に推移したことに伴う当期純損失の計上額22億57百万円による利益剰余金の減少額22億57百万円によるものであります。

 

b.経営成績の分析

前事業年度及び当事業年度の売上高及び利益の推移は以下のとおりとなっております。

決算年度

前事業年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

当事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

売上高

(百万円)

67,792

70,001

売上総利益

(百万円)

13,846

13,954

営業損失(△)

(百万円)

△1,624

△2,226

経常損失(△)

(百万円)

△1,526

△2,132

当期純損失(△)

(百万円)

△1,937

△2,257

 

 売上高については、チラシ販促・インプロにより「安さ」を打ち出し、SM商品販売では6月以降はEDLPを展開しつつ、販売価格をコントロールすることで、集客及び売上高の回復に努めてまいりました。また、ロピアとの共同開発によるモデル店として、6店舗をリニューアルオープンいたしました。当該店舗改装の間、延べ6ヶ月超の臨時休業や春日部武里店及び見沼南中野店の閉店がありましたが、リニューアルオープン後は、SM商品販売の売上高が伸長し、HC商品販売で売場面積を縮小した上で売れ筋商品群を選定した売り場づくりをした結果、前事業年度に比べ22億9百万円増加いたしました。

売上総利益は、円安等による原材料価格及び仕入原価の上昇等もある中、SM販売商品の生鮮の精肉・鮮魚においては、5月中旬に当社の加工センターからロピアの加工センターへ集約が完了したことで効率化を推進し、青果においては、9月より安定供給及び原価低減のため、ロピアと共同でグループ子会社から当社の埼玉県の店舗に供給を開始いたしました。また、グロッサリにおいては、引き続きグループ子会社からのロピアのプライベート商品の直接仕入の強化やロピアとの商品仕入先の共有等による商品仕入先等の見直しを進め、ホームセンターのHC販売商品においては、販売商品の改廃や在庫の適正化、値引きロス・廃棄ロスの削減による利益改善等を進めましたが、リニューアルオープンや閉店に伴いセールを実施したこと等により、前事業年度に比べ1億8百万円増加いたしました。

販売費及び一般管理費は、店舗オペレーションの再度の見直しによる作業効率の改善と標準化を進め、徹底した経費節減に取り組みましたが、光熱費等の高騰やリニューアルオープンした6店舗の店舗改装経費3億79百万円の発生、また、当業務委託契約に基づく対価が発生したこと等により、前事業年度に比べ7億63百万円増加いたしました。この結果、売上総利益は増加したものの、22億26百万円の営業損失(前事業年度は営業損失16億24百万円)となりました。

前事業年度に比べ、営業外収益は7百万円減少、営業外費用は4百万円減少し、営業外損益は94百万円(純額)の収益(前事業年度は97百万円(純額)の収益)となりました。この結果、経常損失は21億32百万円(前事業年度は経常損失15億26百万円)となりました。

 また、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、店舗に係る減損損失17百万円、店舗改装及び閉店に伴う固定資産除却損32百万円並びに店舗閉店に伴う店舗閉鎖損失22百万円を特別損失に計上したことにより、当期純損失は22億57百万円(前事業年度は当期純損失19億37百万円)となりました。

当社は、事業の収益性を表す指標として売上高経常利益率を設定し、惣菜及び生鮮3品のウエイトアップ等により、売上高経常利益率4.0%を目標として掲げております。しかしながら、3期連続して営業損失及び当期純損失となりました。売上高経常利益率4.0%の目標に向け、鮮度・安さを追求しつつ、価格をきめ細かく設定することでメリハリをつけた販売や各種イベントの開催等により、売上高及び客数の回復に取り組んでまいります。

利益面では、仕入原価の上昇がある中で、商品の改廃や在庫の適正化、値引きロス・廃棄ロスの削減のほか、店舗オペレーションの再度の見直しによる作業効率の改善と標準化を目標に、各店舗の独自性が発揮できるよう取り組み、生産性の向上やコスト削減により安定した利益を確保できる仕組みづくり、ロピアとのシナジー効果の早期発揮、同社及び親会社グループからの商品仕入の強化等をさらに進め、目標の達成に努めてまいります。

また、この指標を達成するための取り組みにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。

 

2022年2月期

2023年2月期

2024年2月期

自己資本比率(%)

14.3

33.6

23.3

時価ベースの自己資本比率(%)

40.8

71.7

68.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

2.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

3.有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

4.営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

 また、当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社は、主として営業活動により得られた資金のほか、取引金融機関等からの借入により必要資金を調達しており、新規出店、既存店の改装等の設備資金及び店舗運営費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要に対応しております。

 当事業年度においては、税引前当期純損失となり、店舗改装を積極的に進めた結果、キャッシュ・フローが減少しましたが、2024年1月に親会社より借入れた資金で運転資金等の需要に対応しました。なお、取引金融機関への返済を実施し、取引金融機関各行から機動的な運転資金調達等の全面的な支援を受けていることから、流動性を確保しているものと考えております。また、取引金融機関からの長期借入金の調達はありません。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りの過程において、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる結果となることがあります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

a.繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の計上にあたっては、回収可能性を考慮して、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額しております。繰延税金資産の回収可能性については、当社の業績の推移などから将来の課税所得を合理的に見積り判断しておりますが、今後、課税所得の予想に影響を与える変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。

 

b.退職給付費用及び退職給付債務

 退職給付費用及び退職給付債務は、割引率、死亡率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上の前提条件に基づき算出しております。今後、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。

 

c.資産除去債務の計上

 当社は、主に店舗用に賃借した土地建物において、定期借地契約または建物賃貸借契約に基づき返還時に必要とされる原状回復義務等に備えるため、資産除去債務を計上しております。計上にあたっては、第三者が算定した原状回復費用の見積り額を現在価値に割り引いて算出しているため、今後、見積り額と実際の原状回復費用が異なる場合や見積り額に新たな事実等が発生した場合には、資産除去債務の見積り額が変動する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携契約書の内容に関する覚書)

当社は、2023年4月14日開催の取締役会において、株式会社OICグループ(以下、「親会社」という。)との間で資本業務提携契約書の内容に関する覚書(以下、「本覚書」という。)を締結することを決議し、同日付で本覚書を締結いたしました。

 

(1)本覚書の目的及び理由

当社は、当社の財務基盤の強化、自己資本の充実並びに親会社との業務提携の実施による企業価値の向上を図ること等を目的として、親会社を割当先とした第1回第三者割当増資を行いました。また、あわせて、当社の自主性・独立性に配慮しつつ、両社の事業上のシナジーを実現させ、当社の企業価値、ひいては株主価値の向上を図ることを目的として、2022年7月15日付で資本業務提携契約書を親会社と締結いたしました。

その後、第2回第三者割当増資を実施し、当社は、株式会社ロピア(以下、「ロピア」という。)との共同開発によるモデル店の構築を進めつつ、店舗オペレーションの改善やロピアのノウハウを当社の既存店舗に導入することで、売上・収益の改善を図るべく、各種取り組みを進めております。

そして、この度、当社は、上記取り組みをさらに進めるため、ロピアとのシナジー効果を高めることを目的とした新しい店舗フォーマットの構築に際し、ロピアの店舗づくりから商品陳列、販売方法、店舗オペレーションなどの強みを活かす形で当社の営業面の強化が必要だと考え、当社から親会社に対し、営業面の強化に係る知見を有する取締役の追加派遣を要請し、本覚書を締結するに至りました。

 

(2)本覚書の内容

本覚書において、資本業務提携契約書の規定にかかわらず、親会社が指名する取締役候補者2名の選任に関する議案を、2023年5月29日開催の定時株主総会において付議することを合意し、承認可決されております。なお、本覚書に基づき派遣された親会社取締役の内田貴之及びロピア取締役の相川博史の2名がそれぞれ当社の代表取締役及び取締役に就任しました。

 

 

(経営及び業務の指導等に関する業務委託契約)

当社は、2023年11月8日開催の取締役会において、親会社との間で経営及び業務の指導等に関する業務委託契約(以下、「本業務委託契約」という。)を締結することを決議し、同日付で本業務委託契約を締結いたしました。

 

(1)本業務委託契約の目的及び理由

当社は2023年2月期において2期連続して赤字であり、また、財務基盤も決して強固なものではなく、2022年12月に全取引金融機関に対して総額5億円(一部清算金を含む。)の返済を実施しましたが、未だ取引金融機関10行から借入金返済猶予をいただいている状況であります。当社の財務状況が悪化していく中では、取引金融機関から支払期日のリスケジュール等のさらなる金融支援を受けることは非常に難しい状況であり、当社の安定的な事業継続・中長期的な視野に立った成長の実現可能性を維持するためには、足元の資金繰りや営業キャッシュ・フローの悪化等を抜本的に解決する必要性が生じております。

そのような状況の中で、当社は、2022年7月15日に親会社との間で資本業務提携契約を締結して以降、親会社及びその複数子会社から構成される企業グループ(以下、「親会社グループ」という。)から、経営及び業務指導やそれらを熟知した適切な人材の派遣といった人的支援を受け、当社の業績は、売れ筋商品の選定及び仕入原価の低減による売上高及び売上総利益の改善、不採算店舗の閉鎖・転貸等の交渉等による収益構造の改善、店舗改装による売上高・客数の伸長等の業績回復に向けて進んでおり、取引金融機関に対する協力体制が得られております。

当社としては、これまでの支援実績を踏まえ、本業務委託契約を締結することにより、当該派遣人材の確保、並びにさらなる経営及び業務指導の支援強化を図ることは、当社の事業にとって必要不可欠だと判断しております。

そこで、本業務委託契約を締結し、親会社及び親会社グループに当社への経営支援・人的支援・財政支援をよりコミットいただくことで、当社としても実効性の高い収益基盤強化の施策の推進力を高めることができ、また、親会社及び親会社グループの信用力を背景に、2022年4月より借入金の返済猶予をしていただいている取引金融機関との円滑な交渉が期待され、その結果、当社の少数株主を含めたステークホルダー全体の利益にも資するものと判断し、親会社と協議の上、本業務委託契約を締結することにいたしました。

 

(2)本業務委託契約の内容

① 相手方の名称   株式会社OICグループ

② 契約締結日    2023年11月8日

③ 契約期間     2023年11月8日から2024年10月31日まで

※ 契約期間満了の1ヶ月前までに当社及び親会社のいずれかから書面による変更または終了の申し入れがない場合には、同一条件で自動的に1年間更新される。

④ 対価       対価は、毎年9月から8月までの1年間の当社売上高に1%を乗じた金額とし、これを12等分した金額を毎月支払います。

なお、2023年10月から2024年9月までの初年度の本対価は、679,413千円(月額56,618千円)となります。

⑤ 支払時期     上記③契約期間の毎月末日

※ 2023年10月分については、本業務委託契約締結日が2023年11月であることから、同年11月の末日までに支払う。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。