第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、教育分野における測定技術の研究開発を行い、質の高いテスト及びラーニングの機会を提供することで、効果的な教育機会を実現し、個人個人の能力の発展に寄与するという日本発のEdTechカンパニーを目指しております。

 

(2) 経営環境

 国内教育市場においては、GIGAスクール構想に基づき、児童・生徒1人に1台端末が整備され、教育のICT化が不可欠となっております。テスト市場全体においては、従来型の紙のテストからCBTへの移行が進みつつあり、学習のオンライン化及びテストのCBT化が加速する傾向が続いております。また、英語教育の低年齢化、リスキリング需要の高まり及びデジタル化により、英語に対する教育とテスト需要の拡大も見込まれております。したがいまして、当社グループが属する教育ビジネス市場は、今後も成長することが見込まれています。

 しかしながら、当社グループでは、当連結事業年度において、テストセンター事業及びAI事業において通期業績予想に対する若干の上振れを達成したものの、前事業年度比では、テスト等ライセンス事業、教育プラットフォーム事業、AI事業、テスト運営・受託事業における売上減少により、売上高は減収となり、売上総利益も減益となりました。業務委託費や人件費の削減等により、販売費及び一般管理費は減少しましたが、売上総利益の減少を補いきれず、営業損失は前期比で損失幅が拡大しました。また、主に将来に損失を繰り延べないため第2四半期までに計上したソフトウエア等の減損損失に加えて、訴訟関連費用及び事業構造改革にかかる費用等の引き当てに伴う特別損失の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は損失幅が拡大しました。

 当社グループとしましては、こうした結果を踏まえながらも、教育ビジネス市場におけるビジネスチャンスは大きいことから、教育分野における能力測定技術、AI技術、コンピューターやインターネットを用いたテスト及び教育ツールの研究に注力し、特に語学を中心として項目応答理論を用いた正確な能力測定を強みとする「CASEC」に代表される試験の高度化を図ることで、他社との差別化を図ってまいります。また、各種検定・試験のCBTの実施会場であるテストセンターの設置・運営を通して、各種試験のCBT化をシステム及びインフラ提供の両面から推進し、さらに、独自のAI技術を活かし、AI-OCRの拡販、自動採点、自動問題作成等対応範囲の拡大に努めてまいります。

 

(3) 経営戦略等

 当社グループは、持続的な成長を目指した体制構築に向け、2024年9月期から2026年9月期までの3年間を期間とする、「中期経営計画 -事業計画及び成長可能性に関する事項-」を2023年12月8日に公表いたしました。

 当社は、以下に記載する3つの改革に取り組み、2025年9月期に、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字化を目指します。

 

① 事業構造改革

 事業ポートフォリオの見直しを行い、高付加価値事業及び成長事業に対して経営資源を積極的に投下するとともに、不採算事業からの撤退を行い、高収益な企業体制を目指します。具体的には、テスト等ライセンス事業及びテスト運営・受託事業で、より付加価値を高めていくとともに、テストセンター事業及び AI 事業を成長事業として育成します。一方で、教育プラットフォーム事業については、上記に記載の通り、撤退することで、他事業へ資源を再配分してまいります。

 

② コスト構造改革

 早期のコスト削減、人員の再配置を行い、筋肉質な組織体制を目指します。具体的には、海外子会社の運営体制の見直しによるスリム化、外注費の最適化、オフィス移転を含めた徹底的な販管費の削減に取り組むとともに、一部事業・サービス撤退による、成長事業への人員の再配置を行います。

 

③ 組織体制・企業風土改革

 これまでの事業部制を廃止し、顧客軸とプロダクト軸を明確にし、顧客ニーズに応じた適切なソリューションを提供する組織へ移行することで複合的なサービス展開を行い、更なる販売拡大を目指します。また、これまで取り組んできたガバナンス体制強化に引き続き注力していきます。さらに、人事評価制度を再構築することで、変革に挑戦できる組織を目指してまいります。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループは、教育分野における能力測定技術・コンピューターやインターネットを用いたテスト及び教育ツールの研究に注力し、特に語学を中心として「CASEC」、「英検 Jr.」に代表される試験を提供し、項目応答理論を用いた正確な能力測定技術を強みとすることで他社との差別化を図ってまいりました。また、独自のAI技術を活かし、AI-OCR、自動採点システム等の開発に努めております。さらに、テストセンター事業を通じて、各種試験のCBT化をシステム及びインフラ提供の両面から推進しております。
 当社グループでは、今後の業務展開及び経営基盤の強化のため、以下の課題に取り組んでまいります。

 

① システム開発の強化

当社グループが今後も持続的な成長を果たしていくためには、当社グループが開発したCBTシステムや大規模試験での利用が可能な記述式答案の採点システム等について、市場での優位性を確保するための製品機能の強化が今後も不可欠であると認識しております。

また、当社グループは、AIを用いた手書き文字認識技術(AI-OCR)を活かすための周辺機能の開発及び導入環境の整備や、AIを活用したアダプティブラーニング等を開発してまいりました。

当社グループは、時代の要請により変化する市場と今後も加速するテクノロジーの進歩に素早く対応するため、戦略に即した製品機能の強化、オプション機能の開発等を行い、競合他社との差別化を図ってまいります。

 

② コンテンツ開発の強化

当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化に合わせて継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。

また、世の中で必要とされるスキルや能力は変化しており、そのスキルや能力を測定又は習得していくコンテンツの開発力を高めることが重要です。良質なコンテンツを開発することができる経験豊富な人材は限られており、当社グループは、戦略的な採用活動を通して、質の高い人材にアクセスし、優良なテスト及び学習コンテンツの開発・提供を進めることで、商品の競争力を高めてまいります。

 

③ 海外拠点におけるソフトウエア開発やそのメンテナンス、コンテンツ開発、採点業務の生産性と収益性の向上

当社グループは、現在、インドのプネにある自社の開発拠点にて、ソフトウエア開発やメンテナンスを行っております。また、アイルランドのダブリンにて、先端的なAIの開発に取り組んでおります。当社グループはこれらの体制を通じて、グループ全体のシステム開発の生産性の向上を目指してまいります。

さらに、当社グループは、主要サービスである英語関連サービスの更なる品質向上のために、テスト理論や英語教育分野の修士課程修了者を中心に高度な訓練を受けた人材を確保して、英語コンテンツの開発や採点業務を行っております。今後もそうしたナレッジを活かして、収益性の向上を実現してまいります。

 

④ テストセンター事業の安定的運営と更なる拡大の両立

テスト市場全体において従来型の紙ベースのテストからCBT(Computer Based Testing)への移行が進む中、当社グループは、各種検定のCBTの実施に当たり、その実施会場であるテストセンターの安定的な運営を実現できる体制構築に注力しており、2023年9月末現在で41の直営のテストセンターを運営しております。直営のテストセンターの運営には、テストセンターの賃料や会場運営等に係る固定費の負担が生じますが、今後この事業を一層安定的に運営し、各種検定のCBT化を推進することで、中長期にわたる事業拡大を実現してまいります。

 

⑤ 株式会社増進会ホールディングスとの連携強化

当社グループは、2022年7月、株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約を締結しております。主にテスト分析・コンサルティング、教育機関・法人向け営業の拡充、独自の能力測定技術を活かしたサービスの付加価値向上、AIを活用した採点業務の効率化等の領域において、両社の事業シナジーを活かしたビジネスを拡充し、双方の企業価値向上を目指してまいります。

 

⑥ AI-OCR技術である「DEEP READ」やAI自動採点技術である「DEEP GRADE」の事業応用とAI技術の活用領域の充実

各種学力調査は、「知識・技能」を中心に問う手法から「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」を総合的に評価する手法へと移行しつつあり、記述式の出題が増加する傾向にある一方、これに伴う採点費用も増加しています。当社グループは、ディープラーニングに基づくAI技術を用いた高精度な手書き文字認識技術「DEEP READ」を開発し、大規模な学力調査における記述式解答の採点効率化を実現してまいりました。また、この文字認識技術は教育IT分野のみならず他分野にも応用可能であり、これまで保険・金融機関やBPO事業者等、様々な企業・団体において、書類管理業務のDXの一環として活用いただいております。引き続きAPI環境の整備や、多様なユーザーニーズに応える提供形態を整えながら、精度面、機能面、サポート面の更なる強化を図ってまいります。

さらに、2023年9月期より、AI事業の新たな柱として、ChatGPTを活用したAI自動採点ソリューションである「DEEP GRADE」を、教育業界向けに提供開始いたしました。「DEEP GRADE」は、AIが問題文の意味や出題の意図と実際に書かれた解答の内容を解析し、採点結果を即座に返却するため、採点にかかる工数を大幅に削減することが可能となり、教育業界のDXを推進します。また、採点結果に加えてフィードバックや学習アドバイスを同時に表示することが可能となり、採点だけではなく学習の効率も飛躍的に向上させることが可能となります。

これらの事業を推進するため、当社グループは、子会社DoubleYard Inc.を通じて、優秀なAI人材の確保と研究開発活動に努めております。

 

⑦ 大型公共プロジェクトの安定的運用

当社グループは、文部科学省が実施する「令和6年度全国学力・学習状況調査を実施するための委託事業(中学校事業)」を受託いたしました。こうした大型の公共プロジェクトを、当社グループの強みであるテスト理論、AI技術や採点システム等を活用して安定的かつ効率的に運用し、収益の安定化を図ってまいります。

 

⑧ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の更なる強化

当社は、2021年8月より、特別調査委員会を設置し、一連の会計処理について調査を行いました。その後、特別調査委員会による最終報告書の内容を踏まえ、2021年10月15日及び2022年2月28日付にて、過年度に係る有価証券報告書等の訂正を行いました。

これに伴い、株式会社東京証券取引所より、当社株式は2022年4月1日付で「特設注意市場銘柄」の指定を受けましたが、内部管理体制の強化に取り組んできた結果、その取組み内容が評価され、2023年5月20日付で当該指定は解除されております。

当社は、引き続き、内部管理体制の整備・強化を継続するとともに、グループ一丸となって企業価値向上に努めてまいります。

 

⑨ 人材の確保と育成

当社グループは、今後持続的な成長を図るために、研究開発、事業開発、営業・マーケティング、内部管理の全ての面において、優秀な人材の確保、採用、育成が重要な課題であると認識しております。2023年10月から営業面と商品・サービス開発面を強化した組織体制に移行するとともに、新しい人事制度をスタートさせて、人材の活性化を図ることに加えて、社員への研修・教育制度を整備することで、優秀な人材の確保・育成に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

 当社は、当社グループの目指すべき指針としてミッションステートメントを定めており、次のように掲げております。

Misson Statement

1.私たちは、教育分野における測定技術の研究開発を行い、質の高いテストおよびラーニングの機会を提供することで、効果的な教育機会を実現し、個人個人の能力の発展に寄与します。また、その活動を通じて培われた技術や知見を活かし、新たな事業創出に挑戦します。

 

 当社は、このミッションステートメントに基づき、次世代の教育に関する事業を展開しており、当社の事業内容は、国連で定められたSDGs(持続可能な開発目標)「17の目標」に含まれる「目標4[教育]すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」に通ずるものであると考えております。当社は、今後も、事業活動を通して、持続可能な社会の実現に真摯に取り組んでまいります。

 

 なお、当社は、本書提出日時点において、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った情報開示等は行っておりませんが、環境負荷の低減に繋がる活動に取り組む重要性を認識しております。当社の展開する事業は、測定技術にAI等のIT技術を組み合わせることで教育効果を高めることを主軸としており、教育のICT化や、従来まで紙で行われていたテストのCBT化を促進します。当社は、こうした事業の成長を通して、教育業界のペーパーレス化に貢献してまいりたいと考えます。

 

(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループにおける、サステナビリティ関連のリスク及び機会を把握・管理するためのガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」に記載の体制と同様であります。

 四半期ごとに開催しているリスク委員会では、事務局である総務人事本部が中心となって、当社グループに影響を与えると思われるリスクの洗い出しと評価を行い、その影響度と発生の可能性から議題を選定しており、リスク委員会で協議された人事・労務等をはじめとするサステナビリティに関連した重要な課題については、適宜、取締役会において所轄の取締役より報告・共有され、対応策の検討を行っております。

 

(3)人的資本に関する戦略と指標及び目標

 ①戦略

 当社は、当社の企業価値の向上と持続的な成長を図る上で、組織員としての社員が安心して働けること、達成感を得られることが重要と考えております。そのため、ミッションステートメントの2番目において、

「私たちは、従業員一人ひとりの尊厳を大切にします。安心して働きながら、仕事を通して個人の能力の向上、達成感を得ることができ、そして、昇進の機会が公平かつ平等に与えられる職場環境の構築を常に目指します。」

ということを掲げており、この実現に向けて、2023年10月からの人事制度の刷新をはじめとした次のような事項に取り組んでおります。

 ・社員の要望をふまえて、人事制度を改定し、昇給昇格、賞与決定等の基準を明確化(2024年9月期~)。

 ・人材リスクをリスク委員会の重要なテーマとして位置づけ、経営として管理する。またその内容については取

  締役会において報告する。

 ・当社および重要な子会社である株式会社教育測定研究所の代表取締役社長が、全社員と直接に対話し職場課

  題を吸い上げる「スモールミーティング」を過去3回実施、今後も継続していく。

 ・多様な働き方の実現する一環として在宅勤務を推進しており、8~9割程度の社員が在宅勤務を実施。

 ・定期的なハラスメント研修(eラーニング)の実施。

 ・ストレスチェックの定期的な実施とその分析結果にもとづく職場環境改善。

 

 

 

 ②指標及び目標

 当社は上記①の戦略の推進にあたってはダイバーシティの実現が肝要であると考えており、そのため、重要な子会社である株式会社教育測定研究所においては、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画および次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しその達成に向けて取り組んでおります。

 

[女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画]

① 令和3年10月1日~令和6年9月30日の3ヵ年をかけて管理職に占める女性の割合を向上させるよう努力し、令和6年9月30日時点で、管理職に占める女性の割合を、令和3年6月24日付産業別平均の20.7%の1.5倍となる、31.05%を超えるようにする。

  ⇒進捗状況 令和4年9月30日現在 31.4%

        令和5年9月30日現在 33.3%

② 令和3年10月1日~令和6年9月30日の3ヵ年をかけて、有給取得率の向上を働きかけ、令和5年4月1日~令和6年3月30日の期間の有給取得率を、正社員・契約社員いずれの雇用区分においても、令和2年10月30日付全産業平均の56.3%を超えることを目標とする。

  ⇒進捗状況 令和3年4月~令和4年3月実績 61.4%

        令和4年4月~令和5年3月実績 78.4%

 

[次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画]

① 2025年3月31日までに、より育児と仕事を両立しやすい環境を整えるため、小学校就学前の子を育てる労働者についての制度を見直し、周知する。

② 2025年3月31日までに、育児休業期間中の労働者のサポートをより積極的に行うことを目的として、健康管理や相談窓口の設置を行う。

 

 

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 特定顧客との関係について

当社グループは、主要事業において、特定の取引先(以下「特定顧客」)に対する売上の依存度が高く、2023年9月期の全売上高に占める特定顧客への売上割合は54.1%となっております。当社グループは、能力測定技術、テスト理論の専門性、大規模テストの運用実績等の強みを基盤に、提供するサービスの付加価値を高めるとともに、事業シナジーを活かしたクロスセル等によって、幅広い顧客の開拓及び深耕を図ってまいりますが、特定顧客との契約内容に変更が生じた場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) テストセンター事業の安定的運営について

当社グループは各種検定・試験のCBTの実施に当たりその実施会場であるテストセンターを運営しており、2023年9月末現在で41の直営テストセンターを有しております当社グループはテストセンターの安定的な運営を実現できる体制構築に注力しておりますが、テストセンターの賃料や会場運営等に係る固定費の上昇リスクが生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) テスト運営・受託事業が性質上入札の結果に大きく影響されることについて

テスト運営・受託事業は国内の公的機関が発注者となる場合が多く、安定的に発注がある一方で、受託の際に入札プロセスが導入されるため長期に亘る継続的な契約を結ぶことが難しく、毎年の入札結果によっては受託できないことも起こりえます。当社グループが実績を積み重ね、技術点を上げることで、ある程度継続的に落札することが可能となるものの、新規参入企業による競争激化の可能性もあり、安定的かつ確実な受注環境にあるとはいえない事業です。特に文部科学省の実施する全国学力・学習状況調査等の大規模な案件が国内の公的機関から落札できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) テスト運営・受託事業における収益性について

テスト運営・受託事業は、実施に係る印刷コストや採点等に関する経費が原価に占める割合が高い事業です。そのため、経済状況の変動におけるアルバイト賃金の上昇や外注費の高騰等により、期待した利益率を達成できない可能性があります。また、採点や集計に関するトラブルが発生した場合、印刷コストや採点等に関して追加負担が発生することがありますが、受託金額の上乗せを実現することは困難であることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 海外子会社の運営について

当社グループは、現在、インドのプネにある自社の開発拠点にて、システム開発やメンテナンスを行っております。また、アイルランドのダブリンにて、先端的なAIの開発に取り組んでおります。海外子会社については、運営体制の見直しによるスリム化を図り、早期のコスト削減に努めてまいりますが、各国における為替・金利などの動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 少子化による需要の低下について

国内の教育市場については、構造的な少子化傾向が継続しております。当社グループは、英語学習の低年齢化、リスキリング需要の増加、また各種試験のCBT化等の事業拡大機会を的確に捉え、独自のポジショニングの確立に向け取り組んでおりますが、業界全体に対する需要の低下が続いた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 教育に関わる各種制度の変更について

国内市場においては、学習指導要領の改訂や就学支援金制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置等、行政による教育に関わる制度変更が発生します。このような制度変更に対しては早期の察知及びこれを踏まえた適切な対応に努めておりますが、早期の察知や十分な対応ができない場合等において、ビジネスチャンスの逸失や集客の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) システム及びコンテンツ開発について

当社グループは、教育関連システムを自社で開発しており、開発コストが想定以上にかかった場合、サービス開始前の資金需要が発生する可能性があります。また、当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は時代の変化に合わせて継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です世の中で必要とされるスキルや能力は変化しておりそのスキルや能力を測定又は習得していくコンテンツの開発力を高めることが重要となります当社グループは、戦略との整合性や投資金額の妥当性の検証を踏まえ、システム及びコンテンツの開発に着手しておりますが、商品の競争力が十分でなくサービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 減損会計

当社グループは、各種サービスを提供するため、無形固定資産としてシステム提供のためのソフトウエア及び学習コンテンツを保有するとともに、継続的に開発投資を行っています。これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合、当社グループが保有するソフトウエア等の資産について減損損失の計上が必要となることが考えられます。なお、当社が保有する固定資産のうち主にプラットフォーム事業及びテスト等ライセンス事業の固定資産グループについて当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ったことから2023年9月期において減損損失を2,032,254千円計上しております。

 

(10) 有利子負債依存度について

当社グループの有利子負債依存比率(連結)は、2022年9月期末及び2023年9月期末でそれぞれ40.1%、37.9%となっております。当社グループでは、これまで、株式会社教育測定研究所が受託する学力調査等の案件において、アルバイト賃金や外注費等の一時的なコスト負担が生じることや、一般競争入札において流動比率を高めることが入札要件として有利である等の事情があり、借入を増やして現金及び預金残高を高めてまいりました。調達資金に基づく収益が意図したとおりに上がらず、流動比率を維持するための借り入れを継続する状況下で、急激な調達環境の悪化や金利の上昇などが起きた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があり、当社グループのキャッシュ・フロー、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11) システムトラブルについて

当社グループの事業は、コンピューター・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 個人情報の管理について

株式会社教育測定研究所は、「英ナビ!」における会員情報や「CASEC」等の受験者情報等の個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受ける個人情報取扱事業者です。

株式会社教育測定研究所はプライバシーマークを認証取得するとともに、個人情報については、社内研修などを通じて社員への啓発活動を継続的に実施するなどの施策を講じておりますが、何らかの理由で個人情報が漏えいした場合、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 人材の確保・育成について

当社グループは今後持続的な成長を図るために研究開発事業開発営業・マーケティング内部管理の全ての面において優秀な人材の確保採用育成が重要な課題であると認識しております2023年10月から営業面と商品・サービス開発面を強化した組織体制に移行するとともに新しい人事制度をスタートさせて人材の活性化を図ることに加えて社員への研修・教育制度を整備することで優秀な人材の確保・育成に取り組んでまいりますしかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性や育成した人材が当社グループの事業に十分に寄与できない可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14) 自然災害

当社グループにおいては、地震等の大災害発生に備え、グループ各社の被災状況の情報集約体制の構築、国内事業の情報システムの分散等の事業継続のための施策を講じております。

しかしながら、大災害が発生した場合、被災地域における営業活動の停止、当社グループの施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱、委託先の被災等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、各事業会社の本部機能の東京への集中度が高いため、東京に被害が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15) 新感染症の発生について

新ウイルス等による感染症の拡大が発生した場合には、グループ各社や委託先の従業員の感染症罹患による事務所等における稼働率低下、各種試験団体による試験の中止や受験者数の大幅な減少、販売先・取引先における事業活動の制限の影響等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16) 技術革新等について

インターネット、クラウドコンピューティング、AI等の開発環境は技術進歩が速く、当社グループはソフトウエア投資等を通じて技術進歩に対応するべく努めておりますが、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17) 知的財産権について

当社グループは、現在、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社グループの事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、他社により当社グループの知的財産権が侵害された場合においては、他社が当社グループの参加する一般競争入札において優位な位置を占めるなどして、当社グループの受託を阻害し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(18) 配当政策について

当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しており、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。

ただし、当社としましては、内部留保の充実を図り、成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考え、現状は通常配当を実施しておりません。将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針ではありますが、現時点において通常配当の実施時期等については未定であります。

 

(19) 法的規制等について

当社グループは、下請法の他、広告事業の展開に伴い景品表示法の適用を受けております。当社グループではこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、当社グループに適用される各種法令・規則や税制等に関連して、今後急激に変更若しくは新たな規制の導入等が行われる場合、又は当社グループが行政処分、行政指導、司法手続等の対象になった場合や、その他当社グループに関連して訴訟や紛争等が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(20) 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社グループは、当連結会計年度において、売上高は前年同期比減収となり、前連結会計年度に引き続き、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上している状況にあります。そのため、当社グループでは継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 しかしながら、親会社株主に帰属する当期純損失3,105,217千円は、将来に損失を繰り延べないための固定資産の減損損失や各種引当金繰入等の非資金支出2,875,379千円で構成されており、また営業損失に対しては、不採算なプロジェクトからの撤退や採算性の高いプロジェクトへの注力による選択と集中を推進するほか、新規の開発計画の見直し、原価や販管費の削減を継続的に行うことで、収益率の改善と営業キャッシュ・フローの創出を継続的に図り経営基盤の強化・安定に努めております。

 また、2023年12月8日付けにて「中期経営計画 -事業計画及び成長可能性に関する事項-」を公表し、2025年9月期以降、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字化を目指しております。

 資金面においては、主力金融機関と良好な関係を維持しており、継続的な支援が得られるよう取引金融機関と協議し、手元流動資金の確保に努めており、当連結会計年度末において3,844,871千円の現金及び預金を確保しており、財務基盤は安定しております。

 また、当社は2022年7月29日付「株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約の締結、株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」にて開示のとおり、同日付で株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約を締結し、株式会社増進会ホールディングスの関係会社となっております。

 以上から、当社グループでは、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

(21) 増進会ホールディングスとの関係について

当社は2022年7月29日付「株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携契約の締結、株式の売出し、主要株主及び主要株主である筆頭株主並びにその他の関係会社の異動に関するお知らせ」において開示した通り、株式会社増進会ホールディングスとの間で資本業務提携契約を締結し、株式会社増進会ホールディングスの関係会社となっております。当社と株式会社増進会ホールディングスとの間の更なる業務提携は当社の収益力の強化ひいては当社の企業価値向上に資すると考えておりますが、資本業務提携契約解消等により、当社と株式会社増進会ホールディングスの関係に変化が生じた場合には、レピュテーションリスクの増加、共同研究や協同プロジェクトを単独で遂行することによるリスクの増加、資本業務提携契約に基づく当社に対する貸付等の資金調達の支援を得られなくなること等が生じる可能性があります。このような場合及びその他の理由で株式会社増進会ホールディングスとの間の更なる業務提携又は当社の収益力の強化若しくは当社の企業価値向上が予定通りに進まない場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(22) 内部統制について

当社は2021年8月より特別調査委員会を設置し一連の会計処理について調査を行いましたその後特別調査委員会による最終報告書の内容を踏まえ2021年10月15日及び2022年2月28日付にて過年度に係る有価証券報告書等の訂正を行いましたこれに伴い株式会社東京証券取引所より当社株式は2022年4月1日付で特設注意市場銘柄の指定を受けましたが内部管理体制の強化に取り組んできた結果その取組み内容が評価され2023年5月20日付で当該指定は解除されております当社は引き続き内部管理体制の整備・強化を継続してまいりますが、再度、内部管理体制に不備が生じた場合には、信用失墜や株価へ影響が生じる可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高7,061,045千円(前期比27.6%減)、営業損失540,391千円(前期は234,391千円の営業損失)、経常損失616,056千円(前期は経常利益100,617千円)、親会社株主に帰属する当期純損失3,105,217千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失818,700千円)となりました。
 

当連結会計年度においては、テストセンター事業及びAI事業で当初計画に対して売上高が順調に推移したことから、通期業績予想に対する上振れ要因となりました。一方で、前年比では、テスト等ライセンス事業、教育プラットフォーム事業、AI事業、テスト運営・受託事業における売上減少により減収となり、売上総利益は減益となりました業務委託費や人件費の削減等により、販売費及び一般管理費が減少しましたが、売上総利益の減少を補いきれず営業損失は前年同期比で損失幅を拡大しましたまた主に第2四半期までに計上したソフトウエア等の減損損、訴訟関連費用および事業構造改革にかかる費用等の引き当てに伴う特別損失の計上等により、親会社株主に帰属する当期純損失は損失幅を拡大しました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

a. テスト等ライセンス事業

テスト等ライセンス事業においては英語スピーキングテストのライセンス収入やオンライン英語テストCASECの売上減少等により当該セグメントの売上高は924,370千円(前年同期比27.1%減)となり、セグメント利益は81,439千円(同69.7%減)となりました。

 

b. 教育プラットフォーム事業

 教育プラットフォーム事業においては、主に当社子会社が特定の顧客に対して提供する語学ラーニングツールの利用に関するライセンス契約が、期間満了日である2023年3月31日付けで終了したことにより、当該セグメントの売上高は1,480,427千円(前年同期比42.9%減)、セグメント利益は117,271千円(同83.9%減)となりました。

 

c. テストセンター事業

 テストセンター事業においては、CBT配信受託業務における一部契約終了の影響等を受けたものの、テストセンター利用者数は順調に増加し、当該セグメントの売上高は2,911,257千円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益は335,261千円(同0.4%減)となりました。

 

d. AI事業

 AI事業においては外部顧客への手書き文字認識エンジン(AI-OCR)DEEP READのライセンス収入が安定して推移したものの前連結会計年度に発生した学力調査関連のライセンス収入の減少等に伴い売上高は減収となりました費用面では中国自習室事業にかかる販売管理費の減少等により利益率が改善し当該セグメントの売上高は350,482千円(前年同期比23.9%減)、セグメント利益は114,607千円(前年同期はセグメント損失76,729千円)となりました。

 

e. テスト運営・受託事業

 テスト運営・受託事業においては、前年度に単独で受託した文部科学省による全国学力・学習状況調査(小学校事業)を今年度は再委託機関として受託したこと等により前年比減収となり当該セグメントの売上高1,433,053千円(前年同期比47.1%減)、セグメント損失は24,817千円(前年同期はセグメント利益31,059千円)となりました。

 

 

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における財政状態は、資産は6,021,579千円(前連結会計年度末比6,416,313千円減)、負債は4,136,727千円(前連結会計年度末比3,266,020千円減)、純資産は1,884,852千円(前連結会計年度末比3,150,292千円減)となりました。

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,797,355千円減少し、5,293,842千円となりました。これは、借入金の返済等により、現金及び預金が2,208,638千円減少したことなどによります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて2,616,905千円減少し、725,585千円となりました。これは、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が1,717,295千円、投資有価証券が298,164千円減少したことなどによります。

繰延資産は、前連結会計年度末に比べ2,052千円減少し、2,151千円となりました。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて6,416,313千円減少し、6,021,579千円となりました。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,758,706千円減少し、3,659,790千円となりました。これは、借入金の返済等により、借入金及び社債が1,221,175千円減少したことなどによります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,507,314千円減少し、476,936千円となりました。これは、借入金及び社債が1,482,586千円減少したことなどによります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,266,020千円減少し、4,136,727千円となりました。

 

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,150,292千円減少し、1,884,852千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が3,105,217千円減少したことなどによります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、2,622,367千円(前連結会計年度末比819,139千円減)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは336,612千円の収入(前連結会計年度は581,118千円の支出)となり、前期比大幅な収入増となりました。これは、税金等調整前当期純損失3,189,669千円(前連結会計年度は786,867千円)などの減少要因があるものの、主に減損損失2,032,254千円(前連結会計年度は595,849千円)などの非資金支出、売上債権の増減額929,833千円等の増加要因の影響によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは1,434,256千円の収入(前連結会計年度は3,125,434千円の支出)となりました。これは、定期預金の預入による支出3,106,522千円(前連結会計年度は8,669,183千円)、定期預金の払戻による収入4,496,021千円(前連結会計年度は6,057,180千円)、ソフトウエア開発による無形固定資産の取得による支出330,654千円(前連結会計年度は1,092,687千円)などの影響によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは2,560,846千円の支出(前連結会計年度は3,251,757千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出1,630,686千円(前連結会計年度は2,521,019千円)などの影響によります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b. 受注実績

  当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

テスト運営・受託事業

1,414,037

54.6%

402,444

97.4%

(注)テスト運営・受託事業以外のセグメントについては事業の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。

 

c. 販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

テスト等ライセンス事業

924,370

72.9

教育プラットフォーム事業

1,480,427

57.1

テストセンター事業

2,872,710

99.7

AI事業

350,482

113.5

テスト運営・受託事業

1,433,053

52.9

合計

7,061,045

72.3

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2021年10月1日

至  2022年9月30日)

当連結会計年度

(自  2022年10月1日

至  2023年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

公益財団法人日本英語検定協会

4,866,393

49.9

3,818,144

54.1

文部科学省

1,582,501

16.2

205,387

2.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は7,061,045千円(前年同期比27.6%減)となりました。これはテストセンター事業の売上高が2,911,257千円(前年同期比0.4%増)と増加した以上に、テスト等ライセンス事業924,370千円(前年同期比27.1%減)、教育プラットフォーム事業の売上高が1,480,427千円(前年同期比42.9%減)、AI事業の売上高が350,482千円(前年同期比23.9%減)、テスト運営・受託事業の売上高が1,433,053千円(前年同期比47.1%減)と減少したこと等によります。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は5,133,127千円(前年同期比24.2%減)となりました。その結果、売上総利益は1,927,917千円(前年同期比35.5%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,468,309千円(前年同期比23.4%減)となりました。これは業務委託費や人件費が削減されたこと等によります。その結果、営業損失は540,391千円(前連結会計年度は、234,391千円の営業損失)となりました。

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は為替差益93,754千円、契約解約益68,750千円等により179,162千円となり、営業外費用は投資事業組合管理費180,378千円、支払利息26,262千円等により254,827千円となりました。その結果、経常損失は616,056千円(前連結会計年度は、100,617千円の経常利益)となりました。

(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は固定資産売却益333,644千円等により355,720千円となり、特別損失は減損損失2,032,254千円、特別調査費用引当金繰入額67,000千円、訴訟関連費用引当金繰入額182,086千円、事業構造改革引当金繰入額105,000千円等により2,929,333千円となりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失3,105,217千円(前連結会計年度は、818,700千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

b. 財政状態

財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要につきましては、売上原価並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

設備資金需要の主なものは、テスト及びラーニングツール開発のためのソフトウエア開発及びコンテンツ開発費であります。当連結会計年度においては、362,584千円の設備投資となりました。

翌連結会計年度の資金需要については、ソフトウエア開発及びコンテンツ開発による設備投資を中心に416百万円を予定しております。

運転資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて金融機関から短期借入を実施しております。設備投資資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて長期借入の実施、社債発行を行っております。

 

今後も収益構造の強化と成長性の維持のため継続的な設備投資が必要となりますので、安定的な自己資金の確保を目指してまいります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業運営体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行っていく予定でおります。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、持続的な成長を目指した体制構築に向け、2024年9月期から2026年9月期までの3年間を期間とする、「中期経営計画 -事業計画及び成長可能性に関する事項-」を2023年12月8日に公表いたしました。

 当社は、以下に記載する3つの改革に取り組み、2025年9月期に、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字化を目指します。

 

i) 事業構造改革

 事業ポートフォリオの見直しを行い、高付加価値事業及び成長事業に対して経営資源を積極的に投下するとともに、不採算事業からの撤退を行い、高収益な企業体制を目指します。具体的には、テスト等ライセンス事業及びテスト運営・受託事業で、より付加価値を高めていくとともに、テストセンター事業及びAI事業を成長事業として育成します。一方で、教育プラットフォーム事業については、上記に記載の通り、撤退することで、他事業へ資源を再配分してまいります。

 

ii) コスト構造改革

 早期のコスト削減、人員の再配置を行い、筋肉質な組織体制を目指します。具体的には、海外子会社の運営体制の見直しによるスリム化、外注費の最適化、オフィス移転を含めた徹底的な販管費の削減に取り組むとともに、一部事業・サービス撤退による、成長事業への人員の再配置を行います。

 

iii) 組織体制・企業風土改革

 これまでの事業部制を廃止し、顧客軸とプロダクト軸を明確にし、顧客ニーズに応じた適切なソリューションを提供する組織へ移行することで複合的なサービス展開を行い、更なる販売拡大を目指します。また、これまで取り組んできたガバナンス体制強化に引き続き注力していきます。さらに、人事評価制度を再構築することで、変革に挑戦できる組織を目指してまいります。

 

⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について

国内教育市場においてはGIGAスクール構想に基づき児童・生徒1人に1台端末が整備されICTを活用した教育が不可欠となっておりますテスト市場全体においては従来型の紙のテストからCBTへの移行が進みつつあり学習のオンライン化及びテストのCBT化が加速する傾向が続いておりますまた英語教育の低年齢化リスキリング需要の高まり及びデジタル化により英語に対する教育とテスト需要の拡大も見込まれております当社グループはこれを事業機会と捉え、経営資源を投入してまいります。

海外においては、海外子会社の運営体制の見直しによるスリム化を図り、早期のコスト削減を目指してまいります。選択と集中を意識した経営資源投入を行い、事業を展開してまいります。

経営者の問題認識については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

5【経営上の重要な契約等】

(1)株式会社増進会ホールディングスとの資本業務提携

当社は、2022年7月29日開催の取締役会において、株式会社増進会ホールディングス(以下「増進会ホールディングス」といいます。)との間で資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といい、当該契約に基づく資本業務提携を「本資本業務提携」といいます。)を締結することを決議し、同日付で締結しました。その後、資本業務提携契約について、当社の企業価値向上及びガバナンス体制の強化を目的として継続的に協議を行い、業務提携面については強固な協業体制が確立しているとの認識のもと、人的な関係に関しては、増進会ホールディングスが指名する取締役について、その独立性の確保について明確化を行いました。すなわち、資本業務提携契約に定める役員指名権について、増進会ホールディングスが指名する者は現在及び過去において増進会ホールディングスグループの役職員でない等、増進会ホールディングスグループと利害関係がなく独立性が確保された者とすること、また、特設注意市場銘柄指定が解除され、ガバナンス体制の強化及び企業価値向上について持続的に実現できていると判断される場合には取締役指名権の行使をしないこととする内容変更・文言追加に両社で合意し、2023年5月に覚書を締結しております。

 

1.本資本業務提携の理由

当社と増進会ホールディングスは、両社の強みを統合することができれば、パソコンやタブレット端末の普及等により、教育業界における変化の加速が見込まれる新しい潮流の中で優位な地位を築くことが可能となり、当社の企業価値向上が大いに期待できるという理由から当社と増進会ホールディングスの連携をこれまで以上に強化したいと考えました。また、当社は2021年8月より特別調査委員会を設置し一連の会計処理について調査を行い特別調査委員会による最終報告書の内容を踏まえ2021年10月15日及び2022年2月28日付にて過年度に係る有価証券報告書等の訂正を行いましたこれに伴い株式会社東京証券取引所より当社株式は2022年4月1日付で特設注意市場銘柄の指定を受けましたが内部管理体制の強化に取り組んできた結果その取組み内容が評価され2023年5月20日付で当該指定は解除されております当社は再発防止策として、新経営体制を構築することによるガバナンス体制の更なる強化を図ることを示しており、引き続き内部管理体制の整備・強化を継続しております。

かかる中、当社と増進会ホールディングスとの間で安定的かつ強固な関係を構築することで、市場からの信頼を回復させるとともに、必要に応じて増進会ホールディングスが当社による資金調達の支援要請に協力することで当社の財務基盤を強化することができます。また、増進会ホールディングスから内部管理等に精通した役職員の派遣を受け入れることにより、内部統制の更なる改善及びガバナンスの強化が見込まれ、また、今後更なる業務提携を通じて当社の収益力の強化ひいては当社の企業価値向上に資するとの判断に至ったためであります。

 

2.本資本業務提携の内容等

本資本業務提携契約の主な内容は以下の通りです。

①本資本業務提携契約の目的

(1) 増進会ホールディングス及び当社は、増進会ホールディングスが本株式譲渡によりZE1 を通じて当社株式を取得することを通じて資本関係を強化し、かかる関係を前提として、当社のガバナンスの強化に向けて互いに協力するとともに、テスト分析・コンサルティング事業、テスト等ライセンス事業(CASEC 等)、AI 事業及びプラットフォーム事業における業務提携を実施することにより、両当事者の企業価値向上及び株主価値向上を図ることを目的として、本資本業務提携契約を締結する。

(2) 増進会ホールディングスは、本資本業務提携の実施にあたっては、当社の上場会社としての独立性に配慮するものとする。

②業務提携の内容

(1)テスト分析・コンサルティング事業

(ⅰ)国や自治体が実施する学力調査等の入札案件において、両当事者の強みであるコンテンツ、採点処理、測定分析、CBT 化等を組み合わせた提案を実施することによる受託率の向上、並びにテストの実施・運営工程の役割分担による印刷及び採点等に係るコストの削減。

(ⅱ)増進会ホールディングスの子会社のうち教育機関に教育コンテンツやソリューションを提供している株式会社エデュケーショナルネットワーク(以下「EN」といいます。)及び教育機関や企業の人材育成部を対象に学習支援サービスを中心に提供している株式会社 Z 会ソリューションズ(以下「ZS」といいます。)が保有する顧客の個別ニーズに対応するノウハウの共有による当社及びその子会社(以下「当社グループ」といいます。)における提案営業力の強化。

(ⅲ)当社グループが提供するテストに関連した教材の増進会グループにおける制作販売。

(2)テスト等ライセンス事業

(ⅰ)EN 及び ZS による教育機関・法人向け営業の拡充に伴い、当社グループにおける大学等教育機関や民間企業へのサービス提供を増加させることによる収益向上。

(ⅱ)当社グループの有する IRT(項目応答理論)と CAT(コンピューター適応型試験)の技術を増進会グループの商品サービスに導入することで付加価値を高め、顧客満足度を向上。

(3)AI事業

(ⅰ)当社グループの文字認識技術を活用することによる、増進会グループにおける伝票入力等事務作業の合理化、採点業務の合理化・処理時間短縮等のコスト削減。

(ⅱ)EN 及び ZS の教育機関・法人向け営業ノウハウを活用し、当社グループの文字認識技術を活用したサービスを自治体や学校へ提供し、現場の事務作業の効率化を実現することによる販路の拡大。

(ⅲ)当社グループと増進会グループで既に開始しているスピーキングの即時自動評価サービスに関する共同研究の加速。

(4)教育プラットフォーム事業

増進会グループが有するコンテンツの提供及び増進会グループからの送客による、当社グループの競争力の強化及び顧客の拡大。

(5)テストセンター事業

株式会社栄光等が運営する学習塾を、当社が管理するテストセンターの一部空きスペースを活用して運営することによる賃料等のコスト削減。

③資金調達の内容

当社は、本株式譲渡の実行日(以下「クロージング日」という。)以降において、財務会計の正常化及び必要かつ適切な資金繰りに取り組むものとする。当社の財務会計の正常化及び必要かつ適切な資金繰りが実現しない場合において、当社から増進会ホールディングスに対し、当社の資金調達について合理的な支援要請があった場合、増進会ホールディングスは、当社の企業価値向上を図ることを目的として、当社の資金需要及び資金使途並びに当該時点における増進会グループの財務状況を踏まえて支援の是非、可否、金額及び方法を検討するものとし、かかる支援を不合理に拒否しない。

④ガバナンス等の内容

(1)ガバナンス体制

当社は、クロージング日以降速やかに、監査等委員会設置会社への移行(以下「本監査等委員会設置会社化」という。)を行い、取締役会、監査等委員会及び会計監査人を設置する。但し、本監査等委員会設置会社化については、当社は、両当事者間で誠実に協議の上、当社のガバナンス体制の強化の観点から支障がないことが確認された後、クロージング日以降速やかに、本監査等委員会設置会社化のために必要な手続をとるものとし、両当事者は、本監査等委員会設置会社化について、当社のガバナンス体制の強化の観点から支障がないことの確認に向けて最大限努力する。

なお、本監査等委員会設置会社化後の当社における役員構成は、監査等委員でない取締役の員数は4名とし、監査等委員である取締役の員数は3名(社外取締役)とする。

増進会ホールディングス及び当社は、当社の取締役候補者が下記(2)に従い決定されることを踏まえ、増進会グループと当社グループの間の取引その他増進会グループと当社の一般株主との間の利益が相反し得る取引(以下「本利益相反取引」という。)について、取引の必要性及び条件の妥当性について十分に審議・承認し、その適正性を確保するための体制を構築し、その運用が実効的に行なわれることを担保するための措置(本利益相反取引と利害関係を有する取締役が参加しない取締役会が、本利益相反取引に係る取引条件の決定方針を定めること、当社の取締役会が別途合理的に定める重要性基準を超える取引については、個別の取引の必要性及び条件の妥当性について審議及び承認することを含むが、これらに限られない。)を講じることに合意する。

増進会ホールディングスは、下記(2)に基づき指名する取締役が当社の取締役としての忠実義務を尽くすことの妨げとなる影響力を行使しないものとする。

(2) 役員指名権・オブザーバー

増進会ホールディングスは、当社の企業価値向上及びガバナンス体制の強化を目的として、当社の監査等委員でない取締役として当該目的に照らして適切な人材2名を指名する権利を有する。また、増進会ホールディングスは、当社の企業価値向上及びガバナンス体制の強化を目的として、当社の監査等委員である取締役(独立社外取締役とする。)として当該目的に照らして適切な人材1名(現在及び過去において増進会グループの役職員でない者とする。)を指名する権利を有する。加えて増進会ホールディングス及び当社は合意により当社の企業価値向上及びガバナンス体制の強化を目的として当社の監査等委員である取締役(社外取締役とする)として当該目的に照らして適切な人材1名を指名する

(3) 取締役・監査役の辞任

増進会ホールディングス及び当社は、本臨時株主総会等の終結時をもって、関伸彦氏は当社の取締役を辞任し、曽我氏は当社の監査役を辞任する意向であることを確認する。

(4) 人材交流

増進会ホールディングス及び当社は、増進会グループと当社グループの人材交流について誠実に協議する。

(5) 優先引受権

当社は、当社が、株式等の発行、処分又は付与を行う場合には、増進会ホールディングス及び ZE1 に対して、当該株式等の発行、処分又は付与の条件を事前に書面により通知することを要し、増進会ホールディングスは、当社に書面で通知することにより、当該株式等の発行、処分又は付与の時点における増進会ホールディングス及び ZE1 の完全希釈化ベースの議決権保有割合に応じた数(1株未満は切り上げる。)の当該株式等の発行、処分又は付与を受ける権利を有する。

(6)事前通知事項

当社は、当社又は株式会社教育測定研究が次に掲げる行為を行おうとする場合には、事前に増進会ホールディングスに対して書面により通知しなければならない。但し、本利益相反取引についてはこの限りではない。

(ア) 株式、新株予約権の発行、処分又は割当て

(イ) 自己株式の取得又は剰余金の配当

(ウ) 他社の株式の譲渡又は取得その他の重要な組織再編行為・M&A 取引

(エ) 重要な新規事業の開始、事業の中止、縮小その他の事業の重大な変更

(オ) 資本提携契約、業務提携契約、合弁契約その他経営に重大な影響を及ぼす契約の締結又は変更

(カ) 事業計画の決定又は重要な部分の変更

(キ) 法的倒産手続開始の申立て

(ク) 発行する株式についての上場廃止

(ケ) 増進会グループと競合する若しくはそのおそれのある事業を直接又は間接に行うこと

(コ) その他当社グループの経営に重大な影響を及ぼす事項

⑤資本提携の内容

ZE1 は、2022 年7月 29 日、各本売主との間で、株式譲渡契約をそれぞれ締結し、ZE1 は、髙村氏から、その所有する当社株式 2,400,000 株のうち、1,915,200 株(所有割合:19.11%)を、松田氏から、その所有する当社株式 1,084,200 株のうち、601,600 株(所有割合:6.00%)を、林氏から、その所有する当社株式 519,100 株のうち、280,800 株(所有割合:2.80%)を、曽我氏から、その所有する当社株式 403,900 株のうち、210,600 株(所有割合:2.10%)を、2022 年8月2日付で、それぞれ市場外の相対取引により取得しました。

当社及び増進会ホールディングスは、クロージング日後少なくとも3年間、増進会ホールディングス及び ZE1 の保有する当社株式を増進会グループ外の第三者に対し譲渡その他の処分を行わないことを合意しております。

また、当社及び増進会ホールディングスは、増進会ホールディングスが、クロージング日から3年経過した日以降、増進会ホールディングス及び ZE1 がその保有する当社株式の全部又は一部(以下「譲渡対象株式」という。)を増進会グループ外の第三者に対して譲渡その他の処分をしようとする場合、当社は、譲渡対象株式を、自ら買い取り、又は自らが指定する第三者をして買い取らせることができることを合意しております。

 

3.本資本業務提携の相手先の概要

① 名称

株式会社増進会ホールディングス

② 所在地

静岡県三島市文教町一丁目9番11号

③ 代表者の役職・氏名

代表取締役社長 藤井 孝昭

④ 事業内容

通信教育事業、首都圏及び関西圏での教室事業、出版事業、模擬試験の運営

⑤ 資本金

100 百万円(2022 年3月 31 日現在)

 

 

(2)連結子会社に対する債権放棄

当社は、2023年9月29日の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社教育測定研究所に対する債権の一部を放棄することを決議しました。

 

1.債権放棄の理由

当該子会社はソフトウエア開発・販売をしており、当期の経常損失、特別損失等により、当該子会社の財務状況は第3四半期末において債務超過となっております。当社といたしましては、同社の債務超過を早期に解消し、財務体質の改善を図るため、同社への債権を株式化並びに放棄することといたしました。

 

2.当該子会社の概要

(1)名称

株式会社教育測定研究所

(2)所在地

東京都渋谷区道玄坂1-21-1

(3)代表者の役職・氏名

代表取締役 西田 紀子

(4)事業内容

ソフトウエア開発・販売

(5)資本金

73百万円

(6)設立年月日

2001年10月25日

(7)純資産

△1,876百万円(2023年6月30日現在)

(8)総資産

2,285百万円(2023年6月30日現在)

(9)大株主及び持株比率

当社 100%

(10)上場会社と当該会社との間の関係

資本関係

当社の連結子会社に該当いたします。

人的関係

当社の取締役が、当該会社の取締役を兼務しております。

取引関係

・当社が事務所の一部を賃貸しております。

・当社が資金の貸付を実施しております。

・当社に経営管理を委託しております。

関連当事者への該当状況

当社の連結子会社であり、関連当事者に該当いたします。

 

3.債権放棄の内容

債権の内容

貸付金

債権の金額

2,500百万円

実施日

2023年9月30日

 

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。