第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、当社の経営理念・社是である「おいしさと健康を愛する魅力あるスタミナ食品をもって世界に貢献する。我々は真のやりがいを感じ、企業の成長・発展とともに生活・文化の向上を図る」を基本とし、世界の人々が幸せになるように食肉原料製品と加工食肉の製造及び食肉の販売という食肉事業を主領域に定め、企業の存在価値を高め世界に貢献できる企業集団を目指して、グローバルな事業展開を行っております。
 「おいしさと健康を愛する魅力あるスタミナ食品」とは、製品・商品の開発と販売を通して品質、安全性、機能性、栄養価、価格及び食事に求める楽しさや充実感など、お客様の要望にお応えできる魅力ある製品・商品とサービスを創造し提供することであります。引き続き「社是」及び五愛の精神(5つの愛:お客様を愛する。商品を愛する。会社を愛する。社員を愛する。株主を愛する。)に基づく「社訓」ならびに企業管理と法令順守(コンプライアンス)を含めたあるべき行動規範である「エスフーズ行動憲章」の下、内部統制の一層の充実を図ることにより、信頼と企業価値を高め「バラエティーミート世界一、食肉日本一」という経営ビジョンの達成を目指してまいります。

(2)目標とする経営指標

  当社グループは、連結売上高5,000億円、経常利益200億円の早期達成を目指しております。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、上記の経営の基本方針に沿って食肉の総合企業集団を目指しており、食肉を中心とした食品の安定的な供給体制の確立に引き続き取り組んでまいります。具体的には、食肉の生産、調達、加工、流通、及び最終消費者向け販売・サービスという食肉流通の川上領域から川下領域まで一貫したグループ内食肉サプライチェーンの構築を進めます。更に、国内に留まらず海外における食肉流通機能も拡充することにより、社会情勢の変動への対応力を高めてまいります。

(4)経営環境及び会社の対処すべき課題

 コロナ禍の終焉とともに日本経済も回復基調に乗り、日経平均株価も順調に上がりつつあります。ただ、世界経済の中の日本の立ち位置を考えると、日本企業の競争力の低下や長引く円安による輸入コスト高など不安要因は多くあります。

 このような状況下、当社グループとしては、長年構築してきた食肉関連事業の垂直統合の利点を最大限に生かして、食品の安定供給に努めると共に、確固とした経営地盤の構築に取り組んでまいります。

 食肉等の製造・卸売事業においては、国際的な食品原料調達競争の激化を見越し、国内外の食肉調達能力の強化を図ります。特に海外では、積極的な投資をしていきます。国内においては、川上事業との連携を深め、安定的な原料供給網を築いていきます。

 製品事業については、当社が優位性を持つバラエティーミートや国産牛を原料として使用した製品の開発・販促に取り組みます。また、若い世代をターゲットとしてSNSなどを利用した宣伝活動に、より力を入れていきます。

 食肉等の小売事業においては、引き続き既存店活性化や、不採算店閉鎖を継続しつつ、新規ディベロッパーへの出店や、新業態店舗への取り組みを進めてまいります。出店に関しましても、立地条件、契約条件、競合、収益性を精査しながら総合的かつ慎重に検討を行い、周辺領域への新規展開も行うことで収益の多様化を図ってまいります。

 食肉等の外食事業においては、需要の高まりも見込まれながら、従来からの着実な採算重視の経営を維持しつつ、ステーキレストラン事業及び焼肉・しゃぶしゃぶチェーン事業の競争力を持たせながら着実に運営するとともに新店の開発にも注力する計画です。

 経営品質の向上については、重要なステークホルダーへの着実な還元を進めていきます。株主への配当につきましては、当社は連結の株主資本配当率2.5%を目途に、安定的な利益還元を目指していきます。また、従業員の満足度を高めるため、本年より健康経営推進室を創設し、会社の成長の原動力である従業員の働きやすい環境の整備に努めていきます。

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社が判断したものであります。

また、連結グループの主要な事業を営む会社において、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社では行われていないことから、提出会社単体の記載としております。

 

(1)ガバナンス

当社では、中長期的な企業価値向上のためサステナビリティを巡る課題への対応を最重要課題と位置付け、サステナビリティ委員会を設置しております。

サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する「基本方針」及び「マテリアリティ(重要課題)」を策定しました。

 

基本方針

エスフーズグループは、「おいしさと健康を愛する魅力あるスタミナ食品をもって世界に貢献する」ことを経営理念(社是)に掲げ、事業活動を行ってまいりました。環境・社会・経済の様々な課題解決と事業活動を連動させ、当社グループの持続的な成長・発展とともに持続可能な社会の実現に貢献してまいります。その実現に向けて「5つのマテリアリティ(重要課題)」を優先的に取り組んでまいります。

 

  マテリアリティ(重要課題)

●おいしさと健康を愛する魅力ある食品の安定調達・供給

●地球環境への配慮

●従業員が明るく、元気に、楽しく働くための環境づくり

●地域社会への貢献

●コーポレート・ガバナンスの強化

  これらの取り組みについて、その進捗等は、取締役会へ報告することとしております。

 

(2)戦略

  マテリアリティ(重要課題)に関する戦略は次のとおりです。

  ●おいしさと健康を愛する魅力ある食品の安定調達・供給

    〇安全・安心な食品の提供

    〇栄養と機能性に優れた健康に役立つ食品の提供

    〇持続可能な畜産業界への貢献

    〇人権を尊重した調達の推進

    〇アニマルウェルフェアへの対応

  ●地球環境への配慮

    〇温室効果ガス排出量の削減

    〇エネルギー・用水使用量の削減

    〇廃棄物排出量の削減

    〇生物多様性の保全

    〇環境配慮型資材の使用

  ●従業員が明るく、元気に、楽しく働くための環境づくり

    〇人材開発・育成

    〇多様な働き方の尊重、個人と人権の尊重

    〇ワークライフバランスの推進

    〇労働安全衛生、健康管理

  ●地域社会への貢献

    〇地域イベント協力

  ●コーポレート・ガバナンスの強化

    〇ステークホルダーへの積極的かつ公正な企業情報の開示

    〇ステークホルダーと緊密なコミュニケーションを図る

 

(3)リスク管理

サステナビリティ委員会は、当社を取り巻くマテリアリティ(重要課題)に係るリスクや機会について協議し、取締役会へ報告します。これを受けて、取締役会はリスク懸念事象について審議し、当社の対応方針や実行計画等を決定していきます。

 尚、決定された事項については、サステナビリティ委員会で具体的な行動に落とし込んでいきます。

(4)指標及び目標

上記マテリアリティ(重要課題)に関する指標及び目標については、サステナビリティ委員会にて継続して検討しております。

 

(人的資本への対応)

当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境に関する方針は、以下のとおりであります。

 

人材の育成方針

当社は、経営理念である「おいしさと健康を愛する魅力あるスタミナ食品をもって世界に貢献する」を実現するために、有能な人材の獲得と個々の社員の更なる能力向上を図っていくことが欠かせないと考えます。特に自分自身を成長させると共に、周囲を巻き込むことのできる行動力を有する人材の育成に取り組んでいます。

具体的には、役職位や入社年次等の階層に応じて、それぞれに求められるスキルや役割意識、最近の押さえるべきトレンド等の理解を深める「階層別研修」と、次の幹部候補を発掘・育成するための「選抜型研修」を基軸研修と位置づけて実施しています。

これらの教育研修を通して、個々の社員が働くことにやり甲斐と満足感を持ち、「明るく、元気に、楽しく」働ける職場づくりを推進しています。

 

主な階層別研修

主な選抜型研修

部課長研修

新任営業所長・新任課長研修

係長研修

新任主任研修

入社年次研修

(2年目・3年目・4年目)

新入社員研修

次世代リーダー育成研修

チャレンジ研修

 

 

社内環境整備方針

当社は、人種、国籍、性別、障がい等の有無にかかわらず、多様な人材がそれぞれの個性を生かし、能力を十分に発揮できるように働きやすい職場環境の整備に取り組んでいるとともに、優秀な人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できるキャリア採用も積極的に行っております。

 

  指標及び目標

人的資本への対応について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標は定めておりませんが、実績は次のとおりであります。

   当社では女性活躍推進法に基づき労働者の男女の賃金の差異を算出しております。

今後に向けては、評価の成果重視は堅持しつつも、女性の係長職や主任職を育成していくことで、将来の女性管理職の増加につなげてまいります。

 

  <指標>                                  (単位:%)

管理職に占める女性労働者の割合

男性労働者の育児休業取得率

労働者の男女の賃金の差異

全労働者

正規労働者

非正規労働者

0.6

26.0

62.1

67.1

70.2

 

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載しております事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として以下のようなものが考えられます。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況・消費動向等

 当社グループは、日本及び米国において食肉・食肉加工品等の食品の製造・販売を主な事業としております。これらの市場は、経済状況や人口及び消費者の価値観の変化などによって市場規模・販売価格の変動或いは企業間競争の激化を招くことにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)法的規制

 当社グループは、食肉原材料及び商品の多くを海外の生産国から調達していることから、通商・関税等の規制の適用を受け、一方国内では食の安全・品質の保証に関する法規をはじめ種々の法的規制を受けており、これらの規制の改変・新設などを受けて新たな設備投資や改善コストの増大または事業活動の制限等が生じることにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)市況及び為替の変動

 当社グループは、国内外から食肉原材料及び商品を調達しております。BSE・口蹄疫・鳥インフルエンザ等の疾病問題やセーフガード(緊急輸入制限措置)あるいは豚肉差額関税などの輸入制度が及ぼす調達数量或いは消費動向への影響、また気候要因による飼料用穀物の作柄及び家畜生産・飼育数量への影響などによって市況は変化し、調達及び販売価格の騰落につながることが考えられます。更に為替相場の変動は、輸入コストの増減要因となります。この他、石油をはじめ、海外依存度の高い資源の市況の変動も輸入コストの増減要因となります。これらの市況変動は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4)国際的活動

 当社グループの生産及び販売活動の一部は米国で、また食肉原材料・商品の調達は北米・豪州から中国・中南米へと広がりを見せております。これらの海外市場での事業活動及び調達に関しては、事業活動の環境を構成する各国の政治経済並びに社会情勢・法的規制・通商関係及び気候ほか自然条件などに予測不能の問題が生じ、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5)安全保証

 当社グループは、法令の定める或いは世界的に認められる安全・品質管理基準に従って、お客様に安心していただける安全な製品づくりに努めておりますが、将来、不測の事態によって製品の回収や製造物責任賠償問題が発生した場合には、問題収拾のためのコストの発生や信頼の低下を招き、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

 当連結会計年度における日本経済は、輸出関連を中心に企業業績は好調に推移し、全般的に回復基調にありました。ただ、消費者の景況感は、賃金も上昇の途に就いたものの、消費者物価の上昇率に追いついておらず、いまだ、低調なまま推移しております。当食肉業界においては、原材料や物流のコスト高騰による収益性悪化に対して、消費者の節約志向のため、商品価格転嫁が進まず、苦しい状況におかれ続けております。

 このような状況のもと、当社グループは、「魅力あるスタミナ食品をもって世界に貢献する」、「企業の成長発展とともに、生活・文化の向上を図る」という社是に基づき、お客様に安全安心な食肉商品を安定的にお届けすることを優先課題として、事業の継続と発展に努めました。

 食肉等の製造・卸売事業においては、成長を続ける世界と少子高齢化が進む日本との経済バランスの変化に対応した当社独自の事業戦略の構築に努めました。米国では、米国産高級牛肉の調達力の向上を目指したオーロラビーフの新工場建設プロジェクトを進めており、来年には稼働開始の予定となっております。北海道では、国産豚肉の増頭プロジェクトが昨年完了し、北海道産という地の利を生かした販売強化と輸出促進に努めております。国産牛肉事業につきましては、着実に取扱数量の増加と和牛の輸出量拡大に努めました。製品事業においては、本年度新たに「こてっちゃんFamily」というブランドを立ち上げ、メインブランドの「こてっちゃん」に加えて、バラエティ豊かなホルモン商材を使った食肉製品の展開を始めました。また、冷凍食品など、今まで取り組めていなかった分野への挑戦にも積極的に取り組んでおります。 

 食肉等の小売事業においては、新規ディベロッパーとの取組みを含めた出店や改装店の立ち上げの他、新業態店舗モデルの開発及び推進を図っております。また既存店の活性化を図るためのイベント型提案販売やレイアウトの再構築等を実施してまいりました。

 食肉等の外食事業においては、行動制限の緩和により回復基調がみられ、インバウンドや大型のパーティー需要も寄与し、原材料費やエネルギー価格の上昇を受けながら、メニュー改定を実施するなどの施策を行ってまいりました。今後も競争力向上のための施策を実施してまいります。

 以上の結果、売上高は4,250億1千1百万円前連結会計年度比6.5%増)、営業利益は126億7千3百万円前連結会計年度比13.0%減)、経常利益は143億9千万円前連結会計年度比9.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億7千3百万円前連結会計年度比14.2%減)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

a 食肉等の製造・卸売事業

売上高は3,926億8千万円前連結会計年度比6.9%増)、セグメント利益は116億1千6百万円前連結会計年度比15.5%減)となりました。

b 食肉等の小売事業

売上高は240億3千1百万円前連結会計年度比3.1%減)、セグメント利益は16億2千2百万円前連結会計年度比2.1%増)となりました。

c 食肉等の外食事業

売上高は75億2千8百万円前連結会計年度比19.6%増)、セグメント利益5億4千4百万円前連結会計年度比235.0%増)となりました。

d その他

売上高は7億7千万円前連結会計年度比9.8%減)、セグメント利益は5千3百万円前連結会計年度比0.4%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(総資産)

当連結会計年度末における総資産の残高は、2,242億4千万円前連結会計年度末比194億6千2百万円、9.5%増)となりました。

 主な増減内容は、流動資産が83億1千1百万円増加し、固定資産が111億5千1百万円増加となっております。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,361億1千4百万円前連結会計年度末比83億1千1百万円、6.5%増)となりました。主に現金及び預金が29億9千5百万円及び売上高の増加に伴う売上債権が50億3百万円、棚卸資産が57億5千8百万円増加したことによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、881億2千5百万円前連結会計年度末比111億5千1百万円、14.5%増)となりました。主に有形固定資産が72億8千5百万円増加したことによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、548億8千1百万円前連結会計年度末比△6億9千万円、1.2%減)となりました。主に買掛金が11億6千万円及び短期借入金が44億8百万円減少した一方で、1年以内返済予定の長期借入金が35億2百万円増加したことによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、427億8千2百万円前連結会計年度末比108億8千2百万円、34.1%増)となりました。主に長期借入金が85億4千4百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、1,265億7千6百万円前連結会計年度末比92億7千万円、7.9%増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益90億7千3百万円の増加、その他有価証券評価差額金が18億2千3百万円及び為替換算調整勘定が15億6千8百万円増加した一方で、剰余金の配当が25億6千1百万円の減少したことによるものであります。
 以上の資産、負債及び純資産の増減の結果、自己資本比率は53.0%となり、前連結会計年度末比0.8ポイント低下しました。

 

 ③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度より29億9千5百万円増加して495億9千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、89億5千2百万円の収入(前連結会計年度は137億7百万円の収入)で、主な増加要因として税金等調整前当期純利益148億6千2百万円、減価償却費48億円及び固定資産圧縮損15億8千3百万円であります。一方、主な減少要因は売上債権の増加額45億3千6百万円、補助金収入15億8千4百万円及び法人税等の支払額50億4千6百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、144億6千5百万円の支出(前連結会計年度は131億6千7百万円の支出)で、支出の主なものは有形固定資産の取得による支出127億4千8百万円及び連結の範囲の変更を伴う関係会社株式の売却による支出31億2千万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、73億3千5百万円の収入(前連結会計年度は31億3千9百万円の収入)で、収入の主なものは長期借入金による収入206億円であります。一方、支出の主なものは短期借入金の純減少額39億6千5百万円、長期借入金の返済による支出65億2百万円及び配当金の支払額25億5千9百万円であります。

なお、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。

 

 

2022年2月

2023年2月

2024年2月

自己資本比率

54.7

53.8

53.0

時価ベースの自己資本比率

57.6

43.0

44.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

525.9

330.3

589.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ

28.3

51.3

31.7

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。

 

 ④生産、受注及び販売の状況

  a 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産数量(トン)

前年同期比(%)

食肉等の製造・卸売事業

93,881

△16.9

その他

△100.0

合計

93,881

△17.5

 

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.牛肉及び豚肉の枝肉を部位別に分割する加工は、生産実績に含めておりません。

 

  b 受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりません。

 

  c 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

食肉等の製造・卸売事業

392,680

+6.9

食肉等の小売事業

24,031

△3.1

食肉等の外食事業

7,528

+19.6

その他

770

△9.8

合計

425,011

+6.5

 

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  a 経営成績

(売上高)

当連結会計年度は、食肉の生産から小売・外食までの食肉に関わる事業を一貫して取り組む垂直統合を推進することで、経営体質の強化と安定的な成長を目指しました。「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記述の諸施策を実施いたしております。

食肉等の製造・卸売事業においては、成長を続ける世界と少子高齢化が進む日本と経済バランスの変化に対応した当社独自の事業戦略の構築に努めました。国産豚肉事業においては、北海道産という地の利を生かした販売強化と輸出促進に努め、国産牛肉事業においては、着実に取扱数量の増加と和牛の輸出量拡大に努めました。製品事業においては、本年度新たに「こてっちゃんFamily」というブランドを立ち上げ、バラエティ豊かなホルモン商材を使った食肉製品の展開を始めました。また、冷凍食品など、今まで取組めていなかった分野への挑戦にも積極的に取り組んでおります。食肉等の小売事業においては、新規ディベロッパーとの取組みを含めた出店や改装店の立ち上げの他、新業態店舗モデルの開発及び推進を図っております。また既存店の活性化を図るためのイベント型提案販売やレイアウトの再構築等を実施してまいりました。食肉等の外食事業においては、行動制限の緩和により回復基調がみられ、インバウンドや大型のパーティー需要も寄与し、原材料費やエネルギー価格の上昇を受けながら、メニュー改定を実施するなどの施策を行ってまいりました。

以上の結果、売上高は4,250億1千1百万円となり、前連結会計年度比258億2百万円6.5%増収となりました。

(損益状況)

売上原価は、3,731億3千4百万円(前連結会計年度比7.6%増)となりました。売上原価率は、0.9ポイント上昇し、87.8%となりました。

売上総利益は、売上高の増加などにより518億7千6百万円(前連結会計年度比1.2%減)となりました。

販売費及び一般管理費は、392億3百万円(前連結会計年度比3.4%増)となりました。

営業利益は、以上の要因により126億7千3百万円(前連結会計年度比13.0%減)となりました。

営業外損益は、前連結会計年度の12億6千9百万円(純額)の利益から17億1千7百万円(純額)の利益となりました。

 特別損益は、前連結会計年度の6億5千8百万円(純額)の利益から4億7千2百万円(純額)の利益となりました。主に関係会社株式売却益が11億8千4百万円増加し、減損損失が3億4千2百万円増加したことによるものです。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は90億7千3百万円(前連結会計年度比14.2%減)となり、また1株当たり当期純利益は286.85円(前連結会計年度334.30円)となりました。

 

  b 財政状態

財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。

 

  c キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

  d 経営成績に重要な影響を与える要因について

わが国における少子高齢化による食肉の需要規模の縮小や、食品の安全性に対する強い関心、また国際的な食料需給の安定問題など経営環境は厳しい状況が見込まれます。このような厳しい環境下において、円安や資源高による商品市況の変動や需要の減退により販売競争が激化し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

  e 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な運転資金需要は、原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、営業所、工場の生産設備等であります。

当社グループは、これらの資金需要に対する運転資金は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

 

  f 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。

 

(繰延税金資産)
  当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 

 

(固定資産の減損)
  当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

  g 戦略的現状と見通し

当社グループは総合食肉企業グループとして食肉流通の川上から川下までの一貫した供給体制を築き、消費者に健康的で栄養価の高い食品を質・量・価格共に安定的にお届けすることで、食生活の向上と食文化の普及に貢献しております。経営戦略としましては、グループ経営の強化と効率化を図るとともに、新たな事業領域に挑戦することにより、グループをさらに活性化してまいります。

 

  h 経営者の問題認識と今後の方針について

食品に対する安全と安心のニーズの更なる高まりへの適応、また企業の公明正大な活動と社会的責任の遂行とともに企業価値の増大を図ることにより株主をはじめ利害関係者との共存共栄を実現する経営を心掛けてまいります。

また、21世紀を勝ち抜く「強い会社」の実現のため、「コーポレート・ガバナンスの充実」と「スピーディな意思決定と業務執行」に重点をおき、法令順守の管理体制の充実・強化に努め、透明度と信頼度の高い経営システムを構築してまいります。

今後は、人類にとって貴重で大切な動物性タンパク質である国内外の牛・豚・鶏等の安全な食品を真心込めて取り扱う総合食肉企業として、「バラエティーミート世界一、食肉日本一」を目指し、食肉文化の国内外への一層の普及に努めてまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は「食肉等の製造・卸売事業」において行っており、内臓肉などの畜産副生物及び食肉資源を有効活用し、付加価値の高い製品を製造・販売することで、広く食文化を通した健康への貢献を目的としております。

今期は年間を通じての主力製品である「こてっちゃん」および秋冬シーズンの主力製品である「こてっちゃん牛もつ鍋シリーズ」を中心に、品質向上のためのリニューアルを実施いたしました。

また今期新たに立ち上げた「こてっちゃんFamily」ブランド製品など、物販向け製品の開発およびリニューアルを行い、ブランドの強化を行いました。

前期よりスタートした冷凍食品売り場への販売強化として、今期も引き続き新製品の発売と既存製品のリニューアルを行い、ラインアップの強化を実施しました。59期も引き続き、冷凍食品分野に向けた新製品の開発と拡販を進めてまいります。

グループ内協業としては株式会社フードリエ向けに簡便調理品を中心とした新製品の開発及びリニューアルにより拡販を実施しました。

また、昨今の原材料・副資材の高騰を受けた原価・コストアップの吸収のため、製品設計・工程の改善と効率化等に努めてまいりました。59期も引き続きこれらの改善を進めてまいります。

今後も基幹製品である「こてっちゃん」シリーズの品質向上と新製品の開発を始め、物販向けとして精肉・日配・冷凍食品など様々な売り場に対応した新製品の開発、PB製品を中心としたコンビニエンスストア、ドラッグストア向け製品の開発、中食・外食向けの業務用製品の開発を進め、シェア拡大を図るとともに、食肉資源を有効活用した付加価値の高い製品開発をするなど、社会貢献につながる研究開発活動を進めてまいります。

 なお、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は345百万円であります。