第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

デジタル社会は、さらに拡大と進化を続け、私たちの社会や生活においてDX(デジタルトランスフォーメーション)化やIoT化が加速するものと思われます。

また、デジタル社会において、AI、クラウドなどのICT技術も飛躍的に進歩し、ソフトウエアなどの製品やシステムは所有から利用へ消費スタイルも変化し、デジタルビジネスのサービス化も進むものと思われます。

こうした変化において、当社グループは、これまでの受託開発を主体としたビジネスモデルから、ビジネスDXやIoTを主体としたソリューションやサービスにビジネスモデルをシフトさせていきます。

当社グループは創業以来、製造業の「ものづくり」のエンジニアリング技術をソフトウエア開発の分野に応用し生産性を向上させ、開発するソフトウエアの品質を高めてきました。

IoT事業において、こうした製造業の「ものづくり」で培った技術、ソリューションやサービスの開発、提案力を製造業以外の分野に展開する「ソーシャルIoT(工場から社会へ)」に取り組み、デジタル社会をリードするITパートナーを目指していきます。

また、当社グループはSDGsが最重点課題の一つであることを認識し、SDGsを意識した企業活動と製品やサービスの提供を行うことにより、社会的責任を果たしていきます。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、営業利益及び営業利益率であります。当社グループは、経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保するため、第46期(2023年2月期)を初年度とする中期経営計画において、第48期(2025年2月期)には売上高180億円、営業利益15億円とする目標を、売上高200億円、営業利益16億円に変更し、3年間で売上高を約30%増加させるとともに、営業利益率は8.0%を達成することを目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、中期経営計画(2022-2024)を策定し、変革と挑戦により、お客様に感動を与える画期的なソリューションを提供し、「お客様に選ばれるNo.1企業」を実現してまいります。

なお、中期経営計画の基本方針は以下のとおりです。

 

方針1.世界水準のビジネスDX推進力による顧客ニーズの獲得拡大

・ 経験と実績を活かしたビジネスDXの展開と拡大

・ 強い信頼構築による顧客エンゲージメントの深化

・ 事業成長に向けたDX人材の育成と配置の最適化  

 

方針2.社会をリードするAI・IoT製品による事業規模・領域の拡大

・ 中核事業へと成長する売上拡大・展開の仕組み構築

・ 期待に応えるプライムベンダーとしての地位獲得

・ 持続的成長につながるAI・IoTビジネスモデルの確立と定着

 

方針3.顧客に感動を与えるサービス提供によるストック率の拡大

・ DXとIoT事業の基盤となるサービス化の促進

・ AQUAを起点とするカスタマーディライトの創出

・ AI・IoTの活用領域を拡げるサービスビジネスの創造と拡大

 

 

方針4.社員と会社の挑戦と成長によるサステナビリティ経営の実現

・ 変革をリードする戦略的人材の育成

・ 挑戦と成長を応援する働きがいのある会社の実現

・ 競争優位性を確立するDX Next Stageのステップアップ

 

(4) 2022-2024中期経営計画「お客様に選ばれるNo.1企業へ」の遂行状況

2023年度は、当社グループは、中期経営計画「お客様に選ばれるNo.1企業へ」の2年目として、更なる挑戦によって事業成長を加速し、大きな飛躍を目指して取り組んでまいりました。

ビジネスソリューション事業では、ERP分野の大規模プロジェクトにおいて開発量やコンサルティング対応等の増加により好調を牽引、事業拡大に大きく寄与してまいりました。また、今まで培ってきたビジネスDX推進の経験やノウハウを活かし、さらに戦略的パートナーとの協業によりビジネスDXの推進・支援を促進し、事業拡大を図ってまいりました。

IoTソリューション事業では、「2024年問題」の対応などで省力化ニーズの高まる物流DX分野において、当社の倉庫自動化システム「MMLogiStation」の受注拡大、当社AIソリューションの物流DX市場への展開推進、2024年1月に物流DXの運用サービス拠点として物流DXサービスセンターをSmart Service AQUA内に開設するなど、受注獲得の加速およびサービスの拡充等に取り組んでまいりました。また、畜産DX分野では当社の飼料タンク残量管理ソリューション「Milfee」を畜産が盛んな重点地域へ営業攻勢をかけるとともに、政府の飼料流通合理化支援策に応じた新サービスの開発を推進してまいりました。さらに、スマートシティ分野では、プロモーションの強化により案件獲得を進め、合弁会社「マチディア株式会社」を2023年8月に設立するなど、事業の拡大に取り組んでまいりました。

また、サービスビジネスにおいては、ITカスタマサービスセンター「Smart Service AQUA」を起点としたビジネスDX運用やAI・IoTの新サービスモデルの創出による新規案件獲得、サブスクサービスの導入促進等によってストック率向上を図ってまいりました。

その結果、売上高は計画190億円に対し195億円、営業利益は計画13.5億円に対し14.8億円とともに計画を達成いたしました。

なお、各基本方針の遂行状況は以下のとおりです。

 

方針1 世界水準のビジネスDX推進力による顧客ニーズの獲得拡大

安川電機が取り組むDXプロジェクト(YDX)のプライム経験によりDX推進の経験・ノウハウ蓄積を継続しました。

・アビームコンサルティングや富士通とビジネスDX分野での戦略的協業を推進しました。

・DX人材の継続的な育成に取り組みました。

・健康保険者向けシステムのプロジェクト管理徹底による品質確保と保守案件受注獲得への対応を実施しました。

 

方針2 社会をリードするAI・IoT製品による事業規模・領域の拡大

・MMLogiStation(倉庫実行システム)は、カインズ桑名物流センターでの実績により、自動化の進む大規模倉庫などでの需要など引き続き受注が拡大しました。

・AIサービスのMMEye(画像判定サービス)、MMPredict(故障予知サービス)は、物流市場へ展開を推進しました。

・Milfee(飼料タンク残量管理システム)は、「飼料流通合理化支援」を目的とした新サービス開発に取り組みました。

・NetSHAKER(学校ネットワークアクセス管理装置)は、デジタル教科書キャッシュ機能の受注を獲得し、大手のデジタル教科書配信クラウド会社(出版会社)とも協業しました。

 

 

方針3 顧客に感動を与えるサービス提供によるストック率の拡大

・ビジネスDXサービスに取り組みとともに、健康保険者向けシステムの運用保守をサービス部門に移管し、事業連携サービスを強化しました。

・AI・IoT事業のサブスク運用に向けたトライアルを実施するとともに、物流DXサービス拠点として物流DXサービスセンターを開設しました。

 

方針4 社員と会社の挑戦と成長によるサステナビリティ経営の実現

・中長期的な原動力となる若手社員の育成を継続的に実施し、成長スピードアップを図りました。

・働きがいや働きやすさなど従業員のエンゲージメント向上に取り組み、チャレンジを応援する制度を新設しました。

・継続的な社内DXの推進による業務改革を実施し、プロジェクト管理システム活用、タレントマネジメントの導入に取り組みました。

 

(5) 対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、好調な企業収益を起点に、設備投資の増加、雇用・所得環境の改善が進み、景気は緩やかな回復が続くと思われますが、地政学リスクや中国経済の停滞懸念等による海外経済の減速、金融資本市場の変動等の影響など、景気の先行きは不透明な状況が続くことが予想されます。

そうした中、当社グループが属する情報サービス業界では、DX化やIoT化に加え、生成AIの発展、既存の基幹システムの老朽化等によるシステム刷新、人手不足・コスト削減、利便性向上に向けたシステムのクラウド化等のニーズが牽引する形で高水準の企業収益を支えに、企業のデジタル関連投資は増加傾向が続くと思われます。

このような環境において、当社グループは、中期経営計画(2022-2024)の最終年として、過去最高収益の更新を目標に掲げ、次期中期経営計画に向けて事業の安定収穫(Reap)と拡大(Expand)の堅実な礎を築き、高成長軌道を描く起点となるべく事業構造のシフトチェンジと事業資本への投資に積極的に取り組んでまいります。

具体的には、ビジネスソリューション事業において、規模プロジェクトの確実な完遂とERP領域における戦略的パートナーとの連携強化、ビッグデータを活用した新たなビジネス展開の促進等によって事業拡大を図ってまいります。

IoTソリューション事業において、投資意欲の旺盛な物流DX分野は新ソリューション「Analyst-DWC」をリリースし、当社AIソリューションの物流DX分野での市場展開を進め、畜産DX分野においては、政府の飼料流通合理化支援に対応する新サービスのリリース等による受注拡大、スマートシティ分野は注力顧客への深耕開拓の強化等により事業展開の加速を図ってまいります。

また、サービスビジネスにおいて、ITカスタマサービスセンター「Smart Service AQUA」を活用し、サービス提供体制の強化、サービスのサブスク化促進により、ストック率を向上させ、安定的かつ高収益ビジネスを追求してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

当社は、「高い技術力とお客様本位の姿勢によって、ITを活用したソリューションを提供し、豊かな社会づくりに貢献するとともに、社員の幸福と永続的な企業の繁栄をめざす」ことを経営理念に掲げ、当社の技術・プロダクト・サービスにより、デジタル社会をリードし、明るい未来を創出する事業活動に取り組んでおります。

こうした未来社会を担う企業として、以下の方針に基づき、サステナビリティ経営を進めてまいります。

 

・ソリューションを通じてサステナブルな社会の実現を目指します。

・安心・安全なデジタル社会の構築・発展に貢献します。

・お客様やその先の人々の感動と幸せを追求します。

・事業の源泉である社員の働きがいと成長を応援していきます。

・中長期的かつ持続的な企業価値の向上に取り組んでいきます。

 

①ガバナンス

当社は、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ経営を推進するうえでの方針、サステナビリティ課題や課題に対する施策の検討、審議、進捗管理を行っております。

サステナビリティに関する取組み状況等は、定期的に取締役会に報告します。

サステナビリティ推進の体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及びその体制を採用する理由」に記載の図をご参照ください。

 

②戦略

当社グループは、サステナビリティに関するリスク・機会のうち、特に当社グループにとって重要なものをマテリアリティとして特定し、経営や事業戦略に組み込んでいきます。なお、当社の考えるサステナビリティの重要課題と取組みは以下のとおりです。

 

ⅰ)当社が事業活動を通じて提供する社会価値の創造

  ・当社のソリューションに対するお客様満足度の向上

リスクと機会:お客様満足の向上による当社ソリューションの差別化を実現。

取組み:お客様満足度(CS)アンケートを行い、お客様の声をビジネスに反映させる。

  ・当社のプロダクト・サービスによる社会課題の解決

リスクと機会:社会課題を解決するプロダクト・サービスの開発。

取組み:労働者不足や高齢化、環境問題に対処したプロダクト・サービス(MMLogiStation、Milfee など)を開発し、市場投入する。

  ・当社のプロダクト・サービスの品質・安全性の確保

リスクと機会:品質・安全性の高いプロダクト・サービスの提供で顧客の信頼を確保する。

取組み:世界標準準拠のプロジェクト管理ツールを使用して、品質・プロジェクトの管理を行う。

 

ⅱ)当社の事業活動を支える価値創造基盤の強化

  ・人材・働きがいの成長・向上

リスクと機会:人材・働きがいの成長・向上を促し、会社・事業の成長につなげる。

取組み:エンゲージメント(人材育成やオフィス環境整備など)向上の取組みを行っている。

 

  ・社会価値を創出するイノベーションとソリューション

リスクと機会:社会のニーズやシーズを発掘する力やそれに応える開発力、想像力が競争力になる。

取組み:PBR(Product Business Review)による市場の掘り起こしや開発投資審議会によるプロダクト・サービスのビジネスプランを企画する。

  ・個人情報保護と情報セキュリティ確保

リスクと機会:個人情報保護や情報セキュリティの事故は、IT企業にとって事業への影響の大きな社会問題である。

取組み:社内においてセキュリティ対策やセキュリティ教育を行い、情報漏洩などの事故を未然に防止する活動を行っている。

 

ⅲ)当社の企業活動を支える経営基盤の強化

  ・コーポレートガバナンス体制の整備と運用の強化

リスクと機会:コーポレートガバナンスを適切に行うことで、企業価値の向上と持続的成長を図る。

取組み:内部統制システムの整備や コーポレートガバナンス・コードへの対応に努め、コーポレートガバナンスの強化に取組んでいる。

  ・リスクマネジメントの体制の整備と運用の強化

リスクと機会:リスクマネジメント体制の不備は企業やステークホルダーへ多大な損害となる。

取組み:重要なリスクに対して、事務局を設置し、規程等の整備や危機管理体制を構築し、リスクマネジメントに取り組んでいる。

  ・ステークホルダーとの対話

リスクと機会:ステークホルダーと継続してコミュニケーションを図り、相互信頼を高める。

取組み:IR活動の強化(投資家説明や1on1ミーティングの開催、IRサイトの強化)により、投資家や株主とのコミュニケーション強化に取り組む。

 

③リスク管理

当社グループは、サステナビリティ推進委員会において、サステナビリティに関するリスク・機会を共有するとともに、特に重要課題への施策と目標を検討し、サステナビリティに関する取り組みを進めてまいります。

また、事業活動におけるリスクについては、それぞれの対応部署(事務局)が抑止対策等を講じ、全社へ展開をするとともに、重大な損害を与えるおそれのある場合は速やかに代表取締役社長および経営会議へ報告をし、対策を講じます。

さらに、大規模な事故、災害、不祥事等が発生した場合は、代表取締役社長を対策本部長とし、本部長と必要な人員で構成される危機管理対策本部を設置するなど危機対応のための組織を整備します。

 

(2)人材の育成及び社内環境整備に関する方針

当社グループは、IT企業として、現在から将来への「ニーズに応えることのできる人材と能力」を確保するとともに、「社員全員が働きがいを持って仕事と役割を遂行」できる会社経営の実現に取り組んでおります。

人材・働き方への投資により、人材・働きがいの成長・向上を促し、会社・事業の成長につなげることにより、当社の持続的成長を目指してまいります。

 

①方針

人材育成方針

当社は、変革をリードする戦略的人材の育成に取り組み、社員の挑戦と成長を応援します。

具体的には、若手のチャレンジ機会の創出、女性の管理職登用の推進、海外研修に取り組んでおります。

 

社内環境整備方針

当社は、従業員が働きがいのある社内環境を整備し、「社員が幸福な会社」を実現します。

具体的には、オフィス環境・ツールの整備、エンゲージメントサーベイによる社員の意見反映 、メンタルコーチ常駐によるメンタルサポートに取り組んでおります。

 


 

②指標及び目標

当社は、上記に記載した人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標および実績は、次のとおりであります。

指標

目標(2025年2月期末)

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

10%以上

7.9%

 

(注)上記は、提出会社の数値を記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。

 

(1) 特定の販売先への依存度

当社グループの販売先のうち、株式会社安川電機(当社の関係会社で2024年2月29日現在の当社の議決権保有比率38.3%)及びそのグループ会社への販売は、ソフトウエアの受託開発、計算事務、情報処理並びにシステム管理運営受託等の取引で、2024年2月期売上高の49.9%を占める状態です。

これらの事情から、同社や同社グループの経営方針、事業展開等に大幅な展開があった場合には、当社グループの事業活動や業績、財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。

同社や同社グループと今後とも既存に限らず新たな領域においても良好なパートナー関係の維持・継続に努めてまいります。

また、富士通株式会社及びそのグループ会社への販売は、当社設立時におけるベーシックソフト受託開発に始まり、その後取引内容・金額が拡大し、2024年2月期売上高の11.4%を占める状態です。

従って、同社や同社グループ会社の受注動向の変化やその他の理由により、当社グループとの取引が縮小された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

同社や同社グループ会社と今後とも既存に限らず新たな領域においても良好なパートナー関係の維持・継続に努めてまいります。

 

(2) プロジェクト管理

プロジェクトの遂行において、予期し得ない事態の発生により、個別プロジェクトの中断や遅滞、採算悪化を招き、大規模な場合は当社グループの経営成績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、システム構築やソフトウエア開発等のプロジェクト管理の重要性を認識し、従業員のプロジェクトマネジメントスキルの向上を図り、特に要求仕様確定作業の場面では顧客との要求内容の確認を繰り返し行うとともに、スケジュールの厳守に努めています。また、不採算プロジェクトの発生の予防・抑止を図るため、全社プロジェクト管理強化に努めてまいります。

 

(3) 製品・サービスの品質問題

当社グループの提供する製品・サービスにおいて、不具合(バグ)の発生やサービス不良等の品質上の問題が発生しないという保証はありません。

従って、当社グループにおいてこのような品質上の問題が発生した場合には、手直し・回収等の追加コストの発生や損害賠償等により、当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対応するため、当社グループは、製品・サービスの品質の重要性を認識し、設計・開発・生産・保守・運用の各場面において社内基準に基づいた品質管理の徹底に努めております。

 

(4) 新製品・新サービスの開発力

当社グループの新製品・新サービスは、顧客の業務、販売及び生産の改革支援や顧客の新製品への搭載等先進的な分野で起用されております。

今後も引き続き新製品・新サービスの売上が増加するものと想定しており、将来の成長は主として革新的な新製品・新サービスの開発と販売に依存すると予想しています。

しかしながら、市場の技術的な進歩や需要の変化等を十分に予測しえず、魅力ある新製品・新サービスを開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を定常的に実施し、魅力ある新製品・新サービスの開発を継続的に行っております。

 

 

(5) 個人情報・機密情報管理

当社グループは、お客様のシステムを構築するにあたり、お客様の情報資産をお預かりすることがあります。万が一、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃等の不正な外部アクセス、自然災害の発生により、これらの情報が漏洩した場合、お客様からの損害賠償請求やIT企業としての信用失墜等が当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対応するため、パソコン等の情報機器やネットワーク等の情報資産に対するセキュリティ管理の徹底を図り、情報管理に関する従業員への教育、外部委託先との機密保持契約等を行い、当社グループからの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。

 

(6) 知的財産権

当社グループが行うシステムやソフトウエアの開発においては、特許や著作権等の知的財産権の確保が事業遂行上重要な事項です。

当社グループでは、当社グループ独自の技術・ノウハウ等の保護・保全や第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っておりますが、世界各国の法的制度の違い等により知的財産権に関する問題が全く起こりえないという保証はありません。

従って、当社グループにおいて知的財産権に関する問題が発生した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは知的財産権の取得や取引先企業との知的財産権に関する契約締結など必要な措置を行っております。

 

(7) 人材に関するリスク

当社グループが属する情報サービス業界における最大の財産は「人材」であり、優秀な人材確保・育成は今後の経営基盤を維持・拡大するうえで不可欠であります。同業界は若手を中心に人材の流動化が進んでおり、計画どおりに人材を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループにおいては、優秀な人材の獲得・育成のため、積極的に新卒採用や即戦力となるキャリア採用を実施し、社員がより高度なスキルを習得できるよう、教育環境の充実、資格取得者への報奨金制度を実施しております。また、従業員の働く環境の継続的な改善や働き方改革にも積極的に取り組み、社員の満足度の向上に努めてまいります。

 

(8) 自然災害のリスク

想定外の大規模地震・津波・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、感染症の流行、その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、経済活動が制限され、主要取引先の経営状況の悪化等によりIT投資計画が変更されることなどが想定されます。その場合には、当社グループの製品やサービス提供等の事業活動に大きな支障をきたし、当社グループの経営成績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対応するため、従業員の安否確認等の災害対策マニュアルの策定や継続的な見直しを行っており、災害発生時の対応訓練も行っております。また、北九州や川崎等、拠点の分散やリモートワーク環境の整備等を行い、災害等発生時に事業が停滞することを回避する対応に努めております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、高水準の企業収益を背景に、設備投資は増加し、雇用や所得環境も改善してきており、景気は緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、地政学リスクや世界的な金融引締めに伴う影響、中国経済の停滞など、依然として先行きの不透明な状況が続きました。

そのような中、当社グループの属する情報サービス業界では、デジタル社会が急速に進展しており、多くの企業の業務で用いられている既存ITシステムの老朽化等の問題(「2025年の崖」の問題)、脱炭素社会の実現や高齢化と労働力不足といった社会的な問題などの喫緊の課題への対応が求められ、DXやIoTなどのデジタル関連投資が大幅に増加しました。

このような環境において、当社グループは中期経営計画(2022-2024)の2年目として、更なる挑戦によって事業成長を加速し、大きな飛躍を目指して取り組んでまいりました。

ビジネスソリューション事業では、ERP分野の大規模プロジェクトにおいて開発量やコンサルティング対応等の増加により好調を牽引し、事業拡大に大きく寄与してまいりました。また、今まで培ってきたビジネスDX推進の経験やノウハウを活かし、さらに戦略的パートナーとの協業による企業への本格的なビジネスDXの推進・支援を促進し、事業拡大を図ってまいりました。

IoTソリューション事業では、「2024年問題」の対応などで省力化ニーズの高まる物流DX分野において、当社の倉庫自動化システム「MMLogiStation」の受注拡大、当社AIソリューションの物流DX市場への展開推進を行い、2024年1月には物流DXの運用サービス拠点として物流DXC(物流DXサービスセンター)をSmart Service AQUA内に開設し、受注獲得の加速およびサービスの拡充等に取り組んでまいりました。また、畜産DX分野では当社の飼料タンク残量管理ソリューション「Milfee」を畜産が盛んな重点地域への営業攻勢をかけるとともに、政府の飼料流通合理化支援策に応じた新サービスの開発を推進してまいりました。さらに、スマートシティ分野では、プロモーションの強化により案件獲得を進め、合弁会社「マチディア株式会社」を2023年8月に設立するなど、事業の拡大に取り組んでまいりました。

サービスビジネスにおいては、ITカスタマサービスセンター「Smart Service AQUA」を起点としたビジネスDX運用やAI・IoTの新サービスモデルの創出による新規案件獲得、サブスクサービスの導入促進等によってストック率向上を図ってまいりました。

その結果、当連結会計年度の業績については、売上高は195億4百万円(前連結会計年度比20.8%増)となりました。利益面でも、営業利益14億88百万円(同63.6%増)、経常利益15億59百万円(同86.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10億92百万円(同39.4%増)と、中期経営計画(2022-2024)2年目の目標を上回り、3年目の目標水準に到達することができました。

 

事業別の概況は、以下のとおりです。

 

〔ビジネスソリューション事業〕

当事業では、ERPソリューションは当社プライムでのビジネスDX推進・構築の継続的な取組みにより引き続き好調に推移し前年度に比べ増加し、健康保険者向けシステム構築も大規模プロジェクトの遂行により増加しました。移動体通信事業者向け開発は前年度に比べ減少しました。

その結果、受注高は158億14百万円(前連結会計年度比27.0%増)となり、売上高は150億24百万円(同26.3%増)となりました。

 

〔IoTソリューション事業〕

当事業では、物流DX事業は、旺盛な需要に対するソリューション拡販により好調に推移し前年度に比べ増加し、インターネット・セキュリティ関連製品も増加しました。畜産DX、スマートシティ向けソリューションは前年度に比べ減少しました。

その結果、受注高は42億20百万円(前連結会計年度比10.8%減)となり、売上高は44億79百万円(同5.4%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1億48百万円減少し、24億86百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益15億29百万円、減価償却費2億90百万円、株式報酬費用1億13百万円等があったものの、法人税等の支払額5億61百万円、売上債権及び契約資産の増加5億65百万円、仕入債務の減少3億16百万円があったこと等により、5億45百万円(前連結会計年度比17百万円減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金の差入による支出2億23百万円、有形固定資産の取得による支出1億37百万円、無形固定資産の取得による支出1億11百万円があったこと等により、△5億4百万円(同25百万円減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1億81百万円があったこと等により、△1億91百万円(同3百万円減)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、情報サービスの総合的な提供を事業内容としており、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における実績を部門別に記載しております。

 

a. 生産実績

 

部門

当連結会計年度
(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

ビジネスソリューション事業

11,532,774

+30.1

IoTソリューション事業

2,782,201

+3.9

合計

14,314,976

+24.0

 

(注) 上記金額は製造原価で記載しております。

 

b. 受注状況

 

部門

当連結会計年度
(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日)

受注実績

受注残高

金額(千円)

前連結会計年度比
(%)

金額(千円)

前連結会計年度比
(%)

ビジネスソリューション事業

15,814,843

+27.0

4,260,149

+22.8

IoTソリューション事業

4,220,381

△10.8

2,459,171

△9.5

合計

20,035,225

+16.6

6,719,320

+8.6

 

 

 

c. 販売実績

 

部門

当連結会計年度
(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

ビジネスソリューション事業

15,024,906

+26.3

IoTソリューション事業

4,479,972

+5.4

合計

19,504,878

+20.8

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 2022年3月1日

 至 2023年2月28日)

当連結会計年度
(自 2023年3月1日

 至 2024年2月29日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社安川電機

6,454,576

40.0

8,701,067

44.6

富士通株式会社

1,978,895

12.3

2,149,335

11.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。

ビジネスソリューション事業の増加、IoTソリューション事業の増加により、当連結会計年度の売上高は195億4百万円(前連結会計年度比20.8%増)となりました。

売上原価は143億55百万円(同22.0%増)となり、売上原価率は73.6%と前連結会計年度から0.8ポイント悪化いたしました。売上高から売上原価を差し引いた売上総利益は51億49百万円(同17.4%増)となりました。

また、販売費及び一般管理費は36億60百万円(同5.3%増)となりました。

この結果、当連結会計年度は14億88百万円の営業利益(同63.6%増)となりました。

営業外収益は持分法による投資利益の発生等により73百万円(同367.3%増)となり、営業外費用は3百万円(同96.4%減)となりました。

特別損失は固定資産の減損損失により30百万円となりました。

この結果、当連結会計年度は15億59百万円の経常利益(同86.4%増)となり、税金等調整前当期純利益は15億29百万円(同24.6%増)となりました。

これに法人税等の税金、法人税等調整額と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は10億92百万円(同39.4%増)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、次のとおりです。

情報サービス業界におきましては、あらゆる分野・業種において、クラウドやビッグデータ、IoT、AI、セキュリティ等の技術を活用したサービスの提供が加速してきております。

クラウドビジネスの進展は、情報システムやソフトウエアの消費目線が所有から利用へとシフトし、公共や企業等の情報関連投資の選択やIT企業が提供するサービスに変化が現れます。
 このような動きは、情報システムの開発やITサービスの提供を行うビジネスソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。

 

また、クラウドビジネスやビッグデータ市場を支えるインフラ(情報機器やネットワーク)が重要な役割を担うことになり、情報漏洩やコンピュータウイルス等の外部からの攻撃に対してのセキュリティ技術もますます重要になってきます。このような動きは、機器間の情報伝送のための組込ソフト開発、IoT機器、ネットワーク・セキュリティ関連商品を取扱うIoTソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。

さらに、モバイル端末をはじめとする通信端末やAI技術の発達により、機器同士が人の手を介さずに相互に情報交換し、自動的に情報収集や管理・制御を行うようになってきております。このような動きは、AI技術や組込・制御システム、IoT機器を取り扱うIoTソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。

なお、このような新技術・新ビジネスの普及は、情報通信技術の高度化・大規模化・複雑化を伴い、今まで以上に品質上の問題が発生する危険性が高くなっています。このような品質上の問題が発生した場合には、当社グループの売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。その一方で、付加価値の高い新製品・新サービスの商品化やライセンス化は、当社グループの売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。

 

② 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について

当社グループは、営業活動によって獲得した現金によって、必要となる運転資金の確保と事業拡大のための設備投資を行っております。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社グループのキャッシュ・フローの状況と指標の推移は次のとおりであります。

(百万円)

 

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

営業活動によるキャッシュ・フロー

280

841

487

563

545

投資活動によるキャッシュ・フロー

△421

119

△213

△478

△504

財務活動によるキャッシュ・フロー

△111

△113

△188

△188

△191

フリー・キャッシュフロー

△140

960

273

84

41

 

 

 

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

自己資本比率 (%)

33.8

34.6

43.1

40.8

46.8

時価ベースの自己資本比率 (%)

87.6

105.2

76.4

70.4

119.9

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率 (年)

インタレスト・カバレッジ・
レシオ (倍)

36,775.0

3,176.6

 

(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー

自己資本比率:自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー÷利息の支払額

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)の研究開発活動は当社及び連結子会社にて行っており、先端技術の研究、開発のベースとなる現技術のレベルアップ、先端技術の実用化による新製品・新サービスの開発を旨としております。

研究開発テーマに関する方向づけは「経営会議」で、具体的なテーマ選定及び評価は「開発投資審議会」・「開発投資審査会」で行われ、いずれも各部門の代表者で構成されております。

研究開発作業は各テーマの申請部門が行っております。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は182,465千円(対売上高比0.9%)であり、事業部門別の研究開発活動及び主なテーマは以下のとおりであります。

 

〔IoTソリューション事業〕

物流DX向けでは、より柔軟な設定を可能にするため、倉庫自動化システム「MMLogiStation」の作業フロー制御の拡充を実施しました。 また、倉庫管理者の意思決定を支援する機能を有した「Analyst-DWC」をアビームコンサルティング株式会社と共同開発しました。

畜産DX向けサービス「Milfee」では、飼料残量監視だけでなく、データを活用して飼料の流通合理化に寄与するアプリケーションの開発を実施し2024年3月に製品リリースしました。また、Milfeeのセンシング端末も新規に開発しました。

 AI関係では、2023年度、急激な進化を遂げた生成AI技術(Transfomer技術)に注力しました。社内の開発プロジェクトに生成AIを適用、20%の開発工数を削減しました。また、ナレッジ検索を組込んだ生成AIを開発、コールセンター業務で運用開始し、オペレータの30%工数削減と品質向上を実現しました。更に、生成AI、アバター、自然言語処理を組合わせたAIのアテンダントを開発し、お客様向け見学ルームにて運用を開始しました。また、物流分野向けに故障予知、AI画像認識の新技術も複数開発しました。

本部門に係わる研究開発費は182,465千円であります。