当社グループは、靴ならびに衣料品の専門店を全国にチェーン展開し、地域のニーズにあった商品を提供することで、地域社会に貢献し、お客様はもちろんのこと、株主様、お取引先様他全てのステークホルダーに満足いただき、持続的に企業価値を向上させていくことを経営理念としております。
当社グループは、地域にあった品揃えとサービスの拡充により、店舗の利便性を高め、収益力を向上させることを目標としております。
当社グループは、市場やお客様のニーズの変化に対応し、商品、店舗、組織に関する以下の施策を着実に遂行することで、経営基盤の強化と業務の効率化を進めることを中期的な経営戦略としております。
① 安価で高品質なプライベートブランド商品の開発力強化及びプライベートブランド価値の向上
② 市場の変化、地域のニーズに対応した商品展開
③ システム、物流の精度向上、店舗の標準化による在庫の適正化
④ EC事業の強化ならびにECとリアル店舗との連携によるオムニチャネル展開拡大
⑤ デジタルマーケティングの強化による顧客層の拡大
⑥ 店舗外での販売など、販売チャネルの拡大
⑦ 本社と地区本部の機能見直しによる本社業務の効率化
原材料・エネルギー価格の高騰や円安による物価上昇、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化等への警戒感に加え、実質賃金の伸び悩みによる消費マインドの低下など、当社グループ業績への影響が懸念され、先行き不透明な状況が続くものと思われます。また、テレワークの普及を始めとしたアフターコロナに見られる社会活動の変容は、消費者の購買行動の変化へと繋がる為、今後、更なる対応が必要となってきます。
こうした中、靴事業では、靴専門店としてのサービス向上と商品提案力の強化をテーマとして、消費者の利便性を考慮した機能性商品の開発強化に取り組むとともに、自社アプリによるデジタル会員証・自社ポイントサービスの強化や、ECサイトと実店舗との連携を強化することで、顧客体験の向上に取り組んでまいります。また、実店舗以外の販売チャネル拡大の為、EC事業や法人営業に注力し、新たなビジネス基盤の構築にも取り組むことで、収益力の改善と企業価値の向上を目指してまいります。
衣料品事業では、お客様の声を積極的に商品企画に取り入れ、暮らしに役立つ快適な機能や着心地にこだわった商品の品揃えを拡充していくと同時に、不採算店舗の閉鎖、業務改革による徹底したコストの圧縮を図るなど販管費の最適化に取り組んでまいります。
当社は、サステナビリティに関する方針として以下のとおり定めています。
私たちは、お客様の生活に密着し、サプライチェーンと共に、「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」「人権問題」等、社会課題に取り組むことで、足元からお客様の豊かさと幸せに貢献します。お客様をはじめ、お取引先様などステークホルダーの皆様のご理解、ご協力のもと、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
更に、サステナビリティ活動基本方針として、基本方針に則り、社会に必要とされるサービスを提供するためにとるべき行動を「企業行動指針」としています。「企業行動指針」は役員、従業員の基本姿勢を示したもので、「基本方針」と「行動基準」に分かれています。
基本方針では、「商品・サービスの提供」、「公正で透明性のある取引の確保」、「地域社会との連携」、「人権の尊重」、「多様性の尊重と働きがいの向上」、「会社の資産や情報の保全」「持続可能な社会実現への貢献」、「ステークホルダーとの対話」について定め、行動基準では、コンプライアンス及びステークホルダーとの関係に応じた行動基準について定めています。
チヨダグループ企業行動指針 https://www.chiyodagrp.co.jp/csr/sustainability/
また、当社は、2022年6月、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みである「国連グローバル・コンパクト」に署名しました。今後さらに、本業を通じて社会の持続可能な発展に貢献すべく、サステナブルな取り組みを推進してまいります。
取締役会は、サステナビリティ経営について、戦略、シナリオ分析、目標設定、リスク管理等の観点から監督・指導を行っています。「サステナビリティ委員会」は、取締役会の監督・指導の下で、環境、人権、人的資本等のサステナビリティの課題・対応等について議論を行い、少なくとも年に1回取締役会に報告を行っています。サステナビリティ委員会は、取締役管理本部長が責任者となり、そのメンバーには、マーケティング部長、店舗開発部長、人事部長、経営企画室長、法務室長をはじめ、各部署から担当者が参加し、議論を行っています。
また、リスク管理については、代表取締役社長(CEO)をリスク管理統括責任者と定め、リスク管理統括責任者は、「コンプライアンス・リスク管理委員会」の委員長となり、同委員会は、当社のコンプライアンスおよびリスク管理に関する基本方針の策定、リスク管理のためのシステム構築と運営、リスク管理に関する年次計画、予算措置および是正措置の策定、リスク管理活動全般に関する運営の指揮と管理、リスク分析結果についての総合的観点からの再評価、社内外開示の実施策の協議を行っています。リスクマネジメント委員会は、定期的に取締役会に報告を行っています。このようなリスクマネジメント活動の中で、気候関連リスクおよび機会等のサステナビリティ課題に関し抽出されたリスクに対する具体的な対応については、サステナビリティ委員会において審議されます。
当社は、中期経営計画の中で、サステナビリティ経営の実践を柱の一つとして掲げ、環境問題への取り組みとして(4)記載の温室効果ガス削減への取り組みを進めているほか、環境省「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参画し、「ハイドロテック ウルトラライト」のCFP(カーボンフットプリント)の計測を行いました。また、パートナー企業との取り組み強化として、人権保護、不当労働の排除、環境への対応、腐敗防止への持続的な取り組みを行い、海外協力工場や、子会社との連携強化によりサプライチェーン全体での良好な関係性づくりを行っております。人的資本に関しては、働きやすいやりがいのある会社をめざし、女性活躍推進をはじめ、全ての従業員の活躍を推進するため、女性の時短労働者や母子合同のミーティングの開催、男性の育休100%取得推進等による、働きやすさの改善を進めてまいります。また、健康経営を推進するため、健康経営宣言の下で様々な取組を行い、2024年3月、「健康経営優良法人認定制度」において、2023年に続き『健康経営優良法人2024(大規模法人部門)』に認定されました。今後は、「ホワイト500」、「プラチナくるみん」認定を目標に更なる健康経営を進めてまいります。
当社はさらなる発展のために人的資本に関する改革を進める必要があります。
従業員に投資し能力・知識・技能を成長させ「個」の価値を高めることや、従業員がその能力を発揮し仕事と生活の調和を図り働きやすい雇用環境の整備を行うため、次のような行動計画を策定いたします。
これらを継続していくことにより企業価値と従業員満足の向上を目指します。
(1) 人財育成に関する項目
次世代の育成、従業員自身の自己研鑽の補助となる取組みを行います。
(a) 階層別育成
各職務に応じたスキルを身につけるための研修を実施いたします。
(b) 全体教育の実施
従業員の標準的な教育として下記の通り実施いたします。
・社内資格である「シューズアドバイザー」試験の実施。(6月、10月、2月 年間3回)
・通信教育の周知、奨励として教材費の一部負担、資格取得者へ奨励金・教育費用の全額負担。
(c) スペシャリストの育成・活用
足や靴の専門知識を備えた「シューフィッター」の資格取得推進、有資格者の活用を実施いたします。
・資格取得予定者へのフォロー
シューフィッター講習(外部機関)の費用負担、足型測定会実施により資格取得の補助。
・有資格者へのフォロー
足型測定方法などの再確認、店頭での活用方法について。
・お客様に対する周知
ホームページ店舗一覧へシューフィッター在籍店舗の表記、フィッティング予約受付。
(2) 流動性に関する項目
企業に「新しい風」を取り入れ変化し続ける社会に対応できる柔軟な人財の確保と、
多様なライフステージに対応し安定した雇用促進のために以下のような取組みを行います。
(a) 社員区分別の採用
全国転勤を伴う「全国社員」、管轄地区内の転勤を伴う「地区社員」に分けた採用を実施。
(b) 新卒採用、中途採用、社員登用の実施
・新卒採用の実施:若手の積極的採用を目的とする。
・中途採用:他社での経験を活かした豊富なキャリア活用を目的とする。
・社員登用:パートでの勤務経験を活かした即戦力を目的とする。
(c) 離職防止に関する取り組み
育児休業~復職について認識を広めるための教育(当事者、上長双方へ)を、従業員区分を問わず希望者に対し実施いたします。
(3) ダイバーシティに関する項目
年齢・性別・従業員区分に拘わらず個々の能力を発揮することのできる環境整備に取組みます。
(a) 女性活躍に関する方針
女性が就業継続し、子育て後も活躍できるよう行動計画を策定いたしました。
a.定量的目標
b.取り組み内容
・ 利用可能な両立支援制度に関する周知を行う。
・ 男性社員にも両立支援利用を推進する取組みを行う。
・ 育児・介護休業制度の理解度をあげる。
・ 産休・育休制度の研修を行う。
・ 介護休業制度の研修を行う。
・ 年間平均総労働時間の短縮を啓蒙する。
・ 新規学卒者の女性採用比率を高める。
・ 社員登用の女性採用比率を高める。
・ 女性の活躍推進支援について、社内の意識改革を図る。
・ 女性がいない(少ない)職種へ積極的に女性を配置する。
・ 女性管理職養成研修を行う。
(b) 障がい者雇用の取組み
本年度の実績、次年度の見込みは以下の通りです。
今後も雇用拡大、勤務先スタッフや雇用者のフォローを継続していきます。
(4) 健康・安全に関する項目
従業員の心身の健康、安全の維持増進のための取組みを行います。
・精神的、身体的健康に関する取組み
(a) ハラスメント防止の取組み
※公益通報者保護法にもとづき、関連会社・退職者(1年以内)も対象としています。
併せてWeb学習サイトにてハラスメント防止に関するコンテンツを配信し、従業員が閲覧できる環境を整備しております。
(b) メンタルヘルスの取組み
年1回のストレスチェック実施、高ストレス者に対する産業医面談の実施。
(c) 健康保持、疾患予防の取組み
・健康診断の受診勧奨
年1回の健康診断の実施を勧奨、業務上の疾病予防はもちろんのこと、結果に基づき生活上・就業上における
保健指導や教育を行います。
・ピンクリボンセミナーの開催
乳がんの正しい知識、早期受診を広めるために健康保険組合と共同して実施。
(d) 労働災害に関する周知
注意喚起と発生時の措置についての周知活動を行います。
・業務上起こりえる事故についての注意喚起、発生時の措置の周知。
衛生委員会より「労働災害・通勤災害」として事例を交え注意喚起。
(5) コンプライアンス・倫理に関する項目
当社の定める「チヨダグループ倫理規程」について従業員がそれを理解し、遵守するよう取組みを行います。
(a) 年1回(8月)の内部統制研修の実施
上記規程の共有、SNSガイドライン、内部統制テキスト、Web学習サイトによる研修を行います。
(b) 下請法・景品表示法研修の実施
商品企画製造・販売促進等に関する正しい知識を周知し、法令遵守の認識を深めます。
単体
連結
(注)
1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。」
3. 「労働者の男女の賃金の差異」について、賃金制度及び体系において性別による差異はございません。雇用形態ごとの男女間の管理職比率、人数比率によるものです。
4. 「労働者の男女の賃金の差異」について、非正規雇用者は短時間労働者(社員の労働時間未満の契約)も含めて算出しています。
当社事業は気候関連の問題と密接に結びついており、気候変動が多大な影響を与える可能性があると認識しています。そのため、TCFD提言(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に基づき、気候変動がもたらす事業への影響について精査し、情報開示を行っています。2030年(短期)、2050年(中期)、2100年(長期)を想定し、当社のリスク・機会の特定・重要度の評価を行いました。リスク・機会の特定にあたっては、脱炭素社会への移行が進み、移行リスクが顕著となるシナリオ(1.5℃・2℃シナリオ)、脱炭素社会への移行が進まず、物理的影響が顕著となるシナリオ(4℃シナリオ)を想定しました。特定した重要なリスクと機会・指標と目標等の詳細については、
2013年度の排出量、2021年度の排出量及び2013年度対比減少率は(別表1)参照。
また、当社はCDPからの質問書を通じて、気候変動対策に関する情報開示を2022年度より取り組んでおり、「気候変動レポート2023」において「B」評価を取得しました。
(別表1)
当社では、当社事業(単体)に伴う Scope1(燃料の燃焼)及び Scope2(他社から供給された電気使用)の温室効果ガス排出量を、国際基準であるGHGプロトコルに準拠して算定しています。
2021年度における Scope1 及び Scope2 排出量は以下のとおりです。
・対象:株式会社チヨダ 単体、2021年度(2021年3月~2022年2月度)
・算定基準:GHGプロトコルに基づく算定。
・算定範囲:Scope1(燃料の燃焼)、Scope2(電気・熱の使用)
(注)
1:Σ(各燃料の年間使用量×各燃料の単位発熱量×各燃料のCO2排出係数×44/12)
各燃料の単位発熱量、各燃料のCO2排出係数は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」の「温室効果ガス排
出量の算定・報告・公表制度」に基づく値を採用。
2:平均的な排出係数(令和2年度全国平均係数)に基づき算定。
3:「地球温暖化対策の推進に関する法律で定められた」電気事業者別の調整後排出係数(令和4年度報告用)に
基づき算定。
当社グループの経営成績及び財政状態等において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下の(1)~(10)が想定されます。
なお、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う消費者行動の変容により、更なる悪影響が生じる可能性も懸念されます。
当社グループが取り扱う靴及び衣料品は、冷夏や暖冬等の天候による影響を受ける可能性があります。またファッションの流行やお客様の嗜好の変化による影響や、競合他社との価格競争によって商品価格が大きく低下することもございます。これらの要素を勘案した発注計画に基づいて仕入を行いますが、過剰在庫や商品評価損の発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループで取り扱う商品の大半は、中国などアジア各国において生産されております。このため、生産国の政治情勢、法制度に著しい変動があった場合や、経済情勢に伴う急激な為替変動、生産地域における大規模な自然災害の発生、また、新型コロナウイルスのような深刻な感染症の拡大などにより、商品調達や商品原価に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは全国に店舗を展開しており、地震や津波、河川の氾濫など予想を超える自然災害が発生した場合、社会インフラの機能低下、店舗の損壊や商品の汚損により、休業など店舗運営に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大などに伴う事業活動の制限から、店舗及び本社の運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの店舗の大部分は、ロードサイド及びショッピングセンター内の賃借物件で、出店に際し敷金及び保証金を貸主に差し入れており、契約期間満了時まで返還がされないものがございます。貸主の信用状況を判断した上で契約を締結しておりますが、貸主の倒産などにより一部または全部が回収出来なくなる可能性があります。
(5) パートタイム従業員に係る人件費
当社グループは多数のパートタイム従業員を雇用しており、従業者に占める割合が高く、同一労働同一賃金に関する法改正や、インフレによる賃金の上昇に伴って、今後人件費が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの所有する固定資産につきましては、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、一部の事業用資産等については、更に減損損失が発生する可能性があります。
(7) 個人情報の取扱い
当社グループは、個人情報保護の重要性を認識しており、個人情報保護法の施行に伴い、個人情報保護方針・マニュアルを策定し、従業員教育を含めた社内体制の強化を推進しております。しかしながら、個人情報流出により問題が発生した場合、社会的信用の失墜及び損害賠償責任などにより、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 投資有価証券
当社は取引のある金融機関の株式を保有しており、証券市場における市況の悪化や投資先の業績不振等により評価損が発生する可能性がありますが、政策保有株式の売却を進めたため、その可能性は低減しております。
当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に係る繰延税金資産を、将来の一定期間における事業計画に基づいた課税所得の見積りにより、回収可能性を評価して計上しておりますが、事業計画の達成状況等により将来の課税所得の見積りに大きな変動が生じた場合等、繰延税金資産が減少し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度末時点において、当社グループは税務上の繰越欠損金が存在しております。当社グループの業績が事業計画に比して順調に推移することにより、税務上の繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社グループの業績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
業績等の概要
(当連結会計年度の経営成績)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和に伴い、個人消費の回復やインバウンド需要の増加が見られるなど、緩やかな景気回復基調となりました。しかしながら、原材料・エネルギー価格の高騰や円安による物価上昇、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化等の影響により、依然として先行き不透明な状況は継続しております。
当社グループが属する靴・衣料品小売業界では、社会経済活動の正常化が進んだことによる外出機会の増加等が見られた一方で、物価上昇、実質賃金の伸び悩みなどの影響による消費者マインドの低下が懸念されております。
このような状況下、当社グループは、専門店ならではの視点で日常の便利さを追求し、お客様の生活が快適になる様なプライベートブランド商品の開発、提案を行い、また、広告手法の見直しを行うことで経費の効率化と売上の回復に努め、在庫の削減、不採算店舗の退店、人事効率の改善などに取り組むことで、利益確保に努めてまいりました。更に、百貨店を中心とした法人向けの紳士靴卸販売を行うトモエ商事株式会社を子会社化し、既存のEC事業や法人営業などの強化と併せて、販売チャネルの拡大と時代に対応した事業ポートフォリオの最適化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,451百万円減少し、84,762百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,952百万円減少し、32,909百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ500百万円増加し、51,853百万円となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高93,320百万円(前期同期比1.3%増)、営業利益1,071百万円(前年同期は営業損失2,234百万円)、経常利益1,474百万円(前年同期は経常損失1,942百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,851百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失は2,602百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<靴事業>
靴事業におきましては、靴専門店としてのサービス向上と商品提案力の強化をテーマとして、プライベートブランド商品を中心とした重点商品の販売強化や在庫鮮度の改善に取り組み、また、客数増加、客層拡大のため、顧客満足度の向上やデジタルマーケティングの推進、販売チャネルの拡大に取り組んでまいりました。
商品面では、主力プライベートブランド「セダークレスト」の、手を使わずに立ったまま履ける「スパットシューズ」が、消費者の新たな需要を喚起することができたため、年間を通して好調に推移しました。
また、同じく「セダークレスト」の、ソフトな素材と屈曲性にこだわった「ストレッチビジネスシューズ」や、「フワラク」の、疲れにくく歩きやすい機能性にこだわった「スニーカーパンプス」など、消費者の使い勝手を考慮した、靴専門店ならではの商品を多数発売するとともに、天候に左右されにくい商品を拡充することで、売上の安定化を図りました。
販売促進では、「スパットシューズ」のテレビCMを年末年始に全国放映し、WEBサイトやSNSを活用して商品認知を高めるなど、新規顧客獲得に努めました。また、ご来店いただいた店舗にサイズが無い場合、自社ECサイト「kutsu.com」を活用し、そのまま店舗で注文することができる「お店で注文・自宅で受け取りサービス」を2023年11月に開始し、オンラインとオフラインとの連携を推進することで顧客の利便性を高めるとともに、在庫管理などの業務効率改善に取り組みました。更に、自社アプリ会員向けのポイント増量キャンペーンを実施することで売上増加を図るなど、従来のアナログ販促からデジタル販促へシフトするマーケティング手法の変更により、売上、客層の拡大に努めました。
出退店につきましては、10店舗を出店、46店舗を閉店し、当連結会計年度末の店舗数は886店舗(前連結会計年度末比35店舗減)となりました。
経費につきましては、インフレ等により増加が避けられない項目はありましたが、人事効率の改善や管理費の抑制を行い、販売費及び一般管理費は前年同期比1.0%の微減となりました。
以上の結果、靴事業の売上高は77,910百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は1,986百万円(前年同期は営業損失1,516百万円)となりました。
<衣料品事業>
衣料品事業におきましては、「暮らしに役立つ商品と企業活動を通じて地域社会に貢献します。」という企業理念のもと、お客様の生活に密着したライフスタイル提案を行ってまいりました。
商品面では、プライベートブランド「NAVY」を中心に、春夏シーズンには、接触冷感、吸水速乾、抗菌防臭などの機能性を打ち出した「SA・RA・RI」シリーズ、秋冬シーズンには、あったか素材を使用した「温℃」シリーズを提案するなど、シーズン毎のお客様ニーズに対応した商品を重点販売いたしました。また、仕入コントロールを行いながら持ち越し商品の早期現金化を進め、適正在庫への見直しを図るとともに、不採算店舗の閉鎖、業務改革による徹底したコストの圧縮を図るなど販管費の最適化に取り組む一方、パートタイマーの社内資格制度見直しやデジタルツールを活用した情報配信を行うなど、人財活性化策による営業力強化を推進しました。
出退店につきましては、7店舗を出店し、49店舗を閉店したことで、当連結会計期間末の店舗数は278店舗(前年同期比42店舗減)となりました。
経費につきましては、一般管理費の抑制、及び退店による固定費の削減により、販売費及び一般管理費は前年同期比12.5%減となりました。
以上の結果、衣料品事業の衣料品事業売上高は15,409百万円(前年同期比16.5%減)、営業損失は922百万円(前年同期は営業損失726百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,986百万円(前期比5,966百万円増)となりました。
これは、主に棚卸資産の増減額4,768百万円(同6,613百万円減)及び仕入債務の増減額4,440百万円(同5,077百万円減)となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は731百万円(前期比1,649百万円減)となりました。
これは、主に投資有価証券の売却及び償還による収入300百万円(同300百万円増)及び無形固定資産の取得による支出が142百万円(同469百万円減)があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,287百万円(前期比91百万円減)となりました。
これは、主にリース債務の返済による支出288百万円(同92百万円減)があったことによるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
なお、地区別の売上実績は次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(資産の状況)
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、84,762百万円(前期比2.8%減)となりました。
流動資産は56,337百万円(前期比4.6%減)となっております。これは、主として現金及び預金が26,604百万円(前期比2.7%増)となったこと、商品が23,897百万円(同15.2%減)となったことによるものであります。
固定資産は、28,425百万円(前期比1.0%増)となっております。これは、主として投資有価証券が2,316百万円(前期比61.9%増)となったこと、建物及び構築物が12,983百万円(同5.5%減)となったことによるものであります。
(負債の状況)
当連結会計年度末における負債合計は、32,909百万円(前期比8.2%減)となりました。
流動負債は、20,268百万円(前期比14.0%減)となっております。これは、主として買掛金が2,828百万円(前期比23.8%減)となったこと、電子記録債務が11,912百万円(同22.6%減)、未払費用が1,811百万円(同5.8%減)となったことによるものであります。
固定負債は、12,641百万円(前期比2.8%増)となっております。これは、主として退職給付に係る負債が8,923百万円(前期比4.8%増)、リース債務が756百万円(同14.6%減)となったことによるものであります。
(純資産の状況)
当連結会計年度末における純資産は、51,853百万円(前期比1.0%増)となりました。これは、主として利益剰余金が43,176百万円(前期比1.9%増)となったこと、自己株式が△6,830百万円(同2.6%減)となったことによるものであります。自己資本比率は59.9%(前期比2.9ポイント増)となっております。
なお、当社単体の純資産は、48,911百万円(前期比1.6%増)となり、自己資本比率は65.2%(同2.6ポイント増)となっております。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、93,320百万円(前期比1.3%増)となりました。一方、当初の連結業績予想売上高に対しては、衣料品事業の不調により若干下回る結果となりました。
(営業利益、経常利益)
原材料やエネルギー価格の高騰、円安の進行により仕入価格が上昇しましたが、販売価格の見直しや在庫の適正化を行い、更にプライベートブランド商品の拡販を推進することで、売上総利益率の改善に努めました。この結果、売上総利益率は前期比で1.3%改善し、売上総利益は43,942百万円(前期比4.2%増)になりました。また、広告宣伝費や管理費のコントロールを行い、人事効率の改善に努めたことにより、販売費及び一般管理費は、42,871百万円(前期比3.4%減)となりました。これらの結果、営業利益は1,071百万円(前年同期は営業損失2,234百万円)、経常利益1,474百万円(前年同期は経常損失1,942百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益が353百万円(前期比440.2%増)となり、主に減損損失により特別損失が388百万円(同51.7%減)となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,851百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,602百万円)となりました。
(主な経営分析指標)
当社グループの主な経営分析指標は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,986百万円(前期比5,966百万円増)となりました。
これは、主に棚卸資産の増減額4,768百万円(同6,613百万円減)及び仕入債務の増減額4,440百万円(同5,077百万円減)となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は731百万円(前期比1,649百万円減)となりました。
これは、主に投資有価証券の売却及び償還による収入300百万円(同300百万円増)及び無形固定資産の取得による支出が142百万円(同469百万円減)があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,287百万円(前期比91百万円減)となりました。
これは、主にリース債務の返済による支出288百万円(同92百万円減)があったことによるものであります。
(キャッシュ・フロー指標の推移)
(注) 1.各指標の算出方法は次のとおりであります。
・自己資本比率:自己資本/総資産
・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
3.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
4.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
5.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
6.2021年2月期、2022年2月期及び2023年2月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」及び「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入資金であります。設備資金需要としては、主に出店・改装投資、システム関連投資であり、また、M&A投資なども検討しております。当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保することを基本方針としており、主に自己資金を充てております。
なお、当社グループの有利子負債の残高は1,230百万円となっており、現金及び現金同等物の残高は26,198百万円あり、事業の維持拡大に必要な運転資金、設備資金を確保しているものと考えております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当社グループは、連結株主資本利益率(ROE)を重要な指標として位置付け、中期的な目標を8%達成としておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークが普及するなど生活スタイルそのものが変化しており、コロナ以前に比べて商品の需要は変容しました。また、インターネット通販や他業界との競争も厳しさを増していることから、コロナ以前の水準に戻るには相応の時間を要するものと推測されます。
その為、靴専門店としての商品開発、品揃えを推進し、ECなど店舗以外での販売チャネル拡大を進め、収益力の改善を図ってまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。