第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 (1)会社の経営の基本方針

1907年の「朝日万金膏」発売以来、「サロンパス」に代表される経皮鎮痛消炎剤は、「貼る」ことで痛みやコリを治療する医薬品として、多くのお客さまにご愛用いただいています。

当社グループは、世界に誇るTDDS(経皮薬物送達システム)に基づく貼付剤の創薬・育薬と製剤技術の向上に努め、製造・販売を通じて、「世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す」ことを経営理念とし、健やかな社会の形成に貢献してまいります。

当社グループが大事にしていく文化は、「手当て」の文化です。大切な人に手を添え、「がんばれ」、「元気になって」と、心を込めて癒やす。「手当て」に込められているのは、相手への思いやりです。それが「貼る」の原点であり、創業以来大切にしてきた、いたわりの治療文化です。相手を思いやり、やすらぎと驚きと感動を与えられる「手当て」の文化を広く世界の人々に伝えるべく、『「手当て」の文化を、世界へ。』を企業使命と定め、事業を積極的に展開してまいります。

 


 無形の貯蓄:久光製薬の「創業の精神」と位置づけ、企業価値は企業の考え方とそれに基づく行動に対する信頼であり、高い倫理観を持って歩みを続けていけば大きな支持と信頼を得ることができるという考え

 

 (2)目標とする経営指標

2021年9月17日に発表した「第7期中期経営方針 ~HX2025(Hisamitsu Transformation 2025)~」において、最終年度である2025年度に連結売上高のCAGR(年平均成長率)5%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上、海外売上高比率50%以上を目標としています。新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への影響や活動の停滞により減少した売上高を回復させると同時に、収益性を高めていくことで変革を遂げる5年間と位置付けて活動しています。

 

 

 (3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

国内の医療用医薬品事業につきましては、少子高齢化が急速に進展する中、後発品使用促進策の推進や長期収載品の薬価追加引き下げなど、今後も医療費抑制策は継続されることが予想されます。このような厳しい経営環境のもと、当社は、医療関係者への学術情報活動を一段と強化するとともに、医療関係者や患者さんのニーズに合致した新しい製剤の開発を目指します。また、営業、生産及び研究開発の機能を強化するとともに、収益の一層の向上を目指し、更なる成長に努めます。

国内の一般用医薬品事業につきましては、市場の低迷が長期化し企業間競争が激化する中で、既存商品の売上伸長を図るとともに、お客様のニーズにお応えできるよう商品の改良及び新商品の開発を行います。

海外の事業展開につきましては、知的財産、製造技術及び品質管理技術を含めた当社ブランドの確立を図るとともに、海外生産工場の一層の充実と海外における臨床試験の強化を図ります。

特に、サロンパスブランドを中心に現地法人のある7つの国・地域で成長させるとともに、その他の国・地域でもシェア拡大に努め、海外売上高比率50%以上を目指してまいります。

当社は、引き続き製薬企業としての使命と責任を自覚し、営業基盤の強化及び生産体制の拡充を図るとともに、研究開発につきましても、研究開発力の一層の強化を図ってまいります。そのため、2拠点にあった研究機能を「SAGAグローバルリサーチセンター」に集約し、研究者間の連携と研究開発機能の最大化による開発スピードの向上と生産部門との連携強化を図り、貼付剤に留まらない様々な新商品及びサービスの開発や、環境に配慮した商品開発及び商品改良に取り組みます。

当社グループは、医薬品などの創製・育薬・製造・販売を通じて「世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す」を経営理念とし、『「手当て」の文化を、世界へ。』 を企業使命と定め、貼付剤に留まらず、様々な商品・サービスを通じて世界中の人々へ思いやりに溢れた「手当て」の文化を広げる活動を積極的に展開してまいります。2021年には、社会課題の解決及び当社が持続的な成長を遂げていくためのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。マテリアリティへの取り組みを通じて、ESG(環境・社会・ガバナンス)及びSDGs(持続可能な開発目標)を推進することで、企業としての社会的責任を果たすとともに、持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

①サステナビリティに関する考え方

久光製薬グループは「世界の人々のQOL向上を目指す」を経営理念と定め、事業活動を通じて、お客さま・社会をはじめとするすべてのステークホルダーの皆さまに対する価値の創造に努めます。また、昨今の急激な外部環境の変化に適応し、多様化するお客さまのニーズに応えるために、『「手当て」の文化を、世界へ。』という企業使命のもと、「第7期中期経営方針」およびマテリアリティ(重要課題)を軸に事業活動に取り組んでいます。ESGおよびSDGs(持続可能な開発目標)を重視しながら、これまでにない取り組みに積極的にチャレンジし、変革を実現して、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指していきます。

参考:価値創造モデル https://www.hisamitsu.co.jp/sustainability/model.html

 

(1)久光製薬グループのサステナビリティ方針


 

(2)久光製薬グループのマテリアリティ

2021年に、サステナビリティ方針に掲げる『「手当て」は、笑顔をつくる。』という共有価値を創造するために9つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。


マテリアリティの分類・具体的な内容は、WEB サイトに掲載しております。

https://www.hisamitsu.co.jp/sustainability/group-policy.html

 

これらのマテリアリティ(重要課題)は2つに整理・分類しています。

 

①「新たな価値創造により社会課題の解決に貢献するマテリアリティ」

 ・「手当て」の思いにあふれる商品・サービスの創出

 ・「貼る文化」を世界へ広める

②「社会課題の解決、社会からの要請および自社の持続的成長の基盤に関わるマテリアリティ」

 ・環境経営の推進

 ・医薬品・サービス等および情報アクセスの向上

 ・地域社会への貢献

 ・D&Iおよび働き方改革の推進

 ・高品質な商品・サービスの供給

 ・責任あるマーケティング・情報収集活動

 ・コンプライアンス推進とガバナンス強化

 

②サステナビリティ全般のガバナンス・リスク管理

(1)ガバナンス

  当社はサステナビリティに係る基本方針や重要事項等は代表取締役の諮問機関としてグループ全体のサステナビリティ活動の推進を行う「サステナビリティ推進委員会」において審議されています。委員会は取締役をはじめとして執行役員や関連部門の部門長などによって構成され、サステナビリティ推進担当役員がサステナビリティ推進委員会の委員長を務めています。

 サステナビリティ推進委員会は原則四半期ごとに開催され、その審議内容を定期的に取締役会に報告することによって、サステナビリティの取組みとリスク管理に関する監督が取締役会によって適切に図られるよう体制を整えています。


 

(2)リスク管理

当社はサステナビリティに関わる問題を重要な経営課題として認識しており、 「サステナビリティ推進委員会」の中でより詳細に検討しています。具体的にはリスクを識別・評価し、優先順位付けした上で、推進する各部門でサステナビリティ関連問題の取り組みを実行計画に落とし込み、サステナビリティ推進委員会の中で実行計画のモニタリングを行っています。特定したサステナビリティ関連問題の影響は、サステナビリティ推進委員会より取締役会にて報告・提言することで、サステナビリティ関連問題の影響を全社的なリスク運営に関するマネジメント体制に統合しています。

 

 

③人的資本

(1)戦略

(人材育成方針)

第7期中期経営方針~Hisamitsu Transformation2025~で掲げる3つの活動方針(①Expand(拡大する)、②Exceed(壁を超える)、③Enhance(強化する))に基づく経営戦略の実現のためには、「手当て」の文化をいかに世界の人々に広めることができるか、どれだけアイディアを生み出すことができるかが重要であると考えております。そのためには、お客様の声を聞き、具体的な解決策を提示しトライする人材、課題を自分事(じぶんごと)として捉える人材が必要であることから、「相手をいたわることのできる人材育成」、「仕事が自分事となった人材育成」を人材戦略の基本としています。今後、グローバルのフィールドで知識・経験・スキルを積み重ね、今まで乗り越えられなかった壁を乗り越えていくことに挑戦する組織づくりに取り組みます。

 

 

期待する発揮行動

発揮された行動による効用

価値創出

世界の人々が求める「手当て」の思いにあふれる商品・サービスとは何かを常に問い続ける

必要な知識・経験・スキルを主体的に身に付ける

キャリア自律

仕事を通じて何ができるのか、何を実現したいのかを自ら考え、行動する

自己実現に向けての挑戦が成長実感を高める

組織共創

意欲あふれる人材がチーム一丸となって社会課題の解決に取り組む

世界の人々・従業員・会社それぞれに成果が還元される

 

 

 <人材育成にあたっての課題>

 経営戦略に基づく人材育成方針と当社の現状から、以下の点を重要課題と認識しております。

①Expand(拡大する)

サロンパスをはじめとする当社商品の海外展開を進めるにあたり、グローバルで活躍したいと考える次世代リーダー人材の発掘・育成

②Exceed(壁を超える)

当社が持続的に成長するためには、多様な人材の獲得と活躍、自ら課題解決に向けて動き出すことが不可欠であり、従業員一人ひとりの働きがいを高めるための基盤整備

③Enhance(強化する)

当社の事業活動全般において「手当て」の思いをカタチにする組織風土の醸成、専門技術(研究開発、製造、販売)を有する人材、デジタル利活用を通じた価値最大化を企画・推進する人材の確保・育成 

 

 <上記課題に対する主な取り組み> 

(ⅰ)自己申告制度・社内公募制度

従業員一人ひとりの働きがいを高めることが、当社の成長と従業員自身が描くキャリアデザインの実現を両立するとの考えの下、従業員は毎年、キャリアプランや異動配置、会社に理解してもらいたいことなど自らの意思を自己申告として表明しています。また、社員の意欲・熱意を掘り起こし、当社が対応すべき課題解決につなげるために、海外事業部門などを対象とした社内公募を定期的に実施しています。

(ⅱ)社内ベンチャー制度 

従業員自らが「手当て」の思いを新たな事業として企画立案し、事業化実現と組織風土醸成のために実施している社内ベンチャー制度では、年齢や性別、経験年数を問わず、既存事業にとらわれない自由な発想を尊重し、従業員と会社双方の成長機会の創出に努めています。

(ⅲ)グローバル人材の育成

グローバルでの事業展開の推進とともに、競争力を強化し優位性を確保するためには、グローバルのフィールドで知識・経験・スキルを積み重ねていくことが重要です。そこで、語学研修や異文化コミュニケーション、マネジメントスキルなどの習得・向上を目指した研修のほか、国内・海外各社から選抜された意欲ある従業員に対して課題解決方法を学ぶ機会を提供し、人材発掘に取り組んでいます。

 

(ⅳ)専門知識の習得機会の創出

自らが専門知識を身に付け、社会課題・経営課題を解決していく基盤整備に向けての取り組みとして、ITパスポートや語学試験の受検費用負担や、事業運営に必要な資格取得者への職務手当支給、自己学習支援の仕組みの更なる充実を図っています。

 (ⅴ)業績に連動した評価体制

従業員一人ひとりが仕事を自分事化し、目標達成意欲を高め、処遇に還元する好循環を実現するために、 グループ全社の業績、部門ごとの業績を反映する業績評価賞与を導入し、成長実感と組織の一体感を高めるように努めています。

(ⅵ)組織文化を醸成するための活動

「手当て」の文化を世界に広めるための象徴的な活動として、各種スポーツイベント等の場で、薬剤師の立ち合いの下、従業員が当社商品(試供品)を直接お客さまに手渡し、使用していただき、商品の良さを伝える活動をグループ全社で取り組んでいます。直接お客さまと触れ合い、声を聞くことができる人材育成の貴重な場として、今後も継続してまいります。  

 

(社内環境整備方針)

事業活動を通じて個々の能力が発揮され、自己実現を図るためには、個々の経歴や文化的背景、ライフステ ージの違いなどそれぞれの個性を尊重し、多様な人材の活用を促進することが、環境変化に迅速に適応できる組織づくりにつながるものと考えています。そのために、働きやすさの向上、限られた時間内で業務遂行する取り組み、D&Iの浸透などを通じて、働きがいを高めるための基盤整備に取り組んでいます。

 

 <多様な人材の活躍のための主な取り組み>

(ⅰ)女性活躍の推進

当社の管理職に占める女性労働者の割合は7.8%(2023年度)であり、その要因として周りにロールモデルがいないことや、仕事と家庭の両立への不安などが挙げられます。多様な人材の活躍機会の創出のためにも、取り組むべき重要な課題の一つと捉えております。

そこで、女性自身も自らを見つめ直すべく、次期管理職候補者に対してHWL(Hisamitsu Women's
Leadership)研修を実施し、職場での行動変容を促しています。

(ⅱ)キャリア・リターン制度

育児や介護等のライフイベントや自己のキャリアアップのために当社を退職した従業員が、社外での経験を重ねた後、再度入社することができるように2023年8月に制度を整備し、多様な人材の活躍機会の創出のほか、多様性への理解を深める契機の一つとしています。

(ⅲ)在宅勤務・時差勤務

・働き方の選択肢の一つして在宅勤務制度を2021年3月に導入し、従業員が自身の役割を果たすために効果的な働き方のベストミックスを考え実践しています。

・業務の都合に応じて、始業時刻の1時間前から2時間後までの範囲での時差勤務(繰り上げ・繰り下げ)を合わせて活用しています。

(ⅳ)休暇の取得促進

・年次有給休暇を取得しやすい風土づくりの一環として、従業員が自身を支えてくれるご家族やご両親へ感謝するために、従業員の誕生月およびその半年後に取得する「家族の絆を深める日」や、心身のリフレッシュと次への活力を生み出すことを目的として連続3日以上の取得を推奨する「WAKUWAKU連続休暇」を制定しています。

・その他、従業員およびその家族の病気療養や介護等、不測の事態が生じた場合においても、安心して働くことができる年次有給休暇の積立制度も合わせて整備し、個々の事情に対応しています。

 

 (2)指標及び目標

指標

目標(2025年度)

実績(2023年度)

①年次有給休暇取得率

80.0%

71.7%

②自己申告書提出率

100.0%

98.3%

③働きがいスコア ※2

5.0

4.7

④自己研鑽実施率 ※3

50.0%

20.0%

 

※1 提出会社単体の状況を記載しています。

※2 毎年実施するエンゲージメントサーベイのうち、働きがいに関連する項目の平均スコアのことで、

     肯定的な回答の上限値は7.0。

※3 自己研鑽実施率は、リスキリング等に取り組んでいる従業員の割合とし、当社自己啓発援助制度の

   利用者数、ITパスポート受検者数、TOEIC受検者数などを含む。

 

④気候変動

(1)戦略

気候変動に関するリスク・機会については、サステナビリティ推進委員会が中心となり、シナリオ分析を行うと共に、短・中期/長期におけるビジネスインパクト(移行リスク、物理的リスクおよび機会についての財務的影響度)および、これらビジネスインパクトへの対応方針や事業戦略について検討しました。その結果、炭素税および自然災害等に対してリスクがある一方、環境配慮型製品の需要拡大が機会として確認されました。

 

シナリオ分析(リスク)

リスク項目

重要度評価

目標

対策

事業インパクト

炭素税導入の影響

スコープ1、2について2013年度比で2030年度46%削減、2050年度実質ゼロ達成のために再生可能エネルギー源への切り替えや空調設備更新でコストが増加する。

長期

エネルギーの安定調達によるレジリエンスの向上

スコープ1、2について2013年度比で2030年度46%削減、2050年度実質ゼロ達成のため、業種の異なる複数事業者と連携してエネルギーの安定調達によるレジリエンスの向上を進める。

主たる原材料(石油由来)に炭素税が付加され調達コストが増大する。

長期

調達コストの抑制

調達コストを抑制するためにサプライチェーンマネジメントを強化する。

気温上昇に伴う原材料への影響

原料不足、植物の生育が悪くなるなどし、原料価格が上昇する。

長期

原料価格に左右されないサプライチェーン確立

研究開発段階から原材料調達を見据えた部門横断コミュニケーションにより安定調達を図る。

自然災害(サプライチェーンへの影響)

自然災害の深刻化・増加により主力商品の原料に関わるサプライヤーが被災、輸送網の寸断が頻発することにより主力商品の製造ができずに売上が減少する。

中期

原材料の安定調達推進

原材料の在庫確保や調達先との良好なエンゲージメントを図り、原材料の安定調達を進める。

脱炭素技術への対応

環境に配慮した商品開発が進まないことにより、消費者のニーズの変化に応えられず、市場シェアが低下し売上が減少する。

中期

環境配慮型商品の開発推進

環境配慮型商品の開発・導入を進める。

 

※時間軸の定義;短期:~2025年、中期:~2030年、長期:~2050年

 

 

シナリオ分析(機会)

機会項目

重要度評価

目標

対策

事業インパクト

環境配慮型商品の需要拡大

環境配慮の新商品の開発により、需要が拡大し、売上が増加する。

長期

環境配慮型商品の開発推進

環境配慮型商品の開発・導入を進める。

レジリエンス

化石燃料から再生可能エネルギー源へ切り替えることにより、化石燃料の価格上昇によるコストへの影響を回避できる。

長期

化石燃料の価格上昇におけるコスト削減

再生可能エネルギーの導入を図る。

生産設備メーカーと省エネ型設備開発に取り組み、エネルギーコストを低下させることで、レジリエンスを高める。

長期

既存製造設備の効率化

省エネタイプの機器導入を図る。

 

※時間軸の定義;短期:~2025年、中期:~2030年、長期:~2050年

 

(2)指標及び目標

当社グループは、マテリアリティのひとつに「環境経営の推進」を特定し、気候変動に関連するリスクを緩和するための指標として「CO2排出量の削減(スコープ1、2)」を設定しています。日本政府および参画する日本製薬団体連合会の「低炭素社会実行計画」が掲げる目標の達成に貢献すべく、「2050年度までに実質ゼロ」を目指し、中期目標として、「2030年度までに2013年度比で46%削減」を設定しています。なお、この目標は国内のみならず、久光製薬グループの全拠点(CO2排出量算定に与える影響が僅少な拠点は除く)を対象とし、グループ全体でCO2排出量削減に取り組んでまいります。

 

指標

目標

実績(2022年度)

CO2排出量(スコープ1、2)

2030年度:46%削減(2013年度比)

2050年度:実質ゼロ

久光製薬グループ 34,452 t

 17.1%削減(2013年度比)

久光製薬単体 22,140 t

 30.6%削減(2013年度比)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、経営リスクマネジメントの方針を制定し、リスクへの適切かつ効果的な対応を行うとともに、発生した場合の対応に努める方針です。

また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

リスク

リスクの内容

リスクへの対応策

各種の法的規制に関するリスク

・薬価制度や医療保険制度等の規制
 の変更により、当社グループの業
 績に影響を及ぼす可能性がありま
 す

・薬事関連規制の改正の方向を早期
 に捉えて、追加対応の要否検討な
 ど事前に改正に備えています

副作用に関するリスク

・予期せぬ副作用等で発売中止、製
 品回収等の事態に発展する可能性
 があります

・製品に関する有害事象に注意を払
 い、迅速に回収等の措置を実施す
 ることで影響を最小限にとどめる
 よう備えています

研究開発活動に関するリスク

・新製品や新技術の研究開発活動に
 おいて、期待された効果が得られ
 ない等様々な要因によりそれらの
 研究開発活動を中止することによ
 って、研究開発投資を回収できな
 い可能性があります

・開発パイプラインを拡充し、資源
 及びリスクを分散し、適切にポー
 トフォリオ管理を行っています

・ステージ移行時期においてパイプ
 ラインの事業性を確認しています

製造又は仕入に関するリスク

・何らかの原因によって製造又は仕
 入が停止等することで、当社の業
 績に影響を及ぼす可能性がありま
 す

・安定供給体制の維持のため、製造
 拠点におけるBCP(事業継続計
 画)の策定・訓練を実施するとと
 もに安全在庫の確保に努めていま
 す

環境問題に関するリスク

・研究開発活動や製造の過程におい
 て使用する化学物質が周囲の環境
 に悪影響を与えていると判断され
 た場合、当社の業績に影響を及ぼ
 す可能性があります

・定期的に保管場所の点検を行い、
 環境保全に努めており、緊急時の
 対応訓練も実施しています

知的財産権に関するリスク

・当社の事業活動が他社の特許等の
 知的財産権に抵触する場合、事業
 を中止又は係争する可能性があり
 ます

・他社が当社の知的財産権に抵触す
 る場合、訴訟を提起する可能性が
 あります

・必要に応じて弁護士等の外部の専
 門家と連携して最善策を講じるた
 めの体制を整えています

訴訟に関するリスク

・事業活動に関連して、医薬品の副
 作用や製造物責任等について訴訟
 が提起される可能性があります

・必要に応じて弁護士等の外部の専
 門家と連携して最善策を講じるた
 めの体制を整えています

その他のリスク

・自然災害やサイバー攻撃、パンデミ

 ック等により当社の事業活動が停滞

 する可能性があります

・BCP(事業継続計画)の策定と
 継続的改善を行っています

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。

①経営成績等

(財政状態)

当社は「医薬品事業」のみを報告セグメントとしており、当連結会計年度の連結業績は以下の通りです。

当連結会計年度末の総資産は3,287億7千9百万円となり、前連結会計年度末と比べて148億6千1百万円増加しました。これは主に、時価評価に伴う投資有価証券の増加、新研究棟建設に伴う建設仮勘定の増加によるものです。

当連結会計年度末の負債合計は616億9千6百万円となり、前連結会計年度末と比べて61億8千7百万円増加しました。これは主に、繰延税金負債の増加によるものです。

当連結会計年度末の純資産合計は2,670億8千2百万円となり、前連結会計年度末と比べて86億7千4百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加及び為替の変動に伴う為替換算調整勘定の増加によるものです。

(経営成績)

売上高は、1,417億6百万円(前年同期比10.4%増)となりました。

国内市場において、医療用医薬品事業は、2023年4月の薬価改定や継続的な後発品使用促進策による影響を引き続き受けた一方で、2022年6月に腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎への効能追加に関する承認事項一部変更承認を取得した経皮吸収型非ステロイド性疼痛治療剤「ジクトルテープ」等の売上の増加や、2023年6月に販売を開始した原発性手掌多汗症治療剤「アポハイドローション20%」の売上が寄与し、全体では前年同期比2.5%の増収となりました。一般用医薬品事業は、新型コロナウイルス感染症に関する行動規制が緩やかになったことに伴う人流の回復や各種イベントの開催に加え、訪日外国人の増加に伴いインバウンド需要が回復傾向にある中で販促活動の強化を行ったことにより、前年同期比27.0%の増収となりました。なお、2023年7月には、「エスカップ」「ラカルト」の両ブランドに関連する資産等の一部譲受に関する契約を締結し、2023年10月にエスエス製薬株式会社からの一部譲受を完了しました。また、2024年2月には、「エスカップ」「ラカルト」の価値最大化を図るべく、新パッケージでの発売を発表しました。

一方、海外市場において、医療用医薬品事業は、米国で後発品の影響を受けたものの、女性ホルモン製剤の需要の高まりや円安の影響もあり、前年同期比5.2%の増収となりました。一般用医薬品事業は、積極的な販売活動により米国やアジアを中心としたその他の地域で売上を伸ばしたことに加え、円安の影響もあり、前年同期比16.5%の増収となりました。

営業利益は、131億6千7百万円(前年同期比13.5%増)となりました。主な要因は売上の増加に伴い売上総利益が増加したことによるものです。

経常利益は、196億4千9百万円(前年同期比22.4%増)となりました。主な要因は営業利益および受取利息の増加によるものです。

親会社株主に帰属する当期純利益は、139億6千9百万円(前年同期比19.0%増)となりました。主な要因は経常利益の増加によるものです。

 

 

〔地域別売上高〕

(単位:百万円)

 

2023年2月

2024年2月

増減額

増減率

売上高

128,330

141,706

+13,375

+10.4%

医療用医薬品

日本

53,135

54,437

+1,302

+2.5%

海外

16,672

17,545

+873

+5.2%

 米国

11,567

11,530

△36

△0.3%

 その他地域

5,105

6,015

+909

+17.8%

一般用医薬品

その他

日本

18,373

23,337

+4,964

+27.0%

海外

37,020

43,133

+6,113

+16.5%

 米国

16,727

19,506

+2,778

+16.6%

 その他地域

20,292

23,627

+3,334

+16.4%

その他事業

日本

3,127

3,251

+123

+3.9%

 

 

[医薬品事業]

当連結会計年度の国内の医療用医薬品事業につきましては、継続的な医療費抑制策の推進による影響もあり、先行きが不透明な環境下で推移しました。

このような状況の中、当社は、経皮吸収型貼付剤を中心として、デジタルマーケティングを効果的に活用しながら、医療関係者への適正かつ、きめ細やかな学術情報活動、すなわち有効性・安全性に関する情報の提供・収集活動を展開するとともに、ケトプロフェン含有の経皮鎮痛消炎剤「モーラステープ」及び「モーラスパップXR」、経皮吸収型エストラジオール製剤「エストラーナテープ」、鎮痛効果の高いフェンタニルクエン酸塩含有の経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」、エメダスチンフマル酸塩含有の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤「アレサガテープ」、ジクロフェナクナトリウム含有の経皮吸収型持続性疼痛治療剤「ジクトルテープ」などの適正使用促進活動に努めました。

2023年6月には、1日1回就寝前に手掌に塗布することで効果を発揮する、日本初の原発性手掌多汗症治療剤「アポハイドローション20%」の販売を開始し、同時に手汗のお悩み解決情報サイト「みんなの手の汗サイト」をオープンする等、手掌多汗症でお悩みの方々に寄り添う事を目指しています。

経皮鎮痛消炎剤「モーラステープ20㎎」「モーラステープL40㎎」の包装袋について、2023年6月に公益社団法人日本包装技術協会が主催する第47回木下賞において「包装技術賞」を、また2023年8月に同協会が主催する2023日本パッケージングコンテストにおいて「適正包装賞」を受賞しました。本受賞は、環境に配慮した包装袋として、一次包装に医療用医薬品で初めてリサイクルPET80%を採用し、廃棄物削減に取り組みながらも従来品と同等の品質を実現したことによるものです。

次に、国内の一般用医薬品事業につきましては、新商品を投入し、店頭・デジタルマーケティングの双方を活用して新規顧客創造活動に努めました。

2023年3月には、鎮痛消炎シップ剤「フェイタスZジクサスシップF」7枚入、同年4月には、鎮痛消炎プラスター剤「サロンパスホット」3枚入を新発売しました。2024年2月には経皮鎮痛消炎テープ剤「フェイタス5.0」「フェイタス5.0 大判サイズ」をリニューアル発売し、優れた殺菌力ときめ細やかな泡立ちで、全身丸ごとしっかり洗浄する「ブテナロックメディカルソープフット&ボディ」「ブテナロックメディカルソープフット&ボディつめかえ用」を新発売しました。

2023年7月には「エスカップ」「ラカルト」の両ブランドに関連する資産等の一部譲受に関する契約を締結し、2023年10月にエスエス製薬株式会社からの一部譲受を完了しました。また、2024年2月には、「エスカップ」「ラカルト」の価値最大化を図るべく、新パッケージでの発売を発表しました。

海外の一般用医薬品事業につきましては、販売促進活動に努め、米国のOTC医薬品(一般用医薬品)市場の鎮痛消炎貼付剤市場においてサロンパスブランドが販売額シェア1位(2023年1月から12月累計販売金額)を獲得しています(Information Resources,Inc.)。

また、ユーロモニター社より、「Salonpas」がOTC医薬品(一般用医薬品)市場の鎮痛消炎貼付剤カテゴリーにおいて、7年連続で販売シェア世界No1ブランドの認定を受け、同時に同カテゴリーにおいて「久光製薬」が6年連続で販売シェア世界No1企業の認定を受け、2023年5月17日に認定証を授与されました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して9億4千1百万円増加し、663億6千6百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは181億8千8百万円の収入(前連結会計年度は127億2千7百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(191億8千6百万円)、減価償却費(51億1千万円)、法人税等の支払額(40億1千7百万円)などによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは25億1千2百万円の支出(前連結会計年度は238億6千8百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の減少額(155億7千2百万円)、有形固定資産の取得による支出(129億2千4百万円)、事業譲受による支出(68億円)などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは166億9千1百万円の支出(前連結会計年度は146億8千7百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出(97億9千6百万円)、配当金の支払額(65億7千8百万円)などによるものです。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

自己資本比率(%)

80.9

84.1

83.5

81.6

80.5

時価ベースの

自己資本比率(%)

128.4

181.0

96.4

94.6

89.2

キャッシュ・フロー

対有利子負債比率(年)

0.06

0.30

0.13

0.17

0.11

インタレスト・カバ

レッジ・レシオ(倍)

1,387.1

531.8

936.7

820.7

986.7

 

自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

117,526

3.0

合計

117,526

3.0

 

(注) 1 金額は販売価格により算定したものです。

 

(受注実績)

当社グループは受注生産は行わず、全て一般市場の動向等を勘案し、見込生産を行っています。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

138,455

10.6

その他

3,251

3.9

合計

141,706

10.4

 

 

(注) 1 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

大木ヘルスケアホールディングス㈱

15,200

10.7

㈱メディパルホールディングス

13,803

10.8

14,778

10.4

アルフレッサホールディングス㈱

13,587

10.6

 

 (注) 該当年度において販売実績の割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループ経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

 

②資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、円滑な事業活動に必要となる流動性の確保と財務の健全性及び安全性の確保を資金調達の基本方針としており、市場環境等を考慮した上で、有効かつ機動的な資金調達を実施していきます。資金需要としては、製品製造費用、商品仕入、研究開発費及び販売費などの運転資金のほか、事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資が中心となりますが、資金の源泉については、内部資金を充当しています。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2021年9月17日発表の「第7期中期経営方針」において、ROE(自己資本利益率)8%以上を2025年度の目標としています。

当連結会計年度における、ROE(自己資本利益率)は5.4%(前年同期比0.7ポイント増)となりました。

目標達成に向けた主な取組課題については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。

この連結財務諸表の作成に際し、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いています。これらの見積りは、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき合理的に判断し実施していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(共同販売契約)

(1)当社は、2008年6月18日に協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区)と、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」について、日本国内における共同販売契約を締結しました。

①契約の相手会社の名称

協和キリン株式会社

②契約内容

当社が製造販売承認を取得した経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」についての協和キリン株式会社との日本国内における共同販売契約。

③対価の金額

契約一時金として対価を受け取っています。

 

(販売契約)

(1)当社は、2019年2月5日に協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区)と、経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療剤「ハルロピテープ」について、日本国内での販売に関する契約を締結しました。

①契約の相手会社の名称

協和キリン株式会社

②契約内容

当社が製造販売承認を取得した経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療剤「ハルロピテープ」についての日本国内での販売に関する契約。

③対価の金額

契約一時金の他、承認取得時マイルストン、売上高に応じたマイルストンを受け取ります。

 

 

6 【研究開発活動】

〔医薬品事業〕

当社は、貼付剤の開発を中心に、医療現場のニーズに基づいた研究開発活動を行っています。

国内の医療用医薬品につきましては、原発性手掌多汗症治療剤「アポハイドローション20%」(開発コード:HP-5070、一般名:オキシブチニン塩酸塩)は、2022年4月21日に製造販売承認申請を行い、2023年3月27日に承認を取得しました。また、経皮吸収型鎮静剤HP-6050は、せん妄、精神運動興奮状態、易怒性を呈している患者を対象に、本剤を投与した際の有効性、安全性について、本剤のプラセボを対照に検討する国内第Ⅱ相臨床試験を実施中です。

米国の医療用医薬品につきましては、経皮鎮痛消炎剤HP-5000(一般名:ジクロフェナクナトリウム)は、米国第Ⅲ相臨床試験の結果が2022年10月に判明しましたが、有効性を検証するに至りませんでした。本試験から得られた成績の詳細な分析を行い、開発の継続可能性を検討しています。経皮吸収型注意欠如・多動症治療剤「XELSTRYM」(開発コード:d-ATS 、一般名:d-アンフェタミン)は、2022年3月22日に新規承認を取得し、2023年6月5日に米国にて発売を開始しました。

また、2021年12月20日にラクオリア創薬株式会社とライセンス契約を締結した新規ナトリウムチャネル遮断薬については、本化合物を含有する新たな疼痛治療薬の前臨床試験を実施中です。

国内外の一般用医薬品につきましては、新商品の開発および既存商品の改良等を行っています。また、サステナビリティ推進の一環として環境に配慮した商品改良にも取り組んでいます。

研究開発力の一層の強化を図るため、研究体制の再構築を進めています。2024年2月には、佐賀県鳥栖市に新研究所として「SAGAグローバルリサーチセンター」を竣工しました。佐賀県鳥栖市と茨城県つくば市の2拠点にあった研究機能を1拠点に集約し、研究者間の連携と研究開発機能の最大化による開発スピードの向上、また生産部門との連携強化を図ってまいります。

 

〔その他〕

その他、一部研究開発活動を行っていますが、少額であり特に記載すべき事項はありません。

 

上記の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、8,614百万円になりました。