第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針

当社グループは、「時流を先見した『こだわり』の限りなき追求」という経営理念のもと、「一人でも多くのお客様に喜びと感動を与え共に幸せになろう」というミッションを掲げ、店舗展開をしております。その方向性としては、「日本を豊かにする『食』の専門店集団を目指す」というビジョンにより、専門性の高い飲食店をひとつひとつ丁寧に増やしてゆくことを目指しております。当社グループは今後も社会的責任を果たしながら、継続的な企業価値向上に向けて努力してまいります。

 

(2) 重視する経営指標

当社グループは、持続的な成長を実現するための企業力強化と安定した経営資源の確保を図るため、主に大都市圏の駅前一等立地の路面に、主力業態である「磯丸水産」と、次の主力業態となり得る「大衆酒場」業態を中心に、幅広い客層に対応できる業態を展開するほか、地方都市での店舗展開を進めることで、経常利益額の最大化を図ってまいります。

 

(3) 中期的な経営戦略

当社グループの中期的な経営戦略といたしましては、顧客ニーズに応えた新業態の開発、着実な新規出店、店舗運営力の強化などによるオーガニックな成長を図ることへ継続的に取り組むと共に、全国展開を見据えた地方都市での直営及びFC形態の出店を進め、更なる成長を図ってまいります。

 

(4) 対処すべき課題

外食産業を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの5類移行によって事態が収束へ向かっているものの、インフレによる物価高や賃金の上昇という課題に直面しており、先行きは依然不透明な状況が続いております。当社グループでは、インフレの影響として一部原材料の値上げはあるものの、メニューの見直しや価格の改定を通じて、原価率の抑制も重要な課題であり、一定程度の賃上げも必要かつ有効な方策であると認識しております。

当社グループといたしましては、こうした諸課題への積極的な取り組みを通じて、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。なお、具体的な施策は以下のとおりです。

 

① インフレによる物価高への対応

当社グループにおける物価高の影響は、主に魚介類・アルコール類等の原材料から水光熱費・人件費(採用費)等の販管費全般に及びます。

原材料の値上がりに対しては、これまで商品規格の見直しやグループ企業との共同購買、一部の商品の価格改定を通じて対応してきました。引き続き、同様の取り組みを行ってまいりますが、必要に応じて更なる販売価格への価格転嫁なども視野に入れてまいります。水光熱費の値上がりに対しては、全店の節電活動を通じて影響を最小限に抑える取り組みを継続してまいります。

 

② 人財の獲得・育成

今後の更なる成長に向け、店舗運営体制の整備、ひいては人財の獲得・育成は重要な課題です。当社グループとしては、人事制度の見直しや賃上げを通じて、採用条件や待遇を改善し、優秀な人財の獲得や人財流出の抑制に取り組んでおります。また、特定技能1号試験に合格した外国人を積極的に採用しています。特に外国人の場合は、採用すればそれで終わりということではなく、様々な研修によって早期の戦力化を図り、定期的なフォローで定着を促していくことも肝要です。今後は、外国人育成・支援体制も強化しながら、生産性の向上に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりです。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、代表取締役社長を委員長とし、グループ会社社長を含めたサステナビリティ委員会を設け、組織的にサステナビリティへの取り組みを推進しております。

 


 

(2) 戦略

① サステナビリティ基本方針

当社ビジョンである『日本を豊かにする「食」の専門店集団を目指す』の考え方のもと、当社グループは、食の様々なシーンを通じてステークホルダーに対し「豊かさ」を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献し、長期的なグループ企業価値向上を目指します。

 

② 人財育成及び環境整備方針
a. 人財育成方針

私たちは、何事もあきらめず、挑戦をし続ける人財こそが、変化対応力に優れ、お客様をはじめとするステークホルダーの多様な期待に応えられるものと考えています。こうした人財を育てるため、私たちは、チャレンジを尊重する社風を大切にし、自律的に知識や能力を伸ばすことができる教育・研修を提供していきます。

 

b. 環境整備方針

私たちは、当社ミッションである『ひとりでも多くのお客様に喜びと感動をあたえ共に幸せになろう』を実現すべく、年齢、性別、国籍等にかかわらず、個の多様性を活かしてそれぞれの能力を最大限発揮することが重要であると考えています。そのため、従業員一人ひとりが、その役割や地位を超えて尊重しあえる職場環境・制度を整備し、働きがいのある職場づくりを推進していきます。

 

③ 現状分析とマテリアリティ候補の抽出

当社グループが優先して取り組む課題として、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社事業にとっての重要性」の双方が高いと考えられる5項目をマテリアリティ(重要課題)として選定しております。

 


 

 

また、各マテリアリティは、当社グループの事業活動に対して様々なリスクと機会を及ぼすものであり、当社グループはこれらに対応していくことが重要であると考え、想定されるリスクと機会を抽出し、対応方針を定めております。

 

マテリアリティ

想定される
主なリスク

想定される
主な機会

影響度

対応方針

 

 

食の安全、安心

・食品事故の発生によるお客様の健康への影響
・食品事故発生による信頼の低下

お客様など各ステークホルダーからの信頼獲得

・内部衛生巡回
・外部衛生点検
・店舗内使用食材の細菌検査
・店舗調理器具のふき取り検査
・従業員の腸内細菌検査
・従業員のノロウィルス検査
・取引先食品工場監査
・仕入れ食材の検査

 

 

 

食品ロスの削減

・食品ロスへの対応遅れによるお客様減少
・コスト上昇

・お客様など各ステークホルダーからの信頼獲得
・コスト削減

・食品循環資源の再生利用
・複数メニューにおける食材の共通化
・日次でのロス要因分析

 

 

多様な人財の活躍

・人財獲得競争からの遅れ
・働き手不足による営業時間の短縮
・採用コスト上昇
・評判信頼の低下

・働きがいの向上による会社の成長
・イノベーションが起きやすい環境づくり
・様々なバックグラウンドをもつ人財の獲得
・登用ルートの増加

・短時間勤務制度
・障がい者雇用の促進
・外国人社員の積極的な登用、教育

 

 

 

働きがいのある職場環境

・人財不足による成長の鈍化
・人件費増

・優秀な人財の獲得
・生産性の向上
・採用率、定着率の向上

・健康診断の実施(2回/年)
・有給休暇取得の推進
・人事制度の改定
・ストレスチェックの実施
・永年勤続表彰の実施
・育児休暇取得の推進

 

 

 

脱炭素社会への貢献、環境汚染の抑止

・規制強化と対応コストの増加
・自然災害による営業停止
・物流ネットワークの停止
・対応遅れによる評判・信頼の低下

・炭素税の負担軽減によるコスト減
・省エネによるコスト減
・各ステークホルダーからの信頼獲得

・LED照明の導入
・省エネルギーの推進
・プラスチック容器使用量の削減

 

 

※○:影響中、◎:影響大

 

また、気候変動に関しては、「脱炭素社会への貢献、環境汚染の抑止」をマテリアリティに位置付けております。気候変動は、当社グループの事業活動に対して様々なリスクと機会を及ぼすものであり、これらに対応していくことが重要であると考え、事業活動に与える気候変動のリスク(移行リスクと物理的リスク)と機会を抽出し、それぞれの対応方針を定めております。

 

種類

項目

想定される
リスク・機会

影響度

顕在
時期

対応方針

 

2℃
未満

4℃

 

移行

リスク

政策・法規制

環境法規制の強化

・プラスチック製品等の使用に関する規制が強化されることによるコスト増加

短期

プラスチック製品使用を減少させる取り組みの推進

 

 

移行

リスク

炭素税導入

炭素税導入

炭素税の導入によるコスト増加

中期

省エネルギー設備等の導入の推進

 

 

移行

リスク

市場

・食品供給の不安定化
・価格上昇

環境負荷の少ない食品等の供給の不安定化と、それによる価格の上昇

短期

・多様な業態、多様なMDの展開によるリスク分散
・サプライヤーとの協力による代替食品の開発
・価格転嫁の実施

 

 

 

移行

リスク

市場

エネルギー価格上昇

再生可能エネルギーへの転換に伴うエネルギー価格の上昇

中期

省エネルギー設備等の導入の推進

 

移行

リスク
・機会

評判

消費者行動の変化

・環境への取り組みや環境への取り組みに関する情報提供による売上増加、またはこれらの欠如による売上減少
・環境負荷の高い商品の売上の減少、及び環境負荷の低い商品の売上の増加

短期

・環境への取り組みの強化
・環境への取り組みに関する情報の発信の強化
・環境負荷の低い商品、業態の強化

 

 

 

移行

リスク
・機会

評判

・投資家行動の変化
・従業員行動の変化

環境への取り組みや環境への取り組みに関する情報提供の強化による投資家・従業員からの評価向上、またはこれらの欠如による評価低下

短期

・環境への取り組みの強化
・環境への取り組みに関する情報発信の強化

 

 

物理的
リスク

急性

自然災害

激甚化

・自然災害の規模の拡大・頻度の上昇によるお客様の来店機会の損失
・サプライチェーンの寸断による食品供給の不安定化

中期

・BCPプランの高度化の推進

(災害発生時の損失最小化を含む)
・仕入ルートの分散化

 

 

物理的
リスク

慢性

・食品供給の不安定化
・価格上昇

食品供給の不安定化と、それによる価格の上昇

長期

・多様な業態、多様なMDの展開によるリスク分散
・仕入れルートの分散化
・メニューの変更、価格転嫁の実施

 

 

※短期:10年以内、中期:30年以内、長期:30年超

※△:影響小、○:影響中、◎:影響大

 

(3) リスク管理

当社グループは、サステナビリティに関するリスクの管理を経営上の重要課題として位置付け、サステナビリティ委員会の当社各部、及び各グループ会社がサステナビリティに関するリスクの情報を収集・認識した上で、同委員会においてその評価や対応策の検討を行い、定期的に取締役会に報告することとしております。

 

(4) 指標及び目標

① 多様な人財の活躍、働きがいのある職場環境に関する目標

 人財育成及び環境整備方針に関連して、2025年2月期に向けた各種目標の設定をしております。

a. 女性の活躍について

当社グループの従業員のうち、女性の管理職の比率は8.2%(2024年2月末時点)であり、2025年2月期に11.8%を目指してまいります。

なお、当社グループの男女間賃金格差は、女性平均が対男性平均に対して74.7%(2024年2月末時点)であり、2025年2月期に75.7%を目指してまいります。

 

 

b. 職場環境について

当社グループの従業員のうち、育児休業取得率は45.2%(2024年2月末時点)であり、2025年2月期の目標値は45%とし、同水準の維持を目指してまいります。

なお、男性の育児休業取得率については34.6%(2024年2月末時点)であり、2025年2月期の目標値は34%とし、同水準の維持を目指してまいります。

 

② CО排出量に関する目標

 気候変動のリスク・機会を管理するための指標として、CО2排出量の削減目標を設定いたしました。

 エネルギーの使用の合理化等に関する法律の規程に基づく定期報告書より算出されるCО2排出量について、2022年4月から2023年3月までの実績は7.8%削減(2013年度比)であり、2030年までに50%削減(2013年度比)を目指してまいります。※ 集計対象SFPダイニング株式会社

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

 

 (1) 消費者嗜好の変化及び競合について

外食業界では、他業界と比較すると参入障壁が低いため新規参入が多く、また継続的な価格競争等もあり、非常に厳しい競合状態が続いております。当社グループは、「磯丸水産」を主力業態として、複数業態による店舗展開を行っております。その中で当社グループは、お客様からより高い支持をいただけるよう、各業態ともに、市場ニーズや消費者嗜好の情報を収集しながら、新しい発想を取り入れ、一店舗一店舗こだわりをもった店づくりに取り組むと同時に、料理・サービス力の向上、店舗設備の改善等を継続的に図ることにより、競合店舗との差別化を図っております。しかしながら、市場ニーズ及び消費者嗜好の変化が当社グループの予想以上に進んだ場合、若しくは、今後当社グループの店舗と同様のコンセプトを持つ競合店舗の増加等により競合状態がさらに激化した場合には、各業態の集客力が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (2) 人財の確保及び育成について

当社グループが主として展開する飲食店事業の展開においては、十分な人財の確保及び育成が不可欠です。したがって知名度の向上や採用手法の多様化等により人財の確保に努めており、また、社員の階層に合わせたEラーニング等を活用した研修プログラムの導入、実践的な技術指導を通じた人財教育等により、お客様満足度の向上と円滑な店舗オペレーションの推進に取り組んでおります。

しかしながら、人財採用環境の変化等により必要な人財が集まらない場合や、採用した人財の教育が一定レベルに到達せず店舗を管理できる人財が十分確保できない場合は、各店舗の集客力の低下、営業時間の短縮や計画通りの出店が困難となること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (3) 出退店政策について

当社グループは主に、高い集客が見込める都心部及び郊外の主要駅周辺に出店しており、新規出店に際しては、立地条件、賃貸条件、予想投資回収期間等を総合的に検討して、出店候補地を決定しております。しかしながら、出店条件に合致する出店候補地を確保できず、新規出店が計画通り遂行できない可能性があり、また、出店候補地を確保して新規出店した場合においても、出店後の環境変化等により、当社グループの事前の検討結果どおりにならず、計画した店舗収益を確保できない可能性があります。

また、当社グループでは業績不振店舗については、月次の店舗ごとの損益状況等を踏まえて退店基準に基づいて検討し、業態転換、退店を実施することがあります。そのほか、定期賃貸借契約に基づき出店している店舗については、再契約が行われないことにより退店することがあります。業態転換や退店を実施した場合、固定資産の除却損や退店に係る減損損失の計上、賃貸借契約等各種契約の解約による違約金、退店時の原状回復費用等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (4) 食材の安全性、調達について

食材につきましては、「安心」「安全」が特に問われる環境下にあり、以前にも増して安全な食材の調達が重要になっております。当社グループ使用の食材において、安全性が疑われる問題等が生じた場合や食材市況の変動等により食材を安定的に調達することが難しい状況になった場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、天候不順や災害、国際紛争、エネルギー価格の高騰、物流コストの上昇、ウイルスの流行、検疫制度を含む法令改正等の外的要因により提供する食材の調達に制限を受けた場合、需給関係が逼迫して仕入コストが上昇する等の場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (5) 未知のウイルス感染症の流行について

当社グループにおける新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、行政による休業要請、助成金の受給、客足の鈍化、衛生管理の徹底化など多岐に渡りました。2023年5月、新型コロナウイルス感染症の位置付けが季節性インフルエンザと同等の「5類感染症」に変更されたことにより、感染症法に基づく外出自粛や基本的感染対策の必要性はなくなりました。しかしながら、今後、新たに未知のウイルスが流行した場合は、新型コロナウイルス感染症拡大時と同様に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (6) 法的規制等について

当社グループは、居酒屋業態の店舗を展開しておりますが、その運営に係る法令・規制等は多岐にわたっております。当社グループでは、顧問弁護士等に関係法令・規則等の確認を適宜行いながら、総務部・人事部を中心に法令・規制等遵守の体制を整えておりますが、重大なコンプライアンス上の問題が発生した場合や、法令・規制等の改正等により当社グループの社内体制を大幅に変更しなければならない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当社グループに係る法令・規制等のうち特に影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりです。

 

① 食品衛生法

当社グループは「食品衛生法」に基づき、所管保健所より飲食店営業許可を取得し、全ての店舗に食品衛生管理者を配置しております。各店舗におきましては、衛生管理マニュアルの運用の徹底、衛生管理教育や外部機関のチェック等により衛生管理体制の強化を図っており、また衛生管理マニュアルを随時見直すことにより最新の情報の反映を行っておりますが、仮に食中毒に関する事故が発生した場合や食品衛生法の規定に抵触するような事象が発生した場合には、食品等の廃棄処分、営業許可の取り消し、営業の禁止、若しくは一定期間の営業停止等の処分、被害者からの損害賠償請求、信用力の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

深夜12時以降も営業する店舗につきましては、深夜営業について「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」により規制を受けており、各店舗への周知徹底等を通じて規制の遵守に厳重に取り組んでおりますが、法令違反等が発生した場合には、一定期間の営業停止が命じられる等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ 外国人の労働条件に係る法令等について

当社グループの店舗では外国人がパートタイマー・アルバイト等として働いております。外国人の労働に関しては、出入国管理及び難民認定法により規制されております。当該法律の改正等により規制が変更された場合、雇用条件の変更、外国人就業者の減少、管理コストの増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④ 個人情報の管理について

当社グループは、従業員の情報及び店舗にご来店頂いたお客様の情報等の個人情報を保有しており、全社を挙げてその適正な管理に努めておりますが、万が一個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合には、社会的信用の失墜、損害賠償請求の提起等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 商品表示について

当社グループは、メニュー表記上の産地の表示や、店舗に供給する食材の原材料名については、十分なチェックを行った上で表示しておりますが、その内容に重大な誤り等が発生した場合には、当社グループに対する信用の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)に係る規制について

2001年5月に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」が2007年6月に改正され、同年12月より食品廃棄物等の発生量が年間100トン以上の外食事業者は、毎年度、主務大臣に定期報告を行うことが義務付けられております。また、食べ残し等の食品廃棄物について、発生抑制と減量化により最終的に処分される量を減少させるとともに、肥料等の原材料としての再生利用を促されております。

そのため、今後法的規制の強化が行われた場合は、規制に対応するため設備投資等に関連する新たな費用が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (7) 商標管理について

当社グループが新たな業態の店舗を出店する際には、商標の出願、登録を行うか、若しくは商標登録には馴染まない一般的な名称を用いた店舗名を使用する等、第三者の商標権を侵害しないように常に留意しております。万が一当社グループが第三者の商標権等の知的財産権を侵害していると認定され、その結果、損害賠償請求、差止請求等がなされた場合、若しくは、当該事項により当社の信用力が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (8) システム障害について

店舗の売上管理、食材の受発注、勤怠管理等のシステムの運営管理は、専門の外部事業者を利用するとともに、バックアップ体制を十分に構築しておりますが、災害や機械の故障、ウイルスの侵入等不測の事態によりシステム障害が発生した場合には、当社グループの運営に支障をきたすことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 (9) 自然災害及び天候の影響について

当社グループの多数の店舗が首都圏に集中しており、首都圏において大規模な地震や台風等による災害が発生した場合、若しくは長期的な天候不順やゲリラ豪雨等に見舞われた場合、その直接的、間接的影響による販売低迷等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 敷金及び保証金の回収について

当社グループは、賃借により出店を行うことを基本としております。店舗の賃借に際しては賃貸人へ敷金及び保証金を差入れております。賃貸借契約に際しては、賃貸人の信用状況の確認等を行い十分検討しておりますが、契約期間満了による退店や当社の都合によって契約を中途解約する等の時において、賃貸人の財政状態等により敷金及び保証金が回収不能となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

なお、2024年2月末時点で連結貸借対照表に敷金及び保証金が2,801百万円計上されております。

 

(11) 親会社グループとの関係について

当社の親会社である株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、2024年2月末現在、当社発行済株式のうち13,435,500株(議決権比率58.96%)を所有しております。
  今後においても、連結関係を維持するために必要となる当社株式数を継続的に所有する方針を親会社は現時点で有しております。

 

① 親会社グループにおける当社グループの位置付け

当社グループを除く親会社グループの主力事業は、郊外の商業施設等におけるレストラン及びフードコートの展開であり、当社グループの主力事業は、繁華街の路面店における居酒屋の展開であります。このように、当社グループを除く親会社グループと当社グループとは主力事業が異なり、事業の棲み分けがなされていることから、現在競合となりうる状況は発生しておらず、今後発生する見込みも現時点ではありません。しかしながら、将来的に親会社の経営方針に変更が生じた場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 親会社グループとの取引関係

以下の項目において親会社等との間で精算取引等が発生しております。

・親会社が株主に贈呈する「株主様ご優待券」利用による飲食代金の親会社に対する売掛金

・親会社の100%子会社である株式会社クリエイト・レストランツによる当社ブランド「磯丸水産」及び「磯丸水産食堂」のフランチャイズ展開に係るロイヤリティ

・当社子会社である株式会社クルークダイニングによる株式会社クリエイト・レストランツブランド「抹茶館」のフランチャイズ展開に係るロイヤリティ

 

③ 親会社グループとの人的関係

本書提出時点において、当社取締役8名のうち、親会社の従業員1名が、当社取締役を兼任しております。これは上場会社グループにおける知見の活用、コーポレート・ガバナンス体制の強化を主な目的としたものです。兼任している従業員は以下のとおりです。

当社における役職

氏名

㈱クリエイト・レストランツ・ホールディングスにおける役職

取締役(非常勤)
(監査等委員)

石井 祐輔

監査等委員会室長

 

 

④ 親会社グループとのその他特別な関係

当社グループを除く親会社グループとの間において上記の他に特別な関係はありません。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類感染症に移行されたことで、人流が徐々に拡大し、インバウンド需要の増加等も相まって緩やかな回復の兆しが見えています。一方で、物価の上昇や急激な為替変動、世界的な金融引き締めによる経済活動の減速など、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。

外食産業におきましては、インバウンド需要が引き続き旺盛であり、売上は年間を通じてコロナ前を上回り堅調に推移しております。当社が主に展開する居酒屋業態では、人流回復やインバウンド客の増加により昨年比では売上を伸ばしているものの、団体や深夜帯利用の回復は緩やかなものに留まっております。

このような状況の中で当社グループは、引き続き固定費の増加抑制に努めるとともに、食材価格の高騰を踏まえたメニュー改定や臨機応変な営業時間の見直し、人財採用の積極化など、収益性の改善に向けた取り組みを推し進めてまいりました。また、出店戦略においては、小型かつ低投資の大衆酒場業態の開発・出店を継続するとともに、地方都市での出店にも注力しております。

鳥良事業部門においては、「鳥良商店」を2店舗退店し、当連結会計年度末現在の店舗数は35店舗となり、当連結会計年度の売上高は5,165百万円(前期比19.3%増)となりました。

磯丸事業部門においては、「磯丸水産」を2店舗出店いたしました。一方で、「磯丸水産」1店舗を「焼きとん ふく助」へ業態転換したほか、「磯丸水産」を6店舗退店いたしました。また、「磯丸水産食堂」をフランチャイズで1店舗出店し、当連結会計年度末現在の店舗数は直営99店舗、フランチャイズ16店舗となり、当連結会計年度の売上高は17,614百万円(前期比26.5%増)となりました。

その他部門においては、「五の五」を3店舗出店したほか、「五の五」を「浜焼ドラゴン」から、「焼きとん ふく助」を「磯丸水産」からの業態転換により各1店舗出店いたしました。一方で、「きづなすし」を1店舗退店し、当連結会計年度末現在の店舗数は30店舗となり、当連結会計年度の売上高は4,253百万円(前期比35.4%増)となりました。

フードアライアンスメンバー(連結子会社)においては、株式会社ジョー・スマイルが「光の森珈琲」を「前川珈琲レストラン」から、「天草水軍」を「前川水軍」からの業態転換により各1店舗出店し、一方で、「平陽珍」を1店舗退店いたしました。また、株式会社クルークダイニングが「磯丸水産」及び「抹茶館」を各1店舗出店し、一方で、「豚さん食堂」を1店舗、「からあげセンター」2店舗(うち、1店舗はフランチャイズ)を退店いたしました。その結果、当連結会計年度末現在の店舗数は株式会社ジョー・スマイルが12店舗、株式会社クルークダイニングが13店舗となり、当連結会計年度の売上高は2,046百万円(前期比35.2%増)となりました。

なお、当連結会計年度において、店舗固定資産の減損損失を398百万円計上した一方で、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を498百万円追加計上し、法人税等調整額(益)を492百万円計上しております。

以上の結果、当連結会計年度末の総店舗数は、直営189店舗、フランチャイズ16店舗となり、当連結会計年度における当社グループの売上高は29,079百万円(前期比26.9%増)、営業利益は2,026百万円(前期は営業損失754百万円)、経常利益は2,236百万円(前期比41.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,731百万円(前期比214.9%増)となりました。

 

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ4,271百万円減少し、13,303百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

 

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ4,478百万円減少し、5,906百万円となりました。これは主に、現金及び預金が4,734百万円減少したことによるものです。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ207百万円増加し、7,396百万円となりました。これは主に、有形固定資産が216百万円、無形固定資産が44百万円減少した一方で、投資その他の資産が467百万円増加したことによるものです。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ722百万円増加し、4,407百万円となりました。これは主に、未払消費税等の減少によりその他が365百万円減少した一方で、短期借入金が700百万円、未払法人税等が316百万円増加したことによるものです。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ197百万円減少し、1,151百万円となりました。これは主に、長期借入金が220百万円減少したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ4,795百万円減少し、7,744百万円となりました。これは主に、利益剰余金が1,189百万円増加した一方で、自己株式の消却により資本剰余金が5,890百万円減少したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ4,698百万円減少し、4,516百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその主な増減要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、2,194百万円となりました(前連結会計年度は4,226百万円の資金増)。これは主に、税金等調整前当期純利益1,780百万円、現金支出を伴わない減価償却費618百万円、減損損失398百万円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、848百万円となりました(前連結会計年度は95百万円の使用)。これは主に、新規出店や改装のための有形固定資産の取得による支出778百万円、敷金及び保証金の差入による支出104百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、6,043百万円となりました(前連結会計年度は667百万円の使用)。これは主に、自己株式の取得による支出5,940百万円があったことによるものです。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、事業投資及び運転資金などです。

当社グループは資金の流動性確保のため、主に自己資金により、必要に応じて銀行借入によって調達することを基本方針としております。

なお、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

 

(5) 仕入及び販売の状況

当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため、事業部門別の状況を記載いたします。

 

① 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりです。

 

 

仕入高(千円)

前期比(%)

鳥良事業部門

1,305,925

125.7

磯丸事業部門

5,294,468

126.9

その他の部門

1,382,557

130.8

フードアライアンスメンバー

624,990

131.1

合計

8,607,941

127.6

 

 

② 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。

 

 

販売高(千円)

前期比(%)

鳥良事業部門

5,165,419

119.3

磯丸事業部門

17,614,217

126.5

その他の部門

4,253,770

135.4

フードアライアンスメンバー

2,046,234

135.2

合計

29,079,640

126.9

 

 (注) 磯丸事業部門については、フランチャイズ店からのロイヤリティ収入が含まれております。

 

 

(6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要である会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。

また、連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の減損、繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。

これらの見積りは、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析・検討内容

当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類感染症に移行されたことで、人流が徐々に拡大し、インバウンド需要の増加等も相まって緩やかな回復の兆しが見えていますが、物価の上昇や急激な為替変動、世界的な金融引き締めによる経済活動の減速など、先行きについては依然として不透明な経営環境が続きました。

他方、引き続き固定費の増加抑制に努めるとともに、食材価格の高騰を踏まえたメニュー改定や臨機応変な営業時間の見直し、人財採用の積極化など収益性の改善に向けた取り組みを推し進めてまいりました。また、出店戦略においては、小型かつ低投資の大衆酒場業態の開発・出店を継続するとともに、地方都市での出店にも注力しております。

その結果、売上高は29,079百万円(前期比26.9%増)、営業利益は2,026百万円(前期は営業損失754百万円)、経常利益は2,236百万円(前期比41.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,731百万円(前期比214.9%増)となりました。

 

③ 財政状態及びキャッシュ・フローの分析

当社グループの財政状態、キャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 財政状態の状況 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますのでご参照ください。

 

④ 経営戦略を踏まえた来期の見通し

2025年2月期につきましては、訪日観光客増加の追い風が続く一方で、人件費や光熱費、新規出店にかかる費用が増加する見込みですが、中期的な成長のため積極的な投資を行う方針です。

以上を踏まえ、次期の連結業績につきましては、売上高30,000百万円、営業利益2,100百万円、経常利益2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,500百万円を計画しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。