当社を取り巻く経営環境は、コロナ禍を経て生活者のライフスタイルや価値観が変化し、企業と人とのエンゲージメントへの注目の高まりやデジタル技術活用が進化しています。また、日本国内における少子高齢化が進行するとともに、訪日外国人マーケットの復活と多様化などが進んでいます。
当社グループが対処すべき課題は、このようなマーケットの多様化に対応し、消費者に対して価値ある商品やサービスを提供することにより収益拡大をはかり、成長性を高めることにあります。
① 国内事業について
当社グループは、『ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを』ご提供する事をミッションステートメントに掲げ、「社員の多様な個性をいかしたお客さま中心の経営」により地球と共生する「潤いと彩り」のある生活づくりに貢献する『生活文化創造企業』として前に進み続けることにより、中長期経営ビジョン『ONWARD VISION 2030』の実現を目指しています。
『ファッション領域』においては、多様なブランド・商品・流通戦略の推進をはかり、生活者の新たな価値観に沿った『ウェルネス領域』の成長加速や、時代性のある『コーポレートデザイン領域』の創造を進めていきます。また、OMO(Online Merges with Offline)型店舗の拡大やPLM(Product Lifecycle Management)等の最先端のDXを活用した事業の進化をはかっていきます。
② 海外事業について
当社グループは、海外事業の成長基盤強化を推進しており、ヨーロッパ地域では英国ロンドン発祥のコンテンポラリーデザイナーズブランドであるJOSEPH事業の成長を加速し、アメリカ地域では120年以上の歴史を持つ米国東海岸発祥のトラディショナルブランドであるJ.PRESS事業の成長を加速、アジア地域では成長著しいASEAN地域を含むアジアマーケットにおいて生産・販売両面での事業を拡大していきます。
③ 商品企画・生産・物流について
当社グループは、ものづくりプロセス(サプライチェーン)のデジタル化によるスピード化・価格の適正化・トレーサビリティ向上を目指す、「商品企画・生産・物流改革」を進めています。お取引先様との情報共有やデータ連携を行うことにより、可視化・効率化されたサプライチェーンの構築を進めていきます。
④ CSR(企業の社会的責任)とコンプライアンスについて
CSR経営については、お客さまをはじめとするすべてのステークホルダーから信頼される企業として、社会的企業価値を高める重要な経営課題と認識しています。
当社グループは、1927年の創業から永きにわたり「人々の生活に潤いと彩りをご提供すること」を経営理念として掲げてきました。さらに中長期経営ビジョン『ONWARD VISION 2030』において、これまでの経営理念のうえに、地球環境の潤いと彩りを大切にするサステナブル経営の理念を重ね合わせた、「ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを」という新しいミッションステートメントを定めました。取り組みとしては、サステナブル経営を推進するプロジェクト「Green Onward(グリーン・オンワード)」をスタートしています。具体的には、「オンワード・グリーン・キャンペーン」によるリユース・リサイクル・リメイク活動の拡大をしていきます。また、ロスのない生産体制を推進するため、オーダーメイド生産を拡大するとともに、PLM(Product Lifecycle Management)システムによりモノづくりの可視化を実現し、サプライチェーンにおけるトレーサビリティを向上させていきます。これらにより、「Green Onward(グリーン・オンワード)」をさらに深化させ、環境・社会貢献活動を一層推進していきます。
コンプライアンスについては、社会全体からコンプライアンス体制の充実がますます求められており、これを経営上の重要課題と位置づけ、またコーポレート・ガバナンスの体制強化をはかることにより、お客さまや株主の皆様はもとより社会全体から高い信頼を得るよう努めていきます。具体的には、コンプライアンス活動のあり方や倫理上の規範を示した「コンプライアンスマニュアル」を作成し、オンワードグループコンプライアンス委員会が中心となり、社内研修の実施など継続的な啓蒙活動を行い、周知徹底をはかっています。また、当社グループは、一般社団法人日本アパレルクオリティセンターを通じて、品質管理等に関するノウハウを活用した製品品質の維持および向上に努め、お客さまの満足度をさらに高めていくとともに、SCMにおいても、「オンワード認定工場制度」を通じて、協力工場の労働環境の改善に取り組んでいます。
個人情報保護法についても、「個人情報保護ガイドライン」を作成し、全役員および全従業員を対象に研修を実施し、継続的な啓蒙を行っています。
当社グループのサスティナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループでは、代表取締役社長を最高責任者とするサステナビリティ委員会を設置しています。委員会メンバーは各グループ会社社長とサステナビリティ責任者で構成され、サステナビリティリスクと機会を討議・決定する体制を取っています。
当社グループは、ミッションステートメントである「ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを」に沿った5つの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。
当社グループの事業活動やモノづくりに関する重要課題として、「1.地球と共生し、未来につながる事業活動」および「2.パートナー企業と共に」を定め、地球と共生するサステナブル経営を推進していきます。
具体的な取り組みとして、お客さまよりオーダーしていただいてから商品化する受注生産の拡大や、リアル店舗とEコマースの在庫データを統合し、双方向の商品移動をスムーズに行うことによる商品の効率運営、適量生産の実現、サステナブルな製品の開発など、地球環境への配慮とお客さま満足・利便性向上を両立させたモノづくり、OMOサービスを推進しています。また、衣料品の循環を促すことを通じて限りある資源を有効に活用し、かけがえのない地球環境を未来に引き継いでいく活動として「オンワード・グリーン・キャンペーン」を2009年よりスタートしました。ご愛用頂いた当社グループの衣料品をお客さまからお引き取りし、可能な限りリサイクル・リユースすることを通じて衣料品循環システムの構築を目指しています。
なお、気候変動に関する詳細な情報については、
「3.潤いと彩りに満ちた働き方」および「4.多様な個性と共に」では、多様で個性的な人財が活躍できる企業に進化するために、社員の働き方や多様な人財が活躍できる環境作りに関する取り組みを進めていきます。
コーポレート・ガバナンスの観点においては、「5.誠実で公正な経営」を重要課題に定め、経営環境の変化に迅速に対応するとともに、経営の健全性、公平性、透明性、遵法性を向上させることが、企業価値すなわち株主価値を高める重要な経営課題の一つと認識しています。
ガバナンスの詳細については、
人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループは、「社員の多様な個性を活かしたお客さま中心の経営」への進化に向け、変革を担う人財を内部育成、外部採用し、組織・人財プラットフォーム改革を進めることで、多様な個性的な人財が活躍できる企業へと進化していきます。
■ 働き方デザイン
業務効率化とワーク・ライフバランスの実現により生産性をあげることを目的に、社員が自発的に取り組み、働き方を変化させていく働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」を推進しています。残業削減や休日取得、仕事の効率化だけが目的ではなく、それによってできた時間を、新たな発想を形にするチャンス創りに、またイノベーションの創出につなげていきたいという思いで、この取り組みをスタートしました。
具体的には、普段一緒に仕事をしているチームで「自分たちがより良い働き方をするために何をすべきか」を考える「カエル会議」を開催しています。単に業務の進捗を共有するだけの会議でなく、メンバー全員が主体となってトライ&エラーを繰り返しながら、働き方を変えるだけに留まらず、その先の「ありたい姿」の実現を目指します。会議を進めていくうえで、心理的安全性を最優先事項とし、「どんな意見も出そう、出た意見を否定しない、リアクションをする」を意識することで、自由闊達な議論ができる風土を醸成しています。
また、2022年度から、前日の終業時刻と翌日の始業時刻との間を11時間確保する「勤務時間インターバル制度」を導入しました。一定の休息時間を確保することで、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフバランスを保ちながら働き続けることをサポートしていきます。
■ ダイバーシティ
人財戦略に基づき、多様性を歓迎し、多様で個性的な人財が活躍できる企業を目指します。今後、多様化するお客さまの価値観・ニーズに応え、そして社会に貢献していくためには、当社グループが多様で個性的な人財の活躍できる企業であることが重要だと考えています。
〔女性活躍の推進〕
ファッションビジネスに必要な新しい発想や新しい価値の提案は、個人の“違い”を尊重し、受け入れ、一人ひとりが能力を最大限に発揮することから生まれると考えています。社員が働きがいを持ち、より高いパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりを行うべく、人財部門にダイバーシティ推進セクションを設置し、各部署において、これまでの業務内容を見直し、より生産性を向上させる働き方を継続的に推進しています。
また、女性経営幹部候補の育成を行うため、経験豊かな先輩社員(メンター)が双方向の対話を通じて、後輩社員(メンティ)のキャリア形成上の課題解決や悩みの解消を援助して個人の成長をサポートする「メンター制度」を導入しています。
〔仕事と育児の両立支援施策の推進〕
多様で個性的な人財が活躍できる企業を目指すための施策として、仕事と育児の両立を支援しています。男性社員も女性社員と同様に育児休業を取得できる環境を整えることができるサポートとして、男性社員の育児休業取得を推進するため、管理職を対象としたマネジメント研修や、これからパパになる男性社員(プレパパ)およびこれからママになる女性社員(プレママ)を対象に、男性が育児休業を取得する必要性や夫婦での育児を学ぶセミナーを開催しています。
また、2022年度より、13種類のシフトの中から勤務時間を決定する「シフト選択制」を導入しました。社員が仕事とプライベートのバランスをとりながら充実感をもって働くことができる環境を目指し、11時間の勤務間インターバル制度と併せて運用しています。
当社グループは、リスク管理体制の構築のために「オンワードグループリスク管理規定」に従った管理体制を整備し運用しています。
サステナビリティに関わるリスクについても、統合的なリスク管理体制のもとで管理し、サステナビリティ委員会の中でより詳細に検討を行い、各部門におけるリスクへの取り組みの検討およびその実施を推進しています。
当社グループは、(2)戦略 において記載した「1.地球と共生し、未来につながる事業活動」「2.パートナー企業と共に」について、次のような指標を用いています。
当該指標に関する目標および実績は、次のとおりです。
※ 当連結会計年度の実績は、2024年9月に公表予定です。
詳細については、Webサイトをご覧ください。
また、当社グループでは、上記の(2)戦略 において記載した、「3.潤いと彩りに満ちた働き方」「4.多様な個性と共に」について、次の指標を用いています。当該指標に関する実績は、次のとおりです。
なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難です。このため、下記項目の実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社および中核事業会社である株式会社オンワード樫山のものを記載しています。
※当連結会計年度の実績は、2024年9月に公表予定です。
当社グループの事業その他に影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクには、以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生時の影響の最小化に努めて、事業を行っています。
なお、記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
① 消費者ニーズの変化に伴うリスク
当社グループではファッション商品における消費者ニーズに的確に対応するために、独自性と競争力をもつ商品開発に努めていますが、景気の変動による個人消費の低迷、他社との競合、ファッショントレンドの急激な変化などによって、当初計画した収益を確保できないおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、お客さまが必要とする商品情報を適時に収集し、即時に商品企画等に反映させ商品化することで当該リスクを下げる対応を行っています。
② 気象状況によるリスク
当社グループの主力となるファッション商品は天候により売上が変動しやすいため、短サイクルによる企画・生産体制を強化して対応していますが、冷夏暖冬など天候不順の長期化や度重なる台風の到来によって、最盛期の売上機会を逸するおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、継続的な事業活動に影響を及ぼすおそれのあるさまざまな自然災害等の発生時に被害を最小限に抑えるため、設備対応、調達先の分散、生産拠点におけるバックアップ体制の構築、適正在庫の確保などの対応を行っています。
③ 品質に関するリスク
当社グループは適切な「品質管理基準」を設定し、これを遵守することによって品質管理に努めていますが、今後このような管理体制に関わらず、当社グループまたは取引先に起因する事由によって製造物責任に関わる製品事故が発生し、企業・ブランドイメージの低下、多額の費用負担を招くおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは製造物責任にかかる保険を付保することで当該リスクを下げる対応を行っています。
④ 取引先に関するリスク
当社グループは取引先の経営状況ならびに信頼度を定期的に確認する内部体制を強化していますが、取引先の信用不安による貸倒れや大型商業施設の予期せぬ経営破綻などにより、損失が発生するおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新規取引先との取引開始時に必要に応じて与信・信用調査を行っており、当該リスクを下げる対応を行っています。
⑤ 知的財産権に関するリスク
当社グループは国内外で商標権など知的財産権を所有しており、法令の定めに則って権利の保全に努めていますが、第三者による当社グループの権利の侵害により、企業・ブランドイメージの低下、商品開発の阻害を招くおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、保有する知的財産権を管理し、新たな知的財産権の取得について適切な契約の締結・管理を行い、第三者の知的財産権を侵害するおそれがある場合には、事前に専門家を利用した調査・情報収集等を行っています。
⑥ 法的規制に関するリスク
当社グループは独占禁止法、下請法、景品表示法、消費生活用製品安全法や環境・リサイクル関連法規などに関する法令等に充分留意した事業活動を行い、オンワードグループコンプライアンス委員会を中心に法令遵守の重要性や内部統制手続の啓蒙を徹底して、コンプライアンス経営に努めています。しかし、今後このような管理体制に関わらず、従業員や取引先の不正および違法行為等に起因して問題が発生し、企業の社会的信頼の低下や損害賠償など多額の費用負担を招くおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報に関するリスク
当社グループは情報システムに関するセキュリティを徹底・強化し、また個人情報について「個人情報保護法についてのガイドライン」を定め、全役員、全従業員および関係取引先への周知をはかるなど、管理体制を強化していますが、今後、コンピュータへの不正アクセスによる情報流出や犯罪行為による情報漏えいなどによって問題が発生し、企業の社会的信頼の低下や多額の費用負担を招くおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 海外事業に関するリスク
当社グループの海外事業では、現地における天災、政変や社会・経済情勢、テロや戦争、為替レートの変動、知的財産権訴訟、伝染病といったリスクを内在しています。このような問題が顕在化したときは事業活動の継続が困難になるおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、生産拠点を複数の国・地域に分散するほか、各地域の拠点と緊密なコミュニケーションをとり、取引先や金融機関などから情報収集を行い、リスク発生時に迅速かつ適切な対応ができる体制を整えています。
⑨ 事業・資本提携に関するリスク
当社グループは成長戦略の一環としてM&A等により国内外に投資しています。予想範囲を超える事業環境の変化の影響によって、経営および財務状況の悪化が生じたときは、のれんの減損損失を計上するおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、投資効率を高めるため、事前に投資効果やリスク等を十分に検討し、設備投資に対する計画を策定した上で投資を実施し、当該リスクを下げる対応を行っています。
⑩ 災害によるリスク
当社グループは防災ハンドブックを作成し災害への対応方針を定めていますが、地震や水害など不測の自然災害、突発的な火災や事故、疫病の発生等によって、営業活動の中断を余儀なくされるおそれがあるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 新型コロナウイルス感染症の影響に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外のサプライチェーンの混乱、外出自粛要請による消費の減退、店舗の臨時休業や営業時間の短縮など、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、店舗や事業所における感染防止策の徹底や、テレワークによる在宅勤務を可能にする制度の導入などにより、感染拡大予防の対策を強化しつつ、新しい生活様式への対応や働き方改革を推進しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限の解除により、社会・経済活動の正常化が徐々に進んだことから、緩やかな景気回復の基調で推移しました。一方で、国際情勢に起因するエネルギー資源や原材料の高騰、為替の変動等による国内物価の上昇が、消費マインド・企業活動に影響を及ぼしており、景気の先行きは不透明な状況が続いています。このような状況の中、当社グループは、「クリック&トライ」サービスを導入したOMO(Online Merges with Offline)型店舗の運営力が向上したことや、SNSを活用したマーケティング施策の精度が上がったことなどから、リアル店舗およびオンラインストアへの来客数が増加し、売上高の増加に大きく貢献しました。また、グローバル事業構造改革の成果や、商品サプライチェーン効率化の進捗などにより、当期の営業利益率は前期と比べ上昇し、当連結会計年度において増収および全段階利益での大幅な増益となりました。営業利益は2008年度以降で過去最高益となりました。
以上の結果、連結売上高は1,896億29百万円(前期比7.7%増)、連結営業利益は112億60百万円(前期比115.9%増)、連結経常利益は101億26百万円(前期比90.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は66億11百万円(前期比116.0%増)となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりです。
[アパレル関連事業]
国内事業は、当社グループの中核事業会社である株式会社オンワード樫山において、『23区』などの主力ブランドが好調に推移しました。また、『UNFILO (アンフィーロ)』がヒット商品を創出するなどにより、売上高が大幅に伸長しました。また、『KASHIYAMA』を展開する株式会社オンワードパーソナルスタイルでは、広告宣伝効果が顕著に現れ、直営店舗およびBtoB販売が好調に推移しました。
海外事業は、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの各地域において増収を達成し、損益が大幅に改善しました。
以上の結果、売上高は1,465億22百万円(前期比8.7%増)、営業利益は75億13百万円(前期比214.4%増)となりました。
[ライフスタイル関連事業]
ウェルネス事業を展開するチャコット株式会社は、SNSを活用したマーケティング施策を強化したことに加え、『チャコット・コスメティクス』でヒット商品を創出するなどにより売上高が拡大しました。また、ペット・ホームライフ事業を展開する株式会社クリエイティブヨーコは、積極的な新規出店施策が奏功し、売上高は引き続き好調に推移しました。ギフトカタログ事業を展開する株式会社大和も継続して好調に推移しました。
以上の結果、売上高は431億7百万円(前期比4.4%増)、営業利益は43億64百万円(前期比16.2%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減損損失、売上債権の増加、棚卸資産の増加等により39億99百万円の収入(前期は56億85百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得、投資有価証券の取得による支出等により43億21百万円の支出(前期は43億90百万円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額、長期借入れによる収入が主なもので2億63百万円の収入(前期は119億55百万円の支出)となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて3億37百万円増加し、141億33百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、ライフスタイル関連事業セグメントについては、生産実績を定義することが困難なため、「生産実績」は記載していません。
(注) 金額は製造原価です。
当社グループは、ほとんどが受注生産ではなく見込生産を行っています。
また、受注生産についても、同一品目において受注生産と見込生産を行っており、区分して算出することが困難なため、記載を省略しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しています。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
a. 売上高および売上総利益
売上高は、中核事業会社の株式会社オンワード樫山を中心に「クリック&トライ」を導入したOMO(Online Merges with Offline)型店舗の運営力の向上、ブランド複合型店舗「オンワード・クローゼットセレクト」の展開の拡大、SNSを活用したマーケティング施策の精度が上がったことなどから、リアル店舗およびオンラインストアへの来客数が増加し、前連結会計年度に比べ135億57百万円増加し、1,896億29百万円となりました。
売上総利益は、在庫コントロールの徹底や値引き販売の抑制に努めたことにより売上総利益率が0.9%向上、前連結会計年度に比べ90億30百万円増加し、1,057億82百万円となりました。
b. 営業利益および経常利益
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から29億84百万円増加の945億21百万円となりましたが、グローバル事業構造改革の成果等により販管費率は低下しました。
その結果、営業利益は前連結会計年度から60億45百万円増加の112億60百万円となり、経常利益は前連結会計年度から48億7百万円増加の101億26百万円となりました。
c. 税金等調整前当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、投資有価証券売却益および固定資産売却益等により4億33百万円となりました。特別損失は、固定資産に係る減損損失、グアム沖で発生した台風による災害による損失等により、43億95百万円となりました。税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ23億54百万円増加し、61億64百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ35億50百万円増加し、66億11百万円となりました。
a. 資産
資産の部は、前連結会計年度末に比べ121億63百万円増加し、1,713億62百万円となりました。流動資産は、商品及び製品、原材料及び貯蔵品の増加等により111億45百万円増加しました。固定資産は、退職給付に係る資産等が増加し、10億18百万円増加しました。
b. 負債
負債の部は、前連結会計年度末に比べ122億42百万円増加し、863億67百万円となりました。流動負債は、短期借入金の増加等により92億26百万円増加し、固定負債は、長期借入金の増加等により30億16百万円増加しました。
c. 純資産
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ78百万円減少し、849億95百万円となりました。株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益等により、51億28百万円増加しました。
「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店および既存店舗の改装等の設備投資や、システム投資によるものです。
これらの運転資金や投資資金は、基本的に自己資金により充当していますが、必要に応じて資金調達を行っています。
また、当社グループの資金の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。
当社グループは、「人々の生活に潤いと彩りを与えるおしゃれの世界」を事業領域に定め、「ファッション」を生活文化として提案することによって新しい価値やライフスタイルを創造し、人々の豊かな生活づくりへ貢献することを経営理念としてきました。
2021年4月に策定した当社グループの中期経営ビジョン『ONWARD VISION 2030』の中で、今までの経営理念のうえに、地球環境の潤いと彩りを大切にするサステナブル経営の理念を重ね合わせた、「ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを」という新しいミッションステートメントを定めました。
当社グループを取り巻く経営環境が構造的に大きく変化する中、「社員の多様な個性をいかしたお客さま中心の経営」により地球と共生する「潤いと彩り」のある生活づくりに貢献する『生活文化創造企業』として前に進み続けます。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、積極的な成長投資を含めた成長戦略の推進で、2027年2月期において当期純利益100億円以上を目指します。資本効率については、財務レバレッジの活用などによる資本効率重視の財務戦略を実行し、2027年2月期のROEは10%以上、ROICは7%以上と、それぞれ株主資本コスト、加重平均資本コスト(WACC)を大きく上回る水準を目標としています。また、配当性向の目安を35%以上から40%以上に引き上げることで、株主還元の強化を実現していきます。
また、当社グループでは、新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大による成長を加速していく中で、会計基準の差異にとらわれることなく企業比較を容易にすることを目的とし、EBITDA(営業利益+減価償却費およびのれん償却費)を重要な経営指標としています。
なお、当連結会計年度のEBITDAは160億52百万円(前期比54.7%増)となりました。
当社グループは、「社員の多様な個性をいかしたお客さま中心の経営」への進化を目指し、「『ファッション領域』における多様なブランド・商品・流通戦略の推進」「生活者の新たな価値観に沿った『ウェルネス領域』の成長加速」「時代性のある『コーポレートデザイン領域』の創造」「OMO/PLM等の最先端のDX戦略の進化」「海外事業の成長基盤強化」「将来の不確実性に対する事業リスク管理の適切な実行」を事業戦略とし、企業価値の一層の向上をはかっていきます。
該当事項はありません。
該当事項はありません。