当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「お客さま第一」を基本理念として、『イオンモールは、地域とともに「暮らしの未来」をつくるLife Design Developer(注)です。』を経営理念としています。この経営理念の下、持続可能な社会の実現に向けて、企業市民として地域・社会の発展と活性化に貢献する当社の企業活動を「ハートフル・サステナブル」と定め、様々な取り組みを推し進めています。
(注)Life Designとは、商業施設の枠組みを越えて、一人ひとりのライフステージを見据えたさまざまな機能拡充を行い、ショッピングだけでなく、人との出逢いや文化育成なども含めた「暮らしの未来」をデザインすることと定義しています。
(2)中期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
①2030年ビジョン
不確実性が高まる時代において、持続可能(サステナブル)な社会をつくる、また強靭(レジリエント)な組織をつくりあげていくことを目的として、2030年ビジョン「イオンモールは、地域共創業へ。」を新たに策定しました。お客さま、地域社会、パートナー企業さま、株主・投資家さま等の同じ志を持つステークホルダーの皆さまとともに、「つながる」を創造し、広げ、深め、持続可能な地域の未来につながる営みを共創する企業をめざしていきます。
②中期経営計画(2023~2025年度)
2030年ビジョンの実現に向けて、2024年2月期(2023年度)を初年度とする中期経営計画(2023~2025年度)では、これまで成長施策として推進してきたESG経営のさらなる進化を図るべく、「国内外におけるリージョナルシフトの推進」「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を取組方針とし、ステークホルダーに対して経済価値、社会価値、環境価値を創出する「真の統合型ESG経営」の実現により持続的な成長をめざしていきます。具体的には、「海外成長マーケットにおける事業機会の発掘と事業化」「国内におけるビジネスモデル改革の推進」「既存事業の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルの創出」を成長施策として展開し、成長を支える基盤構築として「サステナブル視点での財務基盤強化と組織体制構築」を推進していきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ共通
イオングループでは「イオンサステナビリティ基本方針」のもと、環境面では「脱炭素社会の実現」、「生物多様性の保全」、「資源循環の促進」、社会面では「社会の期待に応える商品・店舗づくり」、「人権を尊重した公正な事業活動の実践」、「コミュニティとの協働」を重点課題に設定し、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立をめざしています。
当社では、これまで成長施策として推進してきたESG経営のさらなる進化を図るべく、「国内外におけるリージョナルシフトの推進」「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を取組方針とし、ステークホルダーの皆さまに対して経済価値、社会価値、環境価値を創出する「真の統合型ESG経営」の実現により持続的な成長をめざしています。
①ガバナンス
当社では、気候変動への対応や生物多様性の保全、人的資本の活用、人権への配慮等をサステナビリティの重要課題と位置付けており、代表取締役社長が最高位の責任をもって活動を推進しています。
ESG推進体制としては、代表取締役社長の諮問に応じて協議し、その事項について代表取締役社長に助言または答申することを目的に、経営会議の下部機構として、代表取締役社長を委員長、社内取締役を中心にメンバーを構成するESG推進委員会を設置しています。また、ESG推進委員会での方針または答申の具体策の検討・議論を行うことを目的にESG推進分科会を設置しています。ESG推進委員会では、2カ月に1回会議を行い、サステナビリティ課題に関する重要な方針や施策、取り組み目標等を議論し、迅速に課題対応・解決にあたることのできる体制を構築しています。
ESG推進委員会・分科会における審議結果は、取締役会に適宜報告されるほか、重要なサステナビリティ課題は取締役会の監督のもとに議論が行われ、各会議体での決定事項に誤りがないよう監督する機能を有しています。なお経営陣を評価し、報酬を決定する際には、気候変動を含む環境目標の達成度など、環境・社会への取り組み度合いが役員報酬に反映されています。
②戦略
当社は、持続的成長を実現するため、すべてのステークホルダーに対して経済価値・社会価値・環境価値を創出するというESG視点の経営に戦略的に取り組み、様々な施策を推し進めています。
当社はSDGsと日本および海外における社会課題を考慮したマテリアリティ分析を実施、ステークホルダー及び自社にとっての重要度を評価し、ESG視点での重要課題として「地域・社会インフラ開発(持続可能かつレジリエントなインフラ開発、生産消費形態)」「地域とのつながり(文化の保存・継承、少子化・高齢化社会)」「環境(気候変動・地球温暖化、生物多様性・資源の保護)」「ダイバーシティ・働き方改革(健康と福祉、多様性・働き方)」「責任あるビジネスの推進(人権、贈収賄)」の5分野10項目からなるマテリアリティを定めました。
当社では、従業員一人ひとりの意識を高めるため、年間の個人目標にESG視点に基づく目標を設定(目標ウェイト30%以上)するなど、マテリアリティの社内への浸透を図っています。また、全社で一丸となって目標達成をめざすため、活躍した従業員を表彰する社内制度「ESGアワード」を設けており、ESG活動の意欲的な実施を促し、取り組みを加速しています。こうした当社のサステナビリティの取り組み状況については、年1回取締役会に報告しています。
今後も当社はESG経営の推進によって、持続的成長と中長期的な企業価値創造を実現するとともに、商業施設という枠組みを超え、地域の抱える課題にソリューションを提供する「ソリューションカンパニー」をめざします。
<ESG推進体制>
③リスク管理
当社は、当社グループにおける損失の危険を管理する体制として、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長、各ユニットの責任者を担当取締役、各ユニット配下の各統括部の責任者を担当執行役員としています。リスク管理の執行と監督の分離を行うことで、事業の継続と人命の安全を確保するための体制と環境の整備のさらなる強化を図っています。また、危機の未然防止および危機発生時の被害最小化を目的とした「経営危機管理規則」を策定し、リスクの減少および被害の低減に努めています。
当社では、当社グループ全体のリスク管理運営状況の把握、リスク管理体制の持続的な見直し等リスク管理体制の維持向上を目的に、取締役管理担当を委員長とするリスク管理委員会を設置しています。リスク管理委員会では、リスク状況の分析、リスク回避のための継続的な活動並びに代表取締役社長への意見具申およびリスクマネジメント推進体制に関わる課題、対応策の審議を行います。また、重大インシデント等に対応するリスク対策についても、リスク管理委員会での議論を通じ、実効性の高い対策へ繋げています。
当社のリスク管理を行うにあたり、さまざまなリスクがある中で、効率的で効果的な管理を行うため、特に当社グループに影響を与えるリスク項目を特定し、そのリスク管理の体制をリスク管理委員会より代表取締役社長へ提言します。その後、各リスク項目の対応主管部門を選定し、当該部門がリスク対策の立案・実施と振り返りを担当執行役員と行うと共に、リスク管理委員会、担当取締役や経営監査部が執行機関の実施状況のモニタリングを行い、リスク対策の実効性を評価します。
リスクの特定に当たっては、当社ではリスクサーベイを通じリスクを具体的に特定し、当該リスクへの対策を行っています。直近では2021年度にリスクサーベイを実施し、当社グループにおいて事業に直接影響する施設管理上のリスクだけでなく、急激な気候変動、自然環境や生態系への悪影響、経営層を含む人材育成の遅れ、ダイバーシティ推進の遅れ、人権問題への理解不足といったサステナビリティ課題との関連性が強いリスクを含め、91項目のリスクを特定・更新し、現在はそのリスク対策を行っています。
特定した各リスク項目における対応主管部門のリスク対策の検討・進捗状況については、リスクの性質毎に経営戦略リスク、コンプライアンスリスク、その他のリスクの3つに区分し、それぞれ「経営戦略部門」、「コンプライアンス委員会」、「リスク管理委員会」に分けて管理しています。
④指標と目標
マテリアリティに掲げた10項目の重要課題に対し、2050年にめざす姿として掲げたKGI(最終目標)に合わせて、2030年までに達成すべき具体的なKPI(中間目標)を設定しました。全社で課題を共有し一体となって解決に取り組むことで、社会的・経済的な価値を創出するとともに持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。
<イオンモールの重要課題(マテリアリティ)>
(注)1.2022年度実績を記載。2023年度実績は提出日現在集計中で、統合報告書2024にて記載予定。
2.国内の2023年度実績を記載。海外の2023年度実績は提出日現在集計中で、統合報告書2024にて記載予定。
(2)気候変動
当社は、気候変動が事業の持続可能性に及ぼす影響を分析し、気候変動に伴うさまざまな機会とリスクに対応するため、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言するシナリオ分析に取り組んでいます。
当社は「イオンモール脱炭素ビジョン」に基づき、国内で排出するCO2等を2040年までに総量でゼロにすることに加え、中間目標として2025年までに国内すべてのイオンモールを実質的にCO2フリー電力で運営することを掲げるなど、「脱炭素社会」に向けたさまざまな取り組みを推進しています。
また、2020年6月に当社は気候関連課題が各企業にもたらすリスクや機会に関する情報開示タスクフォースである「TCFD」の提言に賛同することを表明しました。
①ガバナンス
②戦略
国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書における気候変動シナリオを参照し、当社では1.5~2℃シナリオと4℃シナリオを選択しました。「イオン脱炭素ビジョン」や「イオンモール脱炭素ビジョン」などで掲げた長期視点での取り組みを考慮し、2050年における気候変動の影響を対象としています。
当社がモール事業を展開している日本、中国、アセアンの一部地域における主な気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、それぞれのリスク・機会に関する将来予測データを収集しました。これに基づいて、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会と気候変動に起因する物理リスク・機会について検討し、当社事業に2050年までに影響を与えうる対象リスクを下表のとおり特定しました。
そのうち、当社のモール事業にとって重要度が高いと考えられるリスク・機会については、それぞれ財務インパクトと顕在化するまでの時間軸を評価・特定しています。例えば、電気自動車の充電ステーション設置の投資遅れにより集客力が低下するリスク、および適切に設備投資対応を進めることによる競合施設との差別化の機会などが当社にとって大きな財務インパクトをもたらすと考えています。
これらを特に関連の大きい部署間で協議の上、アクションプランの検討を進めます。
評価の結果、脱炭素に向けた炭素税賦課やEV充電器の追加コストなど移行リスクの他、洪水・台風被害額の増加などの物理リスクが、当社にとって影響が大きいことが判明しました。当社では、レジリエントなインフラ体制を構築するため、近年発生した西日本豪雨や台風24号をはじめとする国内外における洪水や竜巻被害が甚大であったことを考慮し、リスクとして新たに「洪水」や「竜巻」などの要素を組み込んでいます。さらには、これまでに発生した災害における個々のモールでの対応を踏まえ、自然災害対応ガイドラインなどの自然災害に対するさまざまな対応指針を定めています。今後は、これらのリスクを抑え、機会を最大化するためのさらなる対応策の検討を進めていきます。
シナリオ分析の結果、各シナリオにおいてエネルギーミックスや需要の変化、電気自動車の普及、異常気象の激甚化等のリスクを特定し、一定の影響があることを確認しました。一方で、対応策の実施により負の影響を軽減できることを確認したため、事業はレジリエントであると考えています。
③リスク管理
④指標と目標
当社では、脱炭素社会の実現のために「イオンモール脱炭素ビジョン」を掲げ、2040年までに直営モールにおいて100%地産地消の再生可能エネルギー(約14億kWh/年)で運営し、国内で排出するCO2等を総量でゼロにすることをめざしています。この長期目標の実現のため、2025年までに国内約160のモールを実質CO2フリーの電力で運営するなどのマイルストーンを設けており、ビジョンの達成に向け着実に対応を進めていきます。
(注)エネルギー消費量とGHG排出量の2023年度実績は現在集計中で、ESGデータブック2024にて記載予定です。
(3)生物多様性
当社は、事業活動全体における生態系への影響を把握し、お客さまや行政、NGOなどステークホルダーの皆さまと連携しながら、その影響の低減と保全活動を積極的に推進します。また、イオン ふるさとの森づくりに加えて、資源循環の取り組みやグリーン購入の促進を通じて生物多様性の保全を行い、自然資源の持続可能性と事業の成長の両立をめざします。
当社は、自社事業が自然へ及ぼす影響を分析し、自然に関するリスクと機会に対応するため、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TNFD」という。)(注1)フォーラムに参画し、TNFDの提言するLEAPアプローチ(注2)を用いて分析を行いました。また、TNFDに沿った情報開示にむけて、2023年9月に公表されたTNFD最終提言に則り、分析結果と自社の取り組みを整理しています。
TNFD最終提言で開示を推奨される項目(ガバナンス、戦略、リスクと影響の管理、指標と目標)は以下の通りです。現時点で情報が不足している項目については、今後LEAPアプローチに基づく分析を進めながら開示を検討していきます。
<TNFD提言の開示推奨項目>
(注)1.企業が事業を通じて自然に及ぼす影響、リスク、機会、生物多様性への配慮を可視化し、自社の報告書やWebサイトで開示するための枠組み。
2.TNFDにより開発された、自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題の評価のための統合的なアプローチ。
①ガバナンス
・自然関連課題に関するガバナンス 〔A・B〕
・ステークホルダーに関するガバナンス 〔C〕
当社では、イオンの人権基本方針に則り、全ての人に対して人権が尊重されている社会をめざしており、企業活動における人権への負の影響の防止・軽減・救済について人権尊重責任を果たせるよう、主体的に対応する部門の責任者で構成されるESG推進分科会で検討・議論を行い、代表取締役社長を委員長とするESG推進委員会で意思決定をしています。また、人権デュー・ディリジェンスを実施し、特定した人権課題への対応や予防是正措置を講じています。
当社は、2030年ビジョン「イオンモールは、地域共創業へ。」に基づき、同じ志を持つ全てのステークホルダーをつなぎ、持続可能な地域の未来につながる営みを共創することをめざしています。地域社会と共創する取り組みとしてハートフル・サステナブル企画(注)を実施し、地域の皆さまと定期的に対話を行っています。
(注)ESG経営の具現化の施策として、地域・社会等が抱える課題の解決に貢献する継続的な取り組みを各エリア・モールで企画し、実施する取り組み。
②リスクと影響の管理
・自然関連への依存と影響、リスク・機会の特定および評価プロセス 〔A(ⅰ)・A(ⅱ)〕
当社は、自然に関する事業リスクと機会の評価を進めています。まず自然関連のマテリアリティ特定にあたり、自然リスク評価ツール(ENCORE)(注1)により、不動産セクターとの関係が深い自然関連テーマのリスクを評価しました。また特に不動産事業と関連の深いリスクが顕在化した事例について、当社の事業に与えうる影響の大きさをバリューチェーン上の関係性を踏まえて考察・評価し、重要課題の特定・評価を行いました。さらに周辺生態系を広域で把握できるIBAT(注2)や水ストレスを把握できるAqueduct(注3)等のツールを用いて全モールの地域性分析を行い、ホットスポットを特定しました。
(注)1.金融機関のネットワーク「自然資本金融同盟」と国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター等が共同で開発した、投融資先企業が自然資本に与える機会やリスクを金融機関が評価するのに使うツール。企業が自社の操業地や取引先の原材料調達地について評価する際にも活用される。
2.Integrated Biodiversity Assessment Tool。国連環境計画の世界自然保護モニタリングセンターが開発した、世界の生物多様性情報を統合したデータベース。
3.非営利団体WRI(世界資源研究所)が提供するインターネット上のデータプラットフォームで、水リスクに関するあらゆる情報が集約されたもの。
・自然関連リスク・機会の管理プロセス 〔B〕
当社グループでは、取締役、監査役、執行役員、従業員に対するアンケートやヒアリングによるリスクサーベイを定期的に実施し、当社グループに影響を与えるリスクを定量的、定性的に評価しています。リスクサーベイの結果から優先的に対策を行うべきリスクを特定し、対策を行っています。
また不動産事業を営む当社では、生物多様性に関するリスク低減と機会創出を目的にいきもの共生事業所®認証(ABINC認証)の基準をモールの建設や運用に活用し、生物多様性保全の具現化を図っています。
・全社的なリスク管理プロセス 〔C〕
③戦略
・重要な自然関連リスク・機会 〔A〕
当社の事業における自然関連リスク、機会を、TNFDの提唱するLEAPアプローチに沿って分析しました。 リスク、機会の特定にあたっては自然関連の重要課題を検討し、まず自然リスク評価ツール(ENCORE)による評価結果を、不動産セクターにとって重要と考えられる自然関連の依存と影響に関するステークホルダーの関心と捉え、マテリアリティ・マップ縦軸の通り評価しました。不動産セクターにおいてリスクが高かったのは、依存については「水資源の利用」、影響については「水の枯渇と水質汚染」、「保護価値の高い土地の開発」、「GHG排出」、「天然資源の枯渇」という結果になりました。
さらに不動産事業へ与える影響が大きいと考えられるリスクが顕在化した事例を調査し、当社事業との関係性が特に深いテーマは「保護価値の高い土地の開発」、「周辺生態系への影響」であることが分かりました。これらの自然関連リスク、機会の重要度をバリューチェーンとの関係性を考慮した上で、マテリアリティ・マップ横軸の通り評価しました。
分析・評価内容をマテリアリティ・マップに整理した結果、4つのテーマ「保護価値の高い土地の開発」、「周辺生態系への影響」、「水資源の利用と排水」、「GHG排出」を当社の重要課題と位置付けました。
・事業に与えうる影響 〔A〕
リスク・機会が事業に与えうる影響を、TNFDにおける自然関連リスク・機会分類を参照し、整理しました。
・バリューチェーンの地域性分析 〔B・D〕
特定した重要課題をバリューチェーンの上流・直接操業・下流の段階ごとに整理し、IBATやAqueduct等のツールを用いて事業拠点の生物多様性リスクを評価することでホットスポットを特定しました。分析の結果は今後、生物多様性保全の取り組みに活用いたします。
<直接操業×土地開発・周辺生態系>
ホットスポットを特定した結果、国内外のモールのうち25%が生物多様性上の重要エリアに含まれることが分かりました。ホットスポットには周辺の在来生物種を誘致できるポテンシャルがあり、地域の方々と協働で保全活動を推進する意義が高い重要なエリアと考えています。分析の結果は取り組みの高度化に活用する予定です。なお、海外のモールについては分析結果をどのように活用するか、今後各国と検討いたします。
<下流×水利用>
水リスクについては概略評価が可能なツールであるAqueductを用いて、自社モールの位置情報から各水資源リスクを評価し、ホットスポットを特定しました。結果、中国およびアセアンの11モールが水ストレス地域に位置していることが分かりました。なお、国内モールからの排水についてはISO14001に基づき適切な管理を行っています。
・対応策の検討
今後の生物多様性保全活動等の取り組み推進に向け、各重要課題についてバリューチェーンごとに外部動向調査を踏まえた要求レベルを定義し、現在の取り組みとの比較をすることで優先対応項目を抽出しました。SBTN(注1)のAR3Tフレームワーク(注2)を活用し、先進事例等を踏まえながら優先対応項目における対応策を検討しました。
今後、各部門が連携して更なる検討を重ねることで、生物多様性の保全に貢献するモールづくりをめざします。
(注)1.Science-Based Targets for Natureの略称。企業の自然資本利用(水利用、土地利用、海洋利用、資源利用、気候変動、汚染、生物多様性)を対象に、持続可能な地球システムの実現をめざした科学根拠に基づく目標設定。
2.目標達成に向けて、企業行動を自然への影響の回避、削減、回復・再生、変革の順に優先順位付けして整理したフレームワーク。Avoid、Reduce、Restore & Regenerate(3つのR)、Transformの頭文字をとったもの。
④指標と目標
・定量指標 〔A・B〕
当社は、生物多様性の保全・資源の保護を重要課題としており、ABINC認証の取得モール数、ISO14001認証取得、廃棄物リサイクル率を自然関連のリスクと機会を管理する指標としているほか、EV充電器設置台数や
CO2フリー電力調達を行うモールの割合、eco検定の取得率を、自然と関連する重要課題である気候変動・地球温暖化においてモニタリングしています。また水使用量、GHG排出量の開示・モニタリングも行っています。
TNFDの提言におけるコアグローバル指標についてはデータの収集が困難であること、また算出方法が確立されていないことなどから、現時点で測定することができません。今後、データ収集に向けた取り組みや算出に向けた方法論、ツールの開発により開示を検討いたします。
<リスク・機会に関するコア開示指標>
自然関連のリスク・機会に関する定量的な分析ができていないため、現時点で測定することができません。今後、定量的なリスク・機会評価の実施を検討いたします。
・定量目標
当社では2021年よりABINC認証取得モール数を生物多様性保全のための定量目標としており、2024年2月末現在計22モールで取得しています。
直営モールでは2001年よりISO14001認証を取得、継続しており、2022年度より「生物多様性の保全」を環境に関する全社目標として設定し、進捗管理を実施しています。
・資源の保護・調達について
当社では限られた資源を有効に活用するため、建築資材の循環や調達の取り組みを推進し、環境に配慮した自然と調和する社会をめざします。
・今後の方針
当社では植樹活動を継続することに+(プラス)して「まちのいきもの」を保全するアクションを推進し、お客さまや行政、NGOなどステークホルダーの皆さまと連携しながら生態系と環境に配慮したモールづくりをめざします。また、生物多様性の保全に加えて、脱炭素社会の実現、サーキュラーモールの実現など環境に関する取り組みを連携しネイチャーポジティブをめざします。
取り組み内容については、自然資本に関するリスクと機会の開示フレームワークであるTNFDの開示指標に沿った目標設定およびシナリオ分析を行い、情報開示に努めます。
(4)人的資本経営
①ガバナンス
②戦略
当社は、サステナブルな社会に貢献することをめざし、2030年ビジョン「イオンモールは、地域共創業へ。」を策定し、成長を支える基盤構築として「最も重要な経営資源としての人的資本活用」を掲げています。人材の成長が当社の企業価値を持続的に高めることにつながると認識し、経営戦略と連動した人材戦略を推進していきます。
多様性と創造性、変革力を備えた「人材」の成長こそが、「イオンモールのめざす姿」の実現につながると考え、ダイバーシティ経営、健康経営、チャレンジを後押しする教育研修等を推進しています。
<経営戦略と人材戦略の全体像>
当社は、経営理念である『イオンモールは、地域とともに「暮らしの未来」をつくるLife Design
Developerです。』を実現するための取り組みを実行する基盤となる「人」と「組織」について、求める姿を「人材・組織ビジョン」に定めています。
当社グループで働くすべての従業員が「Life Design Producer」であることに誇りを持ち、個性を相互に活かしながらステークホルダーの皆さまとの「共感」「共創」により課題解決を進めていきます。そのうえで、「革新し続けるプロフェッショナル集団」として「持続可能な地域の未来」を拓いてまいります。
■ダイバーシティ経営の推進~「開く個性、拓くみらい」~
当社では、変化し続ける環境に対応し迅速に事業創造を進めるために、女性・外国人・様々な経験を持つキャリア(中途)採用者など、多様な人材の採用、育成、支援を進めています。
「人間を尊重し、地域に貢献する」イオンの基本理念のもと、当社では、管理担当役員を責任者として、人事統括部内のダイバーシティ推進グループを中心に取り組みを推進しています。さまざまな施策は、働き方を取り巻く社会環境の変化や、各種サーベイ・従業員の声を踏まえて策定、実行しています。ダイバーシティに関する取り組み進捗については、経営会議等の会議体を通じて定期的に役員と議論しています。
女性活躍を支援する取り組みでは、当社独自の「育児休業扶助金(イクボス応援金)」の支給等による男性従業員の育休取得率3年連続100%の達成、女性の上位職へのチャレンジ意欲を醸成する研修機会の増加、事業所内保育園「イオンゆめみらい保育園」の整備等を推進しています。このような施策の実行により、2023年3月には「プラチナえるぼし」に認定されました。同認定は、女性活躍の推進に積極的に取り組む企業を認定する制度「えるぼし」企業のうち、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況について、特に優良な企業に対し、厚生労働大臣が認定するものです。なお、2023年度の女性管理職比率は22.6%(前年比+2.2%)となりました。
外国人登用においては、「アジア50億人の心を動かす企業へ」の経営ビジョンの下、中国・アセアン地域への出店を進めており、提出日現在で海外36モールを展開、約1,600名の現地法人従業員(ローカルスタッフ)が働いています。現地の多様な人材が活躍し、持てる力を発揮できるよう、ローカルスタッフの採用、育成、管理職登用に注力しており、海外36モールのうち22モールで、ローカルスタッフがモールの責任者であるゼネラルマネージャー(GM)に就任しています。
ジェンダー対応においては、「ジェンダー平等・LGBTQ+フレンドリーな会社へ」を目標に、同性パートナー婚について家族としての福利厚生制度の適用、性自認や性的指向・妊娠出産等に対するあらゆる差別・ハラスメントを認めないことについて、研修等を通じてジェンダー平等への理解促進を進め、誰もが働きやすい職場づくりを進めています。
キャリア(中途)採用においては、変化し続ける環境に対応し迅速に事業創造の推進を担える専門人材、およびモール運営上の営業力強化を支える小売業の経験者など、多様な人材の採用を進めています。2023年度においては、新卒採用も含めた全採用に占めるキャリア採用比率は約30%となりました。
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(注)労働者の男女の賃金差異については、P34<ダイバーシティ推進におけるKPI>の表内に記載。
■健康経営の推進~「すこぶる、健やか、サステナブル」~
当社では、従業員一人ひとりが心身ともに健康であり、働きやすい職場環境を整えることが企業活動のベースであると考え、代表取締役社長を最高健康責任者とし、人事統括部内に組成した健康経営推進チームを中心に健康経営を推進しています。2023年度は健康経営の戦略マップを策定し、解決したい経営課題に向けた健康投資のつながりを可視化しました。経営会議では、戦略マップに基づく全社方針の策定や取り組み内容の進捗を定期的に報告しています。こうした健康経営の取り組みが評価され、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に5年連続で認定されています。
<健康経営戦略マップ>
健康経営を推進する専門職として非常勤の産業医4名、保健師2名を配置しています。女性活躍を健康面から支援するため、女性特有の健康課題への理解促進、メンタルヘルス不調への対策や、管理職を含めた全従業員の長時間労働の改善への取り組みも引き続き継続・強化して取り組んでいます。
戦略マップ上の健康投資施策の取り組み状況に関する指標において、二次検査受診率は2023年度実績で86.3%に向上しました(その他の指標についてはP35<健康経営におけるKPI>の表内に記載)。2024年度からは従業員の疾病予防へのさらなる支援として、健康診断の二次健診の費用補助を行います。健康経営を推進するため、各事業所を含む会社全体の組織体制は下記の表の通りとなっています。
<健康経営推進体制>
役職 |
担当者 |
役割 |
最高健康責任者 |
代表取締役社長 |
健康経営の最高責任者 健康経営宣言の社内外への発信 |
健康推進責任者 |
管理担当役員 人事統括部長 |
健康経営推進の実施責任者 健康経営の体制構築 |
健康推進担当者 |
人事部長 人事部マネージャー、人事部担当者 |
各関連機関と連携した施策の企画・実施 各事業所の支援 |
健康推進リーダー |
各拠点ゼネラルマネージャー 部長 |
事業所・部署の健康経営の責任者 従業員の健康診断の受診・健康施策への取り組み推進 |
健康推進サブリーダー |
各拠点オペレーションマネージャー マネージャー、担当部長 |
事業所・部署の健康管理の責任者、健康診断受診の徹底、 健康診断事後措置の勧奨等具体的な声掛け |
<従業員エンゲージメント>
当社では、全従業員を対象に「従業員満足度の向上による顧客満足の実現、業績向上」を目的として組織サーベイを実施しています。「理念・方針の浸透度」「会社、処遇、仕事、職場の満足度」「コミュニケーション、人間関係」「従業員の価値観」「ダイバーシティ」等の観点から質問を行い、2023年度に実施した組織サーベイでの従業員エンゲージメント(特定10項目の平均値で5点満点)は3.28となりました。サーベイ結果を従業員満足度向上に向けた施策の立案・実行につなげており、2023年度はサーベイ結果に基づく是正措置として、全従業員を対象とする「心理的安全性向上研修」を実施しました。サーベイの結果は経営会議に定期的に報告しています。
■地域共創人材の育成~「地域をつなぐ、未来をつむぐ」~
人材・組織ビジョンにある「相手よし、地域よし、未来よし」の視点で、地域共創に取り組む人材育成をめざしています。そのために、自ら主体的に学んでいく機会として、ビジネススキルのアップデートを目的としたセミナーの定期開催や定額制eラーニングの導入を行っています。加えて年次別研修や階層別研修、希望するポジションへの配属をめざして学ぶ公募型の研修を重視しています。自身のキャリアを自律的に捉え「自己のありたい姿」を実現するために、成長に向かってチャレンジする風土の醸成を進めています。2023年度は人材育成の機会を大幅に増やし、教育研修に関する投資額は前年比1.5倍となる約2.4億円となりました。
新たなフィールドでの能力発揮にチャレンジする社内公募では、新設する部署への公募のほか、2023年度は特に社外(行政機関、大学等)への出向を公募で行いました。行政機関や他社と相互の人材交流を通じ「One Culture」ではなく、双方で培った知識を他の組織で発揮できる機会を提供することで、出向帰任後には他組織で学んだ知識や経験を出向元に還元してもらうことを期待しています。
当社の成長戦略を牽引する海外事業においては、2025年までに多くの新規赴任者が必要と考えています。「グローバル人材コース」や「海外トレーニー制度」などの育成プログラム、各ユニットから海外への異動を含め、計画的な赴任者育成を行っています。グローバルな視点の啓発やスキル・語学の習得など、一貫した育成コースを設定し、グローバル人材の育成と適切な配置を図っています。
各国でもローカルスタッフの人材育成に注力するとともに幹部職位への登用を積極的に進めており、提出日現在、中国では22モールのうち16モール、アセアンを含む海外合計では36モールのうち22モールでローカルスタッフがGMに就任しています。
■サクセッションプランの推進~「NEXT」~
当社は、中長期的に企業価値を高め、持続的な成長に向けた変革をリードできる次期経営人材の発掘と育成を計画的に推進しています。指名・報酬諮問委員会を中心に経営人材候補の人材要件を明確化し、候補者の選定から審査までのプロセスについて公正性、透明性の観点から審議をしています。また、社内では「経営人材開発会議」にて、経営人材の要件に照らしてバイネームで審査し、育成の方向性について議論し、戦略的な配置や経営者からの薫陶、社内外の研修を行っています。
■働き方改革~「選び、選ばれる、関係へ」~
当社では、働き方改革の一環として、ショッピングモールにおける当社従業員の業務を効率化し、生産性を向上することを目的とした「モール業務カイゼンプロジェクト」を立ち上げ、2022年度を通して部門横断的に取り組みました。
本プロジェクトでは、当社従業員の約半数が勤務するモールにおいて、主に事務作業等のバックオフィス業務に関して、非効率な手順の廃止やシステム化等により労働時間の約15%相当を効率化する計画を立案しました。
本社部門とモールの代表者20名をプロジェクトメンバーとして指名し、定期的に検討会議を開催しながら、モールで働く全ての当社従業員から広く募集した改善提案を踏まえ、各業務を主管する本社部門が当該業務の効率化を検討しました。また、各モールにおける好事例を水平展開することで、業務効率化による労働時間の削減を推進しました。
2023年11月からは新たに「取引プロセス改革プロジェクト」を発足しました。大幅な業務時間の削減を実現し、従業員が経営課題解決に取り組む時間を増やすことを目的に、社内の予算策定、決裁手続き、契約締結、会計業務、予実管理といった一連の業務において合理化を進めています。同プロジェクトでは、各業務の主管部門から19名をプロジェクトメンバーとして指名し、部門間を横断して「プロセス」と「システム」の両面から業務を見直し、次世代のオペレーションを構築することをめざしています。2024年7月までに計画案を策定し、2026年2月までに実行する予定です。
③リスク管理
従業員が不利益を被る危険を懸念することなく、違法または不適切な行為や情報開示に対する疑念を伝えることができるよう、当社では社内の内部通報窓口としてヘルプライン「イオンモールホットライン」を設置(当社労働組合においては「組合110番」を設置)しています。子会社においても、当社の仕組みに準じたヘルプラインを設置しています。
ヘルプラインの利用に当たっては、利用者のプライバシー保護及び不利益な扱いを受けることのないよう周知徹底を図るとともに、報告・通報があった場合にはその内容を精査し、違反行為があれば社内規定に基づき必要な処置をしたうえで、再発防止策を策定しています。合わせて、内部通報保護などコンプライアンスや人権に関する研修を行っています。通報の状況、内容については、コンプライアンス委員会及び取締役会に定期的に報告しています。
④指標と目標
<人材・組織ビジョンにおけるKGI、KPI>
人材・組織ビジョンに基づき、「Life Design Producer」として2025年の達成目標(KGI)、定期的に進捗管理する効果指標(KPI)、施策の進捗を測る指標(プロセスKPI)を以下のように定めています。
<ダイバーシティ推進におけるKPI> ※提出会社ベース
項目 |
KPI |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
女性管理職比率 |
30.0% |
17.4% |
18.1% |
19.4% |
20.4% |
22.6% |
|
男性育児休業取得率 |
100% |
30.6% |
53.5% |
100% |
100% |
100% |
|
有給休暇取得率 |
60% |
59% |
55% |
55% |
60% |
55% |
|
有給休暇取得日数 |
- |
9日 |
10日 |
11日 |
11日 |
10日 |
|
障がいを持つ従業員割合 |
2.50% |
1.86% |
2.32% |
2.14% |
2.20% |
2.31% |
|
採用人数(新卒) (男性/女性) |
- |
87人 (46/41) |
53人 (25/28) |
65人 (30/35) |
74人 (37/37) |
84人 (39/45) |
|
離職率(自己都合) |
- |
3.7% |
3.1% |
3.9% |
4.1% |
4.2% |
|
労働者の 男女の 賃金差異 (注) |
全労働者 |
- |
- |
- |
- |
- |
42.4% |
正規雇用 労働者 |
- |
- |
- |
- |
- |
68.5% |
|
パート・ 有期労働者 |
- |
- |
- |
- |
- |
107.9% |
(参考:従業員データ)
項目 |
KPI |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
正社員数 (男性/女性) |
- |
1,788人 (1,168/620) |
1,842人 (1,196/646) |
1,939人 (1,239/700) |
1,888人 (1,188/700) |
1,869人 (1,178/691) |
海外現地法人 ローカルスタッフ数 |
- |
1,288人 |
1,429人 |
1,465人 |
1,563人 |
1,640人 |
(注)(男女の賃金差異に関する補足説明)
当社では、賃金制度において性別による処遇の差は一切なく、正規雇用労働者における男女の賃金の差異が発生する理由は以下の3点です。
①給与が異なる転居転勤のない働き方を選択している社員に女性が多いこと。
②育児勤務など短時間勤務制度を利用している社員に女性が多いこと。
③管理職層(一定の社内資格以上)の社員に相対的に男性が多いこと。
なお、正規雇用労働者のうち、全国転勤のある総合職に限定すると男女の賃金の差異は74.4%となります。また、全労働者における男女の賃金の差異の要因は、時間給制で働く従業員の95%が女性であるためです。引き続き、女性の活躍推進、管理職への登用、支援体制の構築などに取り組んでまいります。
<健康経営におけるKPI> ※提出会社ベース
項目 |
KPI |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
定期健康診断受診率 |
100% |
99.9% |
99.5% |
99.8% |
99.9% |
99.9% |
二次検査受診率 (注1) |
100% |
- |
34.6% |
44.6% |
71.8% |
86.3% |
特定保健指導受診率 |
100% |
9.8% |
7.9% |
21.7% |
42.5% |
46.6% |
元気UP キャンペーン参加率 (注2) |
100% |
16.4% |
17.2% |
17.4% |
16.7% |
17.8% |
喫煙率 (注3) |
15%未満 |
21.1% |
19.6% |
17.2% |
17.6% |
- |
運動習慣者率 (注3) |
30%以上 |
16.5% |
19.1% |
18.9% |
22.4% |
- |
ストレスチェック受検率 |
100% |
95.9% |
98.5% |
96.2% |
98.5% |
98.8% |
高ストレス者率 |
10%以下 |
12.8% |
11.7% |
13.7% |
15.5% |
16.6% |
年間総実労働時間 |
1,975時間 以下 |
2,025時間 |
2,018時間 |
1,998時間 |
1,989時間 |
2,007時間 |
業務災害件数 |
15件以下 |
19件 |
19件 |
17件 |
23件 |
19件 |
健康経営度調査 |
ホワイト500 取得 |
優良法人認定 |
優良法人認定 |
優良法人認定 |
優良法人認定 |
優良法人認定 |
(注)1.有所見者(要再検査・要精密検査・要治療者)のうち受診が必要と産業医が判定した者の受診率。
2.イオン健康保険組合による、2カ月間の生活習慣改善にチャレンジするキャンペーン。
3.40歳以上を対象に集計。喫煙率、運動習慣者率の2023年度実績は提出日現在で未集計。
(参考:健康経営の戦略マップにおける最終的な目標指標の測定方法と実績値)
最終的な目標指標 |
測定方法 |
測定人数および 回答率(2023年度) |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
従業員 エンゲージメント |
組織サーベイでのエンゲージメントに関する特定10項目の平均値(5点満点)(注1) |
1,371名 (対象者に対し 回答率36.6%) |
- (3.68) |
- (3.63) |
3.28 |
プレゼンティーズム 損失割合 (注2) |
WHO-HPQ指標を用いて絶対的 プレゼンティーズムを測定し、 100-(回答平均点×10)で損失割合を算出 |
3,537名 (対象者に対し 回答率98.8%) |
- |
37.6% |
37.0% |
傷病による アブセンティーズム (注3) |
年度末時点の在籍者のうち、 私傷病で連続30日以上仕事を休んだ人の 割合を集計(有給消化を含む) |
2,103名 (日給月給社員全員) |
2.8% |
2.8% |
2.1% |
(注)1.2023年度からサーベイ内容が変更となったため、2021年度、2022年度は( )内に参考値を記載。
2.プレゼンティーズムは、出社しているものの、何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状況。
3.アブセンティーズムは、心身の不調により、遅刻や早退、就労が困難な欠勤や休職など、業務自体が行えない状態。
なお、指標および目標のKPIは法律・制度の異なる海外の子会社を含む連結の状況を一体的に進捗管理することが困難なため、提出会社ベースでの開示としております。
(5)人権
当社は、イオンの基本理念および人権基本方針に基づき、人権を尊重し、性別や国籍等に関わりなく企業の発展に参画できる組織、またすべての従業員の能力が最大限に発揮できる職場の実現をめざしています。人権リスクへの対応は、人材育成や従業員の能力発揮のための重要な基盤ととらえ、取り組みを推進しています。
①ガバナンス
②戦略
イオン人権基本方針では人権デュー・ディリジェンスの実施を明記しており、イオンの指針にしたがって当社でも2020年から取り組みを開始しました。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」においても示されているとおり、人権保障の担い手としての役割を担うべく、当社でも持続可能なバリューチェーンを構築するための取り組みを継続していきます。
当社では、バリューチェーンの上流を中心に人権デュー・ディリジェンスを実施し、将来的には実施範囲を下流の委託先や専門店へ拡大し、バリューチェーン全体における「持続可能な取引のためのガイドライン(注)」の遵守状況の確認や、負の影響への対応・軽減に向けた取り組みの検討を進めていきます。
(注)人権侵害となるような事案発生を未然に防ぎ、持続可能なバリューチェーンを構築するため、イオンの人権基本方針、イオンサプライヤー取引行動規範を参考に、当社独自に策定。
③リスク管理
また、人権リスクの軽減に向けては、人権デュー・ディリジェンスの結果に基づき、是正計画を策定しPDCAサイクルを確立することで、定常的に人権リスク軽減に取り組むことができます。
④指標と目標
人権デュー・ディリジェンスによって、自社および自社から見たサプライチェーン上流の人権リスクを評価し、対象範囲を特定しました。そのうえで、課題に対する是正措置としての今後の取り組みを検討し、人権デュー・ディリジェンスの範囲を拡大していく予定です。
対象範囲 |
対象範囲の説明 |
是正措置・今後の取り組み |
職場における人権 |
私たちにとって最も大切な資産はイオンモールピープルです。従業員が能力を最大限に発揮できるよう、安全・安心で働きやすい職場環境を構築します。例えば職場の労働安全衛生や、ハラスメントと虐待についての実態把握を行い、問題が認められた場合には速やかな改善が必要です。 |
・メンタルヘルスに関する教育の実施 ・ハラスメント防止、働き方改革、メンタル不調への対応など職場における人権の是正措置
|
取引先との 関係における人権 |
私たちは、公正な取引を通じ、対等なパートナーとしてお互いの繁栄をめざします。例えば不正な取引の防止によって、人権侵害への加担・負の影響の助長を防ぐ必要があります。また、サプライチェーンの透明性を確保することで、人権侵害リスクの低減を図っていく必要があります。 |
・取引先に対するアンケートなどを通じて不正な取引の防止に努め、また、人権侵害を未然に防ぎます。 ・取引先に対する基本姿勢の教育の実施。 ・持続可能な取引のためのガイドライン浸透
・取引先との関係における人権侵害は様々な事が想定されますが当社では主管部門それぞれがリスクに対応する体制を整えています。
|
地域社会との 関係における人権 |
私たちは、企業市民として、地域社会の発展と生活文化の向上に貢献します。贈収賄防止に取り組み、人権問題を悪化させないこと、さらに調達慣行における人権リスクに配慮し、地域社会との健全な関係を築くことなどが必要です。 |
・法令、定款および社内規則の遵守状況などの確認
・持続可能な取引のためのガイドライン浸透 ・地域社会との関係における人権侵害は様々な事が想定されますが当社では主管部門それぞれがリスクに対応する体制を整えています。
|
お客さまとの 関係における人権 |
私たちは安全・安心な商品やサービスを提供しすべてのお客さまに対して公平・公正に接します。 |
・人権に関する定期的な教育の実施 ・個人情報を保護するための教育の実施
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年5月24日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リスクマネジメント推進体制
当社は、当社グループにおける損失の危険を管理する体制として、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長、各ユニットの責任者を担当取締役、各ユニット配下の各統括部の責任者を担当執行役員としています。リスク管理の執行と監督の分離を行うことで、事業の継続と人命の安全を確保するための体制と環境の整備のさらなる強化を図っています。また、危機の未然防止および危機発生時の被害最小化を目的とした「経営危機管理規則」を策定し、リスクの減少および被害の低減に努めています。
具体的には、当社グループに与える影響の高いリスク項目を選定し、項目毎に対応する主管部門を定め、当該部門がリスク対策のPDCAサイクルを行い、担当執行役員がその実行を担い、担当取締役がその状況・効果をモニタリングすることで、当社グループ全体の損失の危険を管理することを通じ、ブランド価値の毀損防止はもとより、企業価値の向上にも努めていきます。
さらに、緊急かつ重大な損失の危険が発生した場合は、「経営危機管理規則」に基づき適切な情報伝達および意思決定を行い、被害を最小限に止めるなどの的確な対応を行います。
■リスク管理委員会の設置・活動概要
当社では、当社グループ全体のリスク管理運営状況の把握、リスク管理体制の持続的な見直し等リスク管理体制の維持向上を目的に、取締役管理担当を委員長とするリスク管理委員会を以下のとおり設置しています。リスク管理委員会では、リスク状況の分析、リスク回避のための継続的な活動並びに代表取締役社長への意見具申およびリスクマネジメント推進体制に関わる課題、対応策の審議を行います。また、重大インシデント等に対応するリスク対策についても、リスク管理委員会での議論を通じ、実効性の高い対策へ繋げています。
さらに、地震等の即時判断が必要なクライシスについては、別途、対策本部を設置し、迅速かつ的確な初期対応を行うとともに、事態の拡大防止と早期収束に対応します。
リスク管理委員会は年5回程度開催しており、年度初め(3月)に、昨年度の取組内容および本年度の取組方針について、取締役会へ報告しています。なお、国内外子会社においても株式会社OPAおよび海外現地法人については国別にリスク管理委員会が設置されており、その審議内容は当社のリスク管理委員会へ情報共有されています。
当社のリスク管理委員会の構成メンバーは以下の通りとなります。
・委員長:取締役管理担当
・委員 :A)経営危機管理規則に定めるリスク対応主管部門の所属長
B)リスク管理委員会を設置する子会社のリスク管理事務局責任者
C)委員長が指名する者
・事務局:法務部
(注)委員については、リスク管理体制の実効性向上を図るべく、当社グループに与える影響の高いリスク項目において、平常時のリスク予防とリスク発生時に事態を主体的に対応する部門の責任者、およびリスク管理委員会を設置する子会社のリスク管理事務局責任者を選定しています。
<リスクマネジメント推進体制図>
■リスクマネジメントプロセス
当社のリスク管理を行うにあたり、さまざまなリスクがある中で、効率的で効果的な管理を行うため、特に当社グループに影響を与えるリスク項目を特定し、そのリスク管理の体制をリスク管理委員会より代表取締役社長へ提言します。その後、各リスク項目の対応主管部門を選定し、当該部門がリスク対策の立案・実施と振り返りを担当執行役員と行うと共に、リスク管理委員会、担当取締役や経営監査部が執行機関の実施状況のモニタリングを行い、リスク対策の実効性を評価します。
なお、特定した各リスク項目における対応主管部門のリスク対策の検討・進捗状況については、リスクの性質毎に経営戦略リスク、コンプライアンスリスク、その他のリスクの3つに区分して管理します。経営戦略リスクに関しては、重要な政策・経営課題について議論、意見交換を行う経営戦略諮問委員会において、テーマ毎に考え方や取り組みの方向性を検討する際に留意するとともに、その区分に応じて担当執行役員を定め、当該執行役員より四半期毎にリスク対策の進捗状況を取締役会に報告します。
コンプライアンスリスクはコンプライアンス委員会にて、その他のリスクはリスク管理委員会にて同様に報告され、必要に応じリスク対策の内容・進捗について議論を行います。各リスク項目のリスク対策は、最終的に全てリスク管理委員会にて集約し管理します。
リスク対策の実施については、リスク対応主管部門より社内承認を経て、決定し実行します。
<リスクマネジメントプロセス図>
■リスクの特定
リスクの特定については、その性質により、当社グループに影響を与えるリスクを絞り込みます。特定の方法については次の通りです。
・リスクの洗い出し
取締役、監査役、執行役員、従業員に対しリスクサーベイ(アンケート・ヒアリング)を実施し、定量的かつ定性的評価を実施。
・リスクマップによるリスク評価と特定
リスクサーベイの結果から、リスクの発生頻度と被害・影響の大きさを軸にリスクマップを作成。リスクを評価し、対策を行うべきリスクを特定。
・優先対策リスクマトリクスによる対策優先度の設定
特定されたリスクに対する既存の対策状況を踏まえ、対策の必要性を基に優先対策リスクマトリクスを作成し、優先対策すべきリスクを特定。
上記について、従来当社ではリスクサーベイを通じリスクを具体的に特定し、当該リスクへの対策を行っています。2021年度にリスク状況の見直しとして改めてリスクサーベイを実施し、その結果91項目のリスクを特定・更新し、現在はそのリスク対策を行っています。なお、リスクサーベイの実施頻度は、中長期の経営計画に反映させることを目的に、数年単位での事業変化を踏まえ定期的に実施する予定としています。また、刻々と変化する事業環境に対応するため、リスクサーベイを実施しない年度においても1年に1度、定期的にリスク管理委員会においてリスク項目・リスク評価の見直しを行う体制とし、また随時インシデントの発生など環境変化に合わせ優先対策すべきリスクを更新しています。
(2)事業等のリスク
当社は、国内・海外における最新の事業環境を踏まえ、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があり、かつ全社的に管理すべきリスクを洗い出しています。リスクマップによるリスク評価および優先対策リスクマトリクスによって特定したリスク項目の内、リスク評価および対策必要性のいずれもが高いリスク項目を、リスク管理委員会における検討を経て、以下の通り分類しています。
分類 |
リスク項目 |
リスク評価 |
対策必要性 |
事業戦略リスク |
①事業環境の変化に関するリスク |
S |
大 |
②不動産開発および投資に関するリスク |
S |
大 |
|
③人材の確保と育成に関するリスク |
S |
大 |
|
④ガバナンスに関するリスク |
H |
大 |
|
財務関連リスク |
⑤減損リスク |
S |
大 |
⑥資金調達・金利変動・為替変動に関するリスク |
S |
中 |
|
オペレーションリスク |
⑦自然災害・事故・テロの発生に関するリスク |
H |
大 |
⑧戦争・内乱・クーデターの発生に関するリスク |
S |
中 |
|
⑨感染症拡大に関するリスク |
S |
中 |
|
⑩情報セキュリティに関するリスク |
H |
大 |
<事業戦略リスク>
①事業環境の変化に関するリスク
リスク評価 |
S |
対策必要性 |
大 |
リスクシナリオ |
(国内・海外における事業環境) 当社グループを取り巻く事業環境は、海外においては高い経済発展に伴う小売市場の高い成長性が見込まれる一方、国内外での競合ディベロッパーによる出店加速、世界規模での経済不況による成長減速の懸念等が考えられます。 国内においては、人口減少や少子高齢化に伴う人口動態や家族構成の変化に加え、Eコマース、OMOやシェアリングエコノミーのさらなる進展、消費の二極化など、消費行動の変化は加速的に進んでいます。 さらに、デジタル技術、特にAI等の技術発展により社会のあり方や人の働き方も含めた変化はさらに加速し、また情報セキュリティ面でのリスク管理の重要性も拡大していくことが見込まれます。こうした事業環境の変化に当社が十分に対応できなかった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (テナント企業における動向) 当社グループが管理・運営するモールの主要テナントは小売・サービス企業であり、景気や個人消費の動向に影響を受けやすい傾向にあることから、経済情勢が悪化した場合や、他の不動産ディベロッパーや小売企業との競争が激化した場合には、テナントのリーシング条件の悪化や空床区画が増加する等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (サステナビリティ課題への対応) 気候変動への対応、生物多様性の保全といった環境課題や、最も重要な経営資源である人的資本の活用、人権の尊重、公正・適正な取引慣行といった社会課題など、サステナビリティを巡る課題への対応強化が不可欠となっていますが、これらの課題に対し十分に対応できなかった場合には、お客さま、地域社会、パートナー企業さま、従業員、株主・投資家さま等のステークホルダーからの当社に対する支持が低下し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
||
対策 |
(国内・海外における事業環境) 当社グループは、「国内外におけるリージョナルシフトの推進」、「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」の2つを取組方針とし、ステークホルダーに対して経済価値、社会価値、環境価値を創出する「真の統合型ESG経営」の実現により持続可能な成長をめざしています。 海外においては、社会インフラ整備を柱とした経済政策がすすめられていることから、当社では都市化が進展し、街づくりが進められているマーケットの成長性が高いエリアにおいて物件開発を推進し、新規出店を進めています。日本で培ったモールの管理・運営ノウハウやDXの取り組みを活かした競争力のあるモール開発により、競合ディベロッパーとの差別化を図っています。 国内においては、加速する事業環境の変化を改革の機会と捉え、変わりゆく地域の課題やお客さまの価値観、潜在的なニーズへの対応に加え、パートナー企業の皆さまの経営課題に応えるべく、既存のビジネスモデル改革を推進していくことで、新たな顧客創造による集客力強化と収益性向上を図っていきます。 また国内外においては、変化のスピードが速く不確実性の高い時代であることを踏まえ、既存事業の発展のみならず、新たな価値創造に向けた事業創出に注力し、事業領域の拡大に向けた取り組みを推進していきます。 デジタルに関しては、お客さま一人ひとりのニーズに新たな価値を提供すべく、イオンモールアプリおよびイオングループが持つデータ資産を活用したマーケティング戦略に取り組んでいます。また、プライバシーやセキュリティを担保しつつ、AI等のデジタル技術の活用により、当社従業員のみならず専門店企業を含めたパートナー企業の皆さまの生産性向上を実現していくことで、新たな働き方の確立をめざしていきます。 (テナント企業における動向) リーシング面では、国内外におけるテナント企業とのリレーションシップを活かし、新規テナントの誘致や新たな業態開発等による付加価値の提供を通じて、お客さまにとって魅力あるモールづくりを推進しています。 (サステナビリティ課題への対応) サステナビリティを巡る課題への対応としては、当社はSDGsと日本および海外における社会課題を考慮したマテリアリティ分析を実施、ステークホルダーおよび自社にとっての重要度を評価し、ESG視点での重要課題として5分野10項目からなるマテリアリティを定めています。全社で課題を共有し、ステークホルダーの皆さまとの共創を通じて課題解決に向けた施策を推進することで、「真の統合型ESG経営」の実現をめざしていきます。 |
②不動産開発および投資に関するリスク
リスク評価 |
S |
対策必要性 |
大 |
リスクシナリオ |
当社グループでは、市場調査、用地選定、用地確保に向けた地権者との交渉から法的手続き、モールや複合施設の建設、テナント募集を経て開店に至るため、モールや複合施設等の不動産開発にかかる期間が長期にわたり、かつ投資が多額となるため、投資回収までは一定の期間を要します。天候不順、自然災害、開発地域の環境汚染、許認可の取得遅延、地域住民との調整等により、開発スケジュールに遅延が生じた場合、また、不動産価格や建築コストの上昇により不動産の取得および賃借にかかるコストが増加した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 同様に、既存店舗に対するリニューアルを中心とした投資においても、リニューアル実施にかかる期間が長期にわたり、かつ投資が多額となるため、投資回収までは一定の期間を要します。リニューアルスケジュールの遅延や建築コストの上昇に伴いリニューアルコストが増加した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また今後、モール築年数の経過に伴い、空調や熱源機器等の施設・設備が老朽化した場合には、故障・事故の発生可能性が増すとともに、修繕コストが増加することで、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
||
対策 |
当社グループでは、将来の新規開発物件やリニューアル物件におけるスケジュール遅延を防止するため、各部門間で連携しながら進捗管理を実施するとともに、国内外の新規出店およびリニューアル等の投資採算計画に関する責任部門を明確にし、収益・コスト面で最適なプランの策定やコスト圧縮策の検討を行っています。こうした厳格な投資採算基準による運用のもと、損益計画の妥当性および投資回収の実現性を取締役会、経営会議で審議した上で、事業を推進する体制を整えています。モール築年数の経過に伴う修繕コスト増加に対しては、一定年数を経過したモールを中心に修繕ルールを定め、安全・安心を最優先に計画的に対応しています。 |
③人材の確保と育成に関するリスク
リスク評価 |
S |
対策必要性 |
大 |
リスクシナリオ |
当社グループは、国内事業および成長ドライバーである中国・アセアンにおける海外事業の事業拠点拡大と収益力強化に向けた基盤づくりを推し進めており、グローバルな視点で高いマネジメント能力やリーダーシップを発揮できる人材の確保・育成が必要となります。 特に国内では、少子高齢化の進展に伴う労働人口の減少等の影響もあり、事業拡大に必要な人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
||
対策 |
当社グループでは、人材こそが持続的成長を実現していくための最も重要な経営資源であるという考えのもと、多様な人材が健康で能力を発揮し続けられる企業をめざし、人的資源への投資により成長戦略を推進しています。 人材の確保については、次世代を担う新卒採用の体制強化や新たな事業領域の拡大を担う専門人材のキャリア採用を進めています。 育成については、急速な社会変化に対応し、ビジネスモデルを革新していくためにダイバーシティ経営を推進しており、多様な従業員が個性や能力を発揮し活躍できる制度や職場環境の整備を進めています。あわせて、従業員が心身ともに健康であり、働きやすい職場環境を整えることが企業活動のベースであると考え、健康経営を推進しています。 教育面では、従業員の職位や成長度合いに応じた研修や、海外事業の将来を担う人材育成を行うほか、将来の経営幹部候補人材の育成プログラムやキャリア開発の機会(イオンビジネススクール)等、様々な人材育成・教育プログラムを整備しています。 人員の異動配置においても社員の自律的なキャリア形成を促し、日々の業務へのモチベーション向上のため、社内公募制度の拡大を図っています。 取締役・監査役に対しては、より高いリーダーシップと経営戦略を培う能力開発や、コンプライアンス、ガバナンスの知識向上のために経営幹部対象のトレーニング機会を提供しています。また、次期経営人材の育成においては、経営責任者として必要な基準やキャリアプラン、育成方針・計画などについて、透明性・公正性を確保するために、独立社外役員を中心に構成する指名・報酬諮問委員会で協議を行っています。 |
④ガバナンスに関するリスク
リスク評価 |
H |
対策必要性 |
大 |
リスクシナリオ |
(当社グループにおけるガバナンス) 取締役会が十分かつ適切な情報を得られず、業務執行部門に対する監督が機能不全に陥ることで、企業理念や経営戦略に即した経営判断がなされなかった場合や、職務権限規程や決裁・承認プロセスにおける不備等によってチェック・けん制機能が適切に機能しない状況が生じ、重大な事件や不祥事が発生した場合等、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループにおけるガバナンスが十分に機能しないことで、グループ子会社の業務を把握できないこと等を背景とした重大な事件や不祥事の発生、買収・合併時においてシナジーが発揮できない等、子会社の業績が著しく悪化した場合、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。 (イオン株式会社および同社の関係会社との取引におけるガバナンス) 当社グループは、イオン株式会社(以下、「同社」)および同社の連結子会社等(以下、「イオングループ各社」)により構成する企業グループに属しており、親会社である同社との緊密な関係を活かして、ショッピングモールの管理・運営を行っています。 親会社である同社と当社グループの少数株主との間には潜在的な利益相反の関係があり、同社からの独立性が十分に確保できず、同社との取引条件が少数株主の権利や利益を毀損する条件となった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、モールの開発においては、集客力のある核テナントの役割は非常に重要であり、今後、当社グループが開発するモールに関して、同社子会社であるイオンリテール株式会社等が運営する総合スーパー「イオン」「イオンスタイル」が核テナントとなることが予想されます。同社およびイオングループ各社の実績、出店方針、既存店の廃止方針等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対策 |
(当社グループにおけるガバナンス) 当社の取締役会は、取締役12名中5名を独立社外取締役で構成しており、様々な分野において豊富な経験と高い見識を有する社外取締役から意思決定における妥当性・適正性を確保するための助言・提言を得て審議を進めています。また、2023年5月21日より執行役員制度を導入し、経営の監督と業務執行を分離し、取締役による監督機能の強化を図っています。 当社はコンプライアンス経営を重視し、職務執行においては「贈賄防止基本規則」や「ハラスメント防止規則」等を遵守するとともに、取締役管理担当を委員長とするコンプライアンス委員会を設け、法令、定款および社内規定等の遵守状況の確認と改善策について審議を行い、重要案件については取締役会に報告しています。 子会社管理においては、関係会社管理規則に基づき承認事項を確認し、権限規則に則り承認手続きを行っており、子会社との取引においては「関連当事者取引管理規則」に則り取引条件の客観性を確保しています。さらに、子会社における職務執行の効率性を確保するための体制として、当社の取締役会において子会社を含めた当社グループの中期経営計画、年度経営目標および予算配分等を承認し、四半期ごとにそれらに沿った事業戦略および諸施策の進捗状況を検証するとともに、その他重要な情報について報告を受けます。 (イオン株式会社および同社の関係会社との取引におけるガバナンス) 当社では、支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為の監督を目的として、2021年11月に独立社外取締役のみで構成するガバナンス委員会を設置、2023年度は8回開催しました。これらの取引・行為については、その重要性に応じて同委員会で審議・検討を行い、当社の企業価値向上の観点から当該取引の公正性および合理性が確保されていることを検証したうえで取締役会での審議を経て承認を得ることとし、監督機能をより強化しています。また、同社を含めた関連当事者間の取引においては、「関連当事者取引管理規則」に則り、取引条件の客観性を確保しています。 また、当社は、日常の事業運営にあたっては、独自の経営判断に基づき遂行しつつ、事業運営における重要な問題については、同社との協議もしくは同社への報告を行っています。同社ならびにイオングループ各社とは、相互に自主・独自性を十分に尊重しつつ綿密な連携を保ちながら、持続的な成長、発展、業績の向上に努めています。 当社グループがモール開発を進める上で、核テナントに「イオン」「イオンスタイル」を誘致することは、安定的な賃料収入の確保、イオン生活圏による集客力の活用、デイリーニーズに応える平日の来店動機の強化、有事の際に防災拠点としてグループ総力を挙げた対応が可能である等の面でメリットがあります。なお、当社グループの営業収益に対するイオンリテール株式会社の占める比率は2024年2月期9.1%であり、イオンリテール株式会社以外の「イオングループ各社」の合計が占める比率は同10.9%であります。 |
<財務関連リスク>
⑤減損リスク
リスク評価 |
S |
対策必要性 |
大 |
リスクシナリオ |
当社グループが保有する事業用固定資産については、経営環境の著しい悪化、テナント退店による空床の拡大等により各モールの営業損益の赤字が続いた場合や、保有する土地の市場価格が著しく下落した場合、または金利変動等により割引率が上昇した場合等において、減損損失が発生することにより、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対策 |
当社グループは、想定されるリスクシナリオを把握・分析したうえで、収益・コスト面で最適なプランを策定しており、一定額以上の投資案件については、損益計画の妥当性および投資回収の実現性を取締役会、経営会議で審議し、投資採算計画の精度向上に努めています。 開業後のモールについては、営業状況について全社ベースの会議体にて検証を行っている他、開業後一定期間経過後のモールについて、投資採算の実績検証結果を取締役会に報告しています。減損の懸念があるモールに対しては、定期的にモニタリングする体制を構築し、業績や施策の進捗状況を確認し経営会議に報告しています。また、対策プロジェクト(バリューアッププロジェクト)チームを組成し、主に収益改善に向けた施策の実行により、減損リスクの削減に努めています。 |
⑥資金調達・金利変動・為替変動に関するリスク
リスク評価 |
S |
対策必要性 |
中 |
リスクシナリオ |
当社グループは、成長戦略に基づくモール開発にかかる資金を、主に金融機関からの借入や社債発行、リース活用、増資等により調達しており、金融市場の混乱や当社グループの事業見通しの悪化、信用力の低下等の要因により、当社グループの望む条件にて適時に資金調達が実施できない可能性があります。なお、市場金利が上昇した場合には、モール開発にかかる資金および借り換え時における資金調達コストの増加、リース活用時における物件オーナーへの支払賃料の上昇等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは、今後の成長ドライバーである中国・アセアンにおける海外事業を拡大しており、海外の開発物件における資材調達等、外貨建て取引が増加していることから、為替相場変動の影響を受けるため、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対策 |
当社グループは、原則、固定金利による資金調達を実施しており、為替変動リスクの一部については為替予約および通貨スワップによるヘッジを実施しています。また、資金調達(借入)先および資金調達手段の多様化を進めつつ、有利子負債残高のコントロール等による信用格付の維持・向上に努め、必要な資金調達枠を確保するとともに、調達環境が急変した状況においても必要な運転資金を即時に調達できるようにコミットメントラインを設定しています。 |
<オペレーションリスク>
⑦自然災害・事故・テロの発生に関するリスク
リスク評価 |
H |
対策必要性 |
大 |
リスクシナリオ |
当社グループは、国内外で事業を展開していることから、出店する国・エリアにおいて、大規模地震、台風、集中豪雨等の自然災害や、火災・停電等の人為的な事故、あるいは人命を危機にさらす暴動・テロ等の発生により、当社グループが管理・運営するモールに毀損、焼失、劣化等の甚大な被害が生じ、休業を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
||
対策 |
当社グループでは、自然災害や疫病・事故等に対応する「経営危機管理規則」および経営危機関連諸規定の整備・周知徹底、大規模地震やテロ活動を想定した対策訓練を警察・消防等の行政機関と連携して実施、有事の際に損害を最小限に抑えるためのリスク対応体制の整備・強化を継続的に実施しています。 建物・設備面の対策としては、耐震補強の実施や防煙垂れ壁のシート化等による大規模地震発生時の被害軽減対策、水害による浸水可能性があるモールには止水板の設置等の対策を講じています。 また、当社グループは、運営する全モールを対象とする火災保険、災害(除く地震)による罹災時の喪失賃料等を補償する利益保険、地震・津波による損害を補償する地震保険についてイオングループ合同の保険に加入し、リスクが顕在化した際の補償の確保に努めています。 |
⑧戦争・内乱・クーデターの発生に関するリスク
リスク評価 |
S |
対策必要性 |
中 |
リスクシナリオ |
当社グループは、国内外で事業を展開していることから、出店する国・エリアにおける戦争・内乱・クーデター等が発生すると、当社グループが管理・運営するモールに毀損、焼失、劣化等の甚大な被害が生じる可能性があります。その場合、長期間にわたるモールの休業、国内外におけるテナント撤退に伴う空床拡大、被害を受けたモール再建にかかるコスト等が発生することにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
||
対策 |
当社グループでは、特に海外での事業展開にあたっては、出店国・エリアの政府や現地企業等との提携により事業を推進することが多く、相手先との緊密なコミュニケーションを通じた情報収集に努めています。 また、「経営危機管理規則」、「緊急事態対応マニュアル」等の各種規定やマニュアルの整備を完了し、インシデントを基にした改訂を実施しています。さらに、各国におけるBCP(事業継続計画)に基づく訓練の実施、危機管理に関する従業員への教育等の対策を講じることで、有事においても適切な対応を実現する体制の維持・向上に努めています。 |
⑨感染症拡大に関するリスク
リスク評価 |
S |
対策必要性 |
中 |
リスクシナリオ |
当社グループは、国内外でモール事業を展開しており、出店国・エリアにおいて大規模かつ深刻な感染症が流行した場合、各国政府や自治体によるロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請等により外出機会が減少し、お客さまの価値観や消費行動が変容する可能性があります。また、当社グループが管理・運営するモールにおいて、臨時休業や営業時間の短縮、出店計画の変更を余儀なくされる等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
||
対策 |
当社グループでは、2020年より発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行による感染爆発(パンデミック)に対し、お客さま、テナントおよび当社従業員の健康と生活を守り、お客さまとともに地域社会の安全・安心な生活を守ることを目的とし制定したイオンの防疫対策等の基準「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」に基づき、モールの館内環境やオペレーション体制の改善を進めました。この経験から学んだ接触感染や飛沫感染等の感染経路別の対策方法や、必要となる資機材、感染症ごとの特性等をあらかじめ整理し、新たな感染症の発生やパンデミックに備えた情報収集を進めることで、有効な防疫対策を講じた上で事業が継続できる体制の構築に努めています。 |
⑩情報セキュリティに関するリスク
リスク評価 |
H |
対策必要性 |
大 |
リスクシナリオ |
当社グループでは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進等、事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、大規模な自然災害等によりデータセンターが被災し情報システムに障害が生じた場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。 また、子会社を含めたサプライチェーン全体を狙ったサイバー攻撃による被害や不測の事態の発生可能性は高まっており、お客さまや従業員などの個人情報や業務上の機密情報等の外部流出や改ざん等が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下および損害賠償による多額の費用負担が生じる等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
||
対策 |
情報システムの停止リスクに対しては、主に稼働しているデータセンターに加え、遠隔地にバックアップのデータセンターを待機稼働しています。メインのデータセンターに障害が発生した場合も復旧可能な体制を整備しており、当社グループで運用中のBCPを更に強化し、大規模な自然災害等による当社グループの事業への影響の極小化を図っています。 情報の外部流出・改ざん等のリスクに対しては、サイバー攻撃対策として、業務用端末へのEDR(注)や多要素認証の導入、ネットワーク通信ログの収集ツールの導入、業務用端末における外部記憶媒体の利用制御等を実施しています。また、運用面では、外部システムを導入する際の担当部門によるセキュリティチェックの定期的な実施や、利用アプリケーション等への最新セキュリティパッチの適用、従業員への情報セキュリティ教育の実施、定期的な情報システムのセキュリティチェック等の対策を講じています。 |
(注)Endpoint Detection and Responseの略称で、ウイルス対策ソフトウェアや、エンドポイント(PC、スマートフォン、IoT機器など)向けセキュリティ・ツールが検知できないサイバー攻撃から、企業や組織内のユーザー、各種の端末やデバイス、データに代表される重要な資産を自動的に保護するセキュリティソリューション。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
a.連結経営成績に関する説明
当連結会計年度の経営成績は、営業収益は4,231億6千8百万円(前期比106.3%)と増収で過去最高を達成、営業利益は464億1千1百万円(同105.5%)、経常利益は370億8千6百万円(同101.9%)といずれも増益となりました。カテプリ(北海道)の管理・運営業務終了を決定したことによる店舗閉鎖損失引当金繰入額6億5千万円、減損損失19億6千万円等、特別損失に36億6千万円を計上しましたが、前連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症による損失30億3千7百万円、固定資産除却損24億9千9百万円、減損損失44億6千1百万円、店舗閉鎖損失引当金繰入額20億1千7百万円等、特別損失に132億2千9百万円を計上し、特別損益が前期比111億4百万円改善したことから、税金等調整前当期純利益は363億7千4百万円(同147.9%)となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は203億9千9百万円(同157.0%)と増益となりました。
◆連結経営成績 (単位:百万円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 (前期比) |
営業収益 |
398,244 |
423,168 |
+24,924 (106.3%) |
営業利益 |
43,979 |
46,411 |
+2,432 (105.5%) |
経常利益 |
36,409 |
37,086 |
+677 (101.9%) |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
12,994 |
20,399 |
+7,405 (157.0%) |
b.セグメント別事業概況に関する説明
◆セグメント別経営成績 (単位:百万円)
|
営業収益 |
セグメント利益又は損失(△) |
|||||
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 (前期比) |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 (前期比) |
||
|
中国 |
52,538 |
58,985 |
+6,447 (112.3%) |
6,634 |
6,537 |
△96 (98.5%) |
|
ベトナム |
13,283 |
15,263 |
+1,979 (114.9%) |
3,063 |
3,901 |
+837 (127.3%) |
|
カンボジア |
5,672 |
8,499 |
+2,827 (149.8%) |
1,145 |
411 |
△734 (35.9%) |
|
インドネシア |
5,897 |
7,260 |
+1,363 (123.1%) |
△987 |
△269 |
+717 (-) |
|
その他 |
- |
- |
- (-) |
△15 |
△14 |
+1 (-) |
海外 |
77,392 |
90,009 |
+12,617 (116.3%) |
9,839 |
10,565 |
+725 (107.4%) |
|
日本 |
321,700 |
333,722 |
+12,022 (103.7%) |
34,114 |
35,821 |
+1,706 (105.0%) |
|
調整額 |
△848 |
△563 |
+284 (-) |
25 |
25 |
- (100.0%) |
|
合計 |
398,244 |
423,168 |
+24,924 (106.3%) |
43,979 |
46,411 |
+2,432 (105.5%) |
■海外
〔当連結会計年度(1月~12月)〕
営業収益は900億9百万円(前期比116.3%)、営業利益は105億6千5百万円(同107.4%)と増収増益となりました。各国における営業概況は以下に記載のとおりです。なお、海外現地法人の決算期は12月末のため、当連結会計年度の業績は1月~12月となります。
(中国)
営業収益は589億8千5百万円(前期比112.3%)、営業利益は65億3千7百万円(同98.5%)となりました。前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という。)の拡大に伴う一時休業期間中の固定費等29億1千万円を「新型コロナウイルス感染症による損失」として営業原価から特別損失に振替計上したこともあり、営業利益は9千6百万円の減益となりました。
当連結会計年度においては、2022年12月にゼロコロナ政策が緩和され、特に江蘇省、湖北省のモールを中心に客足は回復基調で推移しました。中国では不動産市場の低迷等による経済成長率の低下が懸念されていますが、当社モールは飲食、アミューズメント業種を中心に好調に推移しました。7月28日には中国の旗艦店であるイオンモール武漢経開(湖北省武漢市)を増床リニューアルオープンしました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比130.3%(対象21モール)と伸長しました。
(ベトナム)
営業収益は152億6千3百万円(前期比114.9%)、営業利益は39億1百万円(同127.3%)と増収増益となりました。
当連結会計年度においては、4月以降、輸出製品工場の倒産による若年層の失業率増加等、外需低迷や電力不足に伴う経済成長鈍化の影響に加え、前年同期間が政府のウィズコロナ政策への転換によってペントアップデマンド(抑制されていた需要)が顕在化し好調だった反動から、第2四半期連結会計期間(4月~6月)および第3四半期連結会計期間(7月~9月)の既存モール専門店売上は前年を下回るトレンドで推移しました。当第4四半期連結会計期間(10月~12月)は、11月に実施したブラックフライデー企画等の集客強化策の効果もあり、前年並みのトレンドに改善しました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比104.4%(対象6モール)と伸長、新型コロナの影響を受けていない2019年度対比では141.9%(対象4モール)と高い成長を持続しています。
(カンボジア)
営業収益は84億9千9百万円(前期比149.8%)、営業利益は4億1千1百万円(同35.9%)となりました。2022年12月に3号店イオンモール ミエンチェイ(プノンペン都)を開業したことで営業収益は前期比増収となったものの、想定客数の未達やコロナ下でのオープンによる空床の影響等もあり営業収益が想定した水準を下回ったことから、営業利益は減益となりました。
当連結会計年度においては、新型コロナに伴う行動制限は大幅に緩和され、当社モールは通常営業しました。一方、イオンモール ミエンチェイの前面道路となるフンセン道路の陸橋工事による渋滞については、迂回路や周辺道路の開通工事等の渋滞対策が進められていますが、集客面で大きく影響を受けました。既存モールでは、11月4日に1号店イオンモール プノンペン(プノンペン都)を増床リニューアルオープンしましたが、増床エリアの一部区画での工事遅れや大型専門店との交渉が難航し、また、中国人旅行客を中心としたインバウンド需要の減少による影響を受けました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比90.9%(対象2モール)となりました。
(インドネシア)
営業収益は72億6千万円(前期比123.1%)と増収、営業損益は2億6千9百万円の損失(前連結会計年度は9億8千7百万円の損失)となりました。2021年度にコロナ下でオープンした4号店イオンモール タンジュンバラット(南ジャカルタ区)における空床の影響等もあり営業損失となりましたが、当該モールの空床状況は改善が進み、営業損益は前期比7億1千7百万円改善しました。
当連結会計年度においては、ウィズコロナへの移行により行動制限が緩和され、人流の正常化、経済活動の活発化に伴い内需が堅調に推移したことから、当社モールへの集客は改善基調となりました。既存モールでは、1号店イオンモールBSD CITY(バンテン州)において、2021年の第1期リニューアルに続き、44店舗を刷新する第2期リニューアルを実施しました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール来店客数は前期比119.7%(対象4モール)と伸長しました。
当連結会計年度における海外新規物件は、中国で11月にイオンモール武漢江夏(湖北省武漢市)をオープン、カンボジアで新たに取り組む物流事業の拠点として、7月にシハヌークビルFTZロジスティクスセンター(シハヌーク州)を開設しました。
<当連結会計年度の海外新規モール>
国名 |
名称 |
所在 |
オープン |
専門店数 |
総賃貸面積 (㎡) |
特徴 |
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カンボジア |
シハヌークビルFTZロジスティクスセンター |
シハヌーク州 |
2023年7月15日 |
― |
19,400(注) |
当センターでは非居住者でも在庫保有が可能なことから、国際輸送における安定的な商品供給が可能となり、また通関および倉庫業務すべてを自社運営することでシームレスな対応を実現します。国内最大の貨物取引量を有するシハヌークビル港に隣接する経済特区に位置しており、今後カンボジアの経済発展に伴う貨物量増加が期待でき、東南アジアエリアにおける新たなハブ拠点へと成長していきます。 |
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中国 |
イオンモール武漢江夏 |
湖北省武漢市 |
2023年11月1日 |
260 |
95,000 |
来店することでしか得ることのできない「リアルの体験価値」を徹底的に追求し、大人から子供まで楽しめるエンターテインメント施設や、多様な食を体験できる専門店を多く誘致しました。飲食、アミューズメント・シネマが全体の約4割を占める構成とし、モールで過ごす時間や体験にこだわった施設づくりを行いました。 |
(注)シハヌークビルFTZロジスティクスセンターは総賃貸面積ではなく建築面積を表記。
■日本
〔当連結会計年度(3月~2月)〕
営業収益は3,337億2千2百万円(前期比103.7%)、営業利益は358億2千1百万円(同105.0%)と増収増益となりました。
当連結会計年度においては、3月13日より新型コロナ感染対策としてのマスク着用が個人の判断となり、また5月8日より新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことでお客さまの外出意欲は改善、各モールでは集客イベントを継続的に実施しました。加えて、イオンモールアプリやWAON POINT施策との連動等、マーケティングデータに基づくお客さまの購買意欲を喚起する取り組み、ハロウィンやブラックフライデー、年末年始商戦における大型プロモーション等、さまざまな集客強化策を実施しました。インフレによる物価上昇が客単価アップに繋がり、当社モールの売上は改善基調で推移しました。これらの結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比105.6%(対象91モール)となりました。
当連結会計年度における国内新規物件として、4月にイオンモール豊川(愛知県)、THE OUTLETS
SHONAN HIRATSUKA(神奈川県)、10月にJIYUGAOKA de aone(東京都)、12月に
CeeU Yokohama(神奈川県)をオープンしました。新規開業の4施設はいずれも使用電力の100%を実質的にCO2フリー電力で賄う施設運営であり、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。また、既存モールでは13モールでリニューアルを実施しました。
<当連結会計年度における国内新規モール>
名称 |
所在 |
オープン |
専門店数 |
総賃貸面積(㎡) |
特徴 |
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イオンモール豊川 |
愛知県 |
2023年4月4日 |
190 |
63,000 |
地域の方々が集い、交わる緑豊かなガーデンスペースをはじめ、スポーツを体験できる屋外広場を配置することで、ゆったりと過ごせる空間を提供しています。また、発電容量1,300MWhを誇る「ソーラーカーポート」や施設内で発生する食品生ごみを利用して「バイオガス」発電、AIカメラを活用した空調制御設備等を完備した環境配慮型施設として、地域とともに環境課題解決に向けた取り組みを進めていきます。 |
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THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA |
神奈川県 |
2023年4月28日 |
150 |
33,000 |
地域創生型商業施設「THE OUTLETS(ジ アウトレット)」業態3号店として、アウトレットショッピング体験だけでなく、スポーツや健康、アウトドアを切り口にしたリアル店舗ならではの五感で楽しめる体験型アクティビティのほか、心と体を癒やし、ゆったりとした時間を過ごせる緑豊かな施設環境を提供しています。平塚市や湘南ベルマーレ等と協働し、当施設ならではの地域との出会いを創出していきます。 |
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JIYUGAOKA de aone |
東京都 |
2023年10月20日 |
26 |
5,000 |
自由が丘の街に時間と共に馴染んでいく環境デザインをめざし、都会的で緑豊かな街歩きのできる街路空間を環境デザインコンセプトに採用しています。開放感あふれる屋外空間として約1,000㎡からなる緑豊かなテラスを3階に配置し、地域の人々・来街者の方々が憩い集える空間を提供します。また、多摩産材ヒノキを通路や階段部分にウッドデッキとして利用し、資材の地産地消に取り組んでいます。 |
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CeeU Yokohama |
神奈川県 |
2023年12月15日(注) |
24 |
20,000 |
メインエントランス前には地域のイベントが開催できるピロティ形状の広場をつくり、隣接する横浜ビブレとの一体利用ができる空間を設けています。当施設は「一般社団法人 横浜西口エリアマネジメント」に参画し、行政や近隣の学校等と連携しながら横浜西口エリアの活性化や賑わいを創出します。また、エレベーターホール壁面材には神奈川県産木材を採用、資材の地産地消に取り組んでいます。 |
(注)10月27日に1階部分を第1期オープン、11月27日に9階部分を第2期オープン。
c.成長施策および新たな取り組み
当社は、2024年2月期(2023年度)を初年度とする中期経営計画(2023~2025年度)を策定し、これまで成長施策として推進してきたESG経営のさらなる進化を図るべく、「国内外におけるリージョナルシフトの推進」「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を取組方針とし、ステークホルダーの皆さまに対して経済価値、社会価値、環境価値を創出する「真の統合型ESG経営」の実現により持続的な成長をめざしていきます。具体的には、「海外成長マーケットにおける事業機会の発掘と事業化」「国内におけるビジネスモデル改革の推進」「既存事業の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルの創出」を成長施策として展開し、成長を支える基盤構築として「サステナブル視点での財務基盤強化と組織体制構築」を推進していきます。
■成長施策
(海外成長マーケットにおける事業機会の発掘と事業化)
成長性の高いエリアにおける物件の探索・確保を進め、新規出店を加速していきます。最重点出店エリアであるベトナムでは、ホーチミン市を中心とした南部、ハノイ市を中心とした北部の両エリアに加えて、中部エリアの周辺都市においてもドミナント出店を推進していきます。中国では、成長性の高い内陸部の湖北省・湖南省を重点出店エリアと位置づけ、新規出店を加速していきます。
また、モール単一フォーマットによる事業展開から、各国および各地域が抱える課題を深掘りし、商業施設の枠組みにとらわれない新たな事業機会を探索していくことで、地域ごとの特性に合わせた新たな価値創造モデルで事業展開を図っていきます。
・ベトナムにおける新規物件確保の推進
最重点出店エリアであるベトナムでは、12月に南部のカントー市および北部のバクザン省との間で新たに「ショッピングモール開発に関する投資および事業推進についての包括的覚書」をそれぞれ締結しました。また、2024年1月には北部のクアンニン省において、開発会社であるViet Phatグループとショッピングモール開発事業の協力に関する基本合意書を締結しました。当社は、現在展開する南部エリア(ホーチミン市・ビンズオン省)、北部エリア(ハノイ市・ハイフォン市)にベトナム第3経済圏である中部エリア(ダナン市・フエ省)を加え、その周辺都市におけるドミナント出店を加速しています。今後、さらなるベトナム事業の基盤確立をめざし、地方都市への展開を推進していくことで、著しい経済成長を遂げるベトナムの持続的な発展とまちづくりに貢献していきます。
・成長性の高い中国内陸部における出店拡大
11月1日に湖北省4号店となるイオンモール武漢江夏をオープンしました。当モールでは、大人から子供まで楽しめるエンターテインメント施設や多様な食を体験できるゾーンを配置しました。また、モール館内に5つのテーマごとの吹き抜け空間を配置する他、屋上にはバスケットコートやイベント広場、芝生の多目的広場等のさまざまな用途で活用可能な公園を設置し、幅広い世代のお客さまが交流できるスペースを設けています。なお、当社は当モール周辺における環境調査の結果を受け、地元政府が主催する「武漢市(江夏)環境保全事業」に参画し、本エリアにおける生態環境の改善と保全、そして未来への継承を目的とした環境社会貢献活動を実施します。
また湖南省においては、2024年に1号店イオンモール長沙星沙(湖南省長沙市)、2025年に2号店イオンモール長沙湘江新区(湖南省長沙市)の出店を計画しています。湖南省は中国華中エリアに位置し、その省都である長沙市は直近10年間の人口増加が300万人を超える等、近年高い経済成長を継続しています。当社は長沙市政府と2021年5月に包括的連携契約(5年間で5ヶ所のモール出店)を締結しており、今後も地域に新たな価値を提供し、持続的な成長をめざしていきます。
・カンボジアにおける物流ソリューションの提案
カンボジアでは、新たに取り組む物流事業の拠点となるシハヌークビルFTZロジスティクスセンターを7月15日に開設しました。当センターは、非居住者でも在庫保有が可能なことから、国際輸送における安定的な商品供給が可能となり、また通関および倉庫業務すべてを自社運営することでシームレスな対応を実現します。国内最大の貨物取引量を有するシハヌークビル港に隣接する経済特区に位置しており、今後カンボジアの経済発展に伴う貨物量増加が期待でき、東南アジアエリアにおける新たなハブ拠点へと成長していきます。
(国内におけるビジネスモデル改革の推進)
国内においては、外部環境では人口減少、少子高齢化に伴う人手不足や資材高騰による建設単価の高止まり、アパレル業種を中心とした専門店企業の出店意欲低下等が顕在化し、また内部環境ではアパレル業種を中心とする専門店売上の低迷、建築コスト高騰による投資効率の低下等が大きな課題となっています。このように日々大きく変化する事業環境を機会とし、変わりゆく地域の課題やお客さまの価値観、潜在的なニーズに対応すべく、「マーケットに合わせた提供価値の多様化」、「既存アセットの有効活用による収益性改善」、「デジタル技術を駆使した業務効率性・利便性の向上」、「抜本的な事業構造改革の実行」等を通じて、既存のビジネスモデル改革を推進していくことで、国内事業における集客力強化および収益性向上を図っていきます。
・お客さまの五感を満たす快適な空間の提供
お客さまの消費行動や購買習慣の変容が加速する中、当社ではカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験価値)を創造し、リアルモールの魅力を最大化していくことで、継続的に集客力向上を図っています。開放的で居心地の良い外部ゾーンに対するお客さまのニーズが高まる中、「安らぎ」や「心地よさ」といった五感に訴えかける仕掛けを取り入れる等、お客さまにとって憩いの場となる施設環境づくりを推進しています。
4月28日にオープンしたTHE OUTLETS SHONAN HIRATSUKAでは、オープンエアな環境を最大限活かし、館内各所に植栽を配置し、施設中央には緑溢れるテラス席を設けた開放的な空間を配置することで、公園を散歩しながらショッピングを楽しめるような、居心地の良さを感じられる環境空間としました。また、イベントコートには、約300インチの大型LEDビジョンを設置、一面に敷き詰められた人工芝でくつろぎながら、スポーツ・エンターテインメントイベントの観戦や、観覧しながらの飲食もお楽しみいただける空間を創出しました。また、発電容量1,250kWの太陽光発電を含む使用電力の100%を実質的にCO2フリー電力で賄う施設運営とし、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。
・マーケットに合わせた出店モデルの展開
今後のモール開発の方向性は、様々な視点でのマーケット分析に基づき、出店エリアの立地特性に応じた多様な開発パターンによる出店モデルの構築を推し進めることで、新たな価値提案を図っていきます。
10月20日にオープンしたJIYUGAOKA de aoneは、自由が丘の街に時間と共に馴染んでいく環境デザインをめざし、都会的で緑豊かな街歩きのできる街路空間を環境デザインコンセプトとしました。開放感あふれる屋外空間として約1,000㎡からなる緑豊かなテラスを3階に配置し、地域の人々・来街者の方々が憩い集える空間を提供します。また、多摩産材ヒノキを通路や階段部分にウッドデッキとして利用し、資材の地産地消に取り組んでいます。
10月27日には、2019年2月に閉店したダイエー横浜西口店の跡地にCeeU Yokohamaが第1期オープン、12月15日にグランドオープンしました。本開発事業は、権田金属工業株式会社が商業施設、独立行政法人 都市再生機構が住宅施設を建築する共同事業で、当社は商業施設を賃借し運営します。敷地内にはコミュニティを醸成する空間として公開空地を配置するほか、一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントに参画し、イベントやワークショップを実施することで、周辺エリアの活性化や賑わいを創出します。また、神奈川県産木材をエレベーターホール壁面に利用し、資材の地産地消に取り組んでいます。
なお、両施設とも使用電力の100%を実質的にCO2フリー電力で賄う施設運営とし、地球温暖化防止および脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進しています。
・新コンセプト広場一体型の商業施設「noNIWA」の展開
当社は、モール内の敷地や駐車場の有効活用等により新たに創出した事業用地での価値提供として、屋外で新コンセプト広場一体型の商業施設「noNIWA(ノニワ)」を展開していきます。同コンセプトの1号店として、イオンモール羽生(埼玉県)の西側エリアの平面駐車場に新たなPARKとして「HANYU noNIWA」を設置しました。10月14日にアウトドア&スポーツを中心とした構成で先行オープン、2024年9月には第2弾として、自家焙煎コーヒーやオーガニックフードを提供するカフェやキャンピングカー専門店をオープンします。2025年春にはアウトドアサウナを併設した温浴施設やベランピング施設等の導入を予定しています。環境保全の取り組みとして、当施設では使用する電力の100%を実質的にCO2フリー電力で賄い運営します。また、西側平面駐車場の改修工事で発生する資源の再利用や使用する舗装材の再生材利用率100%をめざし、リユース・リサイクルの取り組みを推進しています。
・アセット活用による収益機会の獲得
7月20日に、イオン京橋店跡地における再開発までの暫定利用施設としてFULALI KYOBASHI(大阪府)をオープンしました。多種多様な形態の飲食ゾーンや最大約8,500㎡の駅前イベント広場を配置することで、京橋エリアにおける新たな憩いの場や情報発信拠点として、将来の再開発事業に対するお客さまの期待感を醸成していきます。また当施設内では、ショッピングモールとは異なる新たな店舗形態として、当社が移動販売車と出店場所の貸出サービスを提供する移動販売事業「PARADE MARKET」の実証実験を行っています。2024年3月30日には新たにフードホールを新設、ラフで無骨なデザインを現代風にアレンジした屋内共有スペースに飲食店4店舗を配置しました。なお、フードホールはエネルギー自立度を高めた建物として建築を行っており、これにより、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一時消費エネルギー量を削減する建築物であることを証明する「ZEB Ready」認証を取得しました。
・スポーツ振興による地域との連携強化
当社は、2030年ビジョンに掲げた地域共創業の実現に向けて、持続可能な地域の未来につながる営みを共創することや商業施設にとどまらず、地域・社会を活動フィールドとし、同じ志を持つパートナーと共創する活動を行っています。
12月に「ジャパンラグビー リーグワン」を運営する一般社団法人ジャパンラグビーリーグワンとの間で『地域共創パートナー』と称する事業共創パートナー契約を締結しました。同リーグの公式戦が開催されるスタジアムへの積極的な送客を共同で行うとともに、イオンモール施設内のデジタルサイネージ・アプリ・イベント等を通じて、地域のお客さまに楽しい「時」と繋がる「場」というイオンモールならではの価値を提供していきます。
・抜本的な事業構造改革の実行
外部環境およびお客さまの価値観が加速度的に変化する中、既存事業における深化を進めてきましたが、一部の当社施設においてはこの変化への対応が十分ではなく、集客力および収益性の低迷によりキャッシュ・フロー創出力が低下しています。活性化投資を含めた商圏内の競争力アップと運営効率の改善を進めるほか、不動産・財務的なアプローチからの抜本的な構造改革を視野に入れた取り組みを進めています。6月には、カテプリの管理・運営業務を2024年6月末で終了することを決定いたしました。将来的な営業利益の最大化に向けて、引き続き抜本的な事業構造改革を確実に実行していきます。
(既存事業の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルの創出)
変化のスピードが速い不確実性の時代において、当社は既存事業の発展のみならず、新たな価値創造に向けた事業創出に注力し、事業領域の拡大に向けた取り組みを推進していきます。
・複合開発機能の拡充
活力ある地域、コンパクト+ネットワーク型の都市の実現のために、資本業務提携等のM&Aを通じたパートナー企業との連携強化により、地域の暮らしの未来を共創していきます。2023年3月には、分譲マンションおよび収益不動産事業を柱とする株式会社マリモとの資本業務提携を行いました。株式会社マリモとは地域共創という共有の理念のもと、市街地における再開発・複合開発事業を推進していきます。
・物流課題解決に向けた共同配送サービスの展開
ドライバー不足や小口多頻度化、燃料価格の高騰に加え、2024年にはドライバーの時間外労働の上限規制が適用される等、物流課題の深刻化が進む中、当社はパートナーである専門店企業への価値提供として、共同配送サービスを展開しています。
共同配送サービスとは、専門店企業の物流拠点から、イオンモール、他社商業施設、路面店等の店舗への配送や、店舗間配送、返品配送を当社が担うもので、専門店企業のコスト削減と物流サービスの品質維持を実現します。また、必要なときに必要な分だけご利用いただけるオンデマンド倉庫サービスにも対応しています。2月より近畿・東海エリアへのサービス提供を開始しましたが、多くの企業さまからのご要望にお応えし、12月より提供エリアを7エリア24都道府県に拡大しました。
将来的には梱包資材やハンガーなどの共通化により経済価値と環境価値の両立を実現させることで、持続可能な物流網の構築に寄与していきます。
・スタートアップ企業への出資を通じた新たな事業創出
CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)「Life Design Fund」を設立し、スタートアップ企業への出資等を通じて、スタートアップ企業が持つ最先端の技術やノウハウを結集することで、新たな価値提供等を行い、地域課題の解決、店舗運営の高度化を通じた事業価値創造に挑戦していきます。同ファンドを通じた第1号案件として、小売・商業施設DXを支援する株式会社COUNTERWORKSに出資、第2号案件として、事業者向け卸・仕入れのマーケットプレイスを運営するorosy株式会社に出資しました。また、2024年3月には第3号案件として、全国各地でソーシャルコワーキング事業を展開する株式会社ATOMicaに出資しました。
・共創パートナーの募集
当社は、「AEON MALL OPEN INNOVATION PROGRAM」を10月20日から11月19日にかけて開催し、「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」「リアルショッピングの魅力最大化」「地球環境と共生する地域基盤の形成」の3つのテーマからパートナーを募集しました。変化のスピードが速い不確実性の時代において、当社がお客さまからの期待に応え、今まで以上に地域から支持されるために、当社の価値創造に共感いただくスタートアップ企業や大学、行政の皆さまと共に事業シナジーや新たなサービスの創出を図っていきます。
■基盤構築
(サステナブル視点での財務基盤の強化と組織体制の構築)
急速かつ急激に事業環境が変化する中、当社がめざす「真の統合型ESG経営」の実現に向けた取組方針である「国内外におけるリージョナルシフトの推進」「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」を推進すべく、「ファイナンスミックスの推進と資産ポートフォリオの最適化」、「経営監督機能の強化と迅速な業務執行体制の構築」、「最も重要な経営資源としての人的資本活用」を通じて、サステナブル視点での財務基盤の強化および組織体制の構築に取り組むことで、持続的な成長を可能とする経営基盤強化を図っていきます。
・サステナビリティファイナンスの取り組み
当社は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みをより強固かつ「真の統合型ESG経営」の実現に向けた取り組みを加速させるべく、2023年11月にはグリーンファイナンス・フレームワークを策定しました。
本フレームワークに基づいて調達された資金は、適格プロジェクトに対する新規投資及び既存のリファイナンスに充当する予定です。例えば、国内外におけるグリーンビルディングをコアとする対象プロジェクトのほか、地産地消の再生可能エネルギー(以下、「再エネ」という。)の創出のための太陽光発電設備の設置ならびに再エネに由来するCO2フリー電源の購入、お客さま参加型の再エネ循環プラットフォームの構築に向けたEV充放電設備の導入、生物多様性に配慮した緑地づくり等の取り組みを推進する予定であり、これらはグリーンファイナンスの調達意義に合致するとともに、ポジティブ・インパクトを社会にもたらすものと考えております。
2023年12月には本フレームワークに基づき、グリーンボンド発行により250億円の資金調達を実施しました。調達資金については、イオンモール土岐(岐阜県)、イオンモール川口(埼玉県)における設備資金の一部に充当しました。
・執行役員制度の導入
当社の経営戦略・成長施策の推進と計画数値達成の実現に向けて、組織の役割・責任の明確化、業務執行のスピードを上げるとともに効果的なモニタリングを行っていくため、2023年5月より執行役員制度を導入しました。経営の監督と執行の分離による監督機能強化をはじめ、既存事業の進化と新規事業の開拓、業務執行責任の明確化と意思決定の迅速化を進めるとともに、次世代の経営人材育成も含め、組織体制を整備していきます。
・イオンモール まちの発電所
当社は、脱炭素への取り組みとして、各地域での再エネ直接契約による実質CO2フリー電力調達から、順次地産地消の再エネ(PPA(注1)手法含む)への切り替えを進め、2040年度には当社直営モールにおいて100%地産地消の再エネでの運営へ引き上げていきます。
2022年9月より自己託送方式(注2)による低圧・分散型太陽光発電設備「イオンモール まちの発電所」の稼働を開始しました。2023年秋より第2弾を順次運転開始し、第1弾との合計では、全国約1,390か所の低圧太陽光発電所で発電した電力約120,000MWh(イオンモール7~8施設分の消費電力に相当)を自己託送方式で全国のイオンモール約50施設に電力供給します。2023年度は新たな取り組みとして、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)(注3)を採用し、耕作放棄地の計画的・効率的な利用により農業振興を進めることで、再エネの普及と共に地域経済の活性化にも貢献していきます。
(注)1.「Power Purchase Agreement(販売契約モデル)」の略称で、PPA事業者が電力需要家の敷地や屋根等を借り太陽光発電システムを設置し、そこで発電した電気を需要家に販売する事業モデル。
2.遠隔地の太陽光発電設備で発電した電気を、送配電事業者の送配電設備を利用し、自社施設または自社グループの施設へ送電すること。
3.農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組み。
・日本最大規模の包括ソーラーカーポート・オンサイト太陽光PPA契約の締結
当社は、Sun Trinity合同会社(注)との間で、当社の国内商業施設の屋外駐車場において最大規模となる合計18,000MWhのカーポート型太陽光発電設備(以下、「ソーラーカーポート」という。)を導入するオンサイト太陽光PPAの包括契約を締結しました。ソーラーカーポートは、駐車場スペースを有効活用し屋根と太陽光発電設備を導入することで、駐車場利用者の利便性向上に加え、新たに再エネ由来の電力を生み出す取り組みとして注目が高まっています。本契約の対象は12店舗で、2025年度までに合計50店舗以上の稼働開始をめざし、その後もさらに導入を拡大していきます。
(注)住友商事株式会社・四国電力株式会社が日本国内で太陽光発電事業の開発・運営を行うために2022年1月に設立した合同会社。
・お客さま参加型のEV充電「V2AEON MALL」サービス開始
当社は、地域のお客さまとともに地産地消の再エネを創出し、施設内で“地域の脱炭素社会実現”をめざすべく、5月より関西エリア3店舗において、「V2AEON MALL」サービスを開始しました。
本サービスは、家庭で発電した電力(余剰電力)をEVを介してモールに放電いただくと、脱炭素社会実現に向けた取り組み協力の御礼としてポイントを進呈します。お客さま参加型の再エネ循環プラットフォームを整えることで、家庭での再エネ活用を選択するきっかけづくりに寄与します。
・インドネシアにおける太陽光発電設備の設置・稼働開始
当社と双日株式会社は、再生可能エネルギー電力の活用によるCO2排出量削減に向け、インドネシア1号店 イオンモールBSD CITYに屋根置き太陽光発電設備を導入、2024年1月から稼働を開始しました。屋上に総面積約4,244㎡、年間の発電容量計1,161MWhの太陽光発電パネルを設置し、本取り組みにより年間のCO2排出量は約712トンの削減を見込んでいます。同国で建設中の5号店イオンモール デルタマス(ブカシ県)においても屋根置き太陽光設備の設置を進めており、今後も脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの活用を積極的に推進してまいります。
・イオンモール豊川 令和5年度脱炭素都市づくり大賞において環境大臣賞を受賞
4月に開業したイオンモール豊川では、発電容量1,300kWを誇る「ソーラーカーポート」を設置する他、施設内で発生する食品生ごみを利用した「バイオガス」発電、AIカメラを活用した空調制御等の取り組みにより、50%以上の一次消費エネルギー消費量を削減する建造物であることを証明する「ZEB Ready」認証を取得しました。当モールにおける脱炭素、資源循環の実現に向けたこれらの対応が、総合的に優れた取り組みとして高く評価され、令和5年度脱炭素都市づくり大賞において環境大臣賞を受賞しました。
・SBT認定の取得
当社は、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets(以下、SBT)という。」を認定する機関「SBTイニシアチブ(以下、SBTi)」に対し、コミットメントレターを提出、2024年2月に認定を取得しました。
SBTiは、パリ協定が求める水準と整合する科学的根拠に基づいた目標設定を企業に働きかける国際的な共同団体です。企業が掲げる温室効果ガスの長期的な削減目標が、パリ協定の「地球の気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える」という目標の達成に必要な水準を満たす場合に「科学的に整合している目標(SBT)」であると認定します。
当社では、Scope1・Scope2は「1.5℃水準」、Scope3は「2℃を十分に下回る水準」に目標レベルを設定し、SBTの認定を取得しました。
・生物多様性のための30by30(サーティ・バイ・サーティ)アライアンスへの参画
当社は、「生物多様性のための30by30(注1)アライアンス(注2)」に参画しました。当社はこれまで新店舗オープンに際し、地域の自然環境に最も適した土地本来の樹木をお客さまとともに植える植樹活動を継続的に実施してきました。本アライアンスへの参画を通じ、同じ目的を持つ企業、自治体、NPO、地域の皆さまと連携し、今後も生物多様性の保全活動を積極的に進めるとともに、OECM(注3)として国際データベースへの登録をめざすことで「30by30」目標の達成に貢献し、ネイチャーポジティブの実現をめざします。
(注)1.2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標。
2.30by30目標達成に向け、今後日本として現状の保護地域(陸域約20%、海域約13%)の拡充とともに、民間等によって保全されてきたエリアをOECMとして認定する取り組みを進めるための企業・自治体・団体による有志の連合。
3.民間等の取り組みにより生物多様性保全に貢献している里地里山や企業林など、保護地域以外の土地・地域のこと。
・TNFDフォーラムへの参画
当社は、自社事業が自然へ及ぼす影響を分析し、自然に関するリスクと機会に対応するため、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TNFD」という。)(注1)フォーラムに参画し、TNFDの提言するLEAPアプローチ(注2)を用いて分析を行いました。またTNFDに沿った情報開示にむけて、2023年9月に公表されたTNFD最終提言に則り、分析結果と自社の取り組みを整理しています。
(注)1.企業が事業を通じて自然に及ぼす影響、リスク、機会、生物多様性への配慮を可視化し、自社の報告書やWebサイトで開示するための枠組み。
2.TNFDにより開発された、自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題の評価のための統合的なアプローチ。
・プラチナえるぼし認定の取得
当社は、3月に女性活躍推進法に基づく優良企業として「プラチナえるぼし」認定を取得しました。同認定は、女性活躍の推進に積極的に取り組む企業を認定する制度「えるぼし」企業のうち、行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況について、特に優良な企業に対し厚生労働大臣より認定を受けるものです。今回の認定では、女性管理職候補者の育成研修の実施や、ライフステージにより制約がある社員も昇進・登用にあたって評価することにより、誰もが公平にチャンスを与えられ挑戦できる環境を整備したこと、また子育てしながら働く従業員の活動支援を目的とした事業所内保育施設「イオンゆめみらい保育園」を全国で22園導入しているほか、2019年には、男性の育児休業取得促進を目的に、独自の「育児休業扶助金(イクボス応援金制度)」など、働き方の選択の幅を広げる様々な取り組みが評価されました。
・「健康経営優良法人2024」に5年連続で認定
当社では、従業員のWell-beingが企業活動のベースであり、従業員が健康であることにより、地域のお客さまに健康と心の豊かさをもたらすサービスを提供できるとの考えのもと、健康経営を推進しています。健康経営優良法人認定制度においては、2024年3月に「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に5年連続で認定されました。
(2)財政状態の状況
(資産)
総資産は、前連結会計年度末と比較して956億6千万円増加し、1兆6,552億5千3百万円となりました。これは、減価償却費732億5千7百万円を上回る新店の開業や既存店の活性化、将来開発用地の先行取得等1,318億8千9百万円により有形固定資産が669億9百万円、関係会社預け金が150億円増加したこと、また、為替換算の影響による増加も大きく生じたこと等によるものです。
(負債)
負債は、前連結会計年度末と比較して711億4千5百万円増加し、1兆1,790億2千7百万円となりました。これは、設備に関する未払金等が141億3千3百万円減少した一方で、リース債務(流動負債の「リース債務」を含む。)が366億4千8百万円、社債(「1年内償還予定の社債」を含む。)が200億円、専門店預り金が75億8千5百万円、長期借入金(「1年内返済予定の長期借入金」を含む。)が63億7千万円増加したこと等によるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末と比較して245億1千5百万円増加し、4,762億2千6百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益203億9千9百万円の計上、配当金113億7千7百万円の支払により、利益剰余金が90億2千2百万円増加したこと、また、為替換算調整勘定が147億1千8百万円増加したこと等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して112億5千3百万円増加し、1,123億5千4百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況については次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、1,263億5百万円(前連結会計年度は1,014億9千万円)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益が363億7千4百万円(同245億9千2百万円)、減価償却費が732億5千7百万円(同704億2千2百万円)、専門店預り金の増加額が73億3千3百万円(同80億1千万円)となる一方で、法人税等の支払額が127億5千2百万円(同124億5千6百万円)となったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、1,017億4千3百万円(同1,032億7千6百万円)となりました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入が142億3千2百万円(同5百万円)生じた一方で、前連結会計年度にオープンしたイオンモール土岐(岐阜県)や翌連結会計年度にオープン予定のイオンモール長沙星沙(湖南省長沙市)、イオンモール杭州銭塘(浙江省杭州市)の設備代金、将来開発用地の先行取得等により有形固定資産の取得による支出が1,041億3千6百万円(同996億7千万円)生じたこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、128億4千8百万円(同135億1千5百万円の増加)となりました。主な要因は、社債の発行による収入が900億円(同800億円)、長期借入れによる収入が420億6千8百万円(同510億5千3百万円)となる一方で、社債の償還による支出が700億円(同400億円)、長期借入金の返済による支出が395億1千2百万円(同466億7千万円)、リース債務の返済による支出が231億5千4百万円(同189億2千5百万円)、配当金の支払額が113億7千7百万円(同113億7千7百万円)となったこと等によるものです。
なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金及び金融機関からの借入れ、社債の発行等により調達した資金を、運転資金、設備投資資金、並びに配当金の支払等に投入しております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2023年2月期 |
2024年2月期 |
自己資本比率(%) |
28.2 |
28.0 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
25.9 |
24.0 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
7.8 |
6.8 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
8.7 |
9.8 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、リース債務(流動負債)、社債、長期借入金及びリース債務(固定負債)を対象としています。
3.キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)目標とする経営指標の状況
当社では、将来にわたるキャッシュ・フローの最大化および企業価値向上を目的として、EPS成長率7%(2019年度を起点とした年率成長率)、純有利子負債EBITDA倍率4.5倍以内、投下資本利益率(ROIC)5%以上を目標とする経営指標としています。
2020年度以降、各国とも新型コロナ拡大の影響によるキャッシュ・フロー創出力が低迷し、また、将来高い成長が見込まれるベトナムをはじめとした海外への先行投資が増加してきたことから、いずれの指標も目標値に届いていませんが、今後、海外モールの高い成長によるキャッシュ・フロー拡大に伴い改善していく見込みです。
2024年2月期の各種指標の実績は、以下の通りです。
経営指標 |
目標値 |
実績(2024年2月期) |
EPS成長率 |
7% |
△12.1% |
純有利子負債EBITDA倍率 |
4.5倍以内 |
6.2倍 |
投下資本利益率(ROIC) |
5%以上 |
2.5% |
(注)EPS:親会社株主に帰属する当期純利益/期中平均株式数
純有利子負債EBITDA倍率:(有利子負債-現金及び現金同等物の期末残高)/(営業利益+キャッ
シュ・フロー計算書上の減価償却費)
投下資本利益率:営業利益×(1-実効税率)/(期首・期末平均自己資本+期首・期末平均有利子負債)
(6)生産、受注及び販売の実績
①生産実績、受注実績
生産及び受注の状況については、当社グループは生産を行っておらず、また受注の形態を取っていないため該当事項はありません。
②販売実績
当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
営業収益(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
333,158 |
103.8 |
中国 |
58,985 |
112.3 |
ベトナム |
15,263 |
114.9 |
カンボジア |
8,499 |
149.8 |
インドネシア |
7,260 |
123.1 |
合計 |
423,168 |
106.3 |
(注)主な相手先別の営業収益実績及び当該営業収益実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
イオンリテール㈱ |
38,007 |
9.5 |
38,511 |
9.1 |
該当事項はありません。
該当事項はありません。