当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、『「志の高い信頼の経営」を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する』ことを経営理念としております。創業精神である「私利、私欲、私権におぼれることなく“人々の幸せ”を願い続ける」という高い使命感をもって、コンプライアンスを徹底し、ライフ行動基準を着実に実行することを通じて会社の持続的な成長を図るとともに全てのステークホルダーから信頼されるスーパーマーケットとして社会に貢献いたします。
「ライフ全店舗がお客様から最も信頼される地域一番店になる。お客様からも社会からも従業員からも信頼される日本一のスーパーマーケットを目指す」を当社グループのビジョンとして掲げ、グループを挙げて取り組んでおります。
(2)目標とする経営指標
2030年に向け「売上高1兆円、経常利益350億円、当期純利益220億円、店舗数400店舗」の企業グループに成長し、地域密着のスーパーマーケットとして、地域の皆様に「私のスーパーマーケット」と言っていただける会社になることを目指してまいります。
(3)経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
今後のわが国の経済見通しにおきましては、インバウンド需要の本格的な回復とともに物価上昇を上回る賃上げの実現も視野に入り、個人消費の拡大等により景気は回復基調が見込まれます。一方、海外では、経済の底堅さは見られるものの自然災害の多発、欧米の財政・金融・通商政策、中国経済の動向、地政学リスクの高まりがわが国の経済に影響を及ぼす要因もあり、引き続き楽観できない状況にあります。
小売業界におきましては、金融資産の増加、賃金の上昇等が消費の下支えになるものの、物価高、人手不足の深刻化等、依然厳しい状況にあり、ドラッグ業態の食品拡大、ディスカウント業態の勢力拡大、ネット通販大手を含む業態を超えた生鮮食品分野への進出等、業界内の動きは激しくなっております。
このような厳しい環境の中、よりお客様に信頼される地域一番店を実現するために、さらなる飛躍に向け、2030年度に当社が目指す姿を見据えて、経営理念・ビジョン・ライフらしさ宣言の実現に向け当連結会計年度よりスタートした「第七次中期経営計画」を推進しております。
「第七次中期経営計画」におきまして、当社が取り組む主要なテーマは以下の3つです。
・人への投資~従業員の成長と従業員満足度向上によるモチベーションアップが、第七次中期経営計画を前進させ会社の成長につなげることを目指します。
・同質化競争からの脱却~シームレスにつながる便利なお買い物実現に向け、ライフにしかない「商品」「サービス」に磨きをかけつつ「ネット事業」を拡大し、お客様に快適な買い物体験を提供することを目指します。
・持続可能で豊かな社会の実現への貢献~「地域のライフライン」として、持続可能で豊かな社会のために必要な取り組み(環境負荷低減、地域社会への貢献等)を実施することを目指します。
また、3つのテーマを推進するにあたり、人手不足の状況でも第七次中期経営計画をやり遂げるための効率化推進及び第七次中期経営計画実現に向けた投資の原資を確保するため、『「カイゼン」の輪をつなぐ』のスローガンのもと全従業員が自ら「カイゼン」活動に取り組んでまいります。
以上に掲げた施策により、「お客様からも社会からも従業員からも信頼される」事業体として、企業価値の向上と持続的な成長を目指していく所存であります。
なお、社会経済活動の正常化に伴い景気が回復基調となり、賃金の上昇が見込まれる一方、商品価格上昇の落ち着き、継続的な物価高による消費への影響等が業績動向の見極めを非常に困難にしています。しかしながら、当社は、業績動向が不透明な状況でも、「第七次中期経営計画」2年目の年度(2024年度)の当社グループの業績見通しを、営業収益8,534億円(前期比5.4%増)、営業利益247億円(前期比2.4%増)、経常利益255億円(前期比2.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益170億円(前期比0.4%増)といたしました。社会、経済環境等の変化に応じて業績見通しの修正を行う可能性がありますが、「第七次中期経営計画」の目標として掲げた『経営理念・ビジョン・ライフらしさ宣言の実現』のため、すべての施策を着実に行ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「『志の高い信頼の経営』を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」という経営理念に基づき、サステナビリティに関する諸課題に対処しております。この持続可能で豊かな社会を実現するために、「環境への負荷低減」、「安全で高付加価値な商品・サービスの提供」、「生活インフラとして地域社会へ貢献」、「多様な人財が活躍する働きがいのある職場環境づくり」、「高い価値観・倫理観を持つ組織の形成」をマテリアリティ(重要課題)として認識しております。
この認識したマテリアリティに対する取り組みテーマ及び取り組み内容については、以下の通りですが、この取り組みを通じてSDGsターゲットにも対応してまいります。
経営理念に示される通り、ステークホルダーの皆様から信頼される企業として、私たちの事業活動の根源である地球環境とその上に成り立っている社会の課題解決に努めていきます。
私たちがめざす持続可能で豊かな社会とは、地球、社会が健全であり、当社が提供する商品・サービスを通して一人でも多くの人が「楽しく」、「安心して」、「健康的な」生活を営むことができる社会です。当社は、この考え方に基づいて、これからも環境、社会、ガバナンスの問題に真摯に取り組んでおります。
(1) ガバナンス
当社では、サステナビリティに関する活動を全社的な視点から統括し、推進するための委員会として「サステナビリティ推進委員会」を取締役会の下に設置し、取締役会がサステナビリティを巡る課題に主体的に取り組む体制としています。
「サステナビリティ推進委員会」において、社会・環境問題に関する対応方針や諸施策の立案、各種施策の進捗・実績管理、気候変動関連のリスクマネジメントと情報開示などについて検討・協議した結果を取締役会に報告及び提案しております。
取締役会は、「サステナビリティ推進委員会」で協議し、取締役会に報告・提案された内容について審議・監督を行っています。
(2) リスク管理
上述の通り当社では「サステナビリティ推進委員会」が主体となって気候変動リスクをマネジメントしています。サステナビリティ推進部が中心となって気候関連リスクに関する情報・データを収集し、事業活動項目ごとに、気候変動に伴うリスクを網羅的に抽出します。次に、サステナビリティ推進委員会において、抽出したリスクの中から、当社にとって重要な気候関連リスクを特定し、「発生可能性」と、「財務への影響度」の2つの評価軸に基づき、その重要性を評価します。サステナビリティ推進委員会によるリスクの識別・評価に基づく当社の戦略・施策等の方針や提言を取締役会へ報告することとしています。
(3) 戦略
世界的な環境破壊、異常気象の多発、資源の枯渇などが急速に進む中、「環境への負荷低減」は最重要課題の1つです。当社では、自社の事業活動が環境に与える影響が大きいと考えられる「CO2排出」削減、「食品ロス」削減、「廃プラスチック」削減に取り組み、事業活動によって発生する環境負荷を低減し、循環型社会・脱炭素社会の実現をめざします。
これらサステナビリティに関する取り組みの中でも、当社が重要なテーマと位置付けている気候変動への対応についての当社の戦略は以下の通りです。
当社のCO2排出量のうち93%は「電力」が占めていますが、事業所別に内訳をみると、そのほとんどを「店舗」で使用しています。店舗内の使用電力内訳をみると、冷蔵・冷凍ケースなどの「冷蔵設備」、エアコンによる「空調」と店内の「照明」で約8割となっています。
当社はこのような現状を踏まえ、店舗の電力使用量の抑制に重点的に取り組むことで、当社全体のCO2排出量の削減を図ります。
CO2排出量削減に向けた取り組みは、統合報告書に記載しておりますので、下記をご参照ください。
http://www.lifecorp.jp/vc-files/pdf/ir/integrated_report/2023_1.pdf#page=46
なお、2023年度のCO2排出量削減に向けた取り組みについては、2024年8月発行予定の「統合報告書2024」をご確認ください。
また、当社では、気候変動に起因する社会・環境問題は喫緊の課題と認識しています。当社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の考え方に準拠しながら、必要なデータの収集と分析を行っています。
気候関連のリスク及び機会に関する戦略については、当社WEBサイトに記載し、適宜更新しておりますので、詳細は下記をご参照ください。
http://www.lifecorp.jp/company/sustainability/environment/tcfd.html#vcb00000855-326-148-cmp_parts_01_2_01
(4) 指標及び目標
当社では、世界全体の平均気温上昇の2℃未満目標達成のため、CO2排出量削減について「2030年までにScope1・Scope2 CO2排出量を50%削減する(2013年度比)。」という中期的な目標を2022年度から設定しています。
気候関連の指標及び目標については、当社WEBサイトに記載し、適宜更新しておりますので、詳細は下記をご参照ください。
http://www.lifecorp.jp/company/sustainability/environment/tcfd.html#vcb00000855-326-154-cmp_parts_01_2_01
≪人的資本に関する戦略(方針)、指標及び目標≫
当社グループは、「第七次中期経営計画」において掲げる「人への投資」においては、全ての従業員が持てる力を発揮することができるとともに時間と心に余裕があり、多様な人財が活躍し、従業員がやりがいを持って働くことのできる会社をめざし、各種取り組みを行っております。
(1) 戦略
(人財育成方針と社内環境整備方針、その状況)
1. 採用方針
当社の経営理念を共有できる有能な人財確保のため、新卒採用を中心に、様々な経験、スキル、資格を有し、即戦力となる中途採用も積極的に行い、多様性のある組織集団をめざしております。
2. 多様な人財が活躍できる環境整備
年齢、性別、国籍、障がいの有無等に関係なく、全ての従業員が持てる能力を発揮し、活躍できる職場環境の構築をめざしております。
a.店舗運営の中心となるパートタイマーについては、熟練度に応じた等級・昇給制度、部門でのリーダーへの任命制度、社員への登用制度の導入
b.女性の活躍を推進するための各種施策の実施
詳しくは、コーポレートガバナンス報告書の「Ⅲ.3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況その他『ダイバーシティ推進』」をご参照ください。
https://www2.jpx.co.jp/disc/81940/140120231205599382.pdf#page=16
なお、コーポレートガバナンス報告書は2024年6月更新予定です。
c.社内公募制の導入による自らチャレンジする環境の構築
d.将来の経営層を担う人財の開発のために、選抜した幹部社員を中心とした、社長による経営塾の開催
3. 人財育成方針
自ら考え行動する人財の育成を主眼とし、従業員の向上心に応え、成長を支える教育制度の実現と質の高い教育を従業員に提供し、様々な知識や経験をもった人財が自律的に学び、成長できる環境を創ります。
〈多様性の確保についての考え方〉
当社グループは、性別や国籍、年齢等の多様性が確保され、それぞれの人財が持つ能力・知識が発揮できる環境を備えた「多様な人財を活かす会社」の実現をめざし、取り組んでおります。
この取り組みの実現を推進する組織として、「ダイバーシティ推進室」を設置しております。
女性の活躍推進については2012年より「女性活躍推進プロジェクト」をスタートさせ、女性管理職比率の目標値も設定して進めております。
詳しくは、コーポレートガバナンス報告書の「Ⅲ.3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況その他『ダイバーシティ推進』」をご参照ください。
https://www2.jpx.co.jp/disc/81940/140120231205599382.pdf#page=16
なお、コーポレートガバナンス報告書は2024年6月更新予定です。
中途人財の採用については、積極的に実施しております。具体的には、店舗での運営業務をはじめとして、プロセスセンターでの商品開発、店舗建築の設計、新規出店物件の開発、公認会計士・税理士等の資格取得者等の専門能力を有する多様な人財を、年齢、性別等に関係なく採用しております。当社では、中途採用者の人数も多く、従前から新卒採用者、中途採用者の区別なく能力本位で管理職への登用を行ってきた結果、中途採用者管理職数、中途採用者管理職比率ともに十分な数と比率となっているため、目標は定めておりません。
また、首都圏・近畿圏の2大都市圏を営業エリアとする国内スーパーマーケットという当社の事業形態から、特に外国人の管理職数目標は定めておりません。
なお、外国人人財の活躍については、プロセスセンター、一部店舗において外国人技能実習生の受け入れを行い、2024年2月末現在で501名の外国人技能実習生が研修を受け、566名の特定技能外国人がプロセスセンター、サテライトキッチン、ベーカリーセンターで就労しております。
〈健康経営〉
当社グループは、従業員の健康を重要な経営資源と捉え、健康管理、安全管理に重点を置いた取り組みを推進し、健康維持増進につなげます。
具体的な取り組みは、以下のとおりです。
a.定期健診、ストレスチェックの実施による体調、メンタル不調の未然防止
b.ライフ健康保険組合と共同での「特定保健指導」の実施
c.健康やメンタルの不安に対して対応する「産業医のカウンセリング窓口」、ライフ健康保険組合と共同での「こころとからだの相談窓口」の設置
d.「人事部ハラスメント相談窓口」の設置
e.どこでも、いつでも仕事ができるテレワーク環境の提供
(2) 指標及び目標
◎女性管理職、中途採用者管理職任命状況
指標及び目標 |
2023年度実績 |
|
・女性管理職数(時間管理者含む) 2023年度(目標):180人(構成比10.0%) |
194人 |
(構成比10.6%) |
・女性店長・課長職以上 |
37人 |
(構成比 5.9%) |
・中途採用者管理職数(時間管理者含む) |
565人 |
(構成比30.8%) |
・中途採用者店長・課長職以上 |
185人 |
(構成比28.4%) |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があり、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
ここに記載のリスクについては、半期毎に実施される「総合リスク管理委員会」で課題の共有とともに、立案した対策の実行状況も確認し、取締役会に報告をしております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
リスク要因 |
具体的リスク |
対応状況 |
国内市場の動向 |
当社グループは、食品スーパーとして首都圏138店舗、近畿圏167店舗の合計305店舗を展開しておりますが、景気や個人消費といった国内経済の動向、商品相場、競合状況等の食品スーパーに影響が大きい国内市場の動向による環境の変化が、発生する可能性があります。 |
当社は、お客様に信頼される地域一番店となるべく経営理念・ビジョン・ライフらしさ宣言の実現に向け当連結会計年度よりスタートした「第七次中期経営計画」において、“人への投資、同質化競争からの脱却、持続可能で豊かな社会の実現に貢献、カイゼンの輪をつなぐ”に取り組んでおります。 また、環境の変化に対しては、常にアンテナを張るとともにお客様データの分析により変化を捉え、機動的に政策を変更して対応しております。 |
店舗展開 |
小売業界は、同業のみならず異業種との競争も激化しています。競合店が出店した際には、迅速に対応し、影響度を最小限にとどめる努力を行っておりますが、当該店舗の業績に影響を及ぼす可能性があります。 また、資材価格の上昇や人手不足が継続している中、建築コストの上昇、工期の延長や二大都市圏での地価高騰による賃料の上昇が発生する可能性があります。 |
当社グループは、首都圏・近畿圏の二大都市圏でのドミナント化をさらに強固なものにすべく、良質な出店を継続して成長戦略を進めております。新規出店計画の段階から、競合店の動向を把握するとともに、出店形態に関しても当社単独出店のみならず、他業種との複合出店等、より競争力のある出店を行っております。 また、建築コスト、賃料等店舗運営にかかわるコスト全般の上昇にも耐えうる利益構造にするべく、AIを含めたシステムの効果的な導入・利用、店舗作業の改善等により店舗業務全般の効率化、生産性の向上を常に図っております。 |
食品の安全性 |
当社グループは、生鮮食品から加工食品、日配食品まで食品中心に広範囲にわたって商品を販売しております。そのため、万が一、食中毒の発生でお客様の健康に影響を及ぼすほか、口蹄疫や鳥インフルエンザ、豚熱等の伝染病や異物混入等不可抗力な要因により突然商品の供給が止まるといった事態が起これば、当社グループの商品に対する信頼性の低下や事態対応のための追加的な費用が発生する可能性があります。 |
当社グループは、このようなリスクを未然に防止するため、品質管理・衛生管理におきましては品質保証部を中心に、商品の検査体制及び店舗の衛生チェックを充実させております。 店舗で販売する商品を生産供給する栗橋・南港・加須・堺プロセスセンターでは、ISO22000を、船橋・天保山プロセスセンターではFSSC22000を取得しております。 また、店舗の衛生管理についてもHACCPに準じた管理を行っており、商品履歴(トレーサビリティ)の明確化やフードディフェンス対策の強化等と併せて、食品の安全・安心を確保する体制を整備しております。 |
リスク要因 |
具体的リスク |
対応状況 |
環境・気候変動 |
〇気候変動リスク 地球的規模の環境破壊や温暖化が進行した場合、国内外の農・水・畜産物の不作による供給量の低下、原料価格の高騰による商品価格の上昇、店舗におけるエネルギー使用コストの増加が発生する可能性があります。 〇環境リスク 今後環境に関する法令・税制やエネルギー政策の変更、また社会的要請の高まり等により、各種負担金や店舗運営に関わる費用の増加やエネルギー調達価格の上昇が発生する可能性があります。 〇災害リスク 各種災害の発生により、当社店舗・プロセスセンター・物流センターや情報システム、ネット事業のオペレーション、更には仕入・物流等に関わるお取引先様に、想定を上回る被害が発生する可能性があります。 |
〇気候変動リスクへの対応 当社グループは、新店、改装店舗を中心にLED照明への変更や省エネルギー・脱フロン対応の冷蔵・冷凍ケースの導入を積極的に進め、温室効果ガスの排出削減に取り組んでおります。
〇環境リスクへの対応 当社グループは、業界最大規模のバイオガス発電設備を天保山プロセスセンターに導入し高い評価をいただく等国や自治体が定める環境保全のための法令・規制・ガイドライン等に基づき、環境負荷の低減に向けた取り組みや、低コストでのエネルギーの使用に努力し、できる限り負担を軽減する取り組みをしております。 〇災害リスクへの対応 当社グループは、食料品の供給を通じて地域の人々の暮らしや命を守る生活インフラとして、地震や台風等の自然災害が発生した際、お客様・従業員の安全・安心を最優先し、店舗ごとに可能な限り営業を継続しております。そのために、災害時の対応マニュアルの整備、物流センター、プロセスセンター等での自家発電の導入、全社での支援体制の構築等、万一の場合の体制整備をしております。 |
雇用環境 |
景気の好転による他業種との競合激化により、必要な人財の確保が困難となるほか、人件費の上昇が発生する可能性があります。 |
当社グループが安定的に成長していくために、店舗運営の中心となるパートタイマーを積極的に確保し、新卒の定期採用においても将来を担う有能な人財を採用するとともに、多様な経験を有する人財の中途採用も強化しております。併せて、離職率の抑制を推進しております。 また、人件費の上昇に対しては、店舗作業の効率化を図るシステムの効果的な導入・利用、店舗作業方法の効率化、カイゼン活動等により生産性の向上を図っております。 |
感染症 |
感染症による経済活動の停滞、所得の低下、節約志向の高まりから営業活動に多大な制約が発生する可能性があるとともに、従業員が感染症に集団感染した場合等には、該当店舗やその他の事業所の休業が発生する可能性があります。 |
当社グループは、各種感染症に対し、食料品や生活必需品を提供する企業として、事業活動を継続し、社会機能を維持する役割を果たすため、政府方針や社内規程に基づいた対応ガイドライン等を整備するとともに状況に合わせ迅速な対応ができる体制を整えております。 |
情報システム等のトラブル |
想定外の自然災害や事故等により設備が甚大な損害を被るほか、コンピューターウィルスの不正侵入等のサイバー攻撃又は従業員の過誤によりシステム障害が発生する可能性があります。 |
当社グループは、人的災害、自然災害等対策として基幹システムの重要機器を、被災を受けにくい地域に設置するとともに、運用管理については、24時間体制で監視できるようアウトソーシングしております。また、障害時のダウンタイムを最小限にするために、各システムの冗長化を図っております。 |
リスク要因 |
具体的リスク |
対応状況 |
個人情報の漏洩 |
当社グループは、お客様へのサービス向上のためのポイントカード及び各種クレジットカードの取扱いを通じて取得したお客様の個人情報に加え、お取引先様、従業員に関する個人情報を保有しております。人的な管理ミスや外部からの不正アクセス等によりこれらの情報が外部に漏洩する可能性があります。 |
これらの情報の管理におきましては、個人情報保護法に基づき「個人情報管理規程」や事務手続等を策定するとともに、情報セキュリティを強化する組織として「LIFE-CSIRT」を設置し、セキュリティ教育・訓練、システム面での問題点を常にチェックし、万一の場合に迅速に対応できる体制を取っております。 |
金利・金融市場の動向 |
当社グループは、2024年2月29日時点で530億円の有利子負債を有しております。今後の金利・金融市場の動向によっては、調達コストの上昇や資金調達に支障が生じる可能性があります。 |
当社グループは、従来より有利子負債額の適正化に向けた取り組みを行っており、引き続き同努力を継続してまいります。 また、金利上昇リスクを低減するため、固定金利による借入等対策を講じるとともに金利上昇が見込まれるなか、より低利での調達を進めております。 |
電気料金・燃料費の高騰 |
当社グループは、各事業所の運営に多量の電力・燃料を消費しており、料金の高騰が生じた場合、経費の増加要因となり、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、新店、改装店舗を中心に、省エネルギーの冷蔵・冷凍ケースの積極導入、全従業員による省エネ行動の促進に努めるとともに、同業他社との協業を含めた配送ルート・積載量の最適化を推進しております。 |
固定資産の減損 |
当社グループは、店舗・土地等多くの固定資産を保有しており、減損会計を適用しております。経済環境や競合状況の変化等により一定期間での投資回収が見込めないと判断した場合、減損損失が発生する可能性があります。 |
減損の兆候を把握するため、店舗の損益状況を定期的に確認するとともに、収益性が悪化している店舗は、個別の収益改善対策を実施しております。 |
法令・制度の変更 |
○税制改正 消費税率再引上げが将来に行われた場合における個人消費への悪影響が予測される他、軽減税率の廃止、制度変更によりシステム切り替え負担の増加等が発生する可能性があります。 ○その他法的規制 独占禁止法の他食品の安全管理、労働基準法等の各種法令の改正、健康保険料率の変更又は従来の商慣習の変化等により新たな対応コストが発生する可能性があります。 |
〇税制改正への対応 税制の変更には適切に対応しつつ、当社が獲得できる可能性のある減税措置については、常に情報を取りながら、対応できるように取り組んでおります。また、税制改正に伴うシステム対応については、できる限りシンプルに低コストの開発に取り組んでおります。 ○その他法的規制 各種法律の改正等については、適切に対応しております。 |
コンプライアンス |
役員、従業員等による不祥事の発生や法令等に抵触する事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償金等の追加的な費用が発生する可能性があります。 |
当社グループは、社会的規範・法令・ルールを遵守するコンプライアンス経営を推進しており、教育・研修の実施に加え、内部通報やお取引先様を対象とした通報窓口の設置による不適正事案の早期発見と法令違反等の未然防止に取り組んでおります。 |
(注意事項)
当社グループの事業等のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。ただし、当社グループのリスク全てを網羅したものでなく、記載以外のリスクも存在します。当社グループは、これらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努め、事業活動を行っておりますが、これら全てのリスクを完全に回避するものではありません。
なお、文中における将来に関する事項は、現時点で入手された情報に基づき当社グループが合理的と判断した予想であり、実際の業績は見通しと大きく異なる結果となる可能性があります。
(1)経営成績の状況の概要及び分析・検討内容
①経営成績全般に関する事項
当連結会計年度におけるわが国経済は、インフレの継続、円安の影響、ロシアによるウクライナ侵攻に加え中東情勢の緊迫化等により、先行き不透明な状況が継続しております。一方、新型コロナウイルスの感染症法上の分類変更や行動制限の撤廃に伴い国内の社会経済活動が正常化し、経済成長率は一部に足踏み状態がみられるものの底堅い状況にあり企業業績は概ね好調に推移しました。
当社グループの事業領域である食品スーパー業界におきましては、商品価格上昇により収益面では総じて好調に推移しましたが、人件費や各種コストの上昇等、企業運営を取り巻く環境は予断を許さない状況です。
こうした経営環境のもと、当社グループは、経営理念・ビジョン・ライフらしさ宣言の実現に向け2030年度に当社が目指す姿を見据えて、「第七次中期経営計画」に当連結会計年度より取り組んでおります。
第七次中期経営計画に基づく経営戦略推進の具体的な取り組みとしては、7月にお客様向けスマホアプリを刷新し、さらに便利でお得な機能が追加され順調にユーザー数を増やしており、さらなる進化を目指してまいります。また、電子棚札を首都圏に続き近畿圏の店舗でも導入を開始しております。加えて2021年2月から日配品を対象として導入を開始したAI需要予測による発注自動化サービスを2024年2月より生鮮部門の発注にも範囲を広げ、2024年4月までに全店での稼働を予定する等、作業軽減、業務効率化等を含め働きがいのある職場実現に向けた取り組みを着実に推進しております。
持続可能で豊かな社会の実現のための取り組みとして、既に一部店舗や近畿圏の物流センターで実施している、パッケージの破損や品質には問題がないものの社内ルール上は販売期限を迎えたこと等を理由に販売できなくなった商品を子ども食堂等へ寄付する活動を、9月より首都圏物流センターでも開始するとともに、近畿圏では2024年1月より豊中市でも開始しました。また、持続可能な食品物流構築に向けた具体的取り組みを行う『首都圏 SM 物流研究会』を2023年3月に発足し、賛同する企業が2024年2月末時点で10社に拡大する中、その取り組みが高く評価され「第53回食品産業技術功労賞(サステナビリティ部門)」を受賞いたしました。加えて、天保山バイオガス発電設備が、一般財団法人新エネルギー財団主催の令和5年度新エネ大賞の導入活動部門において新エネルギー財団会長賞を受賞いたしました。
2024年2月には、さらなる働き方改革の推進や生産性の向上等を目的に東京本社を台東区より品川区の品川シーサイドに移転しております。
新規店舗としては、3月に宝塚中山寺店(兵庫県)、ビオラルパルコヤ上野店(東京都)、4月に川崎塚越店(神奈川県)、当社300店舗目となるセントラルスクエアららぽーと門真店(大阪府)、6月に梅島駅前店(東京都)、当社が初めて手掛ける「大型ビオラルカフェ」を併設したビオラル有明ガーデン店(東京都)、9月に桜ノ宮店(大阪府)、10月に勝どきミッド店(東京都)、11月に下目黒店(東京都)、1月に阪神芦屋店(兵庫県)を出店し、1店舗を閉鎖しました。既存店舗では、大泉学園駅前店、毛馬店、春日野道店、東中野店、石津店、此花伝法店、錦糸町駅前店、杭全店、関目店の合計9店舗で「BIO-RAL(ビオラル)」商品や冷凍食品等の品揃えを拡充する改装を行いました。
当社グループの業績におきましては、新規出店、ネットスーパーの拡大、「BIO-RAL(ビオラル)」等のプライベートブランド商品の強化、鮮度・おいしさを追求した商品施策等を実施した結果、営業収益は8,097億9百万円(前期比5.8%増)となりました。一方、販管費は、新規出店に伴う賃借料等の各種物件費の増加に加え、採用強化等に伴う人件費も増加しましたが、生産性の向上、コスト最適化の取り組みが計画以上の成果につながる中、将来に向けた積極的な投資を推進した結果、営業利益は241億18百万円(前期比26.0%増)、経常利益は249億48百万円(前期比24.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は169億38百万円(前期比27.1%増)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
(小売事業)
営業収益は8,094億72百万円(前期比5.8%増)、売上高は7,800億28百万円(前期比5.6%増)、セグメント利益は245億65百万円(前期比24.8%増)となりました。
なお、部門別売上高は、生鮮食品部門が3,395億72百万円(前期比5.1%増)、一般食品部門3,496億72百万円(前期比6.7%増)、生活関連用品部門676億30百万円(前期比4.6%増)、衣料品部門231億53百万円(前期比0.7%増)となりました。
(その他)
株式会社ライフフィナンシャルサービスの営業収益は27億49百万円(前期比6.7%増)、セグメント利益は3億82百万円(前期比15.2%増)となりました。
②販売及び仕入の実績
ア 販売実績
当連結会計年度における売上高を地域別・部門別に示すと次のとおりであります。
(ア) 地域別売上高
地域別 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
|||
店舗数 (店) |
売上高(百万円) |
構成比率(%) |
前年同期比(%) |
|
(小売事業) |
|
|
|
|
大阪府 |
127 |
298,299 |
38.2 |
104.4 |
兵庫県 |
19 |
45,897 |
5.9 |
105.9 |
京都府 |
18 |
39,801 |
5.1 |
107.8 |
奈良県 |
3 |
7,420 |
1.0 |
100.7 |
東京都 |
95 |
268,259 |
34.4 |
106.6 |
神奈川県 |
31 |
92,150 |
11.8 |
107.4 |
埼玉県 |
7 |
19,393 |
2.5 |
101.9 |
千葉県 |
5 |
8,805 |
1.1 |
101.5 |
合計 |
305 |
780,028 |
100.0 |
105.6 |
(イ) 部門別売上高
部門別 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
||
売上高(百万円) |
構成比率(%) |
前年同期比(%) |
|
(小売事業) |
|
|
|
生鮮食品 |
339,572 |
43.5 |
105.1 |
一般食品 |
349,672 |
44.8 |
106.7 |
生活関連用品 |
67,630 |
8.7 |
104.6 |
衣料品 |
23,153 |
3.0 |
100.7 |
合計 |
780,028 |
100.0 |
105.6 |
イ 仕入実績
当連結会計年度における仕入高を部門別に示すと次のとおりであります。
部門別 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
||
仕入高(百万円) |
構成比率(%) |
前年同期比(%) |
|
(小売事業) |
|
|
|
生鮮食品 |
213,348 |
39.8 |
104.5 |
一般食品 |
258,027 |
48.2 |
106.0 |
生活関連用品 |
49,655 |
9.3 |
104.7 |
衣料品 |
14,253 |
2.7 |
102.9 |
合計 |
535,285 |
100.0 |
105.2 |
(2)財政状態の状況の概要及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度末の資産合計は、2,871億46百万円と前連結会計年度末に比べ63億35百万円増加いたしました。
流動資産は、828億49百万円と前連結会計年度末に比べ23億58百万円増加いたしました。これは主として、未収入金が24億7百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、2,042億97百万円と前連結会計年度末に比べ39億77百万円増加いたしました。これは主として、店舗の新設、改装などにより有形固定資産が前連結会計年度末に比べ4億35百万円、無形固定資産が22億66百万円、差入保証金が8億47百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、1,502億90百万円と前連結会計年度末に比べ85億17百万円減少いたしました。これは主として、短期借入金及び長期借入金の合計が205億80百万円減少した一方、買掛金が33億60百万円、未払金が45億93百万円、未払法人税等が29億72百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、1,368億55百万円と前連結会計年度末に比べ148億52百万円増加いたしました。これは主として、利益剰余金が134億12百万円増加したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の概要及び分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、82億6百万円(前期比12.0%減)となりました。
それらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、417億円(前期比74.5%増)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益が231億78百万円、非資金性損益項目である減価償却費が160億34百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、173億57百万円(前期比27.2%減)となりました。
これは主として、新規店舗及び既存店舗改装など、有形固定資産の取得による支出が135億73百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、254億64百万円(前期は1億42百万円の資金の使用)となりました。
これは主として、短期借入金の純減額が247億20百万円、長期借入金の返済による支出が88億60百万円あった一方、長期借入れによる収入が130億円あったことによるものであります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループは、連結財務諸表の作成に際し、将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
①固定資産の減損
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
②繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、円滑な事業活動を継続して遂行するため、適切な水準の流動性資金の維持及び確保を重要な財務政策と位置付けております。
また、継続的な企業成長を図るため、新規出店、既存店舗の改装など投資を積極的に行う計画でありますが、これらの資金は、極力、営業活動によるネット・キャッシュ・フローに依ることとし、不足分を金融機関からの借入にて調達することとしております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は530億94百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は82億6百万円となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。