文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ 私たちはこの3つの教育理念とホスピタリティをすべての企業活動の基軸とし 笑顔あふれる『人の未来』に貢献する」という企業理念のもと、お客様一人ひとりに寄り添い、未来を生き抜く力を手渡す教育サービスを提供してまいりました。
独自の人財育成施策に磨きをかけ、従業員の活力を事業成長の源泉とし、チームの力で課題を解決するホスピタリティ経営を推進しております。質の高い教育サービスと、人による心温かな対話を通して、お客様の成功体験を創出することを顧客価値とし、大学生を中心とする講師の成長支援を通してより多くの成長した若者を社会に送り出すことを社会価値と捉え、この二つの価値の追求によって、持続的成長と、中長期的な企業価値の向上を目指しております。
当社グループは、当社が強みとする大学受験の入試環境変化を受けて、一般入試希望者の高校生の在籍生徒数が減少するなか、早期に変革を推進すべく、2023年度を初年度とする新中期経営計画の策定を進めております。新中期経営計画については、その内容が整い次第、速やかに公開させていただきます。
当社グループは、継続的な成長を目指しており、収益性の観点から翌期の予想連結売上高及び連結営業利益を客観的な経営指標として位置づけております。現時点における2024年2月期の当社グループの予想連結売上高及び連結営業利益は、次のとおりであります。
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症をはじめ、物価上昇や日本の人口動態の変化といったマクロ要因と、日本の教育制度の変化やEdTech(エドテックとは教育・学習に最新のTechnologyを利用したサービスの総称)をはじめとした成長領域への異業種企業の参入などの業界内要因といった複合的かつ多様な影響を受けて大きく変化しております。特に教育制度の変化は、当社グループの経営環境に大きな影響を与えるものであり、迅速な対応が求められていると認識しております。
(3)のような経営環境の中、主力とする個別指導事業の課題は以下の通りです。
1.教務・サービス開発の推進
速やかに対応すべき課題としては主に2つあります。1つ目は中学受験対策です。新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、首都圏を中心にその対応が早かった私立中高への需要が増加、中学受験市場の拡大を受けて、当社においても小学生在籍を堅調に伸ばしております。この市場における当社シェアを拡大させるために、中学受験向けのコンテンツ開発を強化してまいります。2つ目は大学受験における年内入試対策です。大学全入時代を迎え、大学間では生き残りをかけた競争が激化しております。年内入試といった総合型選抜や学校推薦型選抜については、その入学者枠が拡大傾向にあります。その一方で、従来の一般選抜とはその対策が異なるため、学習塾業界に大きな影響を与えております。これに対して当社においては、年内入試に対応できる組織体制を整え、そのコンテンツ開発をベネッセグループのアセットを活かしながら対応してまいります。
2.マーケティング改革
外部サイトからの問合せ流入が減少傾向にあり、これを補うための問合せ流入チャネルの再構築が課題となっております。おもに自社サイトへの流入チャネル別にマーケティング活動の効果検証を行っております。中期的にはマスに対する認知拡大を図り、ブランド力を強化してまいります。
3.人財育成の強化
個別指導はコモディティ化しており、サービスの仕組みで差別化を図ることが難しくなってきております。こうした事業環境において、お客様に価値を提供しているアルバイトの大学生講師と教室社員は、当社事業を支える重要な人的資本であります。したがって、そのサービス提供者である人財を独自に育成することが、他社との重要な差別化要素であると認識しております。他社との差別化をさらに強化するために、引き続きホスピタリティを基軸とし、お客様に教育理念を届ける人財育成を推進してまいります。
4.教室運営の生産性向上
顧客価値を提供する人財の活力を向上させるために、継続的に労働環境や業務プロセスを改善し効率化していくことが課題となっております。具体的には、顧客接点のうちIT化によって付加価値を高めることや教室内のペーパーレス化を推進してまいります。こうした生産性向上を実現することによって、働く人財の活力向上とともにお客様の体験価値向上を図ってまいります。
これらの課題に取り組み、持続的な企業価値向上に努め、企業理念に掲げた「笑顔あふれる『人の未来』」に貢献してまいります。
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項、及び経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の季節性による変動について
当社グループは、主に、夏、冬、春の講習会及び2月、3月、4月に生徒募集活動を通常よりも活発に行っております。その結果、生徒数、各種売上高は増加する傾向にあります。また、経費面でも生徒募集の広告宣伝費、その他経費も集中して発生する可能性があります。
(2) 少子化と当社の今後の方針について
当社グループの属する学習塾業界は、長期にわたる出生率低下に伴う少子化により、学齢人口の減少という大きな問題に直面しております。また、大学入試改革などの目まぐるしい環境変化の中で、入試選抜方法の多様化・複雑化により、入試を目的とした生徒・保護者の教育環境の変化及び将来の進路選択に対する不安が高まる可能性があり、当業界内での生徒数確保の競争激化もこれまで以上となるものと想定されます。このような状況の下、人財育成事業などを中心とした事業の複線化を推進し、長期にわたり安定的・持続的に成長するために、より一層他社との差別化に努めます。今後、少子化が急速に進展した場合、及び同業間でコモディティ化する現状に特色が打ち出せない場合、または事業の複線化が計画通りに進まない場合、当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 人財確保及び育成について
当社グループは、事業展開上約1万人を超えるアルバイト講師を雇用しております。もし、優秀な講師の継続的採用および育成が困難になった場合、当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
人財確保の対策としては、当社の募集と応募者のニーズの接点を逃さないために、WEB面接の導入や、エリアごとに拠点を設けて集中的で効率的な採用を行っております。
人財育成の対策としては、当社オリジナルの人財育成プログラムを実現しております。
講師が実践を通じて学び、社員と共に成長する共創のプログラム・TEACHERS' SUMMITの継続的な推進と、各教室の主要講師を対象としたプログラム・TEACHERS' SUMMITアカデミーの開催を通して、講師が主体的に学べる場を提供しております。
(4) 個人情報の取扱いについて
当社グループは、効率的な学習指導を行うため、3万人を超える生徒・保護者の個人情報をデータベース化し管理しております。万一、当社グループの過失や第三者による不法行為等によってお客様の個人情報や機密情報等が漏洩等した場合、当社グループに対する損害賠償責任や社会的な信用低下等により、当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害のリスクについて
当社グループは、9都府県に出店し、主に生徒へ学習指導を行っております。もし、地震や台風などの大規模な自然災害等により、教室における直接の被害の発生や、各種規制などによって通常の営業活動の継続に支障をきたす場合、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のようなウイルスによるパンデミックが発生し通常の営業活動の継続に支障をきたした場合、当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 有形固定資産、のれん及び無形固定資産の減損について
当社グループの連結財務諸表に計上されている有形固定資産、のれん及び無形固定資産または提出会社の財務諸表に計上されている関係会社株式について、今後、収益性の低下等により回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損損失が発生する可能性があり、当社グループまたは提出会社の業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、ウクライナ情勢の悪化に伴うエネルギー価格や原材料価格の高騰による物価上昇の影響や世界的な金融引き締め等による円安の進行の各影響を受けたものの、個人消費は底堅く推移しており、国内景気は緩やかな回復基調にありました。
日本の教育においては、2021年度から大学受験におけるAO入試は「総合型選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」に改称されましたが、「年内入試」と呼ばれるこれらの入試制度を利用した大学入学者が増加するなど、大学入試環境が変化しております。また首都圏における2023年度入学の中学受験者数は過去最多を更新し、中学受験は引き続き拡大傾向にあります。学習塾業界においては、このような変化への迅速な対応が求められるとともに、異業種からの新規参入も含めた企業間競争は一段と激化している事業環境となっております。
このような状況の下、当社は、企業理念「やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ 私たちはこの3つの教育理念とホスピタリティをすべての企業活動の基軸とし 笑顔あふれる『人の未来』に貢献する」を経営の中心に据え、お客様一人ひとりに寄り添う教育サービスを提供してまいりました。
教育サービスの質を高める人財育成については、対話によるコミュニケーションスキルである「コーチング」研修を第2四半期以降継続的に実施いたしました。コーチングは生徒の成果実現のため、一人ひとりの生徒の状況を的確に把握し、明確な目標設定を行うこと、また生徒のモチベーションを上げる対話等を円滑に行える指導力の強化を目的としており、当社の人財育成の柱として今後も継続的に実施してまいります。
営業活動については、事業環境の変化を受けてマーケティング活動の見直しを図るとともに、年内入試や中学受験コンテンツの強化を図ってまいりました。各教室においては、ウィズコロナの下で引き続きお客様や従業員の安全・安心を第一に感染防止対策を徹底しながら教室運営を行いました。第2四半期にオミクロン株の再流行を受けて学習機会を失ってしまった多くのお客様の目標達成を実現するため、第4四半期の冬期講習を例年より1か月延長して実施するなど学習機会の提供を拡大するとともに成果実現への提案に注力してまいりました。
教室開校については、東京を中心に2022年6月に東京個別指導学院池上教室(東京都)、同神楽坂教室(東京都)、10月に同海老名教室(神奈川県)を新規開校して全269教室となりました。
こうした事業活動の結果、当期在籍生徒数については、小学生の在籍は堅調に推移したものの、主力とする高校生の在籍は大学入試環境の変化により一般入試希望者の問合せが減少したことを背景に軟調に推移したことを受けて、2022年度期中平均在籍生徒数は32,436名(前年同期比97.4%)となりました。
当連結会計年度の業績は、売上高につきましては、在籍生徒数の減少などにより、21,790百万円と前年同期と比べ705百万円(3.1%)の減収となりました。営業利益は、減収による減益や生徒配置システムの再構築及び債権管理システムの減価償却費及びそれに付随する運用保守費用の増加などにより、1,824百万円と前年同期と比べ571百万円(23.9%)の減益となりました。経常利益は1,834百万円と前年同期と比べ568百万円(23.6%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、1,249百万円と前年同期と比べ328百万円(20.8%)の減益となりました。
当期は2023年度を最終年度とした中期経営計画「ホスピタリティ経営2023」の2年目として事業活動を推進してまいりましたが、当期事業活動の結果とその背景にある環境の変化すなわち大学入試における年内入試希望者が一般入試希望者を上回る傾向にあり、当社においても一般入試希望者の問合せが減少するといった影響を受けました。マーケティング戦略の見直しを図り、現在もその効果検証を行っていることから、新中期経営計画の公表を延期することを意思決定いたしました。新中期経営計画については、現在慎重に検討しており、その内容が整い次第、速やかに公開させていただきます。
なお、当社グループの主たる事業は個別指導塾事業であり、その他の事業の売上高、セグメント利益等の金額は合計額に占める割合が僅少であるため、記載を省略しております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産及び受注の状況
当社グループは、生徒に対して授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産、受注の実績はありません。
② 販売の状況
(注) 1 生徒数は、期中平均の在籍人数を記載しております。
2 その他事業は、サイエンス教室・文章表現教室事業、オンライン個別指導事業及びHRBC株式会社の企業向け人財開発事業であります。
(2) 財政状態
〔資産〕
当連結会計年度末の資産合計は11,410百万円と、前連結会計年度末に比べ10.0%、1,269百万円減少しました。
流動資産は6,938百万円と、前連結会計年度末に比べ14.9%、1,218百万円減少しました。この減少は主に、現金及び預金が1,033百万円減少、売掛金が102百万円減少、前払費用が81百万円減少したことによるものであります。
有形固定資産は774百万円と、前連結会計年度末に比べ3.6%、28百万円減少しました。この減少は主に、新規開校や既存教室の増床に係る設備投資はあったものの、減価償却費の増加割合が増したことによるものであります。
無形固定資産は1,766百万円と、前連結会計年度末に比べ2.2%、37百万円増加しました。この増加は主に、請求基盤システムや生徒配置システムの構築に係る設備投資によるものであります。
投資その他の資産は1,930百万円と、前連結会計年度末に比べ3.0%、59百万円減少しました。この減少は主に、新規開校や既存教室の増床に係る敷金等が17百万円減少、繰延税金資産が43百万円減少したことによるものであります。
〔負債〕
当連結会計年度末の負債合計は2,953百万円と、前連結会計年度末に比べ27.3%、1,109百万円減少しました。
流動負債は2,922百万円と、前連結会計年度末に比べ27.6%、1,113百万円減少しました。この減少は主に、未払金が279百万円減少、未払法人税等が483百万円減少、未払消費税等が301百万円減少、株主優待引当金が86百万円減少したことによるものであります。
固定負債は30百万円と、前連結会計年度末に比べ12.8%、3百万円増加しました。この増加は主に、繰延税金負債が4百万円減少したものの、その他が7百万円増加したことによるものであります。
〔純資産〕
当連結会計年度末の純資産は8,457百万円と、前連結会計年度末に比べ1.9%、159百万円減少しました。この減少は、剰余金の配当支払いを1,411百万円行ったことと、親会社株主に帰属する当期純利益を1,249百万円計上したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,033百万円減少し、6,069百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれぞれの主な要因は以下のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は965百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益1,812百万円、減価償却費437百万円、未払消費税等の減少301百万円、法人税等の支払額984百万円によるものであります。
前連結会計年度と比較しますと、税金等調整前当期純利益が590百万円、未払消費税等が550百万円、法人税等の支払額が640百万円減少したことなどにより1,789百万円減少しております。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は589百万円となりました。
これは主に、新規開校等に係る有形固定資産の取得による支出132百万円、請求基盤システムや生徒配置システムの構築に係る無形固定資産の取得による支出401百万円、敷金及び保証金の差入による支出31百万円などによるものであります。
前連結会計年度と比較しますと、有形固定資産の取得による支出が29百万円、無形固定資産の取得による支出が170百万円減少したことなどにより213百万円減少しております。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は1,409百万円となりました。
これは、配当金の支払いによるものであります。
(4) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表及び当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表及び財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第一部 第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第一部 第5 経理の状況 2財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、運転資金に加え、教室の新規開校への投資、ソフトウェア開発費用、成長分野への事業投資などがあります。これらの資金需要に対して、主に自己資金を充当していく方針でおります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は6,069百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。尚、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載した新規教室の設備投資を予定しておりますが、自己資金により賄っていく予定であります。
資本業務提携契約
株式会社ベネッセホールディングスと、資本業務提携契約を締結しております。
資本業務提携契約の要旨は次のとおりであります。
該当事項はありません。