当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」を経営理念として掲げ、お客様に満足していただける商品やサービスを、毎日低価格(エブリデイ・ロープライス)で提供し続けることを経営の目的といたしております。
(2) 経営戦略
当社グループは、2029年2月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、2029年2月期に「売上高2,000億円/営業利益100億円/営業利益率5.0%」の達成を目標としております。
この目標を達成するために、3つの成長戦略を柱に追求し、規模拡大を目指してまいります。
<成長戦略>
1.店舗出店(新規出店25店)
① 北部九州エリア、首都圏中心部にドミナント化を推進
2.オムニチャネル(2029年2月期目標 売上高構成比10%)
① リアル店舗+αの品揃えを提供
② 実商圏を超えた集客
3.M&A及び新規事業戦略
① M&Aによる規模拡大
② 他社物流業務の請負
③ 海外マーケットへの進出
中期経営計画を確実に実行し、中長期的に持続可能な成長を実現してまいります。
なお、中期経営計画の詳細は当社ホームページに掲載の「中期経営計画(2025年2月期~2029年2月期)」をご参照ください。(https://www.mrmaxhd.co.jp/ir/policy/plan/)
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社を取り巻く環境は、人口動態の変化、さらには小売業態の垣根を越えた企業間競争が厳しさを増しており、お客様の嗜好の変化に対応するとともに生産性の向上やコスト削減が重要となっています。
このような環境下で、当社グループは、経営理念である「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」を実現するべく、毎日低価格で提供し続けるとともに売上高営業利益率を重要な経営指標と捉え、ローコスト運営に注力しています。価値ある安さの提供と当社グループの収益力の向上と合わせ、日々の暮らしを支える社会インフラとして持続的な成長を実現することが重要と考えております。
特に以下の項目を対処すべき課題として取り組んでまいります。
① エブリデイ・ロープライス(EDLP)及びエブリデイ・ローコスト(EDLC)の徹底
品質と価格のバランスがとれた「価値ある安さ」を実現する商品の調達と開発に加え、単品集中販売による圧倒的な低価格を実現し、「売れて儲かる商品」でEDLPを展開してまいります。また、本部業務の削減とともに、店舗においては、納品計画や商品の陳列方法の見直しにより、さらなる生産性の向上に努め、EDLPを支えるEDLCを徹底してまいります。
② お客様に支持される店舗の開発
出店においては、店舗立地の特性に応じて、小型から大型までの多様な面積と最適な品揃えに対処できる店づくりを行ってまいります。改装においては、品揃えの見直しと販売什器の更新などを行い、買い物のしやすさを追求することに加え、従業員の店内作業の改善に注力してまいります。
③ 市場の変化へ対応
市場の変化へ対応するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めてまいります。その一環として、オンラインストアを既存店やアプリと組み合わせ、お客様の利便性向上を図っております。また、本部及び店舗においては、DXによる業務の効率化に取り組んでまいります。
④ 持続可能な社会づくりへの貢献
7つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、環境や社会課題に配慮した商品調達、CO₂排出量の削減、労働環境の整備、法令遵守を徹底する従業員のコンプライアンス意識への涵養などに取り組んでおります。持続可能な社会づくりに貢献する活動をさらに推進してまいります。
⑤ 中長期的な成長を支える人材育成
当社は人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことに注力しております。社外セミナーへの派遣や定期的な面談による従業員のモニタリング、さらに男性の育児休暇取得を推進するなどの働きやすい環境づくりを行い、当社と従業員の中長期的な成長を実現する取り組みを進めてまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高営業利益率を重要な経営指標と捉え、継続的な売上の増大を図るとともに、ローコスト運営の確立による営業利益高の拡大に努め、企業価値の向上に取り組んでまいります。
以上に加え、法令遵守への取り組みにつきましては、継続して、役員及び従業員一人一人が果たすべき行動指針をまとめた「ミスターマックス行動規範」及び各種法令の遵守状況について、弁護士と危機管理の専門家を社外委員とする「コンプライアンス委員会」を定期的に開催し、問題点の早期発見と改善策の徹底に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
昨今のエネルギー資源や原材料の高騰、物価上昇、都市と地方の格差拡大や異常気象による気候変動や環境問題など、社会を取り巻く課題が山積しております。私たちは、地域の暮らしになくてはならない「社会のインフラ」を目指し、一貫してお客様目線でサービスを提供してまいりました。これはディスカウントストアとして、お客様にとって必要な普段の暮らしに欠かせない商品を、毎日安く提供し、お客様に快適にお買い物していただける店づくりにとどまりません。地方自治体との災害時協定の締結や店舗のバリアフリー化、店頭におけるリサイクル活動や売上連動型寄付商品の開発など多岐にわたります。
1.サステナビリティ経営
サステナビリティ活動をさらに推進するため、当社は2021年にサステナビリティ基本方針を策定しました。「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」という経営理念のもと、地域社会のインフラとして、ステークホルダーの皆様とともにサステナブルな社会の実現に向けて行動します。そのために、公正な経営や事業運営を活動的に行い企業価値の向上を目指してまいります。
(1)ガバナンス
当社グループにおけるサステナビリティに関する課題は、四半期ごとに開催するサステナビリティ委員会において議論、具体的な施策を検討しています。サステナビリティ委員会は、複数の役員及び各部門の責任者を中心に構成されており、組織横断的な体制を整えております。取締役を委員長とし、サステナビリティに関連した取り組みについて、定期的に議論するとともに、分科会を設置し、各取り組み項目に対して方針や目標を決定・管理する機能を担います。進捗状況や活動内容を取締役会に定期的に報告しております。
(当社グループのガバナンス体制図)
(2)リスク管理
当社グループを取り巻くビジネス環境が常に変化する状況において、企業が直面するリスクも多様化・複雑化しております。当社グループは、経営目標の達成に対し影響を及ぼす原因や事象を「リスク」と位置付け、リスクマネジメントの強化が重要な経営課題だと認識しています。事業を継続し社会への責任を果たしていくために、以下のとおり、グループ全体でリスクマネジメントの推進体制を構築し、年間を通したPDCAサイクルを回し、継続的に強化できる仕組みを整備しております。
① リスクマネジメント推進体制
当社グループでは、「ミスターマックス行動規範」を前提としたリスクマネジメント活動に取り組むため、企業価値の最大化、持続可能な事業運営における重要な経営テーマに対する取り組み、及びグループ全体のリスクマネジメント状況の把握と向上を目的として「コンプライアンス委員会」を設置しております。
当委員会は代表取締役社長を最高責任者とし、役員及び従業員、さらに弁護士を含む外部メンバーからなる常任委員と、各部門長及び店長からなる推進委員を委員としております。当委員会は、リスクマネジメントの機能を有し、リスクマネジメント室が事務局となり各部署と連携しつつ、当社グループを取り巻くリスクに関する情報の収集分析、リスクマネジメント活動の方針及び目標の決定、グループ全体の事業運営上、重要なリスクの抽出・評価を行い、リスクの軽減に向けた取り組みの策定及び推進状況のモニタリングを行っております。
(当社グループのリスクマネジメント体制図)
② リスクマネジメント活動
当社グループでは、個々の部門や事業だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、各部門の責任者と経営層が力を合わせて、事業計画に対する課題や阻害要因への対応を実施することのできる適切かつ健全なリスクマネジメントの役割を果たすために、当社グループ全体でPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っております。当社グループの事業に関するリスクの評価においては、リスクの性質に基づいて「オペレーショナルリスク」、「ハザードリスク」、「戦略リスク」、「ガバナンスリスク」の4つに区分したうえで、優先的に対処するべき重要リスクを特定しております。各重要リスクに対しては、当該重要リスクの主管部署において、軽減策の具体的な取り組みを計画及び実施しております。
なお、軽減策の取り組み状況については、当活動の事務局がモニタリングを実施し、コンプライアンス委員会において、重要リスクの主管部署より取り組みの進捗状況について定期的に報告しております。
コンプライアンス委員会は当該報告に基づいて、特定された重要リスクにおける優先順位や当該リスクに対する体制の強化や業務改善等の軽減策に関する審議をし、意見交換を通じて取り組みを最善な方向性に調整しております。加えて、当社グループの経営に影響する可能性がある事項を適時に取締役会に報告しております。
(当社グループのリスクマネジメント活動のPDCAサイクル)
③ リスクの特定
リスクの特定については、以下のとおり実施しております。
・リスクの識別
当社グループを取り巻く外部環境と当社グループ内の環境、及び事業戦略を分析するとともに、各部門の責任者に対してインタビューを実施することによって、トップダウン・ボトムアップ両方のアプローチで当社グループにおける各リスクを識別。
・リスクの評価
識別されたリスクに対して、定量的かつ定性的に事業に及ぼす影響度と発生可能性を評価した後、既存の対応状況を評価。
・リスクヒートマップによる対応優先度の特定
上記2段階のリスク評価結果に基づいて、リスクヒートマップを作成し、特定されたリスクを「低」・「中」・「高」の3つのレベルに分け、評価結果が「高」または「中」になるリスクの中から優先的に対応すべきリスクとして特定。これらリスクの状況については、財務影響との関係から当有価証券報告書の「事業等のリスク」にも反映しております。
④ 事業継続体制
当社グループでは、地震、台風及び津波等の自然災害のみならず、あらゆる危機的事象が発生した場合に備えて、事業継続マネジメント体制を構築し、当社グループの重要な事業または業務の継続及び早期復旧を行うことを目的として、オールハザード型BCPを策定しております。
また、平時においても当社グループの重要な事業または業務に対するバックアップ体制や代替拠点を検討するとともに、公共機関や自治体、民間企業との連携を強化しております。また、事業継続に関する知識・理解の醸成を目的として、策定したオールハザード型BCPを基にした定期的な演習・訓練を行うとともに、オールハザード型BCPの改善・強化を継続的に行っております。
(3)戦略及び指標と目標
社会貢献活動と当社グループの中長期的な成長を両立させる重点的に取り組む課題として、3つのテーマ、7項目の重要課題(マテリアリティ)を特定しました。
テーマ1
「商品の提供を通じた社会価値創出」のテーマでは、小売業の中核である「お客様に商品を提供する」という流れの中で、サステナブルな商品の開発及び仕入を推進します。また、循環型社会の実現に向け、お客様と共にサステナブルな活動に取り組みます。
テーマ2
「持続可能なサプライチェーンの構築」では、地域社会の中に店舗を構える当社だからこそ、地域社会に欠かせないインフラとしての役目を果たしていきます。また、サプライチェーン全体で環境負荷の削減や事業プロセスにおける脱炭素を推進します。
テーマ3
「持続的成長を支える経営基盤の確立」では、公正な経営と事業運営を行うための教育や啓発に取り組みます。また、従業員一人ひとりの能力を活かすための環境づくりや体制づくりを実現していきます。
3つのテーマ及び重要課題(マテリアリティ)
テーマ |
2030年の |
重要課題 |
定性目標 |
商品の提供を通じた社会価値創出 |
サステナブルな商品の開発と仕入、循環型社会実現に向けた取り組みを通じて、お客様と地域環境に対する価値を創出する |
エコロジーと |
地域社会と共に取り組むエコノミーの推進 |
持続可能資源への転換と省資源化によるエコロジーの推進 |
|||
リサイクル促進による循環型社会の推進 |
|||
商品開発を通じた |
サステナブルなPB商品開発の推進 |
||
商品提供を通じたエシカル消費の推進 |
|||
社会課題解決への参画機会創出 |
|||
持続可能な認証原料の使用をめざす |
持続可能なサプライチェーンの構築 |
お客様やビジネスパートナーとともに、地域社会に欠かせない社会インフラとして、サステナブルな地域社会や脱炭素社会の実現へ貢献する |
地域社会のインフラ |
お客様に寄り添った買い物環境の整備 |
地域住民の生活に寄り添った活動への取り組み |
|||
地球環境に寄り添った活動への取り組み |
|||
サプライチェーン |
サプライチェーンの在庫の最適化による環境負荷の削減と経営効率の向上 |
||
ビジネスパートナーへのサステナビリティに関わる取り組み活動の周知 |
|||
事業プロセスにおける脱炭素の推進 |
|||
持続的成長を支える経営基盤の確立 |
すべてのステークホルダーに対して公正な経営と事業運営が行われる企業風土と、だれにとっても働きやすく自己実現の機会を持つことのできる環境を確立し、お客様や社会により大きな社会価値を創出するための前提となる持続的な成長を実現する |
コンプライアンスと |
公正な取引遵守のための教育と啓発活動 |
情報セキュリティに関する教育と啓発活動 |
|||
法令遵守をはじめとするコンプライアンス意識の涵養 |
|||
人材のキャリアと |
自己実現のため、自らキャリア形成ができる仕組みづくり |
||
チャレンジする人材の成長を促す体制づくり |
|||
会社の成長と自己成長を実感できる、エンゲージメントの向上 |
|||
働きやすさの追求と |
すべての人材の能力が活かせる環境づくり |
||
健康的に働き続けるための心身の健康維持と増進 |
|||
柔軟かつ新しい働き方への挑戦 |
2.気候変動への取り組み
当社グループは、気候変動がサステナブルな社会の実現にあたっての重要課題の1つであると認識しており、気候変動による影響の評価と対応策の検討が、当社グループの持続的成長とサステナブルな社会の実現に資するものと考えております。それを受け当社グループではTCFDガイドラインに則したシナリオ分析とそれを受けた対応策を検討のうえ、その取り組みについて情報開示を進めるとともに、経営の強靭化とサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ委員会が気候変動を含むサステナビリティに関する重要課題を統括管理しています。気候変動課題については、当委員会下に分科会としてTCFDチームを設置し、当社グループにおける気候変動による影響の評価及び管理体制の検討を行っております。TCFDチームでの審議内容はサステナビリティ委員会を通じて原則年1回の頻度で取締役会へ報告のうえ、取締役会においてその取り組み状況の監督及び指導、重要事項の決議を行っております。
(2)戦略
当社グループでは、気候変動による自社事業への影響評価手法として、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表するシナリオを参考に、以下の前提条件に基づいた将来2030年時点における影響についてシナリオ分析を実施しました。
4℃シナリオ |
1.5℃シナリオ |
気候変動対策に関して現行の政策規制以上の取り組みはなされず、産業革命期対比で今世紀末までに世界の平均気温が4℃程上昇し、異常気象災害をはじめとした気候変動による直接的な影響が拡大すると仮定したシナリオ |
脱炭素化への移行に向けた取り組みが活発化し、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指して政府による政策規制、技術革新、消費者の嗜好変化などが進むと仮定したシナリオ |
(参考シナリオ) IPCC第5次評価報告書(AR5)RCP8.5 IEA WEO2021 STEPS |
(参考シナリオ) IPCC第5次評価報告書(AR5)RCP2.6 IEA WEO2021 APS、NZE2050 |
4℃シナリオにおける分析では、異常気象災害によるサプライチェーンの寸断や直接的な被害が想定され、洪水発生による直接的な被害額や営業停止に伴う損失については定量的に分析を行い、当社グループの財務を圧迫し得る重要なリスクとして評価しております。また、定性的な分析にとどまるものの、平均気温の上昇による空調利用の増加や原油価格の成り行き的な需要拡大による高騰から、主に物流コスト面でのリスクとなる可能性を認識しております。
しかしながら、こうした異常気象災害の発生や平均気温の上昇から、消費者における防災関連商品の需要増加も予想され、ECサイトの利便性向上や防災、熱中症対策など気候変動影響に対する適応商材の拡充が、当社における事業機会のみならず、持続可能な社会の形成に資する社会貢献の一端を担うものと考えております。
1.5℃シナリオでは、脱炭素化への移行促進のための様々な政策規制が導入され、例えば現行のリサイクル関連規制の強化等により対応コストが発生することが想定されます。特に炭素税が導入される場合については、当社グループにも財務的影響を及ぼし得ると試算、分析しております。また、当社グループで使用するエネルギーの多くを電力が占めていますが、再生可能エネルギー電力への切り替えにより購買電力価格が高騰することも予想されます。その一方で、消費者間ではエシカル消費などの新たな購買嗜好がより活発化し、当社グループの株式会社ミスターマックスが展開する環境配慮型プライべートブランド商品をはじめとし、環境に良い商品の拡販が当社グループの事業機会かつ社会全体の脱炭素化に資する取り組みになるものと考えております。
(気候変動に伴うリスクと機会の一覧)
区 分 |
要因と事象 |
分 類 |
評価 |
||
4℃ シナリオ |
1.5℃ シナリオ |
||||
移 行 リ ス ク |
カーボンプライシング |
炭素税の導入をはじめとする事業運営コストの増加 |
リ ス ク |
小 |
大 |
資源循環規制の強化 |
各種リサイクル法規制の強化やプラスチック利用規制の導入による対応コストの発生 |
リ ス ク |
小 |
中 |
|
エネルギーコストの変化 |
再生可能エネルギーへの転換に伴う購買電力コストの増加 化石燃料価格の高騰に伴う輸送コストの増加 |
リ ス ク |
大 |
中 |
|
消費者行動の変化 |
エシカル消費の拡大によるPB製品を含む環境配慮型商品の需要拡大 |
機 会 |
中 |
大 |
|
物 理 リ ス ク |
異常気象災害の激甚化 |
自社拠点及び物流網の被災による被害規模の拡大 |
リ ス ク |
大 |
中 |
平均気温の上昇 |
気候変動への適応商材に対するニーズの拡大 災害及び気温上昇による外出機会減少によるECサイト利用者の拡大 |
機 会 |
中 |
中 |
|
空調コストの増加 |
リ ス ク |
中 |
小 |
(3)リスク管理
気候変動に関するリスクの認識及び評価にあたっては、サステナビリティ委員会の分科会であるTCFDチームが中心となり各関係部署と討議し、その内容を基にTCFDチームがシナリオ分析の手法等を通じてリスク及び機会の評価・特定をしております。取締役会はサステナビリティ委員会からの報告を受け、当社グループにおけるリスク管理運用についての決議を行い、サステナビリティ委員会がその管理体制を検討する体制を整えております。なお、現在当社グループが特定しているサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)及びその評価プロセスについてはマテリアリティ(重要課題)に記載しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、2030年のScope1、2におけるCO₂排出量を2013年比50%削減、2050年にカーボンニュートラルの目標を設定しております。同スコープにおける当社グループが排出するCO₂の9割が電力の使用から発生しており、再生可能エネルギーの調達などでカーボンニュートラルに向けた取り組みを進めております。
2024年2月期におけるCO₂排出量は以下のとおりです。
(単位:t-CO₂)
スコープ |
排出量 |
前年比(%) |
2024年2月期 |
||
Scope1 |
992.3 |
※111.8% |
Scope2 |
32,465.0 |
93.4% |
Scope1+2 |
33,457.3 |
93.8% |
※Scope1 燃料の使用量は減少しましたが、環境省ウェブサイトに公表される排出係数の変更に伴い、前年に比べCO₂排出量が増加いたしました。
また、CO₂排出量の削減を含む各施策についても、KPI設定を行っております。当社グループの事業は店舗内のPOP、買い物かごやハンガーなど備品にプラスチック素材を使用しているほか、複数店舗の運営によるエネルギー消費量の増加、商品の輸送から排出される排気ガスなど、直接的・間接的にかかわらずCO₂排出を伴う活動が複数あり、その活動ごとに個別目標を設定しております。
(単位:t-CO₂)
指標 |
目標 |
現在 2024年2月期 |
|
2030年 |
2025年 |
||
店舗におけるプラスチック備品使用抑制によるCO₂排出量の削減率 (2021年対比) |
50.0% |
20.0% |
5.0% |
資源の店頭回収、店舗実施率 (店数対比) |
100.0% |
30.0% |
100.0% |
PB商品におけるサステナブルな商品の売上高構成比 |
30.0% |
25.0% |
17.1% |
自家消費型の太陽光発電設備設置件数 (全事業所対比) |
30.0% |
10.0% |
2.0% |
自然冷媒冷什器の導入 (全事業所対比) |
25.0% |
10.0% |
0.0% |
売上原単位あたりのCO₂排出量の削減 (ドライセンター配送:2013年対比削減率) |
23.0% |
20.0% |
24.1% |
3.人的資本について
(1)ガバナンス
人的資本を含むガバナンスについては、コンプライアンス委員会やサステナビリティ委員会において課題や具体的な施策の議論を行っております。サステナビリティ委員会では、人的資本に関する3つのマテリアリティ「コンプライアンスと企業倫理の向上」、「人材のキャリアと成長への貢献」、「働きやすさの追求と多様性の尊重」に関する定性・定量目標を掲げるなど、実効性のある取り組みを推進しております。
当社グループのガバナンス体制については、
(2)戦略
当社は、従業員と会社の持続的成長と発展を可能にする組織づくりを目的に、従業員が環境の変化に的確に対応し、現状否定をし続け、さらなる効率化と高収益化にチャレンジするスペシャリストの育成を重点課題に設定しております。教育配転と教育訓練、そして公正な評価を連動し、広い視野で課題解決できる人材育成に取り組むとともに、性別や国籍、学歴、採用区分に関係なく、能力や成果を重視した多様な人材登用を行っております。さらに、ワークライフバランスの充実、多様な働き方にも対応できる取り組みを並行して行うなど、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めております。
① スペシャリスト育成の為の教育
・ジョブローテーションによる教育配転と経験の蓄積により、イノベーションを起こせる人材育成を推進
・若手から中堅層であるマネジャー、課長クラスの人材育成を行う為、昇進制度と連動した階層別研修を運営
・将来の執行役員・部門長を選抜、育成する為のサクセッションプラン研修を運営
・小売業界の専門知識であるチェーンストア原則の教育を実施
(入社5年目まで毎月原則試験、毎年2回の全社員試験、各研修でのOFF-JTを実施)
・小売の最先端を走るアメリカで直に学びを得るための現地視察セミナーを実施
・ITリテラシーを高めDX人材育成の為の研修を実施
・スキルアップ支援として業務に必要な知識・技術を習得するための資格取得サポートと社外セミナーへの派遣
・毎年2回の人事評価を実施し、上司と部下の間で課題と解決策を共有し、モチベーション向上と成長を促す為のフィードバック面談を実施
・客観的で納得性の高い人事評価を行い、人材を育成するために、社員の昇格の際には、自己評価・上司評価に加え多面評価を実施
② 手挙げ文化の醸成
自ら手を挙げ、主体的に取り組むことができる文化の醸成に取り組んでおります。
・自らのキャリアを切り開くことができるポジション公募の実施
・若手社員を対象に、公募制でキャリアビジョン形成を目的として、本部の職種について先輩社員が仕事紹介を行うWEBセミナーを開催
・階層別研修や社内外のセミナー派遣について公募制にて実施
・スキルアップに必要な資格の取得希望者に対し、研修会及び教育コンテンツの提供
(登録販売者・自転車安全整備士)
・ITリテラシー向上の為の資格取得支援を実施(日商PC検定、ITパスポート)
③ 多様性の確保
多様な人材が活躍できる環境下はさらなるイノベーションを起こし、新たな価値を生み出し、会社の持続的成長につながると考えております。ダイバーシティ&インクルージョンを推進し個々の能力を最大化できる環境を整えてまいります。
・性別や学歴、採用区分に関係なく、能力や成果による人事評価制度を実施
・女性活躍推進の為、女性社員を対象とした研修を実施
・豊富な経験と知識を持つシニア人材の活躍の場を広げる為に段階的に定年を65歳まで延長
・障がい者雇用については地域のハローワークと連携し、法定雇用率を大きく上回る雇用を実現
・グループ全体の本部機能を担う西日本本部ではスロープの設置や多目的トイレを設置するなど、障がいをもつ方でも自由に移動が可能な設計で、安心して勤務できる環境を整備
・国籍を限定しない採用と登用
④ ワークライフバランスの充実と多様な働き方の選択肢拡大
・仕事と子育て・家庭の両面に向け、妊娠・出産に係る休暇や育児短時間勤務、育児休業中の一部期間の有給化など、法を超えて取得できる制度を整備。また、妊娠、育児休業、復職に伴う不安を解消できる面談プログラムを実施
・男性育児休業取得を推進する為、妊娠、出産報告のあった社員に対して本人・上司・人事部を交えた育休面談を実施
・有給休暇取得を推進する為、年間7日間の法を超えた取得義務日数を設定
・毎日健康的に勤務できる環境を整える為、10時間の勤務インターバルを設定
・多様な働き方の選択肢拡大の為、勤務地域を限定するコース制度の運用
(各エリア内で職場を限定するブロック職、通勤距離60分以内で職場を限定するエリア職)
(3)リスク管理
ディスカウントストア運営を主な事業とする当社グループでは、新たな価値を提供し、持続的な成長を支える優秀な人材の確保・育成に注力しております。こうした取り組みが想定通りに進まない場合、事業計画の達成が困難になる場合があります。人的資本のリスク管理体制については、サクセッションプランによる経営幹部の育成や社外セミナーへの派遣の他にも、上司との定期的な面談やストレスチェックを行うなどで従業員の状況を継続的にモニタリングし、個人の成長と働きやすい環境づくりを行っております。コンプライアンス教育に関する事項は、コンプライアンス委員会などで議論を行い、全社横断的なリスク管理体制を整えております。
(4)主な指標及び目標
2030年までに以下の目標の達成を掲げております。
・正社員離職率:5.5%
・仕事・職場環境意識調査における肯定的回答率:85%
・女性管理職比率:20%
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの経営成績、株価、財務状況及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、「(2)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク」に記載のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 2024年2月期におけるリスク評価
最新のリスク評価の実施結果において、当社グループは98項目のリスクを識別し、「(2)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク」に示す10個のリスク項目に分類し、軽減策の検討及び実施を行っております。
また、刻々と変化する事業環境に対応するため、モニタリングの結果や新たなリスクを識別した際には、リスク評価の見直しを行い、必要に応じて優先的に対応すべきリスクを更新しております。
(2) 当社グループにおける優先的に対応すべきリスク
当事業年度において優先的に対応すべきリスクと位置付けたもののうち、主なものを記載しておりますが、その他のリスクについても、それぞれ対応を進めております。
また、下記のリスクは有価証券報告書提出日現在における当社グループが判断したもので、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。
分類 |
リスク項目 |
対応優先度 |
オペレーショナルリスク |
① 人事・労務関連のリスク |
高 |
② レピュテーションリスク |
高 |
|
③ 個人情報に関するリスク |
高 |
|
ハザードリスク |
④ 事業継続リスク |
高 |
⑤ 情報セキュリティに関するリスク |
中 |
|
戦略リスク |
⑥ サステナビリティ課題に関するリスク |
高 |
⑦ DXに関するリスク |
高 |
|
⑧ 店舗開発に関するリスク |
中 |
|
ガバナンスリスク |
⑨ 法務・倫理関連リスク |
高 |
⑩ 取引先管理に関するリスク |
高 |
(オペレーショナルリスク)
|
① 人事・労務関連のリスク |
対応優先度 |
高 |
|
リスク シナリオ |
日本では、少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会的課題である中、当社グループは福岡、東京本社の他、関東エリア、中国エリア、九州エリアを中心として複数の店舗と物流センターを保有しており、当社グループにおける人材の確保及び継続的な成長機会の提供を通した従業員の主体的な能力向上に伴う企業としての生産性の向上を推進していくことが重要な課題であると捉えております。 しかしながら、法令や制度の改正など何らかの事由により、人材獲得のためのコストが増加、人材育成が計画通りに進まない等の場合は、当社グループのサービス提供、事業運営に影響が生じる可能性があります。また、新規出店、新規事業に関する人的資本の投資計画にも影響を与え、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 |
|||
対応策 |
当社グループでは、「働きやすさの追求と多様性の尊重」というサステナビリティの重要課題に対する取り組みとして、「すべての人材の能力が活かせる環境づくり」、「健康的に働き続けるための心身の健康維持と増進」、「柔軟かつ新しい働き方への挑戦」などを推進し、多様な人材に意欲をもって能力を発揮していただくために一人ひとりの従業員の主体的な能力向上を支援し、これらを通して企業としての生産性の向上に結び付けていくことに取り組んでおります。 また、長時間労働の削減や有給休暇の取得奨励などの適正な労務マネジメントの実施及び衛生面、安全面が考慮された労働環境作りについても日々改善を行っております。 |
|
② レピュテーションリスク |
対応優先度 |
高 |
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リスク シナリオ |
当社グループはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の企業公式アカウントを運用し、日々、お客様やステークホルダーの皆様に対して、最新の情報を届けております。公式SNSアカウントの運用については、細心の注意を払い、日々投稿を行っておりますが、SNSにおける風評被害により商品のブランド価値や企業イメージが毀損する可能性があります。 また、当社グループは、お客様に安全な商品を提供するとともに正確な情報をお伝えするよう努めておりますが、当社グループの取扱商品について重大な事故が生じた場合には、商品回収や製造物責任賠償が生じる場合があり、商品の廃棄ロスを含め、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループでは、SNSの企業公式アカウントの運用について社内規程を定めるとともに、企業公式アカウントの利用がお客様やステークホルダーの皆様に対して正しく有益な情報を届けるツールになるよう、従業員に対して定期的な教育・研修を行って参ります。 当社グループのレピュテーションに影響を及ぼす問題が発生した場合の適切なメディア対応や不適切な投稿に対する対応に備え、プロセスや職責をあらかじめ明確化しております。 |
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③ 個人情報に関するリスク |
対応優先度 |
高 |
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リスク シナリオ |
当社グループは、事業を展開する上で、顧客から預かった個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、適切な情報管理とITセキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難、役員・従業員の故意的な行動等により、これらの情報の流出や漏えい等が生じる可能性があります。 このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、当社グループが取り扱う商品やサービスの優位性の低下、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループはプライバシーポリシーを掲げ、保有する個人情報を適切に管理するための指針を定めており、個人情報の取り扱いに関する対策の強化を図っております。また、当社グループの従業員への個人情報の取り扱いに関する教育の実施や業務委託先を含む情報セキュリティ水準の確認及びモニタリングを実施して参ります。 |
(ハザードリスク)
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④ 事業継続リスク |
対応優先度 |
高 |
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リスク シナリオ |
当社グループが保有する本社や各店舗、物流センターにおいて、地震、台風及び津波等の自然災害、火災や停電あるいは予期せぬ事故等が発生した場合は、お客様または当社グループの従業員に対する人的被害、施設及び設備の損壊等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有または外部の業務委託先であるITベンダーが保有するITシステムが停止する恐れがあります。 このような事態が発生した場合は、当社グループのサービス提供、事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループは毎日の暮らしになくてはならない「社会のインフラ」になることを目指しており、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で早期の店舗復旧及び営業再開をできるように、あらゆる事象を想定した事業継続計画(BCP)を策定しております。 加えて、従業員等の安全確保・安否確認等の初動対応フローの見直し、定期訓練や必要物資等の備蓄対策を実施するとともに、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく、継続的なPDCAサイクルを実施し、重要な事業の継続を図る体制の維持・強化を図り、各種危機に備えております。 |
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⑤ 情報セキュリティに関するリスク |
対応優先度 |
中 |
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リスク シナリオ |
当社グループは、事業活動を遂行するために多数のITシステムを保有しております。各種システムが適切に管理され安定的に稼働できるように、運用状況のモニタリング等を実施しております。また、サイバー攻撃の監視・対応及びセキュリティリスク評価、事業を継続するための体制の整備、グループ全体のシステムリスク管理状況の定期的な確認に取り組んでおります。 しかしながら、これらの対策を講じていたとしても、台風、地震等の自然災害、当社グループが利用するクラウドサービスにおける障害、高度なサイバー攻撃等の不測の事態やヒューマンエラーにより、システム障害やセキュリティインシデント等が起こり得ます。これらのシステムリスクが顕在化した場合、事業運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループは、情報セキュリティ基本方針及び基本規程に基づき、情報セキュリティ対策の環境構築に力を入れています。具体的には、標的型メール、ランサムウェア、不正アクセス等の外部からのサイバー攻撃による情報漏えいやサービス停止の防止、内部者による不適切利用・情報漏えい防止の徹底、外部プラットフォームサービスを利用する場合のサービス選定・運用等に関するルールの遵守の徹底、監視の強化等、必要な措置を講じております。 |
(戦略リスク)
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⑥ サステナビリティ課題に関するリスク |
対応優先度 |
高 |
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リスク シナリオ |
持続可能な社会の実現に向け、気候変動対策を含む環境課題や社会課題に対して、当社グループの事業を形成するバリューチェーン全体を通して、企業の責任を果たすことが求められています。 また、気候変動に伴う移行リスクとして、今後各国・地域における脱炭素社会に向けた政策の強化、炭素排出に関連する法令等の改定・新規制定が想定外の短期間で実施された場合に、かかる取組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受ける可能性があります。 加えて、当社グループにおいて環境問題に関する法令・規制の強化等によりサステナビリティ対応の遅れが生じた場合や、当社事業を形成するバリューチェーンにおいて環境や人権等に対する取り組みが適切に行われていない場合、当社グループの社会的信用が失われ、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループではサステナビリティ基本方針を策定し、企業としてさらに環境、社会課題解決の責務を果たすべく、グループで重点的に取り組む課題として、「商品の提供を通じた社会価値創出」、「持続可能なサプライチェーンの構築」、「持続的成長を支える経営基盤の確立」という3つのテーマから成る7つの重要課題(マテリアリティ)を特定しております。 当社グループでは、サステナビリティ委員会が気候変動を含むサステナビリティに関する重要課題を統括管理しております。重要課題に対する取り組みにおいては、各重要課題の項目に対して定性的または定量的な目標を設定し、具体的な施策を検討、実行しております。 また、気候変動課題については、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に則った情報開示を進めており、サステナビリティ委員会下に分科会としてTCFDチームを設置し、当社グループにおける気候変動による影響の評価及び管理体制の検討を行っております。 |
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⑦ DXに関するリスク |
対応優先度 |
高 |
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リスク シナリオ |
当社グループは、デジタルデータを活用したサービス展開と業務変革を積極的に推進しています。特に、サービス展開においては、ミスターマックスオンラインストアを通じて、店舗と同等の圧倒的な品揃えを、常にリーズナブルな価格でご提供するECサービスを目指しています。 しかし、EC市場の今後の拡大に伴い、競合他社を含む多くの事業者がECサービスに更に注力することで、市場の競争が激化する可能性があります。 また、法令や制度の改正など、外部環境の変化により、利便性の高いサービスを通じた市場での差別化や、デジタル技術を利用した従業員の業務効率化が困難となる場合、これは当社グループのECサービス提供、事業運営、財政状態に影響を与える可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループは、店舗、アプリ、オンラインストア、そしてネットスーパー(即配サービス)を統合し、相互に連携・補完することで、お客様が当社のサービスにアクセスできるチャネルを増やすオムニチャネル戦略を推進し、お客様の利便性を向上させております。今後も、オンラインストアの機能強化やアプリのリニューアル等を通じて、サービスの充実を図っていく予定です。 また、デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務改革に関しては、DX人材の育成や業務プロセスの標準化を進め、従業員の属人性を排除することで業務効率の向上を目指します。これにより、デジタル技術を活用した効率的な業務運営とローコスト運営の実現に向けた体制を整備してまいります。 |
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⑧ 店舗開発に関するリスク |
対応優先度 |
中 |
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リスク シナリオ |
当社グループは、当連結会計年度末現在、九州・中国地方と関東地方に56店舗を展開し、家庭用品、家電品、衣料品等普段の暮らしに必要な商品を取り扱っておりますが、当社グループの出店エリアにおいて、それぞれの分野の専門店、大手スーパー、ホームセンター、ドラッグストア等様々な業態の店舗と競合しております。また、当社グループの出店エリアへの他業態の今後の新規出店によっては、競争が激化する可能性もあります。 加えて、個人消費動向の変化、出店地域の景気や雇用情勢、人口動態の変化により、一般消費者への商品販売収入及び当社グループが運営するショッピングセンターのテナントからの賃貸収入が当初の計画より見込めない状況が生じた場合は、出店計画の変更を余儀なくされる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループでは、新たな店舗やショッピングセンターの出店計画を策定する際にテクノロジーを活用した売上予測の精度向上に取り組み、出店後の計画変更に対するリスク対応を行っております。また、当初の売上予測と出店後の売上について予実管理体制を整備する等、継続的な出店計画の適切なモニタリングを行っております。 出店後のお客さまの価値観や消費行動の変容等のリスクに対しては、新常態(ニューノーマル)におけるコンセプトやサービス機能の提供を行う等、従来のビジネスモデルからの変革を進めていく好機ととらえ、社会変化に対応した店舗づくりに取り組んでいます。 |
(ガバナンスリスク)
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⑨ 法務・倫理関連リスク |
対応優先度 |
高 |
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リスク シナリオ |
当社グループが実施する各事業領域において、遵守すべき関連法令・規制等が多数あります。日々の業務遂行にあたり、細心の注意を払い関連法令・規制等の遵守に努めておりますが、関連法令・規制等の変更や強化に対応できず、法令・規制等の義務を実行できない事象が発生した場合、当社グループの事業活動、社会的信用及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの国内外の事業活動が、重要な訴訟等の対象となった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループは、コンプライアンス委員会を組織するなど、役員・従業員の法令遵守と倫理観向上に努めております。 また、コンプライアンス委員会が有するリスクマネジメント機能として実施されるリスクマネジメント活動の中で、関連法令・規制等への遵守に関するリスクを特定し、必要な対応を講じております。また、社内規程を定め、総務部が主導して従業員に対する教育を行う等、義務事項を実施しております。 |
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⑩ 取引先管理に関するリスク |
対応優先度 |
高 |
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リスク シナリオ |
当社グループはショッピングセンター運営事業、ディスカウントストア事業等において、数多くの関連事業者と取引をしております。当該取引先の倒産や事業撤退等によるサービス供給が停止した場合は事業運営に問題が生じる可能性があります。 また、法務部門における重要な契約に対するリーガルチェック体制を整備しておりますが、何らかの理由で当社グループの国内外の事業活動が、重要な訴訟等の対象となった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
当社グループは、取引先の選定や継続的な取引先の管理に関する社内規程を策定し、運用しています。 また、リーガルチェックにおける社内体制や顧問弁護士等の専門的な見地からの指導を得るべき契約書の基準を設けて、係争事案のリスク低減を図っております。 |
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
また、当社グループは小売及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」という経営理念のもと、総合ディスカウントストアとして、生活必需品を中心とした商品を毎日低価格で販売するエブリデイ・ロープライス(EDLP)を徹底し、EDLPを支えるエブリデイ・ローコスト(EDLC)に注力してまいりました。
サービス面では既存店の更なる収益力向上、お客様の利便性の向上を目的に、2023年3月にオンラインストアをオープンしました。オンラインストアでは、店舗と同じお値打ち価格で商品を提供し、その受取方法は、配送と店舗引取りが選択可能なサービスを提供しております。お客様一人ひとりの生活スタイルにあったお買い物方法を選択でき、利便性を向上したことで、登録者数は10万人を突破いたしました。今後も、更なる品揃えの充実と機能改善に取り組んでまいります。
商品部門別には、物価上昇に伴う節約意識の高まりを反映し、EDLPを訴求した飲料、即席麺、ペット用品等の売上が堅調に推移いたしました。特にPB商品は、生産工場の集約や仕入見直しを進め「価値ある安さ」を提供することで、売上高は前年比115.1%を達成いたしました。また、今期は、外出の機会が増えたことから、キャリーケースや化粧品、シューズなどが売上を伸ばしました。一方で、マスクや検査キットなど利益率の高いコロナ関連商品の売上は減少しました。また、仕入価格高騰の影響もあり、荒利益率は21.6%と前期より1.0%減少いたしました。
店舗においては、既存店12店舗の改装を実施し、競争力のある店舗づくりに注力いたしました。改装によって、お客様の利便性を向上させ売上高を増加させるとともに、店内作業をさらに効率化し、売上高営業利益率の改善を図っております。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、商品が増加した一方、リース資産や差入保証金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ15億79百万円増加し、835億11百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金が増加した一方、長期借入金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ97百万円減少し、493億82百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ16億77百万円増加し、341億29百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、営業収益(売上高+営業収入)1,295億70百万円(前期比102.1%)、営業利益30億21百万円(前期比65.2%)、経常利益29億8百万円(前期比64.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益24億44百万円(前期比71.3%)となりました。荒利益率の低下により営業利益が前年を下回り、増収減益となりました。
c.セグメントごとの経営成績
当社グループは、小売及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、棚卸資産の増加、法人税等の支払、有形固定資産の取得による支出などの要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が28億43百万円となったことや、有形固定資産や無形固定資産の取得などにより、前連結会計年度末に比べ7億47百万円減少し、当連結会計年度末には23億89百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益が28億43百万円となり、減価償却費25億75百万円、棚卸資産の増加額10億91百万円、法人税等の支払額8億11百万円などにより、営業活動の結果得られた資金は39億34百万円(前期比99.1%)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出20億45百万円、敷金及び保証金の回収による収入4億92百万円などにより、投資活動の結果使用した資金は26億11百万円(前期比1,398.8%)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入による収入55億円、長期借入金の返済による支出58億45百万円や配当金の支払額8億95百万円、リース債務の返済による支出5億54百万円などにより、財務活動の結果使用した資金は20億70百万円(前期比58.6%)となりました。
③ 仕入及び販売の実績
当社グループは小売及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
a. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績を部門別に示しますと、次のとおりであります。
部門別 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
|
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
食品 |
38,852 |
106.9 |
HBC |
20,323 |
103.4 |
家電 |
14,000 |
99.6 |
ライフスタイル |
12,751 |
100.0 |
ホームリビング |
8,158 |
102.0 |
アパレル |
4,578 |
101.3 |
その他 |
0 |
47.6 |
消去 |
△7 |
187.1 |
合計 |
98,658 |
103.5 |
b. 販売実績
1)地区別売上高
当連結会計年度の販売実績を地区別に示しますと、次のとおりであります。
地区別 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
|
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
九州地区 |
77,500 |
101.3 |
中国地区 |
14,393 |
102.8 |
関東地区 |
31,218 |
103.0 |
その他 |
1,411 |
111.9 |
消去 |
△9 |
185.0 |
合計 |
124,514 |
102.0 |
(注)1.当連結会計年度において、Select南大分店(大分県大分市)を閉店いたしました。
2.「その他」は、インターネット販売等の売上高です。
2)部門別売上高
当連結会計年度の販売実績を部門別に示しますと、次のとおりであります。
部門別 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
|
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
食品 |
46,507 |
106.1 |
HBC |
25,514 |
101.8 |
家電 |
17,407 |
97.8 |
ライフスタイル |
17,066 |
99.4 |
ホームリビング |
11,569 |
99.9 |
アパレル |
6,677 |
100.3 |
その他 |
0 |
18.9 |
消去 |
△230 |
- |
合計 |
124,514 |
102.0 |
(注)「消去」は売上高全体より控除する変動対価等です。
3)単位当たり売上高
項目 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
前年同期比(%) |
売上高(百万円) |
124,514 |
102.0 |
売場面積(㎡) |
325,826 |
99.5 |
1㎡当たり売上高(百万円) |
0.3 |
102.5 |
従業員数(人) |
2,407 |
99.0 |
1人当たり売上高(百万円) |
51 |
103.0 |
(注)1.従業員数には、パートタイマー、アルバイト、嘱託社員及び人材会社からの派遣社員を含んでおります。
2.売場面積及び従業員数は、いずれも期中平均であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ15億79百万円増加の835億11百万円(前連結会計年度末は819億32百万円)となりました。
流動資産は、191億61百万円(前連結会計年度末182億46百万円から当連結会計年度末191億61百万円)となりました。これは主として商品が10億93百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、643億50百万円(前連結会計年度末636億86百万円から当連結会計年度末643億50百万円)となりました。これは主として建物及び構築物が10億26百万円増加したことなどによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ97百万円減少の493億82百万円(前連結会計年度末は494億80百万円)となりました。
流動負債は、267億84百万円(前連結会計年度末258億54百万円から当連結会計年度末267億84百万円)となりました。これは主として支払手形及び買掛金が14億67百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は、225億97百万円(前連結会計年度末236億25百万円から当連結会計年度末225億97百万円)となりました。これは主として長期借入金が6億95百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ16億77百万円増加の341億29百万円(前連結会計年度末は324億52百万円)となりました。
2)経営成績
(営業収益)
営業収益は、EDLPを訴求した飲料、即席麺、ペット用品が堅調に推移したことに加え、外出機会の増加によりキャリーケースや化粧品、シューズなどが売上を伸ばしたこと、またPB商品の売上が前期比115.1%と増加したことなどから1,295億70百万円(前期比102.1%)となりました。
(営業利益)
営業利益は、30億21百万円(前期比65.2%)となり、売上高営業利益率は、2.4%となりました。
(経常利益)
経常利益は、29億8百万円(前期比64.3%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、24億44百万円(前期比71.3%)となり、1株当たり当期純利益は、73円53銭となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、小売及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用のほか、店舗等の設備投資資金及びシステム投資資金であります。これらの資金需要に対する財源は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としており、十分な手元流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。
連結財務諸表における報告数値のうち一部の数値については、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる見積りを基にその算出を行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う影響は、今後も不透明な状況が見込まれるものの、当社グループの事業活動及び業績への影響は限定的であることから、本連結財務諸表における重要な会計上の判断及び見積りの変更は見込んでおりません。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高営業利益率を重要な経営指標と考えております。当連結会計年度の売上高営業利益率は中期的な目標である5.0%を下回り2.4%となりました。
なお、当社グループは2029年2月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。目標を達成するため「店舗出店」、「オムニチャネル」、「M&A及び新規事業戦略」の3つの成長戦略を柱に追求し、規模拡大を目指してまいります。また、売上高営業利益率のさらなる向上のために「エブリデイ・ロープライス(EDLP)及びエブリデイ・ローコスト(EDLC)の徹底」、「お客様に支持される店舗の開発」、「市場の変化へ対応」、「持続可能な社会づくりへの貢献」、「中長期的な成長を支える人材育成」などの施策によって営業利益高の拡大に努めてまいります。詳細につきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略」に記載のとおりであります。
当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
(シンジケートローン契約)
当社は、ポジティブ・インパクト・ファイナンスによる資金の調達として、株式会社福岡銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を、2023年9月25日付で締結いたしました。
契約締結日 2023年9月25日
借入実行日 2023年9月29日
借入金額 35億円
借入利率 基準金利+スプレッド
借入期間 5年間
担保 無担保
資金使途 運転資金
財務制限条項 ①各年度の決算期の末日における連結貸借対照表における純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期の末日における連結貸借対照表における純資産の部の75%の金額以上に維持すること。
②各年度の決算期の末日における連結損益計算書に示される経常損益が、2024年2月期以降の決算月につき2期連続して損失とならないこと。
該当事項はありません。