当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、2022年2月期(2021年度)より更なるお客様満足度向上に向け『I3☆55 お客様の期待を超える組織体へ』を新ビジョンとした新中期経営計画を実現するため、Communication、Education/Entertainment、Designの頭文字を取った『CED』をコンセプトとした事業展開を行ってまいります。人口減少やコロナ禍など生活環境が大きく変化する中で、人と人、人とペットの絆をプロデュースするマーケティング・デザイン・カンパニーとして『人とペットの共生』を実現してまいります。
また、当社グループは「ペットを通じて人に安らぎを与え、豊かでゆとりのある生活環境作りをサポートすることにより社会貢献する」ことを経営の基本方針とし、今後も引き続きペット産業全体をドメインとした事業展開を図ってまいります。
昨今の企業を取り巻く環境の著しい変化の中でも、ペット業界のさらなる活性化、発展そして健全な成長に貢献していく方針であります。
(2)経営戦略等
経営環境は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行され、社会経済活動の正常化が一段と進むとともに、各種コストの上昇を背景とした価格改定による商品単価の上昇や猫の飼育頭数が再度増加に転じたことなどにより、市場規模の成長率は前年以上に良化いたしました。しかしながら、低価格・節約志向、犬の飼育頭数減少や生体の小型化などは依然継続しており、これらを主要因としてペット関連市場の成長率は再度鈍化するものと想定しております。また、物流コストの継続的な上昇や慢性的な人材不足による人件費の増加により、ローコストオペレーションの重要性が今まで以上に高まってきております。小売業様においても、同業他社との競争激化や企業再編などめまぐるしく経営環境が変化し、当社の基本戦略においても過去の延長線上にない新たな取り組みが急務となっております。これらの環境変化に対応する為、新中期経営計画では前回のI2(Inspire・Innovation)を基本にInitiative(主導権をもって新たな事業に挑む)を追加した『I3☆55 お客様の期待を超える組織体へ』をビジョンに人材育成による基本戦略、新たな需要創造・市場創造による成長戦略に努めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、卸売事業を核として、ペットフード、ペット用品及びペット関連サービス提供のリーディングカンパニーでありたいと考えております。
卸売事業を中心として、『世界一のペットカテゴリー企画会社を目指して』をコンセプトに、得意先様、仕入先様及び生活者の信頼を高めると同時に、コスト削減及び業務効率化を図る為の改善を積極的に推進し売上高営業利益率の永続的成長を目指してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
今後の景気動向につきましては、国際情勢の不安定化、エネルギー資源・原材料価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続くと思われます。
こうした状況の下、2026年2月期を最終事業年度とする新中長期経営計画の実現に向け、「基本の徹底、そして成長へ」をスローガンとする基本戦略を引き続き進めてまいります。
具体的には、持続的な収益獲得基盤の構築を目的とする子会社を含めた物流センターの移転を行うとともに、人的資本経営の一環として、本社事務所の移転や人財育成を目的とする社員への更なる投資を実施してまいります。
また、成長戦略としては、デジタル化社会での経営戦略として「CED(Communication、Education/Entertainment、Design)」をコンセプトにおいた事業展開を更に推し進めることで他社との違いを明確にし、世界に発信できるマーケティング・デザイン・カンパニーとして、あらゆる角度からお客様をサポートしてまいります。
ペッツバリュー株式会社では、店舗開発事業におけるサービスレベルを向上させることに注力し、お客様満足度の更なる向上に取り組んでまいります。
株式会社I&Iでは、オリジナル商品『シェルフ&タワー with Cat』の販売促進強化とともに、『ShareZ(シェアーズ)』ブランドの拡大に努めてまいります。また、お客様へのプロモーション戦略の強化並びに新たなチャネル開拓への取り組みなどにより、卸売事業の販売促進企画に注力してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、全ての人とペットが幸せに暮らせる社会「人とペットの真の共生」という企業理念を掲げ、行動規範やECHO Visionを踏まえて事業を進めています。人とペットが共に暮らせる環境づくりのほか、人材づくりや環境への取り組みなどを重要な社会課題と捉えています。これからも人とペットがともに暮らせる環境づくりを目指し、事業を通して持続的な社会実現に貢献していきます。
(1)ガバナンス
当社グループでは、人とペットの真の共生の実現に向けた環境整備について環境負荷の低減などを含めたサステナビリティ課題への対応を重要課題と認識しています。そのため、グループのサステナビリティ課題への対応に向け取締役会の監督の下、サステナビリティ委員会やリスクマネジメント委員会などを設置していく体制整備を予定しております。
サステナビリティ委員会は、代表取締役社長が委員長となりグループ全体のサステナビリティのリスク・機会および対応策の検討と、その進捗状況を管理し、年に2回、取締役会に対し定期的な報告を実施します。また、サステナビリティ委員会を支えるサステナビリティ推進部会が各グループ会社および各部門と連携を取り、具体的な対応策の取り組みのフォローなど進捗状況の管理をしていきます。
なお、全社にとってのマテリアリティについては、リスクマネジメント委員会で取り組むリスク管理なども踏まえサステナビリティ委員会において数年に一度、見直しを実施し、取締役会に付議、そこで決定していきます。
(2)戦略
当社グループでは、「人とペットの真の共生」という企業理念を掲げ、その実現に向けた取り組みを進めています。当社グループでは、これらの実現に向けて事業成長を通して解決していくべき重要な課題として以下を想定、これらのリスクと機会を検討し、中期経営計画の実践を通して対応を進めていきます。なお、中期経営計画では、特にペット業界を取り巻く環境変化も踏まえて[透明性][情報提供][環境整備]を意識した事業展開を進めております。
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重要な課題 |
説明 |
リスク |
機会 |
対応 |
関連SDGs |
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1 |
人とペットが共生する社会の実現 |
・全ての人とペットが共に幸せに暮らせる環境整備 ・ペットが苦手な人も含めた幸福な社会づくり |
・ペットを取り巻く外部環境変化への対応遅延による市場の縮小、事業活動への批判 ・動物愛護法の改定による対応コスト増加 ・人口の減少 |
・積極的な情報開示、透明性の確保による競争優位性の向上 ・環境整備による市場拡大 ・サービス向上による飼い主の増加 |
・動物介在教育の実施 ・動物とのふれあいイベント(ペット王国等) ・ペットコンシェルジュ ・NPO法人主催イベントの支援 |
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2 |
人財の育成 |
・自ら課題を見つけ、既存の仕組みに囚われず、新たな価値を創造する人財の育成 |
・適切な対応をしない場合の労働生産性低下、人財流出、ビジネスチャンス逸失、健康関連費用増大 |
・人的資源、働き方改革推進による競争力強化 ・環境整備と育成によるイノベーションを創造する人財の確保 |
・役職、階級別研修の実施 ・人事制度の刷新 ・社外研修への参加 |
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3 |
環境負荷の低減 |
・気候変動や資源問題など社会全体の課題に対して企業としての責任を果たす |
・炭素税による事業コスト増大 ・異常気象の激甚化によるサプライチェーンへの影響 ・生活者の意識変化 |
・低炭素、脱炭素の貢献する製品やサービスの積極的展開、取扱による需要の高まり、市場シェア拡大 ・サステナブル志向の新規顧客の獲得 |
・脱炭素に向けたアクション ・リサイクル原料、商品の優先的利用 ・商品廃棄削減への取り組み ・エシカル商品の取扱 |
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4 |
ステークホルダーとの連携 |
・ペットフード・用品の継続的な安定供給によりペットとの生活基盤を構築 |
・サプライチェーン上のサステナビリティリスクによる供給不安 |
・ステークホルダーとの緊密な連携による安定供給の実現 |
・災害が発生した地域へのペットフードや用品の優先または無償提供 ・ペットとの災害訓練 |
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5 |
ガバナンスの強化 |
・社会から信用・信頼される企業としてガバナンス・コンプライアンスを遵守 |
・意識欠如による各種コンプライアンス違反事例の発生 ・コーポレートガバナンス、内部統制の機能不全による事業継続リスク、予期せぬ損失の発生 |
・コンプライアンスの徹底、役職員の意識向上による組織の活性化、信頼性向上 ・コーポレートガバナンスの継続的改善を通じた持続的な企業価値向上 |
・内部統制委員会やリスク管理委員会でのモニタリングを実施 ・内部統制報告書にて結果報告 |
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なお、人材が企業にとって最も大切な経営資源であると認識しており、従業員の“働きがい”向上に資する取り組みについては以下のような視点から積極的に進めております。特に人材開発の点では、「個人の多様な強みを伸ばし、チームで活かし合うことでイノベーションを起こし、社会課題の解決に資する自走できる人材集団」という目指す姿に向け一人ひとりの成長や多様な強みを発揮できるような教育機会の提供をはじめとした組織的な成長の場を提供していきます。
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分野 |
主な取り組み |
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多様な人材の尊重と働き方改革 |
多様な人材の尊重 |
公正・公平な雇用条件と制度 キャリア採用 定年退職者の再雇用/障がい者の雇用 ほか |
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働き方の改革 |
育児短時間勤務制度 時差出勤制度 ほか |
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人材開発・モチベーションの向上 |
充実した研修・教育プログラム キャリアプラン構築(社内FA制度、キャリアコース制度、社内公募制度) 目標設定研修 ほか |
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健康管理・健康増進 |
労働安全衛生委員会 メンタルヘルスケア ハラスメント研修 ほか |
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(3)リスク管理
当社グループでは、内部統制委員会において毎年、事業推進上のリスクの洗い出しと検討を実施しています。サステナビリティ関連のリスクについては、今後、設置予定のサステナビリティ推進委員会とリスクマネジメント委員会が連携してサステナビリティに関するリスクの特定、評価、優先順位付けとその対応策についての検討を実施していきます。また、サステナビリティ委員会ではグループにおけるリスク・機会への対応状況の進捗管理を実施、状況を踏まえた見直しなども実施していきます。
なお、気候変動については温室効果ガス排出量などを指標として設定し、進捗状況の管理をしていきますが、気候変動が当社事業に与える影響は軽微とみており、現時点ではシナリオ分析は実施しておりません。改めて検討を深めていく予定です。
(4)指標・目標
当社グループでは、「人材の育成」のうち特に多様な人材の尊重と働き方の改革にかかる指標については以下の指標を設定、進捗管理を行い進めてまいります。
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指標 |
実績 |
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女性従業員の割合 |
24.1% |
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男性の育児休業取得率 |
50.0% |
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研修時間(延べ研修時間合計) |
729時間 |
また、「人材の育成」での目標及び、他の取り組みについての指標・目標はサステナビリティ委員会など設置後に改めて検討、設定します。
環境負荷の指標の一つである温室効果ガス排出量については次年度、算定を行い、自社への影響度を勘案した上で指標、目標の設定などを実施する予定です。
(5)人的資本への取組
当社グループでは従業員個人の成長が企業の発展につながるとの認識に基づき、従業員の声に耳を傾けながら、適材適所で持てる能力を最大限に発揮できる制度の整備や自主活力にあふれた社風の創出に取り組んでいます。
① 人材戦略の基本的な考え方
当社グループが人材育成を通じて目指す姿は「個人の多様な強みを伸ばし、チームで活かし合うことで、イノベーションを起こし、社会課題の解決に資する自走できる人材集団」です。「自走できる人材」となるため、各自に期待する役割・職務行動を、役割等級の等級要件や職務行動を評価項目として明示し、それぞれが上位等級を見据えた成長に繋がるよう、チャレンジングな業務課題や教育機会を提供してまいります。
② チャレンジを促す仕組み
当社グループでは「自立・自律」「挑戦」「変革」をキーワードとし、「自走する圧倒的なオーナーシップをもつ人財を創る」ことを目的とした人事制度を2023年4月に改正いたしました。この制度では職掌に応じた能力・役割に基づいた評価項目を定めるとともに、個人のキャリアプランやライフプランに応じたキャリアコースを選択できる仕組みを導入いたしました。
また、人事制度と連動した研修体系を構築することで、個人のキャリアパスを支援する制度を構築しております。
《キャリア支援制度》
●社内FA制度(自己申告制度)(全従業員が対象 年1回)
希望する勤務地や職種、部署を申請できる制度。中長期のキャリアプランや能力開発の取り組みを上司・部下間で共有し、人材育成に活用する制度です。
●キャリアコース転換制度
業務経験を積むことによって仕事の適性が変化した場合やライフイベントに大きな節目があった場合に、自らのキャリアプランを描き直しながら、働き方や役割を選択できる制度です。
●社内公募制度
自ら手を挙げることにより、希望する部署やプロジェクトに就けるチャンスを増やす制度です。社内公募制度では、会社が随時定める「特定ポジション」について、希望候補者を公募し、書類や面接による審査・決定を行います。
≪教育研修プログラム≫
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分類 |
プログラム名 |
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入社前/後研修 |
内定者研修、内定者フォロー研修、中途入社者研修 |
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階層別研修 |
新入社員研修、新入社員フォロー研修、新任主任研修、新任主査研修、新任主幹研修 新任管理職研修、新任部門長研修、次世代経営者候補育成研修 |
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職種別研修 |
営業職研修、物流職研修、事務職研修 |
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目的別研修 |
ビジネススキル(各種)研修、考課者研修、ハラスメント研修、 メンタルヘルス研修、キャリアデザイン研修、ライフプラン研修 |
※ 2023年9月からeラーニングサービス『エコースタディー』を導入、マルチデバイスにて「いつでも」「どこでも」「何度でも」学ぶことができるツールとして教育研修に活用しています。
③ ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループは、国籍・民族・人種・思想・宗教・性別・性的指向・障害・年齢・社会的身分によって差別することなく、従業員同士が多様な価値観を認め合い、個々の従業員が持てる能力を最大限に発揮できることが大切であると考えています。多様な働き方やライフプランを尊重し、「時差出勤制度」や「育児短時間勤務制度」などの整備・拡充を推進しています。
その上で、当社は中長期的に当社を支える人材と高度なスキルや専門性を有する人材の確保を目的として、新卒採用やキャリア採用も積極的に進めており、社内では習得できない「職務経験」「スキル・知識」「能力」を備えた人材を柔軟かつスピーディーに採用できる体制を整えています。また、定年退職者の高いスキルや豊富な経験を十分に活用するとともに、働きがいを持って勤務してもらうことを目的に「定年退職者を対象とした継続雇用制度」も整備しております。この制度ではフルタイム勤務の形態で再雇用する契約に加え、出勤日や勤務時間などが調整できる個別契約型を準備し、最長67歳まで契約延長可能としております。2024年2月現在34名が制度を活用しております。
④ 健康管理・健康増進施策について
当社グループは競争力を維持し続けるためには、従業員が健全な状態で、安心して活き活きと働ける職場環境を整備することが重要であると認識し、安全衛生管理体制をはじめ、過重労働の防止に関する施策として、健康診断やメンタルヘルスケアなどを実施し、安全で働きやすい職場環境づくりを進めております。
メンタルヘルスケアについては外部の専門機関と提携した従業員支援プログラム制度(EAP)を導入し、当社専用の相談窓口の設置により、不調者の早期発見とともに、相談しやすい環境を整備しています。その他、新入社員研修や新任管理職研修においてメンタルヘルス研修を毎年実施しています。また、従業員が51人以上の事業所では産業医と連携しながら従業員面談などを実施し、フィジカル、メンタルの両面から従業員をサポートしています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 災害危機等について
当社グループは、全国に多数の事業所・物流センターを設置し事業を展開しておりますが、大規模地震等の自然災害が発生した地域においては、ライフラインや交通網が寸断され、当社グループの物流やサービスの提供などに支障が生じることが想定されます。
また、コンピュータシステムにおきましては、自然災害やコンピュータウイルスの侵入等により壊滅的な損害を被った場合は、当社グループの業務遅延が発生する可能性があります。
当社グループは、リスク管理体制の基礎として、リスク管理規程を定め、個々のリスクについての管理責任者を決定し、同規程に基づいたリスク管理体制を整備し運用しておりますが、これらの被害に伴う復旧が長期化する場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) ペットフードの安全性について
近年、外国産牛肉のBSE(牛海綿状脳症)問題や鳥インフルエンザの発生など食の安全性にかかわる問題から、消費者の「安心・安全」に対する要求が一段と高まっております。
当社グループは、取扱い商品の賞味期限管理をはじめとして、安全性に関する在庫管理を徹底しておりますが、これらの問題によりペットフードの生産、流通に支障が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 取引条件の大幅な変更について
当社グループは、ペットフード・用品の卸売事業が全体売上高の大半を占めておりますので、取引先の経営環境の変化や営業政策の変更による販売価格の引き下げ、仕入価格の引き上げ又は帳合先の変更が想定以上に進行する場合があります。
当社グループは、取引先の「お客様満足度NO.1」に繋がる事業活動に注力しておりますが、これらのことが想定以上に進行した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 債権の貸倒れについて
当社グループの主要な販売先であります小売業におきましては、店舗出店、M&Aなどによりさらに競争が激化し、厳しい経営環境が続くものと予想されます。従来から当社グループにおきましては、取引信用保険に加入するなど与信管理には十分留意しておりますが、不測の事態により取引先に信用不安が生じ、債権の回収が困難となった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) ペット生体の需給動向について
当社グループは、ペットフード・用品の卸売事業を主業としておりますので、ペット生体の数の増減によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことに伴い、社会経済活動の正常化が一段と進み、個人消費やインバウンド需要が回復するなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化、物価の上昇、金融資本市場の変動など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
ペット業界におきましては、犬の飼育頭数減少、原油・原材料価格の高騰による仕入価格の上昇、人手不足による人件費増加に加え電気代や配送費など様々なコスト上昇が継続しており、ペット市場を取り巻く経営環境は依然として厳しい環境が続いております。
こうした状況の下、2024年2月期は「基本の徹底、そして成長へ」をスローガンとする新中長期経営計画の折り返しとなる3年目であり、「基本の徹底」によるローコストオペレーションに加え、「成長戦略」としては、デジタル化社会での経営戦略として「CED(Communication、Education/Entertainment、Design)」をコンセプトにおいた事業展開を更に推し進めることで他社との違いを明確にし、世界に発信できるマーケティング・デザイン・カンパニーとして、あらゆる角度からお客様をサポートしてまいりました。
ペットフード・ペット用品の卸売事業につきましては、営業本部をヘッドクオーターとする本部制を更に強化するとともに、単品管理の徹底による安定した利益の創出、物流センターの運営や配送ルートなどの見直しによる物流コストの抑制を積極的に進め、更なる利益改善に取り組んでまいりました。
イベント事業につきましては、『みんな大好き!!ペット王国2023』を2023年5月3日から4日にかけて開催いたしました。コロナ禍により2020年・2021年と休止しておりましたが今回で開催17回目を迎え、動員数では2日間で約4万人に達する一大イベントにまで成長し、ペットとの生活の素晴らしさや、ペットと暮らす効用を実感・体験出来る『人とペットのふれあいの場』を提供するイベントとして多くの生活者様にご来場頂いております。
一方、ペッツバリュー株式会社では、「ペットオーナーの悩みに寄り添えるお店」をコンセプトに店舗開発事業におけるサービスレベルの向上に取り組み、管理店舗数は254店舗となっております。商品開発事業では既存商品の拡販に努めてまいりました。
また、株式会社I&Iでは、お客様へのプロモーション戦略の強化並びに新たなチャネル開拓への取り組みにより、卸売事業の販売促進企画に注力するとともにペッツバリュー株式会社から一部機能を移管した商品開発事業部では、「あ!これいいね。」をコンセプトとした今までにない価値を提案する商品開発に注力し、2024年2月22日に『シェルフ&タワー with Cat』の販売を開始いたしました。今回販売したオリジナル商品は、人とペットが快適に共生(Share)することで絆(kiZuna)を深め、幸せがずっと(Zutto)続くことを願う『ShareZ(シェアーズ)』ブランド商品の第一弾となります。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、価格改定による商品単価の上昇、ライフステージや機能性に着目した高付加価値商材の拡大などにより、1,074億6百万円(前期比10.8%増)となりました。また、営業利益については、単品管理の更なる徹底による売上総利益の改善、配送ルートの見直しや不動・滞留在庫の削減による適正在庫での運用など物流コスト抑制を目的とした活動を継続し、17億1千9百万円(前期比100.4%増)となりました。
経常利益は17億4千5百万円(前期比94.5%増)となり、また、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失を8千3百万円計上したことなどにより、12億1千3百万円(前期比105.6%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ18億5千6百万円増加し、335億2千3百万円となりました。これは、主に現金及び預金が3億7千1百万円、受取手形及び売掛金が12億5千6百万円、商品が1億3百万円、投資有価証券が1億1千万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ7億9千7百万円増加し、228億8千1百万円となりました。これは、主に短期借入金が5億円、賞与引当金が1億5百万円それぞれ減少したものの、支払手形及び買掛金が11億7千6百万円、未払金が1億7千4百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億5千8百万円増加し、106億4千2百万円となりました。これは、主に利益剰余金が10億5千万円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億7千1百万円増加し(前期は5千5百万円の増加)、40億6千万円となりました。これは、投資活動によるキャッシュ・フローが5千9百万円の支出超過となり、財務活動によるキャッシュ・フローが7億6千4百万円の支出超過となったものの、営業活動によるキャッシュ・フローが11億9千5百万円の収入超過となったことによるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は11億9千5百万円となりました(前期は7億5千6百万円の収入超過)。これは、主に売上債権の増加額12億5千6百万円、賞与引当金の減少額1億5百万円、棚卸資産の増加額1億2百万円があったものの、税金等調整前当期純利益16億6千7百万円を計上したこと、仕入債務の増加額11億8千1百万円、未払金の増加額1億6千1百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は5千9百万円となりました(前期は4千7百万円の支出超過)。これは、主に保険積立金の解約による収入9千2百万円があったものの、保証金の差入れによる支出1億1百万円、無形固定資産の取得による支出2千5百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は7億6千4百万円となりました(前期は6億5千3百万円の支出超過)。これは、主に短期借入金の純減額5億円、配当金の支払額1億6千2百万円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、品目別に販売実績を記載しております。
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品目別 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
||
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金額(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
|
ペットフード |
|
|
|
|
ドッグフード |
15,012,731 |
14.0 |
116.7 |
|
キャットフード |
33,357,169 |
31.1 |
119.4 |
|
スナックフード |
30,053,980 |
28.0 |
110.0 |
|
鳥・小動物・観賞魚等フード |
3,377,153 |
3.1 |
98.7 |
|
小計 |
81,801,033 |
76.2 |
114.3 |
|
ペット用品 |
|
|
|
|
犬・猫用品 |
21,802,467 |
20.3 |
103.7 |
|
その他用品 |
3,405,981 |
3.2 |
85.6 |
|
小計 |
25,208,448 |
23.5 |
100.8 |
|
その他 |
397,291 |
0.3 |
96.1 |
|
合計 |
107,406,772 |
100.0 |
110.8 |
(注)総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
d.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、品目別に仕入実績を記載しております。
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品目別 |
当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
||
|
金額(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
|
ペットフード |
|
|
|
|
ドッグフード |
13,478,775 |
14.2 |
116.4 |
|
キャットフード |
30,057,611 |
31.6 |
118.5 |
|
スナックフード |
26,361,143 |
27.7 |
110.4 |
|
鳥・小動物・観賞魚等フード |
2,895,946 |
3.0 |
98.5 |
|
小計 |
72,793,475 |
76.5 |
114.2 |
|
ペット用品 |
|
|
|
|
犬・猫用品 |
19,335,928 |
20.3 |
104.5 |
|
その他用品 |
2,781,902 |
3.0 |
84.1 |
|
小計 |
22,117,830 |
23.3 |
101.4 |
|
その他 |
197,891 |
0.2 |
98.7 |
|
合計 |
95,109,196 |
100.0 |
110.9 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等
(売上高)
売上高は前期と比べ104億5千1百万円(10.8%)増加し、1,074億6百万円となりました。これは主に猫の飼育頭数が増加に転じるとともに、キャットフード市場における機能性や安全性を追求した高付加価値フードの売上が好調に推移したこと、また、前期に引き続き価格改定による商品単価が上昇したことによるものであります。
(売上総利益)
売上総利益は前期と比べ12億3千4百万円(11.0%)増加し、124億2千5百万円となりました。これは主にキャットフードやスナックフードなどの売上高が好調であったことによるものであります。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は前期と比べ3億7千2百万円(3.6%)増加し、107億5百万円となりました。これは主に売上高の増加に伴う物流コストなどの変動費が増加したことによるものであります。
(営業利益)
営業利益は前期と比べ8億6千1百万円(100.4%)増加し、17億1千9百万円となりました。
(営業外損益)
営業外損益においては受取保険金が前期と比べ1千5百万円減少したこと、また、営業外費用が前期より1百万円増加したこと等により、前期と比べ1千4百万円減少しました。
(経常利益)
経常利益は前期と比べ8億4千7百万円(94.5%)増加し、17億4千5百万円となりました。
(特別損益)
特別損益においては投資有価証券評価損を4千1百万円、事務所移転費用を4千1百万円それぞれ計上したものの、投資有価証券売却益を6百万円計上し、災害による損失が1千8百万円減少したこと等により、前期と比べ5千7百万円減少しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は前期と比べ6億2千3百万円(105.6%)増加し、12億1千3百万円となりました。
(売上高営業利益率)
売上高営業利益率は前期と比べ0.7ポイント増加し1.6%となりました。
(ROE(自己資本当期純利益率))
ROEは前期と比べ5.7ポイント増加し12.0%となりました。
b.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした長期的な資金需要は、主に物流設備投資及び情報システム投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの短期借入又は長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は32億8千6百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は40億6千万円となっております。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。
特に記載すべき事項はありません。
特に記載すべき事項はありません。