第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「人に人らしい仕事を。」をミッションとして、日本、北米、アジアの広告業界において、広告主の広告価値最大化、媒体社の収益最大化を、卓越したプロダクトの提供により推進してまいります。また、広告以外の領域においても、当社の技術資産であるデータ解析基盤、機械学習エンジンをベースとして、流通・小売関連技術(Retail Tech)領域など、既存の領域に捉われず、複数の産業領域に対して、「人に人らしい仕事を。」に専念できるためのサービスを提供してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループが重要視している経営指標は、売上高及びEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法による投資利益+株式報酬費用+株式取得・売却関連費用)であります。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略等

 当社グループの経営環境及び中長期的な会社の経営戦略等はセグメント毎に分けております。

 広告・マーケティング事業においては、インターネット広告市場における各領域の成長に合わせて、国内では既存の事業に加えて、「Red For Publishers」からリブランディングされた「Scarlet」による収益貢献、また、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業の一部である、動画・Connected TV領域やモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」を積極展開するほか、海外では、すでに進出した拠点及びM&Aを実施した先の効率化による各個別拠点・子会社の収益化及びグループシナジーによる収益基盤の強化を重点戦略として進めてまいります。
 投資事業は、国内外において有望なベンチャー企業が誕生する環境が継続していると認識しており、これまでの投資実績を活かし引き続き将来有望なベンチャー企業への投資を行ってまいります。
 その他事業は、国内外のグループにおける経営管理機能等の提供をしており、M&Aによる事業拡大・体制強化、子会社・関連会社からの配当金受領等を継続してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき課題

① 開発力の更なる強化

 当社グループの更なる事業拡大にむけて、優秀なエンジニアの採用・育成の強化を国内のみならずグローバルに図ってまいります。

 また、優秀なエンジニアを確保するため、エンジニアのコミュニティーや勉強会で当社のプレゼンスを高め、外部エンジニアとのコネクションの拡充を行っていくとともに、様々な採用方法を活用してまいります。

 

② M&A等による事業成長及び事業領域拡大

 当社グループは、既存事業のシナジーが発揮できる事業領域及び当社グループの技術基盤を活用できる事業領域に対して投資を行い、また、M&A完了後においても適切なPMIを実施することで、持続的な成長に努めてまいります。

 

③ 内部管理体制の強化

 当社グループの経営の公正性・透明性を確保するために、内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、定期的な当社グループの内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査等委員監査による当社グループのコーポレート・ガバナンス機能強化に取り組んでまいります。

 

④ 情報セキュリティのリスク対応の強化

 当社グループは、ウィルスや不正な手段による外部からのシステムへの侵入、システムの障害及び役職員・パートナー事業者の過誤による損害を防止するために、引き続き優秀な技術者の確保や、職場環境の整備及び社内教育による情報セキュリティの強化を図ってまいります。また、当社の主要子会社であるUUUM株式会社では個人情報を多く預かっており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。UUUM株式会社では現在、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備などを継続して行ってまいります。

 

 

⑤ クリエイターサポートの強化

 当社の主要子会社であるUUUM株式会社では、バディ(マネージャー)によるサポートからタイアップ案件の獲得、イベントの開催、クリエイターグッズの販売、バックヤードのサポートなど、様々な側面でクリエイターのバックアップに努めております。新型コロナウイルス感染症はクリエイターの活動環境に変化をもたらしましたが、UUUM株式会社ではそのような変化を好機と捉え、オンラインを中心としたUUUM株式会社の強みを生かして新型コロナウイルス感染症禍のもとでもクリエイターが活躍のフィールドを広げ、多くのファンを獲得できるよう、サポート体制をさらに強化し、多様化するクリエイターのニーズにも応えてまいります。そして、インターネット上で活躍する全てのクリエイターにとって、必要不可欠な存在を目指してまいります。

 

⑥ コンテンツ管理体制の強化

 主要子会社であるUUUM株式会社では健全なコンテンツを発信していくことが、中長期的なメディアとしての視聴者獲得や広告主の獲得につながるとの考えのもと、クリエイターに対するコンプライアンス研修やコンテンツ管理に注力してまいりました。昨今では、インターネット上のコンテンツの健全性に対する世間の関心がますます高まっていることから、引き続き当社グループとしてコンテンツ管理体制を一層強化してまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティに関するガバナンス体制は、コーポレートガバナンス体制に基づいております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等」を参照ください。サステナビリティに関する方針及び取り組みは、取締役会において協議・報告を行います。

 また、取締役をメンバーとし、経営管理グループの管掌取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、定期的に開催、事業全般のリスクに関してリスク管理を行っております。

 

(2)戦略

 当社グループは「人に人らしい仕事を」をコーポレートミッションとしており、これを提供するために以下の共通の価値観を大切にしております。

・最高の失敗

―挑戦を恐れず、失敗を恐れず、そして失敗を賞賛する。

大きな挑戦を楽しみ、失敗を未来へつなげて、そして失敗を評価する文化を大切にすること。

・最強のインパクト

―インパクトと共に新しい価値を生み出す。

マーケットに対して最強のインパクトをアウトプットとして出すため常に外に目を向け、常識にとらわれない考え方・価値観とクリエイティブな思考を大切にし、社内ではなく社外に対してインパクトをもたらすこと。

・最善のモラル

―マーケットのリーダーとして高いビジネスモラルを持ち、業界をリードしていく。

マーケットに対して最善のモラルと共に、適切な進め方によってビジネスを創出していくこと。

・最大のオープンネス

―クローズなものではなく、常にオープンなものに価値観を持つ。

開かれたインターネットや環境において、世界中誰でもアクセスできる情報やビジネスチャンスに重点を置き、誰もがイノベーションを起こせるビジネス環境を構築すること。

これらの価値観を体現するよう、当社は従業員の多様性や、様々なバックグラウンドを尊重し、人材育成と働きやすい環境整備に取り組んでおります。

① 人材育成

<取り組み例>

・新入社員1名につき1名育成担当者を任命し、オンボーディング人事面談、定期的な1on1評価面談を実施するほか、グレード制度に基づいた目標設定・人事評価を行っており、全社員の長期的成長とキャリア形成をサポートしております。

・英会話受講代金の一部、及びスピーキングテスト代金を会社負担として、社員の知的欲求を満たし、学び続ける機会を提供しております。

・オンライン型プログラミング学習プログラムの受講代金を会社負担として、各個人の継続的なスキル向上に寄与しております。

・社員のエンゲージメントは定期的なサーベイで取得しており、得られた定量・定性データの振り返りを行い、社員とのコミュニケーションに活用しております。

 

② 社内環境整備

<取り組み例>

・日々の業務の疲労を回復しクリエイティブな思考を継続させるため、一定期間勤続した従業員に対しリフレッシュ休暇制度を設け、連続した休暇を推奨しております。

・オフィスのデスクで行うコミュニケーションとはまた異なった、創造的なコミュニケーションの機会としてランチ手当制度を設けております。

・業務上における閉鎖的なコミュニケーションだけでなく、オープンで人間らしいコミュニケーションを醸成するため部活動支援制度を設け、業務外における活発なコミュニケーションの機会を提供しております。

 

 

(3)指標及び目標

 当社は従業員サーベイを毎年実施しており、そこから得られたインサイトを元に、各種人材育成・社内環境整備施策を考案・実施しております。2022年11月に実施しました定期サーベイにおいて、従業員の「仕事の満足度」について、「満足」と「やや満足」と回答した割合は計73.4%と、全国平均の67.8%を超えた結果となりました。今後も引き続き、全国平均の割合を上回ることを目標に、従業員の意見を踏まえながら、各種施策を実施してまいります。

 

満足

やや満足

やや不満足

不満足

当社及び株式会社フリークアウト

28.5%

44.9%

24.1%

2.5%

全国平均

14.5%

53.3%

23.6%

8.6%

 

(4)リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティに関連するリスクも含め、当社グループを取り巻くあらゆる業務や取引における潜在的なリスクを正しく認識し、適切に管理することを経営の最重要課題の一つとして捉え、そのリスクの評価及び管理機能の強化を図っています。

 

(リスク管理体制)

 当社は、当社グループのリスク管理体制構築の一環として、全取締役を構成員に含むリスク・コンプライアンス委員会を設置し、定期的に開催しております。

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスクについて

 当社グループが行う事業は、技術革新・著しい市場環境の変化等に晒されております。本報告書提出日現在において、直ちに事業環境の著しい悪化につながる可能性のあるリスクは認識しておりませんが、リスク対策として、開発力の強化や仕入先の拡大等に引き続き努めてまいります。具体的な内容は次の通りです。

 

① インターネットの普及について

 当社グループは、主に国内外においてインターネット上でサービスの提供をしております。インターネットの更なる普及及び利用拡大、企業の経済活動におけるインターネット利用の増加等が成長のための基本的な条件と考えております。

 しかしながらインターネットの普及に伴う弊害の発生や利用に関する新たな法的規制や業界団体による規制の導入、その他予期せぬ要因により、今後の普及及び利用拡大を阻害されるような状況が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② インターネット広告市場について

 近年、インターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネット広告市場はマスコミ四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア)広告市場を上回るほどになっております。

 しかしながら、広告市場は、景気動向や広告主の広告戦略の変化などによる影響を受け易い状況にあるため、今後これらの状況に変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ プログラマティック広告の普及について

 当社グループの主要サービスであるインターネット広告のプログラマティック広告取引は、広告業界において普及し、相応のシェアを占めるにいたりました。しかしながら、一部メディアにおいては従来の非プログラマティックな広告取引に回帰が見られるなど、その将来性はいまだ不透明な部分があることから、今後においてプログラマティック広告取引の普及及び利用が減退する状況が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 技術革新について

 インターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が早く、それに基づく新サービスが常に生み出されております。また、インターネット広告業界においても、新しい広告手法やテクノロジーが次々と開発されております。当社グループが、これらの変化へ適切に対応できない場合、当社グループの業界における競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 競合について

 当社グループの主要サービスであるプログラマティック広告取引を行っている事業者は、国内外において数社存在しております。また、プログラマティック広告取引は、今後も拡大が見込まれており、参入企業が増加し、競争の激化やその対策のためのコスト負担等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの子会社であるUUUM株式会社は国内でクリエイター関連のビジネスを主要な事業ドメインとしております。現在、国内でクリエイター関連のビジネスを行う競合企業は複数存在しており、また、今後の市場規模拡大に伴い新規参入が相次ぐと考えております。UUUMはオンライン動画におけるトップクリエイター達のマネジメントに注力するとともに、トップクリエイターとのビジネス共創を実現し、クリエイターの健全な個人経済圏の拡大に寄与してまいりました。これらの実績と経験に基づき、UUUMはクリエイターへのマネジメントサポート体制やノウハウ、クリエイターとのビジネス共創におけるディレクション能力においては競争優位性を持っていると考えておりますが、新規参入により競争が激化した場合には、UUUMの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 取引先について

 当社グループの主要サービスであるプログラマティック広告取引は、取引形態の性質上、広告枠を提供するSSP事業者、アドエクスチェンジ事業者及び媒体社からの仕入が必要となります。そのため、SSP事業者、アドエクスチェンジ事業者及び媒体社の方針、事業戦略の転換等によって、取引が継続されず広告枠の仕入ができなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 法的規制について

 現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、インターネット関連分野においては「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(2002年5月施行)や、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(2000年2月施行)、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(2008年6月成立)等の法的規制が存在しているほか、個人情報の取扱などについては、「個人情報の保護に関する法律」(2003年5月成立)等が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からクッキー(ウェブサイト閲覧者のコンピューターにインストールされ、ユーザーのウェブ閲覧履歴を監視するテキストファイル)に対する規制など、インターネット利用の普及に伴って法的規制の在り方等については検討が引き続き行われている状況にあります。

 このため、今後、インターネット関連分野において新たな法令等の制定や、既存法令等の改正等による規制強化等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 自然災害等について

 当社グループの事業活動に必要なサーバーについては、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデータセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブルの事前防止又は回避に努めております。万一、当社の本社所在地である東京都において大地震や台風等の自然災害の発生や事故により、設備の損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社グループが提供する広告・マーケティング事業の継続に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 為替変動について

 当社グループの売上高の約7割は海外子会社からのものであります。期初に想定為替レートを定めて予算等の計画を作成しておりますが、過度な為替変動は当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ ロシア・ウクライナ情勢について

 ロシア・ウクライナ情勢は日々変化しており、今後の影響等は不透明ですが、足下では西側諸国のロシアへの経済制裁等により交易が滞り、世界経済に大きな影響を与えております。また、一部産業領域のクライアントに広告出稿の抑制の動きがあり、ロシア・ウクライナ情勢の混乱が長期化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2)事業ポートフォリオに関するリスクについて

 当社グループの売上高は、広告・マーケティング事業の収益が当社グループに占める割合が高く、広告・マーケティング事業の経営環境が悪化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
 リスク対策として、広告・マーケティング事業においては、海外への事業拡大により、従来の日本一国依存体制からの脱却を図り、地理的なリスク分散に努めております。
 また、広告・マーケティング事業への依存度を減らすため、投資事業、その他事業等の成長にも注力しリスク分散に努めます。

 なお、新規事業、海外展開については、以下のリスクを認識しております。

 

① 新規事業について

 当社グループは今後も引き続き、積極的に新サービスないしは新規事業に取り組んで参りますが、これによりシステムへの先行投資や、人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、当初の予測とは異なる状況が発生し、新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 海外展開について

 当社グループのサービスの提供にあたっては、プログラマティック広告取引の世界的な普及、拡大にあわせて国際展開を進めております。海外市場への事業進出には、各国政府の予期しない法律又は規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化、為替制限や為替変動、電力・通信等のインフラ障害、各種税制の不利な変更、移転価格税制による課税等、海外事業展開に共通で不可避のリスクがあります。その他、海外市場が想定どおりに成長しない場合や当社グループのサービスが海外の顧客に浸透しないこと等を要因に、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 他社の運営している動画配信サービスへの依存について

 当社グループの動画コンテンツ事業はYouTube等の他社が運営する動画配信サービス上において、サービスを提供しております。そのため、動画配信サービスの運営会社の事業戦略の転換によって、当社グループのサービスが当該動画配信サービス上で展開できなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのサービスを提供している動画配信サービスが、利用者数の減少などにより、マーケティング媒体としての価値を低下させた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ Google LLCとの契約について

 当社グループはGoogle LLCとの契約(CONTENT HOSTING SERVICES AGREEMENT)に基づき、当社グループが同社に対し、当社グループが管理する動画コンテンツの利用許諾を行う一方で、当社グループは、同社から提供されるツールを使用して、YouTube上において当該コンテンツを管理し、当該コンテンツから生じる収益の一定料率分を受領しております。当該契約は当初Google Ireland Limitedとの間で2013年12月に発効し、1年間の契約期間で、30日前の終了通知がない限り、さらに1年間自動更新されることになっております。現時点で当該契約が解除になる事由は発生しておりませんが、当該契約が終了する契機としては、当社グループの、破産等の債務超過、事業の譲渡等及び秘密保持や保証違反等の当該契約上の重要な条項の違反が解除事由とされており、また、両当事者ともに30日前に通知することで中途解約することができるとされております。当該契約が解除された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定のクリエイターへの依存について

 人気チャンネルを保有するクリエイターの活動が休止・停止した場合や、スキャンダルや炎上によりクリエイター活動に影響が生じた場合、また当社グループがマネジメント戦略上クリエイターの活動を抑制した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、専属プロデュース契約はその期間が限定されており毎回更新できる保証はなく、上記のような人気チャンネルを保有するクリエイターとの専属プロデュース契約が更新に至らなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、クリエイターが1ヵ月間で対応できるタイアップ動画本数には限りがあるため、特定のクリエイターに案件が集中してしまった場合は全ての案件を受けることが出来ず、機会損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 個人情報管理に関するリスク

 当社グループは、クリエイターやグッズ購入者等の個人情報を保有しています。個人情報漏洩による企業経営・信用への影響を十分に認識し、各種規程・マニュアルの整備、社員への周知徹底など、個人情報の管理体制の整備をおこなっていますが、万が一情報が漏洩した場合は、損害賠償費用の発生、社会的信用の失墜などにより、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的リスクやレピュテーションリスクについて

① 知的財産権の侵害

 当社グループのクリエイターが制作する動画などについて、第三者から意図せずに著作権、商標権その他の権利(以下「知的財産権」といいます。)を侵害される可能性や第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。知的財産権の第三者からの侵害に対しては、コンテンツ管理グループ、法務コンプライアンスグループ及び関係部署がクリエイターと連携して対応しておりますが、インターネット上での権利侵害に対しては、法規制の未整備その他の問題から、知的財産権の保護を迅速かつ十分に受けることができない場合もあり、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 また、クリエイターによる意図せぬ知的財産権の侵害については、コンテンツ管理グループ、法務コンプライアンスグループ及び関係部署がクリエイターと連携して、コンプライアンス研修の実施などの予防対策を講じておりますが、法解釈の相違等により、侵害が意図せず生じてしまう場合があり、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

② 動画内容に不適切な内容が入ることによるレピュテーションリスク

 当社グループでは所属するクリエイターに対して公序良俗違反や著作権侵害につながるような動画は公開しないようにガイドラインを設け、指導に努めております。また、第三者からの指摘等により所属クリエイターが不適切な動画を公開していることを認識した場合はすみやかに対処するように努めております。しかしながら、当社グループの対応が不十分だった場合、当社グループのレピュテーション低下につながることで、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ インターネット、アプリ等についての法令の解釈適用に関するリスク

 当社グループの主な事業領域であるインターネット上での動画配信やクリエイターを活用したプロモーション事業は、新しい業態の事業であるため、当社グループの事業遂行に関連して、著作権法のほか、肖像権・プライバシー権、特定商取引に関する法律、景品表示法、個人情報の保護に関する法律、動画配信事業にかかる租税法などに関して、現行の法令及び権利内容の解釈適用上で論点が生じる可能性があり、その結果として当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システム等に関するリスクについて

 当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるような体制を整えております。
 しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウエアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故など、当社グループの予測不可能な様々な要因によってシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。
 また、システムの作動不能や欠陥等に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、当社グループに対する損害賠償請求等が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)事業運営体制に関するリスクについて

① 特定人物への依存について

 当社代表取締役である本田謙は、オンラインマーケティングに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

 当社は、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、代表取締役である本田謙に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の確保及び育成について

 当社グループは、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えております。

 しかし、必要な人材の確保及び育成が計画通り進まなかった場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、この場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 内部管理体制について

 当社グループは、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(6)その他

① 配当政策について

 当社は、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考えておりますが、株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。そのため、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。内部留保につきましては、当社の競争力の維持・強化による将来の収益力向上を図るための設備投資及び効率的な体制整備に有効に活用する方針であります。

 

② 新株予約権の行使及び新株予約権付社債の転換による株式価値の希薄化について

 当社では、ストック・オプションとして役員及び従業員に対して新株予約権を発行しているほか、資金調達の一環として新株予約権及び新株予約権付社債を発行することがあります。新株予約権が行使された場合や、新株予約権付社債が転換された場合には、株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新株予約権の条件は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況(2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資金調達について

 当社グループでは、安定的な資金調達をはかるため、金融機関との間でシンジケートローン及びコミットメントライン契約を締結しておりますが、本契約には一定の財務制限条項が付されており、当社グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ M&A及び資本業務提携について

 当社グループは、同業他社等に対するM&Aや資本業務提携を実施することにより当社グループの事業を補完・強化することが可能であると考えており、事業規模拡大のための有効な手段の一つであると位置づけております。今後もM&Aや資本業務提携等を通じて事業拡大又は人員確保を継続していく方針であります。M&A等の実行に際しては、対象企業に対して財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスク低減に努める方針でありますが、これらの調査で確認・想定されなかった事象がM&A等の実行後に判明あるいは発生した場合や、市場環境の変化等により事業展開が計画どおりに進まない場合には、対象企業の投資価値の減損処理を行う等、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 なお、第2四半期連結会計期間より、一時的な影響を除外した恒常的な収益力を測定する観点から、業績指標として採用しているEBITDAの計算式に、株式取得・売却関連費用を加えて計算しております。

 株式取得・売却関連費用は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載の通り、株式売却に伴う事業税(付加価値割)及び子会社株式取得 付随費用であります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、ミッションである「人に人らしい仕事を。」の実現を目指し、日本、北米、東アジア、及び東南アジアを中心に、グローバルに事業を展開しております。

 当連結会計年度においては、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残る中で、ロシア・ウクライナ情勢、米国の景気後退、急速な円安の進行など、非常に先行き不透明な状況が継続しております。

 このような状況のもと、当連結会計年度における当社の経営成績は以下のような内容となりました。

 まず、広告・マーケティング事業(日本)においては、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業が順調に収益貢献し、株式会社フリークアウトの主力プロダクトであるモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及びプレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」が順調に推移いたしました。

 次に、広告・マーケティング事業(海外)においては、米国の景気後退懸念による広告市場の縮小の影響を受けて、米国法人Playwire,LLCが前年同期比でEBITDA、営業利益が減益となったほか、東アジア・東南アジアもゲーム市場の変化による影響を受けて前年同期比で減益となりました。

 また、投資事業においては投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施し、利益貢献いたしました。

 最後に、持分法適用会社では、タクシー内のデジタルサイネージを提供するIRIS社が、順調に利益貢献いたしました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高30,604百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益1,610百万円(前年同期比21.1%増)、経常利益2,338百万円(前年同期比13.7%減)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法による投資利益+株式報酬費用+株式取得・売却関連費用)3,452百万円(前年同期比43.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,870百万円(前年同期比476.7%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(広告・マーケティング事業)

 広告・マーケティング事業では、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」(DSP)、プレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」、ネイティブアドプラットフォームなどの提供を行い、広告主の広告効果最大化及び媒体社の収益最大化に取り組みました。

 当連結会計年度においては、プレミアム媒体支援事業が順調に成長し、株式会社フリークアウトの主力プロダクトであるモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及び「Scarlet」についても順調に推移しております。

 また、海外子会社の事業は、米国の景気後退懸念による広告市場の縮小と東アジアにおけるゲーム市場の変化による影響を受けて、米国法人Playwire,LLC、アジア(東アジア・東南アジア)が前年同期比で減益となりました。

 この結果、広告・マーケティング事業の外部顧客への売上高は29,041百万円(前年同期比0.6%増)、セグメント利益は1,497百万円(前年同期比33.8%減)、EBITDAは2,766百万円(前年同期比16.4%減)となりました。

 

(投資事業)

 投資事業では、Global展開のポテンシャルを有する製品/ソリューションを開発するITベンチャー企業を主たる投資対象として、投資リターンによる企業価値の向上を図るための事業を行っております。

 当連結会計年度においては、投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施いたしました。

 この結果、投資事業の外部顧客への売上高は1,474百万円(前年同期は1百万円)、セグメント利益は1,367百万円(前年同期はセグメント損失325百万円)、EBITDAは1,329百万円(前年同期は△350百万円)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業では、国内外のグループにおける経営管理機能等の提供をしております。

 当連結会計年度においては、M&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、子会社・関連会社からの配当金受領等を実施いたしました。

 この結果、その他事業の外部顧客への売上高は88百万円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益は818百万円(前年同期比161.4%増)、EBITDAは1,429百万円(前年同期比541.4%増)となりました。

 

 財政状態は次のとおりであります。

 

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は43,362百万円となり、前連結会計年度末と比べ18,627百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が12,107百万円、売掛金が2,055百万円、のれんが4,724百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は24,029百万円となり、前連結会計年度末と比べ9,338百万円増加しました。これは主に、買掛金が1,597百万円、短期借入金が3,419百万円、未払法人税等が3,112百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は19,332百万円となり、前連結会計年度末と比べ9,289百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が7,870百万円、非支配株主持分が1,179百万円増加したことによるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より12,107百万円増加し、19,394百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動においては、2,461百万円の資金流入(前年同期は877百万円の資金流入)となりました。これは主に投資有価証券売却益の計上11,686百万円による流出があったものの、税金等調整前当期純利益の計上11,259百万円や減損損失の計上2,100百万円による流入があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動においては、10,248百万円の資金流入(前年同期は572百万円の資金流出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,983百万円による流出があったものの、投資有価証券の売却による収入15,377百万円による流入があったためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動においては、848百万円の資金流出(前年同期は325百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,943百万円による資金流入があったものの、社債の償還による支出360百万円や長期借入金の返済による支出2,049百万円による資金流出があったためであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

広告・マーケティング事業

29,041

100.6

投資事業

1,474

-

その他事業

88

100.4

合計

30,604

105.7

(注)1.セグメント間の取引は相殺消去しております。

2.投資事業の前連結会計年度の販売高は1百万円であります。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
 この連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りは合理的な基準に基づいて行っておりますが、実際の結果は不確実性を伴うため、見積りと異なる場合があります。
 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。
 
 イ のれんの評価
 のれんは買収時点における将来の事業の成長見込みに基づいた超過収益力や顧客基盤の価値等を反映しております。このため、これらののれんを含む資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっていない場合であっても、買収時点で見込んでいた将来の事業の成長が達成されない場合や事業計画の前提となった経営環境に著しい悪化が認められた場合、あるいはそのような見込みがある場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
 当連結会計年度末時点で残高のあるのれんについては、将来の事業計画に基づき、減損の兆候はないと判断しておりますが、将来の事業計画は経済環境、市場における競合状況といった主要な仮定が用いられております。このため、これらの仮定に変化が生じた場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表におけるのれんの金額に重要な影響を与える可能性があります。

 ロ 営業投資有価証券(流動資産「その他」)、投資有価証券の評価

 当社グループは、非上場企業に対して投資先企業の将来成長による超過収益力を見込んで、1株当たりの純資産額を基礎とした金額に比べ相当程度高い価額で投資を行っております。このうち、非上場株式の評価にあたっては、当該株式の投資時の超過収益力を反映した実質価額が著しく下落した時に、投資時における投資先企業の事業計画の達成状況等を総合的に勘案して検討しております。

 投資先の事業進捗の見通し等と実績に乖離が生じ超過収益力の毀損が認められた場合には、減損処理の実施により翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
 

② 当連結会計年度の財政状態等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 「第2.事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

 

③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 売上高は、30,604百万円(前年同期比5.7%増)、売上原価は、21,300百万円(前年同期比0.8%増)となりました。前連結会計年度からの変動の主な要因は、広告・マーケティング事業(国内)が堅調に推移しつつも、広告・マーケティング事業(海外)においては業績不振があった一方で、投資事業において投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施し利益貢献したためであります。販売費及び一般管理費は、7,692百万円(前年同期比18.1%増)となりました。増加の主な要因は、株式取得・売却関連費用が増加しているなどによるものであります。この結果、営業利益は1,610百万円(前年同期比21.1%増)となりました。

 営業外収益は872百万円(前年同期比46.1%減)、営業外費用は144百万円(前年同期比39.7%減)となりました。営業外収益の主な内容は、持分法による投資利益を計上したことによるものであります。また、営業外費用の主な内容は、資金調達費用及び支払利息によるものであります。この結果、経常利益は2,338百万円(前年同期比13.7%減)となりました。

 EBITDAは3,452百万円(前年同期比43.4%増)となりました。主な要因は、投資事業において投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施したことによる営業利益の増加によるものであります。

 特別利益は11,686百万円(前年同期は57百万円)、特別損失は2,765百万円(前年同期比659.6%増)となりました。特別利益の主な内容は、投資有価証券売却益の計上によるものであります。特別損失の主な内容は、減損損失及び投資有価証券評価損の計上によるものであります。

 税金等調整前当期純利益は11,259百万円(前年同期比368.5%増)となりました。法人税等は、3,553百万円(前年同期比512.9%増)となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益△164百万円(前年同期は458百万円)となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,870百万円(前年同期比476.7%増)となりました。

 なお、セグメント別には、広告・マーケティング事業の外部顧客への売上高は29,041百万円(前年同期比0.6%増)、EBITDAは2,766百万円(前年同期比16.4%減)、投資事業の外部顧客への売上高は1,474百万円(前年同期は1百万円)、EBITDAは1,329百万円(前年同期は△350百万円)、その他事業の外部顧客への売上高は88百万円(前年同期比0.4%増)、EBITDAは1,429百万円(前年同期比541.4%増)となりました。

 この要因については以下のとおりです。まず広告・マーケティング事業において、マクロ環境では新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残る中、ロシア・ウクライナ情勢などの影響が生じた一方で、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業が順調に収益貢献し、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及びプレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」は順調に推移したことと、海外子会社の事業は米国の景気後退懸念やゲーム市場の変化を受けて、減益したことによるものであります。

 次に、投資事業においては、投資先からの配当金受領及び有価証券の一部売却等を実施し、利益貢献いたしました。

 最後に、その他事業においてはM&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施いたしました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2.事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源に関する情報

 キャッシュ・フローの分析については、「第2.事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、EBITDA水準が当連結会計年度から減少する見込みであること、法人税等の納付が発生することから、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、当連結会計年度と比較して減少する見込みであります。また、投資活動により得られるキャッシュ・フローについては、特段の有価証券の売却等を予定していないことから、当連結会計年度と比較して大きく減少する見込みであります。一方で、財務活動によるキャッシュ・フローについては、金融機関からの借入による資金調達を行い、借入金の返済に充当する等を見込んでおります。

 以上の結果として、翌連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高については、当連結会計年度末と比較して増加する見込みです。

 

5【経営上の重要な契約等】

(取得による企業結合)

当社は、2023年8月10日開催の取締役会決議に基づき、同日付でUUUM株式会社と資本業務提携契約を締結し、2023年9月15日にUUUM株式会社の株式を取得し、連結子会社化いたしました。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。