第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、以下の経営理念・ビジョン・アイデンティティ・事業コンセプトを策定し全従業員で共有しております。

 

経営理念

人と企業の架け橋となる価値ある情報サービスを提供し、人々の生活向上と社会発展に貢献する

VISION

Make everyone Wonderful

私たちは人の心を満たす商品・サービスがあふれる社会を目指している

IDENTITY

Professional team for client success

私たちは生活者の喜びのために顧客を成功に導くプロフェッショナル集団である

CONCEPT

Customer driven marketing

生活者起点のマーケティング支援会社

 

 

当社グループは、「人と企業の架け橋となる価値ある情報サービスを提供し、人々の生活向上と社会発展に貢献する」を経営理念に掲げ、会社を永続的に存在させ、顧客と社会に貢献出来る組織として成長し続けることを主題に置いております。お客様の課題を本質的に解決し、お客様の事業を成功に導くためのサービスを開発し続けることによって、世の中に良い商品や素晴らしいサービスが溢れ、企業は成功し、人々の生活が豊かになる社会を実現していくことを目指しております。現代の成熟社会では商品やサービスを開発する際に優位な差別化が困難になっておりますが、お客様と共にイノベーションを共創できるよう新規事業開発を行っております。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、クライアントのマーケティングプロセスを一気通貫でサポート出来るサービス体制の強化と優良な地方企業の開拓を積極的に行っていくことを成長戦略として掲げております

2023年11月14日に公表した中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)に記載のとおり、2026年9月期の売上目標を40億円としており、達成するために次の3つの活動に注力することを基本的な戦略としております。

(基本戦略)

① マーケティングコンサルタントの増員

当社グループにとってマーケティングコンサルタントを安定的・継続的に採用し育成していくことが、顧客企業に手厚いサポートを実施出来る体制を構築するうえで大きな課題となります。

当社グループでは、人材こそ最重要の経営リソースと位置付け、新卒・中途を問わず採用から教育、エンゲージメント向上まで一貫した施策を実行しておりますが、一連のプロセスをブラッシュアップし、さらなる競争優位性を獲得してまいります。

② 顧客数の増大

定期的なウェブセミナーを開催し参加者へのアプローチ、自主調査結果・ホワイトペーパーをダウンロードいただいた見込客への提案、インサイドセールスの強化、エボークトセットメディア(※)運営を通じての情報発信等の集客施策を実施し問い合わせや引き合いを増加させるとともに、顧客数を増大してまいります。

また、地方拠点の設置も視野に入れた営業活動により、優良な地方企業の開拓を積極的に行ってまいります。

※消費者が商品やサービスを購入する前に検討の対象として頭の中に想起するブランドの組み合わせについて、調査結果を掲載しているウェブサイト。

③ 顧客単価の増大

当社の戦略は、マーケティングプロセスの開始地点である生活者インサイトの発見において顧客企業と接点を持ち、取引がスタートした後は、商品開発やプロモーション・効果測定といった後に続く工程においても顧客企業と伴走し、顧客1社当たりの取引単価を最大化していくことにあります。それを実現するために、当社グループの営業担当となるマーケティングコンサルタントがクライアントとの窓口となり、クライアントが抱えるマーケティング課題に対し、当社が独自に開発した「マーケティングフレームワーク4K」に基づいて最適な解決策を提案しております。一人のマーケティングコンサルタントが複数のクライアントを担当し、クライアントごとに最適なマーケティング支援サービスを提案できることが強みであるため、「マーケティングフレームワーク4K」の教育を徹底し、提案機会を創出することで取引量を増加させてまいります

 

(3) 経営環境

近年とみに、生活者の趣味嗜好やライフスタイルの複雑化、多様化が進み、さらに新型コロナウイルスと共生していくWithコロナ時代に突入したことにより生活者意識や購買行動が大きく変化しております。それに伴い流行や商品サイクル・サービスサイクルの短命化に拍車がかかっております。企業活動においても製品開発、価格・コンセプト決定、チャネル構築、販売促進というあらゆるフェーズで戦略を策定しにくい環境になっており、生活者のニーズやインサイトを的確に捉え、売れる商品、成功するサービスを生み出すことが難しくなってきていると当社は考えております。変化が激しく不確実性の高い時代であるからこそ、当社グループに期待される使命や役割はより一層大きなものになりマーケティングサービスへの需要は拡大していくと考えております

当社グループの主なサービスが該当するデジタルマーケティング業界、マーケティングリサーチ業界、PR業界はいずれも市場が成長基調にあり、とりわけデジタルマーケティング業界はデジタル化の推進やD2C(自ら企画生産した製品を生活者にダイレクトに販売する手法)の普及に伴って大きな成長が見込まれる市場となっています。当社は成長市場に属する各サービスを、独自の「マーケティングフレームワーク4K」に基づいて一気通貫で提供可能な点が特長となっております。この優位性を活かして3,000社超の既存顧客基盤に対して当該サービス提供を加速し顧客単価を増大してまいります

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、「マーケティングコンサルタント人員数」「顧客数」「顧客単価」を重要な経営指標とし引き続き事業を推進してまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、マーケティングコンサルタントの増員・顧客数の増大・顧客単価の増大の3つの活動に注力することを基本的な経営戦略としており、変化の激しい経営環境のなかで常に新しいマーケティングソリューションを産み出し続けることによって着実に成長を続けております。今後も、顧客と共にイノベーションを創造し価値ある情報サービスを提供することにより事業規模の拡大を推進するためには、この3つの基本的な経営戦略を優先的に対処すべき事業上の課題とし、以下のとおり重点的に対処してまいります

① マーケティングコンサルタントの増員

当社グループの成長には、質の高い提案を行うことができるマーケティングコンサルトの増員が重要となりますが、当社グループが提供するサービスについての知識やノウハウを吸収し、顧客に対する提案力を向上させていくためには相当程度の時間を要することが課題となっております。そのため、当社グループの提供するサービスに適応力の高い優秀な人材を採用するため、求人媒体による採用活動だけではなくリファラル採用や人材紹介会社からの紹介による採用にも積極的に取り組んでまいります。また、採用した人材をいちはやく戦力化するための社内教育体制の構築に取り組んでまいります

② 顧客数の増大

当社グループが、安定的に新規取引先を増やし成長していくためには、当社グループが見込顧客と接点を持つきっかけとして、お問い合わせをしていただくための導線や仕掛けの構築を含めた自社のマーケティング活動が新規顧客獲得のための重要なファクターになります。自社メディアを活用した導線強化や見込顧客を顧客化していく仕組みの構築に取り組んでまいります

また、当社グループが見込顧客から指名されて業務を委託いただく、あるいは企画コンペティションに参加する確率を上げるためには、知名度を相当程度向上させていく必要があると認識しております。自社の強みを明確化しブランディングと知名度を向上すべく取り組んでまいります。

③ 顧客単価の増大

顧客最優先と品質至上を徹底し、信頼性を高め、価値ある製品とサービスを提供します。具体的には、社会が急激にデジタルトランスフォーメーションに舵を切り、インフラやデバイスの技術革新が激しい環境の中で、継続的に価値ある製品とサービスを提供し続けるためには、新技術の有用性の見極めと適時の対応を行うことが重要であると考えております。当社グループは、次々と登場する新技術やデバイスを吟味し応用していくことが重要であると認識し、必要な対応や積極的な投資を行ってまいります。

 

当社グループは、優先的に対処すべき財務上の課題として、資本コストを上回る高い自己資本利益率(ROE)の実現と、安定的かつ継続的な株主還元の充実を目指すため、以下のとおり重点的に対処してまいります

① 収益性の向上

事業上の重点経営課題への取組みを積極的に推進する中で、必要な設備投資・システム投資については積極的に実施する一方で、グループ全社を挙げて、合理化・効率化等によるコスト削減に取組み、収益性の向上を図ってまいります

② 財務基盤の強化

売掛金の回収促進により必要運転資金の最小化を図るとともに、投資効率の更なる向上に努めることで資産効率を高め、財務基盤の強化を図ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、持続的な事業成長のために、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題を企業の社会的責任と認識し、今後、事業活動を通じて様々な課題に積極的に取り組んでまいります。

当社のサステナビリティに関する取組については、重要事項は取締役会において審議を行っております。これは企業経営等の知見・経験が豊富な社外取締役を含めた会議で、他社の知見・経験を踏まえたより多角的なサステナビリティ及び内部統制に関する活動につながるようなガバナンス体制を構築するためです。

 

(2) 戦略

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」に記載された経営理念・ビジョン・アイデンティティ・事業コンセプトに加え、全従業員の共通の価値観として「6つのバリュー」を定めております。持続的な成長を実現するために特に重要な人的資本に関する事項として、これらを体現できる人材を育成するために、様々な取組を実施しております。

 

また、当社グループにおける、人材の育成及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。

 

①人材育成方針

a. 経営理念・ビジョン・アイデンティティ・事業コンセプト・バリューによる意識の統一

多様な社員の意識統一を図るため、経営理念等を毎月の全社会議で共有するほか、バリューに沿った人事評価を設けることにより、当社グループの目標や行動指針を共通化する施策を積極的に行っております。

 

b.キャリアパスの複線化

キャリアパスの観点では、マネジメントに特化したマネジメントコースと、専門性に特化したエキスパートコースの2種類を用意しており、各社員の志向や適性に応じたキャリアパスを描いていける制度を用意しております。

 

②社内環境整備方針

a.社内規程に基づいた副業の制度

社員が企業や社会に貢献しようとする意志を尊重すると共に、各自のスキルを高める機会として多様な働き方を選択できるように、環境を整備しております。

 

b.フレックスタイム制による出勤と育児休業取得の奨励

各部門別に設定されたコアタイム以外の出勤時間を社員が選択できることで、ワークライフバランスを確保しやすくすると共に、育児休業の取得を奨励しております。

 

(3) リスク管理

当社は、リスク管理規程に基づきリスクマネジメント委員会を設置し、サステナビリティ関連のリスク及び機会についても識別し、リスク防止に関する方針及び対策等を審議し、リスクの低減を図っています。当委員会は、代表取締役を議長とし、当社グループのリスクの対応方針や課題について、幅広い視点からディスカッションを行います。当社のリスクマネジメント委員会については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 (d) リスクマネジメント委員会」に記載のとおりであります。

 

(4) 指標及び目標

当社は、行動指針であるバリューに基づき、人材育成や多様な人材が活躍できる組織の運営を目指しておりますが、本報告書提出日現在において、人材育成方針や社内環境整備方針に関する具体的な指標及び目標は設定しておりません。しかしながら、当社が描くサステナビリティを推進するために、より働きやすい環境の実現や社内制度の改善に向けての取組を推進してまいります。

なお、当社の係長級にある者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率については、「第1企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の蓋然性がある全てのリスクを網羅的に記載しているものではありません。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合に当社グループの事業、業績及び財務状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 

(1) 事業運営上のリスク

① 人材の確保と維持について

当社グループは、業容の拡大に伴って各分野における一定水準以上の専門知識やスキルを有するマーケティングコンサルタントを確保していくことが重要だと考えております。もっとも必要な人材の確保が計画どおりに進まない場合や、重要な人材が退職した場合には、競争力が低下したり事業拡大に制約がかかったりする可能性があり、その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そこで、当社グループでは、新卒採用だけでなくリファラル採用や中途採用を積極的に進めるとともに、社内公募による他部署への異動等、既存の従業員に対しても新たなチャレンジの機会を提供し、従業員のモチベーション・満足度を高める施策を実施しております。

なお、当社グループでは、事業の競争優位性を維持するため、人材の教育に時間と費用をかけて取り組んでおります。現時点でリスクが顕在化する可能性は低いと考えておりますが、短期間に複数名のマーケティングコンサルタントの退職が発生した場合は、一時的に十分に教育された人材を育成する時間が不足し、退職した人員の補充が間に合わないことによって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 生活者パネルを確保できないリスクについて

当社グループでは、自社開発のアイリサーチのサイトを用いて生活者パネルを確保しております。現時点では、一定数の生活者パネルの登録を維持できているためリスクが顕在化する可能性は低いと考えておりますが、今後も一定数の生活者パネルの登録を維持するためにはアイリサーチの競合となる他社サイトと同水準かそれ以上のポイントを付与する必要があり、競合となる他社サイトよりも優位性を示すことができなければ、生活者パネルの確保が進まず、一定数の生活者パネルの登録を維持出来なくなる可能性があります。その結果、生活者パネルが不足し、案件を受注することができず、売上及び売上総利益の減少により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります

また、アイリサーチだけでは、生活者パネルを十分に確保できない場合、顧客へのサービス提供に必要な生活者パネルを複数のパートナー企業と連携しながら相互に調達する仕組みを構築しております。当社グループと協力関係にあるパートナー企業に不測の事態が生じ又は何らかの理由により連携が出来なくなった場合にも、顧客へのサービス提供基盤が脆弱になり生活者パネルが不足し、案件を受注することができず、売上及び売上総利益の減少により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります

 

③ 新規事業について

当社グループは事業規模の拡大及び収益基盤の強化のため、今後も新サービスや新規事業の展開に積極的に取り組んでまいります。もっとも、新サービスや新規事業への取り組みを開始してから安定的な収益を生み出すまでに通常であれば半年から1年程度を必要とし、かつ、その過程において人材の採用やシステム開発等の追加的投資が必要になります。

また、新サービスや新規事業については、事業のレピュテーションリスクにも留意して組織横断的なリスクの洗い出し・評価・対応策の検討を行っております。

現時点で、業績に影響を及ぼす新サービスや新規事業の計画がないことからリスクが顕在化する可能性は低いと考えておりますが、今後新サービスや新規事業が計画及び実施され、計画通りに進まない場合は見込んでいた売上高を計上できず、かつ、回収できなくなった投資額を損失に計上せざるを得なくなり、売上及び売上総利益の減少、特別損失の計上により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります

 

④ M&Aに関するリスクについて

当社グループは、成長戦略の一つとして、既存事業の関連分野におけるM&Aを検討・実施しております。現時点で公表済みのM&Aの計画はありませんが、今後M&Aが実施され、その後における事業環境の急速な悪化や想定外の事態の発生等により、取得した事業の損益が当初の目標どおりに推移せず、のれんの減損が必要になる等、特別損失の計上により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

⑤ 季節変動要因について

当社グループは、例年の傾向として多くの企業の決算月付近である2~3月に売上高が増加する傾向にあるため、当社グループの売上高には一定の季節変動があります。2023年9月期は、第2四半期(2023年1月~3月)の売上構成比率は28.2%となっており、通期の業績に占める第2四半期会計期間の比重が他の四半期会計期間に比べ相対的に高くなっております。

当社グループは、決算月の異なる顧客を含む幅広い顧客層の開拓に取り組み、年間を通じたサービスの平準化に努めておりますが、季節変動の傾向は現時点では解消されておりません。そのため、第2四半期累計期間の業績と同程度の利益等が第3四半期以降の6か月間で獲得できないリスクが顕在化する可能性は、前期実績と同程度は発生するものと認識しております

また、現状の取引実績ではリスクが顕在化する可能性は低いと考えておりますが、来期以降第2四半期会計期間において、顧客のマーケティング支援需要の低下や当社の営業活動阻害要因等が発生した場合は、売上高及び売上総利益の減少により通期の業績に影響を与える可能性があります

なお、2023年9月期における四半期ごとの業績は次の通りです。

 

 2023年9月
2022年10月1日2023年9月30日

第1四半期

(10~12月期)

 第2四半期

(1~3月期)

 第3四半期

(4~6月期)

 第4四半期

(7~9月期)

合計

(通期)

売上高(千円)

571,591

642,161

493,008

568,691

2,275,453

構成比(%)

25.1

28.2

21.7

25.0

100.0

 

 

⑥ 小規模組織であることについて

当社グループの組織は小規模であり、内部管理体制も企業規模に応じたものとなっております。その結果、今後の成長に伴う事業規模の拡大によっては、適切かつ充分な組織対応ができない状況も想定されます。

また、特定の人員に過度に依存しないよう、優秀な人材の確保及び育成により経営リスクの軽減に努め、今後の業容拡大を見据えて内部管理体制のさらなる充実を図る方針です。

 

⑦ 経済情勢について

当社グループが行うマーケティング支援事業は、充分な検討を重ねた上で展開を図っておりますが、予期せぬ日本国内外の経済状況、各業界の動向、各企業の経営成績やマーケティング予算、広告代理店の広告取扱高の変動等による影響を受ける可能性があります。当社グループの売上の大部分を占める日本では、政府・日本銀行の政策・世界経済の動向等によって、個人消費の減速や企業活動の停滞が発生する可能性があり、当社グループの顧客の商品・サービスの市場規模や活動が縮小し又は停滞する場合には、当社グループのサービスに対する需要が減退する等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、今後の事業規模の拡大にあわせて、人件費が増加することが見込まれますが、人件費は固定費であることから、景気の変動等で急激に需要が縮小した場合は、結果として相対的に人件費の負担が増加し、当社グループの利益を損なう可能性があります。

 

(2) 偶発的リスク

① システム障害に関するリスクについて

当社グループの事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。そのため、大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの提供に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そこで、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等の発生に備えて、稼働状況の監視等を実施しております。

 

② 情報セキュリティ及び個人情報漏えいに関するリスクについて

当社グループは「個人情報の保護に関する法律」における個人情報取扱事業者として同法の適用を受けております。現在、当社グループの主要なサービスの利用にあたっては会員登録を求めており、氏名、性別、年齢、居住地等の個人を特定出来る情報を取得しております。これらの情報の管理について、当社グループでは「プライバシーマーク」及び「ISO27001」の認証を取得し、個人情報や機密情報の保護に最大限の注意を払い、法令及び行政機関のガイドラインを遵守し、適切な管理を行っております。

しかしながら、マルウェア・コンピューターウイルスや不正な手段による外部からのシステムへの侵入、システム障害、役職員の過誤、自然災害等による情報流出の可能性は皆無とは言えず、情報が流出した場合には社会的信用の低下等に直面し当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、社内に専門組織を設置し、各種認証の取得や情報セキュリティ教育を推進するとともに、ビジネス基盤におけるセキュリティ対策を随時実施し、情報管理体制の強化に努めております。

 

③ 新型コロナウイルス等の感染症に伴うリスクについて

当社グループは、クライアントにマーケティング支援サービスを提供する企業として事業活動を継続し社会機能を維持する役割を果たすため、新型コロナウイルス感染症等に対応するための行動基準を整備しております。

今般の新型コロナウイルス感染症への対応においては、迅速な情報収集と適切な対応に努めるとともに、従業員に対してはリモートワークの活用といった体制の整備・運用を通じて感染防止に努めております。

しかしながら、従業員やクライアントの罹患等により営業活動に制約が生じた場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害等のリスクについて

当社グループは全国の生活者パネルを組織化し、そこから収集した情報を活用していくことを事業の一つの柱としております。地震、火災等の自然災害や、戦争、テロ等により、当社グループにおいて人的被害又は物的被害が生じた場合、又は、外部通信インフラ、コンピュータネットワークに障害が生じた場合等の事由によって当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策の検討を推進しておりますが、各種災害等の発生による影響を完全に防止できる保証はなく、各種災害等による物的、人的損害が甚大である場合には事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。

 

(3) その他のリスク

① 財務報告に係る内部統制に関するリスクについて

当社グループは、財務報告の信頼性に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして位置づけ、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでおります。しかし、内部統制報告制度のもとで当社グループの財務報告に係る内部統制に重要な不備が発見される可能性は否定できず、また、内部統制には本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

② 知的財産権について

当社グループによる第三者の知的財産権の侵害の可能性については、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権を完全かつ網羅的に把握する事は困難であり、認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。かかる事態が発生した場合には、損害賠償請求やロイヤリティの支払い要求等が行われることにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 配当政策について

当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の財政状態及び経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討してまいりますが、現時点において配当の実施及びその実施時期等については未定であります。

 

④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社の役職員に対して新株予約権を付与しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式は69,200株であり、発行済株式総数の2.7%に相当しております。

これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の資産につきましては、1,376,619千円となり、前連結会計年度末に比べ16,963千円増加いたしました。これは主に、差入保証金の増加に伴う投資その他の資産の増加232,692千円があった一方で、現金及び預金の減少210,938千円があったことによるものです。

(負債)

負債につきましては、723,897千円となり、前連結会計年度末に比べ113,506千円減少いたしました。これは主に、長期借入金の増加134,630千円があった一方で、短期借入金の減少274,996千円があったことによるものです。

(純資産)

純資産につきましては、652,722千円となり、前連結会計年度末に比べ130,470千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益198,371千円の計上による利益剰余金の増加があった一方で、自己株式の取得による減少69,973千円があったことによるものです。

 

② 経営成績の状況

当社グループは「~Make Everyone Wonderful~私たちは人の心を満たす商品・サービスがあふれる社会を目指している」をビジョンに掲げ、企業のマーケティング活動を強力に支援するサービスを包括的に提供しております。

当連結会計年度における我が国の経済は、訪日インバウンド需要の回復や、新型コロナウイルス感染症の影響緩和により社会経済活動の正常化が進み景気回復の兆しが見られました。一方で円安や資源不足による輸入価格の高騰が、食品・日用品を含めた生活必需品の物価上昇圧力となる等、経済の見通しは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループは製造業を中心に様々な業界のお客様にサービスを提供しており、特定の業種業態に依存した構造ではないため、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために行われていた社会経済活動の制約やその解除に伴った業績への影響は限定的なものとなっております。

日本企業は、イノベーションの推進、生産性の向上、人口減少のなかでの顧客創造といったテーマに直面し、急速に変化する市場環境の中でマーケティングのあり方そのものの見直しを迫られております。そういった課題背景のもと中長期的に当社グループが提供するマーケティング支援事業の需要が増大していくものと予想しております。

このような状況の中、当期は当社グループの認知向上施策やブランディング活動に注力いたしました。クライアント様の成功事例や当社の持つノウハウを記事コンテンツとしてサイトに掲載しリリース配信することで見込顧客獲得につながる導線を構築しました。

営業活動強化の取り組みといたしましては、マーケティングコンサルタント職を中心に積極的な採用活動を実施し、中長期的な受注体制及びサービス提供体制拡充に向けた活動に注力いたしました。

サービス強化の取り組みにおいては、原材料高騰の影響から値上げの検討が必要な企業様向けのサービス(バリューベースプライシングリサーチ)やAI活用時代におけるサービス実装を支援するサービス(ミステリーチャットサービス)といった、顧客が抱える課題やニーズに適応したサービス開発を実施いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,275,453千円(前年同期比1.1%増)、営業利益311,608千円(同11.1%増)、経常利益313,467千円(同11.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益198,371千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失280,654千円)となりました。

なお、当社グループはマーケティング支援事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ210,938千円減少し、468,310千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは257,322千円の収入(前期は140,354千円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払107,877千円があったものの、税金等調整前当期純利益313,166千円があったためです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは261,678千円の支出(前期は579,823千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金の差入による支出239,478千円があったためです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは206,582千円の支出(前期は193,165千円の収入)となりました。これは主に、新規借入による収入250,000千円があった一方で、借入金の返済による支出387,467千円、自己株式の取得による支出69,973千円があったためです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループでは、提供するサービスに生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループでは、概ね受注から納品までの期間が短く、受注管理を行う必要性が乏しいため記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。前連結会計年度の売上実績からのリピート売上率と新規の顧客獲得による売上が堅調に推移したことにより前年同期比101.1%となりました。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

マーケティング支援事業

2,275,453

101.1

 

(注) 1.当社グループはマーケティング支援事業の単一セグメントであります。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、見積りが必要な事項については過去の実績や現状等を考慮し、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、会計上の見積りのうち特に重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。また、会計上の見積りのうち特に重要なものについては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度から24,319千円増加し、2,275,453千円(前年同期比1.1%増)となりました。これは主に、カスタマードリブンでは原料高などによるクライアント企業の予算引き締め等の影響により減収となった一方で、デジタルマーケティング、PRによる売上高は好調に推移したことにより、事業全体では堅調に推移いたしました。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度から12,601千円増加し、1,203,196千円(前年同期比1.1%増)となりました。これは主に、原価率が高いデジタルマーケティングやPRによる売上が伸長したことによるものです。この結果、売上総利益は、前連結会計年度から11,717千円増加し、1,072,257千円(前年同期比1.1%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から19,503千円減少し、760,648千円(前年同期比2.5%減)となりました。これは主に、今後の売上増大を見込んだ体制構築に伴う人件費や設備費用などが増加した一方で、前連結会計年度で発生した一時費用の発生がなかったことや業務効率化により経費が抑えられたことによるものです。この結果、営業利益は、前連結会計年度から31,221千円増加し、311,608千円(前年同期比11.1%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、4,644千円となりました。これは主に補助金収入によるものです。営業外費用は2,785千円となりました。これは主に支払利息によるものです。この結果、経常利益は、前連結会計年度から33,408千円増加し、313,467千円(前年同期比11.9%増)となりました。

(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別損失は300千円となりました。これは主に、固定資産の除却によるものです。法人税、住民税及び事業税110,653千円、法人税等調整額4,142千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は198,371千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失280,654千円)となりました。

 

b 財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。

 

c キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払とともに概ね2ヶ月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金収入を安定的に確保しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、3 事業等のリスク及び 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載しているとおりであります。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、「顧客数」「顧客単価」「マーケティングコンサルタント人員数」を重要な経営指標としております。

直近2期の経営指標推移は下記のとおりです。

 

2022年9月

2023年9月

顧客数

1,526社

1,370社

顧客単価

1,475千円

1,660千円

マーケティングコンサルタント人員数

36人

37人

 

引き続き当該経営指標の向上に努めてまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。