第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「すべてのお客さまに楽しい食事のひとときを心と技術でつくる」を基本理念として、郷土料理の「長崎ちゃんぽん」と「とんかつ」を中心に、親しみやすい「飲食の専門店」を展開してまいりました。素材や味にこだわり、安全・安心・健康で楽しい食事の空間を提供し続けることにより、長期的かつ安定的に企業価値を高める経営を行ってまいります。

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、日常の営業活動に加え、財務活動を含めた企業のトータルの収益性を重視する観点から売上高経常利益率を重視するとともに、安定した経営基盤の確立を図るためフリーキャッシュ・フローの増大を目標に活動しております。売上高経常利益率10%以上という目標を掲げております。

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループでは「すべてのお客さまに楽しい食事のひとときを心と技術でつくる」という基本理念のもと、「全員参加で、永続する企業体質をつくろう」を経営方針のスローガンに掲げております。

  その基本戦略は以下のとおりであります。

 ① 成長戦略 ~ 主力外食事業2業態を中心に次期主力業態開発も視野に入れ国内外への出店を継続する。

   a.「長崎ちゃんぽんリンガーハット」は、「長崎の郷土料理ちゃんぽん・皿うどん」の独自性を活かして全国各地へ展開する。

   b.「とんかつ濵かつ」は、ブランドの知名度向上を進める。

   c.主力2業態ともに、国内市場は直営店とフランチャイズ店の展開を進める。

   d.海外市場は、東南アジア地域及びアメリカ合衆国に直営及び現地企業とのアライアンス(提携)で長崎ちゃんぽんを主力にした長崎発のレストラン事業を確立する。

   e.将来予測される経営環境の変化に対応すべく、次世代に向けた業態開発に注力する。

 ② 高収益化 ~ 売上高FLコスト(売上原価+人件費)比率60%以下の実現

   a.店舖

    ・店舗配置の見直し、メニュー政策及びオペレーション改善等により、1店舗当りの売上高を上げ、人件費率を抑制する。

   b.自社工場生産及び物流体制

    ・関東、関西及び九州の3工場体制により、万一の災害等による生産や物流リスクに備え、トータルの生産性を上げる。

    ・「製造直売業」志向を強化し、自社工場の内製化率を上げ、品質向上とトータル原価の低減を実現する。

   c.本部組織の少数精鋭化

    ・業務標準化とDXを推進し、間接業務の改善を図る。

 ③ 財務強化 ~ 国内フランチャイズ及び海外アライアンス(提携)の拡大による投資抑制

   a.直営店の新規出店は、お客さまの利用形態に合わせ、郊外型、ビルイン型、フードコート型をバランス良く出店する。

   b.国内におけるフランチャイズ展開を全店舗数の30%を目処に進め、自己投資を抑えることにより財務強化を図る。

 ④ 組織改革と人財育成 ~ 成長を支える人づくりと働き甲斐のあるキャリアプラン

   a.定期的な新卒者採用を実施し、社員の若返りを図る。

   b.管理職定員制、能力主義の強化、本部組織の少数精鋭化等の組織改革・人事制度改革を行い、働き甲斐のあるキャリアプランを明示する。

   c.階層別教育の充実を図り、次世代の経営者育成、海外勤務者育成、店長育成を継続的に行うとともに、店舗調理・店舖接客のスキルアップを図るトレーニングプログラムを充実させる。

   d.業務に必要となる知識や技能を短時間で習得できるように業務の「見える化」(標準化)を推進する。また、常に最善の見直しができるような仕組みを作り、店舗サービスレベルの向上のみならず、各部門の実行力向上に寄与できる体制づくりをおこなう。

   e.ダイバーシティ推進を図り、個々の能力を発揮して長く活躍できる環境を整備する。

 ⑤ TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った情報開示

 TCFD提言は「ガバナンス」・「戦略」・「リスク管理」・「指標と目標」の4つの項目に基づいて

開示することを推奨しており、当社グループは、TCFD提言の開示項目に沿って、外食事業・設備メンテ

ナンス事業における気候変動関連情報を開示します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関する考え方と当社グループのマテリアリティ

 当社グループは、「すべてのお客さまに楽しい食事のひとときを心と技術でつくるリンガーハットグループ」という企業使命観の下、働きやすい環境づくりや 多様な人財の活躍推進、食品廃棄物削減のための食品リサイクルやプラスチック使用量削減による地球環境保全活動、工場で使用する電力の100%再生可能エネルギー切り換えによるCO2排出量の削減、調理の楽しさや日本の野菜をより好きになってもらうための子供向け食育教室開催など、サステナビリティを巡る課題への対応は、重要な経営課題であると認識し、取り組んでおります。

 一方、地球温暖化や貧困・格差の拡大等、世界における社会課題は深刻化しております。日本においても人口減少・少子高齢化は加速しており、異常気象による災害は年々多発傾向であり、被害も甚大化しております。

 そのような中、当社グループでは外部からの要請事項や事業活動における社会課題との関連性・重要度を整理し、ステークホルダーと事業活動にとって重要度の高い3つのマテリアリティを特定いたしました。特定した3つのマテリアリティに対し、取り組む課題と目標を定めております。

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3つのマテリアリティと主な取り組み

マテリアリティ

取り組む課題

目指す姿(2030年度目標)

豊かな社会づくりへの貢献

食品安全基準の正しい運用

店舗総合衛生チェックの不合格店を撲滅・Sランク合格率を50%以上に

食材・原材料情報の適切な表示と開示

お客さまのニーズや食品表示基準に応じた表示・開示の継続およびデジタル機器を利用した店舗での適切な対応

地域特産品や人々の健康に寄与する「食」の提供

Ringer Hut Vision2030リブランディング宣言の達成

食育活動を通じて食文化の継承を推進

食育教室の開催

地球環境への配慮・負荷の低減

CO2はじめ温室効果ガスの排出削減

CO2排出量

2013年度比46%削減

グループ全体での省エネ促進

環境配慮型容器・包装などの開発と積極的利用

使い捨てプラスティック量

2021年度比50%削減

食品リサイクルの促進

食品リサイクル実施率70%へ

誰もが自分らしく安心して働ける職場

多様性の確保と女性活躍の推進

管理職に占める女性割合を24%へ

女性店長を100名へ

外国人店長を15名へ

長時間労働の是正と育児休暇の取得率アップ

男性の育児休暇取得率85%

人財の獲得と入社3年未満の離職率ダウン

入社3年未満の離職率5%以下

 

 

(2)ガバナンス

 サステナビリティに係る事案は、代表取締役社長兼CEOが委員長を務めるRHGサステナビリティ委員会で審議され、リスク・機会を抽出し、対応策を評価・審議の上、常勤役員会へ上程・報告します。常勤役員会では、リスク・機会及び対応策に対する議論が行われた後、取締役会に上程・報告します。その結果承認された事項について、RHGサステナビリティ委員会を通じて事務局・関係会社・各部門に伝達されます。関係会社・各部門のサステナビリティ推進委員はリーダーとして対応策を実行し、状況についてRHGサステナビリティ委員会・事務局へ報告します。また、RHGサステナビリティ委員会で選別・評価した気候変動関連リスクについては、CSRチームへ報告され、CSRチームは全社リスクとしての統合管理を行います。

 

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(3)戦略

①気候変動関係

 現在、カーボンニュートラルに向けた施策促進は多くの企業にとって大きな課題となっています。当社グループでは、工場・店舗における省エネ化・脱炭素化の取り組みを進めており、2050年までにグループのカーボンニュートラルの実現を目指しています。将来の気候変動が当社へもたらす影響について、TCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点の外部環境変化を予測の上、分析を行いました。

a.シナリオ分析の前提

 シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、気温上昇を工業化以前と比べて2℃未満に抑えることを目指す想定である「2℃シナリオ」と、現時点を超える政策的な緩和策を取らない想定である「4℃シナリオ」の2つの世界を想定し、分析を行いました。

b.気候変動に関するリスク・機会の識別

 シナリオ分析に基づき、外食事業・設備メンテナンス事業毎に、事業及び財務へのリスク・機会について定性分析結果を整理しました。なお、事業及び財務へのリスク・機会については、影響の定量化に向け、継続的な分析・検討を進めて参ります。

c.シナリオ分析に基づく対応策の検討

 気候変動によるリスク・機会に対し、外食事業5件、設備メンテナンス事業2件の施策を策定しました。

 

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②人財育成方針、社内環境整備方針とその状況

 当社では、すべての従業員がもつ多様な価値観や様々な視点・発想を尊重し、多様な人財の能力を最大限に発揮させるダイバーシティ経営を推進しております。持続的成長と企業価値向上のためには、より多様な視点や価値観を尊重し、様々なバックグラウンドを有する人財を積極的に採用するとともに働きやすい環境の整備も重視すべきと考えております。

 当社では、多様性を重視した採用活動及び人財育成として、下記の取り組みを行っております。

a.定期採用(年4回:4月、7月、10月、1月)の実施

b.社員のキャリア形成支援

 ・Basic Operation Course(定期採用社員対象の基礎業務プログラム)2回/年

 ・Advanced Operation Course(副店長対象の応用業務プログラム)4回/年

 ・工場Advanced Operation Course(工場社員対象の応用業務プログラム)1回/年

 ・Store Management Course(店長対象の基礎運営管理プログラム)4回/年

 ・Block Leader Orientation(店長対象の応用運営管理プログラム)3回/年

c.社員が働きやすい環境整備

 ・ダイバーシティみらい座談会の開催

  これまで行っていた女性活躍推進をダイバーシティ推進へとステップアップさせ、総務人事チーム内にダイバーシティ推進担当を置き、ダイバーシティみらい座談会を毎週1回開催しております。性別や国籍、年代、役職を問わず、役員・社員が一緒になって、積極的な意見交換を行っております。

 ・有給休暇取得促進や育児休暇制度の充実

 

(4)リスク管理

 気候変動関連リスクについては、RHGサステナビリティ委員会を中心に以下4つのプロセスを実行しながら、常勤役員会への上程・報告、更には取締役会からの承認・助言を受け、全社を通じたリスクマネジメントを行っています。

・短期・中期・長期の気候関連リスク及び機会の特定と重要度評価

・特定された重要な気候関連のリスク及び機会に対する取り組み方針

・気候関連のリスク及び機会への具体的対応策の検討・提案

・気候関連のリスク及び機会に対し、実行対応策の進捗管理

 人的資本関連リスクについては、「適正な労働時間管理」と「ハラスメント撲滅」を行っています。毎月開催している「コンプライアンス委員会」にて、総務人事チーム担当者より報告を行い、懸念のある案件については迅速に対応することで、従業員が安全・安心に働くことのできる職場環境の整備に取り組んでいます。また、定期的に実施している従業員満足度調査を通じて、従業員の思いや意見を収集することで働きやすい環境整備に努めております。

 

(5)指標及び目標

 気候変動関係においては、事業活動を通じて発生するCO2排出量(Scope1,2)の開示とサプライチェーンのCO2排出量(Scope3)の開示準備を進めております。目標値は2022年度のCO2排出量を基準値とし、2030年度の温室効果ガス排出量46%削減指標(2013年度比)と連動した目標を設定しております。また2050年度にはScope1,2のCO2排出量実質ゼロ達成を目指します。

指標

2023年度実績

2025年度(中間目標)

2030年度(目標)

CO2排出量

(Scope1,Scope2)

38,691t

(2013年度比26.4%削減)

33,039t

(2013年度比38%削減)

28,372t

(2013年度比46%削減)

使い捨てプラスティック量

258t

(2021年度比24.8%削減)

240t

(2021年度比30%削減)

172t

(2021年度比50%削減)

食品リサイクル率

65.4%

67.0%

70.0%

 

 人財育成方針及び社内環境整備方針として「女性役員数」「女性正社員比率」「女性管理職比率」「女性店長数」「外国人正社員数」「外国人店長数」「男性の育児休業取得率」「離職率(入社3年未満)」の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

 

 

 

 

 

指標

2023年度実績

2025年度(中間目標)

2030年度(目標)

女性役員数

1名

2名

2名

女性正社員比率

18.9%

20.0%

30.0%

女性管理職比率

9.4%

15.0%

24.0%

女性店長数

81名

90名

100名

外国人正社員数

8名

15名

30名

外国人店長数

3名

4名

15名

男性の育児休業取得率

25.0%

50%

85%

離職率(入社3年未満)

9.4%

10%以下

5%以下

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 特定事業への依存と売上高の季節変動について

 当社グループは創業以来、飲食店の経営を事業としており、当社グループの主だった事業はこの外食事業であります。したがって、当社グループの業績は、外食産業に対する消費者のニーズの変化、当該業界での競争激化の影響を大きく受ける傾向にあります。

 また、当社グループの売上高は1年を通して一定ということはなく、季節によって変動する傾向があります。特に5月のゴールデンウィーク、夏休み及び年末年始の売上高が高くなるため、いわゆる「稼ぎ時」に台風、酷暑、厳寒などの天候の悪影響が及んだ場合、目論見の売上高・利益を達成できなくなる恐れがあります。

(2) 食の安全と衛生管理について

 近年、食品を取り巻く環境においては、野菜の残留農薬問題、BSE問題、異物混入問題、アレルギー物質の表示、輸入食材の安全性の問題などが発生しております。当社グループでは、各原材料メーカーから「食品衛生法」「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(通称、JAS法)」「不当景品類及び不当表示防止法(通称、景品表示法)」などの関連諸法規に違反しないことを保証する書面を受領するなど、品質管理については万全の体制で臨んでおります。

 また、当社グループにおいては、ご来店いただくすべてのお客さまに安全な商品を提供するため、保健所の指導で行っている衛生検査に加えて、当社グループ内に独自に食品衛生チェックのできる体制を強化すべく「品質保証チーム」を設置し、策定したクリンリネスマニュアル、指導書に基づき、店舗及び工場内での衛生状態が基準どおり保たれているかどうかを定期的に確認しております。

 衛生面については今後においても十分留意していく方針でありますが、食中毒の発生や食品表示法に関する誤表記など、当社固有の食の安全・安心に関わる問題にのみならず、消費者の食品の安全性に対する関心が高まっていることにより、仕入先における無認可添加物の使用などによる食品製造工程に対する不信、同業他社の衛生管理問題などによる連鎖的風評及び口蹄疫や鳥インフルエンザなどの社会全般的な問題など、各種の衛生上の問題や食の安全に関する問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料の仕入について

 当社グループが、お客さまに提供する商品の食材等は多種多様にわたるため、疫病の発生や天候不順、世界情勢等により、必要量の原材料確保が困難な状況が生じたり、仕入価格が高騰したりする可能性があります。また、お客さまに提供する商品の食材を外部から調達しており、その一部は海外から輸入しております。したがいまして、万が一、輸入制限措置などにより、海外からの食材が輸入できないというような問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、「おいしさ」「安全・安心・健康」を達成するため、2009年4月に国産米粉を使用したぎょうざの販売、2009年10月より野菜の全量国産化、2010年1月よりちゃんぽん麺の小麦国産化、2013年10月よりぎょうざの主要材料の国産化を開始しております。食材の仕入に当っては、国内農家等との長期契約の締結等により仕入価格及び仕入量の安定化を図っておりますが、災害、天候不順、疫病の発生等により、必要量の原材料確保が困難な状況が生じる、又は仕入価格が高騰する等の事態に発展した場合、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 敷金・保証金及び建設協力金について

 当社グループでは多店舗展開を念頭に置いていることから、出店に際しては主に、店舗の土地及び建物を賃借する方式で出店しており、出店時に土地建物所有者に対して、敷金・保証金及び建設協力金などとして資金の差入を行っております。

 新規出店の際には対象物件の権利関係などの確認を十分に行ってはおりますが、土地建物所有者である法人、個人が破綻などの状態に陥り、土地などの継続的使用や債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 自然災害や停電等による影響について

 当社グループは製造ラインの中断による潜在的なマイナスの影響を最小化するために、すべての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っております。しかしながら、生産施設で発生する災害、停電又はその他の中断事項による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。

 また当社グループで使用される食材は、現在静岡、佐賀及び京都地区の工場で加工・製造され、営業店舗へ毎日配送しております。したがいまして、静岡、佐賀及び京都地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループで使用される食材の生産能力が著しく低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 個人情報の取り扱いについて

 当社グループでは営業目的の会員情報のほか、株主及び従業員などの個人情報を取り扱っております。

 このような個人情報の保護をはじめ、企業の社会的責任に前向きに対応していくため「CSRチーム」を設置するなど環境の整備を行っておりますが、個人が特定できるすべての情報が含まれるため、今後さらなる情報の洗い出しや、漏洩しない仕組みづくり、漏洩させない風土づくりに相当のコストがかかることが予想されます。

 また、万が一、情報が漏洩し、社会問題になった場合には、行政処分はもとより、顧客の信用を失い、企業イメージが失墜し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 法的規制について

 当社グループが属する外食産業においては、主な法的規制としては「食品衛生法」、「浄化槽法」、「消防法」、「食品リサイクル法」、「改正パートタイム労働法」などがあり、さまざまな法的規制のなかで事業が運営されております。また、当社グループのフランチャイズ・チェーン展開においては、「中小小売商業振興法」及び「独占禁止法」などの規制を受けております。

 パートタイマーの社会保険適用拡大やパートタイム・有期雇用労働法の施行など、法的規制が変更・強化された場合には、新たな費用が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 有利子負債について

 当社グループは、店舗建築費用及び差入保証金等の出店資金を主に金融機関からの借入れにより調達しております。今後、有利子負債残高の圧縮等を含め、事業継続の安全性確保を目的とした保守的な財務方針で経営に当る方針でありますが、金利に急激な変動が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 出店について

 当社グループにおいては、今後も必要に応じて当社グループの出店基準に基づき国内外において新規出店を行う方針であります。新規出店計画については基準に合致する出店地確保が困難な場合がある他、出店後において立地環境等の多大な変化や計画された店舗収益が確保できない等の事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 減損損失及び退店損失について

 当社グループは、2005年2月期より固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、当社グループの店舗において、外部環境の著しい変化等により収益性が著しく低下した場合、減損損失を計上する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループにおきましては、当社グループの退店基準に基づき不採算店舗等の退店を実施しております。退店に際し、固定資産除却損及び賃借物件の違約金・転貸費用等が発生する場合、また当該退店に係る損失が見込まれた場合に引当金の計上を行うなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(11) フランチャイズ・チェーン展開について

 当社グループでは直営店の営業展開の他、フランチャイズ契約に基づくフランチャイズ・チェーン展開を行っております。これらの契約により、当社はフランチャイズ店舗からのロイヤリティ収入等を収受しております。当該フランチャイズ加盟企業の減少や業績の悪化が生じた場合、フランチャイズ・チェーン展開が計画通りに実現できないこと及びロイヤリティ収入が減少すること等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループでは、フランチャイズ加盟企業に対して衛生管理等の店舗運営指導を実施しております。しかし、フランチャイズ加盟企業において当社グループの指導に従ったサービスの提供が行われない場合や衛生管理面の問題が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループではタイ、米国及びその他の海外地域においてフランチャイズ・チェーン展開を図っていく方針でありますが、当社グループの想定どおりに推移する保証はありません。

(12) 人財確保等について

 当社グループでは、新規出店等の業容の拡大に伴い、社員及びパート・アルバイトの採用数の増加及びパート店長制度の充実を図っておりますが、雇用情勢の逼迫、若年層の減少等により、人財の確保及び育成が計画通りに進捗しなかった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(13) インターネット等による風評被害について

 インターネット上において、当社グループ及びその関係者に関連した不適切な書き込みや画像等の公開によって風評被害が発生した場合、その内容の真偽に関わらず、当社グループの事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの競合他社等に対する風評被害であっても、外食市場全体の社会的評価や評判が下落するものであれば、当社グループの事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用にも影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 (1)経営成績等の状況の概況

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、2023年5月8日に新型コロナウイルスが第5類感染症へ移行したことで行動制限の緩和が進み、経済活動は正常化に向かいました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による世界的な資源価格の高騰や為替相場の大幅な変動による影響など先行き不透明な状況が続いております。

 外食産業におきましては、行動制限の緩和による外食機会の増加に伴い、来店客数は順調に回復しておりますが原材料費・光熱費、人件費の高騰や継続的な採用難など、依然として事業を取り巻く環境は厳しいものとなっています。

 このような状況の中、当社グループは国産野菜の使用など、食の「安全・安心・健康」に継続して取り組むとともに、『全員参加で、永続する企業体質をつくろう』をスローガンに、企業価値向上に努めてまいりました。

 また、経営戦略方針として次の3つを掲げ、社員とパート・アルバイト従業員が一丸となって、全員参加型経営に取り組んでまいりました。

◆『月例会を徹底し、お客さまを増やす』

店舗・工場が抱えている問題点や改善点について話し合う月例会は、各店舗・各工場に定着しています。社員及びパート・アルバイト従業員が積極的に意見を交わし、「お客さまに喜ばれる施策」を考え、実践することで、お客さま満足度向上に取り組んでまいりました。

業務で見つけた改善点を全社に提案できる「提案制度」も浸透しており、当連結会計年度では2,283件の提案がなされました。作業効率向上や作業負担減少につながっております。

◆『現地・現物・現実で改善のスピードを上げる』

「現地」に足を運び、「現物」を手に取り、「現実」を確認することで、スピード感を持ちながら問題解決が図られます。部門間での連携を強化しながら業務改善を行い、相乗効果を生む活動に取り組んでまいりました。

DX推進の取り組みとして、AI売上予測を活用した自動発注システムに続き、パート・アルバイト従業員の勤務シフトを自動作成するアプリの導入をリンガーハット及び濵かつ直営全店舗で完了いたしました。これにより、毎月10数時間要していたシフト作成業務が数時間で終わるなど作業効率化につながっております。

また、店舗で使用する食材の履歴を生産者まで遡れる食材トレーサビリティを全工場で導入いたしました。この仕組みによって、食材の鮮度向上や在庫圧縮を図り、お客さまにより安全安心な商品を提供するとともに、生産体制の効率化を進めてまいります。

◆『自ら考え、新たなチャンスに向けて行動する』

社員及びパート・アルバイト従業員の一人ひとりが成長し、ひいては、企業の継続的な成長へとつながるためには、直面している問題を解決するために必要なことや改善すべき点を考え、その先にある新たなチャンスに向けて行動することができるようになる必要があります。適切なコミュニケーションを取りながら、お客さま満足度向上や売上高・利益向上などにつながる施策に取り組んでまいりました。

人財育成に関しましては、企業理念の共有を図る「フィロソフィーセミナー」、持続して働くことのできる環境・意識づくりを目的とした「エルダー研修」、性別や年齢、国籍、役職などにとらわれずに意見交換を行う「ダイバーシティみらい座談会」を継続して開催いたしました。当連結会計年度末で外国人店長は3名となっており、特定技能1号の採用に注力するなど、ダイバーシティ推進に取り組んでおります。

サスティナビリティの活動として、店舗での電力・動力・ガスの使用量前年比3%削減を目標とする省エネ活動「リンガーチャレンジ2030」を実施しました。また、野菜のおいしさや調理の楽しさを体験することのできる食育教室の開催など、SDGsへの取り組みも行っております。

出店政策におきましては、10店舗を新規出店いたしました。席数及び駐車場台数を多く確保したロードサイド店舗の出店を中心に、座席でのタブレットオーダーやセルフレジの設置等、安全・安心な環境の中でお食事を楽しんでいただける店舗づくりを継続しております。

一方で、19店舗を退店した結果、当連結会計年度末では国内で646店舗、海外で9店舗、合計655店舗(うちフランチャイズ店舗163店舗)となり、前連結会計年度末比で9店舗の減少となりました。

売上高につきましては、個人消費水準の回復傾向が見られたことにより、既存店客数は前連結会計年度比で105%となり、既存店売上高は同108.1%となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は402億9百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は10億4百万円(前年同期は営業損失2億92百万円)、経常利益11億15百万円(前年同期比323.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7億52百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失4億3百万円)となりました。

次期の見通しにつきましては、行動制限の緩和による外食機会の増加やテイクアウトやデリバリーサービスの拡充などに伴い、消費者の購買活動はコロナ禍以前の状態に戻りつつあるものの、原材料費や光熱費、人件費の高騰や継続的な採用難など事業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続くものと予想しております。

そのような状況において、食の「安全・安心・健康」に継続して取り組むとともに、当社グループ全員参加であらゆる知恵を絞りながら企業価値向上に取り組んでまいります。

次期の業績予想につきましては、既存店売上高は前年比の水準に対して、長崎ちゃんぽん事業が105%、とんかつ事業が102%という前提で予算を設定いたしました。

 

企業集団の事業区分別概況は次のとおりであります。

 

<長崎ちゃんぽん事業>

「長崎ちゃんぽんリンガーハット」では、おいしい野菜を食べる楽しさを伝えるブランドメッセージ「モグベジ食堂へようこそ!」に取り組み、お客さまにおいしい料理を快適な雰囲気の中で、気持ちよく召し上がっていただけるよう努めてまいりました。

 2023年7月には、エネルギーコストや原材料費・人件費などの高騰が続いている影響から、商品価格の改定を行いましたが、客数・客単価ともに堅調に推移いたしました。

商品施策としては、季節商品として、旬のあさりとアスパラを鶏白湯スープと合わせた「あさりとアスパラの鶏白湯ちゃんぽん」、冷たいとんこつスープのちゃんぽんにピリ辛の麻婆茄子をトッピングした「冷やしちゃんぽん麻婆茄子」、豆乳クリームバターで焼き上げた牡蠣と4種類の特製味噌を使用した「かきちゃんぽん」、海鮮を贅沢に使用した「海鮮ちゃんぽん」などを販売いたしました。

その他には、定番メニューである長崎ちゃんぽんのスープの味わいを忠実に再現した「リンガーハット 長崎ちゃんぽん 鍋スープ」など、ご家庭でも楽しんでいただける商品の開発にも取り組みました。

新規出店では、国内ではリロケートを含め8店舗を出店し、15店舗を退店した結果、当連結会計年度末の店舗数は、国内で563店舗、海外で7店舗の計570店舗(うちフランチャイズ店舗146店舗)となりました。

以上の結果、売上高は323億66百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は7億81百万円(前年同期は営業損失4億6百万円)となりました。

<とんかつ事業>

「とんかつ濵かつ」では、ブランドメッセージ「もっと、おもてなし。」を掲げ、社員、パート・アルバイト従業員全員で取り組んでまいりました。

また、タブレットオーダーの全店舗導入や営業時間の延長を行い、ご来店いただくすべてのお客さまに、ご満足いただける時間を過ごしていただくことで、お客さま満足度の向上に努めてまいりました。

商品施策としては、春には「明太重ねかつ」と「アスパラ巻かつ」を、夏にはおろしポン酢でさっぱりと楽しめる紀州南高梅と国産大葉を使用した「梅しそ巻」を、秋冬には多くのお客さまから好評いただいている瀬戸内産牡蠣を使用した「牡蠣ふらい」など、季節を感じながらお食事を楽しんでいただける商品を販売いたしました。

新規出店を再開し、国内で2店舗を出店し、4店舗を退店した結果、当連結会計年度末における店舗数は、国内で83店舗*、海外で2店舗、合計85店舗(うちフランチャイズ店舗17店舗)となりました。(*和食業態の長崎卓袱浜勝を含む)

以上の結果、売上高は76億96百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は3億20百万円(前年同期比321.5%増)となりました。

<設備メンテナンス事業>

設備メンテナンス事業は、当社グループ内直営店舗及びフランチャイズ店舗の設備維持メンテナンスに係る工事受注や機器類の保全などが主な事業であり、売上高は15億64百万円(前年同期比2.0%減)、営業利益は1億33百万円(前年同期比9.8%減)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1億29百万円減少し、22億43百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は28億94百万円(前年同期比112.0%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加および受取補償金の受取額発生によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は19億51百万円(前年同期比6.0%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出19億3百万円および無形固定資産の取得による支出60百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は10億73百万円(前年同期比77.8%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出31億95百万円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

長崎ちゃんぽん事業

7,095,144

102.3

とんかつ事業

1,043,293

102.4

合計

8,138,438

102.3

 (注)1.金額は、製造原価によっております。

2.「設備メンテナンス事業」は、生産設備を有しないため、生産実績はありません。

 

 b.店舗材料及び商品仕入実績

  当連結会計年度の店舗材料及び商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

長崎ちゃんぽん事業

1,741,814

104.9

とんかつ事業

1,141,670

101.4

設備メンテナンス事業

80,929

100.7

合計

2,964,415

103.4

 (注)金額は、仕入価格によっております。

 

 c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

設備メンテナンス事業

96,594

101.9

合計

96,594

101.9

 (注)「設備メンテナンス事業」を除く事業については、店舗の販売予測に基づく生産を行っておりますので、

該当事項はありません。

 

 d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

長崎ちゃんぽん事業

32,366,156

107.4

とんかつ事業

7,696,352

103.3

設備メンテナンス事業

147,340

103.1

合計

40,209,849

106.6

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りです。

a.固定資産の減損

当社グループは、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しております。

将来キャッシュ・フローの見積りは事業計画を基礎としており、当該事業計画は過去の売上実績や店舗の出店形態など固有の要素を踏まえ、売上高の伸び率や原材料価格などの変動について一定の仮定をおいて立案していますが、経営環境の変化や価格の変動等において仮定と乖離が生じた場合、追加の減損損失が発生する可能性があります。

b.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、将来減算一時差異に対して、将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより繰延税金資産の回収可能性を判断しております。

将来の収益力に基づく課税所得の見積りには事業計画を基礎としておりますが、外部環境の変化等により仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

②当連結会計年度の財政状態の分析・検討内容

a.資産

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ3百万円減少し、287億26百万円となりました。これは主に、借入金の返済等により現金及び預金が80百万円減少したことによるものであります。

b.負債及び純資産

負債は前連結会計年度末に比べ9億97百万円減少し、158億66百万円となりました。これは主に1年内返済予定を含む長期借入金が1億95百万円減少したこと及び短期借入金が6億20百万円減少したことによるものであります。

純資産は前連結会計年度末に比べ9億93百万円増加し、128億60百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ3.5ポイント増加し44.8%となりました。これは主に、2023年5月の新型コロナウイルス感染症5類移行により、業績が回復傾向にあるため、利益剰余金が6億21百万円増加したことによるものであります。

 

③当連結会計年度の経営成績の分析・検討内容

a.売上高、売上原価、販売費及び一般管理費及び営業利益

売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「③生産、受注及び販売の実績」に記載したとおりであります。

売上原価は、前連結会計年度に比べ1億54百万円増加し、134億4百万円となりました。これは主に売上高が前連結会計年度比24億75百万円の増収となったことによるものであります。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ10億23百万円増加し、258億円となりました。これは主に、売上高増収によるパート・アルバイトの作業時間の増加と時給上昇に伴う人件費の増加及びキャッシュレス決済に伴う手数料の増加によるものであります。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ12億97百万円増加し、10億4百万円となりました。

b.営業外損益及び経常利益

金融収入(受取利息及び受取配当金)から金融費用(支払利息及び社債利息)を差引いた金融収支は、当連結会計年度は前連結会計年度に比べて29百万円費用が減少し1億52百万円の費用となりました。これは主に、期中の有利子負債残高の減少によるものであります。一方で、営業外収益として店舗周辺道路拡張工事に伴う受取補償金を1億52百万円計上しております。

以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ8億51百万円増加し、11億15百万円となりました。

 

c.特別損益及び当期純損益

特別損失は、前連結会計年度に比べ1億68百万円減少し、1億91百万円となりました。これは主に減損損失が1億24百万円減少したことによるものであります。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7億52百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失4億3百万円)となりました。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析・検討内容

当社グループの資金の源泉は、「現金及び現金同等物」と「営業活動によるキャッシュ・フロー」であります。

一方、当社グループの主な運転資金需要は、当社グループ販売商品に係る原材料費、店舗運営に係る人件費及び店舗オーナーへの支払賃借料等であり、主な設備投資需要は、新規出店、店舗改修及び工場設備投資に係る投資資金であります。

したがいまして、運転資金と設備投資資金については、営業キャッシュ・フローで充当することを基本とし、必要に応じて資金調達を実施しております。

なお、当連結会計年度末の「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ1億29百万円減少し、22億43百万円となりました。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

(1) 研究開発活動の体制

当社グループにおける研究開発活動は「生産技術研究所」を設け、専任担当者を置いて研究開発活動にあたっております。

また、店舗のメニュー開発は「リンガーハット商品開発チーム」と、「浜勝商品開発チーム」が担当しております。

「生産技術研究所」においては店舗、工場の設備・機器・システムの研究開発と機器の内製化を推進することにより品質の向上とコストダウン及びノウハウの蓄積を担うべく活動しております。

「商品開発チーム」においては商品戦略を業態別にロードサイド、フードコート、都心ビルインに分け年間商品開発カレンダーに落とし込み、商品コンセプト策定、消費者ニーズ等の調査、試作、役員試食、消費者試食、オペレーション検証と機器開発、自社工場製造ラインテスト及び品質保証チームによる食品衛生チェックを経て、販売を決定する体制をとっております。

ちゃんぽん麺、皿うどん用フライ麺、ぎょうざ、チャーハンをはじめ多くの材料を自社工場で生産するシステムをとり「他社との絶対的な商品の差別化」を図っている当社グループでは、「商品開発チーム」は、素材調達を担当する「購買チーム」及び生産・加工を担当する「生産チーム」と連携して商品開発活動を行っております。

また、販売に際しては、店舗オペレーションマニュアルの作成と周知、店舗責任者への教育・訓練を「トレーニング開発チーム」と連携して行っております。

 

(2) 研究開発活動の方針

「すべてのお客さまに楽しい食事のひとときを心と技術でつくる」という企業ミッションを達成するために、研究開発におきましては「お客さまに喜んで頂ける研究開発活動を推進する」こと、商品開発におきましては「健康的で高品質な商品を手頃な価格で提供する」ことをその活動基本方針としております。国内にせまる少子高齢化対応、国内外の多様化する消費者ニーズ等、時代の変化、販売拠点の変化に対応、あるいは企業側からの積極的新提案ができるよう、業界動向、消費者調査、来店客調査から得られる情報を活動方針に反映させております。

 

(3) 当連結会計年度における研究開発活動

① 長崎ちゃんぽん事業

 a.ちゃんぽん類の開発

 毎年好評をいただいている季節のグランドメニューの商品をブラッシュアップし、春には「あさりとアスパラの鶏白湯ちゃんぽん」夏には「梅肉と鶏むね肉の冷やしまぜめん」「冷やしちゃんぽん麻婆茄子」秋には「かきちゃんぽん」冬には「海鮮ちゃんぽん」「北海道コーン味噌ちゃんぽん」を展開しました。

 また地域限定メニューとして愛知県「超こってりちゃんぽん」京都府「九条ねぎ和風あんかけちゃんぽん」大阪府「リンガーハットの焼きそば」を開発し販売しました。

 b.新スープの開発

 個食でスープを作れるように「ちゃんぽんスープ」「皿うどんスープ」をブラッシュアップしました。

 c.テイクアウト商品の開発

ワンハンドで食べられる商品としてパンに具材を挟んだ「ちゃんぽんこっぺ」を開発しました。

また福袋用に「おでん」「袋めん」を開発しました。

 d.食の安全・安心・健康について

食の安全・安心・健康を確保するため、今後も店頭及びホームページにて原産地情報及びアレルギー情報等の開示を積極的に行ってまいります。

上記の結果、当連結会計年度中に長崎ちゃんぽん事業の研究開発に投資した金額は、39,752千円であります。

 

 

② とんかつ事業

 a.とんかつ類の開発

    毎年好評をいただいている季節のグランドメニューを春には「重ねかつ(明太子)」「重ねかつとアスパ

   ラ巻」、夏には「重ねかつ(梅しそ)」、「梅しそ巻」秋と冬にかけては「かきふらい膳」を盛り合わせの

   変更とブラッシュアップをおこない販売しました。

 b.新規顧客獲得に向けた商品の開発

 とんかつ以外のニーズを探るために「ハンバーグ」をブラッシュアップし販売しました。

 新しいニーズを探るために「チーズかつ丼」「特盛エビフライ丼」「おろしとんかつシリーズ」

「ねぎ塩レモンかつ」「キーマかつカレー」「冷やしだし茶漬け」「和風クリームシチュー」

「煮込みハンバーグ」「和風油淋鶏」を開発し地域限定販売をおこないました。

 c.テイクアウト商品の開発

自動販売機での販売やや家庭で保存できる商品として「冷凍かつサンド」を開発しました。

上記の結果、当連結会計年度中にとんかつ事業の研究開発に投資した金額は、42,493千円であります。

 

③ セグメントに区分できない基礎研究開発活動

 生産技術研究チーム

 a.画像処理技術を駆使した検査設備の開発と外部への販売

 自社開発した画像処理検査装置については、工場への導入実績を基に、外部販売可能な一体型モデルを新規開発しました。賞味期限印字の照合検査(OCR)とAI判定機能による異品種混入や部品入れ忘れを検出でき、ユーザー様の使用環境やライン構成に応じて柔軟にカスタマイズできる仕様としています。

 検査システムは、目視検査相当の120万画素カメラを搭載し、食品加工を主とした工場向けに特化しており、コンビニベンダー殿・総菜加工工場殿からの引き合いが増えております。

 多様化するユーザー様の作業環境に対応すべく、カメラ・制御盤・検査モニター分離型モデルを開発し商品力を高めております。既存ラインを大幅に変更することなく隙間に追加可能なシステムとして、設置場所が見つからず導入に困っておられるユーザー様のニーズに応えております。

 b.高感度カメラの研究

 展示会商談ならびに顧客打合せにて、高感度カメラを使用した検査システムへの期待が高まりつつあります。より高精細な画像処理検査に適用すべく研究・開発に着手いたします。

 c.内製技術力の向上

 少子高齢化に伴う作業員不足の課題に対応すべく、協働型ロボット実装技術開発に着手いたしました。

 ロボットが理解できる命令語に翻訳するスクリプト言語について研究を進めています。現時点では、食品関連展示会に内製開発検査機器と組み合わせて、NG判定品を排除するシステムとして出展し、来場者の注目を得ております。今後、ベルト速度を電気信号に変換する検出機器を組み込み、搬送コンベアとの同期取出し動作を開発中です。この技術開発を経て、工場ラインへの適用先について検討を進めます。

以上、当連結会計年度中に研究開発活動へ投資した金額の合計は、各セグメントに区分できない費用26,570千円を含め、108,816千円であります。