文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、お客様の健康維持・予防から介護・終末期のケアまでを一貫してサポートするトータルヘルスケア戦略を推進する中、多店舗に展開している調剤併設型ドラッグストアで安定的な事業基盤と競争優位性を築き、新規サービスとしてヘルスケア領域での顧客生涯価値の向上や海外市場への展開で他社との連携により売上を拡大することで、企業価値向上に努めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、2022年度から2026年度までの5か年を対象とした中期経営計画を策定し、2022年度よりスタートさせております。中期経営計画最終年度の2026年度には売上高1兆円を目標として掲げており、毎期末に目標に対する進捗状況を確認してまいります。
(3) 経営環境および優先的に対処すべき課題
翌連結会計年度におけるわが国経済は、景気回復の動きは継続するものの、金融資本市場の変化や、物価上昇圧力、人手不足の深刻化などにより、先行きの不透明な状況が続くものと見込まれます。
ドラッグストア業界におきましても、大手同士の経営統合を皮切りとした合従連衡に向けた動きや各社の積極的な出店による競争激化に加え、薬価および調剤報酬改定の影響など、業界を取り巻く環境につきましても、予断を許さない状況が続くと思われます。
このような環境のもと、当社グループは、中期経営計画で掲げた売上高1兆円の達成に向けた各種取り組みを加速させてまいります。調剤領域におきましては、医療事務への対物業務の移管、薬剤師への教育研修、デジタルの徹底活用、医療機関との連携などにより生産性の向上と対人業務の強化を図ります。物販領域におきましては、地域のお客様の生活様式の変化に対応した品揃え・店舗づくり、店舗の作業効率改善によるお客様へのサービス向上を図り、DXの推進などによる原価低減や投資効率の向上を目指します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは地域の人々の生活に密着した企業として、経営理念の実践により、社会課題を解決し持続可能な社会の形成に貢献することが持続可能な企業成長につながると考えております。また、「サステナビリティ基本方針」を定めるとともに、2021年には重要課題(マテリアリティ)を検討し、5つのテーマと16の重要課題(マテリアリティ)を設定し、課題解決に向けて取組を行っております。なお、当社グループのサステナビリティ推進に関する考え方や取組の詳細は、当社企業WEBサイトに掲載している“
「サステナビリティ基本方針」
当社グループは、環境と社会の様々な課題に真摯に向き合い、企業活動をとおして、健康で元気な人を増やし、活
力ある社会を実現するため、ステークホルダーの皆様と協働し、「地域社会」の持続可能な発展に貢献する企業を目指します。
5つのテーマと重要課題(マテリアリティ)
| テーマ | 重要課題(マテリアリティ) | 主な取組 | 
| 健康的なコミュニティ | 手ごろで質の高い ヘルスケアサービスへのアクセス向上 | ・カウンセリング機能を持つ店舗の拡充 ・オンラインサービスの拡充 ・データに基づくヘルスケアサービスの提供 | 
| 医療の安全性確保と医薬品の適正管理 | ・ヒヤリハット事例の収集と教育、インフラ整備 ・医薬品、医療機器の安全な回収 ・デジタルを活用した医療品などの情報提供 | |
| 生活の利便性向上と地域への支援 | ・商品、サービスへのアクセス向上 ・在宅患者様向けの医療・介護サービスの拡大 ・地域・団体などへの活動支援 | |
| 地域の健康教育と患者様支援 | ・予防とケアを目的にした情報提供の拡充 ・患者様および患者様家族などへの教育・啓発 ・患者様および患者様家族などへの支援 | |
| 患者様の治療効果の向上 | ・服薬フォローの実施によるアドヒアランス向上 ・ポリファーマシー回避による治療効果向上 ・医療機関への情報提供による治療効果向上 | |
| 災害・防犯に対する強靭な社会づくり | ・強靭な店舗およびインフラの構築 ・地域の災害被災者への支援 | |
| サステナブルな取引関係 | 商品による豊かな暮らしへの貢献 | ・健康に配慮した商品の提供 ・高付加価値商品の開発強化 | 
| 商品の安全・安心の確保 | ・商品の品質保証体制の確立 ・適切な情報開示 ・エシカルに配慮した商品の展開強化 | |
| 責任あるサプライチェーン マネジメント体制の構築 | ・サプライチェーンの適切な管理 ・サプライヤーとの円滑なコミュニケーション | |
| 地球環境への 貢献 | 脱炭素社会の実現 | ・再生可能エネルギーへのシフト ・温室効果ガス排出量の削減 ・ライフサイクル全体での環境負荷低減 | 
| 循環型社会の実現 | ・水資源の保全に向けた店舗づくりの推進 ・製・配・販連携による資源循環の推進 | |
| 健康的な職場環境 | 人財の育成 | ・社員の能力開発研修の充実 ・ジョブ型の人事制度への転換 ・活躍のための場と機会の積極的な提供 | 
| 健康で安全な働き方への改革 | ・健康経営の推進 ・社員の安全に配慮した職場づくりの推進 ・働き方改革の推進 | |
| 多様な人財の活躍 | ・ダイバーシティを念頭に置いた場と機会の創出 ・多様な働き方を支援する制度の拡充 ・多様性を尊重する企業風土の醸成 | |
| コーポレート・ガバナンス | 個人情報保護と情報セキュリティの強化 | ・個人情報保護の強化と教育の徹底 ・情報セキュリティ体制の強化と教育の徹底 | 
| コーポレート・ガバナンスの強化 | ・取締役会の実効性の強化 ・コンプライアンス教育の徹底 ・リスク管理体制の強化 | 
重要課題(マテリアリティ)のテーマに対するKPI
| テーマ | KPI | 
| 健康的なコミュニティ | ・デジタル会員アプリ(スギ薬局、スギサポ、お薬)DL件数:1,500万(2023年 度末) ・地域連携薬局/専門医療機関連携薬局の展開強化 ・コミュニティスペースを強化した店舗の展開強化 ・訪問調剤サービス提供の年間延べ患者様数:25万人(2025年度末) ・AED設置店舗比率:20%(2025年度末) | 
| サステナブルな取引関係 | ・お取引先行動規範の運用強化 ・PB商品の品質管理体制の強化 ・環境に配慮したPB商品の展開強化 | 
| 地球環境への貢献 | ・廃棄削減に向けた取組の強化 ・CO2排出量削減に向けた取組の強化 | 
| 健康的な職場環境 | ・健康診断/特定保健指導の受診率向上 ・女性管理職比率:30%(2029年度末) | 
| コーポレート・ガバナンス | ・リスク管理体制の強化 ・情報セキュリティ体制の強化 | 
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ経営の推進を目的に、代表取締役社長の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しており、グループ全体を通じたサステナビリティ戦略および取組を検討し、代表取締役社長に報告、提言を行っております。サステナビリティ委員会は、その目的に照らし、代表取締役社長が適切と認めて選任したメンバーにより構成されており、サステナビリティ委員会内に、関連リスクの管理および委員会が指示した業務等を遂行する機関として、リスク委員会、情報セキュリティ委員会、安全衛生委員会および開示委員会を設置しております。加えて、サステナビリティ委員会が、各委員会を統括したうえで、定期的に重要事項を取締役会に報告、提案を実施しております。
委員会の機能
| 委員会 | 機 能 | 
| サステナビリティ委員会 | 当社グループの事業活動を通じた社会・経済の持続的な発展、および社会との共通価値の創造に関する事項を審議するとともに、リスク管理、情報セキュリティ、社員の安全衛生、情報開示等を統轄することで、当社グループの持続的な成長を図る | 
| リスク委員会 | 当社グループ全体の経営に関わる様々なリスク(事業環境の変化、コンプライアンス、情報管理など)に関する事項を審議するとともに、リスク管理に関する啓発と教育を行う | 
| 情報セキュリティ委員会 | 当社グループ全体の情報セキュリティ対策について、継続的に強化・改善するための事項を審議するとともに、情報セキュリティに関する啓発と教育を行う | 
| 安全衛生委員会 | 当社グループ全体の労働災害の未然防止、社員の安全と健康確保、快適な職場環境の形成に関する事項を審議するとともに、安全衛生に関する啓発と教育を行う | 
| 開示委員会 | 当社グループにおける金融商品取引法や会社法に基づく法定開示、金融商品取引所の規則に基づく適時開示、重要な任意開示、その他ESG等の非財務情報を含む報告書等における、情報の透明性・適時性・公正性・継続性、および各開示内容の整合性等ついて審議する | 
(2)戦略
サステナビリティ経営を推進する上で、特に重要な①気候変動リスク、②人財戦略について下記に記載してお
ります。
①気候変動リスクについて
・TCFD提言への対応
当社グループは、2021年12月にTCFDの最終報告書の趣旨に賛同しました。今後は、TCFDが推奨する枠組み
(「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」)に沿って情報開示を行い、気候変動問題に対する取組を推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
・シナリオ分析
気候変動が当社グループに影響を及ぼすリスクと機会は、IPCC第5次評価報告書やIEA WEO NZEシナリオ
等に掲載されている“1.5℃、4℃シナリオ”等を参照し、将来予測に基づく各種パラメーターを収集した上
で、評価を行いました。
リスク・機会の評価
| 分類 | 評価 | |||||
| 
 | +1.5°Cの世界における評価 | +4°Cの世界における評価 | ||||
| 移行リスク機会 | 政策 規制 | 炭素価格 | リスク: | 炭素価格導入により、支出が増加 | リスク: | 炭素価格の影響は限定的 | 
| リスク: | サプライチェーン全体で、商品やサービスの生産・調達に関するコストが増大し、支出が増加 | |||||
| フロン規制 | リスク: | 店舗におけるノンフロン設備等の導入に伴う支出が増加 | - | |||
| 技術 | 物流効率 | 機 会: | 物流効率化による支出の削減 | |||
| 市場 | 電気価格 | リスク: | 電気価格の増加により、支出が増加 | |||
| 評判 | 顧客の好み | リスク: 
 機 会: | 環境配慮商品、サービスの遅れによる売上の低下 サステナブルな消費ニーズをとらえたPB開発による売上増加 | 機 会: | サステナブルな消費ニーズをとらえたPB開発による売上増加 | |
| EV充電 | 機会 | 充電環境拡充により顧客来店頻度の増加 | - | |||
| 物理的リスク機会 | 急性 | 異常気象 激増 | リスク: | 店舗休業、客数低下により限定的に売上減少 | リスク: | 店舗被災による休業増加、客数低下で売上が大幅に減少 | 
| - | リスク: | 自然災害増加による保険料の値上がりが発生し、支出が増加 | ||||
| 機 会: | 防災、備蓄関連商品の売り上げ増加 | 機 会: 
 リスク: | 防災、備蓄関連商品の売り上げ増加 店舗被災による修繕支出増加 | |||
| 慢性 | 平均気温 | リスク: | 気温上昇に伴う空調関連の支出増加 | リスク: | 気温上昇に伴う空調関連の支出増加 | |
| 生産・入荷 | - | リスク: | 原材料の生産悪化による仕入れ原価向上による支出増加 | |||
②人財戦略について
当社グループは、人財戦略の重要な視点として、「社員が最も大切な財産」「社員一人ひとりの働きがいを高める」「社員一人ひとりの力を引き出し、経営理念・成長戦略・予算を達成」の3つを挙げ、経営戦略との融合により長期的に必要とされる企業を目指しています。そして、「人事制度」「人財育成」「人財確保」「コンプライアンス・風土改革」「ダイバーシティ」「健康・安全」の6項目を柱に人的資本経営を推進。グループビジョンであるトータルヘルスケア戦略の実現と、経営理念に掲げる「親切な行動」「地域社会への貢献」「社員の幸福・笑顔」をとおして持続的な成長に取り組んでいます。
| 
 
 
 | 
(3)リスク管理
取締役会は、健全で透明性が高い効率的な経営を推進するために、コンプライアンス、財務報告の適正性、リスク管理などに関して、グループ経営という視点で内部統制システムが有効に機能するよう体制を整備し、内部監査部門を活用しつつ、その運用状況についての監督を行います。内部統制の精度を高めるために、グループ各社の業務内容、想定されるリスクとその対応策の文書化・モニタリングなどを通じて、経営上のリスクの最小化を推進しています。代表取締役社長は、経営上の高リスク分野を管理するために、サステナビリティ委員会内にリスク委員会と情報セキュリティ委員会を設置し、早期に業務の改善と事故の未然防止を図っています。
リスク委員会では、事業戦略、自然災害・感染症など、企業運営に関する重大なリスクを評価・特定し、事前に対策を講じることで、リスクの顕在化を防止しています。また、危機発生時においては、別途「緊急対策本部」を設置し、迅速、かつ適切に対応できる体制を整えています。
管理すべきリスクの主な事例
| リスク | リスクの主な事例 | |
| 事業戦略 に関するリスク | 事業環境 | ・同業他社・異業種との競争激化 ・大規模M&Aによる業界再編・寡占化 | 
| 関連法規制等 | ・薬価・調剤報酬の大幅な引き下げ ・関連税制、会計基準の改正 | |
| 投資 | ・新規出店投資の失敗 ・M&A投資の失敗 | |
| 自然災害・ 感染症等 に関するリスク | 大規模災害 | ・経済活動の停滞 ・店舗、事業所、システム、社員の被害による事業活動の停止 ・保有資産の損壊、補修費用の発生 | 
| 気候変動 | ・台風・豪雨等による店舗・施設の被害 ・規制強化に伴う炭素税等の導入 | |
| 感染症 | ・経済活動の停滞 ・店舗の営業活動の自粛・停止 ・社員の感染による事業活動の停止 | |
| 企業運営 に関するリスク | 不正・事故 | ・重大な調剤過誤の発生 ・役員または社員による不正行為 ・商品の不良、異物混入、不適切表示 | 
| 情報セキュリティ | ・事故・欠陥等によるシステム障害 ・外部からの不正侵入、不正アクセス、ウイルス感染 ・顧客情報の漏洩 | |
| 人権 | ・労働環境・安全衛生の悪化 ・人権侵害行為(ハラスメント、差別的行為等) | |
| 人財 | ・経営人財の不足 ・人財獲得競争の激化 | |
| サプライチェーン | ・サプライチェーンに関する人権、環境問題 ・仕入価格の変動 | |
(4)指標及び目標
サステナビリティ経営を推進する上で、特に重要な①気候変動リスク、②人財戦略について下記に記載してお
ります。
①気候変動リスクに関する指標及び目標
(脱炭素社会の実現に向けた指標と目標)
指標:・1店舗あたりCO2排出量(スコープ1、2)の削減比率
・サプライチェーンCO2排出量(スコープ3)の削減比率
・再生可能エネルギー比率
目標:・1店舗あたりCO2排出量(スコープ1、2)削減目標
2030年度に2014年度比で50%削減
2050年度に2014年度比で実質ゼロ
・(スコープ3)の削減比率および再生可能エネルギー比率に関しては、目標設定を検討中
進捗・現状:
CO2排出量 スコープ1、2の現状
| 年度 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 
| 店舗数(店) | 996 | 1,048 | 1,105 | 1,190 | 1,283 | 1,391 | 1,483 | 1,565 | 1,718 | 
| 排出量 (t-CO2) | 123,377 | 129,392 | 119,826 | 120,826 | 117,611 | 126,160 | 135,149 | 138,416 | 算定中 | 
| 1店舗平均(t-CO2) | 123.9 | 123.5 | 108.4 | 101.5 | 91.7 | 90.7 | 91.1 | 88.4 | 算定中 | 
(注)・排出係数はロケーション基準(電気事業者別排出係数の全国平均係数)を使用
・社有車ガソリン使用量に基づくCO2排出量は、2020年度実績を店舗数で按分して試算(2020年度以前)
・CO2排出量は、スコープ1、2(自社排出量)を示す
・テナントショップや一部事業所に関しては、算定ロジック精査中
CO2排出量 スコープ3の現状(2022年度スコープ3内訳)
| カテゴリ1 | 購入した製品・サービス | 1,601,452 | 
| カテゴリ2 | 資本財 | 61,758 | 
| カテゴリ3 | スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 | 21,966 | 
| カテゴリ4 | 輸送、配送(上流) | 15,897 | 
| カテゴリ5 | 事業から出る廃棄物 | 1,252 | 
| カテゴリ6 | 出張 | 1,581 | 
| カテゴリ7 | 雇用者の通勤 | 10,904 | 
| カテゴリ8 | リース資産(上流) | 65 | 
| カテゴリ12 | 販売した製品の廃棄 | 521 | 
| 
 | 2022年度 CO2排出量(t-CO2) スコープ3総計 | 1,715,396 | 
(注)・カテゴリ9-11、13-15に関しては、対象なしまたは算定できていない項目
・カテゴリ4は、単月データを12ヵ月分で推定値を算出
・全カテゴリに対して、数値、算定ロジック精査中
②人財戦略について
当社グループは、ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂性)=(個々の違いを受け入れ、認め合い、活かしていく)の拡大に向けて、真剣に取り組んでまいります。
人財戦略についての指標および目標
1.女性管理職比率の向上
指 標 :女性管理職比率
目 標 :2029年度30.0%
進捗状況 :2023年度13.0%
今後の取組:採用活動の強化、就業範囲の拡大、正社員登用の強化、男女間賃金格差の是正、管理職昇進に
向けての啓発研修、育児休業を取得しやすい環境づくり
2.産休・育休・短時間勤務制度の充実
指 標 :男性育児休業取得率・育児休業復帰率
目 標 :100%
進捗状況 :男性育児休業取得率(2023年度55.7%)、育児休業復帰率(2023年度女性98.6%。男性
98.9%)
今後の取組:妊娠・出産、育児に関する様々な支援制度、育児短時間勤務制度、育休後も復帰しやすく、
働き続け易い職場環境の創出、男性育児休業取得率の向上
3.男女間賃金格差
指 標 :男女間賃金差異
目 標 :賃金格差の是正
進捗状況 :男女間賃金差異(全労働者62.9%、正規雇用労働者73.3%)
今後の取組:女性管理職昇進に向けての啓発活動、男性育児休業取得率の向上
4.健康経営の推進
指 標 :健康経営の認定
目 標 :ホワイト500の認定
進捗状況 :「健康経営優良法人」に6年連続で認定
今後の取組:産業保健体制の強化、労働時間の適正化、ワークライフバランスの推進
5.障がいがある方の雇用率
指 標 :障害がある方の雇用率
目 標 :2028年度雇用率3.0%
進捗状況 :2023年度雇用率2.8%
今後の取組:採用活動の強化、支援強化による定着
6.職場の悩み・何でも相談ダイヤルの設置
指 標 :職場の悩み何でも相談ダイヤル入電回数
目 標 :適切に現場の相談ができる風通しの良い職場環境の構築
進捗状況 :2023年度1,483件
今後の取組:営業部門と人事部門が連携して、よせられた声に100%対応することにより、心理的安全性の
高い職場環境の構築
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制等について
① 医薬品の販売規制緩和について
これまで、2009年6月改正旧薬事法による登録販売者制度の導入、2014年6月改正旧薬事法による一般用医薬品のインターネット販売の事実上の解禁が成されました。その他、一般用医薬品の販売時間規制や資格保有者による遠隔管理販売などの規制緩和も検討されております。これら一般用医薬品の販売に関する規制緩和の進展により、他業種の新規参入による競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、薬剤師や登録販売者など専門職種の育成による店頭での付加価値の高い接客、ECなど新たな販売チャネルの検討を進めてまいります。
② 調剤報酬および薬価基準の改定について
当社グループの調剤売上は、薬剤に係る収入と調剤技術に係る収入から成り立っております。これらは、健康保険法に定められた「薬価基準」および「調剤報酬の点数」をもとに算出されており、今後、ネガティブな方向性に薬価基準や調剤報酬の改定が行われた際は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、改定内容に合わせて各加算の算定を行えるように、2015年に厚生労働省から示された「患者のための薬局ビジョン」に従い、服薬情報の一元的・継続的把握、24時間対応・在宅対応、医療機関等との連携、健康サポート機能、高度薬学管理機能の整備を進めてまいります。
(2) 調剤過誤の防止
調剤では、医療事故等により患者に健康被害が発生するおそれがある医療用医薬品を取り扱っております。万が一、調剤過誤による医療事故を引き起こした場合には、社会的信用を損なうことで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、薬剤師の資質向上のための研修、業務マニュアルの順守、調剤鑑査システムの導入・使用の徹底を図り、またリスク委員会の設置によりリスク管理体制を構築して、調剤過誤の防止に努めております。
(3) 情報セキュリティについて
当社グループでは、情報セキュリティ基本方針を定めており、当社グループの保有する情報資産を適切かつ安全に取り扱い、当社事業の継続を確保しておりますが、外部からの不正アクセスやコンピューターウイルスによる攻撃、従業員その他の関係者により情報が漏洩した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、代表取締役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会内に情報セキュリティ委員会を設置し、スギ薬局グループ全体での情報収集・管理体制の強化に努め、情報管理に関わるリスクの分析、評価および対策を講じてまいります。
(4) 環境対応について
気候変動による気温の変化や大規模災害の発生により、店舗や物流などが被害を受けることで営業・販売の制約や商品調達に影響した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、当社グループでは、気候変動に的確に対応するために、リスク委員会において、気候変動に関わるリスクの分析、評価および対策を講じてまいります。
(5) 減損会計の適用について
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、今後においても競合の激化や予期せぬ商圏の変動などにより店舗の収益性に変化があった場合には、固定資産の減損処理が必要になる場合があります。
その場合、特別損失が計上され当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 地政学的リスクへの対応について
国際情勢の変化が、エネルギー・原材料価格の高騰を引き起こし、当社グループで利用するエネルギーコストや販売する商品の仕入れコストに影響を及ぼす可能性があります。また、希少資源の供給不足が、様々な設備導入、新規出店等の遅延を引き起こし、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、経営のローコスト化を進めるとともに、計画的かつ適切な在庫の確保、調達先・調達方法の多様化によるリスク分散等を実施してまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度(2023年3月1日~2024年2月29日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類移行にともなう社会経済活動の正常化が進み、国内景気は持ち直しの動きが見受けられました。一方、継続的な物価の上昇による消費の減速懸念など、依然として先行きが不透明な状況は続いております。
ドラッグストア業界におきましては、行動制限の緩和にともなう化粧品需要の増加、インバウンド需要の回復、風邪およびインフルエンザの感染者数増加などによる関連商品需要の増加が見られたものの、薬価および一部調剤報酬改定による処方せん単価の下落、新型コロナウイルス感染症の沈静化にともなう関連商品の売上減少、物価高にともなう消費者の節約志向や選別消費傾向の強まり、異業種・同業種間での競争激化など、当社グループを取り巻く経営環境は厳しさを増しております。
このような環境のもと、当社グループは、調剤領域におきましては、新規開局を推進するとともに、伸長する処方せん応需に対応するため、調剤室および調剤待合室の拡張改装を実施することで、さらなる拡大に努めました。市場規模の拡大が想定される在宅調剤におきましては、在宅調剤専門店舗の開局を進めるとともに、資本業務提携先の日本ホスピスホールディングス株式会社との連携を強化することで、地域医療に対応できる体制作りに取り組みました。さらに、薬剤師の専門教育を強化することで対人業務の質的向上を図るとともに、高額処方せんの獲得拡大に努め、調剤領域での売上基盤の増強を図りました。
物販領域におきましては、人流回復や訪日外国人観光客の増加が著しいエリアへの出店を強化するとともに、既存店舗の改装や新たな商品ラインの取り扱いを開始することで、インバウンド需要を含む都市部での売上増加を図りました。一方、郊外の既存店舗でも改装を積極的に実施することで、地域のニーズに合致した品揃えを充実させ、新たなお客様の獲得に努めました。さらに、買い上げ点数などの向上に向け、スギ薬局アプリを活用した個々のお客様への最適な情報やクーポンの配信などに積極的に取り組みました。
サステナビリティ経営におきましては、ESGの各種重要課題(マテリアリティ)への対応を進めました。脱炭素社会の実現に向けては、屋上に太陽光パネルを設置する店舗数の拡大や、第三者所有モデルによる再生可能エネルギーの導入を進めました。循環型社会の実現に向けては、ペットボトルやお薬シートの回収拠点店舗を拡大し、リサイクル活動を推進しました。また、フードバンクへの寄贈を継続し、食品ロス低減、貧困解消など社会課題解決に向けた対応を行いました。さらに、国際的な人的資本開示への意識の高まりと企業の社会的責任を踏まえ、各種人的資本の開示を充実させました。
店舗の出退店につきましては、引き続き、関東・中部・関西・北陸信州エリアへの出店に注力し、144店舗の新規出店と20店舗の閉店を実施するとともに、29店舗を取得いたしました。併せて、329店舗の改装を実施することで、既存店の競争力強化にも努めました。これにより、当連結会計年度末における店舗数は1,718店舗(前期末比153店舗増)となりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,990億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億38百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が192億15百万円減少した一方で、商品が91億75百万円、売掛金が68億61百万円増加したことによるものであります。
固定資産は1,915億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ396億5百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が98億0百万円、建物及び構築物が73億38百万円、関係会社株式が56億65百万円、土地が34億22百万円、繰延税金資産が26億43百万円、差入保証金が24億70百万円、建設仮勘定が23億15百万円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は3,905億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ386億67百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,366億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ196億32百万円増加いたしました。これは主に買掛金が135億82百万円、未払法人税等が21億67百万円、賞与引当金が14億81百万円増加したことによるものであります。
固定負債は205億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億11百万円増加いたしました。これは主に退職給付に係る負債が10億50百万円、長期借入金が5億21百万円、資産除去債務が5億7百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,572億0百万円となり、前連結会計年度末に比べ218億43百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,333億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ168億23百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が171億54百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は59.8%となりました。
b.経営成績
(売上高)
売上高は、7,444億77百万円(前年同期比11.5%増、768億30百万円増)となりました。主な増加要因としましては、144店舗の新規店舗(関東54店舗、中部35店舗、北陸・信州9店舗、関西46店舗)を出店できたことによる事業規模の拡大、風邪およびインフルエンザの感染者数増加を背景とした処方せんの応需枚数増加(同14.3%増)による調剤売上の増加、行動制限の緩和にともなう化粧品需要の増加やインバウンド需要の回復などが挙げられます。
(売上総利益)
売上総利益は、2,288億37百万円(同13.0%増、263億13百万円増)となりました。主な増加要因としましては、物販部門においての適正な価格設定と店舗での販売ミックス改善、風邪およびインフルエンザ関連商品の販売拡大により売上総利益率が改善されたことなどが挙げられます。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は1,922億15百万円(同12.5%増、213億49百万円増)となりました。主な増加要因としましては、出店数の増加に伴う賃借料、減価償却費および人件費の増加、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に向けた投資増加による減価償却費の増加、お買い物時のキャッシュレス決済増加にともなう支払手数料の増加などが挙げられます。
以上の結果、営業利益は366億22百万円(同15.7%増、49億64百万円増)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、受取利息が増加したこと等により37億80百万円(同26.7%増、7億97百万円増)となりました。一方、営業外費用は賃貸収入原価が増加したこと等により23億63百万円(同5.1%増、1億14百万円増)となりました。
以上の結果、経常利益は380億39百万円(同17.4%増、56億47百万円増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失には、主に減損損失49億64百万円(同4.7%減、2億44百万円減)を計上しました。その結果、税金等調整前当期純利益は321億2百万円(同13.9%増、39億17百万円増)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は219億79百万円(同15.6%増、29億72百万円増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ27億84百万円増加し374億6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、390億41百万円(前年同期比2.0%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が321億2百万円、減価償却費が141億21百万円、仕入債務の増加額が134億61百万円、減損損失が49億64百万円あった一方で、法人税等の支払額が107億72百万円、棚卸資産の増加額が91億70百万円、売上債権の増加額が65億77百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、309億76百万円(前年同期比33.2%増)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入が640億円、有価証券の償還による収入が250億円あった一方で、定期預金の預入による支出が430億円、有価証券の取得による支出が200億円、有形固定資産の取得による支出が308億36百万円、投資有価証券の取得による支出が106億26百万円、関係会社株式の取得による支出が56億96百万円、差入保証金の差入による支出が40億13百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が27億73百万円、無形固定資産の取得による支出が18億64百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、52億84百万円(前年同期比62.8%減)となりました。これは主に配当金の支払額が48億25百万円あったことによるものであります。
③仕入および販売実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は次のとおりであります。
| 
 | 当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) | 前年同期比(%) | 
| 調剤(百万円) | 99,847 | 113.4 | 
| 物販(百万円) | 423,047 | 111.9 | 
| 合計(百万円) | 522,895 | 112.2 | 
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
| 
 | 当連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) | 前年同期比(%) | 
| 調剤(百万円) | 158,777 | 111.5 | 
| 物販(百万円) | 581,490 | 111.6 | 
| その他(百万円) | 4,209 | 104.2 | 
| 合計(百万円) | 744,477 | 111.5 | 
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析および検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは、店舗運営に係る人件費および賃借料であります。投資を目的とした資金需要の主なものは、新規出店および既存店舗の改装等による有形固定資産の取得や店舗の賃貸借契約に基づく差入保証金であります。
なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。
c.財務政策
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金需要につきましては自己資金を充当することを基本としております。また、当社および当社子会社は、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行わなければなりません。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、2024年2月27日の取締役会において、I&H株式会社の普通株式を取得し、子会社化することについて決定するとともに、同日付けで株式譲渡契約を締結いたしました。本件については、株式譲渡実行日を2024年8月30日(予定)とし、引き続き関係者との協議を継続しております。
なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。