第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、企業理念である「ロマン (世界で一番「思い出」をつくるエンターテイメント企業)」と「企業信念 (良いものは必ず評価される)」のもと、スマートフォンゲームアプリを中心に高品質のサービスを提供していくことで、株主価値の最大化及び企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2) 経営戦略

当社グループは、スマートフォンゲーム市場において継続的に企業価値や株主価値を高めていくために、以下の戦略によって事業の拡大を目指してまいります。

なお、当社グループが事業を展開する業界は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を直接的に受けづらい業界であり、当社グループにおいても本書提出日現在、事業及び業績に大きな影響を及ぼす事項はありません。今後につきましても、予期せぬ事態が発生した場合に備え、状況推移を注視してまいります。

 

① 良いものづくり

当社グループは、サービスの提供を通してユーザー満足度の最大化、かつ株主価値の向上を目指すにあたり、良いものづくりをしたい経営陣・従業員が互いに尊重しながら開発を行っていくことが重要であると考えております。そこで、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (2) 当社の特徴及び強みについて」において前述した開発・運営における強みをベースに「品質最優先」の開発を最重要事項に掲げるとともに、開発期間の期限をあえて設けず、品質に納得したタイミングで配信を目指すフェーズへ進む方針のもと、質の高いサービスの開発に取り組んでおります。

 

② 自社IPの創出

当社グループが掲げるロマンを達成するには、「20年先、30年先にも残るような価値あるIP」を創出することが重要であると考えております。その中で当社グループは、1本のタイトルをヒットさせるにとどまることなく、その先も長く人々の心に残るようなIPを作っていきたいという強い気持ちがあります。そのために、既存タイトルのIP活用の推進などといったIPの認知度向上のための取組みを実施しており、新作タイトルについても積極的に検討してまいります。

 

③ 海外市場展開

当社が今後、収益規模の拡大を目指すにあたり、日本市場だけでなく世界に向けたサービスの開発に取り組むことが重要であると考えており、現在開発中の新作ゲームアプリは世界同時配信かつ自社配信 (ただし、中国等の一部国・地域を除く。) を前提に進めております。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、翌期以降3年間における売上高及び営業利益それぞれの合計金額を重要な経営指標とし、中長期的に株主価値の最大化を図ってまいります。

 

(4) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

日本国内のスマートフォンゲーム市場を取り巻く環境においては、市場規模は安定した推移を辿る一方、市場の成熟化と海外メーカーの参入により競争が激化し、企業間格差が広がっております。

このような事業環境のもと、当社グループは今後もゲームアプリを中心に事業規模を拡大し、将来的にスマートフォンを活用したエンターテイメント領域に進出したいと考えております。当社グループはその実現のため、以下の課題の解決に取り組んでまいります。

 

① 収益力の高いサービスの提供

当社グループがスマートフォンアプリ関連事業においてより一層成長していくためには、収益力が高く、かつ多くのユーザーが長期的に楽しめるような質の高いサービスを提供していくことが重要であると考えております。当社グループは引き続き、既存タイトルの開発・運営を通して蓄積した各種データやノウハウを活用することで、新たな収益の創出に繋げてまいります。

 

② 優秀な人材の確保

当社グループは、今後の市場の動向やユーザーの多様化に迅速に対応していくために、優秀な人材の獲得及び育成が課題であると認識しておりますが、有能な人材ほど他社との獲得競争が激しく、採用が難しくなる状況となることも考えられます。当社グループでは、社内研修の強化、福利厚生の充実を図っていくとともに、志望者を惹きつけるようなオリジナリティのあるヒットタイトルを継続的に提供していくことで採用強化に繋げたいと考えております。また、事業活動を通してコーポレートブランドを高め、ゲームだけではなく企業としての魅力を世の中に訴求していくことも重要であると考えております。

 

③ サービスの安全性及び健全性の強化

オンラインゲーム業界においては、リアル・マネー・トレード (オンライン上のキャラクター、アイテム、ゲーム内仮想通貨等を、現実の通貨で売買する行為のこと) や、有料アイテムの不適切な出現確率表示、未成年による課金などの問題が社会的に度々提起されております。また、マッチングサービス業界においては「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」等の法的規制により、業界全体で環境整備が進んでまいりました。当社グループは、こうした状況を踏まえ、事業に関連する業界の健全性や成長性を損なうことのないように対応していくことが重要な課題であると認識しており、各種法的規制や業界団体の自主規制を遵守しております。

 

④ システム管理体制の強化

当社グループが提供するサービスは、多数のユーザーが同時にネットワークに接続することを想定しておりますが、主にサービス開始時や大型メンテナンス終了時等においてシステムに想定以上の負荷がかかった場合、サービスの提供に支障が生じることがあります。当社グループは、ユーザーがいつでも快適にサービスを利用できる体制を整備することが重要であると認識しており、システム基盤や管理体制の強化を通して、安定したサービス提供を目指してまいります。

 

⑤ 組織体制の強化

当社グループが、今後更なる業容拡大を図るためには、事業環境の変化に適応しつつ、持続的な成長を支える組織体制・内部管理体制の強化が重要であると考えております。当社グループとしましては、内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部管理体制の強化やリスク管理の徹底と業務の効率化を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、「ロマン (世界で一番「思い出」をつくるエンターテイメント企業)」と「企業信念 (良いものは必ず評価される)」の二つの企業理念のもと、人々の心に末永く刻まれるようなサービスの創出を目指しております。
 また、継続的なサービス提供及び持続的な成長を目指すにあたり、サステナビリティへの取り組みは重要な経営課題であると認識しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般のガバナンス及びリスク管理

当社グループでは本書提出日時点において、サステナビリティに係る基本方針は定めておりませんが、基本的に年2回開催される代表取締役社長を委員長とした「リスク管理委員会」において、外部環境、財務、コンプライアンス、労務及び事故・災害等のサステナビリティに関連するリスク項目を整理し、評価並びに対応方針の検討を実施しております。なお、当社のコーポレート・ガバナンスに関する詳細は、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

 

(2) 戦略

当社グループでは本書提出日時点において、サステナビリティに係る基本方針を定めていないことから、サステナビリティ関連の戦略における喫緊の重要性を鑑みた記載は省略いたします。

なお、変化の激しいインターネット市場に属する当社グループのビジネスにおいては、優秀な人材の確保及び定着が経営・事業基盤を安定化させるために重要であると認識しております。この認識のもと、当社グループにおける人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針としては、従業員一人ひとりがそれぞれの能力を発揮し、仕事と生活の調和を図り、働きやすい雇用環境整備を行っていくこととし、社内実態調査、他社事例等を参考にした検討、具体的な運用制度の検討・導入並びに現行制度の設計・見直し等に取り組んでおります。

 

(3) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した方針に関する指標として、次の指標を用いております。

 

○女性活躍推進法 行動計画 (2027年までの目標値)

 男女とも平均勤続年数を7年以上とする

 

なお、当該指標に関する当連結会計年度の実績は、男性が5.5年、女性が6.8年となりました。当社グループは引き続き、上記方針に基づいた取り組みを実施し、目標達成を目指してまいります。

また、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の実績につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスク

① スマートフォンゲーム市場の動向について

当社グループの事業領域である日本国内のスマートフォンゲーム市場は、1兆円規模を安定して推移しつつも、海外メーカーの参入等により競争が激化しております。また、オンラインマッチングサービス市場は、テレビCM解禁により社会的な認知が進むことによって、安定的に成長していくものと見込まれております。しかしながら、新たな法的規制や通信事業者の動向によって、市場の成長を阻害するような要因が重なった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② プラットフォーム運営事業者の動向について

当社グループのスマートフォンアプリ関連事業では、アプリストアを通じてユーザーへサービスを提供しており、特にApp Storeを運営するApple Inc.並びにGoogle Playを運営するGoogle LLCの2社に対する収益依存が大きくなっております。また、当社グループは各運営事業者の定める規約を遵守するとともに、各運営事業者に対して代金回収代行業務及び売上管理業務等にかかる手数料を支払っております。しかしながら、アプリストアの売上等の各種ランキングの仕様変更や今後起こり得る規約変更をはじめとする各運営事業者の動向によって当社グループのサービス提供が困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合他社について

当社グループはオリジナル2Dグラフィックの制作技術で差別化を図り、高品質のスマートフォンアプリを提供し続けることを目指してまいります。しかしながら、同業他社との競争激化によって優位性を保てなくなった場合には、当社の提供するスマートフォンアプリの利用者数が減少し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業・サービスに関するリスク

① スマートフォンアプリの開発及び運営について

当社グループは、主にRPGのゲームアプリの開発・運営を行っておりますが、これまでの運営で蓄積したノウハウの活用により、着実にユーザー数や売上規模が拡大するとともに、ユーザーから主にグラフィック面において一定の評価を得ていると認識しております。しかしながら、これらのサービスにおいてはユーザーの嗜好の移り変わりが激しく、ユーザーニーズの的確な把握や、ニーズに対するコンテンツの導入が、何らかの要因により困難となった場合には、ユーザーへの訴求力の低下等から当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定のタイトルにおける収益依存について
当社グループは、売上の大部分を「メメントモリ」に依存している状況にあり、2023年9月期連結売上高においては92.1%を占めております。当社グループといたしましては、確立されたPDCAサイクルの実行によって既存タイトルのサービス向上に取り組む一方で、人的資源を新規開発に集中させることで新たなサービスの創出に注力してまいります。しかしながら、今後既存タイトルの収益が想定よりも大きく下回った場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ サービスの安全性及び健全性について

当社が提供するゲームアプリは、不特定多数の個人ユーザーが、各ユーザー間において独自にコミュニケーションを取ることができる機能を設ける場合があります。当社は、健全なコミュニティを育成するため、利用規約において社会的問題へと発展する可能性のある不適切な利用の禁止を明示しております。また、ゲーム上において会話又は投稿するにふさわしくない禁止語句の設定やユーザー等のモニタリングを常時行っており、規約に違反したユーザーに対しては、改善の要請や退会等の措置を講じるよう努めております。当社グループは引き続き、健全性維持の取り組みを実施してまいりますが、万が一当社が把握できなかったユーザーの不適切な行為によってトラブルが生じた場合には、利用規約の内容に関わらず、当社が法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、企業の信用やブランド価値が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、事業規模の拡大に伴い、コンテンツの健全性の維持、向上のために必要な対策を講じていく方針ではありますが、これに伴うシステム対応や体制強化の遅延等が生じた場合や、対応のために想定以上に費用が増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、オンラインゲーム業界においては、リアル・マネー・トレードが一部ユーザーにより行われております。当社のゲームアプリには、ユーザー同士でアイテムを交換する等の機能は設けておりませんが、ごく一部のユーザーが希少なアイテムを保有するゲームアカウントをオークションサイトに出品している事例が発生しております。当社では、利用規約においてゲームアカウントの売買を禁止する旨を表記するとともに、オークションサイトの適時監視も行っております。しかしながら、当社に関連するリアル・マネー・トレードが大規模に発生、拡大した場合には、当社サービスの信頼性が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システム障害について

当社グループの事業は、スマートフォンやPC、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに全面的に依存しており、自然災害や事故 (社内外の人的要因によるものを含む) 等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は深刻な影響を受けます。また、当社グループの運営する各サイトへのアクセスの急激な増加、データセンターへの電力供給やクラウドサービスの停止等の予測不可能な様々な要因によってコンピュータ・システムがダウンした場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 開発・運営コストの増加について

当社グループは、自社による開発・運営を行っていることから、開発運営費が高くなる傾向にあります。当社グループでは引き続き、コストコントロールを行いながら高品質アプリの開発に取り組んでまいりますが、アプリ内コンテンツの高品質化等の影響により開発運営費が高騰した場合、また、サービス開始後の売上が想定どおりとならない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループはプロモーションを実施する中で、広告宣伝費の予実管理や費用対効果を見極めた広告宣伝を実施しておりますが、今後の市場動向によって広告単価が上昇した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。併せて、Web広告や動画の配信等の広告宣伝活動は、当社グループが自社IPの確立を目指すうえでは不可欠な取り組みでありますが、多額の広告宣伝費が必要となることもあり、場合によっては利益を圧迫する可能性があります。さらに投下した広告宣伝費が期待した効果を得られないケースも考えられ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 開発フェーズの長期化について

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略」に記載のとおり、開発期間の期限をあえて設けない「品質最優先」を最優先事項とし、国内外において20年先・30年先にも残るような価値あるIPの創出を目指すという戦略のもとで事業を進めてまいります。また、当社グループの人員規模や経営資源等を勘案し、ヒットの確率をより高めるために本数を絞り、新作ゲームアプリ及び新規サービスの開発に取り組んでまいります。

また、当社グループは高品質ゲームアプリの開発のために開発ラインの数を絞り込んでいるため、事業展開における柔軟性は決して高いとはいえません。よって、事業環境や業界の動向によっては、早急な対応が容易ではない体制であると捉えており、開発期間が長期化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 新たな事業展開について

当社グループは将来的に、現在のスマートフォンアプリ関連事業から、スマートフォンゲームコンテンツを活用したエンターテイメント領域に進出したいと考えており、追加的な支出が発生する可能性や、当社が今まで想定していない新たなリスクが発生する可能性があります。このため、新たな事業展開が想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 海外展開について

当社グループのゲームアプリは、国外のプラットフォーム運営事業者を介して海外のユーザーにサービスを提供しております。サービスの提供においては、日本国内とは異なる法的規制に対応するため、顧問弁護士を通じて法令調査等を実施し、事前のリスク回避に努めております。しかしながら、現地の情勢や特有の法的規制の変更等により想定通りにサービスの提供ができない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが海外のユーザーに販売したゲーム内アイテム等の代金は、国外のプラットフォーム運営事業者を介して現地の通貨にて回収され、当社グループには日本円へ換算され入金されます。今後、当初想定した為替レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制に関するリスク

① インターネットに関連する法的規制について

当社の事業に関連する各種法的規制等については、随時対応しております。しかしながら、不測の事態により、万が一当該規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化され、もしくは新たな法令等が定められ当社の事業が制約を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② サービスに関する法的規制等について

当社グループが属するスマートフォンゲーム業界は、主に「有料アイテム」における過度な射幸心の誘発等の問題が度々提起されており、近年においても「不当景品類及び不当表示防止法 (以下、「景品表示法」という。)」における有利誤認・優良誤認や「資金決済に関する法律 (以下、「資金決済法」という。)」における仮想通貨の取扱いについて取り上げられております。当社グループでは、景品表示法にかかる対策として、当社の顧問弁護士との協議や法改正に関する情報交換、日本オンラインゲーム協会 (JOGA) が制定しているガイドラインの遵守等に自主的に取組んでおります。また、資金決済法に関しては同法が定める規定に従って金融機関との間で発行保証金保全契約を締結するなどにより遵守しております。さらに「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」の適用を受けるサービスを提供しておりますが、インターネット異性紹介事業者としての届出やサービス内における年齢認証等を実施しており、法令等を遵守のうえでユーザーに安心してご利用いただけるサービス提供に努めております。以上のことから、サービスの提供には大きな影響を与えていないものと認識するとともに、今後も変化する可能性がある社会的要請について、サービスを提供する企業として自主的に対応し、業界の健全性・発展性を損なうことの無いよう努めていくべきであると考えております。

しかしながら、今後、社会情勢の変化によって、既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等、法的規制が行われた時に当社の事業が著しく制約を受ける場合には、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 知的財産権の管理に関するリスク

当社グループは、自社で提供しているサービスに関する知的財産の獲得に努めております。また、当社役員・従業員や人材派遣会社からの派遣社員などによる知的財産権の持ち出しリスクを含めて検討するほか、顧問弁護士・顧問弁理士等との連携を通して、社内管理体制の強化をおこなうことでリスク回避を図っております。なお、本書提出日時点においては、他社から同社が保有する知的財産権に関する実施許諾の提案を受け、当該提案に対し当社グループでは対応を検討しております。今後、顧問弁護士・顧問弁理士等と連携していく中で、他社の知的財産権を活用した事業展開を行うこととなった場合、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 企業価値の毀損リスク

当社は、企業価値の維持及び強化がユーザーの信頼確保、当社の将来的な成長に繋がると考えております。事業を展開する中で想定されるトラブルを未然に防ぐため、上述「(3) 法的規制に関するリスク」に列挙した法的規制をはじめとする関連法規、ガイドライン並びに当社内で定める各種規則の遵守を徹底しておりますが、当社に関する否定的な評判・評価が世間に流布される場合には、当社の企業価値が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社が事業を展開する中で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展した場合には、多額の訴訟対応費用が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 組織体制に関するリスク

① 人材の採用と育成について

当社グループが、今後更なる業容拡大に対応するためには、優秀な人材の確保・育成を継続的におこなっていくことが重要な課題であると認識しております。人材獲得競争の過熱化や人材不足が見込まれる状況の中で、有能な人材が流出するリスクも想定されますが、当社グループでは、現在も採用による人材の獲得に加え、入社後の社内研修、各種勉強会の開催、福利厚生の充実など、人材の育成及び流出に対応した各種施策を推進しております。しかしながら、新規の採用や社内における人材の育成が計画どおりに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、開発の内製化は、品質の担保や開発体制の強化につながる一方で、外注比率の低下によって適時のコスト削減がしづらいというデメリットがあります。当社グループでは、全従業員の生産性向上を目的とする人員配置を随時行っておりますが、売上が想定を下回る場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、利益率が低いサービスの運営に関して、KPI改善を図る中で人員配置がうまくいかず、事業撤退判断や経営判断に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 代表者への依存について

当社の代表取締役社長である樋口智裕は、創業当時から最高経営責任者として当社の経営戦略・事業戦略においてきわめて重要な役割を担うほか、子会社である株式会社Koiniwa及び株式会社バンク・オブ・インキュベーションの代表取締役社長を兼務しております。当社グループは、同氏の属人性に依存することのない組織的な事業経営体制の構築を目的として、優秀な人材の採用及び育成並びに権限の委譲等を推進しております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社及び子会社の業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業推進等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 内部管理体制について

当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらには健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。当社グループでは内部管理体制の充実に努めておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) その他のリスク

① 資金調達について

当社は、スマートフォンアプリ関連事業における必要資金の多くを、主に金融機関からの借入金によって充当しており、当連結会計年度末現在の有利子負債は555百万円となっております。本書提出日時点では、金融機関との関係は良好であることから必要な資金の新規調達に懸念はないものと認識しております。しかしながら、将来、当社の信用格付けの引下げや金利変動に伴う資金調達コストの増加等、何らかの理由により資金調達に支障が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、調達資金が計画どおりに使用された場合でも、想定の成果を上げることができない可能性があります。

 

② 配当政策について

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つであると認識しておりますが、当事業年度末時点においては内部留保並びに再投資によって1株当たり株主価値を向上させていくことを優先とし、配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。なお、将来的には、事業の進捗状況及び当社を取り巻く事業環境を勘案しながら、当社株式を中長期的に保有する方針をお持ちの株主・投資家の皆様を中心に経済的利益を享受していただけるよう、より良い方法を検討してまいりたいと考えております。

 

③ 自然災害等について

当社グループでは、自然災害、事故等に備え、定期的なバックアップ、稼働状況の常時監視等により、トラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループの所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループ設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。) の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により社会経済活動は正常化に進みつつあり、雇用・所得環境も改善傾向にあります。しかしながら、原材料価格の高騰や人材不足等が主な要因となり、物価上昇や消費動向に影響を与えているほか、海外景気の下振れリスク、金融資本市場の変動等の要因には十分に注視する必要があり、依然として先行き不透明な状況にあります。

当社グループの事業を取り巻く環境においては、2022年における世界のモバイルゲーム市場は8兆9,146億円、そのうち日本国内では1兆2,129億円と安定した推移が続いております (参考:株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通モバイルゲーム白書2023」)。
  このような事業環境のもと、当社グループの中長期的な成長の要となる複数の新規アプリの企画・開発及び既存アプリの運営に取り組んでまいりましたが、2022年10月にリリースした『メメントモリ』が年間を通して好調に推移したことにより、グループ全体の売上高及び営業利益は前連結会計年度比で増収増益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は21,333百万円 (前連結会計年度比778.3%増)、営業利益4,900百万円 (前連結会計年度は営業損失1,008百万円)、経常利益4,920百万円 (前連結会計年度は経常損失1,015百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては3,293百万円 (前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失838百万円) となりました。

なお、当社グループはスマートフォンアプリ関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物 (以下、「資金」という。) は、前連結会計年度と比べて4,194百万円増加し、5,017百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は5,212百万円 (前連結会計年度比6,187百万円の収入増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上4,920百万円、売上債権の増加額1,732百万円、未払金の増加額1,147百万円、未払消費税等の増加額729百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は278百万円 (前連結会計年度は96百万円の収入) となりました。主な要因は、定期預金の預入による支出179百万円、有形固定資産の取得による支出49百万円、敷金及び保証金の差入による支出50百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は739百万円 (前連結会計年度は349百万円の収入) となりました。主な要因は、短期借入金の返済による支出300百万円、長期借入金の返済による支出424百万円、ストックオプションの行使による収入3百万円、新株予約権の取得による支出17百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、記載を省略しております。

 

 

b.受注状況

当社グループは受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはスマートフォンアプリ関連事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称 

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

 至 2023年9月30日)

前年同期比
(%)

スマートフォンアプリ関連事業 (百万円)

21,333

778.3

 

 

(注) 1.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2021年10月1日

 至 2022年9月30日)

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

 至 2023年9月30日)

販売高
(百万円)

割合
(%)

販売高
(百万円)

割合
(%)

Apple Inc.

1,274

52.5

11,163

52.3

Google LLC

786

32.4

8,324

39.0

 

2.相手先は決済代行事業者であり、ユーザーからの代金回収を代行しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成における重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 及び (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

 (資産)

当連結会計年度末における総資産は8,093百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,053百万円増加いたしました。これは主に、「メメントモリ」がヒットしたことにより、現金及び預金が4,374百万円増加、売掛金が1,732百万円増加、繰延税金資産が310百万円減少したためであります。

 

 (負債)

当連結会計年度末における負債は4,415百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,774百万円増加いたしました。これは主に、「メメントモリ」がヒットしたことにより、未払金が1,156百万円増加、未払法人税等が1,396百万円増加したためであります。

 

 (純資産)

当連結会計年度末における純資産は3,678百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,279百万円増加いたしました。これは主に、「メメントモリ」がヒットしたことにより、親会社株主に帰属する当期純利益を3,293百万円計上したことに伴い、利益剰余金が増加したためであります。

 

2) 経営成績

 (売上高) 

当連結会計年度の売上高は21,333百万円 (前連結会計年度比778.3%増) となりました。詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 (売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は10,010百万円 (前連結会計年度比320.3%増) となりました。増減の主な要因としては、アプリの課金高増加に伴うプラットフォーム手数料の増加によるものであります。

この結果、当連結会計年度の売上総利益は11,323百万円 (前連結会計年度比23,901.2%増) となりました。

 

 (販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は6,422百万円 (前連結会計年度比508.5%増) となりました。増減の主な要因としては、「メメントモリ」に係る広告宣伝費の増加によるものであります。

この結果、当連結会計年度の営業利益は4,900百万円 (前連結会計年度は営業損失1,008百万円) となりました。

 

 (営業外損益、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は32百万円 (前連結会計年度比217.8%増)、営業外費用は12百万円 (前連結会計年度比32.1%減) となりました。営業外収益の主な内訳は受取手数料の発生31百万円、営業外費用の主な内訳は支払利息の発生6百万円であります。

この結果、当連結会計年度の経常利益は4,920百万円 (前連結会計年度は経常損失1,015百万円) となりました。

 

 (特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別損益は、特別利益及び特別損失ともに計上がありませんでした。

これらの結果、税金等調整前当期純利益は4,920百万円 (前連結会計年度は税金等調整前当期純損失1,015百万円) となり、法人税、住民税及び事業税1,317百万円並びに法人税等調整額310百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は3,293百万円 (前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失838百万円) となりました。

 

3) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

当社の経営成績に重要な影響を与える要因は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、広告宣伝費、人件費、地代家賃等であります。このほか、会社の成長に必要な設備投資等を含め、収入と支出のバランスを考慮して資金運用を実施することを主たる方針としております。

これらの運転資金については、自己資金、金融機関からの借入及び新株の発行により調達しております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、翌期以降3年間における売上高及び営業利益それぞれの合計金額を経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標と位置付け、その向上を目指しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

スマートフォン・タブレット端末向けアプリプラットフォーム運営事業者との契約

 

相手先の名称

国名

契約名称

契約内容

契約期間

Google LLC

米国

Google Play
デベロッパー販売/配布契約書

Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

定めなし

Apple Inc.

米国

iOS Developer
Program License
Agreement

iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

1年間
(1年毎の自動更新)

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「世界で一番「思い出」をつくるエンターテイメント企業」というロマンを達成すべく、日々の研究開発に取り組んでおります。研究内容といたしましては、スマートフォンアプリの開発を目的とした市場調査・分析、テスト開発等であります。
 当連結会計年度における研究開発費の総額は、541百万円であります。