文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」をミッションとして掲げ、未だ無限の可能性を秘めた事業活動のデジタル化の領域において、経験を有するコンサルタントによる直接的なサービスと、その知見を具現化したソフトウェアの提供により、所在地や業種を問わず、多くの企業とその先にいる生活者との豊かな関係をつなぐハブになるべく、最先端のデジタルテクノロジーを駆使してDXの推進を支援し、より豊かな情報社会の実現を目指しております。
(2)経営環境
当社グループが事業を展開する国内DX市場においては、2020年は1兆3,821億円の規模と想定されており、2030年には5兆1,957億円の規模にまで成長すると予測されております(出典:富士キメラ総研「2022デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。また、デジタル関連IT&ビジネスコンサルティングの2020年の市場規模は1,337億円であり、2025年には4,986億円に達するものと推定されており、(出典:InternationalDataCorporation(IDC)「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2020年~2025年」)引き続き拡大傾向が続くと見込まれております。
また、主に当社グループのDX事業において関連するインターネット広告市場の市場規模は、スマートフォンの普及や通信環境の整備等により、引き続き拡大を続けており、2023年には3兆3,330億円に達しました(株式会社電通グループ「2023年日本の広告費」、2024年2月公表)。
このように関連市場それぞれにおいて高い成長が見込まれるDXの領域において、多様な企業規模・業種のクライアントに対してサービスを提供していくことにより、国内におけるDXのニーズを捉え、事業展開を拡大してまいります。
(3)経営戦略等
国内DX市場が急成長をとげ、企業におけるDXへの取り組み意識が高まる中、情報化の進展した現代においては、そのニーズは業務のデジタル化といった個別のものからビジネス変革へつながるものまで、多岐にわたっております。
一方で、最終的に情報・サービスを受け取る生活者側がDX化のメリットを十分に享受しCXを充実したものへ高めることは企業と生活者との豊かな関係を育むうえで重要ですが、価値観が多様化し、デジタル技術の進展により情報接点の氾濫した情報社会においては、企業と生活者とのコミュニケーションは複雑さを増し、かえって望む情報と出会うこと・届けることが難しくなっている側面が出てきていると考えております。
当社グループでは、このような現代における企業と生活者との複雑な関係性をふまえ、DX領域における多種多様な個別課題の背景に存在する“デジタル上での生活者とのコミュニケーションがどうあるべきか”という、購買の現場ともいえる顧客接点の重要性に着目し、CXの全体観を整理したうえで、DXの推進によって解決すべき課題を明確にしていきます。また、当社グループが保有するデジタル黎明期より蓄積してきたCX領域のデータとノウハウを活用し、顧客の業種や業態、課題に即した分析をして、顧客にとって最適なソリューションを提供することでDXを実現します。顧客にとって最適なソリューションを継続的に提供するとともに、DX推進を図りたい企業のニーズに対して幅広く対応するため、当社グループはCX向上SaaSと、CX領域のデータ基盤を軸とするプロフェッショナルによるDX推進の伴走型支援及びデジタルマーケティング全般支援等を組み合あわせ、包括的なDXソリューションを展開しております。
また当社グループは、前期より、CXデータの質及び量の増強を図ることや、サービスのケイパビリティを拡張させることでサービス間のクロスセル等のシナジーによる収益向上を目的として、複数のM&Aを実行しております。今後も積極的にM&Aを行うことで、クリエイティブ、マーケティング、テクノロジー・SaaS、データマーケティング等の各DX領域における当社グループのケイパビリティを拡張し、CXデータ及びサービス・人材の充実を図り、より広範に顧客のニーズへ対応してまいります。
(4)中長期的な経営戦略等
当社グループは、2023年12月期末において当社及び連結子会社の計5社で構成されており、顧客体験を改善するテクノロジー・SaaS を軸に、顧客のウェブサイト構築から集客、リピート促進に至るまで、デジタルマーケティング及びクリエイティブの領域にもサービスを展開し、一気通貫で顧客のDX支援を行っております。2023年12月期においては5件のM&Aを実行し、当社グループのテクノロジー・SaaSの増強をはじめとして、これまで顧客に提供できていなかったサービスの拡張など、顧客に包括的なDXソリューションを提供していくうえで必要な当社グループのサービスケイパビリティの拡大を積極的に図ってまいりました。
当社グループでは、クリエイティブ、マーケティング、テクノロジ・SaaS、データマーケティング等の各DX領域におけるサービスケイパビリティの拡大を図るために、また、CXデータ及び人材の充実を図るためにも、成長戦略の一環として今後もM&Aを推進してまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、客観的な経営指標として売上収益及び営業利益を重視しております。また、CX向上SaaSの提供をはじめとしたマーケティング・UI/UX・営業活動・CRM領域の改善等、課題に即した個別のデジタルマーケティングサービスの提供を通じ、事業全体でDX推進をワンストップで支援しているため、顧客数、顧客単価を重要な経営指標として向上を目指しております。
なお、直近の連結会計年度における顧客数の推移については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」をご参照ください。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、以下の点を事業上及び財務上の課題として掲げております。
① 提供するサービスの向上
当社グループが将来にわたって成長していくためには、提供するサービスが顧客にとって常に価値あるものであるように、サービスの質・スピードともにさらなる向上が必要であると考えております。これまでに開発、リリースしたサービスは、既に多くの顧客を獲得して市場から一定の評価を得ており、十分な競争力を有するものであると認識しておりますが、めまぐるしく変化する生活者の消費行動と、その変化への対応を経営課題として企業が日々葛藤する中、デジタルマーケティング領域の市場において企業がかかえる課題とそのソリューションの在り方も形を変えていくものと考えられます。それらに対応すべく、当社グループとしても最先端のデジタルメディア情報の収集体制とこれまでの顧客成功事例集約を図り、新たな質の高いサービスへ発展させていくことに注力していきます。
② 優秀な人材の確保と育成
当社グループはこれまでエンタープライズからスモールビジネスまで事業規模を問わず多種多様な要求水準に応える事業活動のデジタル化の領域における支援サービスを、専門知識を有する人材による人的支援を中心として提供してまいりました。当社グループの継続的な事業成長には、この人的領域でのソリューションのノウハウを十分に活用して高い質で再現していくために、引き続き優秀な人材を確保・育成していくことが重要と認識しております。企業におけるDX推進の動きが加速する中、DX市場の拡大に伴って当該領域の人材獲得は他社とも競合し、今後も難しいものとなることが考えられます。
当社グループでは、優秀な人材獲得のための採用方法の展開に加えて、当社グループの事業戦略と連携した教育内容による人材育成体制の確立により、継続性と安定性を備えた組織体制の構築を進めてまいります。
③ 収益の安定化
当社グループが事業展開する事業活動のデジタル化の領域においては、国内DX市場にみられるように、その市場規模は今後大きな成長が見込まれておりますが、景況感によって企業のマーケティング活動の需要は変化する場合があり、これに伴い特定時期において売上及び利益の変動が発生する場合があります。当社グループでは、既存顧客への定期的なサービス満足度のヒアリングと解約分析を通じてサービス継続率の向上へ取り組むとともに、M&Aによって既存事業領域を中心にシナジーを期待できる事業・サービスに投資をすることで顧客基盤の拡大させ、よりいっそう収益の安定化に努めてまいります。
④ 認知度の向上・顧客基盤の拡大
これまでのDX市場及びインターネット広告市場の拡大の中において、絶えず変化する企業のデジタルマーケティングへの課題解決のために当社グループはサービスのアップデートを繰り返し、多種多様な企業へサービス提供を行い、継続的な取引による顧客基盤の確立と収益基盤の強化を図ってまいりました。今後も拡大を続ける同市場の中でさらなる事業成長を実現するために、当社グループのサービスの認知度向上のための積極的な広報活動やインターネットを利用したマーケティング活動・大手企業との提携等をより一層推進し、それらを土台として新規顧客獲得に注力してまいります。
⑤ 技術革新への対応
当社グループがサービスを提供している事業活動のデジタル化の領域においては、技術革新のスピードや企業の課題解決に対するニーズの変化が速く、またそれに基づくサービスの導入が相次いでいる非常に変化の激しい業界であり、これらの変化へ対応していく総合的な組織力が重要であると認識しております。当社グループは新たな技術に係る情報の収集、知見の獲得、顧客ニーズに適時に応えることができる情報アセット・技術力を保有するとともに、提供サービスの改良・改善及び新サービス開発に活用してまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社グループは、急速な事業環境の変化に適応し、継続的に成長していくためには、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。このため、事業規模の拡大・成長に合わせてバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、財務報告の適正性の確保、情報セキュリティの向上、個人情報の保護、リスク管理等の内部統制及びコンプライアンス体制につきまして、より実効性の高い体制となるよう必要な適材適所の人材配置等を進めて、各機能の充実を図ってまいります。
⑦ 財務基盤の強化
当社グループは、継続的にサービスを提供していくとともに、既存サービスの機能改善や新規サービスの開発に取り組むために、手許資金の流動性の確保が重要であると認識しております。このため、金融機関との良好な取引関係の構築や一定の内部留保の確保を継続的に行い、財務基盤の強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、中長期的な企業の価値向上を目指した経営を推進する基盤として、時代の変化や社会からのニーズに対応すべく、サステナビリティに関する課題に経営管理本部を中心として全社で取り組んでまいります。また、グループ規模の拡大に伴い、企業モラルの維持・コンプライアンスや社会的責任への貢献など一層の高度で、かつ、健全で透明性のあるガバナンス体制が必要であると考えており、それらの構築に取り組んでおります。
当社グループは「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」というミッションを掲げ、未だ無限の可能性を秘めた事業活動のデジタル化の領域において、経験を有するコンサルタントによる直接的なサービス及びその知見を具現化したテクノロジー・SaaSの提供等を行っております。
サービスの持続的な発展と、それがもたらす企業の中長期的な価値向上においては、人材を最も重要な経営資源と位置付けております。多様性に富んだ優秀な人材を採用し、事業・サービスの前進に取り組める人材の育成及び社内環境整備に努めてまいります。
当社グループは、リスク管理を経営上の重要な活動と認識しており、各種のリスクに対応すべく、コンプライアンス規程、リスク管理規程を定めるとともに、その適正な運用に努めております。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。
当社グループでは、「(2)戦略」おいて記載した人材の育成及び社内環境整備について、具体的な取り組みを行っているものの、本報告書提出日現在においては、当該取り組みについての指標及び目標を設定しておりません。
今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標を設定し、その進捗に合わせて開示項目を検討してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を十分認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。
なお、文中に記載している将来に関する事項は、本書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① 市場について
当社グループはDX市場及びDXに関連するインターネット広告、ならびにマーケティングテクノロジーの市場を主たる事業領域としており、当社グループ事業の継続的な拡大・発展のためには、更なるインターネットの利用拡大とインターネット広告の需要拡大、マーケティングテクノロジーが企業の業績向上へ寄与するものであることが事業者へさらに浸透していくことが必要であると考えております。
しかしながら、インターネットの利用に関連する規制の導入、技術革新等により、事業者のインターネットサイト運営が困難になった場合や経済状況・景気動向の影響によって消費が後退してインターネット上の購買活動が縮小した場合など、インターネット広告市場の成長が阻害されるような状況や事業主が広告費用を減少させるような状況が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新について
当社グループが事業展開しているDX市場及びマーケティングテクノロジー関連市場では、技術革新が行われておりそのスピードが速いことから、技術革新に応じたサービスの拡充、及び事業戦略の修正等も迅速に行う必要があると考えております。そのため、当社グループでは業界の動向を注視しつつ、迅速に既存サービスにて新たな技術を展開できる開発体制を整えております。
しかしながら、予期しない技術革新等があった場合、それに伴いシステム開発費用が発生する可能性があります。また、適時に対応ができない場合、当社グループの技術的優位性やサービス競争力が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競争環境について
当社グループの事業が属するマーケティングテクノロジー関連分野においては、市場が急拡大を遂げた背景から歴史が比較的浅く、ニーズが拡大していくに伴って、戦略コンサルティング企業、大手広告代理店、SIベンダー等が同領域に参入するなど、当社グループをとりまく競争環境は激化しております。
また、参入企業が増加する一方で技術の進歩が目覚しく技術革新による競争力を有した競合他社の出現によって当社グループの将来の競争力が低下する可能性があります。
今後、当社グループのサービスが十分な差別化や機能向上等ができなかった場合や、さらなる新規参入により競争が激化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業体制に関するリスク
① 特定人物への事業運営の依存について
代表取締役である工藤勉は、2011年3月以降継続して当社代表者を務めており、経営方針の決定から事業運営までにおいて極めて重要な役割を果たしております。何らかの理由により業務遂行が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため当社グループでは、適切な権限委譲を図るための組織整備や社内の人材育成等を行うことによって、特定人物へ依存しない経営体制の構築を進めております。
② 小規模な組織であることについて
当社グループは、当連結会計年度末において、従業員200人未満の比較的小規模な組織として効率良く事業運営を行っており、内部管理体制・業務執行体制はともに当該組織規模に応じたものとなっております。したがって、当社グループの役員や重要な業務を担当する従業員が退職等で流出した場合は、当社グループの事業活動に支障を来し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 優秀な人材の獲得・育成について
当社グループの主要な事業・サービスの要となっているのは人材であり、各種サービスの品質向上、新たなサービスの企画・開発のためには、優秀な人材の採用・育成と定着が欠かせないものとなっております。
しかしながら、人材獲得競争の激化により、優秀な人材の獲得が事業の拡大スピードに追い付かず事業運営が非効率なものとなった場合や在職する人材の離職が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)会社組織に関するリスク
① 知的財産権について
当社グループは、ソフトウェアやビジネスモデルに関する特許権、実用新案権、またはサービスに係る商標権等の知的財産権の調査等は可能な限り対応しておりますが、第三者が当社グループの知的財産権を侵害したり、あるいは当社グループが意図せずに第三者の知的財産権を侵害したとして提訴されるなどの可能性があります。
このような事象等により係争問題が発生した場合には、多額の費用及び経営資源が費やされ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このため当社グループでは、他社との差別化及び競争上の優位性確保のため、特許等の獲得と保護に努め、また、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な調査のもとにサービス開発を行ってまいります。
② 情報管理について
当社グループがサービスを提供する事業活動のデジタル化の領域においては、クライアントの機密情報や個人情報を取得することから、秘密保持契約等によって守秘義務を負っております。厳重な情報管理の徹底及び従業員への守秘義務の徹底をしておりますが、何らかの理由によりこれらの機密情報や個人情報が外部に漏洩した場合、当社グループの信用失墜等によって、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制の強化について
当社グループは、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス及びリスク管理を経営の重要課題のひとつと位置づけ、内部統制システムの適切な運用に努め、同システムの充実・強化を継続的に図っております。
しかし、適切な管理体制のもとで役職員の不正及び不法行為の防止に万全を期しているものの、万が一不正及び不法行為が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他
① 配当政策について
当社グループは現在成長過程にあり、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施しておりません。当社グループは株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しておりますが、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大を目指すことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がるものと考えております。
内部留保資金につきましては、財務体質の強化を図るとともに、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、将来の事業展開のための財源として利用していく予定であります。
将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益配分を検討しますが、配当実施の可能性及びその実施時期については現時点において未定であります。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社グループ取締役及び従業員等に対して、当社の新株予約権を付与しており、さらに将来付与する可能性も含め、新株予約権が行使された場合、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおり、本書提出日の前月末現在における潜在株式数は、789,400株であり、本書提出日の前月末現在における発行済株式総数5,303,300株の14.88%に相当しております。
③ 調達資金の使途について
当社グループは、2023年1月23日付で公募増資、2023年2月16日付でオーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資を行っております。これらの公募増資及び第三者割当増資による調達資金の使途については、当社グループ事業のさらなる拡大のため、引き続きM&A等に係る借入金の返済に充当する予定です。
しかしながら、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定通りの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
④ システム障害について
当社グループのサービスはインターネット上において提供されており、大規模なプログラム不良や不正アクセス、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、事業の継続に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは安定的なサービスの提供を実現するために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する万全の備えをしております。
⑤ 自然災害等について
当社グループの事業は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。そのため、これらに被害をもたらすおそれのある自然災害等が発生した場合には、当社グループは事業を継続することができない等の支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該事象が発生した場合には、適切な対応に努めますが、事業への影響を完全に防止または軽減できない可能性があり、結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ M&Aに関するリスク
当社グループは、事業の成長による企業価値の向上を目的とし、既存事業とのシナジー効果が期待できる場合や市場における優位性の獲得が見込める場合は、必要に応じてM&Aを実施しております。M&Aの実施においては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況及びM&Aに伴うリスク分析結果等を考慮し進めるように努めております。しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化が生じる、事業上若しくは戦略上の問題又は相手先企業との関係の変化等によりトップラインの成長やサービス間の相互補完、双方の顧客への既存及び獲得サービスの提供等、当初想定していた事業のシナジー効果等が得られない、買収後の事業の維持及び統合につき想定以上のコストが生じる等、買収後に想定外のリスクが顕在化する場合には、期待した投資のリターンが得られない可能性があり、これらに起因して当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 減損会計について
当社グループは、多額ののれんを計上しているとともに、事業用のソフトウェア等の無形資産を計上しております。当社グループはIFRSに基づいて連結財務諸表を作成しており、IFRSにおいてのれんは非償却性資産であり毎期の定期的な償却は発生しませんが、毎期減損テストが実施され、のれんが帰属する事業から得られる将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することにより、減損損失の認識の要否を判定する必要があります。事業計画や市場環境の変化等により、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額が回収可能価額まで減額され、当該減少額は減損損失として測定されます。当社グループが運営するサービスの収益性の低下や事業環境の悪化、競合状況の変化等の理由で、これらの固定資産から期待しているキャッシュ・フローを見込めない状況になる等の要因により、減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは事業譲受け及び株式取得に関連し、2023年12月期末においてのれん4,284百万円及びその他の無形固定資産を118百万円を計上しております。また、2024年1月17日付で株式会社BINKSの株式の一部を取得(取得原価2,550百万円、主要な取得関連費用の概算額3百万円)して連結子会社とし、2024年3月18日付でラグナロク株式会社との間で同社の全株式を取得(取得価額420百万円、主要な取得関連費用の概算額5百万円)する株式譲渡契約を締結し、2024年4月1日付で同社を連結子会社化する予定となっており、これらの株式取得に伴うのれん及び無形資産の計上を予定しております。加えて、株式会社BINKSについては、当社との間で今後のBINKS社の業績進捗に応じた追加の株式譲渡に関する合意がなされており、また、株式会社BINKS及びラグナロク株式会社と当社との間で株式譲渡前及び株式譲渡後の誓約事項と譲渡対価の調整に関する合意がなされており、事業の業績等の状況に応じて追加対価の支払いまたは取得対価の減額調整が発生する可能性があります。
一部のM&A案件に関連するのれん及び無形資産の金額、償却方法及び償却期間については2023年12月期末において暫定的な処理によるものもありますが、M&Aによって生じるのれん及び無形資産の金額等は、M&Aによる期待収益及び将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと想定しております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合等においては、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 有利子負債について
当社グループは、2023年12月期末現在で5,720百万円の有利子負債残高を有しております。これらの資金を活用し、今後もM&A等への投資を行い、積極的に事業拡大を進める方針でおります。なお、既存の借入については、一部を変動金利による資金調達を行っているため金利リスクに晒されております。また、一部の金融機関からの借入には財務制限条項(財務コベナンツ)が付されており、一定額以上の純資産額や経常利益等をそれぞれ求められております。これらの財務コベナンツに一つでも抵触した場合は、当該借入についての期限の利益を喪失し、借入金の一括返済を求められる可能性があります。
当社グループは、当該リスクに対しては、借入金の固定金利と変動金利の適切なバランスを維持すること等で、将来の金利変動リスクをヘッジする施策を講じ、また、財務コベナンツへの抵触を回避するため、収益性を重視した戦略立案と経営管理を行ってまいります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。
当社グループは当連結会計年度から、従来の日本基準に替えて国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)を適用しております。また、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度及び前連結会計年度末との比較分析は行っておりません。
なお、当社グループの事業はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限等は解除され、経済社会活動は正常化に向けた動きが進んでおります。一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う世界的な原材料・資源価額の高騰による物価の上昇、欧米諸国等の金融引き締め政策による円安の進行等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが事業を展開するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)市場及びデジタル関連IT&ビジネスコンサルティング市場においては、コロナ禍における新たなライフスタイルの確立や消費活動のオンライン化が加速したことによって、消費者のメディア接点の多様化がよりいっそう進み、これらに対応するためのデジタルシフトをはじめとしたDXへの取り組みが多くの企業において活発なものとなっており、高成長が期待される市場として注目されております。
このような経営環境のもと、当社グループでは、顧客体験を改善するテクノロジー・SaaS を軸に、近年ニーズが増加するマーケティング・クリエイティブの領域にも展開し、ウェブサイト構築から集客、リピート促進まで一気通貫での顧客支援を行っております。
また、当社グループの提供プロダクト及びサービスの拡大とCXデータの質及び量の増強を図り、競争力をより高めることを目的として、これまでに複数のM&Aを実行してまいりましたが、当連結会計年度においては、2023年1月31日付で株式会社KaiU、5月12日付で株式会社SAKIYOMI、8月15日付でCRAFT株式会社、8月21日付で株式会社JITT、8月31日付で株式会社マイクロウェーブクリエイティブをそれぞれ連結子会社化いたしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、CX SaaS及び付随するプロフェッショナルサービスの受注が順調に推移したことや、M&Aによる獲得事業の提供プロダクトによってサービスが拡大したことにより、売上収益は2,482,032千円、営業利益は651,947千円、税引前当期利益は612,186千円、親会社の所有者に帰属する当期利益は484,843千円となりました。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、10,980,258千円となりました。その主な内訳は、現金及び現金同等物が4,039,948千円、のれんが4,284,664千円、繰延税金資産が1,443,378千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、7,655,350千円となりました。その主な内訳は、長期借入金が4,142,761千円、その他金融負債(流動)が1,170,814千円であります。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、3,324,907千円となりました。その主な内訳は、資本金が15,970千円、資本剰余金2,862,240千円、利益剰余金が314,544千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,039,948千円となり、前事業年度末に比べ3,061,986千円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、878,176千円となりました。主なキャッシュ・フローの増加要因としては、税引前当期利益612,186千円、減価償却費及び償却費65,454千円、その他の中に含まれる未収消費税等の減少額114,210千円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、3,404,280千円となりました。これは主に、事業譲受による支出318,884千円、子会社の取得による支出3,019,012千円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、5,586,412千円となりました。これは、長期借入による収入4,475,000千円、新株の発行による収入1,827,433千円などがあったことによるものであります。
当社グループは、DXの領域における各種サービスを主たる事業としており、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 当社グループの事業区分は「DX事業」の単一セグメントであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社では、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、客観的な経営指標として売上収益及び営業利益を重視しております。
当該指標につきましては、第17期事業年度(2022年12月期)は売上収益1,071,926千円、営業利益131,129千円、第18期事業年度(2023年12月期)は売上収益2,482,032千円、営業利益651,947千円となっております。
当社グループの資金需要が生じるものとしては、人件費、広告宣伝費、地代家賃等の運転資金のほか、事業拡大に伴う採用活動のための採用費やプロダクトの開発費、M&A等によるものであります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は営業活動により得られたキャッシュ・フローを基本としておりますが、M&A等から生じる資金需要に対する調達につきましては自己資金及び金融機関からの借入、エクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
当社は、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度の要約連結財務諸表については記載しておりません。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、千円未満を切り捨てしております。
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
前事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
なお、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度の要約連結財務諸表については、記載しておりません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
前事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「38.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、のれんをその効果が発現すると見積もられる期間にわたり均等償却しておりますが、IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が228,259千円減少しております。
(条件付対価の取扱い)
日本基準では、企業結合に係る株式売買契約における条件付対価について、契約で定めた条件が確定した時点で、追加支払額を取得原価から増加させ、同額ののれんの金額を増加させますが、IFRSでは、条件付対価の公正価値を見積もり、取得後の公正価値の変動額については純損益として処理することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べ非流動負債のその他の金融負債が1,170,814千円、金融費用が7,658千円増加しております。
(リース)
日本基準では借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っていたが、IFRSでは借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分がないため、基本的にすべてのリース取引について、「使用権資産」及び「リース負債」を計上している。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「有形固定資産」に含めて表示している「使用権資産」が182,350千円、「リース負債(流動)」が50,890千円、「リース負債(非流動)」が130,741千円増加しております。
2022年11月28日開催の取締役会決議に基づき、サブスクリプションファクトリー株式会社との間で、同社が事業の一部を分割し新たに設立する株式会社KaiUの全株式を取得して子会社化する株式譲渡契約を締結し、2023年1月31日に株式を取得いたしました。
また、2023年2月15日開催の取締役会において、2023年3月30日を効力発生日として株式会社KaiUを吸収合併することを決議し、吸収合併契約を同日付けで締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の(7.企業結合)をご参照ください。
2023年3月20日開催の取締役会決議に基づき、株式会社Radix(旧商号:株式会社SAKIYOMI)との間で、同社が事業の一部を分割し新たに設立する株式会社SAKIYOMI(新設分割承継会社)の全株式を取得して子会社化する株式譲渡契約を締結し、2023年5月12日に株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の(7.企業結合)をご参照ください。
2023年7月18日開催の取締役会決議に基づき、株式会社マイクロウェーブが新設分割の方法で2023年8月7日に新たに設立する株式会社マイクロウェーブクリエイティブの全株式を取得して子会社化する株式譲渡契約を締結し、2023年8月31日に株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の(7.企業結合)をご参照ください。
2023年7月31日開催の取締役会決議に基づき、CRAFT株式会社の80%の株式を取得して子会社化する株式譲渡契約を締結し、2023年8月15日に株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の(7.企業結合)をご参照ください。
2023年8月7日開催の取締役会決議に基づき、株式会社TEORYが新設分割の方法で2023年8月7日に新たに設立する株式会社JITTの全株式を取得して子会社化する株式譲渡契約を締結し、2023年8月21日に株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の(7.企業結合)をご参照ください。
2024年1月15日開催の取締役会決議に基づき、株式会社BINKSの85%の株式を取得して子会社化する株式譲渡契約を締結し、2024年1月17日に株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の(38.重要な後発事象)をご参照ください。
2024年1月15日開催の取締役会決議に基づき、株式会社みずほ銀行と金銭消費貸借契約を締結し、2024年1月17日に借入を実行いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の(38.重要な後発事象)をご参照ください。
2024年3月17日開催の取締役会決議に基づき、2024年3月18日付でラグナロク株式会社の全株式を取得して子会社化する株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の(38.重要な後発事象)をご参照ください。
該当事項はありません。