文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」というイオンの基本理念と「一人ひとりの笑顔が咲く未来のくらしを創造する」というイオングループ未来ビジョン、そして当社が掲げる“Save Money Good Life”(節約による豊かな暮らし)というスローガンのもと、住生活関連を主体とした生活必需品やアグリ、園芸、DIYなどホームセンターらしい商品の販売と各種サービスを通じ「あなたの街のサンデー」として地域のお役に立てる企業を目指しております。また、お客さま、お取引先さま、株主さま、働く仲間である従業員などすべてのステークホルダーの期待にお応えできるよう、企業価値の向上に努めるとともに、企業の永続的な発展を目指しております。
(2)中長期的な会社の経営戦略等
① 経営環境
ⅰ 外部環境
・人口減少や少子高齢化の影響による世帯年齢構成の変化、今後進行すると思われる世帯数の減少が経済に与える影響は拡大して行くと考えられます。
・国際情勢の不安定化や円安の長期化に起因する原材料価格等の高騰が物価の上昇を引き起こしており、消費者の生活を圧迫するなど景気の下振れリスクがあることから、厳しい経営環境が続くものと考えられます。
ⅱ 小売業界
・物価上昇、実質賃金の低下を背景に消費の二極化が加速しております。また、生活する上で支出優先度の高い食料品やエネルギーに消費が集中し、業種・業態によって明暗が分かれる状況が顕著になっております。加えて、業種・業態の垣根を越えた販売競争は更に激化していく事が予想される他、労働力人口の減少を背景とした人件費や物流費、また、店舗建設費の上昇傾向は今後も継続するものと考えられます。
② 経営戦略等
当社は、東北6県で生活必需品全般を扱うホームセンター事業を展開しており、お客さま満足を追求する企業を目指してまいります。そのために、今後も続くと思われる業種・業態を越えた出店競争や価格競争の激化、昨今の物価上昇に伴うお客さまの節約・低価格志向、少子高齢化を伴う人口減少など、一層厳しさを増す経営環境の変化へ迅速に対応してまいります。また、労働力人口の減少等に伴い上昇している人件費を合理的な取組によって抑制するために、DX戦略を推進することで、業務の効率化を進めてまいります。このように、今後の成長に向けて様々な角度から生産性の向上に取り組み、安定的に利益を確保できる経営基盤の構築を目指してまいります。さらに、当社は成長戦略の実現に向け、既存店競争力強化を軸にした「収益構造改革」、自ら学び成長できる環境構築と有資格者育成を推進する「人財(材)開発」、サステナブル経営の実現による「企業価値の向上」を政策として掲げ、収益力向上と集客力のアップを図ってまいります。そして、お客さま満足業の実現を目指し「凡事徹底」することで、ガバナンス機能を高めつつ、持続的成長性と安定した収益性を確保できる経営基盤を構築してまいります。
③ 目標とする経営指標
当社は、さらなる成長を目指し、資本効率と採算重視の経営を行ってまいります。経営の効率化を進めるにあたり、重視する経営指標と中長期的な目標数値は、ROE(株主資本利益率)10%、売上高営業利益率は5%であります。業種・業態を越えた競争激化など、経営環境は厳しさを増しますが、今後さらに重要指標の向上に向け、一層の生産性改善に取り組んでまいります。
当社は、地域の課題はサンデーの課題であるという認識のもと、地球環境への配慮や、誰もが安心して暮らすことができ、豊かさを実感できる地域社会の創造、働きがいの持てる職場環境の構築等を目指しております。持続可能な社会の実現に向けて、事業活動を通じてこれらの課題に対応し続けることが、当社の果たすべき責務であると考えており、また、公正かつ規律正しい企業経営が、当社の持続的成長に繋がるものと認識し、様々な課題に取り組んでおります。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティにおける課題への対処のため、総務部に環境・社会貢献担当者を配置し、環境保全及び社会貢献活動を推進しております。ガバナンスの強化におきましては、法令遵守の上に成り立つ経営を第一と捉え、経営監査室にて、業務の適正性を確保するための内部監査を実施する体制を取っております。また、取締役社長を議長とする経営上の最高意思決定機関である取締役会並びに取締役社長の諮問機関として経営の重要事項につき審議を行い、取締役会の決議を要しない重要事項について決定する経営会議において、サステナビリティに関する活動状況の共有や今後の方向性に関する議論を行うことで、より効果の高いサステナビリティ推進活動を目指しております。なお、取締役会並びに経営会議の詳細につきましては、
(2)戦略
当社は、サステナビリティにおける課題への対処のため、以下の取組を推進しております。
① 地球環境への負荷軽減に向けた取組
当社では、地球環境負荷軽減に配慮し、営業活動で使用する電力の再生可能エネルギーへの切り替えや、省エネ設備への入れ替え、太陽光発電設備の導入等に取り組んでおります。また、これらの取組を推進し、電力価格上昇や炭素税の導入等に向けたリスクヘッジを行うことで、事業活動におけるコスト削減により安定的に利益を確保できる体制構築を推進しております。各取組についての具体的な目標数値は現時点で定めておりませんが、効果の測定及び分析を進めながら策定を検討してまいります。
② 地域社会に貢献する取組
全国的に人口減少や少子高齢化等が深刻化しているなか、当社が事業活動を行う東北地方においては、人口減少率が全国平均を上回っており、過疎化が進むことで高齢者の方が自由に買い物に出られないといった課題を抱えている地域もあります。この課題解決に向け、当社の店舗と直接来店して買い物をすることが困難なお客さまを繋ぐ取組として、ご購入いただいた商品を配達し、DIYアドバイザーの資格を持つ従業員が住まいの補修・修繕・取付までを行う「SUN急便」を全店に配置しております。SUN急便は、人口減少問題により当社への来店客数が減少するリスクがある経営環境においても、客数を確保し続け、当社の持続的な経営を実現する上で欠かせない重要な事業と位置付けております。
そのほか、地震や風水害等といった自然災害が生じた際に、自治体への迅速な支援物資の供給を可能にするための防災協定の締結を推進するとともに、自社物流センターにて災害支援物資の備蓄を行っております。
③ 人的資本に関連する取組
当社は、従業員満足が顧客満足につながるという考えのもと、人材育成とワーク・ライフ・バランスの充実を目指した取組を推進しております。
人材育成に関する取組としましては、DIYアドバイザーと自転車安全整備士を、重点的に取得を推進する資格と定め、通信教育や実務研修などを通じて資格保持者数の増加を目指しております。また、若年次向けの基礎研修や中堅社員、管理職向けの階層別研修の開催、外部セミナーへの派遣など、自発的な学びの機会を充実させることで、各分野のプロフェッショナルや幹部社員などの育成を行っております。
女性の活躍を推進する取組としましては、女性社員を積極的に採用するとともに、ライフステージによって必要となる育児休暇や介護休暇を取得しやすく働き続けられる環境を整備した上で、女性管理職研修による能力開発と公平な登用機会を設けることで、性別に関わらずより経営に関与できる体制を充実させております。
また、当社では業務の標準化、簡素化、従業員間での適正な業務分担による長時間労働の是正並びに年次有給休暇の取得推進に取り組んでおり、全ての従業員が働きがいを持って活躍し、成長し続けられる職場環境の実現に取り組んでおります。
④ 企業価値の維持・向上に向けた取組
当社では、小売業として継続的に新規出店を進める上で、競合各社の動向や、取引先からの仕入れ等市場環境に関連するリスクを迅速かつ的確に把握する体制を整備しているほか、外部からのサイバー攻撃や、お客さまよりお預かりした個人情報の保管・管理体制の不備による情報漏洩等、企業価値の毀損に直結するリスクに関しましても、内部監査等を通じて厳重に管理する体制を構築しております。
(3)リスク管理
当社では、内部統制委員会の下部組織として、総務部を事務局とするリスクマネジメント部会を設置し、環境、社会、ガバナンス等の様々な側面において、リスクを未然防止する体制の構築を推進しております。また、万が一リスクが発生した際には迅速かつ的確な初期対応並びに二次被害の回避に努めてまいります。リスクマネジメント部会での活動状況につきましては、年2回、取締役会にて活動内容の妥当性等について議論する場を設けており、お客さま及び従業員とその家族の安全・安心を確保するとともに、企業価値の毀損を防止するための行動を全事業所にて徹底しております。
なお、当社の事業活動において発生し得る特筆すべき主なリスクは下記の通りとなります。
地球環境問題に関するリスクとして、地球温暖化がより深刻化することで、極端な気候変動や自然災害がさらに頻発する恐れがあります。これらにより、店舗設備や商品等当社資産への物理的損害や、従業員出社率の低下により、店舗における営業活動に支障をきたすことが想定されます。また、気温上昇により空調にかかる電気使用量が増加することも考えられ、当社の経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し当社では、設備及び商品等について損害保険に加入するとともに、災害発生時の事業継続計画(BCP)を策定し、災害発生時においても被害を最小限に食い止め、また、お客さまや従業員の安全を確保した上で、地域における社会的インフラとして営業を継続、もしくは可能な限り早い段階で再開するための体制を整えております。
また、電気使用量を抑制するため、店内照明のLED化や、店舗への太陽光発電設備の導入等にも取り組んでおり、様々な面において、地球温暖化がもたらすリスクを最小限にするための施策を実施しております。
なお、当社では温室効果ガス排出量の削減による地球温暖化対策に寄与するため、店舗及び本社で使用する電力の再生可能エネルギーへの切り替えを進めており、当事業年度における再生可能エネルギー調達量は、当社が使用する電力全体の約7割となっております。
少子高齢化が深刻化する現代社会において、とりわけ移動手段を持たない高齢者が買い物に出かけられないといった買い物困難者が増加しており、当社への来店客数が減少し、収益力が低下するリスクが想定されます。これに対し当社ではSUN急便事業を通じて、買い物が困難な高齢者等のお客さまに対してインターネットや電話で商品を注文いただき、ご自宅までの商品配達や住宅周りの補修、修繕、取付を行うサービスを実施しており、高齢化を一つの事業機会と捉えた活動としてSUN急便の利用促進に取り組んでおります。
人口減少や、それに伴う企業間競争の激化による、来店客数減少のリスクも想定されることから、お客さまからいただく各種相談にプロとして対応できる人材を育成することが、顧客満足度を向上させ、より多くのお客さまに継続的に当社をご利用いただくための機会につながると捉え、DIYや自転車などの各分野における資格取得を推進しております。
ガバナンス面のリスクとして、従業員による不正行為やシステムの不備による顧客情報や機密の漏洩等が発生することで、企業価値が毀損されることが想定されます。これらのリスクに対して、内部統制システムを充実させることで、不正等に対する牽制機能を強化しております。また、この体制を強固で確実なものとするため、当社では監査等委員会、経営監査室によるモニタリングを実施しているほか、経営幹部と経営監査室による内部統制委員会を月1回開催し、従業員による業務執行が定められた業務手順に基づき実行されていることをモニタリングすることで、当社の事業活動の健全性維持に努めております。
なお、当社事業に関連するそのほかのリスクにつきましては、後記の「
(4)指標及び目標
指標及び目標(2024年3月1日から2026年2月28日まで)
|
指標 |
目標 |
実績(2024年2月29日時点) |
|
女性管理職比率 |
30% |
6.8% |
|
DIYアドバイザー保持者数 |
300人 |
165人 |
|
自転車安全整備士保持者数 |
250人 |
177人 |
当社では、上記の通り指標及び目標を設定しておりますが、今後は人的資本に関する項目に限らず、地球環境への配慮や地域社会への貢献等を含めたあらゆる側面から、指標及び目標の策定を検討してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、及び発生した場合の対応に努める所存であります。文中における将来に関する事項については当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)出店に関するリスク
当社の出店及び増床に際しては「大規模小売店舗立地法」(以下「大店立地法」)等の法的規制を受けております。「大店立地法」では、売場面積1,000㎡超の店舗出店及び増床について、地元自治体への届出が義務付けられております。駐車台数、騒音、交通渋滞、ゴミ処理問題等地域環境保護などの観点から規制が行われているため、地元自治体や地域住民との調整を図ってまいりますが、出店に要する期間の長期化により、当社の出店計画に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は出店に際し土地及び建物等を取得若しくは賃借いたしますが、賃借の場合、土地及び建物等の所有者と賃貸借契約を交わし、賃料等を契約期間にわたり支払ってまいります。そのため業績不振などにより契約期間満了前に店舗を閉鎖する場合には、残余賃料や違約金、保証金放棄などの賃貸借契約上の負担が発生する場合があります。
(2)市場環境などに関するリスク
近年ホームセンター業界は、同業のみならず、ドラッグストア、スーパーマーケットなどの各種業態との競争が激化しております。競合各社の出店によるお客さまの購買行動の変化等から、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、地域別格差が広がる所得・雇用環境などの景気動向や冷夏・暖冬などの天候不順も販売動向に影響を及ぼすことから、仕入・販売計画の適否が業績に影響を与える可能性があります。
(3)金利水準の変化に関するリスク
当社の設備資金・運営資金の一部は、銀行借入による調達に依存しておりますが、金利水準の急速かつ大幅な上昇があった場合、支払利息の増加等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)固定資産の減損に関するリスク
当社は「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、今後新たに減損損失を認識すべき資産について減損損失を計上することとなった場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報管理に関するリスク
当社は、自社カード会員をはじめとする多数の個人情報を有しておりますが、主に顧客の個人情報管理につきましては、個人情報保護管理規程等に基づき厳重な情報管理体制の整備、従業員教育による意識向上に努め、管理の徹底を図っております。
また、従業員の個人情報などその他の個人情報につきましても、運用・管理の外部委託先と機密保持契約を締結する他、プライバシーマークの取得を要請するなど、一体となって万全な管理体制構築に努めております。
しかしながら、万が一個人情報が漏洩した場合は当社の社会的信用失墜につながり、収益の減少や損害賠償責任が生ずることなどが考えられ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害・事故などに関するリスク
当社は、東北エリアにおいて店舗による事業展開を行っております。このため、地震・津波や台風等の自然災害あるいは予期せぬ事故等により店舗・施設に物理的損害が生じ、当社の販売活動や流通・仕入活動が著しく阻害された場合、さらに人的被害があった場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)気候変動に関するリスク
当社は、店舗運営におけるエネルギーの使用が多いことから、地球環境に大きな負の影響をもたらす地球温暖化問題に取り組んでおります。脱炭素社会の実現を目指す「イオン脱炭素ビジョン」に基づき、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーへの転換等に取り組んでおりますが、環境に関する法的規制の強化や社会的要請の高まりにより想定以上のエネルギー費用や対策コストが発生した場合、また気候変動に伴い冷夏・暖冬等の天候不順による季節商品の需要低下により、販売計画を下回った場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)食品の安全性及び品質の水準低下に伴うリスク
食品の安全性と品質保証に対する消費者の関心は、偽装表示、異物混入等の発生により高まっています。何らかの理由で当社が提供する食品の安全性や品質に対する消費者の信頼が低下した場合、食品部門を含む店舗の売上が低下する可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)感染症拡大の影響に関するリスク
感染症の蔓延・長期化により、法律に基づく行動制限が出される状況となった場合には、サプライチェーンの混乱や来店客の減少などが発生する恐れがあり、正常な営業活動が行えなくなることで、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)為替変動等について
当社は、海外からの輸入商品を取り扱っており、為替変動が生じた場合には、商品原価や物流コストの上昇、若しくは商品調達等に支障をきたし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)システム障害について
当社は、店舗及び本社における業務の大部分においてコンピュータシステム及びそのネットワーク(以降「システム」と総称します。)を使用しております。
当社は、主要事業の遂行におけるシステム障害のリスクを低減するために、定期的なバックアップやセキュリティ対策を実施しておりますが、自然災害など予期せぬ事態により、万一、システム障害が発生した場合には、商品の販売や仕入れ等に支障をきたし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績等の状況
当事業年度(2023年3月1日~2024年2月29日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられたことにより、人流の増加やインバウンド需要の回復など、経済活動が活発化した一方で、長期化するウクライナ情勢の影響や金利格差に起因する円安が、エネルギー価格高騰や度重なる食料品等の値上げを引き起こし、消費者の生活を圧迫するなど、依然として先行きが見えない経営環境が続いております。
当社の主力事業であるホームセンターの業界動向としましては、業態の垣根を越えた競争の激化に加えて、近年の急激な気候変動による商品動向の変化、また、物価の高止まりによる実質賃金の低下による節約意識の高まりなどにより、客数が伸び悩む状況となっております。
このような状況の中、当社ではスローガンである「Save Money Good Life(節約による豊かな暮らし)」の実現のため、より良い商品とサービスの提供に努めてまいりました。
商品面では、日頃より使用する商品を安心価格で販売する「暮らし応援商品」を拡大するなど、地域で暮らす方々の豊かさを実現するための活動を推進している他、当社独自の商品開発により、ホームセンターならではの暮らしをより良くする商品の提案を推進しております。
サービス面では、当社で購入した商品を宅配するだけでなく住まいの補修・修繕・取付まで行い「暮らしの不便」を解消する「SUN急便」が、少子高齢化・過疎化により買い物に不便を感じている方々の支援や、高齢者等の見守りに関する機能を果たすなど、社会課題の解決に寄与する活動として、広くご好評をいただいております。
当事業年度における営業概況としましては、節約意識の高まりによる耐久消費財を中心とした生活用品の買い控えが見られた他、春の天候不順や猛暑、暖冬・少雪といった記録的な異常気象などの天候要因により季節商品の需要が低下する状況が続いたことで、客数、買上点数が低迷し、売上高が減少する状況となりました。
当社では中長期的な成長戦略としまして、お客さまのニーズに対応した専門性の高い店舗の出店を推進しております。当事業年度における新規出店としましては、3月に青森県青森市にペット専門店であるZoomore(ズーモア)青森店、6月には宮城県名取市にZoomore名取店、7月には山形県山形市にプロの職人向けの店舗としてプロショップDayPRO(デープロ)下条店をサンデー下条店から業態転換してオープンした他、10月にはサンデー弘前石渡店を増床し農業資材とプロ商材を拡大するリニューアルを実施しました。また、11月には、青森県八戸市にペットやDIY用品など、専門性の高い核売場を導入したサンデー八戸尻内店を新規出店いたしました。
イ.財政状態
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ7億85百万円増加し、351億93百万円となりました。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ10億73百万円増加し、236億67百万円となりました。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ2億87百万円減少し、115億26百万円となりました。
ロ.経営成績
当事業年度における当社の売上高は473億77百万円(前年同期比17億17百万円の減)、営業利益は3億79百万円(前年同期比5億4百万円の減)、経常利益は4億56百万円(前年同期比4億85百万円の減)、当期純損失は2023年度不採算店舗の減損損失等5億83百万円の特別損失を計上したことなどにより1億49百万円(前期は5億8百万円の当期純利益)となりました。
なお、当社は、ホームセンター事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末残高に比較し99百万円減少し、4億27百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1億70百万円(前年同期比78.0%減)となりました。これは主に税引前当期純損失1億26百万円、減価償却費10億34百万円、賞与引当金の減少1億50百万円、減損損失5億83百万円、棚卸資産の増加8億63百万円、仕入債務の減少1億62百万円、未払消費税等の増加1億46百万円、その他の資産の減少1億29百万円、法人税等の支払3億96百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は15億10百万円(前年同期比8.8%減)となりました。これは主に新規出店や既存店の活性化に伴う有形固定資産の取得による支出13億91百万円、貸付(建設協力金等)による支出1億23百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は12億40百万円(前年同期比109.4%増)となりました。これは主に短期借入金の純増額17億60百万円、長期借入れによる収入20億円、長期借入金の返済による支出22億63百万円、配当金の支払いによる支出1億61百万円等によるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
当社は、小売業を主たる事業としているため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。
イ.仕入実績
当社はホームセンター事業の単一セグメントであるため、仕入実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
|
部門の名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
DIY用品 |
3,955,601 |
86.6 |
|
家庭用品 |
14,006,150 |
95.0 |
|
カー・レジャー用品 |
15,410,206 |
103.8 |
|
合計 |
33,371,958 |
97.7 |
(注)部門ごとの各構成内容は次のとおりであります。
(1)DIY用品(木材、建築金物、工具、塗料、エクステリア)
(2)家庭用品(日用品、インテリア、電化製品、家庭雑貨等)
(3)カー・レジャー用品(園芸資材、ペット用品、レジャー用品、カー用品等)
ロ.販売実績
当社はホームセンター事業の単一セグメントであるため、販売実績を部門別及び地域別に示すと、次のとおりであります。
a .部門別売上実績
|
部門の名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
DIY用品 |
6,278,535 |
86.6 |
|
家庭用品 |
18,385,190 |
95.1 |
|
カー・レジャー用品 |
21,597,307 |
100.6 |
|
その他 |
816,282 |
104.7 |
|
計 |
47,077,315 |
96.4 |
|
その他の営業収入 |
299,713 |
116.6 |
|
合計 |
47,377,029 |
96.5 |
(注)部門ごとの各構成内容は「イ.仕入実績」の項をご参照下さい。
なお、「その他」には、「施工サービス等」が含まれており、「その他の営業収入」には、企業会計基準
第13号「リース取引に関する会計基準」の範囲に含まれる不動産賃貸収入等が含まれております。
b .地域別売上高実績
|
地域別 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
青森県 |
18,900,954 |
96.5 |
|
岩手県 |
11,024,890 |
95.3 |
|
秋田県 |
5,603,428 |
98.5 |
|
宮城県 |
4,325,535 |
101.4 |
|
山形県 |
5,627,707 |
93.7 |
|
福島県 |
1,894,512 |
95.7 |
|
合計 |
47,377,029 |
96.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態
(流動資産)
当事業年度末の流動資産合計は133億64百万円となり、前事業年度末と比較し7億41百万円増加いたしました。主な増加理由は、新規出店等に伴う商品及び製品の増加8億99百万円、現金及び預金の減少99百万円、原材料及び貯蔵品の減少35百万円等によるものであります。
(固定資産)
当事業年度末の固定資産合計は218億29百万円となり、前事業年度末と比較し44百万円増加いたしました。主な増加理由は、長期貸付金(建設協力金等)の増加84百万円、繰延税金資産の増加63百万円、減損損失の計上に伴う有形固定資産の減少1億10百万円等によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末の流動負債合計は181億47百万円となり、前事業年度末と比較し15億90百万円増加いたしました。主な増加理由は、短期借入金の増加17億60百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加2億32百万円、買掛金の増加2億3百万円、流動負債その他(未払消費税等)の増加1億47百万円、支払手形の減少3億65百万円、賞与引当金の減少1億50百万円、未払法人税等の減少1億86百万円等によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末の固定負債合計は55億19百万円となり、前事業年度末と比較し5億17百万円減少いたしました。主な減少理由は、長期借入金の返済による減少4億95百万円等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は115億26百万円となり、前事業年度末と比較し2億87百万円減少いたしました。主な減少理由は、当期純損失1億49百万円の計上と配当金の支払1億61百万円等によるものであります。
ロ.経営成績
(売上高)
当事業年度は、ホームセンター1店舗、専門店2店舗を新規出店しましたが、実質賃金低下等による節約志向の高まりや、天候不順の影響により、既存店の客数が減少したことで売上高は473億77百万円(前年同期比3.5%減)となりました。
(売上総利益)
商品の仕入れ原価が上昇する状況下で、商品の仕入れ先、配送ルートの最適化等による仕入れコストの低減や、商品開発を推進し、拡販に取り組んだことにより売上総利益率は前期と比べ同等を維持しましたが、売上高の減少を受け売上総利益は149億80百万円(前年同期比3.4%減)となりました。
(営業利益)
賃上げよる人件費の増加に対して、水道光熱費の削減や、販促の見直し等に取り組み、販売費及び一般管理費は前年から16百万円削減したものの、売上総利益が減少したことにより、営業利益は3億79百万円(前年同期比57.1%減)となりました。
(経常利益)
前事業年度は災害により店舗で発生した費用を営業外費用のその他に計上しておりましたが、当事業年度は災害の発生が少なかったことから営業外費用が減少したことにより、経常利益は4億56百万円(前年同期比51.5%減)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、不採算店舗の固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」に従い、将来の回収可能性を検討した結果、5億83百万円の減損損失を特別損失に計上したことで、当期純損失は1億49百万円(前期は5億8百万円の当期純利益)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a .キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b .契約債務
2024年2月29日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
|
年度別要支払額(千円) |
||||
|
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
|
短期借入金 |
6,460,000 |
6,460,000 |
- |
- |
- |
|
長期借入金 |
5,891,500 |
2,262,000 |
2,939,000 |
690,500 |
- |
|
リース債務 |
560,444 |
58,630 |
143,819 |
90,728 |
267,266 |
c .財務政策
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、自己資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期運転資金は金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入及びリースを基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は129億11百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、4億27百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
(1)物流委託契約の要旨は、次のとおりであります。
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契約会社名 |
株式会社サンデー |
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相手先 |
株式会社共同物流サービス 青森県八戸市卸センター一丁目13番1号 |
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契約期間 |
1984年2月21日より協議による解約まで。 |
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契約の内容 |
物流加工業務及び配送業務の委託。 |
(2)業務・資本提携に関する契約の要旨は、次のとおりであります。
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契約会社名 |
株式会社サンデー |
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相手先 |
イオン株式会社 千葉県千葉市美浜区中瀬一丁目5番地1号 |
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契約期間 |
2003年8月18日より協議による解約まで。 |
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契約の内容 |
スーパーセンター事業と小売関連事業に関する業務及び資本の提携。 |
(3)その他の契約
該当事項はありません。
該当事項はありません。